JP2001089249A - 焼成用道具材およびその製造方法 - Google Patents

焼成用道具材およびその製造方法

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JP2001089249A
JP2001089249A JP26009199A JP26009199A JP2001089249A JP 2001089249 A JP2001089249 A JP 2001089249A JP 26009199 A JP26009199 A JP 26009199A JP 26009199 A JP26009199 A JP 26009199A JP 2001089249 A JP2001089249 A JP 2001089249A
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Yutaka Okada
裕 岡田
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Toshiba Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】被焼成物と反応しにくく、軽量化が図られた焼
成用道具材およびその製造方法を提供する。 【解決手段】耐火物製で気孔率が20%以上である基材
2と、この基材2の表面の一部もしくは全面に被覆され
Alの含有量が72〜85重量%でムライトを主
成分とする中間被覆層3と、この中間被覆層3の表面に
被覆されZrO、もしくはジルコン酸塩を主成分とす
る表面被覆層4とを有する焼成用道具材およびこの焼成
用道具材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は焼成用道具材に係わ
り、特に電子部品用セラミックス材料等の焼成、熱処理
工程で使用される道具材に関する。
【0002】
【従来の技術】ソフトフェライト等の電子部品用セラミ
ックスの焼成は、焼成用道具材(「治具」ともいう。)
を用い、一般に1000〜1400℃の温度域で行われ
るため、焼成用道具材としては、耐熱性に優れたアルミ
ナ−シリカ質、アルミナ−シリカ−マグネシア質、マグ
ネシア−アルミナ−ジルコニア質、炭化珪素質が使用さ
れている。
【0003】しかし、これらの材質で製造された焼成用
道具材上に直接被焼成物を載置すると、被焼成物と道具
材成分とに反応が起こるため、被焼成物と反応しにくい
道具材が求められており、このため、難反応性のZrO
等の素材からなるセッターもしくは棚板の表面に同様
の素材でコーティングを施した道具材が使用されてい
る。
【0004】例えば、ソフトフェライト(Mn−Zn
系、Ni−Zn系等)を焼成する場合には、ソフトフェ
ライトの材質によってアルミナ、ジルコニアあるいは被
焼成物と同組成のセッターもしくはコーティング品が使
い分けられ使用される。また、コンデンサ(BaTiO
が主成分)を焼成する場合には、ジルコニアのセッタ
ー、もしくはジルコニアのコーティング品が主に使用さ
れている。
【0005】このように、焼成用道具材は、被焼成物に
よって多種多様な条件で使用されるため、個々の用途に
対応するためには数多くの材質種が必要となり、コスト
高のー因となっていた。
【0006】また、近年、焼成用道具材に対しては、焼
成工程の省エネルギー化(道具材の低熱容量化)、焼成
工程での負荷の低減(自動積み降ろし装置、ローラハー
ス炉のローラ、人的作業等)を目的とする軽量化の要求
が高まっている。
【0007】この軽量化の要求に応えるために、従来、
中空状の原料を主原料として使用したり、原料の一部に
乾燥工程または焼成工程で気化または炭化し消滅する原
料を使用することにより焼成用道具材の基材中の空隙部
分を増加させた軽量道具材や、原料に発泡材を添加し、
原料混合時、乾燥時あるいは焼成時に発泡させた軽量道
具材が用いられている。
【0008】しかし、従来の軽量化では、基材の材質に
