JP2001081272A - 難燃性樹脂組成物 - Google Patents

難燃性樹脂組成物

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JP2001081272A
JP2001081272A JP25931299A JP25931299A JP2001081272A JP 2001081272 A JP2001081272 A JP 2001081272A JP 25931299 A JP25931299 A JP 25931299A JP 25931299 A JP25931299 A JP 25931299A JP 2001081272 A JP2001081272 A JP 2001081272A
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resin
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weight
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JP25931299A
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English (en)
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Yoshihiro Takemoto
欣弘 竹本
Keitoku Nakamu
佳徳 中務
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 スチレン系ゴム強化樹脂(A)およびフェノ
ール樹脂(B)および赤リン系難燃剤(C)および水酸
化マグネシウム系難燃剤(D)からなり、スチレン系ゴ
ム強化樹脂(A)100重量部に対して、フェノール樹
脂(B)および赤リン系難燃剤(C)が1〜30重量
部、水酸化マグネシウム系難燃剤(D)が1〜35重量
部、かつその配合比が1〜20である難燃性樹脂組成
物。スチレン系ゴム強化樹脂中のゴム粒子へのビニル化
合物の表面グラフト被覆率が80%以上、かつ表面にグ
ラフト重合しているビニル化合物の平均厚みが5〜25
nm。 【効果】 本発明の樹脂組成物は、赤リン系難燃剤を用
いて、難燃性、加工流動性、機械的強度、耐薬品性のバ
ランスに優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、加工流動性、機械的強度、耐薬品性に優れ、
かつ難燃性に優れた樹脂組成物に関する。
【0001】
【従来の技術】 ABS樹脂やHIPSに代表されるス
チレン系ゴム強化樹脂は、優れた機械的強度、成形加工
性のためOA機器や家電製品のハウジングとして広く用
いられている。こうした用途では安全性向上のため、ハ
ウジングとして使用される樹脂にも難燃性を要求される
ことが多い。また、モバイルOA機器という新たなジャ
ンルのOA機器の出現で、これらの機器の携帯性を高め
るための軽量化の工夫、デザイン性が重要になってい
る。軽量化の面では、ハウジングがより薄くなる傾向で
あり、薄肉での燃焼性、機械的強度、成形性が重要な課
題である。また、デザイン性の面では、ハウジングの塗
装やメッキなどの2次加工性が重要な課題である。さら
に、OA機器の家庭への急速な普及により、従来では要
求の無かった家庭用洗剤に対する耐薬品性、廃棄時にお
ける環境への負荷の低減も重要な課題になりつつある。
スチレン系ゴム強化樹脂の難燃化の技術としては、ハロ
ゲン系難燃剤と三酸化アンチモンの相乗効果を用いた難
燃化が一般的であるが、環境への負荷低減の要求からハ
ロゲン系難燃剤を用いない難燃化の要求がある。
【0002】スチレン系のゴム強化樹脂の難燃化におい
てハロゲン系難燃剤を用いない方法としては、特開昭6
1−291643号公報に、ABS樹脂および赤リン、
メラミン、レゾール系フェノール樹脂、およびポリアク
リロニトリルなどの熱架橋性硬化性樹脂からなる組成物
が開示されている。しかしながら、この組成物では、加
工流動性、機械的強度,耐薬品性が不十分である。ま
た、特開平10−298395号公報には、スチレン系
ゴム強化樹脂にポリエステル樹脂およびポリアミド樹
脂、リン系難燃剤からなる組成物が開示されている。し
かしながら、この組成物では、ポリアミド樹脂およびポ
リエステル樹脂とスチレン系樹脂の相溶性が不十分であ
るために機械的強度、成型品の剥離の発生やウエルド部
での強度が不十分である。特開平7−33990号公報
では、熱可塑性樹脂に含酸素樹脂および赤リン、金属水
酸化物からなる組成物の開示があるが、かかる組成物で
は、比較的厚い場合での難燃性と引張強度バランスが良
好なものの耐衝撃性や1/12インチ程度の薄い厚みで
の難燃性が不十分である。
【0003】特開平8−176450号公報では、ポリ
オレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、またはポリフ
ェニレンエーテル系の樹脂と特定のエラストマー、赤リ
ンおよびフェノール樹脂等の難燃助剤からなる組成物の
