JP3573016B2 - ウレタン樹脂製の成形品の製造方法 - Google Patents

ウレタン樹脂製の成形品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3573016B2
JP3573016B2 JP27618899A JP27618899A JP3573016B2 JP 3573016 B2 JP3573016 B2 JP 3573016B2 JP 27618899 A JP27618899 A JP 27618899A JP 27618899 A JP27618899 A JP 27618899A JP 3573016 B2 JP3573016 B2 JP 3573016B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cavity
mold
urethane resin
coating
paint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP27618899A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001096545A (ja
Inventor
孝幸 伊藤
俊彦 浅谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyoda Gosei Co Ltd
Original Assignee
Toyoda Gosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyoda Gosei Co Ltd filed Critical Toyoda Gosei Co Ltd
Priority to JP27618899A priority Critical patent/JP3573016B2/ja
Priority to DE2000607050 priority patent/DE60007050T2/de
Priority to EP20000104858 priority patent/EP1088648B1/en
Priority to AU20753/00A priority patent/AU739153B2/en
Priority to US09/522,045 priority patent/US6607681B1/en
Priority to CNB001031732A priority patent/CN1251857C/zh
Publication of JP2001096545A publication Critical patent/JP2001096545A/ja
Priority to US10/383,627 priority patent/US20030172769A1/en
Application granted granted Critical
Publication of JP3573016B2 publication Critical patent/JP3573016B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Steering Controls (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Injection Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形と塗装を同時に行うために金型内のキャビティに予め塗料を塗布(モールドコート)した後にウレタン材料を注入して発泡成形するウレタン樹脂製の成形品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の成形品として、例えば、車両用のステアリングホイールがある。ステアリングホイールは、芯金を金型キャビティ(成形品形状を作る空洞部)にセットした後に、金型キャビティにウレタン材料を混合注入し発泡させて成形されている。詳しくは、ウレタン材料は、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、発泡剤としての水を含む。そして、水とイソシアネート成分とが反応してCO2が発生するとともに、ポリオール成分とイソシアネート成分とが反応することで、ウレタン樹脂の発泡成形が実施される。
【0003】
ところが、発泡成形によるウレタン樹脂は、耐光性に劣り黄変する欠点があるため、そのウレタン樹脂部分の表面に耐光性をもたせるための塗膜を形成する必要がある。
【0004】
