JP2001089225A - イットリウム−アルミニウム−ガーネット焼結体およびその原料の製造方法 - Google Patents

イットリウム−アルミニウム−ガーネット焼結体およびその原料の製造方法

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JP2001089225A
JP2001089225A JP2000217024A JP2000217024A JP2001089225A JP 2001089225 A JP2001089225 A JP 2001089225A JP 2000217024 A JP2000217024 A JP 2000217024A JP 2000217024 A JP2000217024 A JP 2000217024A JP 2001089225 A JP2001089225 A JP 2001089225A
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aluminum
yttrium
powder
yag
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Yasuaki Tamura
泰章 田村
Iwao Murakami
巌 村上
Yoshiaki Takeuchi
美明 竹内
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原料としてα型の酸化アルミニウムを用いる
ことなく、かつ仮焼工程なしに、高密度のYAG焼結体
を与え得る焼結体用粉末、顆粒、スラリーまたは成形体
の製造方法を提供する。 【解決手段】 酸化イットリウムまたはその前駆体とα
型の酸化アルミニウムを除く酸化アルミニウムまたはそ
の前駆体とをイットリウムとアルミニウムの原子比で3
/4.7〜3/5.2となるように衝撃値3G〜50G
の条件下で混合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イットリウム−ア
ルミニウム−ガーネット焼結体の製造方法およびそれに
用いる粉末、顆粒、スラリーまたは成形体の製造方法に
関するものである。詳細には、緻密なイットリウム−ア
ルミニウム−ガーネット焼結体を製造する方法、そのた
めに用いる粉末を、仮焼工程を経ることなく、製造する
方法、さらにはその粉末を用いる顆粒、スラリーまたは
成形体を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、組成式Y3Al512で示されるイ
ットリウム−アルミニウム−ガーネット(以下、「YA
G」と称する。)の高密度焼結体は、その結晶形が立方
晶であり、粒界散乱が起こりにくいことから、レーザー
用NdドープYAG単結晶の代替やハロゲンランプ用チュー
ブ等の透光性を有するセラミックスを目標に開発が進め
られてきた。また近年では、半導体製造装置におけるハ
ロゲン系腐食性ガス雰囲気のプラズマに対する耐食性部
材としての用途が広がりつつある(例えば、特開平10
−236871号公報)。この用途では、透光性は特に
要求されないものの、安価であって、かつ高密度なYA
G焼結体が求められている。
【0003】耐食性部材用途に適用できる高密度なYAG焼
結体を提供し得る焼結体用粉末の製造方法として、各種
の方法が提案されている。
【0004】例えば、酸化イットリウムと酸化アルミニウム
を混合した後、この混合物を約1500℃で仮焼する方
法、硫酸イットリウムと硫酸アルミニウムとの混合水溶
液をスプレー乾燥した後、この乾燥物を約1300℃で
仮焼する方法(G. de. With 他、Mat. Res. Bull. Vol.
19, p.1669 (1984))、イットリウムとアルミニウムと
を含有する水溶液を硫酸イオン存在下、尿素で中和し、
得られた沈殿物を洗浄、乾燥した後、この乾燥物を仮焼
する方法(特許第2796632号公報)、塩化イット
リウムのようなイットリウム化合物の溶液と水酸化アル
ミニウム粉末とを混合し、この混合物を中和して沈殿物
を生成させた後、得られた沈殿物を仮焼し、この仮焼品
