JP2001089607A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2001089607A
JP2001089607A JP24331799A JP24331799A JP2001089607A JP 2001089607 A JP2001089607 A JP 2001089607A JP 24331799 A JP24331799 A JP 24331799A JP 24331799 A JP24331799 A JP 24331799A JP 2001089607 A JP2001089607 A JP 2001089607A
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salt
acid
flame
absorption peak
polyolefin
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JP24331799A
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English (en)
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Tetsuo Kuwaki
哲男 桑木
Hitoshi Inada
仁志 稲田
Yasunobu Nakamura
安伸 中村
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Tokuyama Corp
Original Assignee
Tokuyama Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特にドリップが抑制されて難燃性に優れ、加え
て、燃焼時の毒性が少なく、樹脂本来の耐熱性や耐湿性
を保持しており、成形方法や成形条件および使用用途に
関して制約の少ない難燃性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し
て、芳香族有機ホスホン酸アミン塩20重量部〜150
重量部を含有してなる難燃性樹脂組成物であって、該ポ
リオレフィン系樹脂の中にカルボキシル基および/また
はその塩、カルボン酸無水物を含み、下記式で算出され
るポリオレフィン系樹脂中のカルボキシル基及び/また
はその塩、カルボン酸無水物の含有率Rcが0.005
〜0.3であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。 【数1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼時に発生する
ガスの毒性が少なく、難燃性および成形性にも優れ、特
に燃焼時のドリップを抑制し、樹脂の物性も損なわな
い、難燃性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、着火しやすい、燃えや
すいという性質を有している。このため、燃えては都合
が悪い用途にはそのまま使用できない。したがって、こ
のような用途に使用するため、種々の難燃化が施されて
いる。
【0003】一般に、熱可塑性樹脂の難燃化は、種々の
難燃剤を配合することによって行われている。難燃剤
は、ハロゲン系難燃剤とノンハロ系難燃剤とに大別され
る。
【0004】ハロゲン系難燃剤については、従来から燃
焼時に発生する臭化水素、塩化水素などの酸性ガスによ
る毒性が指摘されており、さらに最近はダイオキシンの
発生する恐れがあることも問題視されている。このた
め、ノンハロゲン系の難燃剤が注目されている。
【0005】ノンハロゲン系の難燃剤としては、水酸化
マグネシウムなどの金属水酸化物が挙げられるが、ハロ
ゲン系難燃剤と比較して燃焼時に発生するガスの毒性は
低いものの、難燃性能が劣るといった問題がある。した
がって、難燃化するためには樹脂中に多量に配合しなけ
ればならず、このために樹脂の性質を損なうといった問
題が生じている。
【0006】また、ポリリン酸を含むリン酸のアンモニ
ウム塩やアミン塩が、高度の難燃性を発現することも知
られているが、耐湿性や耐熱性に問題のあるものが多
く、用途が限定されることから、広く用いられるには至
っていない。したがって、難燃性だけでなく、耐熱性や
耐湿性を兼備した難燃組成物開発が待ち望まれていた。
【0007】このような背景にあって、特開平7−17
9674号公報および特開平6−336536号公報に
は、ポリオレフィンにホスフィン酸と窒素化合物とを配
合させた難燃性樹脂組成物が提案されている。しかしな
がら、これらの組成物は、かなりの燃焼抑制効果を示す
ものの難燃性はまだ十分でなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】さらに成形品の耐水性