開示があるが、かかる組成物では成形加工性、成型品の
剥離の発生、薄肉での難燃性が不十分であり、ABS樹
脂に適用した場合には耐薬品性が不十分である。特開平
4−179844号公報、特開平6−157866号公
報にはリン化合物とフェノールノボラック樹脂の相乗効
果による難燃化の提案があるが、UL94規格の難燃試
験においては難燃性が不十分であった。
【0004】特開平9−87337号公報には、被覆率
が特定の範囲のゴム強化樹脂組成物と難燃剤の組成物の
開示があるが、難燃剤に赤リンを用いた場合は、強度が
不十分であった。以上の従来技術からも機械的強度、難
燃性、成形加工性、耐薬品性バランスに優れ、スチレン
系ゴム強化樹脂に特徴の塗装性などの2次加工性に優れ
た赤リン系難燃剤を用いたゴム強化樹脂の難燃樹脂組成
物を得ることは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 本発明の解決しよう
とする課題は、赤リンの添加による強度低下をおさえ
て、耐衝撃性や剛性などの機械的強度、難燃性、成形加
工性、耐薬品性のバランスが優れ、スチレン系ゴム強化
樹脂の特徴の1つである塗装性などの2次加工性のバラ
ンスに優れる赤リン系難燃剤を用いた難燃性ゴム強化樹
脂を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記問
題の解決にあたり鋭意検討した結果、特定の範囲の粒子
径の割合が一定以上であるゴム状重合体を含むゴム強化
樹脂においてグラフト共重合体の表面グラフト被覆率を
高めたゴム強化樹脂組成物および赤リンとフェノール樹
脂の比率を特定の範囲に調整し、水酸化マグネシウム系
難燃剤を併用することで、赤リンおよび水酸化マグネシ
ウムの添加による強度低下をおさえて、機械的強度、難
燃性、成形加工性、耐薬品性のバランスが優れた難燃性
樹脂組成物が得られることを見いだし本発明に至った。
本発明者らによれば、特定の範囲の粒子径の割合が一定
以上であるゴム状重合体を含むゴム強化樹脂は、本発明
でいう表面グラフト被覆率を高めることが困難である
が、特定の範囲の粒子のゴム状重合体を含むゴム状重合
体の表面グラフト被覆率を高めたゴム強化樹脂組成物と
赤リンおよびフェノール樹脂および水酸化マグネシウム
系難燃剤を組み合わせることにり、初めてスチレン系ゴ
ム強化樹脂の特性を維持しつつ機械的強度、難燃性、成
形加工性、耐薬品性のバランスに優れた組成物が得られ
るということである。
【0007】すなわち本発明は、スチレン系ゴム強化樹
脂(A)、フェノール樹脂(B)、赤リン系難燃剤
(C)および水酸化マグネシウム系難燃剤(D)からな
る組成物において、スチレン系ゴム強化樹脂(A)10
0重量部に対して、フェノール樹脂(B)および赤リン
系難燃剤(C)の合計量が1〜30重量部、および水酸
化マグネシウム系難燃剤(D)が1〜35重量部であ
り、かつ赤リン系難燃剤(C)/フェノール樹脂(B)
の配合比が1〜20である難燃性樹脂組成物において、
スチレン系ゴム強化樹脂(A)は、320〜2000n
mのゴム粒子の割合が20重量%以上である重量平均粒
子径200〜1500nmのゴム粒子に、ビニル化合物
をグラフト共重合して得られるグラフト重合体を含んで
なり、該ゴム粒子にグラフト重合しているビニル化合物
の下記(イ)式により定義される表面グラフト被覆率が
80%以上で、かつ該ゴム粒子表面にグラフト重合して
いるビニル化合物の平均厚みが5〜25nmであること
を特徴とする難燃性樹脂組成物である。
【0008】 表面グラフト被覆率(%)=(s/S)×100 (イ) (ここで、Sはゴム状重合体の表面積、sはゴム状重合
体表面にグラフトし、被覆しているビニル化合物の表面
積)である。本発明における表面グラフト被覆率とは、
Sをゴム状重合体の表面積、sをゴム状重合体表面にグ
ラフトし、被覆しているビニル化合物の表面積としたと
き、下記の(イ)式により定義される。要約すればゴム
強化熱可塑性樹脂組成物中に分散するゴム状重合体の表
面にどのくらいのビニル化合物がグラフトされ、被覆さ
れているかを示す尺度である。
【0009】 表面グラフト被覆率(%)=(s/S)×100 (イ) この表面グラフト被覆率(%)は後述するように、具体
的にはゴム強化熱可塑性樹脂組成物中に分散するグラフ
ト重合体の超薄切片を電子顕微鏡で観察、写真撮影した
写真を解析、測定して求めることができる。図1はこの
電子顕微鏡写真を模式化した図である。図中黒色部はゴ
ム状重合体であり、斜線部はビニル化合物のグラフト成
分である。尚、a1〜anはビニル化合物のグラフト部
分のゴム状重合体上での周方向の長さ、b1〜bnはビ
ニル化合物がグラフトされていない部分のゴム状重合体
上での周方向の長さ、c1〜cnはビニル化合物のグラ
フト部分の断面積を示す。
【0010】図1において、a1〜an及びb1〜bn
のそれぞれの長さを測定し、R=(a1+a2+・・・
・+an−1+an)+(b1+b2+・・・・+bn
−1+bn)、r=(a1+a2+・・・・+an−1
+an)として、Rを上記のS=ゴム状重合体の表面積
に相当する長さ、rを上記のs=ゴム状重合体表面にグ
ラフトし被覆しているビニル化合物の表面積に相当する
