JP2001088151A - 塩化ビニル樹脂製手袋の製造法 - Google Patents
塩化ビニル樹脂製手袋の製造法Info
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Abstract
湿潤時においても着脱が容易で塵が発生せず、着用する
際の接触温冷感が少なく、かつ耐摩耗性、耐温水性にす
ぐれた塩化ビニル樹脂製手袋を得る。 【解決手段】 塩化ビニルゾル液に浸漬して表面に塩化
ビニル樹脂層を成膜した手型を、塩化ビニル樹脂に対し
て接着性を有する合成樹脂エマルジョンを主材とし、こ
の合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して
L−リジンと有機酸との反応物である平板状微粉末を2
〜30重量部、シリカ微粉末を1〜35重量部含有し、
かつ上記合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に
対する上記両微粉末の合計含有量を5〜30重量部と
し、さらに上記合成樹脂エマルジョンの固形分100重
量部に対して真球状架橋型有機化合物の微粉末を2〜1
5重量部配合した合成樹脂エマルジョン液に浸漬し、乾
燥して上記手型表面の塩化ビニル樹脂層上に合成樹脂エ
マルジョン膜を成膜したのち、反転脱型して塩化ビニル
樹脂製手袋を得る。
Description
発生がなく、また着用する際の接触温冷感も小さく、反
復使用時における耐温水性、耐人工汗性などの耐久性に
すぐれ、かつ手型からの反転脱型性にすぐれた塩化ビニ
ル製手袋の製造法に関するものである。
て、手型を塩化ビニル樹脂ゾル液に浸漬し、加熱によっ
てゲル化させて成膜したのち、タルク、炭酸カルシウム
などを水に均一に分散した溶液に再度浸漬し、余熱をも
って水を蒸発させたのち、約50℃で手型より反転脱型
する方法が一般的に広く行われている。
手への着脱が容易でなく、またタルク、炭酸カルシウム
などの粉体が手に付着して脱落するため、特に精密機械
作業では脱落した粉体が機械等に付着して不良発生の原
因となっている。
として、手型に塩化ビニル樹脂層を形成したのち、微粒
子シリカを均一に分散した合成樹脂エマルジョンで浸漬
処理する方法(特開昭60−119204号公報)、塩
化ビニル、アクリル樹脂、塩化ゴムを含有する表面処理
剤やウレタン樹脂を含有する表面処理剤にて浸漬処理す
る方法(特開昭63−235508号公報、特開平1−
221501号公報)、有機充填剤を配合した合成樹脂
エマルジョンで浸漬処理する方法(特開平4−1191
02号公報)、あるいはアクリル樹脂、水溶性メチルセ
ルロースエーテル、マイカ微粉末を配合した表面処理剤
で浸漬処理する方法(特開平7−145293号公報)
などが提案されている。
た何れの方法も、処理の際の200〜250℃、5〜1
0分の加熱工程で処理表面の艶が部分的に変化して商品
価値が低下したり、手型からの脱型が困難であったり、
また得られた手袋の特に湿潤時における着脱が困難であ
るほか、着用する際の接触温冷感(即ち、手袋と着用す
る手の体温との差により着用する際に冷たく感じるこ
と)が大きいという問題がある。さらには、着用時に耐
人工汗性、耐温水性などにより、成膜した表面の皮膜が
脱落したり、亀裂するなどの問題を有している。
解消して、表面滑性にすぐれていて特に湿潤時の着脱が
容易であり、かつ着用する際の接触温冷感が小さく、さ
らに着用時の耐人工汗性、耐温水性などにすぐれた塩化
ビニル樹脂製手袋の製造法を提供することを目的とする
ものである。
は、塩化ビニル樹脂に対して接着性を有する合成樹脂エ
マルジョンを主材とし、この合成樹脂エマルジョンの固
形分100重量部に対して、L−リジンと有機酸との反
応物である平板状微粉末を2〜30重量部、シリカ微粉
末を1〜35重量部含有し、かつ上記合成樹脂エマルジ
ョンの固形分100重量部に対する上記両微粉末の合計
含有量を5〜30重量部とし、さらに上記合成樹脂エマ
ルジョンの固形分100重量部に対して真球状架橋型有
機化合物の微粉末を2〜15重量部配合した合成樹脂エ
マルジョン液に、表面に塩化ビニル樹脂層を成膜した手
型を浸漬し、乾燥して上記手型の塩化ビニル樹脂層上に
合成樹脂エマルジョン膜を成膜したのち、反転脱型する