について優れた難燃性樹脂組成物として、難燃剤として
フェニルホスホン酸のエチレンジアミン塩を用いること
により、上記の課題が解決できることが、特開平9−2
55693号公報に提案されているが、良好な耐薬品性
やコストメリットに優れるポリオレフィンをベースにす
る際には、燃焼中にドリップを起こしやすく、1/16
インチという厳しい条件においてV−0という高い難燃
性を発現することは困難であった。したがって、耐薬品
性やコストメリットの有利なポリオレフィンをベースに
し、耐熱性や耐湿性を保持しつつも非常に高度な難燃性
を発現させるため、ドリップの抑制能力に優れる配合を
開発する必要があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題に鑑み鋭意研究を続けてきた。その結果、カルボキシ
ル基および/またはその塩、カルボン酸無水物を含むポ
リオレフィン系樹脂と特定の難燃剤とからなる組成物に
より、上記の課題が解決できることを見出し本発明を完
成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、ポリオレフィン系樹脂1
00重量部に対して、芳香族有機ホスホン酸アミン塩2
0重量部〜150重量部を含有してなる難燃性樹脂組成
物であって、該ポリオレフィン系樹脂がカルボキシル基
および/またはその塩、カルボン酸無水物を含み、下記
式で算出されるポリオレフィン系樹脂中のカルボキシル
基及び/またはその塩、カルボン酸無水物の含有率Rc
が0.005〜0.3であることを特徴とする難燃性樹
脂組成物である。
【0011】
【数2】 (C=O伸縮吸収ピークは赤外線吸収スペクトル中の1
650cm-1〜1850cm-1に出現するカルボキシル
基及び/またはその塩由来のC=O伸縮吸収ピークを、
C−H伸縮吸収ピークは2800cm-1〜3000cm
-1に出現するオレフィン由来のC−H伸縮吸収ピークを
用いる。)
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明において用いられるポリオレフィン
系樹脂は、カルボキシル基、その塩及びカルボン酸無水
物のうち、少なくとも1種を含み、下記式で算出される
ポリオレフィン系樹脂中のカルボキシル基及び/または
その塩、カルボン酸無水物の含有率Rcが0.005〜
0.3である樹脂である。
【0014】
【数3】 (C=O伸縮吸収ピークは赤外線吸収スペクトル中の1
650cm-1〜1850cm-1に出現するカルボキシル
基及び/またはその塩由来のC=O伸縮吸収ピークを、
C−H伸縮吸収ピークは2800cm-1〜3000cm
-1に出現するオレフィン由来のC−H伸縮吸収ピークを
用いる。) 本発明において用いられるポリオレフィン系樹脂として
は、重合単位としてα−オレフィンを50モル%以上含
む以下のものを用いることができる。
【0015】α−オレフィンと不飽和カルボン酸との
共重合体 α−オレフィン単独重合体もしくは2種類以上のα−
オレフィン共重合体の不飽和カルボン酸グラフト変性物 上記またはのイオン架橋体 上記〜とα−オレフィン重合体の混合物 ここで、α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレ
ン、ブテン、ヘキセン、4−メチルペンテン、オクテン
などが挙げられ、不飽和カルボン酸としては、アクリル
酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸などを例示することができる。ま
た、イオン架橋させるカチオンとしては、ナトリウムイ
オン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウ
ムイオン、アルミニウムイオン、鉄イオン、マンガンイ
オン等の1価〜6価の金属イオン;エチレンジアミン、
ピペラジン、アニリン、フェニレンジアミン等の脂肪族
および芳香族のアミン;アンモニアなどを制限なく用い
ることができる。
【0016】本発明で使用できるα−オレフィンと不飽
和カルボン酸との共重合体は、ランダム共重合体でも
ブロック共重合体でもよく、α−オレフィンと不飽和カ
ルボン酸エステルとの共重合体を加水分解するなどして
も製造することができる。具体的な例としては、エチレ
ン−アクリル酸ランダム共重合体やエチレン−メタクリ
ル酸ランダム共重合体、エチレン−ブテン−メタクリル
酸ランダム共重合体、エチレン−メタクリル酸ブロック
共重合体などを挙げることができる。
【0017】また、不飽和カルボン酸のグラフト変性物
は、たとえばα−オレフィン重合体と不飽和カルボン
酸とをラジカル発生源の存在下で混練するなどの方法で
製造することができる。ここで、使われるα−オレフィ
