JP2739562B2 - アンカー定着体及びその製造方法並びにアンカー組立方法 - Google Patents

アンカー定着体及びその製造方法並びにアンカー組立方法

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JP2739562B2 JP18773794A JP18773794A JP2739562B2 JP 2739562 B2 JP2739562 B2 JP 2739562B2 JP 18773794 A JP18773794 A JP 18773794A JP 18773794 A JP18773794 A JP 18773794A JP 2739562 B2 JP2739562 B2 JP 2739562B2
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甲一 小牟禮
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、引張型アンカーの定着
体に関し、特に定着長部における引張応力の集中に起因
するクラック発生を防止できるアンカー定着体及びその
製造方法、並びに当該アンカー定着体を用いたアンカー
の組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アンカー及びアンカー工法は、近年、斜
面の安定、土木・建築構造物の基礎や補強等の永久アン
カーとしての用途が増加している。
【0003】アンカーは、一般的に自由長部と定着長部
を有し、自由長部は引張力に対して引張材が自由に伸張
する部分であり、定着長部はその周囲にグラウト硬化剤
を注入することにより掘削孔の周囲地盤に定着される部
分である。引張材すなわちアンカー鋼材としては、通
常、PC鋼棒又はPC鋼より線が用いられている。
【0004】定着長部における引張力の伝達メカニズム
の違いから引張型のアンカーと圧縮型のアンカーに大き
く分類されている。いずれの型のアンカーも引張材への
引張力が摩擦抵抗を介して引張材からグラウト、地盤へ
と伝達される。
【0005】図5は、一般的な引張型アンカー10の構
造概略図である。図5(a)は全体の縦断面図であり、
図5(b)は定着長部の横断面図である。引張材である
アンカー鋼材12は中心部に通され、その自由長部は張
力に対して自由に伸張することができる一方、定着長部
は地盤に固定されている。定着長部は、通常、アンカー
鋼材12とコルゲートシース管14等のシース材とを具
備し、アンカー鋼材12とシース管14の間及びシース
管14と地盤16との間にグラウト18を注入すること
により固定される。通常、上記のシース管14は、後述
のように主に外部からの水等の有害物質の浸入を防ぐた
めに設けられる。また、シース管の表面形状は、グラウ
ト18との固着性を強化するために、例えば凹凸を設け
る等の工夫もなされている。
【0006】通常、定着長部におけるアンカー鋼材を取
り囲んでアンカー鋼材を地盤に対して定着させる構造体
をアンカー定着体又はアンカー体と称する。アンカー定
着体は、シース管のある場合は、そのシース管と当該シ
ース管の内外の空間に注入された管状グラウトと含めて
指す。シース管のない場合は、管状のグラウト固結体に
相当する。また、アンカー定着体の形成方法としては、
先ずアンカーにおけるグラウト部分以外の構造部品を地
上において予め組立て、その後、現場において掘削孔に
これを挿入し、必要部分にグラウトを注入して完成され
る。
【0007】一般的なアンカーにおける問題点は、引張
材を緊張させた場合に引張応力による変形又は応力集中
のためにグラウトにクラックが発生することである。ク
ラックに対しては、シース管を設けていることにより外
部からの水等の有害物質の浸入を防止している。応力集
中のために引張材とグラウトとの固着又はシース管内外
面とグラウトとの固着が切断されたりする可能性もあ
る。グラウトが応力に耐えられずクラックを生じてしま
う原因は、引張応力が定着長部全体に均等に分散せず一
部に集中するためと、引張材の伸びに伴う引張応力の発
生による。
【0008】図4は、アンカーの引張材に張力を掛けた
場合の、定着長部における摩擦応力分布を示したもので
ある。引張材に張力がかかると初期段階でIで示すよう
