JP2001102355A - 半導体積層体の製造方法、半導体レーザ装置、およびその製造方法 - Google Patents

半導体積層体の製造方法、半導体レーザ装置、およびその製造方法

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JP2001102355A
JP2001102355A JP2000224785A JP2000224785A JP2001102355A JP 2001102355 A JP2001102355 A JP 2001102355A JP 2000224785 A JP2000224785 A JP 2000224785A JP 2000224785 A JP2000224785 A JP 2000224785A JP 2001102355 A JP2001102355 A JP 2001102355A
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JP2000224785A
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Takeshi Obayashi
健 大林
Hisaharu Yagi
久晴 八木
Shuichi Hirukawa
秀一 蛭川
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 BH構造等の半導体レーザ装置において、メ
サストライプ部側面でのAlの酸化を抑えて良好な特性
を得る。 【解決手段】 少なくとも第1導電型の第1クラッド層
103、活性領域および第2導電型の第2クラッド層1
07からなるメサストライプ部131aに電流ブロック
層111、112を再成長する前に、メサストライプ部
131aの両側面をバッファードフッ酸で表面処理して
酸化膜や不純物を除去する。気相成長法により、良好な
結晶性を有する電流ブロック層が得られる。Al混晶比
が0.4以下の半導体層についても適用可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信用や光ディス
ク用等に用いられる低消費電力で高信頼性を有する半導
体レーザ装置の製造方法、および半導体レーザ装置や発
光ダイオード等の発光素子、フォトダイオード等の受光
素子、光変調器や光導波路等、その他の光素子およびこ
れらの光素子を組み合わせた光集積回路等の製造に好適
に用いられる半導体積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種半導体レーザ素子の中で、埋め込み
ヘテロ構造(Buried Heterostructure:BH構造)半導体
レーザ装置は、その構造上レーザ発振に寄与しない無効
電流を少なくでき、低消費電力が求められる半導体レー
ザ装置として検討されている。BH構造半導体レーザ装置
は、通常、作製時に活性領域を一旦大気にさらすため、
酸化しやすいAlを含まないInGaAsP系にて主に実用化が
すすめられてきた。しかし、AlGaAs系においても、実用
化のための試みがなされている。
【0003】その一例として、Electronics Letters Vo
l.28 p154 (1992)に開示されているBH構造半導体レーザ
装置を図5に示す。この半導体レーザ素子は、以下のよ
うにして作製される。まずn-GaAs基板501上にn-GaAsバ
ッファ層502(層厚1.0μm)、n-Al0.4Ga0.6As第1クラ
ッド層503(層厚1.0μm)、Al0.4Ga0.6AsからGaAsまでI
II族混晶比を徐々に変化させた第1光ガイド層504(層
厚0.1μm)、In0.2Ga0.8As井戸層(層厚10nm、3層)とG
aAsバリア層(層厚20nm、4層)を交互に配置してなる多
重量子井戸活性層505、GaAsからAl0.4Ga0.6AsまでIII族
混晶比を徐々に変化させた第2光ガイド層506(層厚0.1
μm)、p-Al0.4Ga0.6As第2クラッド層507(層厚1.0μ
m)を順次結晶成長させる。次に絶縁膜(図示せず)を
積層し、メサストライプ部を形成する部分にレジストマ
スク(図示せず)を写真工程により作製する。その後、
レジストマスクで覆われていない部分の絶縁膜を取り除
き、さらにレジストマスクを除去して、ストライプ状の
絶縁膜マスクを得る。
【0004】次に、絶縁膜マスクが存在しない部分をバ
ッファ層502の途中までエッチングし、メサストライプ
部531aを形成する。続いて該メサストライプ部531a両側
に、p-Al0.4Ga0.6As第1ブロック層511(層厚1.0μ
m)、n-Al0.4Ga0.6As第2ブロック層512(層厚1.5μm)
を順次結晶成長させ、光・電流狭窄領域を形成する。そ
の後絶縁膜マスクを取り除き、半導体レーザ装置が完成
する。
【0005】この半導体レーザ装置の製造においては、
エッチング後に、メサストライプ側面532に存在するAl
が酸化される。このため、気相成長法などで光・電流狭
窄領域の成長を行うと、該メサストライプ側面でAlの酸
化物などに起因した成長不良を起こし、レーザ特性の劣
化が生じる。本技術では上記光・電流狭窄領域の結晶成
長を液相成長法によって行っている。このため、メルト
バックによって該メサストライプ側面の酸化物などが除
去され、清浄な側面を得つつ上記光・電流狭窄領域を結
晶成長させることができる。その結果、良好な特性をも
つ半導体レーザ装置を作製することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
液相成長法をもちいたBH構造半導体レーザ装置の製造方
法には以下のような問題点がある。
【0007】(1)液相成長法で成長する電流ブロック
層は層厚の制御性、面内均一性が悪い。
【0008】(2)液相成長法は高温で成長するため、
各層のドーパントの拡散が大きい。
【0009】(3)液相成長法でのメルトバック量の制
御が困難なため、メサストライプの幅が成長ロット間や
成長ロットの面内でばらつく。
【0010】(4)液相成長用の成長装置では一度に多
数枚の成長ができず、量産性が低い。
【0011】これに対して、電流ブロック層の成長を有
機金属気相成長法、分子線エピタキシー法などの気相成
長法にて行った場合はこれらの問題点は発生しない。し
かし、エッチング時に酸化したメサストライプ部側面53
2はそのままの状態で再成長を行うことになるため、再
成長界面の結晶性不良が生じて高い信頼性を得ることが
できない。
【0012】本発明は、このような従来技術の課題を解
決するためになされたものであり、Alを含む表面の酸
化を抑えて良好な状態の半導体積層体を作製することが
できる半導体積層体の製造方法、およびメサストライプ
部側面でのAlの酸化を抑えて良好な特性の半導体レーザ
装置を作製することができる半導体レーザ装置の製造方
法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に係る半導体積
層体の製造方法は、Alを含む材料が一部または全部に
現れている半導体の表面を、少なくともフッ化水素とフ
ッ化アンモニウム溶液を混合した溶液により表面処理す
る工程を含むことによって、上記の目的を達成する。
【0014】この発明に係る半導体積層体の製造方法
は、前記Alを含む材料としてAlの混晶比が0.4以
下である材料を用いることによって、上記の目的を達成
する。
【0015】この発明に係る半導体積層体の製造方法
は、前記表面処理工程の後、該表面上に半導体層を形成
する工程を含むことによって、上記の目的を達成する。
【0016】この発明に係る半導体レーザ装置の製造方
法は、基板上に、少なくとも第1導電型の第1クラッド
層、活性領域および第2導電型の第2クラッド層からな
り、該第1クラッド層、該活性領域および該第2クラッ
ド層の少なくともいずれかにAlを含む部分を有する積
層構造を形成する工程と、該積層構造の全部、または第
1クラッド層の基板側の一部を除いた部分をエッチング
によりメサストライプ状に形成する工程と、メサストラ
イプ部の両側面を、少なくともフッ化水素とフッ化アン
モニウム溶液を混合した溶液により表面処理する工程
と、該メサストライプ部の両側に、電流ブロック層を形
成する工程とを含むことによって、上記の目的を達成す
る。
【0017】この発明に係る半導体レーザ装置の製造方
法は、前記メサストライプ部が、表面の一部または全部
にAl混晶比0.4以下のAlを含む材料が表れている
ことによって、上記の目的を達成する。
【0018】この発明に係る半導体レーザ装置の製造方
法は、前記電流ブロック層を気相成長法により形成する
ことによって、上記の目的を達成する。
【0019】この発明に係る半導体レーザ装置の製造方
法は、前記活性領域が、少なくとも井戸層とバリア層か
らなる量子井戸構造を有するように形成し、該井戸層の
Al混晶比を0.2以下とすることによって、上記の目
的を達成する。
【0020】この発明に係る半導体レーザ装置の製造方
法は、前記活性領域が、Alを含まない材料を用いて形
成することによって、上記の目的を達成する。
【0021】この発明に係る半導体レーザ装置の製造方
法は、前記メサストライプ部の両側面は、前記活性領域
および前記クラッド層の少なくとも活性領域近傍部分
が、(lmn)B面(l、m、nは0を除く整数)から
なる結晶面方位を有するように形成することによって、
上記の目的を達成する。
【0022】この発明に係る半導体レーザ装置の製造方
法は、基板上に、少なくとも第1導電型の第1クラッド
層、活性領域および第2導電型の第2クラッド層からな
り、該第2クラッド層内にAlを含む部分を有する積層構
造を形成する工程と、該積層構造を第2クラッド層の途
中までエッチングしメサストライプ状に形成する工程
と、メサストライプ部の両側面、および、両側の底面
を、少なくともフッ化水素とフッ化アンモニウム溶液を
混合した溶液により表面処理する工程と、を少なくとも
含むことによって、上記の目的を達成する。
【0023】この発明に係る半導体レーザ装置の製造方
法は、前記表面処理工程の後、前記メサストライプ部の
両側に、電流ブロック層を形成する工程と、前記メサス
トライプ部の頂部はAlを含む部分が露出するように
し、続いてAlが露出したメサストライプ部の頂部を、
少なくともフッ化水素とフッ化アンモニウム溶液を混合
して作製した溶液を用いて表面処理する工程と、その上
に半導体層を形成する工程と、を少なくとも含むことに
よって、上記の目的を達成する。
【0024】この発明に係る半導体レーザ装置は、半導
体基板上に、少なくとも第1導電型の第1クラッド層、
活性領域、第2導電型の第2クラッド層からなり、該第
2クラッド層内にAlを含む部分を有する積層構造が形成
され、該積層構造は第2クラッド層の途中までエッチン
グされて、頂部においてAlが露出したメサストライプ
状に形成され、メサストライプ状の該積層構造の両側に
電流ブロック層が形成されたことによって、上記の目的
を達成する。
【0025】この発明に係る半導体レーザ装置は、上記
メサストライプ上に第3クラッド層が形成されたことに
よって、上記の目的を達成する。
【0026】この発明に係る半導体レーザ装置は、半導
体基板上に、少なくとも第1導電型の第1クラッド層、
活性領域および第2導電型の第2クラッド層、エッチン
グストップ層、電流ブロック層からなり、該エッチング
ストップ層にAlを含む部分を有する積層構造を形成する
工程と、電流ブロック層の途中までエッチングしストラ
イプ溝を形成する工程と、ストライプ溝の底面のエッチ
ングストップ層を少なくともフッ化水素とフッ化アンモ
ニウム溶液を混合して作製した溶液を用いて表面処理す
る工程と、ストライプ溝の上に第2導電型の第3クラッ
ド層を形成する工程と、を少なくとも含むことによっ
て、上記の目的を達成する。
【0027】この発明に係る半導体レーザ装置は、半導
体基板上に、少なくとも1層から構成され、且つ、いず
れかの層にAlを含む部分を有する積層構造を形成する工
程と、該積層構造をAlを含んだ層の一部または全体が
露出するように回折格子を形成する工程と、該回折格子
表面を少なくともフッ化水素とフッ化アンモニウム溶液
を混合して作製した溶液を用いて表面処理する工程と、
該回折格子上に半導体層を形成する工程と、を少なくと
も含むことによって上記の目的を達成する。
【0028】この発明に係る半導体レーザ装置の製造方
法は、半導体基板上に少なくとも、第1クラッド層、活
性領域、第2クラッド層からなり、該第1クラッド層、
該活性領域、該第2クラッド層の少なくともいずれかに
Alを含む部分を有する積層構造にて構成される半導体レ
ーザの光出射端面に保護膜を形成する工程において、保
護膜を形成する前に該光出射端面を、フッ化水素酸、も
しくは、少なくともフッ化水素とフッ化アンモニウム溶
液を混合して作製した溶液を用いて表面処理することに
よって、上記の目的を達成する。
【0029】以下、本発明の作用について説明する。
【0030】本発明の半導体積層体の製造方法にあって
は、Alを含む材料が一部または全部に現れている半導
体積層体の表面を、少なくともフッ化水素とフッ化アン
モニウム溶液を混合した溶液(以後、バッファードフッ
酸と称する)を用いて表面処理することにより酸化膜を
除去して清浄化することが可能である。よって、表面処
理工程後にその表面に半導体層を成長させると、良好な
状態の結晶が得られる。このバッファードフッ酸は、A
l混晶比が0.4以下の材料に対しても表面清浄化処理
を行うことが可能である。
【0031】本発明の半導体レーザ装置の製造方法、ま
たは半導体レーザ装置にあっては、メサストライプ状部
分の両側に電流ブロック層を有し、そのメサストライプ
部分を構成する第1クラッド層、活性領域および第2ク
ラッド層の少なくともいずれかにAlを含む部分を有す
る半導体レーザ装置の製造において、電流ブロック層の
形成前に、メサストライプ部の両側面をバッファードフ
ッ酸を用いて表面処理することにより酸化膜を除去して
清浄化することが可能である。よって、表面処理工程後
にメサストライプ部の両側に電流ブロック層を成長させ
ると、再成長界面での結晶不良が生じない。このバッフ
ァードフッ酸は、メサストライプ部表面の一部または全
部にAl混晶比0.4以下のAlを含む材料が現れてい
ても表面清浄化処理を行うことが可能である。
【0032】このように、バッファードフッ酸を用いて
酸化膜を除去することにより、上記電流ブロック層を気
相成長により形成することができるので、従来技術のよ
うな液相成長による問題点は生じない。
【0033】上記活性領域が少なくとも井戸層とバリア
層からなる量子井戸構造である場合、井戸層のAl混晶
比を0.2以下とすれば、活性領域の酸化を十分抑える
ことができるので好ましい。さらに、バッファードフッ
酸により活性領域側面の酸化膜を除去して清浄化するこ
とが可能である。
【0034】或は、上記活性領域がAlを含まない材料
からなる場合、活性領域側面での酸化を殆ど抑えること
ができるので好ましい。この場合、バッファードフッ酸
は酸化膜以外の不純物をも除去可能であるので、Alを
含む半導体層およびAlを含まない半導体層の両方に対
して、清浄化処理を行うことが可能である。これは、バ
ッファードフッ酸がAlの混晶比の大小に関わらず半導
体表面をエッチングする能力があるためである。
【0035】III−V族半導体層において、(lm
n)B面はIII族元素よりもV族元素が多い状態で終
端する面であるので、この表面に現れる元素はV族元素
が主体となり、III族元素であるAlの露出が低減さ
れる。よって、上記メサストライプ部の両側面を、活性
領域およびクラッド層の少なくとも活性領域近傍部分が
(lmn)B面(l、m、nは0を除く整数)からなる
結晶面方位を有するように形成することにより、その側
面でのAlの露出を低減して酸化膜の形成を抑制するこ
とが可能である。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態につい
て、図面を参照しながら、説明する。
【0037】(実施形態1)図1(C)は本発明にかか
る半導体レーザ装置の概略構成を模式的に示す断面図で
ある。この半導体レーザ装置は、第1導電型の半導体基
板101の表面に、第1導電型のバッファ層102、第
1導電型の第1クラッド層103、活性領域、第2導電
型の第2クラッド層107が積層されている。その積層
構造は、中央でくびれたメサストライプ形状を有し、活
性領域および該クラッド層の少なくとも活性領域近傍部
分の側面132が、(lmn)B面(l、m、nは0を
除く整数)からなる結晶方位を有している。そのストラ
イプ部131aの両側131bは、第1導電型の第1電
流ブロック層111、および第2導電型の第2電流ブロ
ック層112で埋め込まれている。活性領域は第1光ガ
イド層104と多重量子井戸活性層105と第2光ガイ
ド層106により構成されている。
【0038】この半導体レーザ装置は、以下のようにし
て作製することができる。
【0039】まず、図1(a)に示すように、(100)
面を有するn-GaAs基板101上に、n-GaAsバッファ層102
(層厚0.5μm)、n-Al0.3Ga0.7As第1クラッド層103
(層厚2.0μm)、GaAs第1光ガイド層104(層厚15n
m)、Ga0.7In0.3N0.01As0.99井戸層(層厚7nm、3層)と
GaAsバリア層(層厚5nm、2層)を交互に積層した多重量
子井戸活性層105、GaAs第2光ガイド層106(層厚15n
m)、p-Al0.3Ga0.7As第2クラッド層107(層厚1.0μ
m)、およびp-GaAs保護層108(層厚20nm)を分子線エピ
タキシー法にて順次結晶成長させる。その上にSiO2等か
らなる絶縁膜を積層し、メサストライプ部を形成する部
分にレジストマスクをストライプ方向が(011)方向とな
るように写真工程により作製する。その後、レジストマ
スク下以外の絶縁膜を取り除き、さらにレジストマスク
を除去して、ストライプ状の絶縁膜マスク141を形成す
る。
【0040】次に、図1(b)に示すように、絶縁膜マ
スク141を用いてエッチングを行い、中央でくびれ、か
つ活性領域側面およびクラッド層の少なくとも活性領域
近傍の側面132が、そのくびれよりも下側に位置する
ように、メサストライプ部131aを形成する。このときの
エッチングは、クエン酸と過酸化水素水の混合水溶液を
用い、第1クラッド層103の途中まで行い、エッチング
の深さは約2μmで、メサストライプ部131aの幅は
活性領域で約1.5μmである。これにより、メサストライ
プ内の活性領域およびその近傍の側面132は、(111)B
面に近い結晶面方位を有して形成される。このエッチン
グ後、純水にて約10分間洗浄する。
【0041】続いて、該メサストライプ部131a側面およ
びメサストライプ部両側131bに対して、バッファードフ
ッ酸を用いて表面の清浄化処理を施す。ここでは例え
ば、50%フッ化水素酸と40%フッ化アンモニウム水溶液
を約1:40で混合した溶液を用いる。この処理は、20℃
にて約3分間行い、その後、純水にて約10分間洗浄す
る。
【0042】その後、図1(C)に示すように、メサス
トライプ部131aの両側131bにその側面を埋め込
むように、p-Al0.3Ga0.7As第1電流ブロック層111(層
厚1.0μm)、およびn-Al0.3Ga0.7As第2電流ブロック層
112(層厚1.0μm)を有機金属気相成長法により順次結
晶成長させて、光・電流狭窄領域を形成する。その後、
フッ化水素酸にて絶縁膜マスク141を取り除き、メサス
トライプ部131a上およびその両側131b上にわた
って全面にp-Al0.3Ga0.7As第3クラッド層121(層厚1.0
μm)、およびp-GaAsキャップ層122(層厚2.0μm)を順
次積層する。以上により本実施形態の半導体レーザ装置
が作製される。
【0043】このように、本実施形態では、再成長前に
バッファードフッ酸によりクラッド層および活性領域の
側面を表面処理しているので、界面の不良による転位の
発生を低減して信頼性を向上させることができる。
【0044】なお、本実施形態において、メサストライ
プの両側131bについても表面の清浄化処理を行って
いるのは以下の理由からである。メサストライプ部の両
側面が清浄化処理されていれば、上述したように十分大
きな効果が得られる。しかし、メサストライプの両側1
31bに酸化物や不純物等が残存していると、その異物
上に電流ブロック層が成長しない場合がある。そして、
このように部分的に電流ブロック層が成長しない領域が
存在すると、電流ブロック機能が低下し、無効な電流が
流れて動作電流が上昇してしまうことがある。よって、
本実施形態のようにメサストライプの両側131bにつ
いても、表面処理を行って清浄化するのが好ましい。
【0045】なお、結晶成長前に半導体層の表面を、溶
液を用いて処理する方法としては、例えば特開平2-1256
86号公報にて開示されているような方法がある。これ
は、Alを組成の一部に含む半導体層が、製造工程中で
少なくとも一度、大気中に露出され、この半導体層表面
にIII-V族半導化合物半導体の結晶を成長させる工程を
含む半導体装置の製造方法において、このIII-V族化合
物半導体の結晶を成長させる工程の前に、前記大気中に
露出された半導体層表面をフッ化水素を組成として含む
水溶液に浸潰する工程を含む方法である。これにより、
半導体層表面に形成された酸化膜が除去され、この酸化
膜が除去された半導体層表面に、III-V族化合物半導体
の結晶をその結晶性を良好にして成長させることができ
るため、半導体レーザ装置の特性を改善できるとされて
いる。
【0046】しかしながら、本願発明者らが鋭意研究し
た結果、表面処理を行うフッ化水素を含む溶液の種類に
よって、その効果に大きな差が現われることが判明し
た。例えば、クラッド層にのみAlを含む材料を用いたBH
構造半導体レーザ装置の作製における、メサストライプ
部の両側面の表面をフッ化水素を含む溶液で清浄化処理
した場合について、検討結果を下記表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】上記表1に示すように、フッ化水素のみを
含む水溶液を用いた場合、クラッド層のAl混晶比が0.4
より大きい半導体レーザ装置においては良好な信頼性特
性が得られるのに対し、クラッド層のAl混晶比が0.4以
下の半導体レーザ装置においては良好な信頼性特性が得
られなかった。Alを含む半導体層の表面に形成される酸
化膜はAlの混晶比が小さいほど、薄く少ないと考えら
れ、Al混晶比の小さい半導体膜層の方が清浄化処理が不
十分となるのは容易には推測できない結果と言える。こ
れに対して、フッ化水素とフッ化アンモニウム溶液を混
合して作製した溶液(バッファードフッ酸)を用いた場
合には、クラッド層のAl混晶比が0.4以下の半導体レー
ザ装置においても良好な信頼性特性を得ることができ