ン重合体としては、ポリエチレンやエチレン−プロピレ
ンランダム共重合体、エチレン−ブテンブロック共重合
体、エチレン−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン
−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブ
ロック共重合体などを例示することができ、これらの重
合体の無水マレイン酸変性体や無水イタコン酸変性体な
どが代表的な酸グラフト変性物として挙げられる。
【0018】また、イオン架橋体は上記またはの
カルボキシル基を有する樹脂に金属酸化物や金属水酸化
物、さらにカルボン酸金属塩などの弱酸塩を加えて製造
することができる。例としては、エチレン−アクリル酸
共重合体やエチレン−ブテン−メタクリル酸共重合体や
プロピレン−エチレンブロック共重合体マレイン酸グラ
フト変性物のアンモニウム塩やエチレンジアミン塩、ピ
ペラジン塩などの多価アミン塩、リチウム塩、ナトリウ
ム塩、カリウム塩などの1価イオン塩、マグネシウム
塩、バリウム塩などの2価イオン塩、アルミニウム塩、
鉄塩などの3価イオン塩などが挙げられる。
【0019】上記〜とα−オレフィン重合体との混
合物は、上記〜の樹脂とα−オレフィンの単独重
合体もしくは2種類以上のα−オレフィンの共重合体と
を混練するなどの方法で製造することができる。混合す
るα−オレフィンの単独重合体もしくは2種類以上のα
−オレフィンの共重合体として代表的なものを例示する
と、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンラン
ダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体
等のようなポリプロピレン系樹脂;低密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン、エチレン−α−オレフィンラ
ンダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン共重合
体等のようなポリエチレン系樹脂などを挙げることがで
きる。
【0020】上記〜のポリオレフィン系樹脂の中で
も、上記〜の樹脂とα−オレフィンの重合体との混
合物が、ドリップ防止効果およびコストの面から望ま
しい。特に、α−オレフィン単独重合体もしくは2種類
以上のα−オレフィン共重合体の不飽和カルボン酸グラ
フト変性物をα−オレフィンの単独重合体もしくは2
種類以上のα−オレフィンの共重合体と混合した場合、
ドリップ抑制効果が特に大きいために、上記変性物の含
有量を低く抑える事ができる。そのため、コスト面で有
利であるばかりでなく、α−オレフィンの単独重合体も
しくは2種類以上のα−オレフィンの共重合体の特性を
良好に保持するため、特に優れる。なかでも、α−オレ
フィンの単独重合体もしくは2種類以上のα−オレフィ
ンの共重合体として、プロピレン単独重合体、プロピレ
ン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン
ブロック共重合体などのようなポリプロピレン系α−オ
レフィン重合体を用いた場合、得られる本発明の難燃性
樹脂組成物は、成形性、機械的強度、耐熱性、外観、コ
ストパフォーマンスに優れた成形品を与えるので、本発
明において好ましい。
【0021】本発明において用いられるポリオレフィン
系樹脂中のカルボキシル基および/またはその塩、カル
ボン酸無水物の含有率Rcは赤外線吸収スペクトル(I
Rスペクトル)を用いて定量する。
【0022】ここで、カルボキシル基は造粒成形時や赤
外線吸収スペクトル測定サンプルを作成する際の熱プレ
ス等により、一部が脱水反応して酸無水物となっている
ため、C=O伸縮ピークが2分されて、少なく見積もら
れる可能性がある。こうした現象を回避して、より正確
なポリオレフィン系樹脂中のカルボキシル基および/ま
たはその塩、カルボン酸無水物の含有率を把握するため
に、アルカリ水溶液/酸水溶液で洗浄するか有機溶媒で
抽出して樹脂部分のみとしたポリオレフィン系樹脂を、
厚み20μm〜50μmのフィルムとした後に水/メタ
ノール=1/1溶液に24時間以上浸績させて、酸無水
物を加水分解した後に赤外線吸収スペクトル測定を行
う。
【0023】赤外線吸収スペクトルにおいて、カルボキ
シル基および/またはその塩、カルボン酸無水物は16
50cm-1〜1850cm-1にC=O伸縮に由来する強
い吸収ピークを持つ。また、ベースとなるポリオレフィ
ン部分は2800cm-1〜3000cm-1にC−H伸縮
に由来する吸収ピークを持つことから、各ピークの面積
を吸光度積分値として求め、下記式によってポリオレフ
ィン系樹脂中のカルボキシル基および/またはその塩、