長さとして下記の(ロ)式で表面グラフト被覆率として
求めることができる。すなわち、 表面グラフト被覆率(%)=(r/R)×100 (ロ) である。本発明では、この表面グラフト被覆率が80%
以上が必要であり、好ましくは90%以上である。80
%未満であると難燃性の低下、耐衝撃性および高温成形
時の加工流動性の低下、熱劣化による着色、さらに特に
押出しや成形時の滞留によりゲル状物が生じ好ましくな
い。
【0011】本発明における、ゴム状重合体の表面にグ
ラフトしているビニル化合物の平均厚みとは、ゴム状重
合体表面にグラフトしているビニル化合物の厚みの平均
値を示しており、具体的には、図1において、ゴム状重
合体表面にグラフトしているビニル化合物の体積に相当
する面積(t)、すなわちt=(c1+c2+・・・・
+cn−1+cn)を測定し、下記(ハ)式でビニル化
合物の平均厚さを求める。 ビニル化合物の平均厚さ=(t/R) (ハ) 本発明では、このビニル化合物の平均厚さが5〜25n
mであることが必要である。5nm未満の場合、耐衝撃
性及び加工流動性の低下が生じ、難燃性も低下する。2
5nmを超える場合は、耐衝撃性、加工流動性の低下及
び難燃性の低下が生じる。本発明におけるゴム強化樹脂
(A)は、ゴム状重合体に、ビニル化合物をグラフト共
重合して得られるグラフト重合体を成分として含む。
【0012】ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、
ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ブタジエン−スチ
レン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体
などの共役ジエン系ゴム、エチレン−プロピレンゴム、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチルなどのアクリル系
ゴムなどであるが、好ましくは共役ジエン系ゴムのポリ
ブタジエンとブタジエン−スチレン共重合体およびブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体である。また、これ
らは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0013】本発明におけるゴム状重合体は、320n
m〜2000nmの粒子径を20wt%以上含む必要が
ある。320nm〜2000nmのゴム粒子径の割合が
20wt%未満の場合、機械的強度が低下する。好まし
くは、25wt%以上であり、特に好ましくは30wt
%以上である。また、重量平均粒子径が200〜150
0nmのものが用いられ、200nm未満の場合は、加
工流動性および機械的強度が低下し、1500nmを越
える場合は、加工流動性、機械的強度特に剛性および難
燃性が低下する。ゴム状重合体の粒子径は、ゴム状重合
体を四酸化オスミウムで染色したのち透過型電子顕微鏡
(TEM)写真上で測定することができる。ゴム状重合
体の製造方法は特に限定されないが、通常の乳化重合法
を用いることができる。
【0014】このような乳化重合により得られるゴム状
重合体は、例えば、ポリブタジエンラテックス、スチレ
ン−ブタジエンゴムラテックス、アクリルゴムラテック
ス、エチレン−プロピレンゴムラテックスとして入手可
能である。本発明に用いられるゴム状重合体は、単独ま
たは粒子径の異なる2種類以上のラテックスをブレンド
する方法、ゴム状粒子を凝集させて肥大化したゴム状重
合体のラテックスを使用する方法のいずれでも良い。ま
た、粒子径の異なるゴム状重合体ラテックスを各にグラ
フト重合させ得られたグラフト重合体ラテックスを適宜
ブレンドしても良い。この場合、請求項1記載のゴム状
重合体における320nm〜2000nmのゴム状重合
体の割合および重量平均粒子径は、グラフト重合体ラテ
ックスをブレンドした割合とグラフト重合に使用したゴ
ム状重合体の粒子径分布から算出することができる。粒
子径分布とは、一定幅の範囲の粒子径に該当するゴム粒
子の頻度を表したヒストグラムをいう。
【0015】本発明に用いるゴム状重合体にグラフト共
重合させるビニル化合物としては、スチレン、主鎖また
は側鎖置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリ
ロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニ
ル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチルなどのアクリル酸エステルや同様な置換体
のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタク
リル酸などのアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、
N−メチルマレイミドなどのマレイミド系単量体、グリ
シジルメタクリレートなどのグリシジル基含有単量体な
ども用いられる。これらのは単独でも2種以上を組み合
わせて用いてもよい。これら単量体のうち好ましくは芳