この塗膜の形成方法として、金型内のキャビティに予め塗料を塗り製品の成形と塗装を同時に行う方法が適用されている。具体的には、金型を開いてキャビティに塗料溶液をスプレーガンで塗布(モールドコート)する。その後、金型を閉じキャビティにウレタン材料を混合注入して反応硬化させる。これにより、成形品の表面に塗膜が形成される。なお、ここで用いられる塗料溶液は、例えば、溶剤としてのメチルエチルケトン(MEK)及びイソプロピルアルコール(IPA)と、耐光性に優れたウレタン樹脂とからなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述のようにスプレーガンにより塗料溶液をキャビティに塗布(モールドコート)した場合では、均一に塗料を塗布することができない。特に、パーティングラインの部分では、十分に塗布することができなかった。そのため、ウレタン樹脂製のステアリングホイールの耐光性が十分に確保できないといった問題が生じてしまう。
【0006】
また、スプレーガンからの塗料溶液は、金型のキャビティ以外の部分に塗布されたり、金型に塗着せずに空気中に飛散し塗着効率が悪化してしまう。さらに、キャビティ以外の部分に塗布された塗料は成形後の製品におけるバリ発生の原因となってしまうため、このバリを製品から除去するための処理工程が必要となる。さらには、塗着せずに空気中に飛散した塗料は、作業場を汚すばかりでなく、周囲の環境を悪化させていた。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その第1の目的は、金型キャビティに塗料を効率よく塗布(モールドコート)することができるウレタン樹脂製の成形品の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、水を用いて発泡成形されるウレタン樹脂製の成形品の製造方法において、金型を閉じた状態で金型キャビティ内で溶剤とウレタン樹脂とを含む塗料溶液を沸騰させ、沸騰時の体積増加及び破泡により塗料を金型キャビティの壁面に塗布すると共に気化した溶剤を排気して塗膜層を金型キャビティに形成した後、常圧状態とした金型キャビティ内にウレタン材料を注入して水発泡成形を行うことをその要旨としている。
【0010】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、金型キャビティ内で溶剤とウレタン樹脂とを含む塗料溶液を沸騰させ、その沸騰時の体積増加及び破泡により塗料が金型キャビティの壁面に塗布されると共に気化した溶剤が排気され、塗膜層が金型キャビティに形成される。つまり、閉じられた金型キャビティにおいて、その壁面に塗料が効率よく均一に塗布されて塗膜層が形成される。その後、常圧状態とした金型キャビティ内にウレタン材料を注入して水発泡による成形が実施される。これにより、水発泡成形によるウレタン樹脂の表面にほぼ均一な厚さの塗膜が形成される。このウレタン樹脂の水発泡成形では、一般樹脂の射出成形と比較して、キャビティ内が低温、低圧の条件下で樹脂成形される。従って、キャビティの壁面に形成された塗膜層が成形時の圧力や温度によって壊されることが防止される。
【0012】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
【0013】
図1〜3は、本実施形態における射出成形機の一部断面図であり、図4は同射出成形機により成形される車両用のステアリングホイール1の斜視図である。
図4に示すようにステアリングホイール1は、リング部2、スポーク部3,4,5及びボス部6を有しており、図1〜3に示す射出成形機の金型7(下型8,上型9)は、リング部2及びスポーク部3,4,5の芯金10をウレタン樹脂で被覆するためのものである。なお、本実施形態では、図4に示すステアリングホイール1を裏返した状態で、ウレタン樹脂の発泡成形が実施される。
【0014】
図1〜図3に示すように、金型7は枠体11と蓋体12とからなるボックス13内に配設されている。詳しくは、枠体11には金型7の下型8が固定され、蓋体12には金型7の上型9が固定されている。また、蓋体12における枠体11との接合部にはシール部材14が配設されている。そして、図1に示すように金型7が開けられている状態から枠体11及び下型8が上方へ移動されて図2に示すように芯金10がセットされた状態で金型7が閉じられ型締めされる。なおこのとき、枠体11と蓋体12とによりボックス13が形成され、シール部材14によりボックス13内が密封される。また、本実施形態の芯金10は、アルミダイカスト、マグネシウムダイカスト、またはそれらからなる合金のダイカスト成形により製造され、芯金10のリング部10aの断面形状は、図2に示すようにU字形状となっている。
【0015】
