JP2001100227A - 液晶パネル及びその液晶注入方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パネルの内部空間への液晶未注入部の発生を
防止し、液晶の注入充填時間の短縮化を図るとともに、
生産性を高め、低コスト化を期待することができるよう
にした液晶注入方法及び該方法を用いた液晶注入装置を
提供する。 【解決手段】 矩形状のパネル１００を一対の基板１０
１にて形成する。各々の基板１０１間にスペーサ１０４
を介して液晶Ｗが注入される内部空間１０５を形成する
とともに、その一組の対向辺に開口部（排気口）１０７
を設け、他の組の対向辺に開口部（注入口）１０８をそ
れぞれ設ける。各々の開口部（注入口）１０８から内部
空間１０５に液晶Ｗを注入充填する同時に、各々の開口
部（排気口）１０７から内部空間１０５の排気を行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば直視型フラ
ットパネルディスプレイ、投影型プロジェクタ、空間光
変調器、光学フィルタあるいは光センサなどに用いられ
る液晶パネル及びその液晶注入方法に関し、特に、スメ
クティック液晶である強誘電性液晶もしくは反強誘電性
液晶やネマティック液晶を注入する液晶パネル及びその
液晶注入方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、液晶パネルへの液晶注入方法とし
ては、パネルを２枚のガラス基板で内部空間が形成され
るように貼り合わせるとともに、このパネルの一辺にの
み開口部を設けて真空容器内に配置することにより、パ
ネル内部空間を減圧した後、開口部に液晶を接触させ、
次いで、真空容器内の雰囲気を大気圧に戻すことによ
り、液晶をパネル内部空間に充填させるものがある。特
に、注入時間の短縮という観点から、特開平５−１６５
０３８号公報や特開平７−３２５３１２号公報、あるい
は、特開平１０−９０６９６号公報などが開示されてい
る。これらは、パネルの対向辺にそれぞれ注入口を設
け、パネル内部空間の排気を行った後、パネル両側の各
々の注入口から液晶を注入する方法である。

【０００３】また、特に、スメクティック液晶のよう
に、パネルのギャップが狭い内部空間に注入しなければ
ならない場合は、例えば、特開平５−２９７３８６号公
報や特開平９−２３６８１０号公報などに開示されてい
るように、パネルの外周部に、少なくとも１つの注入口
と１つの排気口とを設けるとともに、排気口から排気を
行いながら注入口からパネル内部空間に液晶を注入する
方法が提案されている。さらに、その他の液晶注入方法
としては、例えば、特開平６−５１２５８号公報に開示
されているように、パネル内部空間の減圧後、液晶を注
入口に塗布し、加圧雰囲気中で液晶の注入を進行させる
方法も提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の液晶注
入方法にあっては、液晶パネルの大型化に伴い、依然と
して液晶の注入工程に多大な時間を要し、しかも、パネ
ル表示部に液晶未注入部が発生し易い。特に、スメクテ
ィック液晶のように、パネルギャップが狭い内部空間へ
の液晶の注入に際しては、生産性の低下が免れず、高コ
スト化が顕著となる。

【０００５】本発明は、上記課題に鑑みてなされたもの
で、パネルの内部空間への液晶未注入部の発生を防止
し、液晶の注入充填時間の短縮化を図るとともに、生産
性を高め、低コスト化を期待することができるようにし
た液晶パネル及びその液晶注入方法を提供することを目
的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】第１の発明は、少なくと
も一方が透明板からなる一対の基板がスペーサを介在し
て貼り合わせて内部空間を有するパネルを形成し、該内
部空間に液晶を注入して形成する液晶パネルである。前
記パネルの一組の対向辺を含む少なくとも３つの辺に開
口部をそれぞれ設けて、前記パネルの一組の対向辺を含
む少なくとも２つの辺の開口部は、前記内部空間に液晶
を注入充填する注入口であり、残りの開口部は、前記内
部空間の排気を行う排気口であることを特徴とする。

【０００７】第２の発明の液晶パネルは、前記液晶を注
入する開口部が、該開口部を有する辺の全幅にわたって
形成されることを特徴とする。

【０００８】第３の発明の液晶パネルは、前記パネル
が、液晶を注入する開口部側にいずれかの基板が突出し
ており、該突出部の開口部側表面上に開口部を囲むよう
に堤防枠を形成し、該堤防枠で囲われた部分に液晶を塗
布できることを特徴とする。