香族ビニル化合物とシアン化ビニル化合物の組み合わせ
である。特に好ましくは、スチレンとアクリロニトリル
の組み合わせである。
【0016】グラフト重合体の製造過程で生成するゴム
状重合体にグラフトした成分の割合は、重合反応により
生成したグラフト重合体をアセトンに溶解し不溶分を遠
心分離器で分離除去することによって測定することがで
きる。アセトンに溶解する成分は、重合反応した共重合
体のうちグラフト反応しなかった成分(非グラフト成
分)であり、アセトン不溶分からゴム状重合体の量を差
し引いた値がグラフト成分の値として定義される。グラ
フト成分の割合として好ましくは、ゴム状重合体を10
0重量部として、10〜80重量部であり、より好まし
くは、20〜60重量部である。
【0017】上記グラフト重合体の製造方法としては、
特に限定はされないが、乳化重合で製造されたゴム状重
合体ラテックスにビニル化合物をグラフト重合させる乳
化グラフト重合方式であり、連続式、バッチ式、セミバ
ッチ式いずれも可能である。本発明においては、乳化重
合で製造されたゴム状重合体にビニル化合物を開始剤、
分子量調節剤等とともに連続的に添加する乳化グラフト
方式が特に好ましい。乳化グラフト方式を用いる場合、
表面グラフト被覆率を80%以上とするには、乳化グラ
フト重合させる際に用いる乳化剤を極めて少なくするこ
と、乳化剤を用いる場合は、重合時間の初期での添加は
避け、重合時間中に連続的に少量ずつ添加することが特
に好ましい。重合時におけるpHは、アルカリ性、中
性、酸性のいずれの条件でも可能であるが、好ましくは
中性である。乳化重合に用いられる乳化剤は、特に限定
されないが、一般に乳化重合用として用いられる乳化剤
(以下、非重合性乳化剤と略することがある)、例え
ば、ロジン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル
塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルジフェ
ニルエーテルジスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハ
ク酸塩等のアニオン性乳化剤、ポリオキシエチレンアル
キルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエ
ーテル等のノニオン性乳化剤があげられる。また、化合
物中に二重結合を1つ以上有し、共役ジエン系ゴム、芳
香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物および/また
は(メタ)アクリル酸エステル化合物とラジカル重合可
能な乳化剤(以下、重合性乳化剤と略すことがある)も
用いることができる。これらの重合性乳化剤としては、
下記(1)式で表される重合性乳化剤があげられる。
【0018】
【化1】 式中、Xは(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基
または(1−プロペニル)ビニル基を示す。Yは水素、
または−SO3M(Mは水素、アルカリ金属、アルカリ
土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキ
シアルキルアンモニウム)で表される硫酸エステル塩、
または−CH2COOM(Mは水素、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒ
ドロキシアルキルアンモニウム)で表されるカルボン酸
塩、または下記(1’)式で表されるリン酸モノエステ
ル塩を示す。
【0019】
【化2】 (式中、M1及びM2は水素、アルカリ金属、アルカリ土
類金属、アンモニウムまたは炭素数1〜4のヒドロキシ
アルキルアンモニウムであり、M1、M2は異なるもの
でも同一のものでもよい)R1は炭素数1〜18のアル
キル基、アルケニル基もしくはアラルキル基、R2は水
素または炭素数1〜18のアルキル基、アルケニル基も
しくはアラルキル基、R3は水素またはプロペニル基、
Aは炭素数2〜4のアルキレン基または置換アルキレン
基、nは1〜200の整数を示す。
【0020】また、具体的には下記(2)〜(6)式に
示される化合物を用いることができる。
【0021】
【化3】 これらの乳化剤は単独でも、2種類以上組み合わせても
よい。ゴム強化樹脂(A)中のゴム状重合体の含有量
は、耐衝撃性、加工流動性、剛性、耐薬品性等により決
められるが、好ましくは5〜60重量%で、より好まし
くは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜25重
量%である。本発明において、上記ゴム状重合体にはビ
ニル化合物がグラフト重合するため、ゴム強化樹脂
(A)中に含まれる該グラフト重合体は5.5重量%以
上である。
【0022】本発明のゴム強化樹脂(A)は、グラフト
重合体を製造する過程で生成するゴム状重合体にグラフ
トしていない成分を含んでもよい。また、ゴム強化樹脂
(A)の製造方法は特に限定されないが、例えば、乳化
重合により、グラフト重合体とグラフト重合しないビニ
