JP2001095754A - 内視鏡 - Google Patents

内視鏡

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JP2001095754A JP27585599A JP27585599A JP2001095754A JP 2001095754 A JP2001095754 A JP 2001095754A JP 27585599 A JP27585599 A JP 27585599A JP 27585599 A JP27585599 A JP 27585599A JP 2001095754 A JP2001095754 A JP 2001095754A
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    • A61B1/00002Operational features of endoscopes
    • A61B1/00043Operational features of endoscopes provided with output arrangements
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    • A61B1/00052Display arrangement positioned at proximal end of the endoscope body

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電力の供給が停止した場合における対応が容
易な内視鏡を提供する。 【解決手段】 異常検出部309が電力の供給停止を検
出した場合、制御部305がモータ303を回動させて
スプロケット105を初期位置に復帰させ、湾曲部を直
線状態に戻す。さらに、電磁クラッチ302を断にして
モータ303とスプロケット105を切り離し、内視鏡
先端にある湾曲部をフリーにする。もしくは、電動内視
鏡をマニュアルでも操作可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡において電
力の供給が停止した場合における対応を容易にする技術
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の内視鏡において、内視鏡使用中に
異常事態が発生した場合、対応を容易にする技術として
いくつかの技術が提案されている。
【0003】特開平1−181836号公報において
は、振動波モータによって挿入部を湾曲させる内視鏡に
おいて、回転子(ロータ)と固定子(ステータ)を圧接
する付勢手段と、この付勢手段による圧接と解除を切換
える切換手段とを設けて、操作ノブを回動させる操作に
よって、操作部をフリーにできる内視鏡が開示されてお
り、必要なときはいつでも挿入部の湾曲部をフリーな状
態で湾曲させることができ、停電や故障時にも安全性を
確保できる旨の効果が記載されている。
【0004】特開平5−49594号公報においては、
内視鏡の操作部の中に、操作用のワイヤを切り離せる機
構を設け、普段はこの機構を蓋で覆っておく技術が開示
されており、湾曲状態で固定されてしまった湾曲部を解
除する手段にクラッチ機構を設けることなく、簡単な構
造で確実に湾曲部を解除できる旨の効果が記載されてい
る。
【0005】特開平7−171093号公報において
は、内視鏡の操作部と先端の間でワイヤを切り離し可能
なワイヤ接続機構を設け、所定の操作によってワイヤを
切り離し可能にした技術が開示されており、停電や不慮
の事故が発生したときに、湾曲機構の固定を解除でき、
内視鏡の抜き取り時に被検者に苦痛を与えたり、被検験
者を傷つけることがない旨の効果が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の技術においては、湾曲した状態で固定された内
視鏡の湾曲部をフリーにするためには、操作者による何
らかの操作が必要であった。しかし、このような操作は
めったに行なわないため、操作者は、異常事態で気が動
