JP2013151095A - スライドコアガイドユニット - Google Patents

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Katsuki Umehara
克樹 梅原
Masaki Mochimaru
昌己 持丸
Hideki Kiriaki
秀樹 桐明
Junichi Misehashi
純一 店橋
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Abstract

【課題】ピンホルダへ傾斜ピンを装着する際の作業性がよく、かつ高強度なスライドコアガイドユニットを提供する。
【解決手段】スライドコアガイドユニットに用いるスライドプレート3には、トラニオン挿入穴32、トラニオン挿入穴32の内壁面321に開口した貫通穴35が形成され、貫通穴35内には、トラニオン挿入穴32側から、スライド可能なボール41、バネ42、トラニオン挿入穴32に向けてバネ42を押し込むピン43が配置されている。ボール41は、バネ42の弾性力でトラニオン挿入穴32の内壁面321から突出しているが、ピンホルダ2のトラニオン部22がトラニオン挿入穴32に挿入されるとピン43側に押し戻されてバネ42を圧縮する。圧縮されたバネ42は、弾性力Fでボール41をトラニオン部22の外周面222に押し当て、トラニオン部22をトラニオン挿入穴32の内壁面321に押し付ける。
【選択図】図6

Description

本発明は、成型品のアンダーカット部を取り出すための傾斜ピンを案内するスライドコアガイドユニットに関し、特に、傾斜ピンが装着されるピンホルダの転び防止機構の構造にする。
スライドベースに対するピンホルダのふらつき(いわゆる転び)を防止可能なスライドコアガイドユニットとして、特許文献1記載のスライドコアガイドユニットが知られている。このスライドコアガイドユニットにおいては、傾斜ピンを保持するためのピンホルダの両側に設けられたトラニオン部(回転軸)の外周に環状の溝が切られており、これらの溝にそれぞれOリングがはめ込まれている。ピンホルダの各トラニオン部は、Oリングが装着された状態で、スライドベースのガイド溝により案内されるスライドプレートの貫通穴に挿入されている。
このような構造とすることにより、Oリングとスライドプレートの貫通穴の内周面との間に摩擦抵抗が発生するため、ピンホルダは、スライドプレートに対して回転可能に保持されつつ、スライドプレートに対する回転に適度な制動力が与えられる。このため、スライドプレートに対するピンホルダのふらつき、つまり、スライドベースに対するピンホルダのふらつきが防止され、ピンホルダへの傾斜ピンの装着中、スライドベースに対するピンホルダの姿勢が保持される。これにより、ピンホルダへの傾斜ピンの装着時における作業効率が向上する。
特開2001−79898号公報
上記従来のスライドコアガイドユニットにおいては、Oリングをはめ込むための溝をピンホルダの各トラニオン部の外周に形成する必要がある。例えば、スライドコアガイドユニットの小型化にともない、ピンホルダのトラニオン部(回転軸)が小径化された場合、このようなOリング用の溝をピンホルダの各トラニオン部の外周に切ると、トラニオン部の強度に影響を与える可能性がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ピンホルダへ傾斜ピンを装着する際の作業性がよく、かつ高強度のスライドコアガイドユニットを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明においては、トラニオン挿入穴に挿入されたトラニオン部の外周面を、トラニオン挿入穴の内壁面側からの弾性力で押圧するピンホルダ転び防止機構をスライドプレートに設ける。
例えば、本発明のスライドコアガイドユニットは、
トラニオン部を有し、金型から成型品を取り出すための傾斜ピンを取り付けるためのピンホルダと、
前記トラニオン部が挿入されるトラニオン挿入穴が形成され、当該トラニオン挿入穴で前記トラニオン部を回転可能に支持しながら所定の方向に移動するスライドプレートと、
前記スライドプレートに設けられ、前記トラニオン挿入穴に挿入された前記トラニオン部の外周面を、前記トラニオン挿入穴の内壁面側からの弾性力で押圧するピンホルダ転び防止機構と、を備える。
