JP4287550B2 - 塩化ビニル樹脂製手袋の製造法 - Google Patents

塩化ビニル樹脂製手袋の製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は着脱が容易で塵の発生がなく、また着用する際の接触温冷感も小さく、反復使用時における耐温水性、耐人工汗性などの耐久性にすぐれ、かつ手型からの反転脱型性にすぐれた塩化ビニル樹脂製手袋の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、塩化ビニル樹脂製手袋の製造法として、手型を塩化ビニル樹脂ゾル液に浸漬し、加熱によってゲル化させて成膜したのち、タルク、炭酸カルシウムなどを水に均一に分散した溶液に再度浸漬し、余熱をもって水を蒸発させたのち、約50℃で手型より反転脱型する方法が一般的に広く行われている。
【0003】
上記の方法で得られる塩化ビニル樹脂製手袋は、手への着脱が容易でなく、またタルク、炭酸カルシウムなどの粉体が手に付着して脱落するため、特に精密機械作業では脱落した粉体が機械等に付着して不良発生の原因となっている。
【0004】
このような問題を解消する手袋の製造方法として、手型に塩化ビニル樹脂層を形成したのち、微粒子シリカを均一に分散した合成樹脂エマルジョンで浸漬処理する方法(特開昭60−119204号公報)、塩化ビニル、アクリル樹脂、塩化ゴムを含有する表面処理剤やウレタン樹脂を含有する表面処理剤にて浸漬処理する方法(特開昭63−235508号公報、特開平1−221501号公報)、有機充填剤を配合した合成樹脂エマルジョンで浸漬処理する方法(特開平4−119102号公報)、あるいはアクリル樹脂、水溶性メチルセルロースエーテル、マイカ微粉末を配合した表面処理剤で浸漬処理する方法(特開平7−145293号公報)などが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した何れの方法も、処理の際の200〜250℃、5〜10分の加熱工程で処理表面の艶が部分的に変化して商品価値が低下したり、手型からの脱型が困難であったり、また得られた手袋の特に湿潤時における着脱が困難であるほか、着用する際の接触温冷感(即ち、手袋と着用する手の体温との差により着用する際に冷たく感じること)が大きいという問題がある。さらには、着用時に耐人工汗性、耐温水性などにより、成膜した表面の皮膜が脱落したり、亀裂するなどの問題を有している。
【0006】
この発明は、上記した従来技術の問題点を解消して、表面滑性にすぐれていて特に湿潤時の着脱が容易であり、かつ着用する際の接触温冷感が小さく、さらに着用時の耐人工汗性、耐温水性などにすぐれた塩化ビニル樹脂製手袋の製造法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、塩化ビニル樹脂に対して接着性を有する合成樹脂エマルジョンを主材とし、この合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して、L−リジンと有機酸との反応物である平板状微粉末を2〜30重量部、シリカ微粉末を1〜35重量部含有し、かつ上記合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対する上記両微粉末の合計含有量を5〜30重量部とし、さらに上記合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して真球状架橋型有機化合物の微粉末を2〜15重量部配合した合成樹脂エマルジョン液に、表面に塩化ビニル樹脂層を成膜した手型を浸漬し、乾燥して上記手型の塩化ビニル樹脂層上に合成樹脂エマルジョン膜を成膜したのち、反転脱型することを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、L−リジンと有機酸との反応物である平板状微粉末が長さ方向に1〜50μm、厚さ方向に0.1〜10μmの平均粒径を有する白色結晶状の微粉末であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、シリカ微粉末はその平均粒径が0.2〜5μmであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、真球状の架橋型有機化合物の微粉末が平均粒径10〜30μmを有することを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、塩化ビニル樹脂に対して接着性を有する合成樹脂エマルジョンを皮膜形成主材とし、この合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対してL−リジンと有機酸との反応物である平板状微粉末を2〜30重量部、シリカ微粉末を1〜35重量部含有し、かつ上記合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対する上記両微粉末の合計量を5〜30重量部とし、さらに上記合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して真球状の架橋型有機化合物の微粉末を2〜15重量部配合した合成樹脂エマルジョン液を用い、このエマルジョン液に表面に塩化ビニル樹脂層を成膜した手型を所要時間浸漬してから引き上げ、次いで乾燥することによって上記手型の塩化ビニル樹脂層上に上記の微粉末を含有した合成樹脂エマルジョン皮膜を成膜させるもので、該皮膜が滑性にすぐれていて湿潤時においても手への着脱が容易で塵が発生せず、かつ着用する際の接触温冷感が小さく、着用時の耐温水性、耐人工汗性など反復使用可能な耐久性を有する手袋が得られるのである。また、得られた手袋の手型からの反転脱型性も良好である。
【0012】
また、上記においてL−リジンと有機酸との反応物である平板状微粉末として、その平均粒径が長さ方向に1〜50μm、厚さ方向に0.1〜10μm、シリカ微粉末として平均粒径が0.2〜5μmのものを用いることによって、さらに平均粒径10〜30μmの真球状架橋型有機化合物の微粉末を用いることによって、得られる皮膜の湿潤時の滑性がより良好な手袋を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
次に、この発明について詳細に説明する。まず、塩化ビニル樹脂に対して接着性を有するこの発明で皮膜形成主材として用いる合成樹脂エマルジョンとしては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂等の一種または二種以上の混合エマルジョンが用いられる。この合成樹脂エマルジョンの使用に際しては、このエマルジョン液の粘度を調整して皮膜形成能を高めるためには、例えば水溶性メチルセルロースエーテルやポリアクリル酸ソーダのような増粘剤を用いればよく、このほか通常用いられる界面活性剤、消泡剤、レベリング剤などの各種添加剤を添加することができる。
【0014】
この発明では、皮膜の滑性、特に湿潤時の滑性がより良好な手袋を得る目的で、充填剤としてL−リジンと有機酸との反応物である平板状微粉末とシリカ微粉末を用いるが、L−リジンと有機酸との反応物とは、L−リジンとプロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ラウリン酸、リノレン酸などの有機酸との反応物であり、その中でもL−リジンとラウリン酸との縮合反応物であるNε−ラウロイル−L−リジン(アシルアミノ酸)が特に好ましい。
【0015】
上記のL−リジンと有機酸との縮合反応物は白色結晶性の平板状粉末で、微細化が可能である。この平板状微粉末は、長さ方向に対する厚さ方向の割合が0.3以下の微粉末であり、その平均粒径は、長さ方向において1〜50μm(好ましくは3〜40μm)、厚さ方向において0.1〜10μm(好ましくは0.1〜8μm)が適当である。これは、平板状微粉末の平均粒径が、長さ方向において1μm、厚さ方向において0.1μmより小さいと、皮膜を形成した手袋の着脱時に皮膜の滑性に劣り、また長さ方向において50μm、厚さ方向において10μmより大きくなると、微粉末の形状が鱗片状で、かつ不定型であるために、手袋の着脱時に指部に過度のザラツキ感を与えて好ましくないためである。
【0016】
シリカ微粉末としては、平均粒径0.2〜5μmのものが使用される。そして、上記L−リジンと有機酸との縮合反応物よりなる平板状微粉末とシリカ微粉末は、この発明で皮膜形成主材として使用する合成樹脂エマルジョン液100重量部に対して、それぞれ2〜30重量部、1〜35重量部用いることができるが、両微粉末の合計量としては、合成樹脂エマルジョン液100重量部に対して、5〜30重量部(好ましくは10〜25重量部)を用いるのが適当である。合計量が5重量部以下では、微粉末添加の効果が見られず、30重量部を超えると、得られる皮膜表面が粗くなり過ぎて感触が悪くなるとともに、その物性も低下する。
【0017】
