JP2001095496A - 乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法 - Google Patents
乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法Info
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Abstract
れ、かつ緩衝能が小さい乳清蛋白加水分解物、及びその
製造方法を提供する。 【解決手段】 a)分解率が10〜15%であること、
b)アミノ酸スコアが100であること、c)乳清蛋白
質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量合計に占める
遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%(重量)未満であ
ること、d)pH3.8において90℃で10分間加熱
処理し、沈殿を生じないこと、及びe)乳清蛋白質加水
分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能が、クエン酸換算で
280mg以下であること、の理化学的性質を有する乳
清蛋白質加水分解物、並びに乳清蛋白質を含有する溶液
に酸剤を添加し、pHを5.0以下に調整し、酸性プロ
テア−ゼを添加し、蛋白質の分解率が10〜15%の範
囲で乳清蛋白質を加水分解し、加水分解液を吸着性樹脂
で処理することを特徴とする乳清蛋白質加水分解物の製
造方法。
Description
解の蛋白質に比較して優れ、アミノ酸スコア100でア
ミノ酸バランスに優れ、遊離アミノ酸が少なく、風味が
良好であり、酸性域の熱安定性に優れ、かつ緩衝能が小
さいことから酸性域で広範な種々の食品及び飲料等に利
用できる新規な乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法
に関する。
15%であること、b)アミノ酸スコアが100である
こと、c)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸
の質量合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1
%(重量。以下、分解率を除き、特に断りのない限り同
じ。)未満であること、d)pH3.8において90℃
で10分間加熱処理し、沈殿を生じないこと、及びe)
乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能が、
クエン酸換算で280mg以下であることの理化学的性
質[以下、a)〜e)をまとめて特定の理化学的性質と
記載することがある。]を有する乳清蛋白質加水分解
物、及び乳清蛋白質を含有する溶液に酸剤を添加し、p
Hを5.0以下に調整し、酸性プロテア−ゼを添加し、
蛋白質の分解率が10〜15%の範囲で乳清蛋白質を加
水分解し、加水分解液を吸着性樹脂で処理することを特
徴とする乳清蛋白質加水分解物の製造方法に関する。
清蛋白質加水分解物、即ちペプチドと遊離アミノ酸との
混合物(乾燥物)、に含まれる全アミノ酸の質量合計に
占める遊離アミノ酸の質量合計の割合(百分率)を意味
する。
体内での利用性等において優れた栄養学的特性を有して
おり、食品、飲料等に広く利用されている。しかしなが
ら、乳清蛋白質は熱安定性に劣っており、加熱殺菌が必
要な液状食品等の用途には事実上使うことができない
(月刊フードケミカル7月号、第42頁、1999
年)。
収性の向上、又は抗原性の低減等を目的として、乳清蛋
白質を酵素で加水分解した乳清蛋白質加水分解物が利用
されている。
解した場合、発生する呈味性ペプチド又は遊離アミノ酸
等により苦味等の不快な風味が生じるという問題があっ
た。また、加水分解率が高い乳清蛋白質加水分解物を酸
性飲料等に使用する場合には、緩衝能が大きいため、酸
性に達するまでに大量の酸剤を添加しなければならず、
最終製品の風味に大きな影響を及ぼすという問題があっ
た。
不快な風味の発生は抑制され、緩衝能も小さくなるが、
熱安定性の改善が不十分であり、例えば加水分解後にプ
ロテアーゼを加熱失活させる工程においてゲル化又は沈
殿が発生するという問題があった。
各種アミノ酸、ペプチドの運動能力への効果が明らかに
されつつあり、スポーツ選手用栄養補助食品等に配合す
るペプチド組成物にもアミノ酸スコアが100であるこ
とが待望されている。
蛋白質加水分解物が幾つか開発されているが、これらを
例示すれば次のとおりである。
ルトンの画分が、全加水分解物の1%未満であり、抗原
残存活性が10-5以下に低減され、アミノ酸遊離率が1
0〜15%であり、乳清蛋白質に含まれる全リジンの量
に対する遊離リジンの量の割合が12〜20%であり、
アンモニア含量が0.2%以下であり、10%溶液を1
cmのセル、540nmで測定した透過率が98%以上
