JP2001096545A - ウレタン樹脂製の成形品及びその製造方法 - Google Patents

ウレタン樹脂製の成形品及びその製造方法

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JP2001096545A JP27618899A JP27618899A JP2001096545A JP 2001096545 A JP2001096545 A JP 2001096545A JP 27618899 A JP27618899 A JP 27618899A JP 27618899 A JP27618899 A JP 27618899A JP 2001096545 A JP2001096545 A JP 2001096545A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水発泡により成形されるウレタン樹脂の表面に
塗膜をほぼ均一に形成してウレタン樹脂製の成形品の耐
光性を向上させる。 【解決手段】開けられた金型7のキャビティ17に塗料
Mの溶液を流し込んだ後、金型7を閉じて真空ポンプ3
4を駆動させキャビティ17内を減圧する。すると、塗
料Mの溶剤が沸騰する。この沸騰時の体積増加及び破泡
によりキャビティ17の壁面に塗料Mが効率よく均一に
塗布される。その後、キャビティ17を常圧状態として
ウレタンの材料をキャビティ17に混合注入し水発泡さ
せることで、ステアリングホイールの樹脂部分の成形と
塗装が同時に実施される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形と塗装を同時
に行うために金型内のキャビティに予め塗料を塗布(モ
ールドコート)した後にウレタン材料を注入して発泡成
形するウレタン樹脂製の成形品及びその製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】この種の成形品として、例えば、車両用
のステアリングホイールがある。ステアリングホイール
は、芯金を金型キャビティ(成形品形状を作る空洞部)
にセットした後に、金型キャビティにウレタン材料を混
合注入し発泡させて成形されている。詳しくは、ウレタ
ン材料は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、
発泡剤としての水を含む。そして、水とイソシアネート
成分とが反応してCO2が発生するとともに、ポリオー
ル成分とイソシアネート成分とが反応することで、ウレ
タン樹脂の発泡成形が実施される。
【0003】ところが、発泡成形によるウレタン樹脂
は、耐光性に劣り黄変する欠点があるため、そのウレタ
ン樹脂部分の表面に耐光性をもたせるための塗膜を形成
する必要がある。
【0004】この塗膜の形成方法として、金型内のキャ
ビティに予め塗料を塗り製品の成形と塗装を同時に行う
方法が適用されている。具体的には、金型を開いてキャ
ビティに塗料溶液をスプレーガンで塗布(モールドコー
ト)する。その後、金型を閉じキャビティにウレタン材
料を混合注入して反応硬化させる。これにより、成形品
の表面に塗膜が形成される。なお、ここで用いられる塗
料溶液は、例えば、溶剤としてのメチルエチルケトン
(MEK)及びイソプロピルアルコール(IPA)と、
耐光性に優れたウレタン樹脂とからなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述のよう
にスプレーガンにより塗料溶液をキャビティに塗布(モ
ールドコート)した場合では、均一に塗料を塗布するこ
とができない。特に、パーティングラインの部分では、
十分に塗布することができなかった。そのため、ウレタ
ン樹脂製のステアリングホイールの耐光性が十分に確保
できないといった問題が生じてしまう。
【0006】また、スプレーガンからの塗料溶液は、金
型のキャビティ以外の部分に塗布されたり、金型に塗着
せずに空気中に飛散し塗着効率が悪化してしまう。さら
に、キャビティ以外の部分に塗布された塗料は成形後の
製品におけるバリ発生の原因となってしまうため、この
バリを製品から除去するための処理工程が必要となる。
さらには、塗着せずに空気中に飛散した塗料は、作業場