転しているときに不慣れな操作をして先端の固定を解除
しなければならなかった。さらに、湾曲部の固定の解除
方法を覚えていない場合には、マニュアル等を参照して
解除方法を調べたり、試行錯誤をする必要があった。さ
らに、通常の使用時において、誤って先端をフリーにし
ないような設計上の配慮も必要であった。
【0007】また、内視鏡先端がフリーになった場合で
あっても、先端部の湾曲が戻らなければ、内視鏡が引き
抜き難いという問題もあった。本発明はこれらの課題に
鑑み、内視鏡に対して電力の供給が停止した場合に、よ
り対処のし易い内視鏡を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の内視鏡は、湾曲部を有する可橈管
と、上記湾曲部を付勢して湾曲動作をさせる駆動手段
と、上記駆動手段を操作制御する操作制御手段を具備す
る内視鏡であり、電力の供給が停止した場合に、自動的
に、上記付勢が解除され上記湾曲部がフリーになる。
【0009】本発明の第2の内視鏡は、本発明の第1の
内視鏡において、電力の供給が停止したことを検知する
異常検知手段と、上記異常検知手段が電力の供給が停止
したことを検知した場合に、上記付勢を解除する付勢解
除手段とを具備する。
【0010】本発明の第3の内視鏡は、本発明の第2の
内視鏡において、上記付勢を電力の供給されている間の
み与える機構を具備する。本発明の第4の内視鏡は、湾
曲部を有する可橈管と、上記湾曲部を付勢して湾曲動作
をさせる駆動手段と、上記駆動手段を操作制御する操作
制御手段を具備する内視鏡であり、電力の供給が停止し
た場合に、上記湾曲部がより湾曲していない状態にな
る。
【0011】本発明の第5の内視鏡は、本発明の第4の
内視鏡において、電力の供給が停止したことを検知する
異常検知手段と、上記異常検知手段が電力の供給が停止
したことを検知した場合に、上記湾曲部をより湾曲して
いない状態にする湾曲緩和手段とを具備する。
【0012】本発明の第6の内視鏡は、本発明の第4ま
たは第5の内視鏡において、上記電力の供給が停止した
場合に、上記湾曲部がほぼ直線状になる。本発明の第7
の内視鏡は、本発明の第4、5または6の内視鏡におい
て、上記電力の供給が停止した場合に、自動的に、上記
付勢が解除され湾曲部がフリーになる。
【0013】本発明の第8の内視鏡は、湾曲部を有する
可橈管と、上記湾曲部を付勢して湾曲動作をさせる電動
駆動手段と、上記電動駆動手段を操作制御する操作制御
手段を具備する電動内視鏡であり、電源の供給が停止し
た場合に、自動的に、上記湾曲部が中立状態に復帰す
る。
【0014】本発明の第9の内視鏡は、湾曲部を有する
可橈管と、上記湾曲部を付勢して湾曲動作をさせる電動
駆動手段と、上記電動駆動手段を操作制御する操作制御
手段を具備する電動内視鏡であり、マニュアルで上記湾
曲部に湾曲動作をさせることができるマニュアル操作機
構をさらに具備することを特徴とする内視鏡。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。 (第1の実施の形態)本実施の形態においては、内視鏡
に対する電力の供給が停止した場合に自動的に湾曲部を
直線状態に近づけ、さらに湾曲部をフリーにする制御を
実施している。
【0016】図1は本実施の形態における内視鏡の湾曲
部を湾曲させる機構全体の説明図である。本実施の形態
に係る内視鏡は操作を電動化し、操作部に取付けたモー
タの回転を制御することによって湾曲部の操作をする、
いわゆる電動内視鏡になっている。図1において、内視
鏡を操作する機構に直接関係のない部分は省略して描い
ている。内視鏡は湾曲部を上下・左右に操作可能である
が、左右に操作する機構は上下に操作する機構と同様で
あるので、上下に操作するのに関する部分のみを記載し
て、左右に操作する機構に関しては記載を省略してい
る。
【0017】内視鏡101は操作部102、蛇管10
3、湾曲部104に大別され、蛇管103と湾曲部10
4は管部と総称される。操作部102は操作者が湾曲部
104を操作したり、その他必要な操作をする部分であ
