JP2001097745A - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Abstract
ガラス用中間膜としての基本的な性能に優れ、且つ、帯
電防止性に優れた合わせガラス用中間膜及びこの中間膜
を用いた合わせガラスを提供することを課題とする。 【解決手段】 ポリビニルアセタール樹脂100重量部
と、トリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエ
ートを0.1〜5.0重量%含有するトリエチレングリ
コールジ2−エチルヘキサノエート20〜60重量部と
を主成分とする合わせガラス用中間膜であって、ナトリ
ウム(Na)を5〜50ppm及び/又はカリウム
(K)を5〜100ppm含有することを特徴とする合
わせガラス用中間膜及びこの中間膜を用いた合わせガラ
ス。
Description
間膜及びこの中間膜を用いた合わせガラスに関する。
ビニルアセタール中間膜が挟着されてなる合わせガラス
は、透明性、耐候性、接着性、耐湿性に優れ、しかも耐
貫通性に優れるためガラスが飛散しにくい等の理由か
ら、例えば自動車や建築物の窓ガラスに広く利用されて
いる。
に、ポリビニルアセタール樹脂及び可塑剤とを主成分と
しており、さらに紫外線吸収剤、酸化防止剤、接着力調
整剤等の添加剤とからなる。本発明で使用する可塑剤は
トリエチレングリコールジ2−エチルヘキサノエートで
あり、高沸点のため高温製膜時に大気中に放出されにく
く取り扱い性がよいとか、耐加水分解性に優れる等の利
点をもっている。
中間膜が帯電する傾向が強いことが問題となっていた。
すなわち、中間膜の製造工程において、主に巻き取り工
程で帯電により静電気が発生する。このことは、巻き取
り作業者の負担になるばかりでなく、ゴミを引きつけや
すくなるため品質面でもよくない。さらに、合わせガラ
ス製造時には、中間膜を伸展し加工するが、この時にも
帯電により同様の問題が発生する。
を中間膜中に添加するか表面に塗布する方法があるが、
帯電防止剤は極性が高いため、過剰な添加は耐湿性を損
なうとともにガラスへの接着力も変化させてしまう。
成分の含有量を一定の範囲とし、さらにアルカリ金属を
一定量含有する場合に、耐湿性、接着性を損なわずに帯
電を実用的に問題のないレベルに抑制することが可能で
あることが明らかとなった。ここで、帯電の実用的に問
題のないレベルとは、1.0×1013Ω/□未満であ
る。
果としては、例えば、特公平3−56545号公報に
は、C16〜C20の不飽和脂肪酸マルチエステルのモ
ノエステル種をマルチエステルと組み合わせることによ
り、耐貫通性およびポリカーボネートに対する剥離接着
力が向上する事が開示されているが、本発明とは、可塑
剤種類及び発明の効果ともに異なるものである。
問題点を解決するため、耐湿性、接着性、透明性、耐候
性等の合わせガラス用中間膜としての基本的な性能に優
れ、且つ、帯電防止性に優れた合わせガラス用中間膜及
びこの中間膜を用いた合わせガラスを提供することを課
題とする。
下、発明1という)による合わせガラス用中間膜は、ポ
リビニルアセタール樹脂100重量部と、トリエチレン
グリコールモノ2−エチルヘキサノエートを0.1〜
5.0重量%含有するトリエチレングリコールジ2−エ
チルヘキサノエート20〜60重量部とを主成分とする
合わせガラス用中間膜であって、ナトリウム(Na)を
5〜50ppm及び/又はカリウム(K)を5〜100
ppm含有することを特徴とする。
う)による合わせガラス用中間膜は、発明1の合わせガ
ラス用中間膜において、ポリビニルアセタール樹脂が、
ポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする。
う)による合わせガラスは、少なくとも一対のガラス間
に、発明1又は2による合わせガラス用中間膜を介在さ
せ、一体化させて成ることを特徴とする。以下、本発明
を詳細に説明する。
樹脂の製造方法としては、特に限定されず、例えば、ポ
リビニルアルコール(以下、PVAという)を温水に溶
解し、得られた水溶液を所定の温度、例えば0〜95℃
に保持しておいて、所要の酸触媒及びアルデヒドを加え
てアセタール化反応を進行させ、次いで反応温度を上げ
て熟成することにより反応を完結させ、その後、中和、
水洗及び乾燥を行ってポリビニルアセタール樹脂の粉末