カルボン酸無水物の含有率Rcを算出する。
【0024】
【数4】 (C=O伸縮吸収ピークは赤外線吸収スペクトル中の1
650cm-1〜1850cm-1に出現するカルボキシル
基及び/またはその塩由来のC=O伸縮吸収ピークを、
C−H伸縮吸収ピークは2800cm-1〜3000cm
-1に出現するオレフィン由来のC−H伸縮吸収ピークを
用いる。) こうして算出されるポリオレフィン系樹脂中のカルボキ
シル基および/またはその塩、カルボン酸無水物の含有
率Rcは、0.005〜0.3、好ましくは0.01〜
0.2、さらに好ましくは0.01〜0.1である事が
必要である。カルボキシル基および/またはその塩、カ
ルボン酸無水物の含有率Rcが上記範囲よりも低い場合
は十分なドリップ抑制効果を得ることができず、一方、
カルボキシル基および/またはその塩、カルボン酸無水
物の含有率Rcが上記範囲を超える場合、ポリオレフィ
ン系樹脂を作成することは困難である上、成形性が悪化
する。
【0025】本発明の難燃性樹脂組成物では、上記ポリ
オレフィン系樹脂に、芳香族有機ホスホン酸アミン塩が
配合される。本発明において配合される芳香族有機ホス
ホン酸アミン塩は、ホスホン酸のリン原子に直接結合す
る水素原子が芳香族基で置換されてなる芳香族有機ホス
ホン酸のアミン塩であり、一般には下記式 H2PArO3 (但し、Arはアリール基である)で示される芳香族有
機ホスホン酸のアミン塩である。ここで、Arはアリー
ル基であり、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が
示される。また、これらのアリール基は、芳香環にメチ
ル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等
のアルキレン基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキ
シ基等の置換基が導入されていても良い。具体的には、
フェニルホスホン酸、トリルホスホン酸等が挙げられ
る。
【0026】また、アミン塩を形成する芳香族有機ホス
ホン酸は、アリーレン基等の多価の芳香族基に複数のホ
スホン酸基が結合するものであって良い。具体的には、
フェニレンビスホスホン酸等が挙げられる。
【0027】上記芳香族有機ホスホン酸と塩を形成する
アミンは、エチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレ
ントリアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N’
−ジメチルピペラジンエタノールアミン、ジエタノール
アミンなどの置換基を有していてもよい脂肪族アミン化
合物;アニリンやフェニレンジアミンなどの芳香族アミ
ン化合物;ピリジン、メラミン、イソシアヌル酸などの
含窒素複素環化合物などを挙げることができる。
【0028】難燃性および耐湿性に優れた組成物を得る
ことができる理由から、脂肪族アミン化合物、特に脂肪
族多価アミン化合物が好ましい。脂肪族多価アミン化合
物においては、アミン部分を連結するアルキレン基は、
炭素数1〜5のものが好適であり、炭素数2または3の
ものが特に好適であり、アルキレン基がアミン部分に2
つ以上結合してシクロ脂肪族多価アミンやビシクロ脂肪
族多価アミンを形成してもよい。また、アミンとしての
窒素原子数は2〜10であることが好適であり、第1ア
ミン、第2アミン、第3アミンの中から選ばれる。具体
的には、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、
1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テト
ラメチルエチレンジアミン、ピペラジン、N,N’−ジ
メチルピペラジン等が挙げられる。
【0029】本発明において好適に使用される芳香族有
機ホスホン酸アミン塩を例示すると、フェニルホスホン
酸エチレンジアミン塩、フェニルホスホン酸ピペラジン
塩、トリルホスホン酸エチレンジアミン塩等が挙げられ
る。特に、フェニルホスホン酸エチレンジアミン塩が好
適である。
【0030】なお、芳香族有機ホスホン酸は二塩基酸で
あるので、上記芳香族有機ホスホン酸アミン塩には、ア
ミンが当量結合したものと、1/2当量結合したものが
あるが、本発明ではいずれのアミン塩であっても制限な
く使用でき、また、これらの芳香族有機ホスホン酸アミ
ン塩は、単独または混合して使用できる。本発明の難燃
性樹脂組成物の耐湿性、難燃性の点から、上記芳香族有
機ホスホン酸アミン塩としては、アミンが1/2当量結
合したものが好ましく、特に好ましくは二価のアミン化
合物が1/2当量結合したものである。具体的に例示す
ると、フェニルホスホン酸・1/2エチレンジアミン