る。操作部102には可撓性を有する材質より成る管状
の部材である蛇管103が接続される。蛇管103の先
端は前口金110を介して湾曲部104と接続してい
る。湾曲部104は多数の円筒形の湾曲駒111どうし
が、上下と左右の回動軸を交互に介して連結された構造
をしており、全体として上下左右に屈曲可能な管状の部
材と成っている。湾曲部104の先頭には、挿入方向を
観察する図示しないレンズ光学系や、種々の処置具を延
出させる図示しない開口部等が配設されている。
【0018】操作部102には、図示しないモータの回
転軸とギヤを介して連結されたスプロケット105が回
転自在に取付けられており、スプロケット105の全外
周には噛み合い歯106が複数立設されている。この噛
み合い歯106に、スプロケット105の外周において
約半周の部分で噛み合うようにして、チェーン107が
係合しており、チェーン107の両端にそれぞれ、第1
のアングルワイヤ108の一端と第2のアングルワイヤ
109の一端が取付られている。第1のアングルワイヤ
108及び第2のアングルワイヤ109は蛇管103と
湾曲部104の内部を貫通し、湾曲部104の先端部の
両側に各ワイヤの他端が各々取付けられている。また、
第1のアングルワイヤ108及び第2のアングルワイヤ
109は蛇管203内部において、それぞれCP(コイ
ルパイプ)112の内部を貫通している。CP112
は、操作部102と蛇管103の境界に配設された仕切
り板状の部材であるCP止め金113の開口に取付けら
れた管状のCP止め114に一端が取付けられ、他端が
蛇管103と湾曲部104の境目にある前口金110に
同様に取付けられたCP止め114に取付けられてい
る。
【0019】操作者が湾曲部104を湾曲させる場合に
は、図示しないモータを回動させることにより、スプロ
ケット105を回動させる。このスプロケット105の
回動は、チェーン107の前後の動きに変換され、さら
にアングルワイヤ108、109の前後に動きに伝えら
れる。アングルワイヤ108、109の先端は前述した
ように湾曲部104の先端に取付けられているので、ア
ングルワイヤが引かれるとその張力により、湾曲部10
4は湾曲する。
【0020】観察用の光を光源より湾曲部104の先端
に導く光ファイバーより成るライトガイドや、CCD等
の撮像素子で撮像した画像信号を導く信号線等も湾曲部
104や蛇管103の内部を貫通していることは言うま
でもない。
【0021】このように、本実施の形態の内視鏡は、湾
曲部104を有する可橈管である管部と、湾曲部104
を付勢して湾曲動作させる駆動手段であるモータと、こ
の駆動手段を操作制御する操作制御手段である操作部1
02を有する内視鏡であるといえる。
【0022】図2は本実施形態の内視鏡の操作部外観を
示す斜視図である。操作部102は全体として、複数の
操作ボタンを上面に有する筐体201の側面に、連接カ
バー202を介して蛇管103が接続され、湾曲部の湾
曲方向を指示する操作パッド206が他の側面に取付け
られ、さらに裏面に、折りたたんで収納可能な表示部2
12が取付けられた構成となっている。
【0023】操作部102は片手で把持可能な形態であ
り、一方の側面には把持が容易なように凹部が形成され
ている。筐体上面の人差し指から小指の指先に対応する
部位には、複数の操作ボタン207〜210が配設さ
れ、各ボタンには、動画記録開始・停止、静止画撮影レ
リーズ、エアー放出、照度切換えの機能が夫々与えられ
ている。また、上面にはさらに、モータの駆動力をスプ
ロケットに伝達するギヤボックスを収納するカバー20
3、モータを収納するカーバー204、モータの回動を
検出するエンコーダを収納するカバー204が、積み重
ねられた形態で立設されており、各カバーの中には、湾
曲部を上下方向に動かす操作を担当する部品と、左右方
向に動かす操作を担当する部品が並列して収納されてい
る。
【0024】スプロケットは、湾曲部の上下の操作を行
なうものと左右の操作を行なうものが、同じ向きで筐体
201の中に収納されており、各2本づづのワイヤで作