であり、pH4〜7の5%溶液を120℃で10分間加
熱して沈殿を生じない風味良好な乳清蛋白質加水分解物
が開示されている(特開平8−112063号公報。以
下、従来技術1と記載する。)。
交換樹脂処理又は脱塩処理し、蛋白質100g当りのカ
ルシウム濃度を350mg以下に調整し、エンド型プロ
テアーゼを添加し、全窒素量に対する非蛋白態窒素の割
合が50%以下の範囲で乳清蛋白質を加水分解すること
により、加水分解率が低く、非蛋白態窒素量が適切であ
る風味良好な乳清蛋白質加水分解物が開示されている
(特開平6−153792号公報。以下、従来技術2と
記載する。)。
質を高度に加水分解した乳清蛋白質加水分解物は、抗原
性が低く、熱安定性が良い点においては優れているが、
前記のとおり緩衝能が大きいため、酸性に達するまでに
大量の酸剤を添加しなければならず、最終製品の風味に
大きな影響を及ぼすという欠点を有していた。
に加水分解した乳清蛋白質加水分解物は、カルシウム濃
度を低減しているため、中性域の熱安定性は優れている
が、酸性域の熱安定性がないため、酸性飲料等へ使用で
きないという欠点を有していた。
は、抗原性が低く、熱安定性が良い点においては優れて
いるが、緩衝能が大きい点に問題がある乳清蛋白質加水
分解物、中性域の熱安定性は優れているが、酸性域の熱
安定性に問題がある乳清蛋白質加水分解物が開示されて
いるのみであり、風味が良好であり、熱安定性に優れ、
かつ緩衝能が小さい乳清蛋白質加水分解物については、
従来知られていなかった。
り、アミノ酸スコアが100であり、アミノ酸遊離率が
1%未満であり、pH3.8において90℃で10分間
加熱処理し、沈殿を生じない、乳清蛋白質加水分解物の
蛋白質1g当たりの緩衝能が、クエン酸換算で280m
g以下である、いわゆる風味良好で酸性域の優れた熱安
定性を有する緩衝能が小さい乳清蛋白質加水分解物は知
られていなかった。
を原料として用い、酸性域で広範な種々の食品及び飲料
等に応用可能な、消化吸収性が未分解の蛋白質に比較し
て優れ、アミノ酸スコア100でアミノ酸バランスに優
れ、遊離アミノ酸が少なく、風味が良好であり、酸性域
の熱安定性に優れ、かつ緩衝能が小さい乳清蛋白質加水
分解物が待望されていた。
来製品の有する前記各種問題点を解決し得る新しい製品
を開発することを目的として鋭意研究を行った結果、乳
清蛋白質を含有する溶液に酸剤を添加し、pHを5.0
以下に調整し、酸性プロテア−ゼを添加し、蛋白質の分
解率が10〜15%の範囲で乳清蛋白質を加水分解し、
加水分解液を吸着性樹脂で処理することにより得られる
特定の理化学的性質を有する乳清蛋白質加水分解物が、
従来の乳清蛋白質加水分解物では成し得なかった消化吸
収性が未分解の蛋白質に比較して優れ、アミノ酸スコア
100でアミノ酸バランスに優れ、遊離アミノ酸が少な
く、風味が良好であり、酸性域の熱安定性に優れ、かつ
緩衝能が小さいという良好な特性を具備すること、及び
該乳清蛋白質加水分解物を安定して製造できる方法であ
ることを見出し、本発明を完成した。
域の熱安定性に優れ、かつ緩衝能が小さい乳清蛋白加水
分解物を提供することである。
あり、酸性域の熱安定性に優れ、かつ緩衝能が小さい乳
清蛋白加水分解物の製造方法を提供することである。
明の第一の発明は、次のa)〜e)、 a)分解率が10〜15%であること b)アミノ酸スコアが100であること c)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量
合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%未満
であること d)pH3.8において90℃で10分間加熱処理し、
沈殿を生じないこと e)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能
が、クエン酸換算で280mg以下であること の理化学的性質を有する乳清蛋白質加水分解物である。
は、次のa)〜f)、 a)分解率が10〜15%であること b)アミノ酸スコアが100であること c)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量
合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%未満
であること d)pH3.8において90℃で10分間加熱処理し、
沈殿を生じないこと e)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能
が、クエン酸換算で280mg以下であること f)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たり少なくと
もカルシウム6mgの存在下及びpH7.0において、
121℃で20分間加熱処理し、沈殿を生じないこと の理化学的性質を有する乳清蛋白質加水分解物である。