下型8及び上型9には凹部15,16が形成されており、同凹部15,16が成形品形状を作るためのキャビティ17となる。また、成形時にステアリングホイール1の芯金10を固定するために、下型8の中央部に固定部材18が突設されるとともに、上型9の中央部に固定部材19が突設されている。さらに、上型9の凹部16には、排出孔20(例えば、断面積=4mm)が形成されて、同排出孔20によりキャビティ17がボックス13内の中空部21に連通される。
【0016】
枠体11の一方の側壁(図の右側の側壁)側に射出ノズル22が配設されており、図示しないウレタン注入装置で混合されたウレタン材料が射出ノズル22からゲート23を介してキャビティ17に注入される。このウレタン材料は、液状であってポリオール成分(例えば、ポリエーテルポリオール)、イソシアネート成分(例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート)及び発泡剤としての水を含む。また、枠体11の他方の側壁(図の左側の側壁)には排出管31が設けられ、その排出管31は、配管32及びバルブ33を介して真空ポンプ34に接続されている。真空ポンプ34が駆動されると、ボックス13内の空気が排出管31から排出され、ボックス13内が減圧される。
【0017】
次に、本実施形態におけるステアリングホイール1のウレタン樹脂の成形方法を図1〜図3を用いて説明する。
先ず、図1に示すように、金型7を開いてキャビティ17(下型8の凹部15及び上型9の凹部16)の壁面に離型剤を塗布する。この離型剤は、ワックス、シリコンオイル等からなり、金型7に成形品が粘着することを防いで、成形品を取り出し易くする目的で塗布されるものである。
【0018】
次いで、金型7を水平に保ちつつ液状の塗料M(本実施形態では、150g)を下型8の凹部15に注ぎ込む。本実施の形態における塗料Mの溶液は、溶剤としてのメチルエチルケトン(MEK)及びイソプロピルアルコール(IPA)と、固形分としてのウレタン樹脂を含む。。なお、塗料Mにおける各成分の割合を重量%で示すと、MEK=約85%、IPA=約10%、ウレタン樹脂=2.5%となる。そして、図2に示すように金型7内に芯金10をセットして金型7を閉じ型締めする。なおこのとき、枠体11と蓋体12とがシール部材14を介して接合されボックス13内は密閉状態となる。
【0019】
その後、真空ポンプ34を駆動し排出管31からボックス13内の空気を排出することでボックス13内を減圧する。このとき、キャビティ17内の空気が排出孔20を介してボックス13内の中空部21に吸い出されてキャビティ17内も減圧される。キャビティ17内が減圧されると、塗料Mの溶剤(MEK,IPA)の沸点が低下する。これにより、塗料は体積増加を伴いつつ沸騰して破泡する。具体的には、金型7の温度が55℃に保たれており、キャビティ17内が300torr以下に減圧されると溶剤は沸騰する。この沸騰時の体積増加及び破泡により、塗料Mがキャビティ17の壁面に塗布される。
【0020】
そして、塗料Mの溶剤が気化して、塗料Mのウレタン樹脂がキャビティ17の壁面に塗着される。つまり、塗膜層がキャビティ17の壁面に形成される。またこのとき、キャビティ17内における芯金10の表面が塗料Mの溶剤により洗浄されるとともに、接着剤の役割を果たす塗料Mが芯金10の表面に塗着される。なお、溶剤は約60秒で気化し、気化した溶剤は排出孔20からボックス13内の中空部21及び排出管31等を介して真空ポンプ34から排気される。そして、塗料Mが十分に乾いた後、真空ポンプ34が停止される。
【0021】
次いで、キャビティ17内を常圧状態とした後に図示しないウレタン注入装置で混合された液状のウレタン材料が射出ノズル22からゲート23を介してキャビティ17に注入されて、図3に示すように同材料がキャビティ17内で反応硬化する。具体的には、特開平5−57735号公報に開示されているように、水とイソシアネート成分とが反応してCO2が発生するとともに、ポリオール成分とイソシアネート成分が反応することでウレタン樹脂の発泡成形が実施される。
【0022】
このようにして、ステアリングホイール1のリング部2及びスポーク部3,4,5のウレタン樹脂の成形と塗装が同時に実施される。つまり、水発泡により成形されるコア部としてのウレタン樹脂U2の表面に耐光性のあるウレタン樹脂U1の塗膜がほぼ均一な厚さ(例えば、10μm)で形成される。また、液状のウレタン材料を用いた発泡成形は、一般的な熱可塑性樹脂の射出成形と比較して、キャビティ17内が低温、低圧の条件下で樹脂成形が実施される。従って、キャビティ17の壁面に形成された塗膜層が成形時の圧力や温度によって壊されることが防止される。
【0023】
その後、金型7が開けられて、図4に示すようにリング部2及びスポーク部3,4,5がウレタン樹脂U1,U2で被覆されたステアリングホイール1が取り出されて成形工程が終了する。なお、本実施形態では、ステアリングホイール1を裏返した状態で樹脂成形が行われるので、ステアリングホイール1において耐光性が必要となる上側ほど厚いウレタン樹脂U1の塗膜が形成される。