る仮想面を先端部に至るまでの間で各々反対の方向に4
5度ねじって、操作方向が直交するようにしている。
【0025】操作部102の1つの側面からは、上述し
たように、連接カバー202を介して蛇管103が伸び
ており、反対の側面には種々の処置具を挿入するための
開口部である挿入口211が設けられている。また、湾
曲部の湾曲方向を指示する部材である操作パッド206
は斜めのコーナ部の側面に設けられ、操作部102を把
持したときに親指で操作しやすいようになっている。
【0026】操作部102の裏面には、折りたたんで収
納可能な表示部212が取付けられており、表示画面2
13に現在観察している画像が表示されるようになって
いる。また、種々の機能を奏する電気回路基板は筐体2
01の内部に収納されている。
【0027】操作者は上記操作部102を左手で把持
し、親指で操作バット206を操作して湾曲部を所望の
方向に湾曲させながら、右手で蛇管103を持って、内
視鏡の管部を被検体に挿入したり、被検体から抜き出し
てゆく。
【0028】図3は本実施の形態における制御を説明す
る図面である。付番105、107及び301から30
4の部分は、内視鏡のモータ周辺の構成を横方から見た
模式図になっており、付番305から312の部分は処
理を機能毎に説明するブロック図になっている。
【0029】模式図の説明をすると、モータ303の軸
先端には、回動力を伝達および切断可能な電磁クラッチ
302が接続され、電磁クラッチ302の出力軸はギヤ
ボックス301に接続されており、ギヤボックス301
の出力軸は、スプロケット105と同軸となっている。
スプロケット105にはチェーン107が係合してい
る。また、モータの下にはエンコーダ304が取付けら
れている。
【0030】いま、モータ303が回動すると、その回
動力は電磁クラッチ302を介してギヤボックス301
に伝達される。ギヤボックスは回動量を所定の比率で変
換した上で、スプロケット105を回動させる。スプロ
ケット105の回動はチェーン107の前後の運動に変
換され、図示しない湾曲部を湾曲させる。また、モータ
303の回動はエンコーダ304で測定される。
【0031】ブロック図の説明をすると、処理ブロック
として、制御部305、操作部307、回動検出部30
8、異常検出部309、電圧制御部311、バックアッ
プバッテリー部312がある。また、制御部305の中
にはメモリ306が含まれている。制御部305は電磁
クラッチ302、モータ303、回動検出部308、異
常検出部309、操作部307に接続している。さら
に、回動検出部308はエンコーダ304にも接続して
いる。また、異常検出部309は電圧制御部311にも
接続し、電圧制御部311はバックアップバッテリー3
12にも接続している。
【0032】いま、操作者が操作部307を用いて図示
しない湾曲部を湾曲させるべく操作をすると、操作部3
07から指示された湾曲の方向と量を示す信号が制御部
305に出力される。制御部305ではこの信号より必
要なスプロケット105の回動量を演算し、これよりギ
ヤボックス301のギヤ比を考慮してモータ303の必
要な回動量を演算し、このモータ303の必要な回動量
に基づく駆動信号をモータ303に出力する。
【0033】この駆動信号にもとづいてモータ303が
回動すると、その回動量はエンコーダ304で測定さ
れ、エンコーダ304は回動方向と回動量を示すパルス
信号を出力する。この信号は回動検出部308に入力さ
れ、回動検出部308ではこの信号をもとに、ギヤボッ
クス301のギヤ比を参考に、スプロケット105がど
の方向にどれだけ回動したか演算する。この演算結果は
制御部305に出力され、制御部305では出力した駆
動信号と測定された回動量を比較し、補正が必要な場合
には、さらに駆動信号を出力して、操作者の所望するよ
うに湾曲部が湾曲するように制御している。また、現在
のスプロケット105の初期状態よりの変位(初期状態
よりどの方向にどれだけ回動しているか)も演算されメ
モリ306に保持される。
【0034】次に、内視鏡に対して電力の供給が停止し