次のような問題点があった。すなわち、空隙部分が多
いための強度不足、空隙部分が多いための耐クリープ
性の不足、強度不足を補うために骨格部を緻密化する
と熱撃抵抗性が低下、空隙を形成するための製造コス
トがかかるなどであった。
【0009】このような問題を克服するために基材材質
の変更や、空隙率や空隙の大きさの変更等により問題点
の解消を図ってきた。
【0010】さらに、焼成用道具材には、割れ(熱衝
撃等による)、反り(熱間での被焼成物や自重による
クリープ変形)、被焼成物との反応がない(難反応
性)ことが要求され、この要求に応えるための試みがな
されれきたが、材質の特性上、割れに対する耐性(耐熱
衝撃性)、反りに対する耐性(耐クリープ性)は相反す
る傾向を示し、耐クリープ性を向上させると耐熱衝撃性
が低下し、あるいは、その逆現象を呈し、なかなか両方
の特性を向上させることは難しかった。
【0011】また、焼成用道具材を用いた焼成工程のス
ループットを上げるためには、焼成スピードをあげ
る、単位体積当りの被焼成物量を増加する(被焼成物
の積載スペースを増加させる−焼成用道具材の肉薄化)
ことが必要である。
【0012】従って、これらを可能にするために、焼成
用道具材には、耐熱衝撃性をあげる、肉薄化し、焼
成用道具材の占めるスペースを少なくするために、耐ク
リープ性を向上させることが要求されており、故に、耐
熱衝撃性、耐クリープ性を両立させることが軽量化の課
題であった。
【0013】さらに、被焼成物との反応性の問題につい
ては、ジルコニアの適用が考えられるが、ジルコニアは
比重が大きく軽量化が図れない、耐熱衝撃性が劣る、コ
スト高等の問題がありジルコニアで軽量化材質を構成す
ることは実用的でなく、表面コーティング品、あるいは
セッターとの併用が行われていた。
【0014】そこで、焼成用道具材の軽量化、難反応性
のために、種々の試みがなされている。
【0015】軽量化の試みとして、例えば、特公昭64
−1049号公報には、道具材原料粉末と耐火材繊維と
を無定形シリカによって結合した焼成用道具材が開示さ
れている。この道具材の問題点として、コンデンサ等の
焼成に用いると道具材とコンデンサ等とが反応を起こす
ため、コンデンサ等には使用できず、また、耐火材繊維
を副原料に用いているので、道具材の製造工程におい
て、耐火材繊維が飛散して作業環境を悪化させるおそれ
がある点が挙げられる。
【0016】また、難反応性化の向上の試みとして、例
えば、特開平2−14898号公報には、Al
有量が85重量%以上であるアルミナ質またはアルミナ
・シリカ質基材の表面に第一層としてアルミナを主体と
する溶射層を形成させ、さらにその上に第二層として未
安定型ジルコニアの溶射層を形成させ、難反応性化の向
上と未安定型ジルコニアの剥離防止を図った焼成用道具
材が開示されている。この道具材の問題点として、基材
が緻密質であるため軽量化が図れず、さらに第一層がア
ルミナを主体とする溶射層であるので基材の使用材質に
制約を受け、軽量化の障害となる点が挙げられる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】そこで、被焼成物と反
応しにくく、軽量化が図られた焼成用道具材およびその
製造方法が要望されている。
【0018】本発明は上述した事情を考慮してなされた
もので、被焼成物と反応しにくく、軽量化が図られた焼
成用道具材およびその製造方法を提供することを目的と
する。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
になされた本願請求項1の発明は、耐火物製で気孔率が
20%以上である基材と、この基材の表面の一部もしく
は全面に被覆されAl の含有量が72〜85重量
%でムライトを主成分とする中間被覆層と、この中間被
覆層の表面に被覆されZrO、もしくはジルコン酸塩
を主成分とする表面被覆層とを有することを特徴とする
焼成用道具材であることを要旨としている。
【0020】本願請求項2の発明では、上記基材の材質