【0024】
ここで、ステアリングホイール1の樹脂表面における塗膜(ウレタン樹脂U1)の形成状態を色差計を用いて確認した結果を表1に示す。表1では、上記方法により成形した開発品と、塗料Mをスプレーガンで塗布(モールドコート)して成形した従来品との測定結果を示している。なお、実際のステアリングホイール1では、ウレタン樹脂U1とウレタン樹脂U2は同色のものが用いられるが、ウレタン樹脂U1の形成状態を色差計を用いて確認するために、発泡成形されるウレタン樹脂U2の着色成分を除いて確認用ステアリングホイールを成形している。また、表1は、それぞれの確認用ステアリングホイールのリング部における各部位の測定結果を示すものであり、塗膜が厚く形成される最上部の色を基準色として他の部位との色差ΔEを示している。つまり、色差ΔEが「0」であれば、最上部と同じ膜厚が形成されていることを意味し、色差ΔEが大きいほど、最上部との膜厚差が大きいことを意味する。また、ここでの測定部位としては、最上部とパーティングライン部(PL部)との中間位置(上中間部)、PL部、PL部と最下部との中間位置(下中間部)、最下部である。
【0025】
表1に示すように、従来品では、各部位とも色差ΔEが大きく、特にPL部で大きくなっている。この理由は、スプレーガンで塗料溶液をキャビティ内に塗布(モールドコート)した場合では、形成される塗膜の厚さが各部位で不均一となり、特に型割り面と直交する面を有するPL部の厚さが最上部と比較して薄くなるためである。これに対し、開発品では、色差ΔEが小さく、ぼほ均一な厚さで塗膜が形成されていることが分かる。また、PL部においても色差ΔEが小さく、最上部とほぼ同程度の厚さの塗膜が形成されていることが分かる。
【0026】
【表1】
Figure 0003573016
次いで、本実施形態の成形方法において、塗料溶液における各成分の配合量を変え、希釈性、塗布性及び乾燥性で評価した結果を表2に示す。なお、表2に示す固形分は、塗膜層を形成するためのウレタン樹脂である。
【0027】
詳しくは、No2の塗料溶液は、No1の塗料溶液に対してIPAを100g減量させたものであり、No3の塗料溶液は、No1の塗料溶液に対して、IPA及びMEKを各400g増量させたものである。また、No4の塗料溶液は、No1の塗料溶液に対してMEKを400g増量させたものであり、同様に、No1の塗料溶液に対してMEKを、No5の塗料溶液は800g、No6の塗料溶液は1200g、No7の塗料溶液は1600g増量させたものである。
【0028】
表2に示されるように、No1の塗料溶液では、希釈性及び塗布性は良好であるが、乾燥時間が長くなってしまうため、評価は「△」となる。そして、MEKの配合量に対してIPAの割合が少ない塗料溶液(No2,No6,No7)では、固形分が凝集し、沈殿する。つまり希釈性が悪いため、評価は「×」となる。また、固形分が凝集しない程度にMEKを増量させた場合、つまり、No1→No4→No5の順にMEKの配合量を増加させると、乾燥時間が短くなり乾燥性が向上する。従って、No4及びNo5の塗料溶液の評価は「○」となる。なお、No3の塗料溶液のようにMEKだけでなくIPAも同様に増量させた場合、乾燥時間が長くなってしまうため、評価は「△」となる。また、希釈性の良好な塗料溶液(No1,No3,No4,No5)における塗布性は何れも良好である。一方、希釈性の悪い塗料溶液(No2,No6,No7)では、塗布が困難であった。
【0029】
このように、凝集が起こらない程度にMEKを加えて希釈すると、塗布性を確保しつつ乾燥性が向上される。従って、本実施形態では、No1の塗料溶液(400g)に対して2倍のMEK(800g)を加えて希釈したNo5の塗料溶液がステアリングホイール1の樹脂成形に使用されている。
【0030】
【表2】
Figure 0003573016
因みに、従来技術のようにスプレーガンにて塗料Mを塗布した場合、キャビティ17内への塗着効率は約20%であった。これに対し本実施の形態のように、閉じられたキャビティ17内で塗料Mを塗布した場合では、キャビティ17内への塗着効率を約50%〜70%へ高めることが可能となる。
【0031】