ル共重合体を同時に製造する方法、また乳化重合により
ゴム状重合体の割合の高いグラフト重合体とビニル共重
合体の混合物(以下GRCと略することがある)をあら
かじめ製造し、別に塊状重合、乳化重合や懸濁重合等で
製造したビニル共重合体とともに配合して目的のゴム含
有量にする方法もとられる。この場合のビニル共重合体
は、非晶性、結晶性の限定はないが、好ましくは上記芳
香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、アクリル酸
エステルやメタクリル酸エステルである。
【0023】より好ましくは、スチレン、主鎖または側
鎖置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリロニ
トリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化
合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸ブチルなどのアクリル酸エステルや同様な置換体のメ
タクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸などの
アクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマ
レイミドなどのマレイミド系単量体、グリシジルメタク
リレートなどのグリシジル基含有単量体などであり、特
に好ましくは、芳香族ビニル化合物およびシアン化ビニ
ル化合物である。最も好ましくは、スチレンとアクリロ
ニトリルの組み合わせ、スチレンおよびアクリロニトリ
ルおよびN−フェニルマレイミドの組み合わせである。
【0024】本発明に用いられるフェノール樹脂(B)
は、一般的にはフェノールとアルデヒドを酸触媒のもと
に付加、縮合して得られるフェノールの含有量の高いノ
ボラック型およびフェノールとアルデヒドを塩基性触媒
のもとに付加、縮合して得られるメチロールの含有量の
高いレゾール系、およびこれらを硬化させた不溶不融の
フェノール樹脂である。好ましくは、ノボラック型フェ
ノール樹脂であり、特に好ましくは、フェノールホルム
アルデヒドノボラック樹脂、ターシャリーブチルフェノ
ールホルムアルデヒドノボラック樹脂、パラオクチルフ
ェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、パラシアノ
フェノールホルムアルデヒドノボラック樹脂、およびこ
れらの共重合物である。最も好ましくは、フェノールホ
ルムアルデヒドノボラック樹脂であり、好ましい分子量
としては300〜10000である。これらのフェノー
ル樹脂は単独でも2種以上を併用しても良い。
【0025】本発明の赤リン系難燃剤(C)は、赤リン
を成分に含む赤リン系難燃剤であり、コーティングのな
い赤リン粒子、金属水酸化物で表面コーティングされた
赤リン系難燃剤、熱硬化性樹脂で表面コーディングされ
た赤リン系難燃剤、金属水酸化物と熱硬化性樹脂の混合
物で表面コーティングされた赤リン系難燃剤、金属水酸
化物のコーティング上に熱硬化性樹脂をコーティングさ
れた赤リン系難燃剤、無電解メッキを赤リンに施した赤
リン系難燃剤等が挙げられるが、好ましくは金属水酸化
物と熱硬化性樹脂でコーディングされた赤リン系難燃剤
および金属水酸化物にさらに熱硬化性樹脂で2重にコー
ティングされた赤リン系難燃剤である。赤リン系難燃剤
中のリン含有量は、好ましくは80〜99wt%であ
り、より好ましくは85〜95wt%である。
【0026】本発明におけるフェノール樹脂(B)と赤
リン系難燃剤(C)の含有量は、スチレン系ゴム強化樹
脂(A)100重量部に対してフェノール樹脂(B)お
よび赤リン系難燃剤(C)の合計量が1〜30重量部で
あることが必要である。1重量部未満の場合は、難燃
性、耐熱性が不十分である。30重量部を越える場合
は、機械的強度が不十分である。好ましくは5〜25重
量部であり、特に好ましくは10〜20重量部である。
また、フェノール樹脂(B)と赤リン系難燃剤(C)の
含有量は、赤リン系難燃剤(C)/フェノール樹脂
(B)の配合比が1〜20であることが必要である。1
未満の場合は難燃性および耐薬品性が不十分であり、2
0を越える場合は難燃性、機械的強度が不十分である。
好ましくは1.5〜10であり、特に好ましくは2〜5
である。
【0027】本発明における水酸化マグネシウム系難燃
剤(D)は、一般に入手可能な水酸化マグネシウムを主
成分とする難燃剤であり、水酸化マグネシウムおよびそ
の水和物を主成分とする。これらの水酸化マグネシウム
系難燃剤は、水分散タイプ、粉体タイプでもいずれでも
良いが好ましくは粉体タイプである。また、水酸化マグ
ネシウム系難燃剤は、表面を処理されていても、樹脂中
への分散を改良する目的で分散剤およびシリカが含有し
ても良い。
【0028】好ましい表面処理剤および分散剤として
は、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸またはそ
のアルカリ金属塩、エチレンビスステアロアミドがあげ
られる。水酸化マグネシウム系難燃剤の配合量は、スチ