に自由長部に近い部分に応力が集中する。そして順次こ
の応力はII及びIIIで示すように掘削孔底部へ移動し端
に到達する。これは、引張材に張力がかかったときの引
張材の弾性的な変位すなわち伸びが、先ずIで発生し、
II、IIIへと伝わっていくことに対応している。引張力
に対して、瞬時に伸びが定着長部の引張材全体に伝わら
ないのは、引張材が固結したグラウトとしっかり固着さ
れているためである。従って、常に一部に応力が集中す
る状態となるため、定着長部全体が抵抗力すなわち定着
力に寄与する状態が得られない。
【0009】上記の応力集中によるクラック発生及びこ
れに起因する引張材の腐食に対しては、これまでいくつ
かの対策が提示されている。主なものとして、クラック
の発生を低減する構成とすること、クラックが発生して
も水等の有害物質が浸入しないようにシース管等を設け
ること、そしてシース管を設ける場合においてはシース
管とグラウトとの付着力を強化することなどがある。さ
らに、応力集中自体を回避して応力を分散させるための
構成も提示されている。
【0010】現在では、前述のように定着長部にステン
レス又は合成樹脂によるシース管を設けた二重構造とす
るものが多くなっており、このシース管とグラウトとの
結合強化を図るために特殊な構造のシース管を設けた例
としては、特公昭第55−15569号、特公平第3−
40766号及び実公平第3ー24665号がある。
【0011】これらの特許出願又は実用新案登録出願
は、シース管の内外面の一方又は双方に種々の形状の凹
凸構造を設けることによりシース管とグラウトとの固着
力を強化している。しかしながら、シース管とグラウト
との結合強化を課題とするこれらの出願は、応力集中自
体を解決するものではなく、また引張材とグラウト間の
結合におけるクラック発生については考慮されていな
い。従って、応力集中による引張材周囲のグラウトのク
ラックの進行により引張材が抜けてしまうことが考えら
れる。
【0012】また、応力集中自体を解消して応力を分散
させようとした例としては、特公平第5−30932
号、特開平第4−344911号及び特開平第5−33
338号がある。特公平第5−30932号は、定着長
部に数カ所のUターン部を設け、各Uターン部に掛けた
鋼線を順次緊張させることにより、応力を分散してい
る。この構造は、アンカー体に圧縮応力が掛かることか
らアンカー体にひび割れが発生しにくい。これは圧縮分
散型アンカーといわれている。
【0013】他の応力分散手段としては、上記特公平第
5−30932号の別の実施例又は特開平第5−333
38号におけるように複数の引張材の先端位置をずらし
て配置することにより全体として応力が集中しないよう
にしたものがある。しかしながらこの構造も、1本の鋼
線についてみれば応力集中が回避されているわけではな
く、やはり鋼線とグラウト間の結合におけるクラック発
生については考慮されていない。また、前記のUターン
構造及びこの鋼線先端位置をずらす構造は、構造配置も
複雑であるが、さらに鋼線に張力を掛ける際は順序に厳
格に従って行わなければならず工程が複雑である。
【0014】また、特開平第4−343911号では、
シース管を長さ方向において分割し各分割シース管の間
を伸縮可能なジョイントシースで繋ぐ構造を提示してい
る。これにより各分割シース管が独立したシース管とし
て働くためシース管周囲のグラウトの応力を分散させ
る。しかしながら、この場合も引張材とグラウトとの間
の結合は従来と変わらないため、この部分での応力集中
は回避されない。
【0015】さらに、特公平第1−37533号では、
定着長部へのグラウト注入を何段階かに分けて部分的に
行い、各段階毎に引張材を緊張させてプレストレスを与
えることにより各段階に応力が分散するようにした工法
を提示している。この工法は、応力分散効果は期待でき
るが工程が複雑でありかつ非常に時間がかかるという欠
点がある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた従来技術に
おいては、クラックによる浸水防止のため合成樹脂又は
ステンレスなど耐食性材料によりアンカー鋼材全体をシ
ールする二重構造となっているものが多い。そしてシー
ス管を介したグラウトとの結合強化を図ることでさらに
耐久性を向上させようとするものがほとんどである。ま