以上記述したように、本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)水発泡により成形されるウレタン樹脂U2の表面に耐光性に優れるウレタン樹脂U1の塗膜がほぼ均一な厚さで形成される。具体的には、スプレーガンにより塗料溶液を塗布(モールドコート)した場合では、パーティングラインにおける塗膜の厚さを4μm以上の厚さで形成することはできなかったが、本実施形態では、10μmの厚さでほぼ均一に塗膜が形成される。その結果、耐光性がどの場所でも均一に得られ、ウレタン樹脂U2の変色を防止できる。また、製品表面の色むらがなく外観不良を防止できる。よって、ステアリングホイール1は、耐光性、外観等の製品性能に優れたものとなる。また、塗膜表面は、金型表面が転写されるため、金型7により容易に表面意匠を与えることができる。具体的には、例えば、平滑面やシボ面(凸凹面)等の意匠を与えることができる。
【0032】
(2)閉じた金型7内において、塗料Mは、その溶剤が沸騰して体積増加及び破泡することによりキャビティ17の壁面に塗布むらが無くほぼ均一に塗布される。この場合、スプレーガンで塗料Mを塗布(モールドコート)した場合に比べて塗着効率を高めることができ、塗料Mの材料費を低減できる。また、塗料Mはキャビティ17外に塗布されることがなく、成形時におけるバリの発生を防止できる。従って、従来技術で必要であったバリを除去するための処理工程が不要となる。その結果、ステアリングホイール1の製造コストを低く抑えることができる。さらに、塗料Mが外部に飛散することが防止され、作業場をきれいに保つことができ、周囲の環境の悪化を防止することができる。
【0033】
(3)塗料Mの溶液をキャビティ17に流し込む際に、塗料Mの量を調整するだけで、所望の厚さの塗膜を形成することができる。つまり、パーティングライン部にも適正な厚さの塗膜を形成できる。よって、耐光性や耐摩耗性等の製品性能を高めることができ、実用上好ましいものとなる。
【0034】
(4)ウレタン材料を用いた発泡成形では、熱可塑性樹脂の射出成形と比べて、キャビティ17内が低温、低圧の条件下で樹脂成形が行われるので、キャビティ17の壁面に塗布された塗膜層が壊れることを防止できる。つまり、製品の歩留まりを向上できる。
【0035】
(5)芯金10の表面は、塗料Mの溶剤により洗浄され、その芯金10の表面に接着性に優れるウレタン樹脂系の塗料Mが塗布されているため芯金10とウレタン樹脂が強固に固着できる。
【0036】
(6)従来の塗料溶液に対して2倍のMEKを加えて希釈した塗料溶液(150g)を使用した。この場合、固形分の凝集がなく希釈性が良好で、塗布性及び乾燥性も好適なものとなる。
【0037】
(第2実施形態)
以下、本発明を具体化した第2実施形態を図面に従って説明する。
本実施形態は、塗料注入装置を備える点が第1実施形態と相違する。なお、キャビティ17の形状、真空ボックス13等の構成は、第1実施形態と同一であるので、図面及びその詳細な説明を省略する。
【0038】
図5は、本実施形態における射出成形機の概略構成を示す模式図であり、同図では、金型7内に形成されるキャビティ17及びゲート23を点線で示している。図5に示すように、塗料注入装置40からの塗料Mがゲート23を介して金型7のキャビティ17に注入される。また、ウレタン注入装置41で混合されたウレタン材料がゲート23を介して金型7のキャビティ17に注入される。つまり、本実施形態では、共通のゲート23から塗料溶液及びウレタン材料がキャビティ17に注入される。このように射出成形機を構成した場合、金型7を閉じた状態で塗料溶液をキャビティ17に注入できる。
【0039】
具体的には、金型7のキャビティ17に離型剤を塗布した後に、金型7内に芯金10をセットして型締めする。そして、真空ポンプ34を駆動して金型キャビティ17内を減圧させ、所定圧力以下にキャビティ17内の圧力が低下したとき、キャビティ17内に塗料注入装置40から塗料Mを注入する。このとき、塗料Mの溶剤が沸騰し、泡状になった塗料Mが破泡しながらキャビティ17内を排出孔20に向かって流動する。これにより、塗料Mがキャビティ17の壁面に塗布される。そして、塗料Mの溶剤が気化して、塗料Mのウレタン樹脂がキャビティ17の壁面に形成される。
【0040】
このように、塗膜層がキャビティ17に形成された後、キャビティ17内が常圧状態とされて、ウレタン注入装置41で混合された液状のウレタン材料がゲート23を介してキャビティ17に注入される。すると、水とイソシアネート成分とが反応してCO2が発生するとともに、ポリオール成分とイソシアネート成分が反応することでウレタン樹脂の発泡成形が実施される。つまり、ステアリングホイール1のリング部2とスポーク部3,4,5のウレタン樹脂の成形と塗装が同時に実施される。
【0041】
以上記述したように、本実施の形態によれば、前記第1実施形態の(1)〜(6)の効果に加えて以下の効果を奏する。
(1)キャビティ17を減圧しながら塗料Mを注入できるので、短時間でステアリングホイール1の樹脂成形を実施できる。また、閉じた金型7内のキャビティ17に塗料Mが注入されるので、塗料Mの溶剤が射出成形機の外部に漏れることを防止でき、作業環境を改善できる。
【0042】