この発明で、上記のL−リジンと有機酸との縮合反応物よりなる平板状微粉末、シリカ微粉末とともに用いる真球状架橋型有機化合物の微粉末としては、アクリル系、メタクリル系、ポリスチレン系、ポリエチレン系、ナイロン系、シリコーン系などの樹脂、または尿素、メラミンあるいはベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合樹脂などが挙げられ、その平均粒径は10〜30μm(好ましくは15〜25μm)が適当である。平均粒径が10μm以下では、得られる皮膜の表面の凹凸がなくなって湿潤時の滑性が低下し、着脱性が悪くなる。また、平均粒径が30μmより大きいと、得られる皮膜の表面の凹凸が大きすぎて着脱時にザラザラした感じを与え、手袋として手へのフィット感が低下する。
【0018】
この平均粒径10〜30μmの真球状架橋型有機化合物の微粉末の添加量は、上記合成樹脂エマルジョン液100重量部に対して、2〜15重量部(好ましくは3〜13重量部)である。この量が2重量部より少ないと、湿潤時の滑性が不十分となって湿潤時の着脱性が低下し、15重量部より多く用いると、真球状架橋型有機化合物の微粉末一部が着脱時に脱落する恐れがある。
【0019】
この発明では、上記L−リジンと有機酸との縮合反応物よりなる平板状微粉末とシリカ微粉末、さらに真球状架橋型有機化合物の微粉末を上記した使用割合にて併用することによって、得られる皮膜表面の凹凸、艶消し状態を調整でき、湿潤時の着脱性やフィット感をさらに向上させることができる。
【0020】
この発明の方法は、塩化ビニル樹脂ゾル液に浸漬したのち、200〜250℃で8〜10分間加熱することにより、表面に塩化ビニル樹脂層を成膜した手型を、上記した長さ方向に1〜50μm、厚さ方向に0.1〜10μmの平均粒径を有するL−リジンと有機酸との縮合反応物よりなる白色結晶性の平板状微粉末と、平均粒径0.2〜5μmのシリカ微粉末、さらに平均粒径10〜30μmの真球状架橋型有機化合物の微粉末の混合微粉末を均一に分散した合成樹脂エマルジョン液中に約160〜180℃まで冷却させてから浸漬し、余熱を以て手型表面の塩化ビニル樹脂層上に上記合成樹脂よりなる約0.3〜5μmの皮膜層を形成する。その後、反転脱型することで塩化ビニル樹脂製手袋が得られる。なお、上記合成樹脂皮膜の形成は、表面に塩化ビニル樹脂層を成膜した手型を約50〜80℃に冷却してから合成樹脂エマルジョン液に浸漬し、引き上げ後に約180〜250℃に加熱する方法でもよく、かくして得られた手袋は50〜70℃での手型からの反転脱型性が良好であり、また手袋内表面に形成した皮膜が均一に適度な凹凸を有していることから、湿潤時においても手指への着脱が容易で、塵を発生することなく、かつ上記したよう三者の混合微粉末が均一に分散した皮膜としたことで、着用する際の接触温冷感が小さく、着用時の耐温水性、耐人工汗性、耐洗剤性がよく、皮膜の脱落やクラックの発生も見られない。
【0021】
L−リジンと有機酸との縮合反応物よりなる白色結晶性で平均粒径が長さ方向に1〜50μm、厚さ方向に0.1〜10μmである平板状微粉末と、平均粒径0.2〜5μmのシリカ微粉末、および平均粒径10〜30μmの真球状架橋型有機化合物の微粉末の混合微粉末を充填剤として用いるこの発明は、L−リジンと有機酸との縮合反応物よりなる平板状微粉末と真球状架橋型有機化合物の微粉末とによる効果が大きく、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンあるいはメラミン樹脂などの他の有機充填剤を用いた場合に比べて、成膜時における200〜250℃の高温でも融解することがないので、手型からの脱型作業が容易であり、また外観変化による商品価値低下の懸念がない。
【0022】
L−リジンと有機酸との縮合反応物よりなる平板状微粉末は、形成された皮膜中に均一に分散しており、その形状が鱗片状であることから該微粉末が皮膜から突出することもなく、またその一部は真球状架橋型有機化合物の微粉末を被覆するので、真球状架橋型有機化合物の微粉末によって形成される凸部の表面滑性も大きくなり、より大きな滑性効果が得られる。また、従来から充填剤として使用されている無機系のマイカ微粉末に比べても、疎水性が高いこと、一接点当りの付着力が大きいこと、などから滑性効果もより大であり、かつ接触温冷感は小さく、得られた手袋の湿潤時における着用にも違和感を感じさせない。
【0023】
【実施例】
以下、この発明を実施例により詳細に説明する。なお、部数は全て重量部である。
実施例1
塩化ビニルペーストレジン(日本ゼオン社製、商品名ゼオン121)100部にジオクチルフタレート(可塑剤)110部、Ca−Ba−Zn(安定剤)3部、チタン(着色剤)1部を均一に分散して得た塩化ビニルペーストゾル液に陶磁器製手型を10秒間浸漬して引き上げ、塩化ビニルペーストゾルの滴下しない状態で200〜250℃の加熱炉で10分間加熱して手型上に塩化ビニル樹脂層を成膜した。