た。
【0049】上記特開平2-125686号公報においては、実
施例としてAl混晶比が0.5のクラッド層に対してフッ化
水素を含む水溶液を適用した場合しか示されておらず、
半導体層のAl混晶比が0.4以下の場合についてのこのよ
うな事実はなんら示唆されおらず、バッファードフッ酸
についても言及されていない。
【0050】このような結果が得られる原因は不明であ
るが、フッ化水素のみを含む水溶液は、Al混晶比が0.4
以下の半導体層に対してエッチング能力がないことか
ら、例えば以下のような現象が生じていると推定され
る。
【0051】エッチング等にて加工されたAlを含む半導
体層の表面は、荒れた状態で大気にさらされており、こ
の表面に形成される酸化膜は下地の半導体層に強く結合
している。この酸化膜を除去する場合、フッ化水素を含
む水溶液が一般に有する酸化膜をエッチングする能力だ
けでは、大半の酸化膜は除去されるものの、下地の半導
体層に直接強く結合した数原子層の酸化膜を除去するこ
とはできない。これを除去するためには、下地の半導体
層自身の表面部分も除去することが必要である。従っ
て、Al混晶比が0.4以下の半導体層に対して、フッ化水
素のみを含む水溶液を用いて表面処理を行った場合に
は、下地の半導体層をエッチングする能力が無いため、
酸化膜を完全に除去することができない。その結果、BH
構造半導体レーザ装置を作製した場合に、再成長界面に
おいて十分な結晶性が得られず、信頼性特性が悪化す
る。
【0052】これに対して、バッファードフッ酸は、Al
混晶比の大小にかかわらず半導体層に対するエッチング
能力を有しているため、Al混晶比が0.4以下の半導体層
に対しても、酸化膜を完全に除去することができる。そ
の結果、BH構造半導体レーザ装置を作製した場合に、再
成長界面において十分な結晶性が得られ、良好な信頼性
特性が得られる。ただし、これはあくまで推定であり、
Al混晶比に関わらず、再成長前の半導体層表面にバッフ
ァードフッ酸を適用することにより本発明の効果が得ら
れる。
【0053】なお、バッファードフッ酸が有する半導体
層自体をエッチングする能力は、表面に付着する酸化膜
以外の不純物をも除去すると考えられる。このことも、
半導体層表面の改質に効果的であると推定される。さら
に、Alを含む半導体層の清浄化効果は当然ながら、Alを
含まない層の表面についても清浄化することが期待され
る。よって、Alを含む半導体層部分とAlを含まない半導
体層部分との両方の表面が現われている場合、例えば本
実施形態のようにクラッド層にAlが含まれ、活性領域に
はAlが含まれないようなBH構造半導体レーザ装置に対し
て、1種類の溶液による1回の清浄化処理によってメサ
ストライプ部131aの両側面の表面を十分に清浄化す
ることが可能である。
【0054】本実施形態によれば、このような表面処理
によって、清浄な再成長界面および良好な結晶状態の電
流ブロック層を得ることができるので、高い信頼性を有
する半導体レーザ装置を作製することができた。
【0055】なお、バッファードフッ酸は、SiO2からな
る絶縁膜マスク141に対してはエッチング速度はそれほ
ど速くないため、このような短時間の清浄化処理では絶
縁膜マスク141は若干薄くはなるものの、消失すること
はない。一方、本実施形態では絶縁膜マスク141を除去
する際にフッ化水素酸を用いているが、フッ化水素酸の
代わりにバッファードフッ酸を用いることも可能であ
る。この場合、絶縁膜マスク141を構成するSiO2のエッ
チング速度が遅いため、除去工程に時間がかかるが、保
護層108および第2電流ブロック層112上において
も本発明による清浄化効果が得られ、表面が十分清浄化
される。
【0056】また、本実施形態においては、活性領域に
はAlが含まれていないため、活性領域側面での酸化を殆
ど抑えることができる。
【0057】さらに、本実施形態においては、活性領域
とその近傍部分の側面132が、(lmn)B面である
(111)B面、またはそれに近い面方位となってい
る。この(lmn)B面はIII族族元素よりV族元素
の方が多い状態で終端する面であるので、この表面に現
われる元素はV族元素であるAsが主体となり、III族
元素であるAlの露出が低減される。よって、その側面1
32での酸化膜の形成を抑制することができる。この側
面132の面方位は(111)B±30°であれば、Al
の露出が十分低減されて酸化膜の形成が抑制される。ま
た、活性領域の少なくとも約0.05μmの範囲につい
て、(lmn)B面として酸化を抑制すれば、半導体レ
ーザ装置の特性を格段に向上させることができる。
【0058】(実施形態2)本実施形態では、実施形態
1と活性領域の構成を相違させた半導体レーザ装置の例
について説明する。
【0059】本実施形態の半導体レーザ装置の活性領域
は、Al0.1Ga0.9As第1光ガイド層(層厚15nm)、Al0.1G
a0.58In0.32N0.019As0.981井戸層(層厚7nm、3層)とAl
0.1Ga0.9Asバリア層(層厚5nm、2層)を交互に積層した
多重量子井戸活性層、Al0.1Ga0.9As第2光ガイド層(層
厚15nm)で構成されており、それ以外は実施形態1と同
様の構成である。その製造工程は実施形態1と同様であ
る。
【0060】本実施の形態においても、メサストライプ
部の側面をバッファードフッ酸により表面処理し、その
両側に電流ブロック層を再成長している。これにより得
られる効果は、実施形態1と同様である。
【0061】なお、本実施形態においては、活性領域に
はAlが含まれる点が実施形態1と異なっている。しか
し、電子とホールが発光再結合する井戸層において、Al
の混晶比を0.2以下(本実施形態においては0.1)とする
ことにより酸化の抑制を図っている。また、本実施形態
において、活性領域とその近傍部分の側面は(111)
B面またはそれに近い結晶面方位となっている。これに
より得られる効果は実施形態1と同様である。さらに、
本実施形態において、バッファードフッ酸により活性領
域の酸化は十分に防がれており、実施形態1には劣るも
のの半導体レーザ装置としては十分に高い信頼性が得ら
れている。
【0062】(実施形態3)図2(C)は本実施形態に
より作製される半導体レーザ装置の概略構成を模式的に
示す断面図である。この半導体レーザ装置は、第1導電
型の半導体基板201の表面に、第1導電型のバッファ
層202、第1導電型の第1クラッド層203、活性領
域、第2導電型の第2クラッド層207が積層されてい
る。その積層構造は、その側面が(111)A面または
それに近い結晶方位の側面を持つ順メサストライプ形状
を有している。そのメサストライプ部231aの両側2
31bは、第1導電型の第1電流ブロック層211、お
よび第2導電型の第2電流ブロック層212で埋め込ま
れている。活性領域は、第1光ガイド層204、多重量
子井戸活性層205、第2光ガイド層206により構成
されている。
【0063】この半導体レーザ装置は、以下のようにし
て作製することができる。
【0064】まず、図2(a)に示すように、(100)
面を有するn-GaAs基板201上に、n-GaAsバッファ層202
(層厚0.5μm)、n-Al0.4Ga0.6As第1クラッド層203
(層厚2.0μm)、GaAs第1光ガイド層204(層厚40n
m)、In0.2Ga0.8As井戸層(層厚7.3nm、2層)とGaAsバ
リア層(層厚5nm、1層)を交互に積層してなる多重量子
井戸活性層205、GaAs第2光ガイド層206(層厚40nm)、
およびp-Al0.4Ga0.6As第2クラッド層207(層厚1.0μ
m)を有機金属気相成長法を用いて順次結晶成長させ
る。その上に、SiO2等からなる絶縁膜を積層し、メサス
トライプ部を形成する部分に、レジストマスクをストラ
イプ方向が(01−1)方向となるように写真工程によ
り作製する。その後、レジストマスク下以外の絶縁膜を
取り除き、さらにレジストマスクを除去して、ストライ
プ状の絶縁膜241マスクを形成する。
【0065】次に、図2(b)に示すように、絶縁膜マ
スク241を用いてエッチングを行い、順メサストライプ
部231aを形成する。このときのエッチングは、クエン酸
と過酸化水素水の混合水溶液を用いて、第1クラッド層
203の途中まで行い、エッチングの深さは約2μmで、メ
サストライプ部231aの幅は活性領域で約2μmであ
る。これにより、メサストライプ内の活性領域およびそ
の近傍の側面232は、(111)A面に近い結晶面方位を有
して形成される。このエッチング後、純水にて約10分間
洗浄する。
【0066】続いて、メサストライプ部231aおよびメサ
ストライプ部両側面231bに対して、バッファードフ
ッ酸を用いて表面の清浄化処理を施す。ここでは、例え
ば、50%フッ化水素酸と40%フッ化アンモニウム水溶液
を約1:20で混合した溶液を用いる。この処理は、20℃
にて約3分間行い、その後、純水にて約10分間洗浄す
る。
【0067】その後、図2(C)に示すように、メサスト
ライプ部231aの両側231bにその側面を埋め込む
ように、p-Al0.35Ga0.65As第1電流ブロック層211(層
厚1.0μm)、およびn-Al0.35Ga0.65As第2電流ブロック
層212(層厚1.0μm)を有機金属気相成長法により順次
結晶成長させて、光・電流狭窄領域を形成する。その
後、フッ化水素酸にて絶縁膜マスク241を取り除き、メ
サストライプ部231a上およびその両側231b上に
わたって全面に、p-Al0.4Ga0.6As第3クラッド層221
(層厚1.0μm)、およびp-GaAsキャップ層222(層厚2.0
μm)を順次積層する。以上により本実施形態の半導体
レーザ装置が作製される。
【0068】本実施形態においても、メサストライプ部
の側面をバッファードフッ酸により表面処理し、その両
側に電流ブロック層を再成長しており、これにより得ら
れる効果は、実施形態1と同様である。
【0069】なお、本実施の形態においては、メサスト
ライプ部の側面を、(111)A面またはそれに近い結
晶面方位としている点が、実施形態1と異なっている。
しかし、活性領域にはAlが含まれないため、実施形態1
と同様に、活性領域側面での酸化を抑制することができ
る。また、バッファードフッ酸により活性領域の酸化は
十分に防がれており、実施形態1には劣るものの、半導
体レーザ装置としては十分に高い信頼性が得られてい
る。
【0070】(実施形態4)図3は本実施形態により作
製される半導体レーザ装置の概略構成を模式的に示す断
面図である。この半導体レーザ装置は、第1導電型の半
導体基板301の表面に、第1導電型のバッファ層30
2、第1導電型の第1クラッド層303、活性領域、第
2導電型の第2クラッド層307が積層されている。そ
の積層構造は、その側面が(lmn)B面(l、m、n
は0を除く整数)からなる結晶面方位を有する逆メサス
トライプ形状を有している。そのメサストライプ部33
1aの両側331bは、第1導電型の第1電流ブロック
層311、および第2導電型の第2電流ブロック層31
2で埋め込まれている。活性領域は第1光ガイド層30
4、多重量子井戸活性層305、第2光ガイド層306
により構成されている。
【0071】この半導体レーザ装置は、以下のようにし
て作製することができる。基本的な工程の流れは実施形
態1と同様である。
【0072】まず、(100)面を有するn-GaAs基板301上
に、n-GaAsバッファ層302(層厚0.5μm)、n-Al0.5Ga0.
