JP2001096590A - スライドコアガイドユニット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボルト膨大頭部又はナット収容凹所を簡単に
形成できるスライドコアガイドユニットを提供するこ
と。 【解決手段】 スライドコアガイドユニット１は、互い
に対向した一対の案内溝２及び３を有しており、エジェ
クタ板４に固着されるベース５と、ベース５の案内溝２
及び３の夫々に、エジェクタ板４の移動方向Ａに対して
直交する方向Ｂに摺動自在に配されていると共に、夫々
軸受孔６及び７を有したスライド板８及び９と、スライ
ド板８及び９の軸受孔６及び７に挿入されている軸１０
及び１１を一体的に有して、軸１０及び１１並びにスラ
イド板８及び９を介してベース５にＲ方向に回転自在に
且つエジェクタ板４の移動方向Ａに対して直交する方向
Ｂに直動自在に装着されており、傾斜ピン１２の一端１
３を孔１４で保持するピンホルダー１５とを具備してい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形金型のア
ンダーカット処理において、エジェクタ板の移動方向に
対して傾斜して受板を貫通した傾斜ピンを介してスライ
ドコアの移動を案内するために用いられるスライドコア
ガイドユニットに関する。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】特許第２５２３０９３
号掲載公報に記載のスライドコアガイドユニットは、互
いに対向した一対の案内溝を有したベースと、このベー
スの各案内溝に摺動自在に配されていると共に軸受孔を
有した一対のスライド板と、このスライド板の夫々の軸
受孔に嵌装されている軸を有したピンホルダーとを具備
している。斯かるスライドコアガイドユニットは、その
ベースをエジェクタ板に固着し、そのピンホルダーを傾
斜ピンの一端に連結して、射出成形金型機構に用いられ
る。

【０００３】スライドコアガイドユニットにおいては、
上記のようにエジェクタ板に固着するために、ベースに
は、案内溝と共に、固着用のボルトを挿通する貫通孔が
予め形成されるのであるが、エジェクタ板の設置空間と
の関連でベースの厚みは大きく制限される結果、この貫
通孔は、ベースにおいて、案内溝が形成された内側面と
反対側の外側面に近接して形成されることになる。

【０００４】そして、膨大頭部を通常有している固着用
のボルトをメクラねじとするために、ベースには、貫通
孔の形成と共にボルトの膨大頭部を収容する凹所をも貫
通孔に連通して形成されるが、上記のように、貫通孔が
外側面に近接して形成されると、凹所の形成領域と外側
面との間に十分な距離を確保することができなくなり、
ドリルによる凹所の形成を、慎重に位置決めして比較的
低速でドリルを回転させるようにしてゆっくりと行わな
いと、外側面を外側に膨らませて、外側面の平坦度に影
響を与え、エジェクタ板への装着を困難にしたり、場合
により、外側面を突き破って、外側面にバリなどを生じ
させる虞がある。

【０００５】なお、固着用のボルトに螺合するナットを
収容する凹所を貫通孔に連通してベースに形成する場合
にも、同様な問題が生じ得る。

【０００６】本発明は、前記諸点に鑑みてなされたもの
であって、その目的とするところは、ボルト膨大頭部又
はナット収容凹所を上記のような問題を考慮することな
しに簡単に形成できるスライドコアガイドユニットを提
供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の第一の態様のス
ライドコアガイドユニットは、射出成形金型のアンダー
カット処理において、エジェクタ板の移動方向に対して
傾斜して受板を貫通した傾斜ピンを介してスライドコア
の移動を案内するために用いられるスライドコアガイド
ユニットであって、互いに対向して一対の案内溝を有し
ており、エジェクタ板に固着されるベースと、このベー
スの各案内溝に、エジェクタ板の移動方向に対して交差
する方向に摺動自在に配されていると共に、軸受孔を有
したスライド板と、このスライド板の軸受孔に挿入され
ている軸を有して、この軸及びスライド板を介してベー
スに回転自在に且つエジェクタ板の移動方向に対して交
差する方向に直動自在に装着されており、傾斜ピンの一
端を保持するピンホルダーとを具備しており、ベース
は、互いに対向して配されて、対向内側面の夫々に案内
溝が形成された一対のベース部材を具備しており、各ベ
ース部材は、当該ベース部材をエジェクタ板に固着する
ためのボルトを挿通する貫通孔と、この貫通孔に連通し
ており、ボルトの膨大頭部又はナットを受容する凹所と
を有しており、この凹所は、案内溝が形成された内側面
と反対側のベース部材の外側面で外部に開口している。