た、応力集中自体を回避して分散させようとするものに
ついても構造や工程が複雑である。
【0017】本発明の目的は、引張材の引張力による摩
擦応力を抑制するアンカー定着体及びその製造方法を提
供することであり、さらに本発明によるアンカー定着体
を用いて効率的にアンカーを組立てる方法を提供するこ
とである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の本発明の目的は、
以下の構成により実現される。
【0019】(1)定着長部を地盤との間のグラウト固
結体により定着させかつ自由長部の地上端にて引張材を
張力負荷状態で固定するアンカーにおけるアンカー定着
体であって、前記アンカーの長尺方向に予め緊張力をか
けた鋼線材を内部に設けることにより圧縮応力を付与さ
れたプレストレストコンクリート(PC)から形成され
ることを特徴とするPC構造アンカー定着体である。
【0020】(2)上記(1)に記載のアンカー定着体
において、前記プレストレストコンクリートがさらに網
状又は螺旋状の補強部材を内部に有することを特徴とす
るPC構造アンカー定着体である。
【0021】(3)上記(1)又は(2)のいずれかに
記載のアンカー定着体において、該アンカー定着体の外
周面に網状又は螺旋状の凹凸を設けることを特徴とする
PC構造アンカー定着体である。
【0022】(4)定着長部を地盤との間のグラウト固
結体により定着させかつ自由長部の地上端にて引張材を
張力負荷状態で固定するアンカーにおけるアンカー定着
体を製造する方法であって、前記アンカー定着体外形状
を形成するための型枠を設置し、前記型枠内に管状の中
空を確保するためのボイド管を設置し、前記型枠と前記
ボイド管との間の空間に複数のPC鋼材を一定間隔に配
置し、前記PC鋼材に緊張力をかけかつその状態を保持
し、前記型枠と前記ボイド管との間の空間にコンクリー
トを充填し硬化させた後、前記緊張力を解放し前記型枠
を除去することにより予め圧縮応力を付与されたプレス
トレスト・コンクリートから形成されることを特徴とす
るPC構造アンカー定着体製造方法である。
【0023】(5)上記(4)に記載のPC構造アンカ
ー定着体製造方法において、さらに所定の長さに切断し
た後、アンカー組立に供することを特徴とするPC構造
アンカー定着体製造方法である。
【0024】(6)上記(4)又は上記(5)のいずれ
かに記載の方法により製造されたPC構造アンカー定着
体を用いてアンカーを組立てる方法であって、前記PC
構造アンカー定着体に引張材となる所定の本数のPC鋼
より線を挿入したのち、アンカー先端キャップを装着す
ることにより該PC鋼より線の一端を固定し、前記PC
構造アンカー定着体の外周面上の第1の箇所にセンタラ
イザと接着剤注入口と接着剤注入確認口とを具備する第
1の接続部材を装着し、先端より接着剤を注入し、前記
第1の接続部材の接着剤注入確認口からのオーバフロー
をもって該接着剤充填の第1の段階を完了し、次に前記
第1の箇所より上の第2の箇所に第2の接続部材を装着
し、前記第1の接続部材の接着剤注入口より接着剤を注
入し、該第2の接続部材の接着剤確認口からのオーバー
フローをもって該接着剤充填の第2の段階を完了し、前
記第2の段階と同様の操作を繰り返すことにより、PC
構造アンカー定着体とPC鋼より線とを一体化する工程
を含むことを特徴とするアンカー組立方法である。
【0025】(7)上記(6)に記載のアンカー組立方
法において、前記第1のPC構造アンカー定着体と前記
PC鋼より線の一体化工程の後、該第1のPC構造アン
カー定着体を、掘削孔に挿入し、以降、該掘削孔内にて
所望の長さとなるまで1又は複数のPC構造アンカー定
着体を重ねて連結していく工程を含むことを特徴とする
アンカー組立方法である。
【0026】
【作用】本発明は、予め圧縮応力を与えられたプレスト
レストコンクリート(PC)によりアンカー定着体を形
成するので、引張材を緊張させることによりアンカー定
着体に引張力が伝達された場合でも、内包されたプレス
トレスト荷重よりも小さい応力状態では、この応力が相
殺されるためクラックが発生しない。
【0027】さらに、本発明のPC構造アンカー定着体
は、長さ方向に一様な構造を有するので任意の長さを規
格として大量に製造することができ、その後、使用に際