本発明によれば、スライドプレートのトラニオン挿入穴にピンホルダのトラニオン部が挿入されると、スライドプレートに設けられたピンホルダ転び防止機構が、トラニオン挿入穴の内壁面側からの弾性力でトラニオン部の外周面を押圧して、スライドプレートのトラニオン挿入穴内でのピンホルダのトラニオン部の回転を阻止する摩擦抵抗を発生させる。このため、ピンホルダのトラニオン部に溝加工等の機械加工を施さなくても、スライドプレートに回転自在に保持されたピンホルダの、自重による回転が防止され、スライドベースに対するピンホルダの姿勢を保持することができる。したがって、金型から成型品を押し出すための傾斜ピンをピンホルダへ装着する際の作業性がよい高強度なスライドコアガイドユニットを実現することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るスライドコアガイドユニット1の外観図である。 図2(A)は、図1に示したスライドコアガイドユニット1の上面図であり、図2(B)は、図2(A)に示すスライドコアガイドユニット1のA−A断面図であり、図2(C)は、図2(A)に示すスライドコアガイドユニット1のB−B断面図である。 図3(A)は、スライドベース5の上面図であり、図3(B)および(C)は、図3(A)に示すスライドベース5のC−C断面図およびD−D断面図であり、図3(D)は、スライドベース5の右側面図である。 図4(A)、(B)および(C)は、スライドプレート3の外観図、上面図および側面図であり、図4(D)は、図4(B)に示すスライドプレート3のE−E断面図であり、図4(E)は、ピンホルダ転び防止機構4の構成を説明するための図4(C)に示すスライドプレート3のF−F断面の拡大図である。 図5(A)、(B)、(C)および(D)は、平行キー7が取り付けられたピンホルダ2の外観図、正面図、側面図および上面図であり、図5(E)は、図5(D)に示すピンホルダ2のG−G断面図である。 図6(A)は、スライドベース5へのピンホルダ2の組み込み手順の例を説明するための図であり、図6(B)および(C)は、スライドプレート3のピンホルダ転び防止機構収容穴35内でのピンホルダ転び防止機構4の動きを説明するための図である。 図7(A)、(B)および(C)は、本発明の実施の形態に係るピンホルダ転び防止機構の変形例の構成を説明するための図である。
以下に、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
まず、本実施の形態に係るスライドコアガイドユニット1の構成について説明する。
図1は、本実施の形態に係るスライドコアガイドユニット1の外観図であり、図2(A)は、このスライドコアガイドユニット1の上面図である。また、図2(B)は、図2(A)に示すスライドコアガイドユニット1のA−A断面図であり、図2(C)は、図2(A)に示すスライドコアガイドユニット1のB−B断面図である。
図示するように、本実施の形態に係るスライドコアガイドユニット1は、金型から成型品を取り出す傾斜ピン9を保持するためのピンホルダ2と、ピンホルダ2を回転可能に保持する1対のスライドプレート3と、金型から成型品を取り出す方向に沿ってスライドプレート3を案内するスライドベース5と、傾斜ピン9をピンホルダ2に固定するための六角穴付きボルト6と、傾斜ピン9の回り止め用の平行キー7および平行キー7用の固定ネジ8と、を備えている。また、図1および図2には図示していないが、このスライドコアガイドユニット1は、さらに、少なくとも一方のスライドプレート3に組み込まれ、このスライドプレート3に対するピンホルダ2の自重による回転(いわゆる転び)を阻止するトラニオン押さえ機構4を備えている(図4(E)参照)。
ここで、このスライドコアガイドユニット1の保持対象となる傾斜ピン9の一方の端部(金型から成型品を突き出す側の端部の反対側端部:以下、固定端部)91の外周には、平行キー7に接触する平坦な切り欠き部92が形成されており、さらに、この固定端部91側の端面93には、六角穴付きボルト6が締結されるネジ穴94が形成されている。
スライドコアガイドユニット1の構成2〜8の詳細は以下のとおりである。
図3(A)は、スライドベース5の上面図であり、図3(B)および(C)は、図3(A)に示すスライドベース5のC−C断面図およびD−D断面図であり、図3(D)は、スライドベース5の右側面図である。
スライドベース5は、不図示の成型機に取り付けられるエジェクタプレートに組み込まれる。図示するように、このスライドベース5は、所定の間隔T1をおいて配置された1対のベースブロック51と、これらのベースブロック51を連結する2本のスペーサ52および4本の固定ネジ53と、を有している。