【0024】
次いで、表1に示すように、塩化ビニル樹脂エマルジョン(固形分45%)40部、メタクリル酸エステル共重合体(固形分45%)100部、ポリウレタン樹脂エマルジョン(固形分30%)100部、シリコーン樹脂エマルジョン(固形分30%)20部、長さ方向の平均粒径20μm、厚さ方向の平均粒径4μmのNε−ラウロイル−L−リジン微粉末11部、平均粒径2μmのシリカ微粉末11部、平均粒径20μmの真球状架橋型ポリメチルメタクリレート(PMMA)微粉末8部、水溶性メチルセルロースエーテル15部、ポリアクリル酸ソーダ1部、消泡剤、レベリング剤を各1部および蒸留水3370部を配合し、充分に撹拌分散させて固形分濃度4%、30℃の粘度が50mPa・sである合成樹脂エマルジョン混合液を調合した。
【0025】
この混合エマルジョン液中に、上記で表面に塩化ビニル樹脂層を形成し、180℃まで冷却した手型を約5秒間浸漬して塩化ビニル樹脂層上に合成樹脂層を形成し、その後徐々にエマルジョン液から手型を引き上げ、放冷した。手型温度が50℃程度に下がったところで手型上に形成された皮膜を手型から反転脱型させて塩化ビニル樹脂製手袋を得た。得られた手袋の物性テスト結果は表2に示した。
【0026】
実施例2〜6
合成樹脂エマルジョン、Nε−ラウロイル−L−リジン微粉末、シリカ微粉末などの配合量および真球状架橋型有機化合物微粉末の種類とその粒径、配合量を表1に示すように変えたほかは実施例1と同じような手順にて塩化ビニル樹脂製手袋を得た。これらの手袋の物性テスト結果は表2に示した。
【0027】
比較例1〜6
合成樹脂エマルジョンの種類と使用量は実施例1、2、6と同じであるが、Nε−ラウロイル−L−リジン微粉末、シリカ微粉末、真球状架橋型有機化合物微粉末などの充填剤の種類、平均粒径および配合量を表1に示すように変え、実施例1と同じような手順にて塩化ビニル樹脂製手袋を得た。これらの手袋の物性テスト結果は表3に示した。
【0028】
上記実施例1〜5および比較例1〜6で得られた手袋について行った物性テストの方法および評価基準は次の通りである。
【0029】
(1)60°光沢値:JIS Z8741に準拠した市販の光沢計を用いて測定した。光沢が少ないほど光沢値は低く表示される。
【0030】
(2)手袋内表面の滑性:摩擦感テスター(カトーテック社製、KES−SE−DC)を用いて、内表面の摩擦特性を測定した。内表面摩擦は、試料台上に装着した試料片の上にシリコーンゴム製接触子を25kpaの力で圧着させ、試料台を1mm/secの速度で20mm水平に移動させ、その平均摩擦係数(MIUという)として測定し、さらにその変動、即ち摩擦係数μの平均偏差(MMDという)を測定した。これらの値は、手袋内表面皮膜の引っかかり感を表しており、その数値が小さい程、表面が滑らかで滑性の良好なことを示している。
なお、表2に示した内表面滑性のテストにおける乾燥時とは、試料を20℃×60%RH下に48時間放置後に、同条件で上記の測定を行ったものであり、また湿潤時とは、試料を0℃に10分間放置後、25℃×80%RH下に20秒放置し、試料表面が結露したのを確認したのち、直ちに20℃×60%RH下にて上記の測定を行ったものである。
【0031】
(3)内表面のザラツキ感:指触感によって次のように判定した。
適度:手袋内表面の凹凸に起因する違和感、不快感(擦れによる痛み)はないが、着脱時には手袋内表面の凹凸をザラツキとして捉えることができる状態をいう。
過大:着脱時、手袋内表面の凹凸に起因する違和感、不快感(擦れによる痛み)がある状態をいう。
過少:着脱時、手袋内表面の凹凸感を触感として僅かに感じる状態をいう。
なし:着脱時、手袋内表面が平滑で、全く凹凸感を感じない状態をいう。
【0032】
(4)接触温冷感:精密迅速熱物性測定装置(カトーテック社製、KES−F7、THERMO LABO II TYPE)を用いて測定した。この装置において、温冷感評価値(qmax 値という)は、面積9cm2 、質量9.79gの純銅板に熱を貯え、これが試料表面に接触した直後、貯えられた熱量が低温側の試料物体に移動する熱流のピーク値を測定するもので、21℃×60%RH下に24時間放置した試料片に体温近くの35℃に設定した純銅板を密着させた時の数値を、人体の皮膚が物体に接触した時、即ち手袋を手に嵌めた時の接触温冷感値とした。従って、このqmax 値が小さい程、手袋着用時に快適な感じといえるのである。