ことを特徴とするものである。
の発明において、L−リジンと有機酸との反応物である
平板状微粉末が長さ方向に1〜50μm、厚さ方向に
0.1〜10μmの平均粒径を有する白色結晶状の微粉
末であることを特徴とする。
の発明において、シリカ微粉末はその平均粒径が0.2
〜5μmであることを特徴とするものである。
の発明において、真球状の架橋型有機化合物の微粉末が
平均粒径10〜30μmを有することを特徴とする。
ル樹脂に対して接着性を有する合成樹脂エマルジョンを
皮膜形成主材とし、この合成樹脂エマルジョンの固形分
100重量部に対してL−リジンと有機酸との反応物で
ある平板状微粉末を2〜30重量部、シリカ微粉末を1
〜35重量部含有し、かつ上記合成樹脂エマルジョンの
固形分100重量部に対する上記両微粉末の合計量を5
〜30重量部とし、さらにさらに上記合成樹脂エマルジ
ョンの固形分100重量部に対して真球状の架橋型有機
化合物の微粉末を2〜15重量部配合した合成樹脂エマ
ルジョン液を用い、このエマルジョン液に表面に塩化ビ
ニル樹脂層を成膜した手型を所要時間浸漬してから引き
上げ、次いで乾燥することによって上記手型の塩化ビニ
ル樹脂層上に上記の微粉末を含有した合成樹脂エマルジ
ョン皮膜を成膜させるもので、該皮膜が滑性にすぐれて
いて湿潤時においても手への着脱が容易で塵が発生せ
ず、かつ着用する際の接触温冷感が小さく、着用時の耐
温水性、耐人工汗性など反復使用可能な耐久性を有する
手袋が得られるのである。また、得られた手袋の手型か
らの反転脱型性も良好である。
の反応物である平板状微粉末として、その平均粒径が長
さ方向に1〜50μm、厚さ方向に0.1〜10μm、
シリカ微粉末として平均粒径が0.2〜5μmのものを
用いることによって、さらに平均粒径10〜30μmの
真球状架橋型有機化合物の微粉末を用いることによっ
て、得られる皮膜の湿潤時の滑性がより良好な手袋を得
ることができる。
明する。まず、塩化ビニル樹脂に対して接着性を有する
この発明で皮膜形成主材として用いる合成樹脂エマルジ
ョンとしては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、
(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−塩
化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アク
リル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹
脂、ウレタン樹脂等の一種または二種以上の混合エマル
ジョンが用いられる。この合成樹脂エマルジョンの使用
に際しては、このエマルジョン液の粘度を調整して皮膜
形成能を高めるためには、例えば水溶性メチルセルロー
スエーテルやポリアクリル酸ソーダのような増粘剤を用
いればよく、このほか通常用いられる界面活性剤、消泡
剤、レベリング剤などの各種添加剤を添加することがで
きる。
滑性がより良好な手袋を得る目的で、充填剤としてL−
リジンと有機酸との反応物である平板状微粉末とシリカ
微粉末を用いるが、L−リジンと有機酸との反応物と
は、L−リジンとプロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ペン
タン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、コハク
酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン
酸、リノール酸、ラウリン酸、リノレン酸などの有機酸
との反応物であり、その中でもL−リジンとラウリン酸
との縮合反応物であるNε−ラウロイル−L−リジン
(アシルアミノ酸)が特に好ましい。
は白色結晶性の平板状粉末で、微細化が可能である。こ
の平板状微粉末は、長さ方向に対する厚さ方向の割合が
0.3以下の微粉末であり、その平均粒径は、長さ方向
において1〜50μm(好ましくは3〜40μm)、厚
さ方向において0.1〜10μm(好ましくは0.1〜
8μm)が適当である。これは、平板状微粉末の平均粒
径が、長さ方向において1μm、厚さ方向において0.