は、乳清蛋白質を含有する溶液に酸剤を添加し、pHを
5.0以下に調整し、酸性プロテア−ゼを添加し、蛋白
質の分解率が10〜15%の範囲で乳清蛋白質を加水分
解し、加水分解液を吸着性樹脂で処理することを特徴と
する乳清蛋白質加水分解物の製造方法であり、吸着性樹
脂が、予めクエン酸によりpHを5.0以下に調整され
ること(以下、態様1と記載する。)、酸剤が、リン酸
であること(以下、態様2と記載する。)、及び酸性プ
ロテア−ゼが、ペプシンであること(以下、態様3と記
載する。)を望ましい態様としてもいる。
が、本発明の理解を容易にするために、最初に本発明の
第三の発明、即ち、乳清蛋白質加水分解物の製造方法
(以下、本発明の方法と略記する。)から説明する。
清蛋白質を主成分とするものであれば、如何なるもので
も使用することができるが、市販の各種乳清蛋白質、例
えば、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、乳清蛋白質分離物
(WPI)等が望ましい。また、牛乳、脱脂乳、全脂粉
乳、脱脂粉乳から乳清蛋白質を常法により精製すること
もできる。
し、溶解する。該溶解液の濃度は格別の制限はないが、
通常、蛋白質換算で5〜15%前後の濃度範囲にするの
が効率性及び操作性の点から望ましい。
0℃で3〜10分間程度加熱殺菌することが、雑菌汚染
による変敗防止の点から望ましい。
酸剤を添加し、pHを5.0以下に調整する。この時、
加水分解によってpHが上昇することを勘案し、pH
4.0以下に調整することが、沈殿、凝集等の発生防止
の点から望ましい。
テアーゼの酵素作用の発現がなく、乳清蛋白質の加水分
解が行われないことから、pHを5.0以下に調整する
ことが必要である。
医薬品に許容されるものであれば如何なる酸剤であって
もよく、具体的には、クエン酸、リンゴ酸、グルコン
酸、乳酸、リン酸、塩酸等を例示することができる。
蛋白質を含有する溶液に酸性プロテア−ゼを添加し、乳
清蛋白質を加水分解する。
は、酸性域に至適pHを有するエンド型の蛋白質分解酵
素であれば如何なる酸性プロテアーゼであってもよく、
具体的には、アスペルギルス属、ムコール属、ペニシリ
ウム属、サッカロミセス属等に属する微生物に由来する
酸性プロテアーゼ、カテプシン、ペプシン等の動物に由
来する酸性プロテアーゼ、ハス種子、キュウリ種子等の
植物に由来する酸性プロテアーゼ、又はこれらの任意の
割合の混合物を例示することができる。
に分散し、溶解して使用する。該溶解液の濃度は格別の
制限はないが、通常3〜10%程度の酵素濃度として使
用することが効率性及び操作性の点から望ましい。
酵素力価、反応温度、及び反応時間により異なるが、一
般的には、乳清蛋白質1g当たり1000〜20000
活性単位の割合で添加する。
作用の発現する最適温度範囲を含む実用に供され得る範
囲から選ばれ、通常30〜60℃の範囲から選ばれる。
初発pH等の反応条件によって進行状態が異なり、酵素
反応の反応継続時間を一定とすると製造バッチ毎に異な
る理化学的性質を有する分解物が生じる可能性があるた
め、一該に決定できない。従って、酵素反応をモニター
し、反応継続時間を決定する必要がある。
〜15%の範囲で、反応温度、反応時間、酵素添加量等
の反応条件を設定する。
失活により行われ、常法による加熱失活処理により実施
することができる。加熱失活処理の加熱温度と保持時間
は、使用した酵素の熱安定性を考慮し、十分に失活でき
る条件を適宜設定することができるが、例えば、80〜
130℃の温度範囲で30分間〜2秒間の保持時間で行
うことができる。
し、樹脂を分離して、消化吸収性が未分解の蛋白質に比
較して優れ、アミノ酸スコア100でアミノ酸バランス
に優れ、遊離アミノ酸が少なく、風味が良好であり、酸
性域の熱安定性に優れ、かつ緩衝能が小さい乳清蛋白質
加水分解物を得ることができる。
分解液へ投入して所定時間接触させるバッチ式、吸着性
樹脂を充填したカラムへ加水分解液を通液するカラム式
のいずれの方式でも行うことができる。
い味及び臭いの成分を吸着除去するために十分な量の吸
着性樹脂を、その吸着能を考慮して添加し、吸着処理後
の吸着性樹脂を濾過等により分離する。
たカラムに、その吸着能を考慮して、加水分解液を、望
ましくない味及び臭いの成分を吸着除去するために十分
な流速で通液し、吸着処理後の加水分解液を回収するこ
とにより実施することができる。
としてKS−35(北越炭素社製)を使用し、加水分解
液(蛋白質濃度8%)を吸着性樹脂を充填したカラムに
SV=3h-1の流速で通液することにより、望ましくな
い味及び臭いの成分を吸着除去することができる。
ンバーライトXAD−7(オルガノ社製)、KS−35
(北越炭素社製)、セパビーズSP−207(三菱化学
社製)、ダウエックスS−112(ダウケミカル社製)
等の市販品を例示することができる。
又は凝集の発生を防止し、カラムの閉塞等を防止する目
的で、予め吸着性樹脂及び加水分解液双方のpHを5.