た場合の処理について説明する。電力の供給について
は、外部よりの電力が電圧制御部311を通じて供給さ
れ、電圧制御部311はこの電力の電圧を必要な電圧に
変換して内視鏡の各部に供給するとともに、電力の状態
を監視している。万一、電力の供給が何らかの理由で停
止した場合には、電圧制御部311は自動的に電源をバ
ックアップバッテリー312に切換えるようになってい
る。バックアップバッテリー311は異常時用の小型の
臨時バッテリーで、数分間内視鏡を駆動できる容量をも
っている。
【0035】また、電圧制御部311は異常検出部30
9によって監視されていて、0.1秒毎に状態の報告を
促すポーリング信号が異常検出部309から電圧制御部
311に送信される。電圧制御部311は電力が正常に
供給されている場合には、正常であることを示す応答信
号を異常検出部309に送信するが、何らかの理由で電
力の供給が停止した場合には応答信号を送信しない。
【0036】異常検出部309では、監視信号に対し応
答信号が返ってこない場合は、これにより内視鏡に対す
る電力の供給が停止したことを検知し、制御部305に
通知する。制御部305では、この通知を受けて、異常
時ルーチンが起動される。
【0037】図4は異常時ルーチンの処理を示すフロー
チャートである。まず、制御部305のメモリ306か
ら、現在のスプロケット105の初期状態よりの変位が
読み出される(ステップS1)。つぎに、このスプロケ
ット105の変位を初期状態、つまりどちらの方向にも
回動していない状態に戻すために、現在の変位を戻す方
向の駆動指令がモータ303に出力される(ステップS
2)。そして、モータ303の実際の回動量をエンコー
ダ304の出力から確認し(ステップS3)。このエン
コーダ304の出力より求められるスプロケット105
の位置が初期状態に復帰したか判断される(ステップS
4)。まだ、初期状態に復帰していない場合や、初期状
態を通り過ぎて反対方向に回動してしまった場合にはス
テップS2に戻り、さらなる回動指示が出され、最終的
にスプロケット105は初期状態に復帰する。その後、
電磁クラッチ302を動力を伝達しない状態に切換える
指令が出され、モータ303とギヤボックス301は動
力的に切り離され、湾曲部にモータの負荷がかからない
状態となり、湾曲部はフリーとなる。即ち、湾曲部は付
勢されていず、外力によって湾曲可能な状態となる。
【0038】このような処理が実行されることにより、
内視鏡に対して電力の供給が停止した場合に、まずスプ
ロケット105が初期状態に復帰することにより、湾曲
部が異常発生時の湾曲状態より湾曲していない状態にな
る。本実施の形態においては、湾曲部を操作するアング
ルワイヤの弛みが少ない場合を想定しているので、湾曲
部はほぼ直線状態に復帰する。アングルワイヤに弛みが
多く蓄積されている場合には、スプロケット105の位
置と湾曲部の位置にズレが生じているため、湾曲部が必
ずしも直線状態まで復帰しないことがあるが、それでも
湾曲部が異常時発生時の湾曲の状態よりも湾曲していな
い状態に復帰する。
【0039】被検体より内視鏡の管部を引き出すばあ
い、湾曲部が直線状態に復帰していれば引き出しが容易
になることは明らかだが、湾曲の度合いが緩和されてい
るだけでも、十分な効果がある。
【0040】湾曲部がより湾曲していない状態になるの
に続いて、電磁クラッチ302で動力の伝達が切られる
ため、湾曲部は付勢が解除されてフリーの状態となる。
これにより、湾曲部が経路の形状に合わせて柔軟に屈曲
可能になるので、被検体より内視鏡の引き出しがさらに
容易になる。
【0041】電力の供給の停止時に内視鏡を被検体から
引き出すにあたっては、湾曲部を直線状態に復帰するこ
とと湾曲部がフリーになることの両方が実現されること
が望ましいが、どちらか一方だけでもよい。
【0042】湾曲部がフリーであるが湾曲していると、
内視鏡の管部を引き出す当初、経路内壁より受ける抗力
で湾曲部の湾曲が経路の形状に従うまで、引き出し作業
がスムーズにゆかない可能性がある。しかし、一旦湾曲
部の湾曲が経路の形状に従った後は、スムーズに引き出