を汚すばかりでなく、周囲の環境を悪化させていた。
【0007】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであって、その第1の目的は、耐光性に優れる
ウレタン樹脂製の成形品を提供することにある。また、
第2の目的は、金型キャビティに塗料を効率よく塗布
(モールドコート)することができるウレタン樹脂製の
成形品の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載の発明は、水を用いて発泡成形され
るウレタン樹脂製の成形品において、ウレタン材料を発
泡させて成形されるコア部と、前記コア部の表面にほぼ
均一な厚さで形成され、金型表面が転写された塗膜とを
備えることをその要旨としている。
【0009】請求項2に記載の発明では、水を用いて発
泡成形されるウレタン樹脂製の成形品の製造方法におい
て、金型を閉じた状態で金型キャビティ内で塗料溶液を
沸騰させ、沸騰時の体積増加及び破泡により塗膜層を金
型キャビティに形成した後、常圧状態とした金型キャビ
ティ内にウレタン材料を注入して水発泡成形を行うこと
をその要旨としている。
【0010】(作用)請求項1に記載の発明によれば、
ウレタン材料を水を用いて発泡させてコア部が形成さ
れ、そのコア部の表面にほぼ均一な厚さの塗膜が形成さ
れる。ウレタン材料を発泡させて成形されるコア部は耐
光性に劣り黄変してしまうが、コア部の表面に均一な厚
さの塗膜が形成されることにより耐光性が向上される。
特に、パーティングラインでも所定の厚さの塗膜が形成
されることで、その部分の耐光性が向上される。また、
塗膜表面は、金型表面が転写されるため、金型により容
易に表面意匠を与えられる。具体的には、例えば、平滑
面やシボ面(凸凹面)等の意匠を与えられる。
【0011】請求項2に記載の発明によれば、金型キャ
ビティ内で塗料溶液を沸騰させ、その沸騰時の体積増加
及び破泡により塗膜層が金型キャビティに形成される。
つまり、閉じられた金型キャビティにおいて、その壁面
に塗料が効率よく均一に塗布されて塗膜層が形成され
る。その後、常圧状態とした金型キャビティ内にウレタ
ン材料を注入して水発泡による成形が実施される。これ
により、水発泡成形によるウレタン樹脂の表面にほぼ均
一な厚さの塗膜が形成される。このウレタン樹脂の水発
泡成形では、一般樹脂の射出成形と比較して、キャビテ
ィ内が低温、低圧の条件下で樹脂成形される。従って、
キャビティの壁面に形成された塗膜層が成形時の圧力や
温度によって壊されることが防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明を
具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
【0013】図1〜3は、本実施形態における射出成形
機の一部断面図であり、図4は同射出成形機により成形
される車両用のステアリングホイール1の斜視図であ
る。図4に示すようにステアリングホイール1は、リン
グ部2、スポーク部3,4,5及びボス部6を有してお
り、図1〜3に示す射出成形機の金型7(下型8,上型
9)は、リング部2及びスポーク部3,4,5の芯金1
0をウレタン樹脂で被覆するためのものである。なお、
本実施形態では、図4に示すステアリングホイール1を
裏返した状態で、ウレタン樹脂の発泡成形が実施され
る。
【0014】図1〜図3に示すように、金型7は枠体1
1と蓋体12とからなるボックス13内に配設されてい
る。詳しくは、枠体11には金型7の下型8が固定さ
れ、蓋体12には金型7の上型9が固定されている。ま
た、蓋体12における枠体11との接合部にはシール部
材14が配設されている。そして、図1に示すように金
型7が開けられている状態から枠体11及び下型8が上
方へ移動されて図2に示すように芯金10がセットされ
た状態で金型7が閉じられ型締めされる。なおこのと
き、枠体11と蓋体12とによりボックス13が形成さ
れ、シール部材14によりボックス13内が密封され
る。また、本実施形態の芯金10は、アルミダイカス
ト、マグネシウムダイカスト、またはそれらからなる合
金のダイカスト成形により製造され、芯金10のリング
部10aの断面形状は、図2に示すようにU字形状とな