5As第1クラッド層303(層厚2.0μm)、Al0.25Ga0.75As
第1光ガイド層304(層厚10nm)、Al0.14Ga0.86As井戸
層(層厚10nm、3層)とAl0.3Ga0.7Asバリア層(層厚7n
m、2層)を交互に積層してなる多重量子井戸活性層30
5、Al0.25Ga0.75As第2光ガイド層306(層厚10nm)、p-
Al0.5Ga0.5As第2クラッド層307(層厚1.5μm)、およ
びp-GaAs保護層308(層厚0.1μm)を、有機金属気相成
長法を用いて順次結晶成長させる。その上にSiO2等から
なる絶縁膜を積層し、メサストライプ部を形成する部分
に、レジストマスクをストライプ方向が(01−1)方
向となるように写真工程により作製する。その後、レジ
ストマスク下以外の絶縁膜を取り除き、さらにレジスト
マスクを除去して、ストライプ状の絶縁膜マスクを形成
する。
【0073】次に、絶縁膜マスク部を用いてエッチング
を行い、逆メサストライプ部331aを形成する。このとき
のエッチングは、硫酸と過酸化水素水の混合水溶液を用
いて、第1クラッド層303の途中まで行い、エッチング
の深さは約2.6μmで、メサストライプ部331aの幅は
活性領域で約1μmである。これにより、メサストライプ
内の活性領域およびその近傍の側面332は、(111)B面
に近い結晶面方位を有して形成される。このエッチング
後、純水にて約10分間洗浄する。
【0074】続いて、該メサストライプ部331aおよびメ
サストライプ部両側331bに対して、バッファードフッ酸
を用いて表面の清浄化処理を施す。ここでは、例えば、
50%フッ化水素酸と40%フッ化アンモニウム水溶液を約
1:10で混合した溶液を用いる。この処理は、20℃にて
約5分間行い、そのまま自然乾燥させる。
【0075】その後、メサストライプ部331aの両側
331bにその側面を埋め込むように、p-Al0.5Ga0.5As
第1電流ブロック層311(層厚1.0μm)、n-Al0.5Ga0.5A
s第2電流ブロック層312(層厚1.5μm)、およびp-GaAs
第2保護層313(層厚0.1μm)を有機金属気相成長法によ
りHCl(塩化水素)を同時に供給しながら順次結晶成長
させて、光・電流狭窄領域を形成する。このとき、HCl
を同時に供給することにより、Al0.5Ga0.5Asを選択成長
させることができる。その後、上記と同じバッファード
フッ酸にて絶縁膜マスクを取り除き、メサストライプ部
331aおよびその両側331b上にわたって全面に、
p-GaAsキャップ層322(層厚2.0μm)を積層する。以上
により本実施形態の半導体レーザ装置が作製される。
【0076】本実施形態においては、クラッド層のAl混
晶比が0.4より大きく、活性領域はAl混晶比が0.4以下と
なっている。しかし、上記表1に示したように、バッフ
ァードフッ酸はいずれの部分に対しても効果を有するの
で、バッファードフッ酸のみによる1回の清浄化処理に
よって、メサストライプ部331aの両側面が十分に改
質され、電流ブロック層を良好な状態で再成長させるこ
とができる。
【0077】なお、本実施形態においては、バッファー
ドフッ酸による表面清浄化処理の後、水洗を行わずに自
然乾燥している。これにより、水洗を行った場合に比べ
て、より良好な信頼性を有する半導体レーザ装置を得る
ことができた。これは、Alを含む層の表面が水洗によっ
て再び酸化するのを防ぐことができたためと考えられ
る。
【0078】また、本実施形態においては、絶縁膜マス
クの除去もバッファードフッ酸を用いて行っている。そ
の理由は、フッ化水素酸を用いた場合は、GaAs保護層30
8とGaAs第2保護層313の間からフッ化水素酸が入り込ん
でAl0.5Ga0.5Asからなる電流ブロック層311、312をエッ
チングしてしまうからである。ただし、バッファードフ
ッ酸を用いた場合、SiO2からなる絶縁膜マスクのエッチ
ング速度がそれほど速くないため、このエッチングに
は、ある程度の時間を必要とする。
【0079】さらに、本実施形態においては、活性領域
にはAlが含まれている点が実施形態1と異なっている。
しかし、電子とホールが発光再結合する井戸層におい
て、Alの混晶比を0.2以下(本実施形態においては0.1
4)として酸化の抑制を図っている。また、本実施形態
において、活性領域とその近傍部分の側面は(111)
B面またはそれにに近い結晶面方位となっている。これ
により得られる効果は、実施形態1と同様である。さら
に、本実施形態において、バッファードフッ酸により活
性領域の酸化は十分に防がれており、実施形態1には劣
るものの、半導体レーザ装置としては十分に高い信頼性
が得られている。
【0080】(実施形態5)図4は本実施形態により作
製される半導体レーザ装置の概略構成を模式的に示す断
面図である。この半導体レーザ装置は、第1導電型の半
導体基板401の表面に、第1導電型のバッファ層40
2、第1導電型の第1クラッド層403、活性領域、第
2導電型の第2クラッド層407が積層されている。そ
の積層構造は、その側面が基板にほぼ垂直の結晶面方位
を有するメサストライプ形状を有している。そのメサス
トライプ部431aの両側432bは、第1導電型の第
1電流ブロック層411、および第2導電型の第2電流
ブロック層412で埋め込まれている。活性領域は第1
光ガイド層404、多重量子井戸活性層405、第2光
ガイド層406により構成されている。基板としてはIn
Pが用いられ、各層はInPに格子整合するAlGaInAs系材料
にて構成されている。
【0081】この半導体レーザ装置は、以下のようにし
て作製することができる。基本的な工程の流れは実施形
態1と同様である。
【0082】まず、(100)面を有するn-InP基板401上
に、n-Al0.48In0.52As第1クラッド層403(層厚2.0μ
m)、Al0.48In0.52AsからAl0.20Ga0.28In0.52AsまでIII
族混晶比を徐々に変化させた第1光ガイド層404(層厚2
0nm)、Ga0.3In0.7As井戸層(層厚8nm、7層)とAl0.20G
a0.28In0.52Asバリア層(層厚3.5nm、6層)を交互に積
層してなる多重量子井戸活性層405、Al0.20Ga0.28In0.5
2AsからAl0.48In0.52AsまでIII族混晶比を徐々に変化さ
せた第2光ガイド層406(層厚20nm)、p-Al0.48In0.52A
s第2クラッド層407(層厚1.0μm)、およびp-Ga0.48In
0.52As保護層408(層厚20nm)を有機金属気相成長法を
用いて順次結晶成長させる。その上にSiO2等からなる絶
縁膜を積層し、メサストライプ部を形成する部分に、レ
ジストマスクをストライプ方向が(011)または(0
1−1)方向となるように、写真工程により作製する。
その後、レジストマスク下以外の絶縁膜を取り除き、さ
らにレジストマスクを除去してストライプ状のSiO2絶縁
膜マスクを形成する。
【0083】次に、絶縁膜マスクを用いてドライエッチ
ングを行い、メサストライプ部431aを形成する。このと
きのエッチングは、例えば塩素系のドライエッチングを
用い、基板401に到達するまで行う。さらに、ドライエ
ッチングによる表面のダメージを除去するために、メサ
ストライプ部431aの側面および基板401表面を例えば塩
酸にて0.1μmから0.2μm程度エッチングして除去す
る。これらのエッチングによる深さは約3.5μmで、メサ
ストライプ部431aの幅は活性領域で約1μmである。
これにより、メサストライプ内の活性領域およびその近
傍の側面432は基板に対してほぼ垂直の結晶面方位を有
して形成される。
【0084】続いて、メサストライプ部431aおよびメサ
ストライプ部両側431bに対して、バッファードフッ酸を
用いて表面の清浄化処理を施す。ここでは、例えば、50
%フッ化水素酸と40%フッ化アンモニウム水溶液を約
1:2で混合した溶液を用いる。この処理は、20℃にて約
5分間行い、その後、純水にて約10分間洗浄する。
【0085】その後、メサストライプ部431aの両側
431bにその側面を埋め込むように、p-Al0.48In0.52
As第1電流ブロック層411(層厚2.5μm)、およびn-Al
0.48In0.52AsAs第2電流ブロック層412(層厚1.0μm)
を有機金属気相成長法により順次結晶成長させて、光・
電流狭窄領域を形成する。その後、上記と同じバッファ
ードフッ酸にて絶縁膜マスクを取り除き、メサストライ
プ部431a上およびその両側431bにわたって全面
に、p-Al0.48In0.52第3クラッド層421(層厚1.5μ
m)、およびp-Ga0.48In0.52Asキャップ層422(層厚2.0
μm)を順次積層する。以上により本実施形態の半導体
レーザ装置が作製される。
【0086】本実施形態においては、クラッド層および
ガイド層の一部はAl混晶比が0.4より大きく、ガイド層
の残りの部分およびバリア層はAl混晶比が0.4以下とな
っており、さらに井戸層はAlを含まない材料からなる。
しかし、バッファードフッ酸はいずれの部分に対しても
効果を有するので、バッファードフッ酸のみによる1回
の清浄化処理によって、メサストライプ部431aの両
側面が十分に改質され、電流ブロック層を良好な状態で
再成長させることができる。
【0087】また、本実施形態においては、クラッド層
のAl混晶比を0.48としている点、活性領域にはAlが含ま
れている点、および活性領域とその近傍の側面が基板に
垂直な結晶面方位となっている点が、実施形態1と異な
っている。しかし、電子とホールとが発光再結合する井
戸層において、Al混晶比を0.2以下(本実施形態におい
ては0)とすることにより酸化の抑制を図っている。さ
らに、本実施の形態において、バッファードフッ酸によ
り活性領域の酸化は十分に防がれており、実施形態1に
は劣るものの、半導体レーザ装置としては十分に高い信
頼性が得られている。 (実施形態6)図7(d)は本実施形態により作製され
る半導体レーザ装置の概略構成を模式的に示す断面図で
ある。この半導体レーザ装置は、第1導電型の半導体基
板601表面に、第1導電型のバッファ層602、第1導電型
の第1クラッド層603、活性領域、第2導電型の第2ク
ラッド層607が積層されている。その積層構造は、第2
クラッド層の上部においてメサストライプ形状を有し、
側面633が(lmn)B面(l、m、nは0を除く整数)