すことができる。
【0043】また、湾曲部が直線状に復帰するだけでフ
リーでなければ、内視鏡の管部を引き出すにあたって、
経路が屈曲している部位を湾曲部が通過するとき、かな
りの抵抗がある。しかし、湾曲部がきつく屈曲したまま
引き出す場合に比較すれば、よりスムーズに内視鏡を引
き出すことができる。
【0044】このように本実施形態の内視鏡は、電力の
供給が停止した場合に、湾曲部がより湾曲していない状
態になるものであり、さらに、自動的に、湾曲部の付勢
が解除されて湾曲部がフリーになるものである。
【0045】また、電力の供給が停止したことを検知す
る異常検出部308は異常検知手段といえ、異常検出部
309が電力の供給を停止したことを検知した場合に、
湾曲部をより湾曲していない状態にするようにモータ3
02を駆動する制御部305は湾曲緩和手段といえ、湾
曲部の付勢を解除する電磁クラッチ302は付勢解除手
段であるといえる。
【0046】本実施の形態の内視鏡により、内視鏡に対
する電力の供給が停止し、操作ができない場合や、電力
がバックアップバッテリに切換り短時間しか操作ができ
ない場合に、操作者は落ち着いて内視鏡を引き出すこと
ができる。
【0047】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態を説明する。本実施の形態は、電力が供給
されている間のみアングルワイヤに張力がかかるように
構成するとともに、湾曲部に弾性をもたせている。
【0048】本実施の形態は第1の実施の形態と多くの
部分を共通としているので、本実施の形態の特徴部分の
みを説明して、共通している部分は説明を省略する。図
1に係る内視鏡の機構、及び図2に係る操作部の外観は
第1の実施の形態を同様であるので、説明を省略する。
第2の実施形態における制御ブロックを図5に示す。図
5は第1の実施の形態に係る図3より異常検出手段30
8とバックアップバッテリ312を取り去った構成にな
っており、他の点は図3と同様になっている。
【0049】図6はアングルワイヤ108と109に張
力を発生させるテンション機構の説明図である。アング
ルワイヤ108、109は複数固定滑車601と移動滑
車602に対して図のような経路で掛かっており、移動
滑車602は固定軸605を中心に回動可能な支持棒6
06の一端に取付けられ、支持棒606の他端には釣合
い重り607が取付けられている。また、支持棒606
は固定ピン603と604で回動位置が規制されてい
る。
【0050】いま、装置に電力が供給されていない状態
では、支持棒606は矢印の方向に付勢されており、固
定ピン603に接触した位置にある。装置に電力が供給
されると、図示しない電磁ロックによって、支持棒60
6は上記付勢力よりも大きな力で矢印とは反対方向に付
勢されて、固定ピン604に接触して固定される。な
お、固定ピン604とアングルワイヤ108、109は
紙面垂直方向の位置が異なり、干渉しないような位置関
係になっている。この結果、アングルワイヤ108、1
09は内側に押されて張った状態になり、スプロケット
105の回動でアングルワイヤを操作して湾曲部を湾曲
させることが可能になる。
【0051】また、装置の電力の供給が停止すると、電
磁ロック機能が停止し、移動滑車602は矢印の方向に
自然に移動する。この結果、アングルワイヤ108、1
09の張力が無くなり、アングルワイヤで操作される湾
曲部はフリーの状態になる。
【0052】図7は、湾曲部の構造を説明する図であ
る。本第2の実施の形態においては、湾曲部104の側
面に複数の伸縮自在の弾性部材701を設けてある。こ
の弾性部材701は湾曲部全体に直線状態に復帰するた
めの弾力を与えるものであり、湾曲部に対する付勢がな
くなりフリーになった場合に、湾曲部が自然に直線状態
に復帰するように設けられたものである。
【0053】本実施の形態では、上述のような構成をと
ることにより、電力の供給が停止したことを検知する手
段や異常処理のためのルーチンを必要とせず、簡単な構
成で、装置に電力の供給が停止した場合に、自動的に湾