各ベースブロック51には、それぞれ、エジェクタプレートへの取付け面として利用可能な両端面513A,513Bを貫通した複数のネジ穴515が形成されている。2つのベースブロック51のいずれか一方の端面513A,513Bを取付け面としてエジェクタプレートに接触させた状態で、2つのベースブロック51の各ネジ穴515に、エジェクタプレートの対応貫通穴に挿入した取付けネジを締結する、または、2つのベースブロック51の各ネジ穴515に挿入した取付けネジをエジェクタプレートの対応ネジ穴に締結することによって、スライドベース5はエジェクタプレートに固定される。
また、2つのベースブロック51の対向面(互いに他のベースブロック51側に向けられた面)512には、それぞれ、ピンホルダ2の移動方向に沿ったガイド溝511が形成されている。このガイド溝511は、他方のベースブロック51との対向面512と隣り合う両側面517において開口している。このガイド溝511には、ベースブロック51の側面517側からスライドプレート3が挿入され、スライド可能に収容される(図2(C)参照)。なお、図3には、一例として、ベースブロック51の端面513A,513Bに対してガイド溝511が傾斜している場合を示しているが、ベースブロック51の端面513A,513Bとガイド溝511との角度は、成型品のアンダーカット部の形状等に応じて適宜定められる。
2つのベースブロック51の両側面517には、それぞれ、他方のベースブロック51側のネジ穴と対応する高さの位置にネジ穴(不図示)が形成されている。
2本のスペーサ52には、2つのベースブロック51の間に保持すべき間隔T1に応じた間隔で貫通穴522が形成されている。これらのスペーサ52は、それぞれ、対向配置された2つのベースブロック51の側面517間にかけ渡され、各貫通穴522に挿入された固定ネジ53とベースブロック51の側面517のネジ穴(不図示)との締結によって固定される。これにより、2つのベースブロック51が、所定の間隔T1をおいた位置で固定される。
図4(A)、(B)および(C)は、スライドプレート3の外観図、上面図および側面図であり、図4(D)は、図4(B)に示すスライドプレート3のE−E断面図である。
2枚のスライドプレート3は、1枚ずつ、2つのベースブロック51の側面517側からガイド溝511に挿入され、ピンホルダ2を保持した状態で、2つのベースブロック51のガイド溝511内にスライド可能に収容されている(図2(C)参照)。図示するように、各スライドプレート3の表面31A,31Bのうち、少なくとも、ベースブロック51のガイド溝511の溝底5112と摺動する一方の表面(図4においては31A)には、表面に露出する固体潤滑剤33が埋め込まれている。同様に、各スライドプレート3の端面31C〜31Fのうち、スライドベース5のガイド溝511の側壁5111と摺動する端面31C,31Dにも、表面に露出する固体潤滑剤33が埋め込まれている。
各スライドプレート3には、一方の表面31Aから他方の表面31Bに貫通したトラニオン挿入穴32が形成されている。このトラニオン挿入穴32内には、ピンホルダ2のトラニオン部22が回転可能に挿入される(図2(C)参照)。また、2枚のスライドプレート3のうち、少なくとも一方のスライドプレート3には、いずれかの端面(例えば、スライドベース5のガイド溝511の側壁5111に接触しない端面31E)とトラニオン挿入穴32の内壁面321とを貫くピンホルダ転び防止機構収容穴35が、少なくとも一つ形成されている。このピンホルダ転び防止機構収容穴35内にはピンホルダ転び防止機構4が組み込まれている。ピンホルダ転び防止機構4を構成する後述のボール41がスライド可能に収容され、かつ、トラニオン挿入穴32側に抜け落ちずに、その一部のみがトラニオン挿入穴32の内壁面321からトラニオン挿入穴32内部に突き出すように、このピンホルダ転び防止機構収容穴35は、ピンホルダ転び防止機構4を構成する後述のボール41よりも大径であるが、トラニオン挿入穴32側の縁部351のみ、ピンホルダ転び防止機構4を構成する後述のボール41よりも小径とされている。
図5(A)、(B)、(C)および(D)は、平行キー7が取り付けられたピンホルダ2の外観図、正面図、側面図および上面図であり、図5(E)は、図5(D)に示すピンホルダ2のG−G断面図である。