っている。
【0015】下型8及び上型9には凹部15,16が形
成されており、同凹部15,16が成形品形状を作るた
めのキャビティ17となる。また、成形時にステアリン
グホイール1の芯金10を固定するために、下型8の中
央部に固定部材18が突設されるとともに、上型9の中
央部に固定部材19が突設されている。さらに、上型9
の凹部16には、排出孔20(例えば、断面積=4mm
2)が形成されて、同排出孔20によりキャビティ17
がボックス13内の中空部21に連通される。
【0016】枠体11の一方の側壁(図の右側の側壁)
側に射出ノズル22が配設されており、図示しないウレ
タン注入装置で混合されたウレタン材料が射出ノズル2
2からゲート23を介してキャビティ17に注入され
る。このウレタン材料は、液状であってポリオール成分
(例えば、ポリエーテルポリオール)、イソシアネート
成分(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート)及
び発泡剤としての水を含む。また、枠体11の他方の側
壁(図の左側の側壁)には排出管31が設けられ、その
排出管31は、配管32及びバルブ33を介して真空ポ
ンプ34に接続されている。真空ポンプ34が駆動され
ると、ボックス13内の空気が排出管31から排出さ
れ、ボックス13内が減圧される。
【0017】次に、本実施形態におけるステアリングホ
イール1のウレタン樹脂の成形方法を図1〜図3を用い
て説明する。先ず、図1に示すように、金型7を開いて
キャビティ17(下型8の凹部15及び上型9の凹部1
6)の壁面に離型剤を塗布する。この離型剤は、ワック
ス、シリコンオイル等からなり、金型7に成形品が粘着
することを防いで、成形品を取り出し易くする目的で塗
布されるものである。
【0018】次いで、金型7を水平に保ちつつ液状の塗
料M(本実施形態では、150g)を下型8の凹部15
に注ぎ込む。本実施の形態における塗料Mの溶液は、溶
剤としてのメチルエチルケトン(MEK)及びイソプロ
ピルアルコール(IPA)と、固形分としてのウレタン
樹脂を含む。。なお、塗料Mにおける各成分の割合を重
量%で示すと、MEK=約85%、IPA=約10%、
ウレタン樹脂=2.5%となる。そして、図2に示すよ
うに金型7内に芯金10をセットして金型7を閉じ型締
めする。なおこのとき、枠体11と蓋体12とがシール
部材14を介して接合されボックス13内は密閉状態と
なる。
【0019】その後、真空ポンプ34を駆動し排出管3
1からボックス13内の空気を排出することでボックス
13内を減圧する。このとき、キャビティ17内の空気
が排出孔20を介してボックス13内の中空部21に吸
い出されてキャビティ17内も減圧される。キャビティ
17内が減圧されると、塗料Mの溶剤(MEK,IP
A)の沸点が低下する。これにより、塗料は体積増加を
伴いつつ沸騰して破泡する。具体的には、金型7の温度
が55℃に保たれており、キャビティ17内が300t
orr以下に減圧されると溶剤は沸騰する。この沸騰時
の体積増加及び破泡により、塗料Mがキャビティ17の
壁面に塗布される。
【0020】そして、塗料Mの溶剤が気化して、塗料M
のウレタン樹脂がキャビティ17の壁面に塗着される。
つまり、塗膜層がキャビティ17の壁面に形成される。
またこのとき、キャビティ17内における芯金10の表
面が塗料Mの溶剤により洗浄されるとともに、接着剤の
役割を果たす塗料Mが芯金10の表面に塗着される。な
お、溶剤は約60秒で気化し、気化した溶剤は排出孔2
0からボックス13内の中空部21及び排出管31等を
介して真空ポンプ34から排気される。そして、塗料M
が十分に乾いた後、真空ポンプ34が停止される。
【0021】次いで、キャビティ17内を常圧状態とし
た後に図示しないウレタン注入装置で混合された液状の
ウレタン材料が射出ノズル22からゲート23を介して
キャビティ17に注入されて、図3に示すように同材料
がキャビティ17内で反応硬化する。具体的には、特開
平5−57735号公報に開示されているように、水と
イソシアネート成分とが反応してCO2が発生するとと
もに、ポリオール成分とイソシアネート成分が反応する
ことでウレタン樹脂の発泡成形が実施される。