からなる結晶面方位を有している。そのメサストライプ
部631aの両側631bは、第1導電型の第1電流ブロック層
611、第2導電型の第2電流ブロック層612で順次埋め込
まれている。活性領域は第1光ガイド層604と多重量子
井戸活性層605と第2光ガイド層606により構成されてい
る。
【0088】この半導体レーザ装置は、以下の様にして
作製することができる。
【0089】まず、図6(a)に示すように、(100)面
を有するn-GaAs基板601上に、n-GaAsバッファ層602(層
厚0.5μm)、n-Al0.3Ga0.7As第1クラッド層603(層厚
2.0μm)、Al0.1Ga0.9As第1光ガイド層604(層厚50n
m)、In0.09Ga0.91As井戸層(層厚7.5nm、2層)とAl0.1
Ga0.9Asバリア層(層厚5nm、1層)を交互に配置してな
る多重量子井戸活性層605、Al0.1Ga0.9As第2光ガイド
層606(層厚50nm)、p-Al0.3Ga0.7As下部第2クラッド
層607a(層厚0.20μm)、p-Al0.4Ga0.6Asエッチングス
トップ層651(層厚0.05μm)、p-Al0.3Ga0.7As上部第2
クラッド層607b(層厚1.8μm)、p-GaAs保護層(層厚0.
5μm)608を有機金属気相成長法を用いて順次結晶成長
させる。さらにメサストライプ部を形成する部分にレジ
ストマスクをストライプ方向が(011)方向を持つように
写真工程により作製する。
【0090】次に、レジストマスク以外の部分を保護層
608および上部第2クラッド層607bのみエッチングし、
メサストライプ部631aを形成する。エッチングはクエン
酸と過酸化水素水の混合水溶液を用いる。本エッチング
液はAl0.4Ga0.6Asエッチングストップ層651に対するエ
ッチング速度が非常に遅いため、エッチングストップ層
651の手前でエッチングを停止させることができる。エ
ッチングの深さは約2.3μm、メサストライプ部631aの幅
は底部で約2.5μmである。このとき、該メサストライプ
部側面633は、(111)B面に近い結晶面方位を持ってい
る。エッチング後は純水にて約10分間洗浄する。さらに
レジストマスクを除去する。
【0091】続いて、該メサストライプ部631a全体およ
びメサストライプ部両側631bに、バッファードフッ酸に
て表面の清浄化処理を施す。ここでは例えば、50%フッ
化水素酸と40%フッ化アンモニウム水溶液を約1:40で
混合した溶液を用いる。本処理は20℃にて約3分間行
い、その後、純水にて約10分間洗浄する。
【0092】そして、図6(b)に示すように、該メサ
ストライプ部631a全体およびメサストライプ部両側631b
の上に、n-Al0.6Ga0.4As第1電流ブロック層611(層厚
0.8μm)、n-GaAs第2電流ブロック層612(層厚0.5μ
m)、p-GaAs第2保護層613(層厚1.0μm)を有機金属気
相成長法により順次結晶成長させる。この時、メサスト
ライプ部631a上にはその形状を反映して電流ブロック層
および保護層が凸状に形成される。
【0093】次に、図7(C)に示すように、該凸状部
を除く第2保護層613上にレジストマスクを形成する。
そして、該凸状部の第2保護層613、第2電流ブロック
層612、第1電流ブロック層611をエッチングにより順次
除去し、メサストライプ部631aの頂部を露出させる。エ
ッチングは、まずアンモニアと過酸化水素水の混合水溶
液にて第2保護層613、第2電流ブロック層612をエッチ
ングする。このエッチング液はGaAsに対してはエッチン
グ速度は速いがAl0.6Ga0.4Asに対しては非常に遅い。よ
って、第1電流ブロック層611の手前でエッチングが停
止する。続いて、硫酸と過酸化水素水の混合水溶液にて
第1電流ブロック層611をエッチングする。このエッチ
ング液はAl0.6Ga0.4As、GaAsのいずれに対してもほぼ同
じ速度でエッチングする。これにより、第1電流ブロッ
ク層611の下の保護層608を0.2μm程度除去するまでエッ
チングを行い、確実に第1電流ブロック層611を除去す
る。エッチング後は純水にて約10分間洗浄する。さらに
レジストマスクを除去する。
【0094】なお、第1電流ブロック層611の除去にお
いて、フッ化水素酸のようなAl0.6Ga0.4Asに対してはエ
ッチング速度は速いがGaAsに対しては非常に遅いエッチ
ング液を用いると、メサストライプ部631aの側面633上
の第1電流ブロック層611も除去されてしまうこととな
り不適当である。
【0095】最後に、p-GaAsキャップ層622(層厚3.0μ
m)を積層する。このようにして、図7(d)に示す構
造の半導体レーザ装置を作製することができる。
【0096】本実施形態のような、活性領域より上のク
ラッド層にのみメサストライプを形成するいわゆるリッ
ジ構造半導体レーザ装置においても、メサストライプの
側面や両側の底面などの発光領域に近い部分にAlを含む
再成長界面を有している場合には、界面での酸化は半導
体レーザ装置の信頼性に大きな影響を与えることにな
る。
【0097】本実施形態では、メサストライプ部の側面
および両側の底面をバッファードフッ酸により表面処理
し、その上に電流ブロック層を再成長しており、このこ
とから得られる効果は、実施形態1における効果と同様
で、界面の不良による転位の発生を低減して半導体レー
ザ装置の信頼性を向上させることができる。
【0098】また、本実施形態においては、活性領域と
その近傍の側面は(111)B面もしくは(111)B面
に近い結晶面方位となっている。このことから得られる
効果は、実施形態1における効果と同様である。 (実施形態7)図9(d)は本実施形態により作製され
る半導体レーザ装置の概略構成を模式的に示す断面図で
ある。この半導体レーザ装置は、第1導電型の半導体基
板701表面に、第1導電型のバッファ層702、第1導電型
の第1クラッド層703、活性領域、第2導電型の第2ク
ラッド層707が積層されている。その積層構造は、第2
クラッド層の上部においてメサストライプ形状を有し、
側面733が(lmn)B面(l、m、nは0を除く整数)
からなる結晶面方位を有している。そのメサストライプ
部731aの両側731bは、第1導電型の第1電流ブロック層
711、第2導電型の第2保護層713で順次埋め込まれて
いる。活性領域は第1光ガイド層704と多重量子井戸活
性層705と第2光ガイド層706により構成されている。
【0099】この半導体レーザ装置は、以下の様にして
作製することができる。
【0100】まず、図8(a)に示すように(100)面を
持つn-GaAs基板701上にn-GaAsバッファ層702(層厚0.5
μm)、n-Al0.5Ga0.5As第1クラッド層703(層厚1.5μ
m)、Al0.25Ga0.75As第1光ガイド層704(層厚10nm)、
Al0.14Ga0.86As井戸層(層厚10nm、3層)とAl0.3Ga0.7A
sバリア層(層厚7nm、2層)を交互に配置してなる多重
量子井戸活性層705、Al0.25Ga0.75As第2光ガイド層706
(層厚10nm)、p-Al0.5Ga0.5As下部第2クラッド層707a
(層厚0.15μm)、p-GaAsエッチングストップ層751(層
厚3nm)、p-Al0.5Ga0.5As上部第2クラッド層707b(層
厚0.6μm)を有機金属気相成長法で順次結晶成長させ
る。さらにメサストライプ部を形成する部分にレジスト
マスクをストライプ方向が(011)方向を持つように写真
工程により作製する。
【0101】次に、レジストマスク以外の部分を上部第
2クラッド層707bのみエッチングし、メサストライプ部
731aを形成する。エッチングは、まず硫酸と過酸化水素
水の混合水溶液にて上部第2クラッド層707bを0.4μm分
だけエッチングする。続いて、フッ化水素酸にて上部第
2クラッド層707bの残り0.2μm分をエッチングする。フ
ッ化水素酸はAl0.5Ga0.5Asに対してはエッチング速度は
速いがGaAsに対しては非常に遅いため、エッチングスト
ップ層751の手前でエッチングを停止させることができ
る。エッチングの深さは0.6μm、メサストライプ部731a
の幅は底部で約2.5μmである。このとき、該メサストラ
イプ部側面733は、(111)B面に近い結晶面方位を持っ
ている。エッチング後は純水にて約10分間洗浄する。さ
らにレジストマスクを除去する。
【0102】なお、このメサストライプ部731aの形成に
おいては、エッチングを硫酸と過酸化水素水の混合水溶
液とフッ化水素酸の2回に分けて行っているが、フッ化
水素酸の1回で行うことも不可能ではない。しかし、フ
ッ化水素酸はAl0.5Ga0.5Asに対するエッチング速度が非
常に早いため、エッチング時間が長くなるほどエッチン
グ量の制御が困難である。このため、深さ方向のエッチ
ング量はエッチングストップ層751により0.6μmで確実
に制御できるが、水平方向のエッチング量は安定して得
ることができない。したがって、Al0.5Ga0.5Asに対して
安定したエッチング速度を持つ硫酸と過酸化水素水の混
合水溶液で上部第2クラッド層707bの厚さを0.2μmまで
薄くしておき、フッ化水素酸でのエッチング時間を短く
することで、安定したストライプ幅を得るようにしてい
る。
【0103】続いて、該メサストライプ部731a全体およ
びメサストライプ部両側731bに、バッファードフッ酸に
て表面の清浄化処理を施す。ここでは例えば、50%フッ
化水素酸と40%フッ化アンモニウム水溶液を約1:40で
混合した溶液を用いる。本処理は20℃にて約3分間行
い、その後純水にて約10分間洗浄する。
【0104】そして、図8(b)に示すように、該メサ
ストライプ部731a全体およびメサストライプ部両側731b
の上に、n-Al0.7Ga0.3As第1電流ブロック層711(層厚
0.6μm)、p-GaAs第2保護層713(層厚20nm)を有機金
属気相成長法にて順次結晶成長させる。この時、メサス
トライプ部731a上にはその形状を反映して電流ブロック
層および保護層が凸状に形成される。
【0105】次に、図9(C)に示すように、該凸状部
を除く第2保護層713上にレジストマスクを形成する。
そして、該凸状部の第2保護層713、第1電流ブロック
層711をエッチングにより順次除去し、メサストライプ
部731aの頂部を露出させる。エッチングは、硫酸と過酸
化水素水の混合水溶液を用いる。このエッチング液はAl