ピンホルダ2は、スライドベース5の2つのベースブロック51間に、1対のスライドプレート3を介して回転およびスライド可能な状態で収容されている。図示するように、このピンホルダ2は、傾斜ピン9の固定端部91が固定されるブロック状のホルダ本体21と、ホルダ本体21の4つ側面211A〜211Dのうち、スライド方向に平行な、対向する2つの側面211A,211Bに一体的に形成された1対のトラニオン部(回転軸)22と、を備えており、ホルダ本体21の幅t1は、2つのベースブロック51の間隔T1よりも狭く、トラニオン部22の端面221間の距離t2は、2つのベースブロック51のガイド溝511の溝底5112間の距離T2よりも狭い。
ホルダ本体21には、成型機のキャビティ側に向けられる一方の端面(側面211A〜211D以外の面:以下、上面と呼ぶ)212Aにピン挿入穴214が形成されるとともに、上面212Aの反対側の面(底面)212Bに、ピン挿入穴214の底面2141を貫通する座繰り付きのボルト挿入穴215が形成されている。また、このホルダ本体21には、上面212A内においてピン挿入穴214の軸方向にピン挿入穴214の周面と一部接触する位置にキー溝216が形成されるとともに、トラニオン部22を備える側面211A,211B以外の側面211Cに、キー溝216の内壁を貫通するネジ挿入穴217が形成されている。
傾斜ピン9の固定端部91は、ホルダ本体21の上面212A側からピン挿入穴214に挿入され、六角穴付きボルト6は、ホルダ本体21の底面212B側からボルト挿入穴215に挿入され、ピン挿入穴214内の傾斜ピン9の端面93のネジ穴94に締結される。
平行キー7は、ホルダ本体21の上面212A側からキー溝216内に収容されており、固定ネジ8は、ホルダ本体21の側面211C側からネジ挿入穴217に挿入され、キー溝216内の平行キー7のネジ穴71に締結されている。このようにしてホルダ本体21に固定された平行キー7は、ホルダ本体21のピン挿入穴214に挿入される傾斜ピン9の切り欠き部92に面接触し、これにより、ホルダ本体21に対して所定の向きに傾斜ピン9を位置付けるとともに、ホルダ本体21に対する傾斜ピン9の回転を阻止する。
1対のトラニオン部22は、ホルダ本体21のピン挿入穴214を横切る共通の軸心Oを有している。これらのトラニオン部22は、2つのスライドベース5のガイド溝511内にスライド可能に収容されたスライドプレート3のトラニオン挿入穴32に回転可能に挿入されている。このため、ホルダ本体21のピン挿入穴214に挿入された傾斜ピン9は、セッティング時には、ピンホルダ2の軸心O回りの回転により、アンダーカットの角度に応じて傾斜角度を調整可能であり、アンダーカット処理中には、エジェクタプレートの移動に伴い、2つのスライドベース5のガイド溝511に沿ってピンホルダ2とともに往復移動する。
図4(E)は、ピンホルダ転び防止機構4の構成を説明するための図4(C)に示すスライドプレート3のF−F断面の拡大図である。
ピンホルダ転び防止機構4は、前述したように、スライドプレート3のピンホルダ転び防止機構収容穴35に収容されている。具体的には、スライドプレート3のピンホルダ転び防止機構収容穴35内に、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32側から順に、球状のコマ部材(以下、ボールと呼ぶ)41、バネ42、ピン43が配置されている。
ボール41は、スライドプレート3のピンホルダ転び防止機構収容穴35内に、トラニオン挿入穴32の径方向にスライド可能に収容されており、ピン43は、トラニオン挿入穴32に向けてバネ42を押し込むようにスライドプレート3の端面31E側からピンホルダ転び防止機構収容穴35に圧入されている。このため、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32内にピンホルダ2のトラニオン部22が未挿入の状態において、ボール41は、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32の内壁面321と反対側に配置されたバネ42の弾性力Fにより、スライドプレート3のピンホルダ転び防止機構収容穴35のトラニオン挿入穴側縁部351に押し付けられ、その一部がトラニオン挿入穴32の内壁面321からトラニオン挿入穴32の内部に突き出している(図6(B)参照)。なお、ピン43の外周面に雄ネジを形成し、ピンホルダ転び防止機構収容穴35の内周面に雌ネジを形成することにより、ネジ機構を利用して、バネ42の弾性力Fを調整可能としてもよい。