【0033】
(5)耐摩耗性:学振式摩耗試験機により試料の処理面に摩擦布(カナキン5号)を200回往復させ、処理面の傷つき度合いおよび皮膜の脱落を判定した。
そして、異常なし・・・○、傷付き・・・△、皮膜が剥がれ、さらに下層の塩化ビニル層まで傷のついたものを×として判定した。
【0034】
(6)耐温水性:50℃の温水中に試料を24時間浸漬した後の、外観変化およびセロハンテープによる密着テストで異常のないものを○、外観変化あるいは密着の悪いものを×とした。
【0035】
(7)耐人工汗性:1000ccの水に塩化ナトリウム5部、リン酸2−ナトリウム5部、85%乳酸5部、D−パントテン酸ナトリウム5部、L−ヒスチジン塩酸塩0.5部、DL−アスパラギン酸0.5部を均一に溶解した30℃の人工汗水溶液に試料を24時間浸漬した後に、外観変化およびセロハンテープによる密着テストで、異常のないものを○、外観変化あるいは密着の悪いものを×と判定した。
【0036】
【表1】
Figure 0004287550
【0037】
【表2】
Figure 0004287550
【0038】
【表3】
Figure 0004287550
【0039】
実施例1〜5および比較例1〜6で得た手袋の物性テスト結果を示す表2および表3を考察すると、内表面滑性テストでは、本実施例によるものは乾燥時、湿潤時ともMIU値は比較例のものと大差ないが、MMD値は比較例よりも低下している。これは、摩擦感テスター(KES−SE−DC)において使用したシリコーンゴム接触子を指と考えると、手袋着脱時に軋まず、スムースに着脱できることを表している。また、実施例1と比較例1、6をみれば、Nε−ラウロイルL−リジン微粉末と真球状架橋型PMMA微粉末の相互作用によって実施例1の接触温冷感が大幅に改善されていることが確認された。
これらの結果から、この発明で得られた手袋は、比較例で得た手袋に比べて内表面の滑性、表面のザラツキ感、接触温冷感が良好なことから着用快適性にすぐれるほか、耐摩耗性以下の他の物性面でも良好であり、製造時の反転脱型性もよい結果を示した。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は、L−リジンと有機酸との縮合反応物であって、長さ方向と厚さ方向に特定した平均粒径を有する平板状微粉末と、シリカ微粉末および真球状架橋型有機化合物の微粉末の混合微粉末を充填剤として配合した合成樹脂エマルジョン液よりなる皮膜を手型の塩化ビニル樹脂層上に成膜することで塩化ビニル製手袋を得るものであり、上記混合微粉末の使用によって湿潤時においても手指への着脱が容易で、着用する際の接触温冷感も少なくて着脱が極めて快適容易であり、かつ耐摩耗性などの反復使用における耐久性にもすぐれたものであり、家庭用のみならず、医療用、精密機械作業用などとして広い分野で使用することができる。

Claims (4)

  1. 塩化ビニル樹脂に対して接着性を有する合成樹脂エマルジョンを主材とし、この合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して、L−リジンと有機酸との反応物である平板状微粉末を2〜30重量部、シリカ微粉末を1〜35重量部含有し、かつ上記合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対する上記両微粉末の合計含有量を5〜30重量部とし、さらに上記合成樹脂エマルジョンの固形分100重量部に対して真球状架橋型有機化合物の微粉末を2〜15重量部配合した合成樹脂エマルジョン液に、表面に塩化ビニル樹脂層を成膜した手型を浸漬し、乾燥して上記手型の塩化ビニル樹脂層上に合成樹脂エマルジョン膜を成膜したのち、反転脱型することを特徴とする塩化ビニル樹脂製手袋の製造法。
  2. L−リジンと有機酸との反応物である平板状微粉末が長さ方向に1〜50μm、厚さ方向に0.1〜10μmの平均粒径を有する白色結晶状の微粉末であることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル樹脂製手袋の製造法。
  3. シリカ微粉末はその平均粒径が0.2〜5μmであることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル樹脂製手袋の製造法。
  4. 真球状架橋型有機化合物の微粉末はその平均粒径が10〜30μmであることを特徴とする請求項1に記載の塩化ビニル樹脂製手袋の製造法。
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