【0022】このようにして、ステアリングホイール1
のリング部2及びスポーク部3,4,5のウレタン樹脂
の成形と塗装が同時に実施される。つまり、水発泡によ
り成形されるコア部としてのウレタン樹脂U2の表面に
耐光性のあるウレタン樹脂U1の塗膜がほぼ均一な厚さ
(例えば、10μm)で形成される。また、液状のウレ
タン材料を用いた発泡成形は、一般的な熱可塑性樹脂の
射出成形と比較して、キャビティ17内が低温、低圧の
条件下で樹脂成形が実施される。従って、キャビティ1
7の壁面に形成された塗膜層が成形時の圧力や温度によ
って壊されることが防止される。
【0023】その後、金型7が開けられて、図4に示す
ようにリング部2及びスポーク部3,4,5がウレタン
樹脂U1,U2で被覆されたステアリングホイール1が
取り出されて成形工程が終了する。なお、本実施形態で
は、ステアリングホイール1を裏返した状態で樹脂成形
が行われるので、ステアリングホイール1において耐光
性が必要となる上側ほど厚いウレタン樹脂U1の塗膜が
形成される。
【0024】ここで、ステアリングホイール1の樹脂表
面における塗膜(ウレタン樹脂U1)の形成状態を色差
計を用いて確認した結果を表1に示す。表1では、上記
方法により成形した開発品と、塗料Mをスプレーガンで
塗布(モールドコート)して成形した従来品との測定結
果を示している。なお、実際のステアリングホイール1
では、ウレタン樹脂U1とウレタン樹脂U2は同色のも
のが用いられるが、ウレタン樹脂U1の形成状態を色差
計を用いて確認するために、発泡成形されるウレタン樹
脂U2の着色成分を除いて確認用ステアリングホイール
を成形している。また、表1は、それぞれの確認用ステ
アリングホイールのリング部における各部位の測定結果
を示すものであり、塗膜が厚く形成される最上部の色を
基準色として他の部位との色差ΔEを示している。つま
り、色差ΔEが「0」であれば、最上部と同じ膜厚が形
成されていることを意味し、色差ΔEが大きいほど、最
上部との膜厚差が大きいことを意味する。また、ここで
の測定部位としては、最上部とパーティングライン部
(PL部)との中間位置(上中間部)、PL部、PL部
と最下部との中間位置(下中間部)、最下部である。
【0025】表1に示すように、従来品では、各部位と
も色差ΔEが大きく、特にPL部で大きくなっている。
この理由は、スプレーガンで塗料溶液をキャビティ内に
塗布(モールドコート)した場合では、形成される塗膜
の厚さが各部位で不均一となり、特に型割り面と直交す
る面を有するPL部の厚さが最上部と比較して薄くなる
ためである。これに対し、開発品では、色差ΔEが小さ
く、ぼほ均一な厚さで塗膜が形成されていることが分か
る。また、PL部においても色差ΔEが小さく、最上部
とほぼ同程度の厚さの塗膜が形成されていることが分か
る。
【0026】
【表1】 次いで、本実施形態の成形方法において、塗料溶液にお
ける各成分の配合量を変え、希釈性、塗布性及び乾燥性
で評価した結果を表2に示す。なお、表2に示す固形分
は、塗膜層を形成するためのウレタン樹脂である。
【0027】詳しくは、No2の塗料溶液は、No1の
塗料溶液に対してIPAを100g減量させたものであ
り、No3の塗料溶液は、No1の塗料溶液に対して、
IPA及びMEKを各400g増量させたものである。
また、No4の塗料溶液は、No1の塗料溶液に対して
MEKを400g増量させたものであり、同様に、No
1の塗料溶液に対してMEKを、No5の塗料溶液は8
00g、No6の塗料溶液は1200g、No7の塗料
溶液は1600g増量させたものである。
【0028】表2に示されるように、No1の塗料溶液
では、希釈性及び塗布性は良好であるが、乾燥時間が長
くなってしまうため、評価は「△」となる。そして、M
EKの配合量に対してIPAの割合が少ない塗料溶液
(No2,No6,No7)では、固形分が凝集し、沈
殿する。つまり希釈性が悪いため、評価は「×」とな
る。また、固形分が凝集しない程度にMEKを増量させ
た場合、つまり、No1→No4→No5の順にMEK
の配合量を増加させると、乾燥時間が短くなり乾燥性が
向上する。従って、No4及びNo5の塗料溶液の評価
は「○」となる。なお、No3の塗料溶液のようにME