は、Alの含有量が65重量%以上であるアルミ
ナ−シリカ質もしくはアルミナ質であることを特徴とす
る請求項1に記載の焼成用道具材であることを要旨とし
ている。
【0021】本願請求項3の発明では、上記表面被覆層
の主成分は、未安定ZrO、もしくは、CaO、Y
を安定化剤とする安定化ZrO一部分安定化Zr
もしくCa、Ba、Sr、Mgのアルカリ土類金属
とのジルコン酸塩のうちの少なくとも1種、もしくはこ
れらを複数混合したものからなることを特徴とする請求
項1または2に記載の焼成用道具材であることを要旨と
している。
【0022】本願請求項4の発明は、耐火物製で気孔率
が20%以上である基材を用意し、この基材の表面の一
部、もしくは全面にAlの含有量が72〜85重
量%でムライトを主成分とする中間被覆層を溶射法によ
り被覆する工程と、中間被覆層の表面にZrO、もし
くはジルコン酸塩を主成分とする表面被覆層を被覆する
工程とを有することを特徴とする焼成用道具材の製造方
法であることを要旨としている。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明に係わる焼成用道具材およ
びその製造方法の一実施の形態について図面に基づき説
明する。
【0024】図1に示すように、焼成用道具材1は、耐
火物製で気孔率が20%以上である基材2と、この基材
2の表面の一部もしくは全面に被覆されAlの含
有量が72〜85重量%でムライトを主成分とする中間
被覆層3と、この中間被覆層3の表面に被覆されZrO
、もしくはジルコン酸塩を主成分とする表面被覆層4
とを有している。
【0025】基材2の材質は、この基材2にムライトを
主成分とする中間被覆層3を形成すれば基材2の如何に
よらず耐クリープ性を向上させることが可能であるの
で、その材質にはあまり限定されないが、軽量性、耐熱
衝撃性、コスト、耐熱性を考慮すると、Alの含
有量が65重量%以上のアルミナ質もしくはアルミナ−
シリカ質が好ましい。
【0026】Alの含有量が65重量%以下で
は、SiOが多くなり、被焼成物に含まれるアルカリ
成分の侵入、道具材側原料中の不純物の影響により容易
に低融点のガラスを形成しやすくなり、使用中に軟化、
組織の変質等の問題が起こりやすいため、Al
割合としては65重量%以上が好ましい。
【0027】また、焼成用道具材1を大気中等の酸化雰
囲気で使用する場合には問題はないが、N、H等の
低酸素雰囲気ではSiOがSiOとなりやすいため、
低酸素の雰囲気ではAlの割合が多い方がより安
定である。また、SiOが多いとSiO(もしくは
SiO)が中間覆層3に浸透して表面被覆層4の表面に
達し、反応性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0028】ただし、Alの割合が多くなると比
重が重くなり重量が増加する、熱膨張が大きくなり熱応
力が発生しやすくなるというデメリットもあり、使用条
件、要求特性に応じたAl割合を選択する。
【0029】基材2の気孔率は20%以上であるので、
基材2の材質の如何に拘らず、焼成用道具材1の軽量化
が図れる。
【0030】なお、基材2の材質は、アルミナ−シリカ
質もしくはアルミナ質に限らず、炭化珪素質その他の材
質であってもよい。
【0031】中間被覆層3はムライトを主成分とする。
その選択理由は、ムライトが耐クリープ性に優れている
ためであり、最も好ましくは、ムライト組成(3Al
・2SiO、Al=71.8重量%)であ
るが、ムライト原料の製法上、ムライト化していないS
iOが含まれるため、現行の市販の原料を用いた場合
は耐クリープ性を向上させるには、好ましくはAl
が72〜85重量%、最も好ましくは74〜78重量
%である。
【0032】中間被覆層3の形成方法としては、ムライ
トスラリーをスプレコート等で塗布した後に高温で焼き
付ける方法、プラズマ溶射等の溶射法により被覆層を形
成する方法等が実用的であり、プラズマ溶射法は緻密な
被覆層の形成が可能で耐クリープ性の向上に効果的であ
る。