【０００９】第４の発明の液晶パネルは、前記スペーサ
が、液晶を注入する開口部を形成した辺に対して略垂直
なストライプ状に形成されることを特徴とする。

【００１０】第５の発明の液晶パネルは、前記パネルが
矩形状に形成されており、一組の対向辺に設けた２つの
開口部が液晶を注入する注入口であり、他の一組の対向
辺に設けた２つの開口部は、前記内部空間の排気を行う
排気口であることを特徴とする。

【００１１】第６の発明の液晶パネルは、第５の発明に
係る液晶パネルであって、一組の対向辺に設けた排気用
の開口部を、前記各対向辺の略中央部に設けてなること
を特徴とする。

【００１２】第７の発明の液晶パネルは、第５又は第６
の発明に係る液晶パネルであって、前記排気用の２つの
開口部を結ぶ空間を、液晶の注入中は排気可能にするス
ペーサ非介在領域としたことを特徴とする。

【００１３】第８の発明は、少なくとも一方が透明板か
らなる一対の基板がスペーサを介在して貼り合わせて内
部空間を有するパネルを形成し、該内部空間に液晶を注
入する液晶パネルの液晶注入方法である。前記液晶パネ
ルの一組の対向辺を含む少なくとも３つの辺に開口部を
それぞれ設けて、前記パネルの一組の対向辺を含む少な
くとも２つの辺の開口部から前記内部空間に液晶を注入
充填すると同時に残りの開口部から前記内部空間の排気
を行うことを特徴とする。

【００１４】第９の発明の液晶パネルの液晶注入方法
は、液晶注入前に、液晶パネルの少なくとも１つの開口
部から前記内部空間を減圧することを特徴とする。

【００１５】第１０の発明の液晶パネルの液晶注入方法
は、前記減圧及び液晶注入の工程で、前記パネルを加熱
することを特徴とする。この場合、スメクティック液晶
を用いて注入するのが好ましい。

【００１６】第１１の発明の液晶パネルの液晶注入方法
は、前記液晶注入における前記パネルの加熱の際、注入
される液晶が等方相になる温度以上にすることを特徴と
する。

【００１７】第１２の発明の液晶パネルの液晶注入方法
は、前記パネルの外部雰囲気を大気圧以上に設定して液
晶注入を行うことを特徴とする。

【００１８】第１３の発明の液晶パネルの液晶注入方法
は、減圧前に、前記液晶を注入する開口部の近傍に、前
記内部空間を充填するに充分な総量の液晶を、前記開口
部を閉塞させることなく塗布することを特徴とする。

【００１９】第１４の発明の液晶パネルの液晶注入方法
は、減圧後に、前記液晶を注入する開口部に、前記内部
空間を充填するに充分な総量の液晶を塗布することを特
徴とする。

【００２０】第１５の発明の液晶パネルの液晶注入方法
は、前記液晶パネルが矩形状に形成されており、一組の
対向辺に設けた２つの開口部から前記内部空間への液晶
の注入を行うと同時に、他の一組の対向辺に設けた２つ
の開口部から前記内部空間の排気を行うことを特徴とす
る。

【００２１】本発明の液晶パネルにおいて、パネルの一
組の対向辺を含む少なくとも２つの辺の開口部は、内部
空間に液晶を注入充填する注入口とすることにより、従
来の１つの開口部から液晶注入する場合に比較して、注
入時間を短縮できる。加えて、残りの開口部を、内部空
間の排気を行う排気口として用いて、さらに注入時間を
短縮できる。

【００２２】また、液晶注入口である開口部が、該開口
部を有する辺の全幅にわたって形成することにより、開
口範囲が広がり注入時間を短縮できる。さらに、液晶の
注入先端部が直線状に揃って注入されることになるの
で、狭い開口部から放射状に注入される場合に比較し、
液晶の未注入部分が残りにくく、液晶分子の配向性も良
くなる。

【００２３】また、基板突出部の開口部側表面上に開口
部を囲むように堤防枠を形成し、該堤防枠で囲われた部
分に液晶を塗布できるようにしたので、塗布された液晶
が堤防枠でせき止められ、基板端部から流出することが
ない。したがって、液晶を塗布の作業も簡易化でき、作
業効率も向上できる。

【００２４】また、スペーサを、液晶を注入する開口部
を形成した辺に対して略垂直なストライプ状に形成する
ことにより、液晶がスペーサ壁に沿って各ラインを均一
に進行していくので、液晶の回り込みが防止され、液晶
の未注入部分が残りにくく、液晶分子の配向性も良くな
る。さらに、減圧工程において、パネルが変形すること
も防ぐことができる。

【００２５】また、パネルが矩形状に形成され、一組の
対向辺に設けた２つの開口部が液晶を注入する注入口で
あり、他の一組の対向辺に設けた２つの開口部は、内部
空間の排気を行う排気口とすることにより、注入と排気
がバランスよく行うことができ、より均一な排気と液晶
注入が可能となる。さらに、一組の対向辺に設けた排気
用の開口部を、前記各対向辺の略中央部に設けること
で、パネルの内部空間における排気バランスをよくし、
より均一に排気できるようにして、液晶の未注入部分の
発生を防ぐことができる。この場合、排気用の２つの開
口部を結ぶ空間を、液晶の注入中は排気可能にするスペ
ーサ非介在領域として、パネルの内部空間全体からもれ
なく排気を行うことができる。

【００２６】本発明の液晶パネルの液晶注入方法におい
て、パネルの一組の対向辺を含む少なくとも２つの辺の
開口部から内部空間に液晶を注入充填すると同時に残り
の開口部から内部空間の排気を行うことにより、従来の
１つの開口部から液晶注入する場合に比較して、注入時
間を短縮できる。

【００２７】また、液晶パネルを構成する複数の膜は、
水蒸気その他の気体を含み易く、液晶パネル内に気泡が
発生する原因の一つになっているが、液晶注入前に、液
晶パネルの少なくとも１つの開口部から内部空間を減圧
することにより、これらの気体を除去して高品質の液晶
パネルを得ることができる。さらに、液晶注入を補助す
る効果もある。これに加えて、減圧及び液晶注入の工程
で、パネルを加熱することで、さらに気体を除去するこ
とができる。また、減圧及び液晶注入の工程で、パネル
を加熱することは、上記効果と同時に液晶の粘度を低下
させて注入速度を早める効果があり、これは等方相まで
加熱するとさらに早めることができる。特に、注入する
液晶が、粘度の高いスメクティック液晶の場合は、この
効果は顕著である。

【００２８】また、パネルの外部雰囲気を大気圧以上に
設定して液晶注入を行うことにより、より注入時間を短
縮し液晶未注入部の発生を押えることができる。

【００２９】また、減圧前に、液晶を注入する開口部の
近傍に、内部空間を充填するに充分な総量の液晶を、開
口部を閉塞させることなく塗布することにより、減圧と
ともに液晶内に含まれる水蒸気等の脱気も行うことがで
き、次の注入工程で直ちに液晶の注入が可能となる。

【００３０】また、別の方法として、減圧後に、液晶を
注入する開口部に、内部空間を充填するに充分な総量の
液晶を塗布することにより、減圧工程での液晶の変質を
防ぐことができる。注入工程直前に液晶の必要量を塗布
するので、処理工程での振動衝撃等による液晶の流出を
防ぐことができる。

【００３１】また、液晶パネルが矩形状に形成されてお
り、一組の対向辺に設けた２つの開口部から内部空間へ
の液晶の注入を行うと同時に、他の一組の対向辺に設け
た２つの開口部から内部空間の排気を行うので、注入と
排気がバランスよく行うことができ、より均一な排気と
液晶注入が可能となる。

【００３２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら詳細に説明する。

【００３３】図１は、本発明に係る液晶パネルの製造装
置である液晶注入装置を示す全体構成図である。この装
置本体１は、圧力容器２、排気・減圧手段としての真空
ポンプ３、窒素ボンベ４、撹拌器５、加熱手段としての
ヒータ６、リークバルブ７及びパネル保持治具８を備え
る。