塩、フェニルホスホン酸・1/2ピペラジン塩、トリル
ホスホン酸・1/2エチレンジアミン塩等が挙げられ
る。特に、フェニルホスホン酸・1/2エチレンジアミ
ン塩が好適である。
【0031】本発明において、上記の芳香族有機ホスホ
ン酸アミン塩の配合量は、ポリオレフィン系樹脂100
重量部に対し、20〜150重量部であり、好ましくは
30〜100重量部、さらに好ましくは50〜100重
量部である。配合量が下限値より少ない場合は、十分な
難燃効果が得られず、また上限値よりも多い場合には、
成形性、耐衝撃性の低下、比重の増加などがあるだけで
なく、安定的混練作業が困難となるという不利益がもた
らされる。
【0032】さらに、難燃性樹脂組成物は、前記した成
分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に
応じて従来公知の添加剤成分を含有しても良い。それら
の例としては、酸化防止剤(フェノール系、ホスフィン
系、チオエーテル系など)、耐候剤(ベンゾフェノン
系、サリチレート系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダー
ドアミン系など)、金属不活性剤、ハロゲン捕捉剤、滑
剤(オレフィン、脂肪酸およびその誘導体など)、結晶
化核剤(安息香酸金属塩、タルク、ソルビトール系、な
ど)、充填剤(タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、ガラス繊維など)、ブルーミング防止剤、アンチブ
ロッキング剤、防曇剤、粘着剤、着色剤、艶消し剤、帯
電防止剤、酸素や炭酸ガスの吸収剤、ガス吸着剤、鮮度
保持剤、酵素、消臭剤、香料などが挙げられる。
【0033】本発明の難燃性樹脂組成物は、原料となる
成分を配合した後に混合および溶融混練することにより
得られる。各成分の配合順序、混練方法などは特に限定
されず、例えば、タンブラー式ブレンダー、V型ブレン
ダー、ヘンシェルミキサー、リボンミキサーなどを用い
て常法により行えば良い。また、溶融混練の方法は特に
限定されず、一般にスクリュー押出機、バンバリーミキ
サー、ミキシングロールなどを使用して、ポリオレフィ
ン系樹脂の融点以上の温度で行うのが良い。この溶融混
練は窒素ガスなどの不活性気流下で行うこともできる。
【0034】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は、配合され
ている難燃剤がノンハロゲン系難燃剤であるため燃焼時
の毒性が少なく、かつ特にドリップが抑制されて、高い
難燃性を有しているという点で優れている。
【0035】そして、難燃性樹脂組成物は、溶融混練時
において溶融混練機のスクリューに難燃剤やその分解物
が付着することがなく、また、該難燃剤の分解ガスの発
生がなく、極めて安定的に造粒及び成形が行える。さら
に、成形後において、吸湿により成形品の外観が悪化す
るようなこともない。
【0036】したがって、本発明の難燃性樹脂組成物
は、難燃性の必要なさまざまな用途に使用できる。その
ような成形品の例としては、各種電気製品(洗濯機、冷
蔵庫、食器乾燥機、炊飯器、扇風機、換気扇、テレビ、
パソコン、ステレオ、電話、電子レンジ、暖房便器、ア
イロンなど)の部品およびカバー;光熱機器(エアコ
ン、ストーブ、コンロ、ファンヒーター、給湯機)の部
品およびカバー;建築物の内装材および外装材;自動
車、船舶、航空機などの部品または内装材などを挙げる
ことができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明をさらに具体的に説明するため
に、実施例および比較例を掲げて説明するが、本発明は
これらの実施例になんら限定されるものではない。な
お、実施例および比較例において、測定および試験は、
下記の方法により実施した。
【0038】カルボキシル基および/またはその塩、
カルボン酸無水物の含有率 (試料調製)難燃性樹脂組成物とする前のポリオレフィ
ン系樹脂のみをφ30mm単軸押出機でストランド状に
溶融押出して、水槽で冷却後に約5mmにカットした。
得られたペレットを熱板プレスして約30μmの薄膜と
し、水/メタノール=1/1溶液に3日間浸績した。
【0039】(赤外線吸収スペクトル測定と分析)パー
キンエルマージャパン製赤外分光器1600FT−IR
で測定し、吸光度のスペクトルを得た。さらに、振動数
3500cm-1点と1500cm-1点とを結んでベース
ラインとし、コンピュータ上で画像処理ソフトを使っ
て、ベースラインとスペクトルで囲まれた面積を測定し
た。得られたピーク面積から下式1を用いてポリオレフ
ィン系樹脂中のカルボキシル基および/またはその塩、
カルボン酸無水物の含有率Rcを計算した。
【0040】