KだけでなくIPAも同様に増量させた場合、乾燥時間
が長くなってしまうため、評価は「△」となる。また、
希釈性の良好な塗料溶液(No1,No3,No4,N
o5)における塗布性は何れも良好である。一方、希釈
性の悪い塗料溶液(No2,No6,No7)では、塗
布が困難であった。
【0029】このように、凝集が起こらない程度にME
Kを加えて希釈すると、塗布性を確保しつつ乾燥性が向
上される。従って、本実施形態では、No1の塗料溶液
(400g)に対して2倍のMEK(800g)を加え
て希釈したNo5の塗料溶液がステアリングホイール1
の樹脂成形に使用されている。
【0030】
【表2】 因みに、従来技術のようにスプレーガンにて塗料Mを塗
布した場合、キャビティ17内への塗着効率は約20%
であった。これに対し本実施の形態のように、閉じられ
たキャビティ17内で塗料Mを塗布した場合では、キャ
ビティ17内への塗着効率を約50%〜70%へ高める
ことが可能となる。
【0031】以上記述したように、本実施の形態によれ
ば、以下の効果を奏する。 (1)水発泡により成形されるウレタン樹脂U2の表面
に耐光性に優れるウレタン樹脂U1の塗膜がほぼ均一な
厚さで形成される。具体的には、スプレーガンにより塗
料溶液を塗布(モールドコート)した場合では、パーテ
ィングラインにおける塗膜の厚さを4μm以上の厚さで
形成することはできなかったが、本実施形態では、10
μmの厚さでほぼ均一に塗膜が形成される。その結果、
耐光性がどの場所でも均一に得られ、ウレタン樹脂U2
の変色を防止できる。また、製品表面の色むらがなく外
観不良を防止できる。よって、ステアリングホイール1
は、耐光性、外観等の製品性能に優れたものとなる。ま
た、塗膜表面は、金型表面が転写されるため、金型7に
より容易に表面意匠を与えることができる。具体的に
は、例えば、平滑面やシボ面(凸凹面)等の意匠を与え
ることができる。
【0032】(2)閉じた金型7内において、塗料M
は、その溶剤が沸騰して体積増加及び破泡することによ
りキャビティ17の壁面に塗布むらが無くほぼ均一に塗
布される。この場合、スプレーガンで塗料Mを塗布(モ
ールドコート)した場合に比べて塗着効率を高めること
ができ、塗料Mの材料費を低減できる。また、塗料Mは
キャビティ17外に塗布されることがなく、成形時にお
けるバリの発生を防止できる。従って、従来技術で必要
であったバリを除去するための処理工程が不要となる。
その結果、ステアリングホイール1の製造コストを低く
抑えることができる。さらに、塗料Mが外部に飛散する
ことが防止され、作業場をきれいに保つことができ、周
囲の環境の悪化を防止することができる。
【0033】(3)塗料Mの溶液をキャビティ17に流
し込む際に、塗料Mの量を調整するだけで、所望の厚さ
の塗膜を形成することができる。つまり、パーティング
ライン部にも適正な厚さの塗膜を形成できる。よって、
耐光性や耐摩耗性等の製品性能を高めることができ、実
用上好ましいものとなる。
【0034】(4)ウレタン材料を用いた発泡成形で
は、熱可塑性樹脂の射出成形と比べて、キャビティ17
内が低温、低圧の条件下で樹脂成形が行われるので、キ
ャビティ17の壁面に塗布された塗膜層が壊れることを
防止できる。つまり、製品の歩留まりを向上できる。
【0035】(5)芯金10の表面は、塗料Mの溶剤に
より洗浄され、その芯金10の表面に接着性に優れるウ
レタン樹脂系の塗料Mが塗布されているため芯金10と
ウレタン樹脂が強固に固着できる。
【0036】(6)従来の塗料溶液に対して2倍のME
Kを加えて希釈した塗料溶液(150g)を使用した。
この場合、固形分の凝集がなく希釈性が良好で、塗布性
及び乾燥性も好適なものとなる。
【0037】(第2実施形態)以下、本発明を具体化し
た第2実施形態を図面に従って説明する。本実施形態
は、塗料注入装置を備える点が第1実施形態と相違す
る。なお、キャビティ17の形状、真空ボックス13等
の構成は、第1実施形態と同一であるので、図面及びそ
の詳細な説明を省略する。
【0038】図5は、本実施形態における射出成形機の
概略構成を示す模式図であり、同図では、金型7内に形
成されるキャビティ17及びゲート23を点線で示して
いる。図5に示すように、塗料注入装置40からの塗料