【0033】中間被覆層3の厚さは、焼成用道具材の形
状、基材の材質種、によつて異なるが0.05mm以上
であれば耐クリープ性向上の効果が得られる。厚くすれ
ば耐クリープ性は向上するが、厚すぎると重量が増加し
軽量化に反し、また剥離が発生しやすくなる。
【0034】現行の焼成用道具材の標準サイズは外径1
00〜300mm、肉厚3〜10mmであるが、こうし
た焼成用道具材を想定した場合は中間被覆層3の厚さは
0.1〜0.5mmが好ましい。
【0035】表面被覆層4には、ZrOを主成分とす
る材質が用いられる。表面被覆層4に要求される特性
は、被焼成物との難反応性、耐久性(剥離、脱落)であ
る。表面被覆層4に用いられるZrOは、難反応性で
従来セッター材質、コーティング材質あるいは敷き粉と
して使用されている。セッターや、コーティング層とし
て使用される場合は、CaOやYで安定化、ある
いは部分安定化されたZrOが使用されることが多
い。
【0036】なお、未安定ZrOは焼成工程で温度が
上下する際に1000℃近傍で単斜晶←→正方晶(立方
晶)の相変態に伴う体積変化が起こるために、バルクと
して使用した場合は、割れ、粒子の脱落が起こりやすい
ためにあまり使用されていない。ただし、焼結助剤を含
まないために反応性は良好であるため、敷き粉としては
多く使用されている。
【0037】表面被覆層4の材質としてZrOが適す
るが、また焼成用道具材1の用途によっては、ジルコン
酸カルシウム(CaZrO)、ジルコン酸バリウム
(BaZrO)、ジルコン酸ストロンチウム(SrZ
rO)、ジルコン酸マグネシウム(MgZrO)の
ジルコン酸塩が反応性、耐久性で好ましい場合もある。
【0038】表面被覆層4の形成方法としては、ムライ
トを主成分とする中間被覆層3と同様の方法が可能であ
るが、プラズマ溶射等の溶射法で作製した被覆層は緻密
で、比表面積が小さく被焼成物と反応しにくく良好であ
る。また、水プラスマ溶射法で作製した被覆の表面は表
面粗さが粗く被焼成物との接触面積が小さく被焼成物と
反応しにくい。
【0039】プラズマ溶射法で表面被覆層4を形成した
場合は、プラズマアーク中で原料がー旦溶解された後に
基材2に吹き付けられ表面被覆層4を形成する。この
際、溶射の条件によってはプラズマアークが還元雰囲気
であるために、酸素欠陥が生じたり、急冷凝固するため
に不安定な結晶構造で表面被覆層4が形成される場合が
あり、このために化学的に活性となり被焼成物と反応し
やすくなる場合がある。
【0040】こうした時は、使用前にー度高温で熱処理
することにより安定な表面被覆層4となる。加熱温度は
実際に使用される温度かそれよりやや高い温度でよい。
−般に電子部品用セラミックスの焼成温度は800〜1
400℃程度なので、1000〜1500℃で熱処理を
行えばよい。
【0041】また、コーティング品の欠点である表面被
覆層4の剥離については、溶射法を用いることで剥離し
にくい被覆層を得ることができる。特に、水プラズマ溶
射法で溶射された被覆層は、弾性率が低く膨張収縮に伴
う熱応力の発生が小さい、応力が分散される、膨張自体
が緩和される等の効果により剥離が起こり難い。
【0042】上述のような焼成用道具材1は、基材2は
気孔率が20%以上であるので、軽量であり、また、こ
の基材2の表面に耐クリープ性に優れたムライトを主成
分とする中間被覆層3を形成することにより、耐熱衝撃
性を維持しつつ、軽量基材の欠点である耐クリープ性を
向上させることで焼成用道具材1の肉薄化が可能とな
り、さらに、その中間被覆層3の表面に被焼成物と難反
応性であるジルコニアあるいはジルコン酸塩を被覆して
表面被覆層4を形成することにより被焼成物を直接載置
することが可能で、種々の被焼成物の焼成に対応可能な
焼成用道具材を提供することができる。
【0043】また、肉薄化しても使用中に反りが発生し
にくく、高耐用・被焼成物の積載スペースの拡大による
焼成工程のスループットの向上、焼成用道具材1の軽
量、低熱容量による省エネが可能となった。