このような状態において、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32内にピンホルダ2のトラニオン部22が挿入されると、ボール41は、ピンホルダ2のトラニオン部22によってピン43側に押し戻され、ピン43との間でバネ42をさらに圧縮する(図6(C)参照)。圧縮されたバネ42は、弾性力Fにより、ボール41をピンホルダ2のトラニオン部22の外周面222に押し当て、ピンホルダ2のトラニオン部22を、ボール41の反対側において、トラニオン挿入穴32の内壁面321に押し付ける。
なお、本実施の形態においては、コマ部材としてボール41を用いているが、コマ部材の形状は、トラニオン挿入穴32側に抜け落ちずに、その一部のみがトラニオン挿入穴32の内部に突き出すのに適していればよい。例えばテーパ付きの円柱状等の、球状以外の形状であってもよい。また、コマ部材の素材は特に限定されず、例えば、樹脂、ゴム等の弾性体、金属等であってもよい。
つぎに、このようなスライドコアガイドユニット1の組立て順、および、スライドプレート3に組み込まれたピンホルダ転び防止機構4の機能について説明する。ただし、ここでは、予め組み立てられたスライドベース5を用いることとする。
図6(A)は、スライドベース5へのピンホルダ2の組み込み手順を説明するための図であり、図6(B)および(C)は、スライドプレート3のピンホルダ転び防止機構収容穴35内でのピンホルダ転び防止機構4の動きを説明するための図である。
図示するように、2枚のスライドプレート3のトラニオン挿入穴32内に、それぞれ、固体潤滑剤33が埋め込まれていない表面31B側から、ピンホルダ2のトラニオン部22を挿入する。
上述したように、2枚のスライドプレート3のうち、少なくとも一方のスライドプレート3にはピンホルダ転び防止機構4が組み込まれており、トラニオン挿入穴32にピンホルダ2のトラニオン部22が挿入されていない状態においては、図6(B)に示すように、ボール41が、バネ42の弾性力Fによってピンホルダ転び防止機構収容穴35のトラニオン挿入穴側縁部351に押し付けられ、その一部がトラニオン挿入穴32の内壁面321よりもトラニオン挿入穴32内側に突き出している。
ここで、このスライドプレート3のトラニオン挿入穴32にピンホルダ2のトラニオン部22が挿入されると、トラニオン挿入穴32内部に突き出しているボール41は、図6(C)に示すように、ピンホルダ2のトラニオン部22によってピンホルダ転び防止機構収容穴35内に押し戻され、ピン43との間でバネ42をさらに圧縮する。このため、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32にピンホルダ2のトラニオン部22が挿入された状態においては、圧縮されたバネ42の弾性力Fにより、ボール41が、ピンホルダ2のトラニオン部22の外周面222に押し当てられ、ピンホルダ2のトラニオン部22が、ボール41の反対側において、トラニオン挿入穴32の内壁面321に押し付けられている。これにより、ボール41とピンホルダ2のトラニオン部22の外周面222との間、および、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32の内壁面321とピンホルダ2のトラニオン部22の外周面222との間には、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32内におけるピンホルダ2のトラニオン部22の回転を阻止する適度な摩擦が発生している。このため、このようなスライドプレート3を用いることによって、ピンホルダ2の、自重による回転が防止される。
このようにしてピンホルダ2に2枚のスライドプレート3を組み付けたら、この組み付け体をスライドベース5のベースブロック51の間に収容する。具体的には、2本のスペーサ52のうち、いずれか一方のスペーサ52を2つのベースブロック51から外してから、2つのベースブロック51のガイド溝511にスライドプレート3が1枚ずつ挿入されるように、2つのベースブロック51の間に組立て体を挿入する。これにより、ピンホルダ2は、2枚のスライドプレート3に回転可能に支持された状態で、ガイド溝511に沿って移動可能に2つのベースブロック51間に収容される。
