JP2001091164A - 耐火物のパネル施工方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業用炉の炉の修理が容易で、施工時間の短
縮が可能な耐火物の施工方法の提供 【解決手段】 取付けボルトを設けた鉄板に断熱材や耐
火材を施工したパネルブロックを作製し、炉の形状に組
んだ支持金物に取付けボルトを締着させることにより炉
の外側から施工する。 【効果】 足場を組む範囲が少なくなり、施工時間の短
縮が図れるほか、炉の修理を行うときもその部分のみを
差し替えることができ、築炉現場での耐火物の施工が容
易となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、各種工業用炉に使用さ
れる耐火物及びその施工方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、耐火物の施工方法はあらかじめ、
炉を形成する鉄皮が用意されており、この内面に各種断
熱材や耐火物を施工していくのが一般的で、セメントキ
ルンのプレヒーター部やごみ焼却炉の構築方法などでは
例えば特開平１０−１６９９４０号公報のように、様々
な発明がなされている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
施工方法は、いずれも鉄皮に耐火物を内張りする施工方
法を採用しているため、部分的に耐火物が溶損したり、
脱落して耐火物補修を行なう場合、炉内に入って補修し
なければならず、特に施工位置が高い位置である場合に
は、炉内に足場となる材料を持ち込み、まず、足場を組
み立ててから作業を行なう必要があった。

【０００４】しかし、工業用炉においては、これらの材
料を持ち込むことが可能な個所は限られており、ときに
は、数メートルにわたって持ち運ぶ必要があった。本発
明においては、これらの問題点を解決し、工業用炉の炉
外からの耐火物施工を可能にし炉内に足場を組まなくと
も容易に施工できる耐火物の施工方法を提供することを
目的とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の問題点を解決する
ために、本発明においては、先ず取付けボルト２を貫設
し、不定形耐火物を保持するためスタッドを内面側に植
設した矩形の鉄板１の内面に不定形耐火物のみの１層構
造、若しくは断熱材と不定形耐火物の２層以上を施工し
てなることを特徴する耐火パネルブロックを作製し、施
工したい炉の形状でかつ耐火パネルブロックに設けられ
た取付けボルトを貫通する穴を設けた支持金物８を架設
して、取付けボルト２を締着することにより、耐火パネ
ルブロックを固定し、炉を構築しようとするものであ
る。

【０００６】

【作用】本発明に係る耐火パネルブロックを使用した施
工方法によれば、あらかじめ鉄板に耐火物を施工してお
き、これを施工現場に設置した支持金物に取付けボルト
により締着させ、固定するため、不定形耐火物の流し込
み施工や吹付け施工のように施工設備が複雑でなく、容
易に施工することができる。

【０００７】また、耐火物がパネルブロック構造である
ため、使用時に耐火物が損傷した場合、損傷部位周辺の
パネルブロックのみを取り外して、補修することができ
る。

【０００８】本発明においては、鉄皮を形成せず、支持
金物によってのみ炉の形状を形成するため、支持金物や
支持支柱は、通常建築用の柱などに使用されるようなＩ
型鋼やＬ字鋼など、外力や自重によって容易に変形しな
い少なくとも５ｍｍ以上のものを使用する必要がある。

【０００９】また、耐火パネルブロックを作製する際に
取付けボルトやスタッドを取付ける鉄板は施工後鉄皮の
代わりとなるため、変形をしないよう、４．５ｍｍ以上
の鉄板を使用するほうが良く、鉄板の補強、耐火断熱材
の外力からの保護のため、外縁を内側に曲げる若しく
は、外縁に高さ５０ｍｍ程度の鉄板を溶着するのが良
い。

【００１０】一方、取付けボルトについても、これによ
って、耐火物や鉄板を含んだパネルブロックを支持、固
着させる必要があるため、少なくとも、Ｍ１６以上のも
のを使用するほうが良い。

【００１１】耐火パネルブロックに使用する耐火物に
は、特に限定はなく、従来より使用されていた材質とほ
ぼ同等の材質の不定形耐火物を稼動面側に使用すれば良
い。

【００１２】パネルブロックの構造は、鉄板の内面に少
なくとも１層以上の不定形耐火物を施工すれば良いが、
炉の熱効率を良くするため、また、鉄板の熱による変形
を抑える意味で耐火断熱キャスタブルや断熱ボードのよ
うな断熱材を併用した２層以上の構造とするほうが良
い。