【０００８】第一の態様のスライドコアガイドユニット
によれば、ボルトの膨大頭部又はナットを受容する凹所
がベース部材の外側面で外部に開口しているために、外
側面を外側に膨らませないように、また、外側面を突き
破らないように、注意をもって凹所を形成する必要がな
くなり、したがって、簡単に迅速に凹所を形成でき、作
業効率を向上させることができる。

【０００９】本発明の第二の態様のスライドコアガイド
ユニットでは、第一の態様のスライドコアガイドユニッ
トにおいて、凹所は、その輪郭が平面からみてＵ字状に
なって、形成されている。

【００１０】第二の態様のスライドコアガイドユニット
によれば、凹所の形成が更に容易となり、作業効率を更
に向上させることができる。なお、凹所は、案内溝が形
成された内側面でも外部に開口して形成されていてもよ
く、この場合には、その輪郭は、平面からみて矩形状に
なる。

【００１１】本発明の第三の態様のスライドコアガイド
ユニットでは、第一又は第二の態様のスライドコアガイ
ドユニットにおいて、各ベース部材は、一対のベース部
材を橋絡して互いに連結する連結部材を具備している。

【００１２】本発明では、一対のベース部材を第三の態
様のように連結部材により互いに連結するのが好ましい
のであるが、これに代えて、一対のベース部材を、これ
らに一体的に形成された底壁部により連結して、ベース
を一体形成物から構成してもよく、この場合には、連結
部材を省き得る。

【００１３】本発明の第四の態様のスライドコアガイド
ユニットでは、第一から第三のいずれかの態様のスライ
ドコアガイドユニットにおいて、軸には、環状溝が形成
されて、この環状溝において制動リングが装着されてお
り、制動リングは、ベースに対するピンホルダーの回転
に制動を与えるようになっている。

【００１４】第四の態様のスライドコアガイドユニット
によれば、ベースに対するピンホルダーの回転に対して
制動リングにより制動を与えるために、この制動を所望
の一定の値にでき、而して、ピンホルダーが自重などで
勝手にふらふらと回転することを確実になくして、ピン
ホルダーを所望位置に保持することができる結果、傾斜
ピンの一端のピンホルダーの孔への挿入を容易にでき、
組立作業能率を向上させることができると共に、ピンホ
ルダーとスライド板との相互の組み付け後の幅精度等に
影響を与えることがなく、しかも、環状溝において制動
リングが軸に装着されているために、制動リングを所定
位置に保持できる。

【００１５】なお、制動リングとしては、ゴム等の弾性
材からなるＯリングで構成するのが好ましく、また、ピ
ンホルダーは、ホルダー本体を具備して構成して、軸を
このホルダー本体に一体的に形成するのが好ましい。

【００１６】

【発明の実施の形態】次に本発明及びその実施の形態
を、図に示す好ましい例を参照して説明する。なお、本
発明はこれら例に何等限定されないのである。

【００１７】図１から図６において、本例のスライドコ
アガイドユニット１は、互いに対向した一対の案内溝２
及び３を有しており、後述のエジェクタ板４に固着され
るベース５と、ベース５の案内溝２及び３の夫々に、エ
ジェクタ板４の移動方向Ａに対して交差、本例では直交
する方向Ｂに摺動自在に配されていると共に、夫々軸受
孔６及び７を有したスライド板８及び９と、スライド板
８及び９の軸受孔６及び７に挿入されている軸１０及び
１１を一体的に有して、軸１０及び１１並びにスライド
板８及び９を介してベース５にＲ方向に回転自在に且つ
エジェクタ板４の移動方向Ａに対して交差、本例では直
交する方向Ｂに直動自在に装着されており、後述の傾斜
ピン１２の一端１３を孔１４で保持するピンホルダー１
５と、傾斜ピン１２の、その軸心回りでの回転を防止す
るキー部材１６とを具備している。

【００１８】ベース５は、夫々断面コ字形状を有して、
互いに対向して配された一対のベース部材２１及び２２
と、一対のベース部材２１及び２２を橋絡して互いに連
結する連結部材２３及び２４とを具備しており、一対の
ベース部材２１及び２２の対向内側面２５及び２６の夫
々に、案内溝２及び３が形成されている。連結部材２３
は、ベース部材２１及び２２の一方の端面２７及び２８
に配されて、当該端面２７及び２８にボルト２９により
固着されており、連結部材２４も、ベース部材２１及び
２２の他方の端面３０及び３１に配されて、当該端面３
０及び３１にボルト３２により固着されている。

【００１９】ベース部材２１及び２２の夫々は、ベース
５をエジェクタ板４に固定するためのボルト３３の夫々
を挿通するための複数の貫通孔３４と、対応の貫通孔３
４に連通しており、本例ではボルト３３の膨大頭部３５
を受容する凹所３６とを有しており、各凹所３６は、案
内溝２及び３が形成された内側面２５及び２６と反対側
のベース部材２１及び２２の外側面３７及び３８で外部
に開口しており、その輪郭が平面からみて、すなわち図
３に示すように、Ｕ字状になって、形成されている。