レン系ゴム強化樹脂100重量部に対し、1〜35重量
部である。1重量部未満の場合は、耐薬品性、難燃性、
機械的強度の剛性バランスが不十分である。35重量部
を越える場合は、加工流動性、機械的強度の耐衝撃性バ
ランスが不十分である。好ましくは5〜30重量部であ
り、特に好ましくは、10〜25重量部である。水酸化
マグネシウム系難燃剤の粒子径は、好ましくは、平均2
次粒子径が0.1〜20μmであり、より好ましくは
0.2〜5μmである。これらの水酸化マグネシウム系
難燃剤は単独でも2種類以上を併用しても良い。
【0029】また、本発明の組成物には、改質する目的
で任意の添加剤、すなわち、滑剤、シリコーンオイル、
オレフィン系オイル、低分子量のポリテトラフルオロエ
チレン等の潤滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸
収剤、着色剤、酸化チタン、表面改質剤、分散剤、可塑
剤、ガラス繊維、カーボン繊維、マイカ、タルク等のフ
ィラーおよび充填剤、水酸化アルミニウムなどの水酸化
マグネシウム以外の金属水酸化物、シリコーン樹脂、高
分子量のポリテトラフルオロエチレン等の滴下防止剤等
のような慣用の添加剤を含むことが出来る。
【0030】本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定
されないが、通常の方法、例えば、押出機混練、バンバ
リーミキサー、ニーダー等によるメルトブレンド、ゴム
強化樹脂の重合途中に他の成分を添加する方法、溶媒ブ
レンド等により製造することができる。また、水酸化マ
グネシウム系難燃剤の凝集を防ぐ目的で、あらかじめ水
酸化マグネシウム系難燃剤と上記添加剤およびシリカを
ブレンドした後に押出機にフィードする方法で製造する
こともできる。
【0031】本発明の組成物は、射出成形、圧縮成形、
シート成形、真空成形等に用いることができる。本発明
の樹脂組成物および、成形体の用途は特に限定されない
が、例えば、パーソナルコンピュータ(パソコン)、携
帯用パソコン、ファクシミリ、CRT、テレビ等の各種
OA機器および家庭用電化製品のハウジングとして、ま
た携帯用電話にも用いられる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づき本発明を更
に詳細に説明する。以下に用いる部数は重量部とする。
本発明の実施例における測定方法は以下の通りである。 (表面グラフト被覆率) ゴム強化熱可塑性樹脂組成物
を、そのゾル分が可溶な溶媒(例えば、ABS樹脂では
アセトン)を用いて溶解後、遠心分離し、ゲル分を取り
出す。ゲル分をアセトン中に超音波ホモジナイザーを用
いて分散させた後、エポキシ樹脂系接着剤主剤中に加
え、再度分散させる。アセトンを真空乾燥にて除去した
後、エポキシ樹脂系接着剤の硬化剤を加え、混合、加熱
し固化させる。これにより、エポキシ樹脂中に分散した
グラフト重合体が得られる。
【0033】得られたグラフト重合体含有のエポキシ樹
脂は、例えばABS樹脂の場合、四酸化オスミウムで染
色しウルトラミクロトームにて超薄切片作成後、透過型
電子顕微鏡にて観察、撮影する。超薄切片の厚さは60
nmとした。グラフト重合体の電子顕微鏡写真の解析に
は、画像解析装置IP−1000(旭化成工業(株)社
製)を用い、表面グラフト被覆率を測定した。具体的に
は、グラフト重合体中のゴム状重合体とこのゴム状重合
体の表面にグラフトしているビニル化合物成分とを分離
した画像において、前記のように、図1において、a1
〜an及びb1〜bnのそれぞれの長さを測定し、R=
(a1+a2+・・・・+an−1n)+(b1+b2
+・・・・+bn−1+bn)とr=(a1+a2+・
・・・+an−1+an)とから下記(ロ)式で表面グ
ラフト被覆率を求める。表中の単位は%で記した。 表面グラフト被覆率(%)=(r/R)×100 (ロ) なお、実施例の表面グラフト被覆率の測定にあたり、3
20nm以上の粒径をもつグラフト重合体のみを選び測
定に供した。測定個数は10である。 (ビニル化合物の平均厚さ) ゴム状重合体の表面にグ
ラフトしているビニル化合物の厚さは、上記の表面グラ
フト被覆率と同様、得られたゴム強化熱可塑性樹脂組成
物を四酸化オスミウムで染色しウルトラミクロトームに
て超薄切片作成後、透過型電子顕微鏡にて観察、撮影し
た。グラフト重合体の電子顕微鏡写真の解析には、画像
解析装置IP−1000(旭化成工業(株)社製)を用
いた。具体的には、グラフト重合体中のゴム状重合体と
このゴム状重合体表面にグラフトしているビニル化合物
とを分離した画像において、図1においてゴム状重合体
の表面積に相当する周囲長(R)、すなわちR=(a1
+a2+・・・・+an−1+an)+(b1+b2+
・・・・+bn−1+bn)を測定し、ついでゴム状重
合体表面にグラフトしているビニル化合物の体積に相当
する面積(t)、すなわちt=(c1+c2+・・・・
+cn−1+cn)とから下記(ハ)式でビニル化合物
の平均厚さを求める。 ビニル化合物の平均厚さ=(t/R) (ハ) なお、測定個数は10である。表中の単位はnmで記し
た。 (ゴム状重合体の重量平均粒子径) グラフト重合に用