して所望の長さに切断して用いることができる。すなわ
ちアンカー定着体を既製品として製造できる。
【0028】さらに、本発明によるPC構造アンカー定
着体は、任意の長さに切断した構造体を接続部材を用い
て容易に接続できるので、短尺の定着体を順次掘削孔に
挿入し連結することにより長尺の定着体を容易に形成す
ることが可能である。またこの作業においては、完成し
た長尺の定着体を掘削孔に挿入するべく立てるための作
業空間を必要としないので、作業効率がよくかつ適用範
囲が広い。
【0029】
【実施例】図1は、本発明によるPC構造アンカー定着
体の横断面図である。
【0030】従来、アンカー鋼材の周囲はグラウト固結
体により固定されている。図5に関して述べたように、
アンカー鋼材への引張力に対して、最初、アンカー鋼材
の自由長部に近い定着長部に応力がかかり僅かな伸びが
生じる。この伸びが瞬時に定着長部の引張材全体に伝わ
れば、全体に応力が瞬時に伝達され分散されることにな
る。しかしながら、アンカー鋼材が固結したグラウトと
しっかり固着されているとこの伸びはそれより遠方には
瞬時に伝達しない。さらに引張力を増すことによりこの
応力がゆっくり先端部へ伝わっていくことになる。従っ
て、常に一部に応力が集中する状態となるため、定着長
部全体が抵抗力すなわち定着力に寄与する状態が得られ
ない。そして、この応力集中した部分のアンカー鋼材周
辺のグラウトにクラックが発生してしまう。
【0031】図1に示す本発明によるPC構造アンカー
定着体20はプレストレスト・コンクリート部材よりな
る。その構造は、例えば図1のように配置された複数の
アンカー鋼材挿入用の孔26及び中央部のグラウト注入
孔28を設けた管状構造をしており、管壁の内部には円
筒状の補強部材22(図1では2ヶ所に二重に入ってい
る)とコンクリート部材にプレストレスを与えるための
PC鋼線24が図のように配置されている。補強部材2
2はPC鋼線24を一定間隔に配置するためのスペーサ
の役割も有しており、例えば鉄筋により網状又は螺旋状
の形成されている。
【0032】プレストレスト・コンクリートとは、本来
引張力に弱い性質を持つコンクリートの弱点を補うべ
く、予めコンクリートに圧縮応力を与えておく周知の工
法である。例えば、コンクリート製の橋や大型の水槽等
に用いられている。一般的な作製方法の1つを挙げる
と、コンクリート型枠内に適切な配置で数本のPC鋼線
を設置した後、このPC鋼線に緊張力をかけた状態で型
枠内にコンクリートを充填し固結させる。固結した後、
PC鋼線両端を解放することによりコンクリートに圧縮
応力が導入される。このように形成されたプレストレス
ト・コンクリートは予め圧縮力を受けていることにな
り、荷重によって引張力を受けた場合にその引張力を打
ち消すことができる。
【0033】本発明では、このプレストレスト・コンク
リートの原理をアンカー定着体に適用したものである。
本発明においても予め圧縮応力を内包するPC構造アン
カー定着体を用いることにより、アンカー鋼材による引
張力がかかった場合にこれを打ち消すことができるた
め、クラック発生を防止することができる。
【0034】また、本発明では、図1の構造を有するプ
レストレスト・コンクリートによるアンカー定着体20
を個々の設計長あるいは定尺(例えば、1m、1.5m
等)に対してそれぞれ製造するのではなく、例えば工場
においてある程度長尺のものを一様に製造しておき、使
用に際してこれを必要な長さに切断して用いることがで
きる。すなわち任意の長さを選択することが容易であ
る。またこの切断作業は、工場においても可能である
し、また現場においても可能である。従って、既製品と
して汎用性の高いアンカー定着体を提供することがで
き、また効率よく製造できるのでコストも下げることが
できる。
【0035】図1(b)に示すように、このアンカー定
着体の周囲に螺旋状又は網状の凹凸を設けることもでき
る。この凹凸は注入グラウトとの応力伝達性をよくする
ための、注入グラウトの充填性を高めるためのものであ
る。
【0036】図1のPC構造アンカー定着体の製造手順
の一例を説明する。先ず、アンカー鋼材挿入及びグラウ
ト注入のための中空を確保するためにボイド管を型枠内
に挿入する。それから、PC鋼線を一定間隔に配置した
後、スペーサ又は補強部材を同心状に型枠に設置する。