1μmより小さいと、皮膜を形成した手袋の着脱時に皮
膜の滑性に劣り、また長さ方向において50μm、厚さ
方向において10μmより大きくなると、微粉末の形状
が鱗片状で、かつ不定型であるために、手袋の着脱時に
指部に過度のザラツキ感を与えて好ましくないためであ
る。
5μmのものが使用される。そして、上記L−リジンと
有機酸との縮合反応物よりなる平板状微粉末とシリカ微
粉末は、この発明で皮膜形成主材として使用する合成樹
脂エマルジョン液100重量部に対して、それぞれ2〜
30重量部、1〜35重量部用いることができるが、両
微粉末の合計量としては、合成樹脂エマルジョン液10
0重量部に対して、5〜30重量部(好ましくは10〜
25重量部)を用いるのが適当である。合計量が5重量
部以下では、微粉末添加の効果が見られず、30重量部
を超えると、得られる皮膜表面が粗くなり過ぎて感触が
悪くなるとともに、その物性も低下する。
の縮合反応物よりなる平板状微粉末、シリカ微粉末とと
もに用いる真球状架橋型有機化合物の微粉末としては、
アクリル系、メタクリル系、ポリスチレン系、ポリエチ
レン系、ナイロン系、シリコーン系などの樹脂、または
尿素、メラミンあるいはベンゾグアナミンとホルムアル
デヒドとの縮合樹脂などが挙げられ、その平均粒径は1
0〜30μm(好ましくは15〜25μm)が適当であ
る。平均粒径が10μm以下では、得られる皮膜の表面
の凹凸がなくなって湿潤時の滑性が低下し、着脱性が悪
くなる。また、平均粒径が30μmより大きいと、得ら
れる皮膜の表面の凹凸が大きすぎて着脱時にザラザラし
た感じを与え、手袋として手へのフィット感が低下す
る。
型有機化合物の微粉末の添加量は、上記合成樹脂エマル
ジョン液100重量部に対して、2〜15重量部(好ま
しくは3〜13重量部)である。この量が2重量部より
少ないと、湿潤時の滑性が不十分となって湿潤時の着脱
性が低下し、15重量部より多く用いると、真球状架橋
型有機化合物の微粉末一部が着脱時に脱落する恐れがあ
る。
の縮合反応物よりなる平板状微粉末とシリカ微粉末、さ
らに真球状架橋型有機化合物の微粉末を上記した使用割
合にて併用することによって、得られる皮膜表面の凹
凸、艶消し状態を調整でき、湿潤時の着脱性やフィット
感をさらに向上させることができる。
に浸漬したのち、200〜250℃で8〜10分間加熱
することにより、表面に塩化ビニル樹脂層を成膜した手
型を、上記した長さ方向に1〜50μm、厚さ方向に
0.1〜10μmの平均粒径を有するL−リジンと有機
酸との縮合反応物よりなる白色結晶性の平板状微粉末
と、平均粒径0.2〜5μmのシリカ微粉末、さらに平
均粒径10〜30μmの真球状架橋型有機化合物の微粉
末の混合微粉末を均一に分散した合成樹脂エマルジョン
液中に約160〜180℃まで冷却させてからで浸漬
し、余熱を以て手型表面の塩化ビニル樹脂層上に上記合
成樹脂よりなる約0.3〜5μmの皮膜層を形成する。
その後、反転脱型することで塩化ビニル製手袋が得られ
る。なお、上記合成樹脂皮膜の形成は、表面に塩化ビニ
ル樹脂層を成膜した手型を約50〜80℃に冷却してか
ら合成樹脂エマルジョン液に浸漬し、引き上げ後に約1
80〜250℃に加熱する方法でもよく、かくして得ら
れた手袋は50〜70℃での手型からの反転脱型性が良
好であり、また手袋内表面に形成した皮膜が均一に適度
な凹凸を有していることから、湿潤時においても手指へ
の着脱が容易で、塵を発生することなく、かつ上記した
よう三者の混合微粉末が均一に分散した皮膜としたこと
で、着用する際の接触温冷感が小さく、着用時の耐温水
性、耐人工汗性、耐洗剤性がよく、皮膜の脱落やクラッ
クの発生も見られない。
る白色結晶性で平均粒径が長さ方向に1〜50μm、厚
さ方向に0.1〜10μmである平板状微粉末と、平均
粒径0.2〜5μmのシリカ微粉末、および平均粒径1
0〜30μmの真球状架橋型有機化合物の微粉末の混合
微粉末を充填剤として用いるこの発明は、L−リジンと
有機酸との縮合反応物よりなる平板状微粉末と真球状架
橋型有機化合物の微粉末とによる効果が大きく、ポリメ
チルメタクリレート、ナイロン、ポリカーボネート、ポ
リエチレンあるいはメラミン樹脂などの他の有機充填剤
を用いた場合に比べて、成膜時における200〜250
℃の高温でも融解することがないので、手型からの脱型
作業が容易であり、また外観変化による商品価値低下の
懸念がない。
る平板状微粉末は、形成された皮膜中に均一に分散して
おり、その形状が鱗片状であることから該微粉末が皮膜
から突出することもなく、またその一部は真球状架橋型
有機化合物の微粉末を被覆するので、真球状架橋型有機
化合物の微粉末によって形成される凸部の表面滑性も大
きくなり、より大きな滑性効果が得られる。また、従来
から充填剤として使用されている無機系のマイカ微粉末
に比べても、疎水性が高いこと、一接点当りの付着力が
大きいこと、などから滑性効果もより大であり、かつ接
触温冷感は小さく、得られた手袋の湿潤時における着用
にも違和感を感じさせない。
る。なお、部数は全て重量部である。 実施例1 塩化ビニルペーストレジン(日本ゼオン社製、商品名ゼ
オン121)100部にジオクチルフタレート(可塑
剤)110部、Ca−Ba−Zn(安定剤)3部、チタ
ン(着色剤)1部を均一に分散して得た塩化ビニルペー
ストゾル液に陶磁器製手型を10秒間浸漬して引き上
げ、塩化ビニルペーストゾルの滴下しない状態で200
〜250℃の加熱炉で10分間加熱して手型上に塩化ビ
ニル樹脂層を成膜した。
脂エマルジョン(固形分45%)40部、メタクリル酸
エステル共重合体(固形分45%)100部、ポリウレ
タン樹脂エマルジョン(固形分30%)100部、シリ
コーン樹脂エマルジョン(固形分30%)20部、長さ
方向の平均粒径20μm、厚さ方向の平均粒径4μmの
Nε−ラウロイル−L−リジン微粉末11部、平均粒径
2μmのシリカ微粉末11部、平均粒径20μmの真球
状架橋型ポリメチルメタクリレート(PMMA)微粉末
8部、水溶性メチルセルロースエーテル15部、ポリア
クリル酸ソーダ1部、消泡剤、レベリング剤を各1部お
よび蒸留水3370部を配合し、充分に撹拌分散させて
固形分濃度4%、30℃の粘度が50mPa・sである
合成樹脂エマルジョン混合液を調合した。
に塩化ビニル樹脂層を形成し、180℃まで冷却した手
型を約5秒間浸漬して塩化ビニル樹脂層上に合成樹脂層
を形成し、その後徐々にエマルジョン液から手型を引き
上げ、放冷した。手型温度が50℃程度に下がったとこ
ろで手型上に形成された皮膜を手型から反転脱型させて
塩化ビニル樹脂製手袋を得た。得られた手袋の物性テス
ト結果は表2に示した。
微粉末、シリカ微粉末などの配合量および真球状架橋型
有機化合物微粉末の種類とその粒径、配合量を表1に示
すように変えたほかは実施例1と同じような手順にて塩
化ビニル製手袋を得た。これらの手袋の物性テスト結果
は表2に示した。
6と同じであるが、Nε−ラウロイル−L−リジン微粉
末、シリカ微粉末、真球状架橋型有機化合物微粉末など
の充填剤の種類、平均粒径および配合量を表1に示すよ
うに変え、実施例1と同じような手順にて塩化ビニル製
手袋を得た。これらの手袋の物性テスト結果は表3に示
した。
られた手袋について行った物性テストの方法および評価
基準は次の通りである。
に準拠した市販の光沢計を用いて測定した。光沢が少な
いほど光沢値は低く表示される。
(カトーテック社製、KES−SE−DC)を用いて、
内表面の摩擦特性を測定した。内表面摩擦は、試料台上
に装着した試料片の上にシリコーンゴム製接触子を25
kpaの力で圧着させ、試料台を1mm/secの速度
で20mm水平に移動させ、その平均摩擦係数(MIU
という)として測定し、さらにその変動、即ち摩擦係数
μの平均偏差(MMDという)を測定した。これらの値
は、手袋内表面皮膜の引っかかり感を表しており、その
数値が小さい程、表面が滑らかで滑性の良好なことを示
している。なお、表2に示した内表面滑性のテストにお
ける乾燥時とは、試料を20℃×60%RH下に48時
間放置後に、同条件で上記の測定を行ったものであり、
また湿潤時とは、試料を0℃に10分間放置後、25℃
×80%RH下に20秒放置し、試料表面が結露したの
を確認したのち、直ちに20℃×60%RH下にて上記
の測定を行ったものである。
て次のように判定した。 適度:手袋内表面の凹凸に起因する違和感、不快感(擦
れによる痛み)はないが、着脱時には手袋内表面の凹凸
をザラツキとして捉えることができる状態をいう。 過大:着脱時、手袋内表面の凹凸に起因する違和感、不
快感(擦れによる痛み)がある状態をいう。 過少:着脱時、手袋内表面の凹凸感を触感として僅かに
感じる状態をいう。 なし:着脱時、手袋内表面が平滑で、全く凹凸感を感じ
ない状態をいう。
置(カトーテック社製、KES−F7、THERMO
LABO II TYPE)を用いて測定した。この装
置において、温冷感評価値(qmax 値という)は、面積
9cm2 、質量9.79gの純銅板に熱を貯え、これが
試料表面に接触した直後、貯えられた熱量が低温側の試
料物体に移動する熱流のピーク値を測定するもので、2
1℃×60%RH下に24時間放置した試料片に体温近
くの35℃に設定した純銅板を密着させた時の数値を、
人体の皮膚が物体に接触した時、即ち手袋を手に嵌めた
時の接触温冷感値とした。従って、このqmax 値が小さ
い程、手袋着用時に快適な感じといえるのである。
試料の処理面に摩擦布(カナキン5号)を200回往復
させ、処理面の傷つき度合いおよび皮膜の脱落を判定し
た。そして、異常なし・・・○、傷付き・・・△、皮膜
が剥がれ、さらに下層の塩化ビニル層まで傷のついたも
のを×として判定した。
24時間浸漬した後の、外観変化およびセロハンテープ
による密着テストで異常のないものを○、外観変化ある
いは密着の悪いものを×とした。
化ナトリウム5部、リン酸2−ナトリウム5部、85%
乳酸5部、D−パントテン酸ナトリウム5部、L−ヒス
チジン塩酸塩0.5部、DL−アスパラギン酸0.5部
を均一に溶解した30℃の人工汗水溶液に試料を24時
間浸漬した後に、外観変化およびセロハンテープによる
密着テストで、異常のないものを○、外観変化あるいは
密着の悪いものを×と判定した。
袋の物性テスト結果を示す表2および表3を考察する
と、内表面滑性テストでは、本実施例によるものは乾燥
時、湿潤時ともMIU値は比較例のものと大差ないが、
MMD値は比較例よりも低下している。これは、摩擦感
テスター(KES−SE−DC)において使用したシリ
コーンゴム接触子を指と考えると、手袋着脱時に軋ま
ず、スムースに着脱できることを表している。また、実
施例1と比較例1、6をみれば、Nε−ラウロイルL−
リジン微粉末と真球状架橋型PMMA微粉末の相互作用
によって実施例1の接触温冷感が大幅に改善されている
ことが確認された。これらの結果から、この発明で得ら
れた手袋は、比較例で得た手袋に比べて内表面の滑性、