Mがゲート23を介して金型7のキャビティ17に注入
される。また、ウレタン注入装置41で混合されたウレ
タン材料がゲート23を介して金型7のキャビティ17
に注入される。つまり、本実施形態では、共通のゲート
23から塗料溶液及びウレタン材料がキャビティ17に
注入される。このように射出成形機を構成した場合、金
型7を閉じた状態で塗料溶液をキャビティ17に注入で
きる。
【0039】具体的には、金型7のキャビティ17に離
型剤を塗布した後に、金型7内に芯金10をセットして
型締めする。そして、真空ポンプ34を駆動して金型キ
ャビティ17内を減圧させ、所定圧力以下にキャビティ
17内の圧力が低下したとき、キャビティ17内に塗料
注入装置40から塗料Mを注入する。このとき、塗料M
の溶剤が沸騰し、泡状になった塗料Mが破泡しながらキ
ャビティ17内を排出孔20に向かって流動する。これ
により、塗料Mがキャビティ17の壁面に塗布される。
そして、塗料Mの溶剤が気化して、塗料Mのウレタン樹
脂がキャビティ17の壁面に形成される。
【0040】このように、塗膜層がキャビティ17に形
成された後、キャビティ17内が常圧状態とされて、ウ
レタン注入装置41で混合された液状のウレタン材料が
ゲート23を介してキャビティ17に注入される。する
と、水とイソシアネート成分とが反応してCO2が発生
するとともに、ポリオール成分とイソシアネート成分が
反応することでウレタン樹脂の発泡成形が実施される。
つまり、ステアリングホイール1のリング部2とスポー
ク部3,4,5のウレタン樹脂の成形と塗装が同時に実
施される。
【0041】以上記述したように、本実施の形態によれ
ば、前記第1実施形態の(1)〜(6)の効果に加えて
以下の効果を奏する。 (1)キャビティ17を減圧しながら塗料Mを注入でき
るので、短時間でステアリングホイール1の樹脂成形を
実施できる。また、閉じた金型7内のキャビティ17に
塗料Mが注入されるので、塗料Mの溶剤が射出成形機の
外部に漏れることを防止でき、作業環境を改善できる。
【0042】(2)塗料注入装置40により塗料溶液の
注入量を的確に制御することで、成形品の表面に所望の
厚さの塗膜を形成できる。これにより、塗料Mの注入量
に基づく製品バラツキを低減できる。
【0043】尚、上記実施形態は、以下の態様で実施し
てもよい。 ○上記第2実施形態では、減圧状態のキャビティ17内
に塗料Mを注入するものであったが、減圧する前、つま
り常圧状態のキャビティ17内に塗料注入装置40から
塗料Mを注入してもよい。
【0044】○上記第2実施形態では、ウレタン材料を
注入するためのゲート23から塗料溶液を注入する構成
であったが、このゲート23以外の場所から塗料溶液を
キャビティ17に注入してもよい。また、複数箇所から
キャビティ17に塗料溶液を注入する構成としてもよ
い。この場合も、塗料Mをキャビティ17の壁面に効率
よく塗布できる。
【0045】○上記実施形態では、ウレタン材料とし
て、ポリエーテルポリオール、ジフェニルメタンジイソ
シアネートを含むものであったが、これに限定するもの
ではない。つまり、発泡剤として水を用いて発泡成形す
るためのウレタン材料であればよい。
【0046】○成形品は、ステアリングホイール1に限
定されず、例えば、インストルメントパネル、コンソー
ルボックス、グローボックス、ヘッドレスト、アームレ
スト、ドアカバー、エアスポイラー、バンパー等の他の
部品にも適用できる。勿論、自動車部品以外に家電製品
等の成形品に適用してもよい。
【0047】○塗料Mの成分を適宜変更して実施しても
よい。具体的には、ウレタン樹脂に代えて、他の熱硬化
性樹脂を用いてもよい。また、塗料Mの溶剤として、メ
チルエチルケトン(MEK)及びイソプロピルアルコー
ル(IPA)以外の溶剤を用いてもよい。実用的には、
沸点が約160℃以下の溶剤を用いるものであればよ
い。
【0048】○上記実施形態では、真空ポンプ34を駆
動してキャビティ17内を300torr以下に減圧す
るものであったが、これに限定するものではない。例え
ば、金型7の温度が常温(約20℃)であれば、キャビ
ティ17内を約70torrに減圧する。また、塗料M
の溶剤を変更した場合その沸点が変化するので、この場