0.7Ga0.3As、Al0.5Ga0.5As、GaAsのいずれに対してもほ
ぼ同じ速度でエッチングする。これにより、第1電流ブ
ロック層711の下の上部第2クラッド層707bを0.2μm程
度除去するまでエッチングを行い、確実に第1電流ブロ
ック層711を除去する。エッチング後は純水にて約10分
間洗浄する。さらにレジストマスクを除去する。
【0106】続いて、該メサストライプ部731a頂部、第
1電流ブロック層711、第2保護層713の上面に、バッフ
ァードフッ酸にて表面の清浄化処理を施す。ここでは例
えば、50%フッ化水素酸と40%フッ化アンモニウム水溶
液を約1:40で混合した溶液を用いる。本処理は20℃に
て約3分間行い、その後純水にて約10分間洗浄する。
【0107】最後に、p-Al0.5Ga0.5As第3クラッド層72
1(層厚1.0μm)、p-GaAsキャップ層722(層厚3.0μm)
を積層する。このようにして、図9(d)に示す構造の
半導体レーザ装置を作製することができる。
【0108】本実施形態においては、メサストライプ部
の側面および両側の底面をバッファードフッ酸により表
面処理し、その上に電流ブロック層を再成長しており、
このことから得られる効果は、実施形態6における効果
と同様である。
【0109】また、本実施形態においては、活性領域と
その近傍の側面は(111)B面もしくは(111)B面
に近い結晶面方位となっている。このことから得られる
効果は、実施形態6における効果と同様である。
【0110】さらに、本実施形態においては、メサスト
ライプ部の高さを実施形態6に比べ0.4μmと1/4以下に
低くしている。メサストライプ部は電流の狭窄された領
域であるため電気抵抗が高い。特に、AlGaAsクラッド層
のAlの混晶比が高くなるほど材料自体の電気抵抗も高く
なり、これに、低しきい値電流などの目的でストライ
プ幅が狭い、リッジの形状が頂上にいくほどさらに狭
い、など要件が重なると半導体レーザ装置の電気抵抗は
非常に高くなり、消費電力の増大や素子温度上昇による
信頼性の低下をまねく。したがって、本実施形態のよう
にメサストライプ部の高さを低くすることで電気抵抗を
大きく下げることができる。
【0111】ただし、たとえば単に実施形態6において
比べ高さを低くすると、GaAsである保護層608が発光領
域に近づいてしまい、光の分布に大きな悪影響を与え
る。特に、本実施形態の場合、GaAsはレーザ発振した光
を吸収してしまう。よって、上部第2クラッド層707b上
には保護層を設けていない。しかし、これによりメサス
トライプの頂部の再成長界面は、製造の過程において A
lの混晶比が0.5であるAlGaAsが大気にさらされ酸化して
しまう。しかもこの界面は、メサストライプの高さを低
くしたことで、従来より発光領域に近づいてしまう。
【0112】このため、本実施形態は、この界面にもバ
ッファードフッ酸による表面処理を行っている。これに
よれば、再成長界面を改善することができるため、本実
施形態のようにメサストライプの高さを低くした場合に
も、界面の不良による転位の発生を低減でき、電気抵抗
が低く、かつ高い信頼性をもつ半導体レーザ装置を得る
ことができる。
【0113】なお、メサストライプの高さを低くした場
合には、発光した光の分布はメサストライプの頂部を超
えてひろがる。したがって、本実施形態のように、メサ
ストライプの頂部の上にさらにクラッド層を形成し、光
の拡がりを制御することが望ましい。
【0114】本実施形態においては、半導体レーザ装置
完成時のメサストライプの高さは約0.4μm、メサストラ
イプ頂部の再成長界面と活性領域の距離は約0.55μmで
ある。本発明により、特に再成長界面と活性領域の距離
が1μm以下において、信頼性を損なわずに低い電気抵抗
を得ることができ、有為な効果が得られる。
【0115】(実施形態8)図10(e)は本実施形態
により作製される半導体レーザ装置の概略構成を模式的
に示す断面図である。この半導体レーザ装置は、第1導
電型の半導体基板801表面に、第1導電型のバッファ層8
02、第1導電型の第1クラッド層803、活性領域、第2
導電型の第2クラッド層807、回折格子領域、第1導電
型の第1電流ブロック層811が積層されている。その積
層構造は、第1電流ブロック層がストライプ状に除去さ
れたストライプ溝833を有し、側面834は(lmn)A面
(l、m、nは0を除く整数)からなる結晶方位を有し
ている。そのストライプ溝833の上には第2導電型の第
3クラッド層807が埋め込まれている。活性領域は第1
光ガイド層804と多重量子井戸活性層805と第2光ガイド
層806により構成されている。回折格子領域は第3光ガ
イド層821と離散的に形成された光吸収層862と第4光ガ
イド層863により構成されている。
【0116】この半導体レーザ装置は、以下の様にして
作製することができる。
【0117】まず、図10(a)に示すように、(100)
面を持つn-GaAs基板801上に、n-GaAsバッファ層802(層
厚0.5μm)、n-Al0.45Ga0.55As第1クラッド層803(層
厚1.0μm)、Al0.25Ga0.75As第1光ガイド層804(層厚
0.1μm)、Al0.14Ga0.86As井戸層(層厚10nm、5層)とA
l0.3Ga0.7Asバリア層(層厚7nm、4層)を交互に配置し
てなる多重量子井戸活性層805、p-Al0.25Ga0.75As第2
光ガイド層806(層厚0.1μm)、p-Al0.45Ga0.55As第2
クラッド層807(層厚0.1μm)、p-Al0.3Ga0.7As第3光
ガイド層861(層厚0.1μm)、n-GaAs光吸収層862(層厚
50nm)を有機金属気相成長法を用いて順次結晶成長させ
る。
【0118】次に、回折格子を形成するために、光吸収
層862上にレジストを塗布し、二光束干渉露光法によ
り、周期約0.35μmの回折格子状のマスクパターンを形
成する。パターンのストライプの方向は(011)方向を持
つようにする。
【0119】次に、図10(b)に示すように、このレジ
ストマスク以外の領域の光吸収層862、および、第3光
ガイド層861の一部をエッチングし、回折格子835を形成
する。エッチングは、クエン酸と過酸化水素水の混合水
溶液にて行う。本エッチング液は、GaAs、Al0.3Ga0.7As
のいずれに対してもほぼ同等のエッチング速度を有して
いる。エッチング後は純水にて約10分間洗浄する。さら
にレジストマスクを除去する。
【0120】続いて、第3光ガイド層861、光吸収層862
の上面に、バッファードフッ酸にて表面の清浄化処理を
施す。ここでは例えば、50%フッ化水素酸と40%フッ化
アンモニウム水溶液を約1:20で混合した溶液を用い
る。本処理は20℃にて約3分間行い、その後窒素ガスを
吹き付けて本溶液を除去、乾燥する。
【0121】そして、図10(C)に示すように、第3光
ガイド層861、光吸収層862の上に、p-Al0.25Ga0.75As第
4光ガイド層863(層厚0.1μm)、n-Al0.65Ga0.35As第
1電流ブロック層811(層厚0.6μm)を有機金属気相成
長法にて順次結晶成長させる。
【0122】次に、図11(d)に示すように、第1電流
ブロック層811上にレジストマスクをストライプ状の溝
が(01−1)方向を持つように写真工程により作製する。
そして、ストライプ状の溝内の第1電流ブロック層811
をエッチングにより順次除去し、第4光ガイド層863を
露出させたストライプ溝833を形成する。エッチング
は、まず硫酸と過酸化水素水の混合水溶液にて第1電流
ブロック層811を0.4μm分だけエッチングする。続い
て、フッ化水素酸にて第1電流ブロック層811の残り0.2
μm分をエッチングする。フッ化水素酸はAl0.65Ga0.45A
sに対してはエッチング速度は速いがAl0.25Ga0.75Asに
対しては非常に遅いため、第4光ガイド層863の手前で
エッチングを停止させることができる。エッチングの深
さは0.6μm、ストライプ溝833の幅は底部で約2.5μmで
ある。このときストライプ溝の側面834は、(111)A面
に近い結晶面方位を持っている。エッチング後は純水に
て約10分間洗浄する。さらにレジストマスクを除去す
る。
【0123】なお、このストライプ溝833の形成におい
ては、エッチングを硫酸と過酸化水素水の混合水溶液と
フッ化水素酸の2回のに分けて行っているが、フッ化水
素酸の1回で行うことも不可能ではない。しかし、フッ
化水素酸はAl0.65Ga0.45Asに対するエッチング速度が非
常に早いため、エッチング時間が長くなるほどエッチン
グ量の制御が困難である。よって、深さ方向のエッチン
グ量は第4光ガイド層863により0.6μmで確実に制御で
きるが、水平方向のエッチング量は安定して得ることが
できない。したがって、Al0.65Ga0.45Asに対して安定し
たエッチング速度を持つ硫酸と過酸化水素水の混合水溶
液で第1電流ブロック層811の厚さを0.2μmまで薄くし
ておき、フッ化水素酸でのエッチング時間を短くするこ
とで、安定したストライプ幅を得るようにしている。
【0124】続いて、該メストライプ溝833、第1電流
ブロック層811の上面に、バッファードフッ酸にて表面
の清浄化処理を施す。ここでは例えば、50%フッ化水素
酸と40%フッ化アンモニウム水溶液を約1:20で混合し
た溶液を用いる。本処理は20℃にて約3分間行い、その
後窒素ガスを吹き付けて本溶液を除去、乾燥する。
【0125】最後に、p-Al0.45Ga0.55As第3クラッド層
821(層厚1.0μm)、p-GaAsキャップ層822(層厚3.0μ
m)を積層する。このようにして、図11(e)に示す
構造の半導体レーザ装置を作製することができる。
【0126】本実施形態のような、電流ブロック層にス
トライプ溝を設け、クラッド層で埋め込んだSAS(Self-a
lined stripe)構造半導体レーザ装置においても、スト
ライプ溝の底面や側面やなどの発光領域に近い部分にAl
を含む再成長界面を有している場合には、界面での酸化
は半導体レーザ装置の信頼性に大きな影響を与えること
になる。
【0127】また、本実施形態のような、Alを含んだ材
料の上に回折格子を設け、半導体層で埋め込んだ分布帰
還型半導体レーザにおいても、その構造上再成長界面は
発光層領域の近傍に存在するため、界面での酸化は半導
体レーザ装置の信頼性に大きな影響を与えることにな
る。
【0128】本実施形態では、ストライプ溝の底面およ
び側面、電流ブロック層の上面をバッファードフッ酸に
より表面処理し、その上に第3クラッド層を再成長して
おり、このことから得られる効果は、実施形態1におけ
る効果と同様で、界面の不良による転位の発生を低減し
て半導体レーザ装置の信頼性を向上させることができ
る。
【0129】また、本実施形態においては、ストライプ
溝の側面を(111)A面または(111)A面に近い結
晶面方位としている点が実施形態1と異なっている。し
かし、バッファードフッ酸により活性領域の酸化は十分
に抑えられており、半導体レーザ装置としては十分に高
い信頼性が得られている。
【0130】さらに本実施形態では、回折格子の上面を
バッファードフッ酸により表面処理し、その上に第4光
ガイド層を再成長しており、このことから得られる効果
も、実施形態1における効果と同様で、界面の不良によ
る転位の発生を低減して半導体レーザ装置の信頼性を向
上させることができる。 (実施形態9)図12は、本実施形態により作製される
半導体レーザ装置の概略構成を模式的に示す断面図であ
る。この半導体レーザ装置は、実施形態1の半導体レー
ザの前後の出射端面に反射膜を形成したものである。
【0131】この半導体レーザ装置は、以下の様にして
作製することができる。
【0132】実施形態1の半導体レーザ900を作成後、
劈開により形成された前後の出射端面に対し、バッファ
ードフッ酸にて表面の清浄化処理を施す。ここでは例え
ば、50%フッ化水素酸と40%フッ化アンモニウム水溶液
を約1:40で混合した溶液を用いる。本処理は20℃にて
約1分間行い、その後純水にて約10分間洗浄する。
【0133】そして、一方の端面に対し、蒸着によりAl
2O3の低反射膜971を形成する。厚さは発振波長をAl2O3
の屈折率で割った値の1/4とし、反射率は約2%である。
続いて、反対側の端面に対し、蒸着によりAl2O3とSiを
交互に5層積層し高反射膜972を形成する。厚さは、1
層目、3層目のAl2O3の層が発振波長をAl2O3の屈折率で
割った値の1/4、2層目、4層目のSiの層が発振波長が
発振波長をSiの屈折率で割った値の1/4、5層目のAl2O3
の層が発振波長をAl2O3の屈折率で割った値1/2とし、反
射率は約95%である。このようにして、図12に示す構造
の半導体レーザ装置を作製することができる。
【0134】通常の半導体レーザの製造においては、劈
開により形成された共振器の端面は大気にさらされる。
したがって、Alを含むクラッド層の表面には大気により
酸化膜が形成されてしまう。また、活性領域の表面にも
劈開作業中に、不純物が付着することもある。従来はそ
のまま端面の上に反射膜を形成していたため、この酸化
膜や不純物に起因してレーザ発振時には非発光再結合が
発生し端面での劣化が起っていた。本実施形態では、反
射膜の形成前にバッファードフッ酸によりクラッド層お
よび活性領域を表面処理しているため、端面における非
発光再結合の発生を低減して半導体レーザの信頼性を向
上させることができる。
【0135】なお、本実施形態における半導体レーザ91
0は実施形態1に限定されるものではなく、実施形態2
ないし8、その他端面においてAlを含んだ材料が現われ
るものであればいかなる半導体レーザ装置についてもそ
の効果を得ることができる。
【0136】また、本実施形態においては出射端面の表
面処理としてフッ化水素酸を用いることも可能である。
実施形態1の半導体レーザ910では、最もAlの含まれる
量が多いAlGaAsクラッド層でもAlの混晶比が0.4であ
り、フッ化水素酸では表面をエッチングすることはほと
んどない。したがって、バッファードフッ酸に比べる
と、表面の酸化膜や不純物の除去は不完全になる可能性
があるが、大半の酸化膜や不純物を除去することがで
き、半導体レーザの信頼性を向上させることができる。
【0137】なお、半導体レーザ910がAlの混晶比が0.4
より多い層を含んで構成されている場合は、フッ化水素
酸の使用には注意が必要である。フッ化水素酸は、層の
Alの混晶比が0.4より多くなるにつれ、急速にエッチン
グ速度が早くなる。たとえば半導体レーザ910として、A
lの混晶比が0.5のクラッド層を含んで構成されている実
施形態4を用いる場合、フッ化水素酸で表面処理を行う
と、クラッド層に対するエッチング速度が早すぎて端面
に凹凸が形成されてしまう。したがって、この場合はAl
の混晶比にかかわらずエッチング速度がほぼ一定なバッ
ファードフッ酸を用いるべきである。
【0138】上記実施形態1〜実施形態7、9おいて、
電流ブロック層はp型とn型の半導体層の組み合わせに
より構成したが、必ずしもこれに限定されるものではな
く、例えば高抵抗半導体層、誘電体やポリイミド膜等、
電流狭窄機能を実現できる構成であれば、他の構成であ
ってもよい。また、半導体レーザ装置を構成する材料も
実施形態に示したものに限られず、表面の一部または全
部にAlを含む部分が含まれていれば、例えば、AlGaIn
P系材料やGaAlN系材料等、他の材料であってもよい。ま
た、各半導体層の成長方法も実施形態に示したものに限
られず、例えばガスソースや有機金属ソースを用いた分
子線エピタキシー法を用いてもよい。また、電流ブロッ
ク層の形成において、メルトバックを極力抑えた液相成
長を行うことも可能である。メルトバックを抑えること
により、ストライプ幅のばらつきを従来に比べてある程
度小さくすることができる。さらに、基板および各半導
体層の導電型は、p型およびn型を全て逆にしたもので
あってもよい。
【0139】なお、本発明において、バッファードフッ
酸は、フッ化アンモニウム水溶液のフッ化水素酸に対す
る比が小さくなると、Alの混晶比の低い層に対するエッ
チング速度が低下してくる。例えばAlGaAsの場合6倍未
満ではエッチング速度はほぼ0となり、Alの混晶比の低
い層に対する表面の清浄化処理の効果はあまり期待でき
なくなる。InP基板に格子整合するIn混晶比が0.5程度の
InGaAlAsの場合は1倍未満で同様の現象が発生する。一
方フッ化アンモニウム水溶液のフッ化水素酸に対する比
が大きくなると、酸化膜を除去する能力が低下してく
る。これは上記いずれの材料についても500倍を超え
ると発生する。従って、バッファードフッ酸は、フッ化
水素酸とフッ化アンモニウム水溶液の比が、約1:1〜
約1:500において特に十分な効果が得られるので好
ましい。さらに、実施形態1〜4および6〜8のようにA
lGaAsを主体とした表面への清浄化処理では約1:6〜
約1:500が好ましい。実施形態5のようにInの混晶
比が0.5程度のAlGaInAsを主体とした表面への清浄化処
理では約1:1〜約1:500が好ましい。さらに、フ
ッ化水素酸とフッ化アンモニウム水溶液に加えて、純水
を混合した溶液であっても十分な効果が得られる。以上
までに記載されたフッ化水素酸とフッ化アンモニウム水
溶液の比はすべて重量比である。
【0140】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の半導体積
層体の製造方法によれば、Alを含む半導体積層体の表
面にバッファードフッ酸を用いた表面処理を行うことに
より、酸化膜や表面に付着した不純物を除去して清浄化
することができる。よって、その表面上に良好な結晶状
態の半導体層を成長させて、特性に優れた半導体装置を
作成することができる。本発明において表面処理に使用
するバッファードフッ酸は、Al混晶比が0.4以下の
材料に対しても、表面清浄化処理を行うことが可能であ
り、従来技術で使用されているフッ化水素のみを含む水
溶液に比べて適用範囲が広い。
【0141】本発明の半導体レーザ装置の製造方法によ
れば、Alを含む再成長界面を有するBH構造半導体レー
ザ装置において、バッファードフッ酸を用いて表面処理
することにより、再成長界面を清浄化し、電流ブロック
層の結晶性を良好にすることができる。また、気相成長
法により、電流ブロック層を形成することができるの
で、従来技術のような液相成長による問題点は生じな
い。
【0142】さらに、活性領域が少なくとも井戸層とバ
リア層からなる量子井戸構造である場合、井戸層のAl
混晶比を0.2以下とすれば、活性領域の酸化を十分抑
えることができるので好ましい。また、バッファードフ
ッ酸により活性領域側面の酸化膜を除去して清浄化する
ことができ、さらに活性領域の酸化を抑制できる。さら
に、活性領域がAlを含まない材料からなる場合、活性
領域側面での酸化が殆ど生じないので好ましい。本発明
において表面処理に使用するバッファードフッ酸は酸化
膜以外の不純物をも除去可能であるので、Alを含む半
導体層およびAlを含まない半導体層の両方の表面に対
して、清浄化処理を行うことが可能である。さらに、メ
サストライプ部の両側面を、活性領域およびクラッド層
の少なくとも活性領域近傍部分が、(lmn)B面
(l、m、nは0を除く整数)からなる結晶面方位を有
するように形成することにより、その側面でのAlの露
出を低減して酸化膜の形成を抑制することができる。
【0143】従って、本発明の半導体レーザ装置の製造
方法によれば、再成長界面でのAl酸化による特性劣化
を防いで、高性能なBH構造半導体レーザ装置を歩留まり
良く作製することができる。
【0144】本発明の半導体レーザ装置の製造方法によ
れば、Alを含む再成長界面を有する、リッジ構造半導体
レーザ装置、SAS構造半導体レーザ装置、分布帰還型半
導体レーザ装置において、バッファードフッ酸を用いて
表面処理することにより再成長界面を清浄化し、その上
に形成する半導体層の結晶性を良好にすることができ
る。そして、再成長界面での酸化による特性劣化を防い
で、高性能な半導体レーザを歩留り良く作製することが
できる。
【0145】さらに、本発明の半導体レーザ装置および
その製造方法によれば、リッジ構造半導体レーザ装置
を、信頼性を損なうことなく電気抵抗を低減することが
できる。
【0146】また、本発明の半導体レーザ装置の製造方
法によれば、Alを含む材料を活性領域、もしくはクラッ
ド層に用いた半導体レーザ装置において、バッファード
フッ酸を用いて表面処理することにより劈開した出射端
面を清浄化し、その上に反射膜を形成することで、出射
端面での酸化による特性劣化を防いで、高性能な半導体
レーザを歩留り良く作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の半導体レーザ装置の製造工程につ