0以下の酸性域、又は中性域のいずれかに、酸剤又はア
ルカリ剤を使用して調整することが望ましい。
性の本発明の乳清蛋白質加水分解物を製造するために
は、酸剤により、吸着性樹脂のpHを5.0以下に調整
し、加水分解液のpHと一致させることができる。
物を製造するためには、酵素反応の停止の直前、又は直
後に、アルカリ剤により、加水分解液のpHを7.0前
後に調整し、吸着性樹脂のpHと一致させることができ
る。
酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の如何なるものであ
ってもよいが、酸剤は、本発明の態様1に示すとおり、
クエン酸であることが、後記試験例から明らかなとお
り、他の酸剤と比較して、最終製品である乳清蛋白質加
水分解物の風味を一層良好なものとすることができるこ
とから望ましい。
解物を製造する場合も、pH未調整の酸性の加水分解液
を、予めクエン酸によりpHを5.0以下に調整された
吸着性樹脂を使用して、吸着処理したのち、アルカリ剤
により、吸着処理済加水分解液のpHを7.0前後に調
整することが、風味の一層良好な中性の本発明の乳清蛋
白質加水分解物を得られることから望ましい。
含有する溶液は、そのまま使用することもでき、また、
必要に応じて濃縮して濃縮液として使用することもで
き、更に、この濃縮液を乾燥し、粉末として使用するこ
ともできる。
が、リン酸であることが、後記試験例から明らかなとお
り、pH7.0前後の中性域において、蛋白質1g当た
り少なくともカルシウム6mgの存在下、望ましくは、
蛋白質1g当たりカルシウム6〜10mgの存在下、即
ちカルシウムの大量存在下での乳清蛋白質加水分解物の
熱安定性が改善される。
工業社製等。)を使用することができ、リン酸の添加量
は、最終製品である乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g
当たりのリン含有量が15mg以上となる量であること
が、カルシウム存在下の熱安定性が改善効果に照らして
望ましい。
プロテア−ゼがペプシンであることが、後記試験例から
明らかなとおり、pH7.0前後の中性域において、蛋
白質1g当たり少なくともカルシウム6mgの存在下、
望ましくは、蛋白質1g当たりカルシウム6〜10mg
の存在下、即ちカルシウムの大量存在下での乳清蛋白質
加水分解物の熱安定性が改善される。
シンのいずれであってもよく、簡便には、市販のペプシ
ン・パウダー1:10000NF(ボルフガング・ミュ
ールバウアー社製)、ペプシン1:10000NFXII
(日本バイオコン社製)、ペプシン(シグマ社製)等を
使用することができる。
について記載する。前記のとおり本発明の第三の発明に
より得られた本発明の第一の発明の乳清蛋白質加水分解
物は、後記する実施例からも明らかなとおり、次のa)
〜e)の理化学的性質を有している。 a)分解率が10〜15%である。 b)アミノ酸スコアが100である。 c)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量
合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%未満
である。 d)pH3.8において90℃で10分間加熱処理し、
沈殿を生じない。 e)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能
が、クエン酸換算で280mg以下である。
第一の発明の乳清蛋白質加水分解物は、乳清蛋白質を含
有する溶液に酸剤を添加し、pHを5.0以下に調整
し、酸性プロテア−ゼを添加し、蛋白質の分解率が10
〜15%の範囲で乳清蛋白質を加水分解し、アミノ酸遊
離率を1%未満とし、加熱失活後、疎水性樹脂と接触さ
せ、望ましくない味及び臭いの成分を吸着除去すること
により、風味が良好であり、消化吸収性が未分解の蛋白
質に比較して優れ、アミノ酸スコア100でアミノ酸バ
ランスに優れ、酸性域の熱安定性に優れ、かつ緩衝能が
小さいという良好な性質を有する乳清蛋白質加水分解物
である。
物は、風味が良好であり、緩衝能が小さいにも拘らず酸
性域の熱安定性に優れるという従来の乳清蛋白質加水分
解物にはない特徴を有している。
法により得られた本発明の第二の発明の乳清蛋白質加水
分解物は、後記する実施例からも明らかなとおり、次の
a)〜f)の理化学的性質を有している。 a)分解率が10〜15%である。 b)アミノ酸スコアが100である。 c)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量
合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%未満
である。 d)pH3.8において90℃で10分間加熱処理し、
沈殿を生じない。 e)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能
が、クエン酸換算で280mg以下である。 f)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たり少なくと
もカルシウム6mgの存在下及びpH7.0において、
121℃で20分間加熱処理し、沈殿を生じない。
第二の発明の乳清蛋白質加水分解物は、乳清蛋白質を含
有する溶液に酸剤としてリン酸を添加し、pHを5.0
以下に調整し、酸性プロテア−ゼとしてペプシンを添加
し、蛋白質の分解率が10〜15%の範囲で乳清蛋白質
を加水分解し、アミノ酸遊離率を1%未満とし、加熱失