【数5】 (C=O伸縮吸収ピークは赤外線吸収スペクトル中の1
650cm-1〜1850cm-1に出現するカルボキシル
基及び/またはその塩由来のC=O伸縮吸収ピークを、
C−H伸縮吸収ピークは2800cm-1〜3000cm
-1に出現するオレフィン由来のC−H伸縮吸収ピークを
用いる。) 成形性評価 ベント付きΦ30mm押出機での造粒を1時間継続後、
押出機を分解してスクリューを抜き出し、スクリュー表
面の異物付着状態を観察した。 ○;全く変化なし。 △;微かに固着が認められる。 ×;明確に固着が認められる。もしくは焼けが認められ
る。
【0041】燃焼性試験 長さ5インチ、幅1/2インチ、厚さ1/8インチおよ
び1/16インチの試験片について、UL94規格に準
拠した垂直燃焼試験により、難燃性を判定した。
【0042】耐湿性試験 長さ5/2インチ、幅3/2インチ、厚さ1/8インチ
の試験片を、温度60℃かつ湿度90%の条件下に10
日間放置し、その後の表面を目視観察して、三段階評価
した。 ○;全く変化なし。 △;部分的に微かな白化が認められる。 ×;明らかに白化が認められる。
【0043】また、実施例および比較例で示した記号は
以下のとおりである。 ・ポリオレフィン系樹脂 PP1:プロピレン−エチレンブロックコポリマー(徳
山ポリプロPN640G((株)トクヤマ)) PP2:プロピレン−エチレンコポリマーマレイン酸グ
ラフト変性物 (予備重合)撹拌機を備えた内容積1リットルのガラス
製オートクレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した
後、ヘプタン400mlを装入した。反応器内温度を2
0℃に保ち、ジエチレングリコールジメチルエーテル
0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mmol、ジ
エチルアルミニウムクロライド18.5mmol、及び
三塩化チタン(丸紅ソルベイ化学社製「TOS−1
7」)22.7mmolを加えた後、プロピレンを三塩
化チタン1g当たり3gとなるように30分間連続的に
反応器に導入した。なお、この間の温度は20℃に保持
した。プロピレンの供給を停止した後、反応器内を窒素
ガスで十分に置換し、得られたチタン含有ポリプロピレ
ンを精製ヘプタンで4回洗浄した。分析の結果、三塩化
チタン1g当たり2.9gのプロピレンが重合されてい
た。
【0044】(本重合)窒素置換を施した2リットルの
オートクレーブに、液体プロピレンを1リットル、ジエ
チルアルミニウムクロライド0.70mmolを加え、
オートクレーブの内温を60℃に昇温した。チタン含有
ポリ1−ブテン重合体を三塩化チタンとして0.087
mmol加え、60℃で40分間のプロピレンの重合を
行った。この間水素は用いなかった。次いでオートクレ
ーブの内温を急激に55℃に降温すると同時にエチルア
ルミニウムセスキエトキシド(EtAl(OEt))
0.50mmol及びメタクリル酸メチル0.014m
molの混合溶液を加え、エチレンを供給し、気相中の
エチレンガス濃度が、15mol%となるようにし、5
5℃で120分間のプロピレンとエチレンの共重合を行
った。この間のエチレンガス濃度はガスクロマトグラフ
で確認しながら15mol%を保持した。この間水素は
用いなかった。重合終了後、未反応モノマーをパージ
し、粒子状の重合体を得た。重合槽内及び撹拌羽根への
付着は全く認められなかった。収量は140gであり、
全重合体の重合倍率は7370g−ポリマー/g−三塩
化チタンであった。
【0045】(無水マレイン酸のグラフト)得られたブ
ロック共重合体に無水マレイン酸を4.5PHRと1,
3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベン
ゼンを0.9PHR添加し、ヘンシェルミキサーで混合
した後、φ30mm一軸押出機で210℃にて溶融混練
し、メルトインデックスが13g/10minのペレッ
トを得た。
【0046】PP3:プロピレン−エチレンコポリマー
マレイン酸グラフト変性物 (無水マレイン酸のグラフト)PP2の本重合と同様の
方法で得たブロック共重合体に無水マレイン酸を10P
HRと1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロ
ピル)ベンゼンを0.9PHR添加し、ヘンシェルミキ
サーで混合した後、φ30mm一軸押出機で210℃に
て溶融混練し、メルトインデックスが13g/10mi
nのペレットを得た。
【0047】EMAA:エチレン−メタクリル酸コポリ
マー(ニュークレル0908C(三井デュポンケミカル
(株))) EAA−Zn:エチレン−アクリル酸コポリマーZn架
橋体(ハイミラン1557(三井デュポンケミカル
(株))) EVA:エチレン−酢酸ビニルコポリマー(エバフレッ