を粉砕する方法(特開平8−183613号公報)があ
る。
【0005】しかし、これらの方法では、1000℃以上の
高温で、アルミニウム−イットリウム含有物質を仮焼す
る工程があり、そのためには仮焼装置が必要となる。ま
た、焼結体用粉末製造のためのエネルギー消費が多くな
る傾向があった。
【0006】一方、仮焼を行うことなしにYAG焼結体用粉
末を得る方法が提案されている。例えば、真密度5.0
3g/cm3の酸化イットリウム粉末と純度99重量%
以上、真密度3.99g/cm3の酸化アルミニウム粉
末とを湿式混合する方法(特開平3−218963号公
報)がある。
【0007】この真密度3.99g/cm3の酸化アルミニ
ウムとは、α型の酸化アルミニウムのことであり、通
常、水酸化アルミニウムを1200℃以上の高温で焼成
することによって得られるものである。この公報に記載
の方法は、焼結体用粉末の製造原料として、このような
高温で焼成したα型の酸化アルミニウムを用いるため、
原料の調製コストが高くなる問題があった。また、この
ようなα型の酸化アルミニウムを用いた酸化イットリウ
ムとの湿式混合には長時間を要することから、生産性が
十分ではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、原料
としてα型の酸化アルミニウムを用いることなく、かつ
仮焼工程なしに、高密度のYAG焼結体を与え得る焼結
体用粉末の製造方法を提供し、さらにはそれを用いて、
YAG焼結体とするための顆粒、スラリーまたは成形体
の製造方法を提供することにある。また、本発明の他の
課題は、これらの原料を用いて、高密度のYAG焼結体
を製造する方法を提供することにある。
【0009】本発明者等は、YAG焼結体用途に適した粉末
の製造方法について鋭意検討を行った結果、本発明を完
成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
は、酸化イットリウムまたはその前駆体とα型の酸化ア
ルミニウムを除く酸化アルミニウムまたはその前駆体と
を、イットリウムとアルミニウムの原子比で3/4.7
〜3/5.2となるように、衝撃値3G〜50Gの条件
下で、混合することを特徴とするYAG焼結体用粉末の
製造方法を提供するものである。
【0011】本発明の第2は、上記第1の方法により得られ
る粉末を造粒することを特徴とするYAG焼結体用顆粒
の製造方法を提供するものである。
【0012】本発明の第3は、上記第1の方法により得られ
る粉末と分散媒とを混合することを特徴とするYAG焼
結体用スラリーの製造方法を提供するものである。
【0013】本発明の第4は、上記第1の方法により得られ
る粉末を成形することを特徴とするYAG焼結体用成形
体の製造方法を提供するものである。
【0014】本発明の第5は、上記第1の方法により得られ
る粉末を成形した後、1500℃〜1850℃で焼結す
ることを特徴とするYAG焼結体の製造方法を提供する
ものである。この方法によれば、高密度の、例えば、相
対密度(YAG焼結体の理論密度4.55g/cm3
対する焼結密度の比率を表す。)が98%以上のYAG
焼結体を製造することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明では、YAGの原料として、酸化イットリウムま
たはその前駆体と酸化アルミニウムまたはその前駆体が
用いられる。ここでいう酸化イットリウム前駆体とは、
空気中、1500℃以上1850℃以下の温度で焼成し
たときに酸化イットリウムとなる化合物であり、例え
ば、窒化イットリウム、酸窒化イットリウム、水酸化イ
ットリウム、炭化イットリウム、塩化イットリウム、オ
キシ塩化イットリウム、弗化イットリウム、臭化イット
リウム、硫化イットリウム、蓚酸イットリウム、炭酸イ
ットリウム、酢酸イットリウム、ステアリン酸イットリ
ウム、乳酸イットリウム、ラウリン酸イットリウムなど
が包含される。酸化イットリウムまたはその前駆体は、
1種であってもよいし、2種以上混合して用いてもよ
い。また、ここで用いる酸化イットリウムまたはその前
駆体は純度の高いものが好ましく、例えば99重量%以
上、さらには99.9重量%以上の純度を有するものが
好ましい。なお、酸化イットリウム前駆体の純度は、そ
の前駆体を、空気中、1500℃以上1850℃以下の
温度で焼成して得られる酸化イットリウムのY23含有
量を測定することにより、求めることができる。
【0016】このような酸化イットリウムまたはその前駆体
は、酸化アルミニウムまたはその前駆体と混合される。
酸化アルミニウムを用いる場合、それはα型以外のもの
であり、例えば、中間アルミナまたは遷移アルミナと呼
ばれ、γ、δ、θ、ρ、χ、κ型などの結晶構造を有す
る酸化アルミニウムが挙げられる。また酸化アルミニウ
ム前駆体とは、空気中、1500℃以上1850℃以下
の温度で焼成したときに酸化アルミニウムとなる化合物
であり、例えば、窒化アルミニウム、酸窒化アルミニウ
ム、水酸化アルミニウム、炭化アルミニウム、塩化アル
ミニウム、オキシ塩化アルミニウム、弗化アルミニウ
ム、臭化アルミニウム、蓚酸アルミニウム、硫酸アルミ
ニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウ
ム、アンモニウム明礬、乳酸アルミニウム、ラウリン酸
アルミニウムなどが包含される。酸化アルミニウムまた
はその前駆体は、1種であってもよいし、2種以上混合
して用いてもよい。中でも、アルコキシドの加水分解法
またはバイヤー法等で得られ、擬ベ−マイト、ベーマイ
ト、ギブサイトおよびバイヤライトの結晶構造を有する
水酸化アルミニウム、とりわけ、アルコキシドの加水分
解で得られ、結晶構造が擬ベーマイトである水酸化アル
ミニウムの適用が推奨される。アルコキシドを加水分解
する方法によれば、高純度の水酸化アルミニウムを得る
ことができる。酸化アルミニウムまたはその前駆体は、
純度の高いものが好ましく、例えば99重量%以上、さ
らには99.9重量%以上の純度を有するものが好まし
い。なお、酸化アルミニウム前駆体の純度は、その前駆
体を、空気中、1500℃以上1850℃以下の温度で
焼成して得られる酸化アルミニウムのAl23含有量を
測定することにより、求めることができる。
【0017】酸化イットリウムまたはその前駆体と酸化アル
ミニウムまたはその前駆体との混合は、イットリウムと
アルミニウムの原子比が3/4.7〜3/5.2となる
範囲で行われ、さらには、この原子比が3/4.8〜3
/5.07となる範囲で行うことが好ましい。イットリ
ウムに対するアルミニウムの原子比が小さく、混合物中
のアルミニウムの割合が少なくなると、YAG単一相か
らなる焼結体を得ることが可能な粉末の製造が困難とな
り、焼結体にはイットリウム−アルミニウム−ペロブス
カイト相が混在するようになる。一方、イットリウムに
対するアルミニウムの原子比が大きく、混合物中のアル
ミニウムの割合が多くなった場合も、YAG単一相から
なる焼結体を得ることが可能な粉末の製造が困難とな
り、焼結体にはα型のアルミナ相が混在するようにな
る。酸化イットリウムまたはその前駆体と酸化アルミニ
ウムまたはその前駆体との混合割合が上で示した範囲を
外れると、たとえ、それら後述する衝撃値が3G〜50
Gとなる条件で混合しても、焼結密度の高いYAG焼結
体を得ることが可能な粉末の製造が困難になる。また、
この範囲を外れる割合で調製した焼結体用粉末から得ら
れるYAG焼結体は、耐食性が低下する場合がある。
【0018】本発明においてはまた、酸化イットリウムまた
はその前駆体と酸化アルミニウムまたはその前駆体と
を、衝撃値3G〜50Gの条件で混合する。ここで、衝
撃値とは、酸化イットリウムまたはその前駆体および酸
化アルミニウムまたはその前駆体の混合物に加わる加速
度を意味し、自由落下の標準加速度(9.8ms-2)の
倍数で表し、単位としてGを用いる。混合時の衝撃値が
3G未満であると、相対密度98%以上を達成できるY
AG焼結体用の粉末を得ることができない。衝撃値が5
0Gを超えると、相対密度98%以上を達成できるYA
G焼結体用の粉末が得られないばかりか、YAG焼結体
の耐食性が低下することがある。混合時の衝撃値が50
Gを超えた場合に、その粉末を成形し、さらに焼成して
得られるYAG焼結体が十分な焼結密度を示さず、また
必要な耐食性を示さないのは、混合時の粉砕メディアや
ミル部材からの汚染が影響していると推察される。な
お、衝撃値は、酸化イットリウムまたはその前駆体と酸
化アルミニウムまたはその前駆体の混合に使用する振動
ミル等の装置のモーターの回転数やミルの振幅を変える
ことによって、調整することができる。
【0019】酸化イットリウムまたはその前駆体と酸化アル
ミニウムまたはその前駆体の混合は、例えば、振動ミ
ル、遊星ミル、遠心ミルのような市販の装置を用い、酸
化イットリウムまたはその前駆体と酸化アルミニウムま
たはその前駆体とを機械的に攪拌する方法で行うことが
できる。混合は、乾式または水等による湿式のいずれで
行ってもよく、混合時間は、通常、5分以上、好ましく
は10分以上であり、また12時間以内、さらには6時
間以内が適当である。
【0020】混合では、YAGの焼結助剤として知られてい
るSiO2、ZrO2、HfO2、MgO、CaO、Sr
O、CdO、R23(Rは希土類元素を表す。)、Bi
23、FeO,Fe23,Cr23、NiO、Sc
23、In23、Nb23、Ta25、ZnO、Mn
O,CoO、TiO2、GeO2のような酸化物を添加し
てもよく、また、1500℃以上1850℃以下の空気
中で焼成したときに前記酸化物となる前駆体物質を添加
してもよい。これらの酸化物や前駆体物質は1種または
2種以上組合せて使用することができる。焼結助剤の添
加量は、通常、得られるYAG焼結体に対し酸化物換算
で1重量%以下となる量である。原料である酸化イット
リウムもしくはその前駆体または酸化アルミニウムもし
くはその前駆体に焼結助剤となる酸化物やその前駆体物
質が含まれているときは、このような予め含まれている
焼結助剤と混合時に添加する焼結助剤の合計量が、得ら
れるYAG焼結体に対し酸化物換算で1重量%以下とな
るように、適宜調節して行うことが好ましい。
【0021】こうして得られる粉末を造粒することにより、
YAG焼結体の製造に好適な顆粒を製造することができ
る。この方法によれば、粉塵の発生がなく、ハンドリン
グ性に優れ、かつ大型のYAG焼結体部材を製造する場
合にも容易に均質で緻密な焼結体とすることが可能な焼
結体用顆粒が得られる。
【0022】造粒は、例えば、YAG焼結体用粉末を皿型造
粒機のような乾式造粒機に供給して行う方法、YAG焼
結体用粉末を分散媒中に、超音波分散機、ボールミル、
媒体攪拌ミルのような分散機能を有する装置で分散させ
た後、得られるスラリーをスプレー造粒機で噴霧する方
法で行うことができる。後者の方法の分散は、通常、分
散媒として水を使用して行うことができ、分散媒へ、ポ
リカルボン酸塩のような分散剤、ポリビニルアルコール
のような有機バインダーまたは潤滑剤を添加して行うこ
とが好ましい。有機バインダーや潤滑剤を使用すること
によって、顆粒を成形して得られる成形体の機械的強度
を高めることができる。
【0023】また、先に述べた方法で製造された粉末を分散
媒とを混合することにより、YAG焼結体の製造に好適
なスラリーを製造することができる。この方法により得
られるスラリーをスリップキャストのような成形方法に
適用すれば、複雑な形状の成形体を容易に得ることがで
きる。さらに、その成形体を焼結させれば、複雑な形状
で、かつ焼結密度が高いYAG焼結体を容易に得ること
ができる。
【0024】YAG焼結体用粉末と分散媒との混合は、例え
ば、超音波分散機、ボールミルおよび媒体攪拌ミルのよ
うな市販の装置を使って行うことができる。混合では、
分散媒へ有機バインダーや潤滑剤を添加して行うことが
好ましい。有機バインダーや潤滑剤を使用することによ
って、スラリーをスリップキャストにより成形して得ら
れる成形体の強度を高めることができる。また、スラリ
ーの製造は、YAG焼結体用粉末を造粒して顆粒にした
後、得られる顆粒と分散媒とを混合する方法で行うこと
もできる。
【0025】さらに、先に述べた方法で製造された粉末、顆
粒またはスラリーを成形することにより、YAG焼結体
の製造に好適な成形体を製造することができる。成形
は、例えば、金型一軸プレス、静水圧プレス、スリップ
キャスト、押し出し成形および射出成形のような各種方
法で行うことができ、プレス時の成形圧は、通常、0.
1T/cm2(10MPa)以上であり、また、成形装
置の小型化を考えれば、2T/cm2(200MPa)
以下が適当である。
【0026】本発明ではまた、前述したYAG焼結体用粉
末、顆粒またはスラリーからの成形品を1500℃〜1
850℃で焼結することにより、最終目的物であるYA
G焼結体が製造される。焼結体の製造は、通常、YAG
焼結体用粉末を金型一軸プレス、静水圧プレス、スリッ
プキャスト、押し出し成形または射出成形した後、得ら
れた成形体を電気炉やガス炉を用い、所定温度で保持す
る方法で行うことができる。焼結温度が1500℃未満
であると、相対密度として98%以上の焼結密度を有す
るYAG焼結体を得ることが困難となる。一方、焼結温
度が1850℃を超えると、YAG焼結体が異常粒成長
を起こしやすくなり、相対密度として98%以上の焼結
密度を有するYAG焼結体を得ることが困難となる。焼
結は、空気雰囲気中、保持時間が30分以上12時間以
内となる条件で行うことが好ましい。なお、YAG焼結
体用粉末の成形と成形体の焼結を同一装置で行うことも
可能であり、この場合に使用できる装置として、例え
ば、ホットプレス装置や熱間静水圧プレス(HIPと呼
ばれることがある。)装置がある。
【0027】
【発明の効果】以上詳述した様に、本発明のYAG焼結
体用粉末の製造方法によれば、原料としてα型の酸化ア
ルミニウムを用いることなく、かつ仮焼工程なしに、Y
AG焼結体の相対密度として98%を達成することがで
きるYAG焼結体用粉末を容易に得ることができる。本
発明のYAG焼結体用顆粒の製造方法によれば、粉塵の
発生がなく、ハンドリング性に優れ、かつ大型のYAG
焼結体部材を製造する場合にも容易に均質で緻密な焼結
体とすることが可能な焼結体用途に適した顆粒を得るこ
とができる。本発明のYAG焼結体用スラリーの製造方
法によれば、複雑な形状の成形体、焼結体を容易に得る
ことが可能なスリップ成形に適したスラリーを得ること
ができる。本発明のYAG焼結体用成形体の製造方法に
よれば、YAG焼結体の相対密度として98%を達成す
ることができる成形体を得ることができる。
【0028】また、本発明の焼結体の製造方法によれば、相
対密度98%以上の焼結密度を有するYAG焼結体を容
易に得ることができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、実施例は本発明の一実施態様を示すものであ
り、これにより本発明が制約されるものではない。 実施例1 原料として、純度99.9重量%、平均粒子径4.7μ
mである酸化イットリウム21gとアルコキシド加水分
解法により得られた純度99.99重量%、結晶構造が
擬ベーマイト型である水酸化アルミニウム21gを内容
積3Lの振動ミルに仕込み、衝撃値6Gで84分乾式混
合して、YAG焼結体用粉末を得た。このときの水酸化
アルミニウムと酸化イットリウムの混合物の組成は、イ
ットリウムとアルミニウムの原子比で3/4.7であっ
た。上で得られたYAG焼結体用粉末を成形圧0.3T
/cm2(30MPa)の金型一軸プレス、次いで成形
圧1.5T/cm2(150MPa)の静水圧プレスで
成形した後、1680℃の空気雰囲気中で5時間焼結し
て、YAG焼結体を得た。このYAG焼結体は、焼結密
度が4.45g/cm3であり、相対密度98%であっ
た。
【0030】実施例2 原料として、純度99.9重量%、平均粒子径5.1μ
mである酸化イットリウム1.3kgとアルコキシド加
水分解法による得られた純度99.99重量%、結晶構
造が擬ベーマイト型である水酸化アルミニウム1.3k
gを内容積50Lの振動ミルに仕込み、衝撃値6Gで3
時間乾式混合して、YAG焼結体用粉末を得た。このと
きの酸化イットリウムと水酸化アルミニウムの混合物の
組成は、イットリウムとアルミニウムの原子比で3/
5.15であった。上で得られたYAG焼結体用粉末
0.5kg、水5.5kgおよび分散剤としてポリカル
ボン酸塩7.7gを湿式媒体攪拌ミルに入れ、攪拌して
YAG焼結体用粉末を分散させ、スラリー化した後、有
機バインダーとしてポリビニルアルコールをYAG焼結
体用粉末に対し3重量%添加し、得られたスラリーをス
プレー造粒機で噴霧して、YAG焼結体用顆粒を得た。
得られたYAG焼結体用顆粒を成形圧0.3T/cm2
(30MPa)の金型一軸プレス、次いで成形圧1.5
T/cm2(150MPa)の静水圧プレスで成形した
後、1680℃の空気雰囲気中で5時間焼結して、YA
G焼結体を得た。このYAG焼結体は焼結密度が4.5
1g/cm3であり、相対密度99%であった。
【0031】比較例1 原料として、純度99.9重量%、平均粒子径4.7μ
mである酸化イットリウム32gと純度99.99重量
%、結晶構造がα型である酸化アルミニウム24gを内
容積3Lの振動ミルに仕込み、衝撃値6Gで84分乾式
混合してYAG焼結体用粉末を得た。このときの酸化イ
ットリウムと酸化アルミニウムの混合物中の組成は、イ
ットリウムとアルミニウムの原子比で3/5であった。
上で得られたYAG焼結体用粉末を成形圧0.3T/c
2(30MPa)の金型一軸プレス、次いで成形圧
1.5T/cm2(150MPa)の静水圧プレスで成
形した後、1680℃の空気雰囲気中で5時間焼結し
て、YAG焼結体を得た。このYAG焼結体は焼結密度
が4.28g/cm3であり、相対密度94%であった。
【0032】比較例2 原料として、純度99.9重量%、平均粒子径4.7μ
mである酸化イットリウム1.3kg、純度99.99
重量%、結晶構造がα型である酸化アルミニウム1kg
および水1.3kgを湿式媒体攪拌ミルに入れ、分散さ
せてスラリー化した後、有機バインダーとしてポリビニ
ルアルコールを酸化アルミニウムと酸化イットリウムと
の合計に対し3重量%添加し、得られたスラリーをスプ
レー造粒機で噴霧して、YAG焼結体用顆粒を得た。こ
のときの酸化イットリウムと酸化アルミニウムの混合物
中の組成は、イットリウムとアルミニウムの原子比で3
/5であった。得られたYAG焼結体用顆粒を成形圧
0.3T/cm2(30MPa)の金型一軸プレス、次
いで成形圧1.5T/cm2(150MPa)の静水圧
プレスで成形した後、1680℃の空気雰囲気中で5時
間焼結して、YAG焼結体を得た。このYAG焼結体は
焼結密度が3.40g/cm3であり、相対密度75%で
あった。
【0033】比較例3 原料として、純度99.9重量%、平均粒子径4.7μ
mである酸化イットリウム21gとアルコキシド加水分
解法により得られた純度99.99重量%、結晶構造が
ベーマイト型である水酸化アルミニウム21gを内容積
3Lの転動ミルに仕込み、衝撃値1Gで24時間乾式混
合して、YAG焼結体用粉末を得た。このときの酸化イ
ットリウムと酸化アルミニウムの混合物中の組成は、イ
ットリウムとアルミニウムの原子比で3/4.7であっ
た。上で得られたYAG焼結体用粉末を成形圧0.3T
/cm2(30MPa)の金型一軸プレス、次いで成形
圧1.5T/cm2(150MPa)の静水圧プレスで
成形した後、1680℃の空気雰囲気中で5時間焼結し
て、YAG焼結体を得た。このYAG焼結体は焼結密度
が4.13g/cm3であり、相対密度91%であった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化イットリウムまたはその前駆体とα
    型の酸化アルミニウムを除く酸化アルミニウムまたはそ
    の前駆体とを、イットリウムとアルミニウムの原子比で
    3/4.7〜3/5.2となるように、衝撃値3G〜5
    0Gの条件下で、混合することを特徴とするイットリウ
    ム−アルミニウム−ガーネット焼結体用粉末の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法により得られる粉末
    を造粒することを特徴とするイットリウム−アルミニウ
    ム−ガーネット焼結体用顆粒の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法により得られる粉末
    と分散媒とを混合することを特徴とするイットリウム−
    アルミニウム−ガーネット焼結体用スラリーの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の方法により得られる粉末
    を成形することを特徴とするイットリウム−アルミニウ
    ム−ガーネット焼結体用成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の方法により得られる粉末
    を成形した後、1500℃〜1850℃で焼結すること
    を特徴とするイットリウム−アルミニウム−ガーネット
    焼結体の製造方法。
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