(2)塗料注入装置40により塗料溶液の注入量を的確に制御することで、成形品の表面に所望の厚さの塗膜を形成できる。これにより、塗料Mの注入量に基づく製品バラツキを低減できる。
【0043】
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
○上記第2実施形態では、減圧状態のキャビティ17内に塗料Mを注入するものであったが、減圧する前、つまり常圧状態のキャビティ17内に塗料注入装置40から塗料Mを注入してもよい。
【0044】
○上記第2実施形態では、ウレタン材料を注入するためのゲート23から塗料溶液を注入する構成であったが、このゲート23以外の場所から塗料溶液をキャビティ17に注入してもよい。また、複数箇所からキャビティ17に塗料溶液を注入する構成としてもよい。この場合も、塗料Mをキャビティ17の壁面に効率よく塗布できる。
【0045】
○上記実施形態では、ウレタン材料として、ポリエーテルポリオール、ジフェニルメタンジイソシアネートを含むものであったが、これに限定するものではない。つまり、発泡剤として水を用いて発泡成形するためのウレタン材料であればよい。
【0046】
○成形品は、ステアリングホイール1に限定されず、例えば、インストルメントパネル、コンソールボックス、グローボックス、ヘッドレスト、アームレスト、ドアカバー、エアスポイラー、バンパー等の他の部品にも適用できる。勿論、自動車部品以外に家電製品等の成形品に適用してもよい。
【0047】
○塗料Mの成分を適宜変更して実施してもよい。具体的には、ウレタン樹脂に代えて、他の熱硬化性樹脂を用いてもよい。また、塗料Mの溶剤として、メチルエチルケトン(MEK)及びイソプロピルアルコール(IPA)以外の溶剤を用いてもよい。実用的には、沸点が約160℃以下の溶剤を用いるものであればよい。
【0048】
○上記実施形態では、真空ポンプ34を駆動してキャビティ17内を300torr以下に減圧するものであったが、これに限定するものではない。
例えば、金型7の温度が常温(約20℃)であれば、キャビティ17内を約70torrに減圧する。また、塗料Mの溶剤を変更した場合その沸点が変化するので、この場合もキャビティ17内の減圧時の圧力を変更する。つまり、キャビティ17内の減圧時の圧力は、金型7の温度及び用いられる溶剤の種類により適宜変更して実施する。
【0049】
○上記実施形態では、キャビティ17内を減圧して、塗料Mを沸騰させるものであったが、これに限定するものではなく、大気圧時に金型7を溶剤の沸点まで昇温することによりキャビティ17内の塗料Mを沸騰させるものでもよい。この場合も、沸騰時の体積増加及び破泡により塗料Mをキャビティ17に効率よく塗布できる。
【0050】
さらに、上記実施形態により把握される請求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果とともに記載する。
(イ)請求項1に記載のウレタン樹脂製の成形品の製造方法において、金型キャビティ内に塗料溶液を流し込んだ後、金型キャビティ内を減圧させて、塗膜層を金型キャビティに形成したことを特徴とするウレタン樹脂製の成形品の製造方法。この場合、キャビティ内が所定圧力以下に減圧されると塗料溶液の溶剤が沸騰し、その沸騰時の体積増加及び破泡によりキャビティに塗料を効率よく塗布できる。
【0051】
(ロ)請求項1に記載のウレタン樹脂製の成形品の製造方法において、金型キャビティを減圧し、その減圧した金型キャビティ内に塗料溶液を注入して塗膜層を金型キャビティに形成したことを特徴とするウレタン樹脂製の成形品の製造方法。この場合、減圧状態の金型キャビティ内に塗料溶液が注入され塗料の溶剤が沸騰して、泡状になった塗料溶液が破泡しながらキャビティ内に流入される。これにより、金型キャビティに塗料を効率よく塗布できる。
【0053】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、金型キャビティに塗料を効率よく塗布し、ウレタン樹脂製の成形品の表面にほぼ均一な厚さの塗膜を形成することができる。従って、ウレタン樹脂製の成形品の製品性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のステアリングホイールの成形方法を説明するための図。
【図2】第1実施形態のステアリングホイールの成形方法を説明するための図。
【図3】第1実施形態のステアリングホイールの形成形方法を説明するための図。
【図4】第1実施形態のステアリングホイールの斜視図。
【図5】第2実施形態の射出成形機の概略構成を示す模式図。
【符号の説明】
1…ステアリングホイール、7…金型、17…キャビティ、M…塗料、U1…塗膜としてのウレタン樹脂、U2…コア部としてのウレタン樹脂。