を得る沈殿法等の方法が挙げられる。
おいて、PVAとしては、平均重合度500〜3000
のものが好ましく、平均重合度1000〜2500のも
のがより好ましい。PVAの平均重合度が500未満で
は、得られる合わせガラスの耐貫通性等が低下すること
があり、平均重合度が3000を超えると、合わせガラ
ス用中間膜の製造が困難となることがある。さらに、P
VAの鹸化度は、透明性や耐熱性の点から70モル%以
上のものが好ましい。
均アセタール化度は、40〜75モル%であることが好
ましい。ポリビニルアセタール樹脂の平均アセタール化
度が40モル%未満では、後述する可塑剤との相溶性が
低下することがあり、平均アセタール化度が75モル%
を超えると、ポリビニルアセタール樹脂の製造プロセス
が長時間を要することがある。
しては、n−ブチルアルデヒドでアセタール化して得ら
れるポリビニルブチラール樹脂(以下、PVBという)
が、製造が容易であり、且つ、これを用いることによ
り、中間膜とガラスとの接着力がより適正となり、又、
耐光性や耐候性等にもより優れたものとなるため好適に
用いられる。
して用いられるトリエチレングリコールジ2−エチルヘ
キサノエート(以下、3GOという)には、トリエチレ
ングリコールモノ2−エチルヘキサノエート(以下、3
GO−MEという)を0.1〜5.0重量%含有するこ
とが必要であり、後述するアルカリ金属との相乗効果
で、帯電防止性の良好な合わせガラス用中間膜を得るこ
とができる。3GO中の3GO−MEの含有量が0.1
重量%未満では、得られる中間膜の帯電防止性が不十分
であり、3GO中の3GO−MEの含有量が5.0重量
%を超えると、得られる中間膜の接着力の経時変化が発
生する。
述したポリビニルアセタール樹脂100重量部に対し
て、上記3GOが20〜60重量部添加されていること
が必要である。3GOの添加量が20重量部未満では、
得られる合わせガラスの耐貫通性等が低下し、3GOの
添加量が60重量部を超えると、得られる中間膜から3
GOがブリードアウトし易くなり、中間膜の透明性や接
着性が低下する。
コールと2−エチルヘキサン酸とを触媒の存在下で反応
させることにより製造することができ、当業者公知の方
法によって可能である。例えば、トリエチレングリコー
ル1モルに対し2〜2.5モルの2−エチルヘキサン酸
を加え、必要に応じて、触媒として硫酸、塩酸、燐酸等
の無機酸やp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸
等の有機酸を、全反応物質の0.01〜5.0重量%程
度添加する。このとき、反応系をトルエン、キシレン等
の溶媒で希釈しておいてもよい。また、反応物質の2−
エチルヘキサン酸自体が触媒であってもよい。この反応
は、常温常圧で行ってもよいが、反応の促進および生成
する水の除去等を考慮して、50〜300℃の高温で行
うことが好ましい。
て、上記3GOは、3GO−MEの含有量が0.1〜
5.0重量%であるため、反応を完全に進行させること
なく3GO−MEの含有量がこの範囲で存在する状態で
反応を停止させることが好ましい。反応停止後、中和、
水洗及び脱水を行い、次いで減圧乾燥又は蒸留処理を行
う。しかし、中間膜の製造に使用する3GO中の3G0
−MEの含有量が0.1〜5.0重量%の範囲であれば
よいため、例えば、高純度の3GOと3GO−ME成分
を多量に含む3GOとを混合することにより所望の3G
Oを得ることもできる。
リウム(Na)を5〜50ppm及び/又はカリウム
(K)を5〜100ppm含有することが必要である。
Na及び/又はKの含有量が5ppm未満では、得られ
る中間膜の帯電防止効果が不十分であり、Naの含有量
が50ppm及び/又はKの含有量が100ppmを超
えると、得られる中間膜の耐湿性や接着力が低下する。
樹脂を製造する場合に、中和工程で用いたアルカリの残
存成分であってもよいし、中間膜を製造する時に新たに
添加してもよい。
は、必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止
剤、接着力調整剤、着色剤等の各種添加剤の1種もしく
は2種以上を用いることができる。
例えば、チバ・ガイギー社製の「チヌビンP」「チヌビ
ン320」「チヌビン326」「チヌビン328」等の
