JP2001081772A - 切土補強土工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、切土補強土工法に関し、法面の表
層にプレストレスを導入して地山の安定を図ることが出
来るようにすることが課題である。 【解決手段】 法面１に削孔した孔３にグラウト材を充
填した後、該孔３内に地山安定化用の硬質パイプ７を挿
入し、該パイプの中にテンドン９を挿入した後にグラウ
ト材を養生し、当該法面１に格子状の法枠体を敷設し、
プレート１１を配置してテンドン９の頭部を緊張定着さ
せて、テンドン９を緊張して法枠体を法面１に押圧する
ことが可能となる切土補強土工法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、急勾配の法面にお
いてその表層の崩落を防止する切土補強土工法であっ
て、ＰＣ鋼より線からなるテンドンにプレストレスを導
入し、表層の崩落を防止する切土補強土工法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、法面における表層の崩落を防止す
るロックボルト併用吹付法枠工は、図６に示すように、
地山の法面１において格子状の交点に孔３を削孔し、該
孔３にグラウト材６を充填し、そして異形鉄筋１６を挿
入して養生し、吹付け法枠工で受圧版１７を形成して前
記異形鉄筋１６の頭部にナット１２を締結して当該受圧
版１７に定着させ、防錆用に保護キャップ１３を取り付
けるものである。

【０００３】このような異形鉄筋によるロックボルト併
用吹付法枠工により、異形鉄筋及びコンクリート構造物
を法面に設けて、地山における法面の表層の崩落を防止
するものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ロ
ックボルト併用吹付法枠工法では、ほとんど異形鉄筋１
６にプレストレスを導入していない。

【０００５】よって、法面に敷設する格子状のコンクリ
ート製法枠体を当該法面に強く押圧するものとなってい
ないことから、崩落を防ぐためにロックボルトの設置本
数が多くなってコストが嵩み工期も長くなるという課題
がある。本発明に係る切土補強土工法は、このような課
題を解消するために提案されるものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る切土補強土
工法の上記課題を解決するための要旨は、法面に削孔し
た孔にグラウト材を充填した後、該孔内に地山安定化用
の硬質パイプを挿入し、該パイプの中にテンドンを挿入
した後にグラウト材を養生し、当該法面に格子状の法枠
体を敷設し、プレートを配置してテンドンの頭部を緊張
定着させて、法枠体を法面に押圧することが可能である
ことである。

【０００７】本発明に係る切土補強土工法によれば、削
孔された孔に挿入した硬質パイプにより基本的に地山の
安定化を図り、ＰＣ鋼より線から成るテンドンを緊張さ
せプレート及び法枠体を地山に押圧することによって、
地山の安定化が更に向上する。

【０００８】

【発明の実施の形態】次に、本発明に係る切土補強土工
法について図面を参照して説明する。なお、発明の理解
の容易のため従来例に対応する部分には従来例と同一符
号を付けて説明する。

【０００９】本発明の切土補強土工法を図１乃至図４を
参照して説明すると、まず、図１（イ）に示すように、
地山の法面１に崩落防止用のネット２（例えば、ワイヤ
ラス、鉄筋メッシュ、エキスパンドメタル等）を補助ア
ンカー２ａで押さえつけて敷設する。

【００１０】次ぎに、法面１の格子状の交点となる所定
位置に孔３（例えば、孔径９０ｍｍ、深さ３〜５ｍ程
度）を削孔し（図１（ロ））、筒状のケーシング４を残
置させる。

【００１１】そして、図１（ハ）に示すように、孔３内
に注入パイプ５から、又は、孔口からグラウト材６を充
填する。

【００１２】その後、図２（イ）に示すように、孔３内
に鋼製等の金属製の筒状硬質パイプ７を挿入する。この
パイプ７の一例としては、呼び径が４０ｍｍで、肉厚が
３．５ｍｍで、長さが２．５ｍ〜４．５ｍ程度の鋼管で
ある。

【００１３】前記パイプ７の外周部には、孔壁面との間
隙を一定に保つスペーサ８が設けられている。

【００１４】図２（ロ）に示すように、前記パイプ７内
にＰＣ鋼より線からなるテンドン９を挿入する。テンド
ン９の頭部は、法面１から外部に突出している。該頭部
には、ＰＣ鋼より線の端部を固着する金属製筒状マンシ
ョン９ｂの外周部に刻設されたネジ部９ａが設けられて
いる。