合もキャビティ17内の減圧時の圧力を変更する。つま
り、キャビティ17内の減圧時の圧力は、金型7の温度
及び用いられる溶剤の種類により適宜変更して実施す
る。
【0049】○上記実施形態では、キャビティ17内を
減圧して、塗料Mを沸騰させるものであったが、これに
限定するものではなく、大気圧時に金型7を溶剤の沸点
まで昇温することによりキャビティ17内の塗料Mを沸
騰させるものでもよい。この場合も、沸騰時の体積増加
及び破泡により塗料Mをキャビティ17に効率よく塗布
できる。
【0050】さらに、上記実施形態により把握される請
求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果と
ともに記載する。 (イ)前記塗膜は4μm以上の厚さで形成されることを
特徴とする請求項1に記載のウレタン樹脂製の成形品。
この場合、成形品の表面に塗膜が4μm以上の厚さでほ
ぼ均一に形成されるので、パーティングラインの膜厚が
薄くなる従来の成形品と比較して、耐摩耗性、耐光性に
優れたものとなる。
【0051】(ロ)請求項2に記載のウレタン樹脂製の
成形品の製造方法において、金型キャビティ内に塗料溶
液を流し込んだ後、金型キャビティ内を減圧させて、塗
膜層を金型キャビティに形成したことを特徴とするウレ
タン樹脂製の成形品の製造方法。この場合、キャビティ
内が所定圧力以下に減圧されると塗料溶液の溶剤が沸騰
し、その沸騰時の体積増加及び破泡によりキャビティに
塗料を効率よく塗布できる。
【0052】(ハ)請求項2に記載のウレタン樹脂製の
成形品の製造方法において、金型キャビティを減圧し、
その減圧した金型キャビティ内に塗料溶液を注入して塗
膜層を金型キャビティに形成したことを特徴とするウレ
タン樹脂製の成形品の製造方法。この場合、減圧状態の
金型キャビティ内に塗料溶液が注入され塗料の溶剤が沸
騰して、泡状になった塗料溶液が破泡しながらキャビテ
ィ内に流入される。これにより、金型キャビティに塗料
を効率よく塗布できる。
【0053】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
金型キャビティに塗料を効率よく塗布し、ウレタン樹脂
製の成形品の表面にほぼ均一な厚さの塗膜を形成するこ
とができる。従って、ウレタン樹脂製の成形品の製品性
能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のステアリングホイールの成形方
法を説明するための図。
【図2】第1実施形態のステアリングホイールの成形方
法を説明するための図。
【図3】第1実施形態のステアリングホイールの形成形
方法を説明するための図。
【図4】第1実施形態のステアリングホイールの斜視
図。
【図5】第2実施形態の射出成形機の概略構成を示す模
式図。
【符号の説明】
1…ステアリングホイール、7…金型、17…キャビテ
ィ、M…塗料、U1…塗膜としてのウレタン樹脂、U2
…コア部としてのウレタン樹脂。
フロントページの続き Fターム(参考) 3D030 DA35 DA45 DA46 DB81 DB82 4F204 AA42 AB02 AD11 AG03 AG20 AH24 AH25 AH26 EA01 EB01 EB13 EF01 EF25 EF30 EL04 EL26

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水を用いて発泡成形されるウレタン樹脂製
    の成形品において、 ウレタン材料を発泡させて成形されるコア部と、 前記コア部の表面にほぼ均一な厚さで形成され、金型表
    面が転写された塗膜とを備えることを特徴とするウレタ
    ン樹脂製の成形品。
  2. 【請求項2】水を用いて発泡成形されるウレタン樹脂製
    の成形品の製造方法において、 金型を閉じた状態で金型キャビティ内で塗料溶液を沸騰
    させ、沸騰時の体積増加及び破泡により塗膜層を金型キ
    ャビティに形成した後、常圧状態とした金型キャビティ
    内にウレタン材料を注入して水発泡成形を行うことを特
    徴とするウレタン樹脂製の成形品の製造方法。
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