活後、疎水性樹脂と接触させ、望ましくない味及び臭い
の成分を吸着除去することにより、風味が良好であり、
消化吸収性が未分解の蛋白質に比較して優れ、アミノ酸
スコア100でアミノ酸バランスに優れ、酸性域の熱安
定性に優れ、緩衝能が小さく、かつカルシウム存在下の
熱安定性に優れるという良好な性質を有する乳清蛋白質
加水分解物である。
物は、風味が良好であり、酸性域の熱安定性に優れると
いう良好な特性を具備すると共に、pH7.0前後の中
性域において、蛋白質1g当たり少なくともカルシウム
6mgの存在下、望ましくは、蛋白質1g当たりカルシ
ウム6〜10mgの存在下、即ちカルシウムの大量存在
下での熱安定性が優れるという従来の乳清蛋白質加水分
解物にはない特徴を有しており、種々のカルシウム強化
食品及び飲料等に利用できる。
するが、本発明においては、次の試験方法を採用した。
第102ページ、株式会社光琳、昭和59年)により試
料の全窒素量を測定し、ホルモール滴定法(満田他編、
「食品工学実験書」、上巻、第547ページ、養賢堂、
1970年)により試料のホルモール態窒素量を測定
し、これらの測定値から分解率を次式により算出した。
窒素量)×100
各アミノ酸の質量、ケルダール法により試料の全窒素
量、及び1973年FAO/WHOアミノ酸評点パタン
(一般用)(科学技術庁資源調査会・資源調査所編、
「改訂日本食品アミノ酸組成表」、第211〜217ペ
−ジ、大蔵省印刷局発行、昭和61年)を使用して、各
アミノ酸ごとに1973年のアミノ酸評点パタンに対す
る割合(%)を次式により算出し、その中の最低値をも
ってアミノ酸スコアとした。尚、最低値が100を上回
る場合のアミノ酸スコアは通例により100とした。
(%)=試料中の各アミノ酸含量(mg/gN) /評点パタン
の当該アミノ酸量(mg/gN)×100
ノ酸については、試料を6規定の塩酸で110℃、24
時間加水分解し、トリプトファンについては、水酸化バ
リウムで110℃、22時間アルカリ分解し、システイ
ン及びメチオニンについては、過ギ酸処理後、6規定の
塩酸で110℃、18時間加水分解し、それぞれアミノ
酸自動分析機(日立製作所製。835型)により分析
し、アミノ酸の質量を測定した。
し、これを合計して試料中の全アミノ酸の質量を算出す
る。次いで、スルホサリチル酸で試料を除蛋白し、残留
する各遊離アミノ酸の質量を前記(2)の方法により測
定し、これを合計して試料中の全遊離アミノ酸の質量を
算出する。これらの値から、試料中の遊離アミノ酸含有
率を次式により算出した。 アミノ酸遊離率(%)=(全遊離アミノ酸の質量/全ア
ミノ酸の質量)×100
H3.8に調整し、固形分濃度10%で水に溶解し、2
50mlの透明ガラスビンに充填し、90℃で10分間
加熱して水冷し、沈殿又は凝集の発生を肉眼観察し、沈
殿又は凝集の発生の有無を酸性域の熱安定性の指標とし
た。
7.0に調整した試料を、蛋白質濃度10%で水に溶解
し、これにクエン酸を添加し、pH3.8に調整するた
めに必要なクエン酸の量(mg)を測定し、蛋白質1g
当たりのクエン酸の量(mg)を緩衝能の指標とした。
ら40歳までの男女各20人からなるパネルにより、呈
味の有無及びその強さについて、次の評価方法により官
能的に試験した。各試料を 0点:呈味なし 1点:呈味弱い 2点:呈味やや強い 3点:呈味強い の4段階に評価し、各試料の評価点の平均値を算出し、 良:0.5点未満 やや良:0.5点以上1.5未満 やや不良:1.5点以上2.5未満 不良:2.5点以上3.0未満 の基準により判定した。
方法 試料を、クエン酸又は水酸化ナトリウムの添加によりp
H7.0に調整し、固形分濃度5%で水に溶解し、これ
に塩化カルシウムを添加して蛋白質1g当たりカルシウ
ム6mgのカルシウム濃度に調整し、100mlの透明
レトルトパウチに充填し、オートクレーブを使用して、
121℃で20分間加熱して水冷し、沈殿又は凝集の発
生を肉眼観察し、沈殿又は凝集の発生の有無をカルシウ
ム存在下の熱安定性の指標とした。
て本発明の乳清蛋白質加水分解物が酸性域の熱安定性に
優れ、及び緩衝能が小さく優れていることを示すために
行った。
本発明の乳清蛋白質加水分解物 試料2:従来技術1の実施例2の方法により製造した乳
清蛋白質加水分解物 試料3:従来技術2の実施例1の方法により製造した乳
清蛋白質加水分解物
能を、いずれも前記の試験方法により各試料毎に5回測
定して平均値を算出して試験した。
明らかなとおり、従来技術の試料2に比較して本発明の
試料1は、緩衝能が小さい点で優れていることが判明し
た。また、従来技術の試料3に比較して本発明の試料1
は、酸性域の熱安定性が優れていることが判明した。
の種類、酸剤の種類、酸性プロテア−ゼの種類、及び吸
着性樹脂の種類を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の
結果が得られた。
風味を指標として、適正な蛋白質分解酵素の種類を調べ
るために行った。
のpHを変更したことを除き、実施例1と同一の方法に
より次に示す5種類の試料(試料番号4〜8)を調製し
た。 試料4:本発明の実施例1と同一の方法により製造した
本発明の乳清蛋白質加水分解物 試料5:蛋白質分解酵素として、酸性プロテアーゼであ
るPD酵素(盛進社製)を使用したことを除き、本発明
の実施例1と同一の方法により製造した本発明の乳清蛋
白質加水分解物 試料6:蛋白質分解酵素として、中性プロテアーゼであ
るトリプシン(ノボ・インダストリー社製)を使用し、
酵素反応のpHをトリプシンの至適pHであるpH7.