いるゴム状重合体の希薄液を透過型電子顕微鏡測定用金
属メッシュ上に1滴とり、四酸化オスミウムあるいは四
酸化ルテニウムの蒸気で染色した。染色されたサンプル
を透過型電子顕微鏡にて撮影し、粒子の重量平均粒子径
を上記の画像解析装置IP−1000を用いて求めた。
測定個数は500である。 (物性評価方法) 各種物性の評価方法については以下
に示す通りである。 (1)アイゾット衝撃値 ペレットを成形温度240℃、金型温度45℃で成形
し、試験片を得た。試験は、ASTM−D256にもと
に、1/2インチ×1/4インチ×5/2インチのノッ
チ付き試験片にて実施した。単位はkg・cm/cmで
ある。 (2)メルトフローレート JISK7210に基づき測定した。測定条件は220
℃、10kg荷重で単位はg/10minである。加工
流動性の指標である。 (3)難燃性 UL94規格垂直燃焼試験(厚み1/8インチ、1/1
2インチ)に基づく試験で難燃性がV−0、V−1に満
たないものは×を記した。 (4)一撃ダート ペレットを成型温度240℃、金型温度45℃で成型
し、一片150mmの正方形で2mm厚の平板を得る。
ミサイル径3/4インチの半円球のミサイルおよび荷重
の合計荷重(W)を高さ(H)から平板に落下させ、平
板の50%にあたる枚数が破壊されるのに要する荷重
(W)を求め、そのときの高さ(H)から下記式により
落錘衝撃強さ(kg・cm)を求める。
【0034】落錘衝撃強さ(kg・cm)=50%破壊
に要する荷重(W)×落下高さ(H) 落錘衝撃強さの値が高い組成物ほど、成型品は衝撃に耐
えられるという機械的強度の指標になる。アイゾット衝
撃値とは必ずしも相関しないが、落錘衝撃強さは成型品
の実用強度という面で重要な強さの指標である。 (5)曲げ弾性率 ASTM D790に基づく測定で、単位はkg/cm
/cmである。 (6)耐熱性 ASTM D648に基づく試験で、試験片の厚み1/
4インチ。単位は℃である。 (7)耐薬品性(臨界ひずみ) ベンディングフォーム法で行った。2mm厚の圧縮成型
板(220℃で成型)を任意の大きさに切り出した後、
80℃で24時間アニーリングして試験片を得る。曲率
半径を連続的に変化させた金属製の治具(ベンディング
フォーム)の表面に試験片を取り付け、ガーゼを薬品に
浸し試験片の表面にのせる。23℃、湿度50%の恒温
恒湿槽に入れ、試験片にクラックが生じる限界の歪み
(%)を測定して、これを臨界歪みとする。この値が大
きいほど試験に用いた薬品に対する耐薬品性が優れてい
る。使用した薬品は、家庭用アルカリ性洗剤(花王
(株)社製 マジックリン)である。 (ゴム状重合体S) (1)ゴム状重合体ラテックス(S−1) 電子顕微鏡写真により求めた320nm〜2000nm
の粒子径のゴム粒子の割合が48重量%であるブタジエ
ンゴムラテックス。重量平均粒子径は320nmであっ
た。pHは10.1であった。 (2)ゴム状重合体ラテックス(S−2) 電子顕微鏡写真により求めた320nm〜2000nm
の粒子径のゴム粒子の割合が85重量%であるブタジエ
ンゴムラテックス。重量平均粒子径は360nmであっ
た。pHは10.0であった。 (3)ゴム状重合体ラテックス(S−3) 電子顕微鏡写真により求めた320nm〜2000nm
の粒子径のゴム粒子の割合が61重量%であるスチレン
−ブタジエンゴムラテックス。重量平均粒子径は290
nmであった。pHは10.1であった。 (4)ゴム状重合体ラテックスS−4 電子顕微鏡写真により求めた320nm〜2000nm
の粒子径のゴム粒子の割合が11重量%であるブタジエ
ンゴムラテックス。重量平均粒子径は330nmであっ
た。pHは10.0であった。 (5)ゴム状重合体ラテックス(S−5) 電子顕微鏡写真により求めた320nm〜2000nm
の粒子径のゴム粒子の割合が3重量%であるブタジエン
ゴムラテックス。重量平均粒子径は170nmであっ
た。pHは10.1であった。 (6)ゴム状重合体ラテックス(S−6) ゴムラテックスS−2の固形分量70部に対してS−5
の固形分量30部をブレンドした。電子顕微鏡写真によ
り求めた320nm〜2000nmの粒子径のゴム粒子
の割合は59重量%であった。重量平均粒子径は280
nmであった。pHは10.1であった。
【0035】使用したゴムラテックスの性質を表1に示
す。
【0036】
【表1】 (ビニル共重合体T) (1)ビニル共重合体(T−1) 共重合体T−1中の組成は、IRスペクトルより、アク
リロニトリル30重量%、スチレン70重量%、またメ
チルエチルケトン中で測定した極限粘度(メチルエチル
ケトン100ml中に共重合体T−1を0.5g溶解し
た溶液、30℃)は0.39であった。 (2)ビニル共重合体(T−2) 共重合体T−2中の組成は、IRスペクトルより、アク
リロニトリル37重量%、スチレン63重量%、またメ
チルエチルケトン中で測定した極限粘度(メチルエチル
ケトン100ml中に共重合体T−1を0.5g溶解し
た溶液、30℃)は0.35であった。 (3)ビニル共重合体(T−3) アクリロニトリル18重量%、スチレン50重量%、N
−フェニルマレイミド32重量%の三元共重合体で、溶