クスV5714(三井デュポンケミカル(株))) なお、使用した物質は以下のように調製した。 ・芳香族有機ホスホン酸アミン塩 フェニルホスホン酸エチレンジアミン塩:フェニルホス
ホン酸10%水溶液を攪拌しながら、エチレンジアミン
10%水溶液を滴下し、1/2当量加えた時点で、析出
した沈殿をろ別・乾燥し、ラボミルにて粉砕した。
【0048】フェニルホスホン酸ピペラジン塩:フェニ
ルホスホン酸10%水溶液にピペラジン10%水溶液1
/2当量を加え、析出した沈殿をろ別・乾燥し、ラボミ
ルにて粉砕した。
【0049】トリルホスホン酸エチレンジアミン塩:ト
リルホスホン酸10%水溶液を攪拌しながら、エチレン
ジアミン10%水溶液を滴下し、1/2当量加えた時点
で、析出した沈殿をろ別・乾燥し、ラボミルにて粉砕し
た。
【0050】リン酸ピペラジン塩:リン酸30%水溶液
を攪拌しながら、ピペラジン30%熱水溶液を滴下し、
1/2当量加えた時点で、析出した沈殿をろ別・乾燥
し、ラボミルにて粉砕した。
【0051】実施例1〜7 表1に示すポリオレフィン系樹脂100重量部に対し
て、表1の配合に加えて2,6−t−ブチル−4−メチ
ルフェノール(住友化学工業(株)製、スタビライザー
BHT):0.1重量部、ジラウリルチオジプロピオネ
ート(住友化学工業(株)製、スタビライザーTPL−
R):0.2重量部、ステアリン酸カルシウム(大日本
インキ化学工業(株)製):0.1重量部を添加し、ヘ
ンシェルミキサーで予備混合した。次いで、ベント付φ
30mm押出機を用いて、得られた難燃性樹脂組成物を
ポリマー温度185℃でストランド状に押し出し、水槽
で冷却後に5mm程度にカット・乾燥してペレットとし
た。次に、上記ペレットを50ton射出成形機によ
り、各種試験片に成形した。
【0052】各組成物のカルボキシル基および/または
その塩、カルボン酸無水物の含有率の算出、成形性評
価、燃焼性試験および耐湿性試験を行い、結果を表2に
示した。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】 比較例1〜5 実施例1において、表1に示す組成を表3に示す組成に
変える以外は実施例1と同様に操作した。結果を表4に
示した。
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB03X BB05X BB08W BB081 BB12X BB14X BB15X BB17X BB23W BB231 BN06W BN061 BP02X BP03W BP031 EW126 FD136

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂100重量部に対し
    て、芳香族有機ホスホン酸アミン塩20重量部〜150
    重量部を含有してなる難燃性樹脂組成物であって、該ポ
    リオレフィン系樹脂がカルボキシル基及び/またはその
    塩、カルボン酸無水物を含み、下記式で算出されるポリ
    オレフィン系樹脂中のカルボキシル基及び/またはその
    塩、カルボン酸無水物の含有率Rcが0.005〜0.
    3であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。 【数1】 (C=O伸縮吸収ピークは赤外線吸収スペクトル中の1
    650cm-1〜1850cm-1に出現するカルボキシル
    基及び/またはその塩由来のC=O伸縮吸収ピークを、
    C−H伸縮吸収ピークは2800cm-1〜3000cm
    -1に出現するオレフィン由来のC−H伸縮吸収ピークを
    用いる。)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106062094A (zh) * 2013-12-17 2016-10-26 爱科琪盛欧洲股份公司 温室装置
CN114561083A (zh) * 2022-03-10 2022-05-31 南京工业大学 一种哌嗪基苯磷酸盐阻燃环氧树脂复合材料的制备方法

Cited By (3)

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CN106062094A (zh) * 2013-12-17 2016-10-26 爱科琪盛欧洲股份公司 温室装置
CN106062094B (zh) * 2013-12-17 2018-03-13 爱科琪盛欧洲股份公司 温室装置
CN114561083A (zh) * 2022-03-10 2022-05-31 南京工业大学 一种哌嗪基苯磷酸盐阻燃环氧树脂复合材料的制备方法

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