【００１３】

【実施例】以下に実施例を示し、本発明の特長とすると
ころをより一層明確にする。

【００１４】図１は本発明の耐火パネルブロックを示し
た断面図の一例で、耐火キャスタブル、断熱キャスタブ
ル、断熱ボードの３層構造としたもので、鉄板の外縁に
鉄板を溶着させている。取付けボルトは、１つのパネル
に２個設けられており、一つの耐火パネルの上下方向の
ほぼ中間の高さに設けられている。本実施例はスタッド
にＹ字型スタッドとＶ字型スタッドを組み合わせた形状
のものを使用しているが、施工したキャスタブルを保持
できるものであれば、特にスタッド形状は特定されるも
のではない。

【００１５】耐火パネルブロックに使用される耐火キャ
スタブル、断熱キャスタブル、断熱ボートの材質は、使
用場所によって、選択すれば良く、特に限定されない。

【００１６】図２は従来の鉄皮の内部に耐火キャスタブ
ル、断熱キャスタブル、断熱ボードの３層を施工した例
である。

【００１７】図３〜図５は、図１に示した本発明の耐火
パネルブロックを施工したときを示した図である。Ｌ字
型の支持金物に耐火パネルブロックを取付けボルトによ
り締着させている。Ｌ字型の支持金物はＩ形鋼の支持支
柱にボルトにより締着させている。

【００１８】耐火パネルブロック同士の目地部分は稼動
面側のキャスタブル耐火物と同材質のモルタルによって
耐火パネルブロックを施工する。

【００１９】取付けボルトは耐火パネルブロックの重
量、施工部位での機械的応力のかかりかたによってサイ
ズを決定するが、少なくとも、Ｍ１６以上のものを使用
するほうが良い。

【００２０】耐火パネルブロックの一部分損傷した場
合、そのパネルブロックを固定している部位の支持金物
を支持支柱から取り外し、新しく作製した耐火パネルブ
ロックを嵌め込むことにより、耐火物補修作業を容易に
行うことができる。また、支持金物を取り外すのが困難
な部位では、支持金物を溶断し、パネルブロックを取り
替えた後、再び支持金物を溶接して施工することも可能
である。

【００２１】また、支持金物を支持支柱に取付ける前に
あらかじめ支持金物に耐火パネルブロックを取付けてお
き、施工場所までクレーンなどの重機で吊り上げ施工現
場にて耐火パネルブロックを固着した支持金物を支持支
柱にボルトにて締着させ施工することも可能である。

【００２２】

【発明の効果】本発明の耐火パネルブロックとパネルブ
ロックの施工方法によると、耐火物施工時の足場を組む
範囲が少なくなり、施工時間の短縮が図れるほか、炉の
修理を行うときもその部分のみを差し替えることがで
き、築炉現場での耐火物の施工が容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の耐火パネルブロックの断面図である。

【図２】従来の工業用炉の施工状況を示す断面図であ
る。

【図３】本発明の耐火パネルブロックの施工状況を示す
断面図である。

【図４】本発明の耐火パネルブロックの施工状況を炉の
外側より見たときの図である。

【図５】本発明の耐火パネルブロックの施工状況を示す
縦断面図である。

【符号の説明】

１ 鉄板 ２ 取付けボルト ３ スタッド ４ 耐火キャスタブル ５ 断熱キャスタブル ６ 断熱材 ７ 鉄皮 ８ 支持金物 ９ 支持支柱 １０ 耐火モルタル １１ 耐火パネルブロック

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 各種工業用炉に使用される耐火物におい
   て、取付けボルトを貫設し、不定形耐火物を保持するた
   めのスタッドを内面側に植設した矩形の鉄板の内面に不
   定形耐火物若しくは断熱材と不定形耐火物を施工してな
   ることを特徴する耐火パネルブロック。
2. 【請求項２】 耐火物の施工方法において、施工部位の
   外周に請求項１記載のパネルブロックの取付けボルトの
   間隔に取付け穴を設けた支持金物を形設し、請求項１記
   載のパネルブロックを炉の外側から取付けボルトにより
   支持金物に締着させることを特徴とする耐火物の施工方
   法。