表面のザラツキ感、接触温冷感が良好なことから着用快
適性にすぐれるほか、耐摩耗性以下の他の物性面でも良
好であり、製造時の反転脱型性もよい結果を示した。
リジンと有機酸との縮合反応物であって、長さ方向と厚
さ方向に特定した平均粒径を有する平板状微粉末と、シ
リカ微粉末および真球状架橋型有機化合物の微粉末の混
合微粉末を充填剤として配合した合成樹脂エマルジョン
液よりなる皮膜を手型の塩化ビニル樹脂層上に成膜する
ことで塩化ビニル製手袋を得るものであり、上記混合微
粉末の使用によって湿潤時においても手指への着脱が容
易で、着用する際の接触温冷感も少なくて着脱が極めて
快適容易であり、かつ耐摩耗性などの反復使用における
耐久性にもすぐれたものであり、家庭用のみならず、医
療用、精密機械作業用などとして広い分野で使用するこ
とができる。
Claims (4)
- 【請求項1】 塩化ビニル樹脂に対して接着性を有する
合成樹脂エマルジョンを主材とし、この合成樹脂エマル
ジョンの固形分100重量部に対して、L−リジンと有
機酸との反応物である平板状微粉末を2〜30重量部、
シリカ微粉末を1〜35重量部含有し、かつ上記合成樹
脂エマルジョンの固形分100重量部に対する上記両微
粉末の合計含有量を5〜30重量部とし、さらに上記合
成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して真球
状架橋型有機化合物の微粉末を2〜15重量部配合した
合成樹脂エマルジョン液に、表面に塩化ビニル樹脂層を
成膜した手型を浸漬し、乾燥して上記手型の塩化ビニル
樹脂層上に合成樹脂エマルジョン膜を成膜したのち、反
転脱型することを特徴とする塩化ビニル樹脂製手袋の製
造法。 - 【請求項2】 L−リジンと有機酸との反応物である平
板状微粉末が長さ方向に1〜50μm、厚さ方向に0.
1〜10μmの平均粒径を有する白色結晶状の微粉末で
あることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル樹脂
製手袋の製造法。 - 【請求項3】 シリカ微粉末はその平均粒径が0.2〜
5μmであることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビ
ニル樹脂製手袋の製造法。 - 【請求項4】 真球状架橋型有機化合物の微粉末はその
平均粒径が10〜30μmであることを特徴とする請求
項1に記載の塩化ビニル樹脂製手袋の製造法。
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JP (1) | JP4287550B2 (ja) |
Cited By (2)
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JP2006233350A (ja) * | 2005-02-23 | 2006-09-07 | Seikoh Chem Co Ltd | 塩化ビニル樹脂製手袋の製造方法 |
CN107955290A (zh) * | 2017-11-17 | 2018-04-24 | 中红普林(北京)医疗用品高新技术研究院有限公司 | 一种一次性pvc手套及其制备方法 |
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1999
- 1999-09-24 JP JP27064199A patent/JP4287550B2/ja not_active Expired - Fee Related
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