Claims (1)

  1. 水を用いて発泡成形されるウレタン樹脂製の成形品の製造方法において、
    金型を閉じた状態で金型キャビティ内で溶剤とウレタン樹脂とを含む塗料溶液を沸騰させ、沸騰時の体積増加及び破泡により塗料を金型キャビティの壁面に塗布すると共に気化した溶剤を排気して塗膜層を金型キャビティに形成した後、常圧状態とした金型キャビティ内にウレタン材料を注入して水発泡成形を行うことを特徴とするウレタン樹脂製の成形品の製造方法。
JP27618899A 1999-09-29 1999-09-29 ウレタン樹脂製の成形品の製造方法 Expired - Fee Related JP3573016B2 (ja)

Priority Applications (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27618899A JP3573016B2 (ja) 1999-09-29 1999-09-29 ウレタン樹脂製の成形品の製造方法
DE2000607050 DE60007050T2 (de) 1999-09-29 2000-03-07 IMC-Verfahren
EP20000104858 EP1088648B1 (en) 1999-09-29 2000-03-07 Process for forming coating film
AU20753/00A AU739153B2 (en) 1999-09-29 2000-03-08 Molded product having a coating film and process for forming coating film
US09/522,045 US6607681B1 (en) 1999-09-29 2000-03-09 Molded product having a coating film and process for forming coating film
CNB001031732A CN1251857C (zh) 1999-09-29 2000-03-17 涂膜注塑产品和涂膜形成方法
US10/383,627 US20030172769A1 (en) 1999-09-29 2003-03-10 Molded product having coating film

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP27618899A JP3573016B2 (ja) 1999-09-29 1999-09-29 ウレタン樹脂製の成形品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001096545A JP2001096545A (ja) 2001-04-10
JP3573016B2 true JP3573016B2 (ja) 2004-10-06

Family

ID=17565938

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP27618899A Expired - Fee Related JP3573016B2 (ja) 1999-09-29 1999-09-29 ウレタン樹脂製の成形品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3573016B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001096545A (ja) 2001-04-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6607681B1 (en) Molded product having a coating film and process for forming coating film
JPH0788856A (ja) 成形フォームクッションを含む成型複合物品を作製する方法
JP3573016B2 (ja) ウレタン樹脂製の成形品の製造方法
JP3573013B2 (ja) 成形品の製造方法
CN102596531B (zh) 用于模制件模型的模型嵌件,模制件的制造方法和模制件
JP2003159724A (ja) 金型内被覆成形方法
JP3584806B2 (ja) 金型内塗料塗布方法
JP4193305B2 (ja) 成形品の製造方法
JP3772605B2 (ja) インサート成形品の製造方法及びインサート成形品
JP3573020B2 (ja) ウレタン成形品の製造装置
JP3573015B2 (ja) 成形品の製造方法
JP3573014B2 (ja) 樹脂成形品の製造方法
US6383423B1 (en) Process for producing polyurethane molded articles
JP3573017B2 (ja) 金型内塗料塗布方法
JP3573018B2 (ja) 樹脂成形品の製造方法
AU766039B2 (en) Molded product
JP3925396B2 (ja) 成形品の製造方法
JP2000351351A (ja) 表皮一体自動車内装部品及びその製造方法
JPS6345291B2 (ja)
JP3573019B2 (ja) ウレタン成形品の製造方法
JP2001097229A (ja) ステアリングホイール
JP2004058494A (ja) 硬質ウレタン発泡体の製造方法およびその製造方法に用いる成形用両面型
JP2010149331A (ja) インモールドコート塗装方法およびインモールドコート塗装装置
JPS63307912A (ja) 発泡成形品の製造方法
JPH0872097A (ja) Rim成形品のインモールドコート成形法

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040608

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040621

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080709

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080709

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090709

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090709

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100709

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110709

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120709

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120709

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130709

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees