JP2001089145A - ジルコニア粉末 - Google Patents

ジルコニア粉末

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JP2001089145A
JP2001089145A JP26998599A JP26998599A JP2001089145A JP 2001089145 A JP2001089145 A JP 2001089145A JP 26998599 A JP26998599 A JP 26998599A JP 26998599 A JP26998599 A JP 26998599A JP 2001089145 A JP2001089145 A JP 2001089145A
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powder
slurry
zirconia
molding
sintered body
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JP26998599A
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English (en)
Inventor
Yasuhiro Nakano
康博 中野
Shoichiro Goto
昭一郎 後藤
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】成形性が良く、焼結体の強度、密度等の特性が
高い粉末を提供することにある。 【解決手段】主たる成分がジルコニアである粉末で、ス
ラリー化したときの電気伝導度が500μS/cm以下
であることを特徴とするジルコニア粉末。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジルコニア粉末に
関し、成形性、機械的特性に優れたセラミックス焼結体
が得られるジルコニア粉末に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高強度ジルコニアは高強度、高靭性の特
性を生かして、粉砕用ボール等の粉砕用メディア、粉砕
機部材などの摺動部品や刃物類の構成材料として使用さ
れている。これらセラミックスの製造工程は、一般に原
料粉末の調整、成形、焼結、仕上げ加工の工程からな
る。焼結体の微構造がセラミックスの特性を支配すると
考えられ重要視されてきたが、実際は成形工程で形成さ
れた欠陥が、その後の焼結工程である程度取り除かれは
するが、そのすべてを取り除くことは不可能であり、こ
れが最終製品の性能を低下させる原因になると考えられ
る。
【0003】例えば、乾式加圧成形の場合、均一充填、
成形体の密度向上などのために、あらかじめ造粒され
る。成形時にこの造粒粉末の変形、破壊による均一な緻
密化が十分に行われないと、成形体中にポアが残存し、
その焼結体は強度、密度などの物性において十分な値が
得られないことがある。また成形体の密度ムラにより焼
結体にそりやねじり、うねりといった成形不良が発生す
ることがある。それらは造粒粉末状態の影響が大きいと
推測される。造粒された粉末の性質は原料粉末の物性だ
けでなく造粒するときのスラリーの状態に強く影響され
ており、そのスラリーの状態を制御する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明では成形性が良
く、焼結体の強度、密度等の特性に優れた粉末を提供す
ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、成形性が
良く、優れた機械的特性を有する焼結体が得られるジル
コニア粉末について鋭意検討した結果、次の発明に達成
した。すなわち本発明のジルコニア粉末は次の構成を有
する。主たる成分がジルコニアである粉末で、スラリー
化したときの電気伝導度が500μS/cm以下である
ことを特徴とするジルコニア粉末である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。
【0007】本発明は主な成分がジルコニアである粉末
に関するものであり、成形性、焼結体特性に優れた焼結
体を得るためには、粉末をスラリー化したときの電気伝
導度が500μS/cm以下である必要がある。その理
由は以下に述べる。なお本発明においてスラリーの電気
伝導度とは、30wt%のスラリーの電気伝導度をい
う。
【0008】粉末の成形法には乾式加圧成形法、射出成
形法、シート成形法、鋳込み法、ゲルキャスティング法
等様々な方法があるが、ここでは乾式加圧成形法を例に
とって説明する。粉末を乾式で成形する場合、均一充
填、成形体の密度向上および焼結体特性等の観点からそ
のまま成形することは好ましくないため、一般に成形し
やすい大きさに造粒する。造粒方法にはCDドライヤ、
噴霧乾燥等があるが、一般的に噴霧乾燥を用いることが
多く、ここでは噴霧乾燥により造粒された粉末について
説明する。
【0009】噴霧乾燥により成形性が良く、焼結体特性
の良い焼結体が得られる粉末を製造するためには、原料
粉末をスラリー化したとき、そのスラリーが弱く凝集し
た状態である必要がある。スラリーが分散して粘度が低
下した状態で噴霧乾燥すると、乾燥の際に粒子が表面に
向かって物質移動するため、中空でしかも表面が硬い造
粒粉末が出来てしまう。逆にスラリーが凝集しすぎると
送液中に詰まりを起こしてしまうため、噴霧乾燥するこ
とができなくなってくる。弱く凝集するスラリーを安定
して供給するため、鋭意検討した結果、スラリーの電気
伝導度を500μS/cm以下にすればよいことが分か
った。
【0010】粉末を合成する時に添加した物質や合成の
際に発生した複製成分が残存すると粉末をスラリー化し
たとき、それらの残存成分がスラリー中に溶出してイオ
ンとなって存在する。溶出元素の主な物としてはアルカ
リ金属、アルカリ土類金属、塩素等がある。これらのイ
オンを除去することによりスラリーは弱い凝集状態にな
り、噴霧乾燥で得られる粉末は中実で弱く凝集した状態
となる。このような粉末を加圧成形すると緻密で均一な
成形体を得ることができる。スラリー中のイオンは電気
伝導度で表し、目的の粉末を得るためには電気伝導度を
500μS/cm以下、好ましくは200μs/cm以
下にすると良い。
【0011】また、例えば、残留するイオンがNa+
Cl- である場合、成形体中では塩として存在し、焼結
中に除去されるが、その量が多いと焼結を妨げたり抜け
たあとがポアとなって破壊起点となり、焼結密度、曲げ
強度を低下させる。この問題は電気伝導度を500μS
/cm以下にすることにより、好ましくは200μS/
cm以下にすることにより解決できる。
【0012】粉末に合成樹脂を添加する場合、余分なイ
オンが存在しないため、バインダーや潤滑剤として添加
する合成樹脂の粉末への吸着を妨げられたり、過剰な吸
着が起こったりすることがなくその効果を十分発揮する
ことができる。
【0013】本発明のジルコニア粉末は原料中にY2
3 及び/またはCeO2 を0.1〜5モル%の範囲で含
むことが好ましい。ジルコニアが高強度、高靭性の特性
を発揮するためにはY2 3 、CeO2 等の安定化剤を
適当量添加することにより、通常、常温で単斜晶である
ジルコニアの結晶構造を正方晶が多数を占める結晶構造
にすることが出来る。これらのジルコニアは正方晶から
単斜晶への応力誘起変態により高強度、高靭性となる。
含有量が少ない場合は、ジルコニア中の正方晶が安定化
せず、室温において単斜晶で存在する割合が多くなり高
強度とならない傾向がある。含有量が多い場合は、逆に
正方晶が完全に安定化される方向になり、室温における
応力誘起変態が起こりにくく、高強度とならない傾向が
ある。Y 2 3 及び/またはCeO2 の含有量が1.5
〜4モル%の範囲であるとさらに好ましい。
【0014】本発明のジルコニア粉末は原料中にAl2
3 を好ましくは0.1〜1重量%の範囲で含むことが
望ましい。上記のとおりジルコニアが高強度であること
は正方晶の単斜晶への応力誘起変態に起因する。Al2
3 を少量添加することによりジルコニアには圧縮応力
がかかり、引張りに対し、より強い応力まで耐えられる
ため、より高強度となる。含有量が少ない場合は、少量
すぎて効果が少なく、逆に含有量が多い場合は、靭性が
低下する傾向にある。Al2 3 の含有量が0.2〜
0.6重量%の範囲であるとさらに好ましい。
【0015】本発明のジルコニア粉末がBET比表面積
6〜15m2 /gであることが好ましい。本発明におけ
るBET比表面積とはJIS−R1626「ファインセ
ラミックス粉体の気体吸着BET法」による比表面積の
測定方法に則り、BET1点法で測定した値をいう。B
ET比表面積が6m2 /g未満の場合は、焼結性が低下
し、緻密で均一な焼結体が得られない傾向にある。BE
T比表面積が15m2/gを超える場合は、例えば、金
型成形や冷間等方加圧装置(以下CIP)等を用いて成
形を行う場合に、粒子が小さすぎるため圧力の伝達が悪
い、特に金型成形ではラミネーションが発生しやすい、
焼結体に変形が起こりやすい等の問題が発生する傾向が
ある。さらに、粉末と可塑剤バインダーを混練して使用
する射出成形の場合は表面積が大きすぎるために粘度が
高くなり成形がうまくいかない傾向がある。また、粘度
を下げるためにバインダを多量に使用すると、脱バイン
ダーがうまく行かず、焼結体中の欠陥になるという問題
がおこる傾向にある。さらに粉末をスラリー化して使用
するグリーンシート成形、鋳込み成形やゲルキャスティ
ングを行う場合は、スラリー粘度が高くなり、高濃度で
使用することが困難となる傾向がある。以上のように成
形自体が困難であり、また、これらの方法で製造した成
形体を焼結しても緻密で均一な焼結体が得られにくい傾
向がある。BET比表面積が7〜13m2 /gであると
さらに好ましい。
【0016】本発明のジルコニア顆粒は二次粒子の平均
粒径が0.3〜1.5μmであることが好ましい。二次
粒径とは粒度分布測定装置等を用いて測定される体積基
準分布の粒径をいい、平均粒径とは累積分布が50%に
相当するいわゆるメジアン径のことをいう。平均粒径が
0.3μm未満の場合、例えば、加圧成形を行う場合
に、粒子が小さすぎるため圧力の伝達が悪くなる傾向に
あり、特に金型成形ではラミネーションが発生しやす
く、焼結体に変形が起こりやすい等の問題が発生する傾
向がある。さらに、射出成形の場合は粒径が小さい、つ
まり表面積が大きすぎるために粘度が高くなり成形がう
まく行きにくく、また、粘度を下げるためにバインダを
多量に使用すると、脱バインダーがうまく行かず、焼結
体中の欠陥になるという問題が起こりやすい傾向にある
。さらに粉末をスラリー化して使用するグリーンシー
ト成形、鋳込み成形やゲルキャスティングを行う場合
は、粒子が小さいためスラリー粘度が高くなり、高濃度
で使用しにくくなる。以上のように成形自体が困難で、
また、これらの方法で製造した成形体の焼結体が緻密で
均一となりにくい傾向がある。また、平均粒径が1.5
μmを超える場合は、焼結性が低下する傾向があり、緻
密で均一な焼結体を得ることが困難となってくる。二次
粒子の平均粒径が0.5〜1.2μmであるとさらに好
ましい。
【0017】本発明のジルコニア粉末はスラリー化した
ときのpHが6〜9の範囲であることが好ましい。本発
明のpH値は30wt%スラリーにおける値をいう。p
H値が上記の範囲でのスラリーは分散しつつも弱く凝集
しており、噴霧乾燥された造粒粉末は、粒子どうしの凝
集が弱い、加圧成形方法に適した粉末となる傾向があ
る。スラリーのpHが6未満の場合および9を超える場
合、スラリーは分散性が強くなりやすいためジルコニア
粉末は中空で殻の固い状態となる傾向がある。より好ま
しくはpHが7〜9がよい。
【0018】本発明のジルコニア粉末の篩上平均粒径が
40〜80μmであることが好ましい。篩上平均粒径と
は標準篩を用いて乾式篩分け法により測定した体積基準
分布の粒径であって、累積分布が50%に相当するいわ
ゆるメジアン径のことをいう。粉末の篩上平均粒径が4
0μm未満の場合、例えば金型成形等の加圧成形を行う
場合、流動性が悪いため充填性が悪くて、成形体の密度
が低く、不均一となりやすい。焼結体はそりやねじれ、
うねりといった変形が発生することがあり、緻密な焼結
体を得ることは困難な傾向にある。粉末の篩上平均粒径
が80μmを超える大きい場合、例えば金型成形等の加
圧成形を行う場合、充填したときの粒子間の空隙が大き
くなり、その空隙が成形、焼結で取り除けずに欠陥とな
る傾向がある。篩上平均粒径が50〜70μmであると
より好ましい。
【0019】さらに、粉末の嵩密度は0.8〜1.2g
/ccの範囲であることが望ましい。本発明において粉
末の嵩密度とは粉末を100ccの容器に充填し、粉末
の重量を測定して求めた値をいう。例えば金型成形やC
IP等の加圧成形において嵩密度が0.8g/cc未満
の場合、造粒粉末の空隙が多すぎてその空隙を潰しきれ
ずに成形体中に残ってしまう傾向がある。嵩密度が1.
2g/ccを超える場合、造粒粉末内に粒子が充填しす
ぎて硬い状態になり、造粒粉末がうまく潰れずに成形体
中に造粒粉末間の空隙が残ってしまう傾向がある。この
ような成形体を焼結するとねじれやうねりといった変形
を伴った焼結体となることが多く、緻密で均一な焼結体
を得ることが困難な傾向にある。嵩密度が0.9〜1.
1g/ccの範囲であるとより好ましい。
【0020】本発明のジルコニア粉末は添加剤として合
成樹脂を用いることが望ましい。例えば乾式加圧成形の
場合、プレス時に金型壁面と成形体との付着力が大き
く、離型時、成形体にクラックが発生しやすいという問
題がある。また成形体強度が弱く、欠け、割れが発生す
る。そのため成形用バインダーを用いる。本発明におけ
るバインダーとは一次粒子もしくは二次粒子の結合剤で
あり原料粉末どうしを結合させるものをいう。バインダ
ーには水系、非水系があるが、環境その他の理由により
水系のものが都合がよい。ポリビニールアルコール(正
式には部分懸架ポリ酢酸ビニル)やアクリル系バインダ
ーが特に好ましく使用できる。バインダーを添加した粉
末はその分強度が増加し、加圧成形の際、潰れにくくな
るため好ましくは部分懸架ポリ酢酸ビニルを使用にはポ
リエチレングリコール(PEG)を合わせて使用すると
よい。またPEGは結合剤としての働きを十分にもって
おり、PEGをバインダーとして使用してもよい。アク
リル系バインダーを使用にはジブチルフタル酸を合わせ
用いると良い。さらに潤滑剤として高級脂肪酸、パラフ
ィンワックスなどが添加されているとより好ましい。潤
滑剤とは、加圧の際に粒子どうしの摩擦を低減し粒子の
移動をスムーズにさせること、及び離型時の際の成形体
と金型の摩擦を低減させるものをいう。肉厚の薄い製品
において、ステアリン酸、パラフィンワックス等の潤滑
剤を添加した粉末を成形して得られた焼結体はねじれや
うねり等の変形が起こりにくい傾向がある。
【0021】
【実施例】以下実施例について述べる。
【0022】実施例の物性の測定、評価は以下のように
行った。 (1)嵩密度 装置は筒井化学工業(株)製A.B.Dパウダーテスタ
ーを用いた。ホッパーに測定する粉末を入れ、粉末を落
下させてて100ccの容器に充填し、粉末の重量を測
定することにより嵩密度を求めた。 (2)電気伝導度 300ccのビーカーに電気伝導度5μS/cmの純水
200g、ジルコニア粉末60gを入れ、良く攪拌した
後、超音波発生機に10分間かけて30wt%のスラリ
ーを作成した。このスラリーを堀場製作所(株)製“カ
スタニー”LAB導電率計DS−12を用いてスラリー
の電気伝導度を測定した。 (3)BET比表面積 ユアサアイオニクス(株)製“モノソーブ”MS−17
を用いて粉末の比表面積を測定した。測定はJIS−R
1626「ファインセラミックス粉体の気体吸着BET
法による比表面積の測定方法」に則り、BET1点法で
行った。
【0023】バインダ入りの粉末については、ダインダ
を入れる前のスラリーを乾燥し、そのサンプルのBET
比表面積を測定し、バインダ入り粉末の値とした。 (4)二次粒子の平均粒径 粉末を濃度30wt%のスラリーにした。スラリーの作
成方法は電気伝導度の測定方法に記載された内容と同じ
である。日機装(株)製マイクロトラック粒度分布計モ
デル7995−10SRAを用い、調整したスラリーの
二次粒子径を測定し、累積分布が50%に相当する、い
わゆるメジアン径を平均粒径とした。
【0024】バインダ入りの粉末については、バインダ
を入れる前のスラリーの二次粒子の平均粒径を測定し、
バインダ入りの値とした。 (5)篩上平均粒径 田中化学機械(株)製篩振とう機R−2型を用い、JI
S規格の標準篩いで測定した。累積分布が50%に相当
する、いわゆるメジアン径を平均粒径とした。 (6)pH測定 粉末を濃度30wt%のスラリーにし、堀場製作所
(株)製“カスタニー”ACT pHメーター D−1
4を用いてスラリーのpHを測定した。スラリーの作成
方法は電気伝導度の測定方法に記載された内容と同じで
ある。 (7)焼結密度(CIP) 粉末をCIP装置を用いて1ton/cm2 の条件で成
形し、その成形体をφ25×L25mmの円柱に加工
し、1400℃の温度で1時間焼結した。焼結体をアル
キメデス法により焼結密度を測定した。 (8)焼結密度(金型プレス) 粉末を金型プレス機を用いて850kgf/cm2 の圧
力でφ100mm、厚さ8mmの半円状の成形体を作製
し、1400℃の温度で1時間焼結した焼結体をアルキ
メデス法により焼結密度を測定した。 (9)曲げ強度(CIP) 粉末をCIP装置を用いて1ton/cm2 の条件で成
形し、その成形体を1400℃の温度で1時間焼結し
た。焼結体から3×4×約40mmの試料片を切り出
し、JIS−R1601「ファインセラミックスの曲げ
強さ試験方法」に則り、3点曲げ強度を測定した。 (10)曲げ強度(金型プレス) 粉末を金型プレス機を用いて850kgf/cm2 の圧
力でφ100mm、厚さ8mmの半円状の成形体を作製
し、1400℃の温度で1時間焼成した。焼結体から3
×4×約40mmの試料片を切り出し、JIS−160
1「ファインセラミックスの曲げ強さ試験方法」に則
り、3点曲げ強度を測定した。
【0025】(11)成形性評価 粉末を金型プレスを用いて850kgf/cm2 で50
×20×1mmの成形体を50枚作製し、1400℃で
1時間焼結した。焼結体のねじり、うねり等の不良率を
求め、成形性評価とした。不良率の測定は、焼結体を定
盤の上にのせ、焼結体と定盤の間に1mm以上隙間のあ
るものを不良とした。
【0026】以下実施例について述べる。
【0027】実施例1 ZrOCl2 溶液にY2 3 濃度として3モル%となる
ようにYCl3 溶液を加えて混合し、加水分解により水
酸化物を得た。乾燥した後、950℃で2時間仮焼し
た。得られた仮焼体にAl2 3 を0.2重量%添加
し、媒体攪拌ミルを用いて3時間、純水で湿式粉砕した
後、遠心分離装置を用いて1時間水洗した。水洗後のス
ラリーを噴霧乾燥した。乾燥した粉末は分級装置により
粗大粒を除去した。
【0028】得られた粉末について電気伝導度、嵩密
度、BET比表面積、二次粒子の平均粒径、篩上平均粒
径、pHを測定し、この粉末から上記の方法で焼結体を
作製し、焼結密度(CIP)、曲げ強度(CIP)を測
定した。
【0029】実施例2 実施例1と同じスラリーにポリビニールアルコール、ポ
リエチレングリコール、ステアリン酸、パラフィンワッ
クスを添加し、よく攪拌し、噴霧造粒乾燥した。乾燥し
た粉末は分級装置で粗大粒を除去した。
【0030】得られた粉末について、実施例1の物性の
ほかに焼結密度(金型プレス)、曲げ強度(金型プレ
ス)を測定し、成形性を評価した。
【0031】実施例3 ZrOCl2 溶液にY2 3 濃度として3モル%となる
ようにYCl3 溶液を加えて混合し、アンモニア水を加
えて水酸化物を共沈させ、共沈物を水洗し、乾燥した
後、1000℃で60分間仮焼した。得られた仮焼体に
Al2 3 を0.3重量%添加し、媒体攪拌ミルを用い
て3時間、純水で湿式粉砕した後、分級装置で微細粒及
び粗大粒を取り除き、遠心分離装置を用い水洗した。水
洗後のスラリーにポリビニールアルコール、ポリエチレ
ングリコール、ステアリン酸、パラフィンワックスを添
加し、よく攪拌し、噴霧乾燥した。乾燥した粉末は分級
装置で粗大粒を除去した。得られた粉末について、上記
のとおり測定し、成形性を評価した。
【0032】実施例4 ZrOCl2 溶液に、Y2 3 濃度として2.7モル%
となるようにYCl3溶液を、Al2 3 濃度として
0.4wt%となるようにAlCl3 溶液を加えて混合
し、熱分解法により酸化物を作製した。媒体攪拌ミルを
用いて3時間、純水で湿式粉砕した後、分級装置で微細
粒及び粗大粒を取り除き、限外ろ過装置を用い水洗し
た。水洗後のスラリーにポリビニールアルコール、ステ
アリン酸、パラフィンワックスを添加し、よく攪拌し、
噴霧乾燥した。乾燥した粉末は分級装置で粗大粒を除去
した。得られた粉末について、上記のとおり測定し、成
形性を評価した。
【0033】実施例5 ZrOCl2 溶液にY2 3 およびCeO2 濃度をあわ
せて3モル%となるように、YCl3 溶液およびCeC
3 を加えて混合し、アンモニア水を加えて水酸化物を
共沈させ、共沈物を水洗し、乾燥した後、1100℃で
60分間仮焼した。得られた仮焼体を媒体攪拌ミルを用
いて3時間、純水で湿式粉砕した後、分級装置で微細粒
及び粗大粒を取り除き、遠心分離装置を用い水洗した。
水洗後のスラリーにポリビニールアルコールを添加し、
よく攪拌し、噴霧乾燥した。乾燥した粉末は分級装置で
粗大粒を除去した。得られた粉末について、上記のとお
り測定し、成形性を評価した。
【0034】実施例6 ZrOCl2 溶液にY2 3 濃度として3モル%となる
ようにYCl3 溶液を、Al2 3 濃度として0.4w
t%となるようにAlCl3 溶液を加えて混合し、熱分
解法により酸化物を作製した。媒体攪拌ミルを用いて2
時間、純水で湿式粉砕した後、分級装置で微細粒及び粗
大粒を取り除き、限外ろ過装置を用い水洗した。水洗後
のスラリーにアクリル系バインダ、ジブチルフタル酸を
添加し、よく攪拌し、噴霧乾燥した。乾燥した粉末は分
級装置で粗大粒を除去した。得られた粉末について、上
記のとおり測定し、成形性を評価した。
【0035】実施例7 ZrOCl2 溶液にY2 3 濃度として3モル%となる
ようにYCl3 溶液を加えて混合し、加水分解により水
酸化物を得た。乾燥した後、750℃で2時間仮焼し
た。得られた仮焼体にAl2 3 を1.2重量%添加
し、媒体攪拌ミルを用いて6時間、純水で湿式粉砕した
後、遠心分離装置を用い水洗した。水洗後のスラリーに
ポリビニールアルコール、パラフィンワックスを添加
し、良く攪拌し噴霧乾燥した。乾燥した顆粒は分級装置
により粗大粒を除去した。得られた粉末について、上記
のとおり測定し、成形性を評価した。
【0036】実施例8 ZrOCl2 溶液に、Y2 3 濃度として3モル%とな
るようにYCl3 溶液を加えて混合し、熱分解法により
酸化物を作製した。媒体攪拌ミルを用いて3時間、純水
で湿式粉砕した後、分級装置で微細粒及び粗大粒を取り
除き、限外ろ過装置を用い水洗した。水洗後のスラリー
にポリビニールアルコール、ポリエチレングリコール、
ステアリン酸、パラフィンワックスを添加し、よく攪拌
し、噴霧乾燥した。乾燥した顆粒は分級装置で粗大粒を
除去した。得られた粉末について、上記のとおり測定
し、成形性を評価した。
【0037】比較例1 ZrOCl2 溶液にY2 3 濃度として3モル%となる
ようにYCl3 溶液を加えて混合し、加水分解により水
酸化物を得た。乾燥した後、900℃で2時間仮焼し
た。得られた仮焼体にAl2 3 を0.2重量%添加
し、媒体攪拌ミルを用いて5時間、純水で湿式粉砕した
後、遠心分離装置を用いて実施例の半分の時間で水洗し
た。水洗後のスラリーを噴霧乾燥した。得られた粉末に
ついて、上記のとおり測定した。
【0038】比較例2 比較例1と同じスラリーにポリビニールアルコールを添
加し、よく攪拌し、噴霧乾燥した。乾燥した粉末は分級
装置で粗大粒を除去した。得られた粉末について、上記
のとおり測定し、成形性を評価した。
【0039】比較例3 ZrOCl2 溶液に、Y2 3 濃度として2.7モル%
となるようにYCl3溶液を、Al2 3 濃度として
0.4wt%となるようにAlCl3 溶液を加えて混合
し、熱分解法により酸化物を作製した。媒体攪拌ミルを
用いて2時間、純水で湿式粉砕した後、分級装置で微細
粒及び粗大粒を取り除き、限外ろ過装置を用い水洗し
た。水洗後のスラリーにポリビニールアルコールを添加
し、よく攪拌し、噴霧乾燥した。乾燥した粉末は分級装
置で粗大粒を除去した。得られた粉末について、上記の
とおり測定し、成形性を評価した。
【0040】比較例4 ZrOCl2 溶液にY2 3 濃度として3モル%となる
ようにYCl3 溶液を加えて混合し、水酸化ナトリウム
水溶液を加えて水酸化物を共沈させ、共沈物を水洗し、
乾燥した後、1100℃で60分間仮焼した。得られた
仮焼体にAl23 を0.3重量%添加し、媒体攪拌ミ
ルを用いて2時間、純水で湿式粉砕した後、分級装置で
微細粒及び粗大粒を取り除き、限外ろ過装置を用い水洗
した。水洗後のスラリーにポリビニールアルコール、ポ
リエチレングリコール、ステアリン酸、パラフィンワッ
クスを添加し、よく攪拌し、噴霧乾燥した。乾燥した粉
末は分級装置で粗大粒を除去した。得られた粉末につい
て、上記のとおり測定し、成形性を評価した。
【0041】なお、実施例の測定、評価結果は表1、表
2、表3、表4に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【発明の効果】本発明により、成形性が良く、焼結体の
強度、密度等の特性に優れた粉末を提供することができ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主たる成分がジルコニアである粉末で、
    スラリー化したときの電気伝導度が500μS/cm以
    下であることを特徴とするジルコニア粉末。
  2. 【請求項2】 ジルコニア原料がY2 3 及び/または
    CeO2 を0.1〜5モル%の範囲で含み、Al2 3
    を0.1〜1重量%の範囲で含むことを特徴とする請求
    項1に記載のジルコニア粉末。
  3. 【請求項3】 BET比表面積が6〜15m2 /gであ
    ることを特徴とする請求項1に記載のジルコニア粉末。
  4. 【請求項4】 二次粒子の平均粒径が0.3〜1.5μ
    mであることを特徴とする請求項1に記載のジルコニア
    粉末。
  5. 【請求項5】 スラリー化したときのpHが6〜9の範
    囲であることを特徴とする請求項1に記載のジルコニア
    粉末。
  6. 【請求項6】 篩上平均粒径が40〜80μmであり、
    嵩密度が0.8〜1.2g/ccであることを特徴とす
    る請求項1に記載のジルコニア粉末。
  7. 【請求項7】 添加剤として合成樹脂を用いることを特
    徴とする請求項1に記載のジルコニア粉末。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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