【００３４】すなわち、装置本体１は、真空ポンプ３に
接続された配管３１の先端部３１ａがバルブ３２を介し
て圧力容器２内に臨み、真空ポンプ３にて圧力容器２内
を減圧するように制御される。この配管３１には、別の
排気系統を構成する排気ノズル３３が分岐させて接続さ
れ、この排気ノズル３３にてパネル保持治具８にて保持
される後述するパネル１００の内部空間１０５を減圧し
排気する。

【００３５】窒素ボンベ４に接続された配管４１の先端
部４１ａは、圧力調整器４２及びバルブ４３を介して圧
力容器２内に臨み、バルブ４３の開弁操作により、圧力
容器２内を窒素ガスにて充填可能にする。そして、この
窒素ガスの充填にて活性化される圧力容器２内を圧力調
整器４２による圧力調整と共に撹拌器５にて均一に撹拌
可能になっている。

【００３６】一方、ヒータ６は、温度コントローラ６１
にてパネル保持治具８にて保持された圧力容器２内のパ
ネル１００を加熱制御可能とする。圧力容器２内に排気
管７１の先端部７１ａが臨むリークバルブ７の開弁操作
により、圧力容器２内を減圧雰囲気から大気圧に戻す。

【００３７】ここで、液晶パネル１００について説明す
る。図２は、液晶パネルの平面図、図３は、図２の切断
線Ａ−Ａ’による断面図である。図２及び図３に示すよ
うに、例えば、横幅が３５０ｍｍで、縦幅が３００ｍ
ｍ、あるいは、横幅が３７０ｍｍで、縦幅が２８０ｍｍ
の少なくとも一方が透明板からなる２枚一対の矩形（長
方形）の基板１０１を用いている。この各々の基板１０
１の内面には、ストライプ状にパターニングされた電極
材料としてのＩＴＯ（Indium Tin Oxide）膜１０２が形
成されている。この電極膜１０２の表面は、配向膜１０
３にて適宜の配向処理が施されている。この場合、基板
１０１の内面に形成される電極膜１０２と配向膜１０３
との間には、絶縁性膜を必要に応じて介在させても良
く、その選択は任意である。

【００３８】そして、一対の基板１０１を、壁状のスペ
ーサ１０４を間に介して貼り合わせ内部空間１０５を形
成する。貼り合わせた場合、上側基板の両長辺側が下側
基板より突出し、下側基板の短辺側が上側基板より突出
している。内部空間における両基板長辺側端部１０１ａ
は、中央部を除き、シール部材１０６にて封止されてい
る。したがって、中央部には内部空間１０５に至る開口
部１０７が形成される。

【００３９】各々のシール部材１０６の開口部１０７に
は、図４に示すような排気系統の排気ノズル３３が接続
され、内部空間１０５に連通させる。一方、内部空間１
０５の両基板短辺側端部１０１ｂには、注入口となる開
口部１０８が内部空間１０５に連通させて開口形成され
る。これら各々の開口部（注入口）１０８は、シール部
材１０６の幅分を除いて、実質的に短辺全幅にわたるよ
うな開口幅を有している。

【００４０】また、液晶パネル１００の両基板１０１間
に介在している壁状のスペーサ１０４は、排気口となる
開口部１０７を結ぶ線上の部分を除いて、注入口を設け
た基板短辺に対して略垂直なストライプ状の形態を有す
る。その厚さが約１．５μｍ、互いに隣合う間隔が約３
６０μｍとなっている。

【００４１】さらに、パネル１００の各々の開口部（注
入口）１０８側基板、すなわち下側基板突出部分の上面
（開口部に面した表面）には、端辺に沿って堤防枠１０
９がそれぞれ設けられている。これら各々の堤防枠１０
９が開口部１０８を囲むように形成されて塗布空間が形
成され、塗布された液晶が流出しないようになってい
る。塗布空間には、装置本体１の圧力容器２内にパネル
１００を配置する前工程において、液晶Ｗをそれぞれ注
入することにより、予め、パネル１００の各々の開口部
（注入口）１０８，１０８の近傍に、内部空間１０５を
充填するに充分な総量の液晶Ｗが、各々の開口部（注入
口）１０８を塞がないように一様に塗布されるようにな
っている。この場合、液晶自体の粘性が高いため、塗布
後も液晶が開口部１０８を塞ぐことはない。