【００２０】なお、ベース部材２１及び２２の夫々に
は、貫通孔３４を間にして位置決め用の貫通孔８１が複
数個形成されている。

【００２１】軸受孔６及び７を夫々有したスライド板８
及び９の夫々は、矩形状又は短冊形状を有しており、ス
ライド板８及び９の夫々において、ベース部材２１及び
２２並びにピンホルダー１５に対面する夫々の面には、
これらとの間で滑らかな摺動を得るために、円形の固体
潤滑体３９が複数個分散して且つ露出して埋め込まれて
いる。

【００２２】ピンホルダー１５は、ほぼ直方体形状を有
したホルダー本体４０を具備しており、ホルダー本体４
０には、その両側面４１及び４２の夫々に軸１０及び１
１が一体的に形成されており、当該ホルダー本体４０に
孔１４が形成されている。

【００２３】軸１０及び１１の夫々には、環状溝５１及
び５２が形成されており、環状溝５１及び５２において
弾性を有するＯリングからなる制動リング５３及び５４
が装着されており、制動リング５３及び５４は、その外
周面５５及び５６が、軸受孔６及び７においてスライド
板８及び９の夫々に弾性的に接触して、スライド板８及
び９に対するピンホルダー１５のＲ方向の回転に摩擦抵
抗力を与えて、ベース５に対するピンホルダー１５のＲ
方向の回転に制動を与えるようになっている。

【００２４】ホルダー本体４０に形成された長溝５７に
装着されたキー部材１６は、孔１４において、ホルダー
本体４０に形成された段部５８に着座すると共に、傾斜
ピン１２の一端１３に形成された溝５９に嵌合して、傾
斜ピン１２がその軸心回りで回転することを防止するよ
うになっている。

【００２５】スライドコアガイドユニット１は、図７及
び図８に示すように、ベース５がボルト３３によりエジ
ェクタ板４に固着され、ピンホルダー１５が傾斜ピン１
２の一端１３を保持するようにして、射出成形金型機構
のアンダーカット処理において、傾斜ピン１２を介して
射出成形金型機構のスライドコア６２の移動を案内する
ために、用いられる。この際、傾斜ピン１２の一端１３
には、ボルト６０が螺合されて、当該一端１３が孔１４
から抜け出さないようにされる。

【００２６】射出成形金型６１は、可動側型板６３と、
固定の受板６４と、前記のスライドコア６２とからな
り、本例ではアンダーカット部６５をもった製品６６を
成形するようになっており、傾斜ピン１２は、エジェク
タ板４の移動方向Ａに対して傾斜して且つガイドブッシ
ュ７１を介して摺動自在に受板６４を貫通して配されて
おり、傾斜ピン１２の他端７２には、スライドコア６２
が固着されている。

【００２７】アンダーカット部６５をもった製品６６の
成形後の脱型に際して、図７に示す状態から、可動側型
板６３をＡ方向に向かって移動させると共に、これと同
期して、エジェクタ板４を同方向に移動させることによ
り、スライドコアガイドユニット１がＡ方向に移動し、
傾斜ピン１２がガイドブッシュ７１を介して受板６３に
対して滑動して、スライドコア６２を受板６４から離反
させる。この離反において、図８に示すように、傾斜ピ
ン１２の他端７２がＢ方向に移動して、スライドコア６
２をアンダーカット部６５から離反させ、製品６６を取
り出し可能とする。スライドコアガイドユニット１は、
他端７２のＢ方向の移動の際、一端１３のエジェクタ板
４に対するＢ方向の移動を、ピンホルダー１５のスライ
ド板８及び９を介する案内溝２及び３に沿うＢ方向の移
動で案内する。

【００２８】ところで、射出成形金型６１を具備した射
出成形金型機構にスライドコアガイドユニット１を用い
る場合には、上記のようにベース５をボルト３３により
エジェクタ板４に固着するのであるが、スライドコアガ
イドユニット１では、ボルト３３の膨大頭部３５を受容
する各凹所３６がベース部材２１及び２２の外側面３７
及び３８で外部に開口しているために、外側面３７及び
３８を外側に膨らませないように、また、外側面３７及
び３８を突き破らないように、注意をもって各凹所３６
を形成する必要がなくなり、したがって、簡単に迅速に
凹所３６を形成でき、作業効率を向上させることができ
る。