曲部の付勢を解除して湾曲部をフリーにするとともに、
湾曲部を直線状態に近づけるようにしている。
【0054】図6の機構は、付勢力を電力の供給されて
いる間のみ与えるようにした機構と言える。もちろん、
図6のような機構を設けずとも、電力の供給が停止する
と軸が固定されずにフリーに回動するモータと、慣性力
の小さいギヤやスプロケットを採用してもよい。また、
湾曲部に図7のような弾性部材設けずに、湾曲部の被服
部材に十分な弾力性をもつ材質を採用してもよい。
【0055】また、湾曲部の付勢が解除され、湾曲部が
直線状態に略復帰した状態を中立状態とすると、本実施
の形態は、電源の供給が停止した場合に、自動的に湾曲
部が中立状態に復帰するものである。
【0056】(第3の実施の形態)本第3の実施の形態
は、マニュアルで上記湾曲部に湾曲動作をさせることが
できるマニュアル操作機構を採用することで、内視鏡に
対し電力の供給が停止した場合に、より対処のし易い内
視鏡を提供するものである。
【0057】本実施の形態は第1および第2の実施の形
態と多くの部分を共通としているので、本実施の形態の
特徴部分のみを説明して、共通している部分は説明を省
略する。図1に係る内視鏡の機構は第1及び第2の実施
の形態と同様であるので、説明を省略する。本実施の形
態においては、操作部の裏面、即ち図2において操作ボ
タンの取付けられている側の反対側に、操作部の把持に
邪魔にならないように、図に表れない小型のマニュアル
操作用ハンドルが取付けられている。この様子を図8で
説明する。
【0058】図8は本実施の形態における内視鏡のモー
タ周辺の構成を横方向から見た模式図である。このう
ち、付番105,107、301〜304の部分は図3
と同様であるので、説明を省略する。マニュアル操作用
ハンドル801はスプロケット105の軸と同軸となる
ように配置されており、ハンドル801の回動軸の先端
と、スプロケット105の回動軸の先端にはそれぞれ係
合部材802、803が取付けられている。ハンドル8
01は操作部より外へ向かう方向に図示しないバネによ
って付勢されており、係合部材802と803は離間し
て係合しない状態になっている。
【0059】いま、内視鏡に対する電力の供給が停止し
てマニュアル操作をする場合には、操作者はハンドル8
01を操作部方向に押圧することにより、係合部80
2、803を係合させ、しかる後、押圧を続けながらハ
ンドル801を所望の方向に回動させることにより、ハ
ンドル801の回動運動をスプロケット105に伝達さ
せて、湾曲部を湾曲させる。
【0060】また、操作者がハンドル801の押圧を中
止すれば、係合部802、803の係合が外れるので、
ハンドル801の回動力はスプロケット105に伝わら
なくなる。
【0061】このように、本実施の形態においては、通
常は係合部が離間しており、ハンドル801の回動力が
スプロケット105に伝達されないようになっているの
で、誤操作を防止することができる。また、マニュアル
操作の場合、モータの慣性負荷がスプロケットにかから
ないように、電磁クラッチ302が切断可能な構成にす
れば、軽い力でマニュアルによる湾曲部の操作が可能と
なる。
【0062】本実施の形態においては、電力による湾曲
部の操作が不可能な場合においても、マニュアルで湾曲
部の操作が可能となるので、より対処のし易い内視鏡が
提供される。
【0063】以上説明した、各実施の形態における電力
の供給が停止した場合とは、例えば停電や電力スイッチ
を切断した場合が含まれる。また、電力の供給が停止し
た場合に、直ちに湾曲部をフリーにしたり湾曲を緩和す
るのではなく、一旦、内視鏡内部や外部の非常用の電源
で内視鏡を駆動し、この非常用電源のパワーが減り、内
視鏡に十分な電力を供給できなくなってから、湾曲部を
フリーにしたり湾曲を緩和してもよいことは言うまでも
ない。
【0064】また、本発明は電力で湾曲部を駆動する電
動内視鏡に好適な技術ではあるが、内視鏡に電力の供給
が停止した場合には、光源や撮像系も使用不可となり内
視鏡操作の続行が困難であるので、本発明の第1から第