【００４２】次に、上記した本発明に係る液晶注入装置
による液晶注入方法を図５に示す工程図に基づいて説明
する。

【００４３】まず、装置本体１の圧力容器２内にパネル
１００を配置する前工程において、パネル１００の各々
の開口部（注入口）１０８の近傍に液晶Ｗを予め塗布し
た後に、それらの液晶塗布部が上になるようにパネル１
００をパネル保持治具８にて水平状態に保持して圧力容
器２内に配置する。この場合、液晶Ｗとしては、スメッ
クティック液晶である強誘電性液晶を用いる。スメクテ
ィック液晶は、ネマティック液晶を用いた場合に比べ
て、拘束応答性や広視野角性にすぐれ、これらのすぐれ
た性質を有する液晶ディスプレイを提供することができ
る。さらに、強誘電性液晶及び反強誘電性液晶のメモリ
性を生かして、単純マトリックス構造の液晶パネルを製
作することができ、低コストで高品位のディスプレイを
提供することができる。

【００４４】また、装置本体１の圧力容器２内にパネル
保持治具８にてパネル１００を配置する際、パネル１０
０の各々の開口部（排気口）１０７には、図４に示すよ
うに、真空ポンプ３に接続された排気系統の排気ノズル
３３がそれぞれ接続されて、パネル１００の内部空間１
０５の排気及び減圧を行うようになっている。

【００４５】この状態で、真空ポンプ３を作動させて装
置本体１の圧力容器２内及びパネル１００の内部空間１
０５を０．０１Ｔｏｒｒに減圧すると同時に、ヒータ６
を通電させてパネル１００を７０℃の設定温度まで加熱
して、数時間放置する（工程Ａ）。このとき、パネル１
００を加熱昇温する理由は、パネル内部空間１０５や液
晶Ｗの内部に存在する水蒸気、空気、その他のガスを除
去し易くするためである。また、その温度を７０℃に設
定する理由は、パネル１００の加熱温度を７０℃以上に
上げ過ぎると、強誘電性液晶が流動性を持つネマティッ
ク相に相転移してしまい、パネル内部空間１０５を充分
に減圧することができないまま、パネル内部空間１０５
に液晶Ｗが浸透して各々の開口部（注入口）１０８を塞
いでしまう恐れがあるからである。

【００４６】このような減圧・加熱時間の数時間の放置
によって、パネル内部空間１０５を充分に減圧し、液晶
Ｗが等方相となった時点において、温度コントローラ６
１を制御し、ヒータ６にてパネル１００を１１５℃に加
熱昇温する（工程Ｂ）。これによって、液晶Ｗが各々の
開口部（注入口）１０８を塞いでパネル内部空間１０５
に浸透し始める。この状態で、窒素ボンベ４のバルブ４
３を開弁して圧力容器２内に窒素ガスを充填させ、撹拌
器５にて均一に撹拌して、圧力容器２内を窒素雰囲気に
する。さらに、リークバルブ７を開弁して圧力容器２内
を大気圧ａ（ａ＝１ｋｇ／ｃｍ2）に戻して、パネル１
００を１１５℃に加熱したままで、パネル内部空間１０
５への液晶Ｗの浸透注入を行う（工程Ｃ）。

【００４７】パネル１００の各々の開口部（排気口）１
７に接続された排気ノズル３３，３３は、引き続き０．
０１Ｔｏｒｒに減圧状態を維持したままでパネル内部空
間１０５への液晶Ｗの浸透注入が行われるようになって
いる。パネル内部空間１０５への液晶Ｗの浸透注入後
に、圧力容器２内を大気圧ａに維持させたままでヒータ
６を切り、パネル１００の除冷を行うとともに、パネル
温度が室温に下がるまで、パネル１００の各々の開口部
（排気口）１７に接続された排気系統の排気ノズル３３
よる排気により、パネル内部空間１０５の減圧を続ける
（工程Ｄ）。そして、パネル１００の温度が室温に下が
った時点で、排気系統の排気ノズル３３，３３によるパ
ネル内部空間１０５の減圧を停止し、圧力容器２内から
パネル１００を取り出すことにより全工程を終了する
（工程Ｅ）。