0に調整し、及び吸着性樹脂のpHを加水分解液のpH
に一致させるため、予めpH7.0に調整したことを除
き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清
蛋白質加水分解物 試料7:蛋白質分解酵素として、中性プロテアーゼであ
るプロテアーゼNアマノ(天野製薬社製)を使用し、酵
素反応のpHをプロテアーゼNアマノの至適pHである
pH7.0に調整し、及び吸着性樹脂のpHを加水分解
液のpHに一致させるため、予めpH7.0に調整した
ことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造
した乳清蛋白質加水分解物 試料8:蛋白質分解酵素として、アルカリプロテアーゼ
であるビオプラーゼ(長瀬生化学工業社製)を使用し、
酵素反応のpHをビオプラーゼの至適pHであるpH
7.0に調整し、及び吸着性樹脂のpHを加水分解液の
pHに一致させるため、予めpH7.0に調整したこと
を除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した
乳清蛋白質加水分解物
を、いずれも前記の試験方法により各試料毎に5回測定
して平均値を算出して試験した。
明らかなとおり、アミノ酸スコア100でアミノ酸バラ
ンスに優れ、酸性域の熱安定性に優れ、かつ風味が良好
な乳清蛋白加水分解物を製造するためには、蛋白質分解
酵素として、酸性プロテアーゼを使用することが必要で
あることが判明した。
類、及び吸着性樹脂の種類を適宜変更して試験したが、
ほぼ同様の結果が得られた。
標として、適正な蛋白質の分解率を調べるために行っ
た。
1と同一の方法により次に示す4種類の試料(試料番号
9〜12)を調製した。 試料9:蛋白質の分解率を9%としたことを除き、本発
明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加
水分解物 試料10:蛋白質の分解率を10%としたことを除き、本
発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質
加水分解物 試料11:蛋白質の分解率を15%としたことを除き、本
発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質
加水分解物 試料12:蛋白質の分解率を16%としたことを除き、本
発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質
加水分解物
及び風味を、いずれも前記の試験方法により各試料毎に
5回測定して平均値を算出して試験した。
明らかなとおり、酸性域の熱安定性に優れ、緩衝能が小
さく、かつ風味が良好な乳清蛋白加水分解物を製造する
ためには、蛋白質の分解率が10〜15%の範囲で乳清
蛋白質を加水分解することが必要であることが判明し
た。
プロテア−ゼの種類、及び吸着性樹脂の種類を適宜変更
して試験したが、ほぼ同様の結果が得られた。
を調べるために行った。
及びpH調整に使用する酸剤の種類を変更したことを除
き、実施例1と同一の方法により次に示す7種類の試料
(試料番号13〜19)を調製した。 試料13:吸着性樹脂処理を行わないことを除き、本発明
の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白質加水
分解物 試料14:吸着性樹脂のpH調整を行わないことを除き、
本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳清蛋白
質加水分解物 試料15:本発明の実施例1と同一の方法により製造した
本発明の乳清蛋白質加水分解物 試料16:吸着性樹脂のpH調整にグルコン酸を使用した
ことを除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造
した乳清蛋白質加水分解物 試料17:吸着性樹脂のpH調整に塩酸を使用したことを
除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳
清蛋白質加水分解物 試料18:吸着性樹脂のpH調整に乳酸を使用したことを
除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した乳
清蛋白質加水分解物 試料19:吸着性樹脂のpH調整にリン酸を使用したこと
を除き、本発明の実施例1と同一の方法により製造した
乳清蛋白質加水分解物
測定して平均値を算出して試験した。
明らかなとおり、風味が良好な乳清蛋白加水分解物を製
造するためには、加水分解液を吸着性樹脂で処理するこ
とが必要であることが判明した。
剤として、乳清蛋白質加水分解物の風味を一層良好なも
のとすることができることから、クエン酸が望ましいこ
とも判明した。
の種類、及び吸着性樹脂の種類を適宜変更して試験した
が、ほぼ同様の結果が得られた。
て、乳清蛋白質加水分解物の製造方法の条件を調べるた
めに行った。
種類、及び酸性プロテア−ゼの種類を変更したことを除
き、実施例4と同一の方法により次に示す8種類の試料
(試料番号20〜27)を調製した。 試料20:本発明の実施例4と同一の方法により製造した
本発明の乳清蛋白質加水分解物 試料21:酸剤として、クエン酸を使用したことを除き、