7の内視鏡においては内視鏡の駆動方式に関係なく利用
できるものである。
【0065】
【発明の効果】本発明の第1から第8の内視鏡において
は、電力の供給が停止した場合に格別の操作をしなくと
も被検体より引き出し易くなる内視鏡を提供できる。
【0066】本発明の第9の内視鏡においては、電力に
よる操作ができない場合でも、マニュアルで操作可能な
電動内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡の全体構成を説明する図面であ
る。
【図2】内視鏡の操作部の外観図である。
【図3】第1の実施の形態における内視鏡の操作部及び
制御を説明する図である。
【図4】第1の実施の形態における異常時の処理を示す
フローチャートである。
【図5】第2の実施の形態における内視鏡の操作部及び
制御を説明する図である。
【図6】第2の実施の形態におけるテンション機構の外
観図である。
【図7】第2の実施の形態における湾曲部の説明図であ
る。
【図8】第3の実施の形態における、操作部の説明図で
ある。
【符号の説明】
101 内視鏡 102 操作部 103 蛇管 104 湾曲部 105 スプロケット 107 チェーン 108 第1のアングルワイヤ 109 第2のアングルワイヤ 301 ギヤボックス 302 電磁クラッチ 303 モータ 601 固定滑車 602 移動滑車

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湾曲部を有する可橈管と、 上記湾曲部を付勢して湾曲動作をさせる駆動手段と、 上記駆動手段を操作制御する操作制御手段を具備する内
    視鏡であり、 電力の供給が停止した場合に、自動的に、上記付勢が解
    除され上記湾曲部がフリーになることを特徴とする内視
    鏡。
  2. 【請求項2】 電力の供給が停止したことを検知する異
    常検知手段と、 上記異常検知手段が電力の供給が停止したことを検知し
    た場合に、上記付勢を解除する付勢解除手段とを具備す
    ることを特徴とする請求項1記載の内視鏡。
  3. 【請求項3】 上記付勢を電力の供給されている間のみ
    与える機構を具備することを特徴とする請求項1記載の
    内視鏡。
  4. 【請求項4】 湾曲部を有する可橈管と、 上記湾曲部を付勢して湾曲動作をさせる駆動手段と、 上記駆動手段を操作制御する操作制御手段を具備する内
    視鏡であり、 電力の供給が停止した場合に、上記湾曲部がより湾曲し
    ていない状態になることを特徴とする内視鏡。
  5. 【請求項5】 電力の供給が停止したことを検知する異
    常検知手段と、 上記異常検知手段が電力の供給が停止したことを検知し
    た場合に、上記湾曲部をより湾曲していない状態にする
    湾曲緩和手段とを具備することを特徴とする請求項4記
    載の内視鏡。
  6. 【請求項6】 上記電力の供給が停止した場合に、上記
    湾曲部がほぼ直線状になることを特徴とする請求項4ま
    たは5記載の内視鏡。
  7. 【請求項7】 上記電力の供給が停止した場合に、自動
    的に、上記付勢が解除され湾曲部がフリーになることを
    特徴とする請求項4、5または6記載の内視鏡。
  8. 【請求項8】 湾曲部を有する可橈管と、 上記湾曲部を付勢して湾曲動作をさせる電動駆動手段
    と、 上記電動駆動手段を操作制御する操作制御手段を具備す
    る電動内視鏡であり、 電源の供給が停止した場合に、自動的に、上記湾曲部が
    中立状態に復帰することを特徴とする内視鏡。
  9. 【請求項9】 湾曲部を有する可橈管と、 上記湾曲部を付勢して湾曲動作をさせる電動駆動手段
    と、 上記電動駆動手段を操作制御する操作制御手段を具備す
    る電動内視鏡であり、 マニュアルで上記湾曲部に湾曲動作をさせることができ
    るマニュアル操作機構をさらに具備することを特徴とす
    る内視鏡。
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