いて模式的に示す断面図である。
【図2】実施形態3の半導体レーザ装置の製造工程につ
いて模式的に示す断面図である。
【図3】実施形態4の半導体レーザ装置の概略構成を模
式的に示す断面図である。
【図4】実施形態5の半導体レーザ装置の概略構成を模
式的に示す断面図である。
【図5】従来の半導体レーザ装置の概略構成を模式的に
示す断面図である。
【図6】第6の実施形態の半導体レーザ装置の製造工程
について模式的に示す断面図である。
【図7】第6の実施形態の半導体レーザ装置の製造工程
について模式的に示す断面図である。
【図8】第7の実施形態の半導体レーザ装置の製造工程
について模式的に示す断面図である。
【図9】第7の実施形態の半導体レーザ装置の製造工程
について模式的に示す断面図である。
【図10】第8の実施形態の半導体レーザ装置の製造工
程について模式的に示す断面図である。
【図11】第8の実施形態の半導体レーザ装置の製造工
程について模式的に示す断面図である。
【図12】第9の実施形態の半導体レーザ装置の製造工
程について模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
101、201、301、401、501、601、701、801 基板 102、202、302、502、602、702、802 バッファ層 103、203、303、403、503、603、703、803 第1クラッ
ド層 104、204、304、404、504、604、704、804 第1光ガイ
ド層 105、205、305、405、505、605、705、805 多重量子井
戸活性層 106、206、306、406、506、606、706、806 第2光ガイ
ド層 107、207、307、407、507、807 第2クラッド層 607a、707a 下部第2クラッド層 607b、707b 上部第2クラッド層 108、308、408、608 保護層 111、211、311、411、511、611、711、811 第1電流ブ
ロック層 112、212、312、412、512、612 第2電流ブロック層 313、613、713 第2保護層 121、221、421、721、821 第3クラッド層 122、222、322、422、622、722、822 キャップ層 131a、231a、331a、431a、531a、631a、731a メサスト
ライプ部 131b、231b、331b、431b、531b、631b、731b メサスト
ライプ部両側 132、232、332、432、532 活性領域および活性領域近
傍側面 632、732 メサストライプ部側面 833 ストライプ溝 834 ストライプ溝側面 835 回折格子 141、241 絶縁膜マスク 651、751 エッチングストップ層 861 第3光ガイド層 862 光吸収層 863 第4光ガイド層 900 半導体レーザ装置 971 低反射膜 972 高反射膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01S 5/227 H01L 21/306 B

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Alを含む材料が一部または全部に現れ
    ている半導体の表面を、少なくともフッ化水素とフッ化
    アンモニウム溶液を混合した溶液により表面処理する工
    程を含む半導体積層体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記Alを含む材料としてAlの混晶比
    が0.4以下である材料を用いる請求項1に記載の半導
    体積層体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記表面処理工程の後、該表面上に半導
    体層を形成する工程を含む請求項1または請求項2に記
    載の半導体積層体の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板上に、少なくとも第1導電型の第1
    クラッド層、活性領域および第2導電型の第2クラッド
    層からなり、該第1クラッド層、該活性領域および該第
    2クラッド層の少なくともいずれかにAlを含む部分を
    有する積層構造を形成する工程と、 該積層構造の全部、または第1クラッド層の基板側の一
    部を除いた部分をエッチングによりメサストライプ状に
    形成する工程と、 メサストライプ部の両側面を、少なくともフッ化水素と
    フッ化アンモニウム溶液を混合した溶液により表面処理
    する工程と、 該メサストライプ部の両側に、電流ブロック層を形成す
    る工程とを含む半導体レーザ装置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記メサストライプ部は、表面の一部ま
    たは全部にAl混晶比0.4以下のAlを含む材料が表
    れている請求項4に記載の半導体レーザ装置の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 前記電流ブロック層を気相成長法により
    形成する請求項4または請求項5に記載の半導体レーザ
    装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記活性領域は、少なくとも井戸層とバ
    リア層からなる量子井戸構造を有するように形成し、該
    井戸層のAl混晶比を0.2以下とする請求項4乃至請
    求項6のいずれかに記載の半導体レーザ装置の製造方法
  8. 【請求項8】 前記活性領域は、Alを含まない材料を
    用いて形成する請求項4乃至請求項6のいずれかに記載
    の半導体レーザ装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記メサストライプ部の両側面は、前記
    活性領域および前記クラッド層の少なくとも活性領域近
    傍部分が、(lmn)B面(l、m、nは0を除く整
    数)からなる結晶面方位を有するように形成する請求項
    4乃至請求項8のいずれかに記載の半導体レーザ装置の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 基板上に、少なくとも第1導電型の第
    1クラッド層、活性領域および第2導電型の第2クラッ
    ド層からなり、該第2クラッド層内にAlを含む部分を有
    する積層構造を形成する工程と、 該積層構造を第2クラッド層の途中までエッチングしメ
    サストライプ状に形成する工程と、 メサストライプ部の両側面、および、両側の底面を、少
    なくともフッ化水素とフッ化アンモニウム溶液を混合し
    た溶液により表面処理する工程と、を少なくとも含む半
    導体レーザ装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記表面処理工程の後、前記メサスト
    ライプ部の両側に、電流ブロック層を形成する工程と、 前記メサストライプ部の頂部はAlを含む部分が露出す
    るようにし、続いてAlが露出したメサストライプ部の
    頂部を、少なくともフッ化水素とフッ化アンモニウム溶
    液を混合して作製した溶液を用いて表面処理する工程
    と、 その上に半導体層を形成する工程とを少なくとも含む請
    求項10に記載の半導体レーザの製造方法。
  12. 【請求項12】 半導体基板上に、少なくとも第1導電
    型の第1クラッド層、活性領域、第2導電型の第2クラ
    ッド層からなり、該第2クラッド層内にAlを含む部分を
    有する積層構造が形成され、 該積層構造は第2クラッド層の途中までエッチングされ
    て、頂部においてAlが露出したメサストライプ状に形
    成され、メサストライプ状の該積層構造の両側に電流ブ
    ロック層が形成された半導体レーザ装置。
  13. 【請求項13】 上記メサストライプ上に第3クラッド
    層が形成されたことを特徴とする請求項12に記載の半
    導体レーザ装置。
  14. 【請求項14】 半導体基板上に、少なくとも第1導電
    型の第1クラッド層、活性領域および第2導電型の第2
    クラッド層、エッチングストップ層、電流ブロック層か
    らなり、該エッチングストップ層にAlを含む部分を有す
    る積層構造を形成する工程と、 電流ブロック層の途中までエッチングしストライプ溝を
    形成する工程と、 ストライプ溝の底面のエッチングストップ層を少なくと
    もフッ化水素とフッ化アンモニウム溶液を混合して作製
    した溶液を用いて表面処理する工程と、 ストライプ溝の上に第2導電型の第3クラッド層を形成
    する工程とを少なくとも含む半導体レーザ装置の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 半導体基板上に、少なくとも1層から
    構成され、且つ、いずれかの層にAlを含む部分を有する
    積層構造を形成する工程と、 該積層構造をAlを含んだ層の一部または全体が露出す
    るように回折格子を形成する工程と、 該回折格子表面を少なくともフッ化水素とフッ化アンモ
    ニウム溶液を混合して作製した溶液を用いて表面処理す
    る工程と、 該回折格子上に半導体層を形成する工程とを少なくとも
    含む半導体レーザ装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 半導体基板上に少なくとも、第1クラ
    ッド層、活性領域、第2クラッド層からなり、該第1ク
    ラッド層、該活性領域、該第2クラッド層の少なくとも
    いずれかにAlを含む部分を有する積層構造にて構成され
    る半導体レーザの光出射端面に保護膜を形成する工程に
    おいて、 保護膜を形成する前に該光出射端面を、フッ化水素酸、
    もしくは、少なくともフッ化水素とフッ化アンモニウム
    溶液を混合して作製した溶液を用いて表面処理すること
    を特徴とする半導体レーザ装置の製造方法。
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