本発明の実施例4と同一の方法により製造した乳清蛋白
質加水分解物 試料22:酸剤として、グルコン酸を使用したことを除
き、本発明の実施例4と同一の方法により製造した乳清
蛋白質加水分解物 試料23:酸剤として、塩酸を使用したことを除き、本発
明の実施例4と同一の方法により製造した乳清蛋白質加
水分解物 試料24:酸性プロテアーゼとして、PD酵素(盛進社
製)を使用したことを除き、本発明の実施例4と同一の
方法により製造した本発明の乳清蛋白質加水分解物 試料25:酸剤として、クエン酸を使用し、酸性プロテア
ーゼとして、PD酵素(盛進社製)を使用したことを除
き、本発明の実施例4と同一の方法により製造した乳清
蛋白質加水分解物 試料26:酸剤として、グルコン酸を使用し、酸性プロテ
アーゼとして、PD酵素(盛進社製)を使用したことを
除き、本発明の実施例4と同一の方法により製造した乳
清蛋白質加水分解物 試料27:酸剤として、塩酸を使用し、酸性プロテアーゼ
として、PD酵素(盛進社製)を使用したことを除き、
本発明の実施例4と同一の方法により製造した乳清蛋白
質加水分解物
下の熱安定性を、前記の試験方法により各試料毎に5回
測定して平均値を算出して試験した。
明らかなとおり、風味が良好であり、酸性域の熱安定性
に優れるという良好な特性を具備すると共に、カルシウ
ム存在下の熱安定性にも優れた乳清蛋白加水分解物を製
造するためには、酸剤が、リン酸であり、かつ酸性プロ
テア−ゼが、ペプシンであることが望ましいことが判明
した。
類を適宜変更して試験したが、ほぼ同様の結果が得られ
た。
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。
ーズ社製)10kgを精製水90kgに溶解し、50%
グルコン酸(藤沢薬品工業社製)1.4kgを添加して
pHを3.4に調整し、ペプシン1:10000NFX
II(日本バイオコン社製)1億4400万活性単位(蛋
白質1g当たり16000活性単位)を添加し、45℃
で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニターし、分
解率が13.2%に達した時点で、130℃で2秒間加
熱して酵素を失活させ、10℃に冷却した。
エフ・エフ・アイ社製)によりpHを3.8に調整した
吸着性樹脂(北越炭素社製。KS−35)に対して、1
0℃、SV=3h-1の条件で吸着処理し、得られた乳清
蛋白質加水分解物を含有する溶液を濃縮し、噴霧乾燥
し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約8kgを得た。
験方法で試験した結果、分解率13.2%、アミノ酸ス
コア100、アミノ酸遊離率0.3%、及び蛋白質1g
当たりの緩衝能が、クエン酸換算で225mgであっ
た。また、酸性域の熱安定性に優れており、沈殿又は凝
集を発生せず、ほとんど無味無臭で風味が良好であり、
酸性であることから、酸性飲料等にそのまま使用可能な
優れた物質であった。
ーズ社製)10kgを精製水90kgに溶解し、85%
リン酸(日本化学工業社製)1kgを添加してpHを
3.3に調整し、PD酵素(盛進社製)1500万活性
単位(蛋白質1g当たり2000活性単位)を添加し、
60℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニター
し、分解率が14.1%に達した時点で、130℃で2
秒間加熱して酵素を失活させ、15℃に冷却した。
エフ・エフ・アイ社製)によりpHを3.7に調整した
吸着性樹脂(オルガノ社製。XAD−7)に対して、1
5℃、SV=3h-1の条件で吸着処理し、得られた乳清
蛋白質加水分解物を含有する溶液を濃縮し、噴霧乾燥
し、粉末状の乳清蛋白質加水分解物約7kgを得た。
験方法で試験した結果、分解率14.1%、アミノ酸ス
コア100、アミノ酸遊離率0.6%、及び蛋白質1g
当たりの緩衝能が、クエン酸換算で237mgであっ
た。また、酸性域の熱安定性に優れており、沈殿又は凝
集を発生せず、ほとんど無味無臭で風味が良好であり、
酸性であることから、酸性飲料等にそのまま使用可能な
優れた物質であった。
ーズ社製)1kgを精製水9kgに溶解し、50%グル
コン酸(藤沢薬品工業社製)1357gを添加してpH
を3.4に調整し、PD酵素(盛進社製)180万活性
単位(蛋白質1g当たり2000活性単位)を添加し、
60℃で加水分解し、酵素反応を分解率によりモニター
し、分解率が14.1%に達した時点で、130℃で2
秒間加熱して酵素を失活させ、15℃に冷却した。
(理研化学社製)によりpHを3.7に調整した吸着性
樹脂(オルガノ社製。XAD−7)に対して、15℃、
SV=3h-1の条件で吸着処理し、得られた乳清蛋白質
加水分解物を含有する溶液を濃縮し、噴霧乾燥し、粉末
状の乳清蛋白質加水分解物約0.8kgを得た。
験方法で試験した結果、分解率14.1%、アミノ酸ス
コア100、アミノ酸遊離率0.6%、及び蛋白質1g
当たりの緩衝能が、クエン酸換算で240mgであっ
た。また、酸性域の熱安定性に優れており、沈殿又は凝
集を発生せず、呈味が弱く風味が良好であり、酸性であ
ることから、酸性飲料等にそのまま使用可能な優れた物
質であった。
ーズ社製)1kgを精製水9kgに溶解し、85%リン
酸(日本化学工業社製)105gを添加してpHを3.