それからPC鋼線の一端を固定し、もう一端を引張固定
することにより緊張力をかける。PC鋼線に緊張力がか
かった状態のまま高強度のモルタルを充填し固化させ
る。固化した後にPC鋼線の固定を解放して完成する。
【0037】次に、図2は、本発明によるPC構造アン
カー定着体20を用いたアンカーの組立方法を説明する
ための図である。前述のように本発明によるアンカー定
着体は、工場又はアンカー施工現場において所望の長さ
に切断された後に組立に供される。
【0038】先ず、PC構造アンカー定着体20に設け
られたアンカー鋼材用の貫通孔26にアンカー鋼材(例
えばPC鋼より線)を挿入して、先端キャップを設置す
ることによりアンカー鋼材を固定する。
【0039】定着長部が3乃至4m程度までの短尺のア
ンカーの場合は、掘削孔挿入前にアンカー定着体とアン
カー鋼材とを一体化させる工程を実施してアンカーを組
立てた後に掘削孔に挿入する。図2は、アンカー定着体
とアンカー鋼材を一体化させるための接続部材を装着し
たアンカー定着体の平面図及び側面図である。PC構造
アンカー定着体20とアンカー鋼材を一体化する場合、
図2(a)に示すような接続部材30を外周の数カ所に
適切な間隔を置いてはめ込む。この接続部材30は、回
転ローラ32を具備することにより容易にはめ込まれる
ようになっており、また、アンカー定着体20を掘削孔
の中央部に保持するためのセンタライザの役割も果た
す。さらにこの接続部材30には接着剤注入かつ注入確
認のための孔34が設けられている。
【0040】次に、先端部から接着剤をアンカー定着体
内部に注入し、接続部材の注入確認口34から接着剤が
オーバフローした時点で接着剤充填を完了する。同様に
して次々に注入充填してPC構造アンカー定着体とアン
カー鋼材を一体化する。その後、組立完了したアンカー
を掘削孔に挿入し、グラウト注入により地盤に定着させ
る。
【0041】しかしながら、定着長が10m近くなる
と、予め組立てたものを掘削孔に挿入する作業は非常に
困難になる。アンカーを立てるために必要な空間も大き
く、しかも扱いにくい。このような長尺の場合は、先ず
上記の図2について述べた方法により組立てられた短尺
の第1のPCアンカー定着体を掘削孔に挿入する。その
上にさらに第2のPC構造アンカー定着体を載せるよう
に挿入して両者を連結し注入固化させる。このようにし
て所定の長さが得られるまで掘削孔内にてPC構造アン
カー定着体を連結固化させて、長尺のアンカーを完成さ
せる。
【0042】図3は、本発明によるPC構造アンカー定
着体を用いたアンカーを施工した全体構造図である。定
着長部はPC構造アンカー定着体20、その外周に設け
られた接続部材(センタライザ)30、及び先端キャッ
プ40が図示のとおり配置される。センタライザ30に
より掘削孔の中央に保持されたPC構造アンカー定着体
20の周囲にグラウトを注入することにより周囲地盤に
定着される。
【0043】
【発明の効果】本発明においては、アンカー定着体をプ
レストレスト・コンクリートにより形成するので、プレ
ストレスト・コンクリートに内包された予備圧縮力によ
って、アンカー鋼材を緊張させたときに生じる引張応力
が打ち消され抑制される。また、応力集中が避けられる
ため、それによるクラックの発生が防止され、アンカー
鋼材を腐食から保護することができる。よって、信頼性
のある永久的な引張型アンカーが提供される。
【0044】さらに、本発明によるPC構造アンカー定
着体は、工場にて一様な規格で製造した後、工場又は現
場において所望の長さに切断して用いることが可能であ
るので、非常に簡便かつ効率的に利用でき、また安価に
製造できる。また、本発明によるPC構造アンカー定着
体は、長尺の場合、掘削孔内での連結作業が可能である
ので作業性がよく広い作業空間も不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるPC構造アンカー定着体の概略構
成図である。
【図2】本発明によるPC構造アンカー定着体を用いた
アンカーの組立方法を示す図である。
【図3】本発明によるPC構造アンカー定着体を用いた
アンカーの施工例を示した全体構成図である。
【図4】一般的な引張型アンカーの概略構成図である。
【図5】アンカー定着体の摩擦応力分布を示す図であ
る。
【符号の説明】