その後、外したスペーサ52を、再度、2本の固定ネジ53で2つのベースブロック51に固定する。これにより、スライドコアガイドユニット1が完成する。
以上説明したように、本実施の形態に係るスライドコアガイドユニット1に用いられるスライドプレート3には、トラニオン挿入穴32と、トラニオン挿入穴32の内壁面321につながるピンホルダ転び防止機構収容穴35と、が形成されており、ピンホルダ転び防止機構収容穴35に、トラニオン挿入穴32の内壁面321から一部が突き出したボール41、トラニオン挿入穴32側にボール41を付勢するバネ42が収容されている。スライドプレート3のトラニオン挿入穴32にピンホルダ2のトラニオン部22が挿入されると、トラニオン挿入穴32の内壁面321から突き出したボール41がピン43側に押し戻されてバネ42をさらに圧縮するため、ボール41は、圧縮されたバネ42の弾性力Fによってトラニオン挿入穴32内のトラニオン部22の外周面222に押し当てられ、トラニオン部22をトラニオン挿入穴32の内壁面321に押し付ける。
これにより、ボール41とトラニオン部22の外周面222との間、および、トラニオン挿入穴32の内壁面321とトラニオン部22の外周面222との間に、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32内におけるトラニオン部22の回転を阻止する適度な摩擦が発生する。このため、ピンホルダ2のトラニオン部22に溝加工等の機械加工を施してOリングを装着しなくても、スライドプレート3に対するピンホルダ2の、自重による回転が防止され、スライドベース5に対するピンホルダ2の姿勢を保持することができる。したがって、スライドコアガイドユニット1の強度を低下させることなく、ピンホルダ2へ傾斜ピン9を装着する際の作業性の向上を実現することができる。また、ピンホルダ2のトラニオン部22に対する溝加工等の機械加工が不要となり、スライドコアガイドユニット1の強度の低下防止を図ることができる。
また、圧縮されたバネ42の弾性力Fによるボール41の押し当てによって、ピンホルダ2のトラニオン部22が、ボール41とスライドプレート3のトラニオン挿入穴32の内壁面321との間に挟み込まれるため、ピンホルダ2のガタつきを低減することができる。
また、ピンホルダ転び防止機構4のバネ42として適当な弾性係数のバネを用いれば、ピンホルダ2の自重による回転を防止できるとともに、作業者が適度な力でピンホルダ2をスムーズに回転させることもできる適度な摩擦力を発生させることができる。
ところで、本実施の形態においては、スライドプレート3に、いずれかの端面からトラニオン挿入穴32の内壁面321に貫通したピンホルダ転び防止機構収容穴35を形成し、このピンホルダ転び防止機構収容穴35に、ボール41、バネ42およびピン43をピンホルダ転び防止機構4として収容しているが、ピンホルダ転び防止機構4は、必ずしも、このように構成する必要はない。例えば、ピンホルダ転び防止機構4は、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32にピンホルダ2のトラニオン部22が挿入された場合にスライドプレート3のトラニオン挿入穴32の径方向に弾性変形する弾性部材を有し、この弾性部材の復元力を、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32の内壁面321側からピンホルダ2のトラニオン部22の外周面222に印加するように構成されていればよい。したがって、例えば、図7(A)および(B)に示すように、スライドプレート3の他方の表面31B側の、トラニオン挿入穴32の縁部に溝322を形成し、この溝322内に、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32内へのピンホルダ2のトラニオン部22の挿入によりトラニオン挿入穴32の径方向に弾性変形するOリング39を収容してもよい。または、図7(C)に示すように、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32の内壁面321に、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32内へのピンホルダ2のトラニオン部22の挿入によりスライドプレート3のトラニオン挿入穴32の径方向に弾性変形する板ばね37を設けてもよい。または、トラニオン挿入穴32の内壁面321から僅かに突き出す長さに成形されたゴム等の弾性体を、ボール41およびバネ42の代わりにピンホルダ転び防止機構収容穴35の内部に詰め込んでもよい。