3に調整し、ペプシン1:10000NFXII(日本バ
イオコン社製)1200万活性単位(蛋白質1g当たり
16000活性単位)を添加し、45℃で加水分解し、
酵素反応を分解率によりモニターし、分解率が13.2
%に達した時点で、130℃で2秒間加熱して酵素を失
活させ、10℃に冷却した。
エフ・エフ・アイ社製)によりpHを3.8に調整した
吸着性樹脂(北越炭素社製。KS−35)に対して、1
0℃、SV=3h-1の条件で吸着処理し、得られた溶液
のpHを水酸化ナトリウム(三栄源エフ・エフ・アイ社
製)により7.0に調整し、濃縮し、噴霧乾燥し、粉末
状の乳清蛋白質加水分解物約0.7kgを得た。
験方法で試験した結果、分解率13.2%、アミノ酸ス
コア100、及びアミノ酸遊離率0.3%であった。ま
た、酸性域の熱安定性及びカルシウム存在下の熱安定性
に優れており、沈殿又は凝集を発生せず、ほとんど無味
無臭で風味が良好であり、カルシウム強化食品及び飲料
等に使用可能な優れた物質であった。
収性が未分解の蛋白質に比較して優れ、アミノ酸スコア
100でアミノ酸バランスに優れ、遊離アミノ酸が少な
く、風味が良好であり、酸性域の熱安定性に優れ、かつ
緩衝能が小さいことから酸性域で広範な種々の食品及び
飲料等に利用できる新規な乳清蛋白質加水分解物及びそ
の製造方法に関するものであり、本発明により奏される
効果は次のとおりである。 1)本発明の乳清蛋白質加水分解物は、風味が良好であ
り、酸性域の熱安定性に優れ、かつ緩衝能が小さいこと
から酸性域で広範な種々の食品及び飲料等に使用でき
る。 2)本発明の乳清蛋白質加水分解物は、呈味が弱く、又
はほとんど無味無臭で風味が良好であることから、一般
食品、栄養食品及び医療用の蛋白質素材として広範な用
途に使用できる。 3)本発明の乳清蛋白質加水分解物は、アミノ酸スコア
が100と優れていることから、スポーツ選手用栄養補
助食品等の蛋白質素材として使用できる。 4)本発明の方法により、広範な用途を有する乳清蛋白
質加水分解物を製造することができる。
Claims (6)
- 【請求項1】 次のa)〜e)、 a)分解率が10〜15%であること b)アミノ酸スコアが100であること c)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量
合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%(重
量)未満であること d)pH3.8において90℃、10分間加熱処理し、
沈殿を生じないこと e)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能
が、クエン酸換算で280mg以下であること の理化学的性質を有する乳清蛋白質加水分解物。 - 【請求項2】 次のa)〜f)、 a)分解率が10〜15%であること b)アミノ酸スコアが100であること c)乳清蛋白質加水分解物に含まれる全アミノ酸の質量
合計に占める遊離アミノ酸の質量合計の割合が1%(重
量)未満であること d)pH3.8において90℃、10分間加熱処理し、
沈殿を生じないこと e)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たりの緩衝能
が、クエン酸換算で280mg以下であること f)乳清蛋白質加水分解物の蛋白質1g当たり少なくと
もカルシウム6mgの存在下及びpH7.0において、
121℃で20分間加熱処理し、沈殿を生じないこと の理化学的性質を有する乳清蛋白質加水分解物。 - 【請求項3】 乳清蛋白質を含有する溶液に酸剤を添加
し、pHを5.0以下に調整し、酸性プロテア−ゼを添
加し、蛋白質の分解率が10〜15%の範囲で乳清蛋白
質を加水分解し、加水分解液を吸着性樹脂で処理するこ
とを特徴とする乳清蛋白質加水分解物の製造方法。 - 【請求項4】 吸着性樹脂が、予めクエン酸によりpH
を5.0以下に調整される請求項3に記載の乳清蛋白質
加水分解物の製造方法。 - 【請求項5】 酸剤が、リン酸である請求項3又は請求
項4に記載の乳清蛋白質加水分解物の製造方法。 - 【請求項6】 酸性プロテア−ゼが、ペプシンである請
求項3又は請求項4に記載の乳清蛋白質加水分解物の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27664899A JP2001095496A (ja) | 1999-09-29 | 1999-09-29 | 乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP27664899A JP2001095496A (ja) | 1999-09-29 | 1999-09-29 | 乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=17572390
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP27664899A Pending JP2001095496A (ja) | 1999-09-29 | 1999-09-29 | 乳清蛋白質加水分解物及びその製造方法 |
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JP (1) | JP2001095496A (ja) |
-
1999
- 1999-09-29 JP JP27664899A patent/JP2001095496A/ja active Pending
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