【0044】次に本発明係わる焼成用道具材の製造方法
について説明する。
【0045】最初に道具材1の基材2を製造する。この
基材2の製造方法は、例えば特開平11―189480
号公報に開示された方法で行われる。
【0046】例えば、Alの含有量が65重量%
以上のアルミナ質の最大粒径からその最大粒径を2の平
方根で除した値を超える粒径の範囲までを第1の粒径の
範囲とし、その粒径の範囲のすぐ下の最大粒径からその
最大粒径を2の平方根で除した値を超える粒径の範囲ま
でを第2の粒径の範囲とし、さらにその粒径の範囲のす
ぐ下の最大粒径からその最大粒径を2の平方根で除した
値を超える粒径の範囲までを第3の粒径の範囲とし以下
同様にして区分していった場合に、最大粒径より連続し
た5種の粒度範囲に全セラミックス粒子の35体積%以
上が含まれるようにする。
【0047】そして、最大粒径から連続した4種の粒度
分布の粒度範囲において、互いに隣り合う粒度分布の粒
度範囲に含まれるセラミックス粒子の合計体積の比が、
大きい方の粒径範囲にあるセラミックス粒子の合計体積
をそのすぐ下の小さい方の粒径範囲にあるセラミックス
粒子の合計体積で除した値で0.5〜3.0になるよう
に調整するものである。
【0048】このようにして調整されたアルミナ質の原
料を用い、常法により混練し、外径100〜300m
m、肉厚3〜10mmの道具材成形体を成形し、焼成し
て、基材1を製造する。次に、この基材1にAl
が74〜78重量%のムライトスラリーをスプレコート
等で塗布した後、高温で焼き付け、もしくは、プラズマ
溶射法により、0.05mm以上の中間被覆層3を得
る。さらに、被覆層3の表面にプラズマ溶射によりZr
を溶射して、ZrOを主成分とする表面被覆層4
を被覆して、焼成用道具材1を製造する。
【0049】
【実施例】実施例1 大きさが200mm×200mmで厚さ5mmのAl
−SiO質(Al:85重量%、Si
:14重量%、その他不可避成分)で気孔率45
%、かさ比重1.88の棚板の表面に、Al:7
6重量%のムライトを主成分とする原料を水プラズマ溶
射によって溶射し、膜厚100μmの被覆層を形成し、
さらにその表面に表面被覆層としてCaO安定化ZrO
(CaO:4重量%)原料を水プラズマ溶射法により
溶射して膜厚100μmの被覆層を形成した。
【0050】この焼成用棚板全体の重量は420gであ
った。こうして得られた棚板について以下の試験を実施
した。
【0051】・ベンド試験(耐クリープ性の評価) 試料(150×40mm)を切出し、図2に示すように
130mmのスパンでセットして、加速試験とするため
に実際の使用条件よりも重い40mm□の重し(重しの
重量は260g、試料の厚さより図2に示したように4
点曲げで換算し曲げ応力が0.3MPaとなるように調
整)を載せた状態で、大気中で1400℃で40時間加
熱し、加熱前後での反り量(スパン:130mm)を測
定してそり量の変化(ベンド量mm)より耐クリープ性
を比較した。
【0052】なお基材は、アルミナバルーン原料を添加
することにより軽量化を図った材質である。
【0053】・反応試験 焼成用棚板を用いて、高誘電率コンデンサ(主成分:B
aO、TiO2、ZrO、CaO)、温度補償コンデ
ンサ(TiO2、Nd、CaO、LaO 、Pb
O、MgO、ZnO)、圧電素子(PbO、ZrO
TiO)についての反応試験を行った。反応試験は、
図3に示すように、焼成用容器上に試験片を2段重ねし
た状態で焼成を行った。
【0054】焼成条件は大気中で高誘電率コンデンサ、
温度補償用コンデンサについては1400℃×2H、圧
電素子については1200℃×3Hと実際の焼成温度よ
りやや高めとし、より反応が起こりやすい条件で行っ
た。
【0055】評価は焼成後の試験片、試料(焼成用棚
板)の外観(付着、変色)、およぴ焼成後の下段試験片
の焼成用棚板と接する面、下段試料の上段試験片と接す
る面の化学成分の測定、比較より行った。
【0056】下段試料の上下面での組成の差が少ないほ
ど道具材の影響が少ないといえ被焼成物の特性上好まし
い。
【0057】これらの各試験結果を他の実施例の結果と
併せて表1に示す。
【0058】ベンド試験でのベンド量は0.75mmで
あった。本試験においてベンド量が1mm以下であれ
ば、最高温度が1000〜1400℃である実際の炉で
使用した場合にも耐クリープ性は問題なくロングライフ
が可能なレベルであると判断できる。
【0059】反応試験結果は、高誘電率コンデンサ、温
度補償用コンデンサについてはやや変色等が見られた
が、化学成分の移動は微量で十分使用可能と判断でき、
評価は素子、道具材共に変色はほとんど見られず、成分
移動量も微量であった(○)。圧電素子については、焼
成用棚板側の変色が激しく、素子からの成分の移動量も
多く道具材側の変質が懸念され評価は道具材共に変色が
見られ、成分移動量も多い(△)。
【0060】実施例2〜6 実施例1と同形状の棚板について、表1に示す条件(基
材のAl含有率、基材の気孔率、中間被覆層のA
含有率、中間被覆層の厚さ、表面被覆層の組
成、表面被覆層の厚さ)で焼成用の棚板を作製し、実施
例1と同様のベンド試験、反応試験を行った。
【0061】この結果を、基材のかさ比重、棚板全体の
重量と併せて表1に示す.実施例2、3 (基材の材質) 実施例2は基材がポーラス耐火物で、Al含有率
=78重量%、気孔率20%、表1に示す中間被覆層、
表面被覆層との組み合わせで耐クリープ性、反応性は良
好だが、これより気孔率が低いと重量が重くなる。実施
例3は基材の気孔率が高く、Al含有率も高い例
を示す。実施例3は、3次元網目構造の軽量材である。
【0062】実施例4、5(表面被覆層のAl
有率) 表面被覆層のムライト被覆層のAl含有率が、好
ましい範囲の下限と上限で、いずれも他の実施例のAl
含有率=76重量%に比較すると耐クリープ性の
改善効果低いが、中間被覆層の膜厚をやや厚くする
(0.15mm)ことで、軽量性を維持しつつべンド試
験でのペンド量1mm以下が可能なことがわかった。
【0063】実施例1〜6(中間被覆層の組成) 中間被覆層の組成を変えて試験をおこなった。反応試験
では被焼成物との相性によって反応性が異なることがわ
かった。
【0064】
【表1】
【0065】比較例1〜6 表2に示す条件(基材のAl含有率・基材の厚
さ、基材の気孔率、中間層のAl含有率、中間被
覆層の厚さ、表面被覆層の組成、表面被覆層の厚さ)で
焼成用の棚板を作製し、実施例1と同様のベンド試験、
反応試験を行った。この結果を、基材のかさ比重、棚板
全体の重量と併せて表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】比較例1 実施例1と同材質の基材に被覆層を形成しない状態。ベ
ント量大きく、反応試験では各種の被焼成物と反応する
ことがわかった。
【0068】比較例2 比較例1の基材の厚さを厚くした。耐クリープ性不十
分、重量も重いことがわかった。
【0069】比較例3 ムライト被覆層の組成が好ましい範囲外。耐クリープ性
改善効果が低いことがわかった。
【0070】比較例4 基材のAl含有率を小さくする。耐クリープ性低
く、反応性も改善されていないことがわかった。
【0071】
【発明の効果】本発明に係わる焼成用道具材およびその
製造方法によれば、被焼成物と反応しにくく、軽量化が
図られた焼成用道具材およびその製造方法を提供するこ
とができる。
【0072】すなわち、耐火物製で気孔率が20%以上
である基材と、この基材の表面の一部もしくは全面に被
覆されAlの含有量が72〜85重量%でムライ
トを主成分とする中間被覆層と、この中間被覆層の表面
に被覆されZrO、もしくはジルコン酸塩を主成分と
する表面被覆層とを有するので、軽量であり、また、耐
熱衝撃性を維持しつつ、軽量基材の欠点である耐クリー
プ性を向上させて肉薄化が可能となり、さらに、被焼成
物を直接載置することが可能で、種々の被焼成物の焼成
に対応可能な焼成用道具材を提供することができる。ま
た、肉薄化しても使用中に反りが発生しにくく、高耐用
・被焼成物の積載スペースの拡大による焼成工程のスル
ープットの向上、道具材の軽量、低熱容量による省エネ
が可能となった。
【0073】また、基材の材質は、Alの含有量
が65重量%以上であるアルミナ−シリカ質もしくはア
ルミナ質であるので、被焼成物に含まれるアルカリ成分
の侵入、道具材側原料中の不純物の影響により容易に低
融点のガラスを形成することもなく、使用中に軟化、組
織の変質等の問題が起こることもない。
【0074】また、表面被覆層の主成分は、未安定Zr
、もしくは、CaO、Yを安定化剤とする安
定化ZrO一部分安定化ZrOもしくCa、Ba、
Sr、Mgのアルカリ土類金属とのジルコン酸塩のうち
の少なくとも1種、もしくはこれらを複数混合したもの
からなるので、被焼成物を直接載置することが可能で、
種々の被焼成物の焼成に対応可能な焼成用道具材が得ら
れる。
【0075】また、耐火物製で気孔率が20%以上の基
材の表面の一部、もしくは全面にAlの含有量が
72〜85重量%でムライトを主成分とする中間被覆層
を溶射法により被覆する工程と、中間被覆層の表面にZ
rO、もしくはジルコン酸塩を主成分とする表面被覆
層を被覆する工程とを有する焼成用道具材の製造方法で
あるので、軽量であり、また、耐熱衝撃性を維持しつ
つ、軽量基材の欠点である耐クリープ性を向上させて肉
薄化が可能となり、さらに、被焼成物を直接載置するこ
とが可能で、種々の被焼成物の焼成に対応可能な焼成用
道具材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる焼成用道具材の説明図。
【図2】実施例のベント試験の概略図。
【図3】実施例の反応試験の概略図。
【符号の説明】
1 焼成用道具材 2 基材 3 中間被覆層 4 表面被覆層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐火物製で気孔率が20%以上である基
    材と、この基材の表面の一部もしくは全面に被覆されA
    の含有量が72〜85重量%でムライトを主成
    分とする中間被覆層と、この中間被覆層の表面に被覆さ
    れZrO、もしくはジルコン酸塩を主成分とする表面
    被覆層とを有することを特徴とする焼成用道具材。
  2. 【請求項2】 上記基材の材質は、Alの含有量
    が65重量%以上であるアルミナ−シリカ質もしくはア
    ルミナ質であることを特徴とする請求項1に記載の焼成
    用道具材。
  3. 【請求項3】 上記表面被覆層の主成分は、未安定Zr
    、もしくは、CaO、Yを安定化剤とする安
    定化ZrO一部分安定化ZrOもしくはCa、B
    a、Sr、Mgのアルカリ土類金属とのジルコン酸塩の
    うちの少なくとも1種、もしくはこれらを複数混合した
    ものからなることを特徴とする請求項1または2に記載
    の焼成用道具材。
  4. 【請求項4】 耐火物製で気孔率が20%以上である基
    材を用意し、この基材の表面の一部、もしくは全面にA
    の含有量が72〜85重量%でムライトを主成
    分とする中間被覆層を溶射法により被覆する工程と、中
    間被覆層の表面にZrO、もしくはジルコン酸塩を主
    成分とする表面被覆層を被覆する工程とを有することを
    特徴とする焼成用道具材の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011057513A (ja) * 2009-09-11 2011-03-24 Ngk Insulators Ltd セッター
CN111574227A (zh) * 2020-05-20 2020-08-25 湖南华欣新材料有限公司 一种复合匣钵的成型方法
TWI845233B (zh) * 2022-04-22 2024-06-11 日商闊斯泰有限公司 燒製用道具材料

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