これらの構成によっても、スライドプレート3のトラニオン挿入穴32内において、ピンホルダ2のトラニオン部22の外周面222に、トラニオン挿入穴32の径方向の弾性力が印加されるため、上述の構成と同様、ピンホルダ2の自重による回転の防止を図ることができる。
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、ピンホルダ2に対する傾斜ピン9の高さを調整するためのアジャストロッドおよびロックナットを備えるスライドコアガイドユニットに本発明を適用してもよい。
1:スライドコアガイドユニット、2:ピンホルダ、3:スライドプレート、4:ピンホルダ転び防止機構、5:スライドベース、6:六角穴付きボルト、7:平行キー、8:平行キー7の固定ネジ、9:傾斜ピン、21:ホルダ本体、22:トラニオン部、31C〜31F:スライドプレート3の端面、31A,31B:スライドプレート3の表面、30:トラニオン挿入穴、33:固体潤滑剤、35:ピンホルダ転び防止機構収容穴、37:板ばね、39:Oリング、51:ベースブロック、52:スペーサ、53:スペーサ用の固定ネジ、71:平行キーのネジ穴、91:傾斜ピンの固定端部、92:傾斜ピンの切り欠き部、93:傾斜ピンの端面、94:六角穴付きボルト用のネジ穴、211A〜211D:ピンホルダの側面、212A:ピンホルダ2の上面、212B:ピンホルダ2の底面、214:傾斜ピンのピン挿入穴、215:六角穴付きボルトのボルト挿入穴、216:キー溝、217:固定ネジ用のネジ挿入穴、221:トラニオン部の端面、222:トラニオン部22の外周面、321:トラニオン挿入穴の内壁面、2141:ピン挿入穴の底面、322:トラニオン挿入穴の縁部の溝、351:ピンホルダ転び防止機構収容穴のトラニオン挿入穴側縁部、511:ガイド溝、512:ベースブロックの対向面、513A,513B:ベースブロックの端面、515:ベースブロックのネジ穴、517:ベースブロックの側面、522:スペーサの貫通穴、5112:ガイド溝の溝底、5111:ガイド溝の側壁

Claims (4)

  1. トラニオン部を有し、金型から成型品を取り出すための傾斜ピンを取り付けるためのピンホルダと、
    前記トラニオン部が挿入されるトラニオン挿入穴が形成され、当該トラニオン挿入穴で前記トラニオン部を回転可能に支持しながら所定の方向に移動するスライドプレートと、
    前記スライドプレートに設けられ、前記トラニオン挿入穴に挿入された前記トラニオン部の外周面を、前記トラニオン挿入穴の内壁面側からの弾性力で押圧するピンホルダ転び防止機構と、を備える
    ことを特徴とするスライドコアガイドユニット。
  2. 請求項1記載のスライドコアガイドユニットであって、
    前記ピンホルダ転び防止機構は、
    前記トラニオン挿入穴に前記トラニオン部が挿入された場合に弾性変形し、前記トラニオン挿入穴に挿入された前記トラニオン部の外周面に、前記トラニオン挿入穴の内壁面側から前記弾性力を加える弾性体を備える
    ことを特徴とするスライドコアガイドユニット。
  3. 請求項2に記載のスライドコアガイドユニットであって、
    前記スライドプレートには、前記トラニオン挿入穴の内壁面に開口するピンホルダ転び機構収容穴が形成されており、
    前記ピンホルダ転び防止機構は、さらに
    前記ピンホルダ転び機構収容穴内にスライド可能に収容されたコマ部材を備え、
    前記弾性体は、
    前記ピンホルダ転び機構収容穴内の、前記コマ部材に対して前記トラニオン挿入穴の内壁面と反対側の位置に配置され、前記トラニオン挿入穴の内壁面から前記コマ部材が突き出すように前記コマ部材を前記弾性力で押圧する
    ことを特徴とするスライドコアガイドユニット。
  4. 請求項2に記載のスライドコアガイドユニットであって、
    前記弾性体は、
    前記トラニオン挿入穴の内壁面側に設けられ、前記トラニオン挿入穴の径方向に変形する板ばね、または、前記トラニオン挿入穴の内壁面に設けられ、前記トラニオン挿入穴の径方向に変形するOリングである
    ことを特徴とするスライドコアガイドユニット。
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