【００２９】しかも、スライドコアガイドユニット１で
は、各凹所３６と外側面３７及び３８との間に介在する
ベース部材２１及び２２の肉厚を考慮する必要がなくな
るために、スライドコアガイドユニット１自体の幅を狭
くできて、コンパクトなスライドコアガイドユニットを
提供することができる。

【００３０】また、射出成形金型６１を具備した射出成
形金型機構にスライドコアガイドユニット１を用いる場
合には、上記のようにベース５をボルト３３によりエジ
ェクタ板４に固着し、傾斜ピン１２の一端１３をピンホ
ルダー１５の孔１４に固定して保持するのであるが、ス
ライドコアガイドユニット１においては、制動リング５
３及び５４によりベース５に対するピンホルダー１５の
Ｒ方向の回転に制動が与えられるために、この制動を所
望の一定の値にでき、而して、ピンホルダー１５が自重
などで勝手にふらふらとＲ方向に回転することを確実に
なくして、ピンホルダー１５を所定位置に保持すること
ができる結果、傾斜ピン１２の一端１３のピンホルダー
１５の孔１４への挿入を容易にでき、作業能率を向上さ
せることができると共に、ピンホルダー１５とスライド
板８及び９との相互の組み付け後の幅精度等に影響を与
えることがなく、しかも、環状溝５１及び５２において
制動リング５３及び５４が軸１０及び１１に装着されて
いるために、制動リング５３及び５４を所定位置に保持
できる。

【００３１】なお、上記の例では、スライド板８及び９
を、エジェクタ板４の移動方向Ａに対して直交する方向
Ｂに摺動自在にしたが、本発明はこれに限定されず、エ
ジェクタ板４の移動方向Ａに対して直交する方向Ｂ以外
の斜め方向に摺動自在にしてもよい。

【００３２】

【発明の効果】本発明によれば、簡単に製造できて作業
時間を短縮でき、しかも、歩留まりのよいボルト膨大頭
部又はナット収容凹所を具備したスライドコアガイドユ
ニットを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の好ましい一実施の形態の例の斜視図で
ある。

【図２】図１に示す例の一部の分解斜視図である。

【図３】図１に示す例の平面図である。

【図４】図３に示すＩＶ−ＩＶ線断面図である。

【図５】図３に示すＶ−Ｖ線断面図である。

【図６】図３に示すＶＩ−ＶＩ線断面図である。

【図７】図１に示す例を射出成形型に用いた例の説明図
である。

【図８】図７に示す例の動作説明図である。

【符号の説明】

１ スライドコアガイドユニット ２、３ 案内溝 ５ ベース ６、７ 軸受孔 ８、９ スライド板 １０、１１ 軸 １５ ピンホルダー ２１、２２ ベース部材 ３４ 貫通孔 ３６ 凹所

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 射出成形金型のアンダーカット処理にお
   いて、エジェクタ板の移動方向に対して傾斜して受板を
   貫通した傾斜ピンを介してスライドコアの移動を案内す
   るために用いられるスライドコアガイドユニットであっ
   て、互いに対向して一対の案内溝を有しており、エジェ
   クタ板に固着されるベースと、このベースの各案内溝
   に、エジェクタ板の移動方向に対して交差する方向に摺
   動自在に配されていると共に、軸受孔を有したスライド
   板と、このスライド板の軸受孔に挿入されている軸を有
   して、この軸及びスライド板を介してベースに回転自在
   に且つエジェクタ板の移動方向に対して交差する方向に
   直動自在に装着されており、傾斜ピンの一端を保持する
   ピンホルダーとを具備しており、ベースは、互いに対向
   して配されて、対向内側面の夫々に案内溝が形成された
   一対のベース部材を具備しており、各ベース部材は、当
   該ベース部材をエジェクタ板に固着するためのボルトを
   挿通する貫通孔と、この貫通孔に連通しており、ボルト
   の膨大頭部又はナットを受容する凹所とを有しており、
   この凹所は、案内溝が形成された内側面と反対側のベー
   ス部材の外側面で外部に開口しているスライドコアガイ
   ドユニット。
2. 【請求項２】 凹所は、その輪郭が平面からみてＵ字状
   になって、形成されている請求項１に記載のスライドコ
   アガイドユニット。
3. 【請求項３】 各ベース部材は、一対のベース部材を橋
   絡して互いに連結する連結部材を具備している請求項１
   又は２に記載のスライドコアガイドユニット。
4. 【請求項４】 軸には、環状溝が形成されて、この環状
   溝において制動リングが装着されており、制動リング
   は、ベースに対するピンホルダーの回転に制動を与える
   ようになっている請求項１から３のいずれか一項に記載
   のスライドコアガイドユニット。
5. 【請求項５】 請求項１から４のいずれか一項に記載の
   スライドコアガイドユニットを用いた射出成形金型機
   構。