【００４８】

【表１】

【００４９】上記の表１は、上記の本発明に係る液晶注
入方法の実施形態のように、パネル１００の基板短辺部
側にそれぞれ設けた２つの開口部（注入口）１０８から
の液晶Ｗの注入方式、パネル基板長辺部側にそれぞれ設
けた２つの開口部（排気口）１０７からの排気方式にお
いて、液晶注入時のパネル外部圧力が大気圧（ａ＝１ｋ
ｇ／ｃｍ2）の場合（実施例１）に対する比較例１，２
を示す。なお、上記表１の実施例２は、本発明の方法に
おいて、工程Ｃでのパネル外部圧力を加圧（ａ＝６ｋｇ
／ｃｍ2）した場合の結果を示すもので、この結果、注
入時間が実施例１に対して大幅に短縮できた。

【００５０】比較例１は、パネル１００の基板長辺部側
の各々の対向辺に開口部（排気口）１０７を設けずに、
本発明の工程Ｃのようなパネル内部空間１０５の排気に
よる減圧を行わない状態で、液晶Ｗの注入を行った際の
結果を示す。この結果、パネル内部空間１０５に液晶Ｗ
が完全に注入されず、しかも、パネル内部空間１０５の
中央部に帯状の液晶未注入部が発生した。

【００５１】比較例２は、パネル１００の基板短辺部側
対向辺の一方に１つの開口部（注入口）１０８を設け、
基板長辺部側対向辺の一方に１つの開口部（排気口）１
０７を設けて、液晶Ｗの注入・排気を行った際の結果を
示す。この結果、パネル内部空間１０５への注入時間が
３倍以上になった。

【００５２】なお、上記の実施形態においては、液晶Ｗ
として強誘電性液晶を例にして説明したが、例えば、反
強誘電性液晶、あるいは、ネマティック液晶の注入にも
適用可能なことは勿論である。また、パネル１００を構
成する基板１０１間に介在される壁状のスペーサ１０４
のストライプの他の形態としては、対ショック性を失わ
ない程度で破線状、あるいは、点線状の形態にしても良
い。上記実施形態では、パネル１００のパネル内部空間
１０５への液晶塗布してから減圧していたが、塗布する
液晶の種類や使用する装置等によっては、減圧後に液晶
塗布してもよい。その他、本発明は、上記した各実施形
態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しな
い範囲で種々変更実施可能なことは云うまでもない。

【００５３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
パネルの一組の対向辺を含む少なくとも３つの辺に開口
部をそれぞれ設けた液晶パネルを用いて、パネルの一組
の対向辺を含む少なくとも２つの辺の開口部から液晶の
注入を行うようになっているために、従前のような１つ
の開口部からの液晶の注入と比較して、注入時間を半分
に短縮することができる。しかも、液晶の注入と同時
に、パネルの少なくとも１つの他の辺の開口部から排気
するようになっているために、従前よりも注入時間を大
幅に短縮することができ、液晶未注入部分の発生を防止
し、高生産性、低コスト化を達成することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】液晶注入装置の全体構成図である。

【図２】液晶パネルの平面図である。

【図３】液晶パネルの断面図である。

【図４】液晶注入装置の圧力容器内でパネルの排気系統
への接続状態を示す説明図である。

【図５】パネルへの液晶注入工程を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 装置本体 ２ 圧力容器 ３ 真空ポンプ ３１ 配管 ３２ バルブ ３３ 排気ノズル ４ 窒素ボンベ ４１ 配管 ４２ 圧力調整器 ４３ バルブ ５ 撹拌器 ６ ヒータ ６１ 温度コントローラ ７ リークバルブ ８ パネル保持治具 １００ パネル １０１ 基板 １０４ スペーサ １０５ 内部空間 １０７ 開口部（排気口） １０８ 開口部（注入口） １０９ 堤防枠 １１０ 塗布空間 Ｗ 液晶

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒匂 禎裕 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Ｆターム(参考） 2H089 LA22 LA28 LA33 NA26 NA30 NA31 NA60 QA12 RA13 5G435 AA00 AA17 BB12 KK05 KK10