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等が挙げられる。
ば、旭電化社製の「アデカスタブLA−57」等のヒン
ダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
えば、住友化学工業社製の「スミライザーBHT」、チ
バ・ガイギー社製の「イルガノックス1010」等のフ
ェノール系酸化防止剤等が挙げられる。
カルボン酸等の有機酸の金属塩、例えば、オクチル酸、
ヘキシル酸、酪酸、酢酸、蟻酸等のカリウム塩、ナトリ
ウム塩、マグネシウム塩等が挙げられ、接着力調整機能
及び耐湿性に優れていることから、C2 〜C10のカルボ
ン酸のマグネシウム塩の1種もしくは2種以上が好まし
く用いられる。具体的には、酢酸マグネシウム、プロピ
オン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸マグネシウ
ム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム等が挙げられ
る。
ビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.01〜
0.5重量部が好ましく、0.02〜0.2重量部がよ
り好ましい。添加量が0.01重量部未満では、接着力
調整効果が不十分となることがあり、添加量が0.5重
量部を超えると、得られる中間膜の接着力が低下するこ
とがあり、耐水性や透明性も損なわれることがある。ま
た、接着力調整剤としてアルカリ金属塩を使用する場合
には、中間膜中でのNa及び/又はKの含有量が前記し
た発明1の範囲を保つことに留意する必要がある。
ら公知の染料、顔料等を用いることができる。
方法は、特に限定されず、例えば、上記ポリビニルアセ
タール樹脂に所定量の3GOと、必要に応じて各種添加
剤の1種もしくは2種以上を配合し、この配合物を均一
に混練りした後、押し出し法、カレンダー法、プレス
法、キャスティング法、インフレーション法等によりシ
ート状に製膜することにより樹脂膜として得ることがで
きる。
いし、2層以上を積層して中間膜とされてもよい。
ず、合わせガラスとして最小限必要な耐貫通性や耐候性
等を考慮すると、実用的には0.3〜1.6mmである
ことが好ましい。
くとも一対のガラス間に、上述した発明1又は2による
合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなるこ
とを特徴とする。
えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、
網入り板ガラス、線入り板ガラス、熱線吸収板ガラス、
着色板ガラス等の無機ガラス又はポリカーボネート板、
ポリメチルメタクリレート板等の有機ガラスが挙げられ
る。
ては、特に限定されず、例えば、二枚のガラス板の間に
発明1又は2の合わせガラス用中間膜を介在させ、これ
をゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70〜110
℃の温度で予備接着し、次いで、オートクレーブもしく
はプレスを用いて、約120〜150℃の温度で、約1
0〜15kg/cm2 の圧力で本接着を行い、一体化さ
せることにより所望の合わせガラスを得ることができ
る。
め以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例のみ
に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は
「重量部」を意味する。
部を蒸留水に溶解し、この溶液に濃塩酸7.2部を加
え、11℃に冷却した状態で撹拌しつつ、ブチルアルデ
ヒド56.2部を滴下した。樹脂の沈殿が析出するのを
確認した後、さらに60部の濃塩酸を滴下しながら65
℃まで昇温し、2時間保持して反応を完結させた。その
後、反応母液を冷却し、苛性ソーダ及び重曹で中和した
後、水洗、乾燥を行って白色のPVB粉末を得た。
1GOを1.5重量%含有する3GOを40部、紫外線
吸収剤としてチバ・ガイギー社製「チヌビン328」を
0.2部、酸化防止剤として住友化学工業社製「スミラ
イザーBHT」を0.2部、及び接着力調整剤として酢
酸マグネシウム四水和物の25重量%水溶液0.23部
と2−エチル酪酸マグネシウムの35重量%水溶液0.