14 シース管 16 地盤 18 グラウト 20 アンカー定着体 22 中間層 30 注入口 32 補強剤

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 定着長部を地盤との間のグラウト固結体
    により定着させかつ自由長部の地上端にて引張材を張力
    負荷状態で固定するアンカーにおけるアンカー定着体で
    あって、 前記アンカーの長尺方向に予め緊張力をかけた鋼線材を
    内部に設けることにより圧縮応力を付与されたプレスト
    レストコンクリート(PC)から形成されることを特徴
    とするPC構造アンカー定着体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のアンカー定着体におい
    て、前記プレストレストコンクリートがさらに網状又は
    螺旋状の補強部材を内部に有することを特徴とするPC
    構造アンカー定着体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2のいずれかに記載のアン
    カー定着体において、該アンカー定着体の外周面に網状
    又は螺旋状の凹凸を設けることを特徴とするPC構造ア
    ンカー定着体。
  4. 【請求項4】 定着長部を地盤との間のグラウト固結体
    により定着させかつ自由長部の地上端にて引張材を張力
    負荷状態で固定するアンカーにおけるアンカー定着体を
    製造する方法であって、 前記アンカー定着体外形状を形成するための型枠を設置
    し、 前記型枠内に管状の中空を確保するためのボイド管を設
    置し、 前記型枠と前記ボイド管との間の空間に複数のPC鋼材
    を一定間隔に配置し、 前記PC鋼材に緊張力をかけかつその状態を保持し、 前記型枠と前記ボイド管との間の空間にコンクリートを
    充填し硬化させた後、前記緊張力を解放し前記型枠を除
    去することにより予め圧縮応力を付与されたプレストレ
    スト・コンクリートから形成されることを特徴とするP
    C構造アンカー定着体製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のPC構造アンカー定着
    体製造方法において、さらに所定の長さに切断した後、
    アンカー組立に供することを特徴とするPC構造アンカ
    ー定着体製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項4又は請求項5のいずれかに記載
    の方法により製造されたPC構造アンカー定着体を用い
    てアンカーを組立てる方法であって、 前記PC構造アンカー定着体に引張材となる所定の本数
    のPC鋼より線を挿入したのち、アンカー先端キャップ
    を装着することにより該PC鋼より線の一端を固定し、 前記PC構造アンカー定着体の外周面上の第1の箇所に
    センタライザと接着剤注入口と接着剤注入確認口とを具
    備する第1の接続部材を装着し、 先端より接着剤を注入し、前記第1の接続部材の接着剤
    注入確認口からのオーバフローをもって該接着剤充填の
    第1の段階を完了し、 次に前記第1の箇所より上の第2の箇所に第2の接続部
    材を装着し、前記第1の接続部材の接着剤注入口より接
    着剤を注入し、該第2の接続部材の接着剤確認口からの
    オーバーフローをもって該接着剤充填の第2の段階を完
    了し、 前記第2の段階と同様の操作を繰り返すことにより、P
    C構造アンカー定着体とPC鋼より線とを一体化する工
    程を含むことを特徴とするアンカー組立方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のアンカー組立方法にお
    いて、 前記第1のPC構造アンカー定着体と前記PC鋼より線
    の一体化工程の後、該第1のPC構造アンカー定着体
    を、掘削孔に挿入し、 以降、該掘削孔内にて所望の長さとなるまで1又は複数
    のPC構造アンカー定着体を重ねて連結していく工程を
    含むことを特徴とするアンカー組立方法。
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