Claims (15)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも一方が透明板からなる一対の
   基板がスペーサを介在して貼り合わせて内部空間を有す
   るパネルを形成し、該内部空間に液晶を注入して形成す
   る液晶パネルにおいて、 前記パネルの一組の対向辺を含む少なくとも３つの辺に
   開口部をそれぞれ設けて、前記パネルの一組の対向辺を
   含む少なくとも２つの辺の開口部は、前記内部空間に液
   晶を注入充填する注入口であり、残りの開口部は、前記
   内部空間の排気を行う排気口であることを特徴とする液
   晶パネル。
2. 【請求項２】 前記液晶を注入する開口部が、該開口部
   を有する辺の全幅にわたって形成されることを特徴とす
   る請求項１記載の液晶パネル。
3. 【請求項３】 前記パネルは、液晶を注入する開口部側
   にいずれかの基板が突出しており、該突出部の開口部側
   表面上に開口部を囲むように堤防枠を形成し、該堤防枠
   で囲われた部分に液晶を塗布できることを特徴とする請
   求項２記載の液晶パネル。
4. 【請求項４】 前記スペーサが、液晶を注入する開口部
   を形成した辺に対して略垂直なストライプ状に形成され
   ることを特徴とする請求項１、２又は３記載の液晶パネ
   ル。
5. 【請求項５】 前記パネルが矩形状に形成されており、
   一組の対向辺に設けた２つの開口部が液晶を注入する注
   入口であり、他の一組の対向辺に設けた２つの開口部
   は、前記内部空間の排気を行う排気口であることを特徴
   とする請求項１〜４のいずれかに記載の液晶パネル。
6. 【請求項６】 一組の対向辺に設けた排気用の開口部
   を、前記各対向辺の略中央部に設けてなることを特徴と
   する請求項５記載の液晶パネル。
7. 【請求項７】 前記排気用の２つの開口部を結ぶ空間
   を、液晶の注入中は排気可能にするスペーサ非介在領域
   としたことを特徴とする請求項５又は６記載の液晶パネ
   ル。
8. 【請求項８】 少なくとも一方が透明板からなる一対の
   基板がスペーサを介在して貼り合わせて内部空間を有す
   るパネルを形成し、該内部空間に液晶を注入する液晶パ
   ネルの液晶注入方法において、 前記液晶パネルの一組の対向辺を含む少なくとも３つの
   辺に開口部をそれぞれ設けて、前記パネルの一組の対向
   辺を含む少なくとも２つの辺の開口部から前記内部空間
   に液晶を注入充填すると同時に残りの開口部から前記内
   部空間の排気を行うことを特徴とする液晶パネルの液晶
   注入方法。
9. 【請求項９】 液晶注入前に、液晶パネルの少なくとも
   １つの開口部から前記内部空間を減圧することを特徴と
   する請求項８記載の液晶パネルの液晶注入方法。
10. 【請求項１０】 前記減圧及び液晶注入の工程で、前記
    パネルを加熱することを特徴とする請求項８又は９記載
    の液晶パネルの液晶注入方法。
11. 【請求項１１】 前記液晶注入における前記パネルの加
    熱の際、注入される液晶が等方相になる温度以上にする
    ことを特徴とする請求項１０記載の液晶パネルの液晶注
    入方法。
12. 【請求項１２】 前記パネルの外部雰囲気を大気圧以上
    に設定して液晶注入を行うことを特徴とする請求項８〜
    １１のいずれかに記載の液晶パネルの液晶注入方法。
13. 【請求項１３】 減圧前に、前記液晶を注入する開口部
    の近傍に、前記内部空間を充填するに充分な総量の液晶
    を、前記開口部を閉塞させることなく塗布することを特
    徴とする請求項８〜１２のいずれかに記載の液晶パネル
    の液晶注入方法。
14. 【請求項１４】 減圧後に、前記液晶を注入する開口部
    に、前記内部空間を充填するに充分な総量の液晶を塗布
    することを特徴とする請求項８〜１２のいずれかに記載
    の液晶パネルの液晶注入方法。
15. 【請求項１５】 前記液晶パネルが矩形状に形成されて
    おり、一組の対向辺に設けた２つの開口部から前記内部
    空間への液晶の注入を行うと同時に、他の一組の対向辺
    に設けた２つの開口部から前記内部空間の排気を行うこ
    とを特徴とする請求項８〜１４のいずれかに記載の液晶
    パネルの液晶注入方法。