【００１５】図３に示すように、孔３からケーシング４
を引き抜いてグラウト材６を養生する。

【００１６】前記テンドン９の頭部にジャッキ等で所定
の緊張力を付加し、図４に示すように、定着ナット１２
を締め込んで、前記法枠体を法面１へ押圧し、地山に付
加的なプレストレスを導入する。その後、前記頭部にキ
ャップを被せて防錆処理する。

【００１７】このように、前記テンドン９は、地山の安
定化のために設けられるのではなく、プレート１１を介
して法枠体を法面に押圧して地山にプレストレスを導入
することが目的である。

【００１８】なお、前記テンドン９として、モノストラ
ンドを適用している場合には、プレート１１に定着させ
る方法として、クサビ（半割ウエッジ）を使用して定着
させたり、ストランド端部に固着したマンションのネジ
部にナットを定着させたりして施工するものである。

【００１９】また、法枠体としては、図５（イ）に示す
ように、型枠を組んで鉄筋を配筋し、吹付コンクリート
で格子状のコンクリート構造体１８を作ることで、法枠
体とするものであり、このコンクリート構造体１８が、
テンドン９を定着させる受圧版ともなるものである。な
お、図５（ロ）に示すように、格子状のワイヤー１０で
法枠を構成する場合もある。

【００２０】このようにして、図４に示すように、地山
の表層の崩落を防止するロックボルトを硬質パイプ７と
して地山の安定化を図り、更に、ＰＣ鋼より線からなる
テンドン９を孔３に設置して緊張材とし、プレート１１
を押圧することで、図５（イ）、（ロ）に示すように、
格子状のコンクリート構造体１８、若しくは、格子状の
ワイヤー１０を法面１に押圧し、地山に付加的プレスト
レスを導入するものである。

【００２１】図４に示すように、前記テンドン９の中間
部分から先端部分（孔３の奧側）にかけては、ストラン
ドが露出してグラウト材６と密着しており、地山に固定
・定着される。この定着部分はパイプ７によって囲繞さ
れているので、地山の地下水の浸透が防止されて錆の発
生も抑制されている。

【００２２】また、テンドン９の中間部分から頭部（地
上部分）にかけては、スライドパイプ１４と端部シース
１５とで、ストランドがカバーされていて、ストランド
における自由長部分となって、ジャッキ等で引張って緊
張させることができる。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る切土
補強土工法は、法面に削孔した孔にグラウト材を充填し
た後、該孔内に地山安定化用の硬質パイプを挿入し、該
パイプの中にＰＣ鋼より線のテンドンを挿入した後にグ
ラウト材を養生し、当該法面に格子状の法枠体を敷設
し、プレートを配置してテンドンの頭部を緊張定着させ
て、テンドンを緊張して法枠体を法面に押圧することが
可能なので、前記テンドンで緊張力の付加が可能となっ
て、地山に付加的プレストレスが導入され、硬質パイプ
数が全体的に減数されてコスト低減と工期短縮となり、
更に全面緑化が可能となるという優れた効果を奏するも
のである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る切土補強土工法を説明する説明図
（イ）、（ロ）、（ハ）である。

【図２】同本発明に係る切土補強土工法を説明する説明
図（イ）、（ロ）である。

【図３】同本発明に係る切土補強土工法を説明する説明
図である。

【図４】同本発明に係る切土補強土工法の実施状体を示
す断面図である。

【図５】同本発明に係る切土補強土工法において、コン
クリート構造体の法枠による法面の正面図（イ）、とワ
イヤーの法枠による法面の正面図（ロ）である。

【図６】従来例に係るロックボルト併用吹付法枠工の説
明図である。

【符号の説明】

１ 法面、２ ネット、３ 孔、４ ケーシング、５
注入パイプ、６ グラウト材、７ パイプ、８ スペー
サ、９ テンドン、９ａ ネジ部、９ｂ マンション、
１０ ワイヤー、１１ プレート、１２ 定着ナット、
１３ キャップ、１４ スライドパイプ、１５ 端部シ
ース。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】法面に削孔した孔にグラウト材を充填した
   後、該孔内に地山安定化用の硬質パイプを挿入し、該パ
   イプの中にテンドンを挿入した後にグラウト材を養生
   し、当該法面に格子状の法枠体を敷設し、プレートを配
   置してテンドンの頭部を緊張定着させて、テンドンを緊
   張して法枠体を法面に押圧することが可能であること、 を特徴とする切土補強土工法。