37部とを添加した混合物を、ラボプラストミルによっ
て760μmのシート状に成形し、合わせガラス用中間
膜とした。
ートガラスで挟み、この狭着体をゴムバッグ内に入れて
20torrの真空度で20分間保持した後、真空にし
たままの状態で90℃のオーブン内に入れ、30分間保
持した。次いで、真空バッグから取り出した挟着体を、
オートクレーブ内で温度150℃、圧力13kg/cm
2 の条件で熱プレスし、合わせガラスを得た。
量、2.帯電性)及び(3)で得られた合わせガラスの
性能(3.耐湿性、4.接着性)を以下の方法で評価し
た。その結果は表2に示すとおりであった。
られた中間膜を、ICP発光分析法により評価した。 2.帯電性:(2)で得られた中間膜を、20℃、50
%RHの状態で1日間放置した後、表面固有抵抗を表面
抵抗測定装置(東亜電波工業社製、DMS−8103)
で測定した。表面固有抵抗が1.0×1013Ω/□未満
を良好とし、それ以上を不良とした。
スを、50℃、95%RHの雰囲気下に2週間放置した
後のガラス周縁端部の白化距離を測定した。上記白化距
離が2.0mm以下であれば良好とし、それを超えるも
のを不良とした。 4.接着性:(3)で得られた合わせガラスを、−18
℃±0.6℃の温度下に16時間放置して調整し、この
ガラスを頭部が0.45kgのハンマーで叩いて、ガラ
スが部分剥離した後の中間膜の露出度を予めグレード付
けした限度見本で判定し、その結果を下記表1に示す判
定基準に従ってパンメル値として表した。合わせガラス
にした場合の中間膜とガラスとの接着性は上記パンメル
値で評価した。表1に示すようにパンメル値が高いほど
中間膜とガラスとの接着力が大きく、パンメル値が低い
ほど中間膜とガラスとの接着力が小さい。さらに、同様
な評価を50℃で4週間放置した合わせガラスについて
も行い、上記パンメル値の変動が1以下であれば良好と
し、それを超えるものを不良とした。
ガラス用中間膜の製造において、可塑剤として、表2に
示した含有量の3GO−MEを含有する3GOを用いた
こと以外は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間
膜及び合わせガラスを得た。その性能を実施例1と同様
にして評価し、結果を表2に示した。
おいて、樹脂の水洗時間を長時間にして、表2に示した
中間膜中のNa含有量となるPVBを得たこと以外は、
実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合わせ
ガラスを得た。その性能を実施例1と同様にして評価
し、結果を表2に示した。
成において、樹脂の水洗時間を短時間にして、表2に示
した中間膜中のNa含有量となるPVBを得たこと以外
は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合
わせガラスを得た。その性能を実施例1と同様にして評
価し、結果を表2に示した。
の合成において、樹脂の中和剤として水酸化カリウム及
び炭酸カリウムを用い、水洗時間を変化させて、表2に
示した中間膜中のK含有量となるPVBを得たこと以外
は、実施例1と同様にして合わせガラス用中間膜及び合
わせガラスを得た。その性能を実施例1と同様にして評
価し、結果を表2に示した。
施例の合わせガラス用中間膜は、帯電防止性及び耐湿性
に優れ、また、本発明による実施例の合わせガラスは、
初期に適正なパンメル値、即ち中間膜とガラスとの接着
力を示し、またパンメル値の経時変化もない。
含有量が0.1重量%未満である比較例1の中間膜は帯
電防止性が劣り、逆に、3GO中の3GO−MEの含有
量が5.0重量%を超える比較例2の中間膜はパンメル
値即ち接着力が経時変化する。
ppm未満である比較例3又は5の中間膜は帯電防止性
が劣り、逆に、含有量が50ppm又は100ppmを
超える比較例4又は6の中間膜は耐湿性が劣る。
ス用中間膜は、接着性、耐湿性等の合わせガラス用中間
膜としての基本的で重要な性能を満足し、且つ、帯電防
止性に優れるので、中間膜や合わせガラスの製造作業者
が静電気により不快に感じることもなく、またゴミ等を
引きつけることによる品質上の問題も少ない。従って、
本発明の合わせガラス用中間膜及び合わせガラスは、加
工性に優れており、自動車用や建築用等の窓ガラス用等
として好適に用いられる。
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリビニルアセタール樹脂100重量部
と、トリエチレングリコールモノ2−エチルヘキサノエ
ートを0.1〜5.0重量%含有するトリエチレングリ
コールジ2−エチルヘキサノエート20〜60重量部と
を主成分とする合わせガラス用中間膜であって、ナトリ
ウム(Na)を5〜50ppm及び/又はカリウム
(K)を5〜100ppm含有することを特徴とする合
わせガラス用中間膜。 - 【請求項2】 ポリビニルアセタール樹脂が、ポリビニ
ルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1記載
の合わせガラス用中間膜。 - 【請求項3】 少なくとも一対のガラス間に、請求項1
又は2記載の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化
させて成ることを特徴とする合わせガラス。
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JP28031099A JP4216969B2 (ja) | 1999-09-30 | 1999-09-30 | 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス |
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