液粘度(メチルエチルケトン溶媒にポリマー10重量%
での25℃における粘度)が6センチポイズであった。 (フェノール樹脂B) (1)フェノール樹脂(B−1) ノボラック型フェノール樹脂 (三井東圧(株)社製
1000WS)を用いた。 (2)フェノール樹脂は(B−2) レゾール系フェノール樹脂 (鐘紡(株)社製 ベルパ
ール S−890)を用いた。 (赤リン系難燃剤C) (1)赤リン系難燃剤(C−1) 燐化学工業(株)社製ノーバエクセル140を用いた。
リン含有量 92wt%であった。 (2)赤リン系難燃剤(C−2) 燐化学工業(株)社製ノーバレッド120UFAを用い
た。リン含有量 91wt%であった。 (水酸化マグネシウム系難燃剤D−1) 協和化学工業(株)社製 キスマ5Aを用いた。
【0037】
【実施例1〜5、比較例1〜2】(グラフト重合体とビ
ニル共重合体の混合物Gの製造) (G−1の製造) ゴムラテックスS−1(固形分)4
0部、(2)式で示される乳化剤0.2部、イオン交換
水100部を10リットル反応器に入れ、気相部を窒素
置換した後、この初期溶液を70℃に昇温した。重合前
のpHの調整は炭酸ガスを反応器内でバブルして調整し
た。次に以下に示す組成からなる水溶液1と単量体混合
液2を反応器に5時間にわたり連続的に添加し、重合初
期の乳化剤使用量が極めて少ない処方にて重合した。添
加終了後、1時間温度を保ち反応を完結させた。水溶液
1の組成は次の通りである。 硫酸第一鉄 0.005部 ソジウムフォルムアルデヒドスルホキシレート(SFS) 0.1部 エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム(EDTA) 0.05部 イオン交換水 50部 単量体混合液2の組成は次の通りである。 アクリロニトリル 18部 スチレン 42部 t−ドデシルメルカプタン(t−DM) 0.8部 クメンハイドロパーオキサイド(CHP) 0.1部 このようにして得られたGRCラテックスに、酸化防止
剤を添加した後、硫酸アルミニウムを加え凝固させ、水
洗浄、脱水した後、加熱乾燥し、GRC粉末を得た。得
られたグラフト重合体の表面グラフト被覆率、およびグ
ラフトの平均厚さを表2に示す。 (G−2〜7の製造) 使用するゴムラテックスおよび
組成を表2に示すように変えた以外はG−1と同様にし
て得た。得られたグラフト重合体の表面グラフト被覆
率、およびグラフトの平均厚さを表2に示す。
【0038】
【表2】 以上のように調製した各成分を表3に掲げる組成(単位
は重量部)にて、シリンダー温度が220℃に設定され
た2軸押出機で混練造粒した後、射出成形機(シリンダ
ー温度240℃、金型温度45℃)を用いて物性測定用
試験片、および燃焼試験用成形片を得た。表3に得られ
た試験片を用いて評価を行った結果を掲げる。なお、表
2中の重合条件はpHを示す。
【0039】
【表3】 実施例1〜5および比較例1〜2は、ゴム強化樹脂
(A)におけるゴム状重合体の320nm〜2000n
mの粒子の割合および重量平均粒子径の違いによる効果
を示している。実施例1〜5の樹脂組成物は、本発明の
範囲の難燃樹脂組成物であり難燃性および機械的強度の
指標であるアイゾット衝撃値、一撃ダートおよび加工流
動性の指標のメルトフローレート、耐薬品性のバランス
に優れている。これらの難燃樹脂組成物は、スチレン系
ゴム強化樹脂であるために塗装性が良好である。比較例
1〜2の難燃樹脂組成物は、ゴム強化樹脂(A)におけ
るゴム状重合体の320nm〜2000nmの粒子の割
合および重量平均粒子径が本発明の範囲外であるため、
耐衝撃性、メルトフローレート、耐薬品性のバランスが
不十分である。特に比較例1の樹脂組成物は、アイゾッ
ト衝撃強度とメルトフローレートのバランスは、実施例
5より若干劣っている程度であるが、一撃ダートが低い
ために実用強度が不十分である。
【0040】
【実施例6〜9、比較例3〜4】(G−8〜10の製
造) 使用するゴムラテックスおよび組成を表5に示す
ように変えた以外はG−1と同様にして得た。得られた
グラフト重合体の表面グラフト被覆率、およびグラフト
の平均厚さを表4に示す。
【0041】
【表4】 以上のように調製した各成分を表5に掲げる組成(単位
は重量部)にて、シリンダー温度が220℃に設定され
た2軸押出機で混練造粒した後、射出成形機(シリンダ
ー温度240℃、金型温度45℃)を用いて物性測定用
試験片、および燃焼試験用成形片を得た。表5に得られ
た試験片を用いて評価を行った結果を掲げる。
【0042】
【表5】 実施例6〜9、比較例3〜4は、ゴム状重合体にグラフ
トしたグラフト重合体の表面グラフト被覆率およびグラ
フトの平均厚さの違いによる効果を示している。実施例
6〜8の樹脂組成物は、グラフト重合体の表面グラフト
被覆率およびグラフトの平均厚さが本発明の範囲である
ために難燃性、機械的強度、加工流動性、耐薬品性バラ
ンスに優れた難燃樹脂組成物である。これらの難燃樹脂
組成物は、スチレン系ゴム強化樹脂であるために塗装性
が良好である。比較例3は、表面グラフト被覆率が本発
明の範囲外であるために、難燃性、加工流動性バランス
が不十分である。比較例4は、グラフトの平均厚さが本
発明の範囲外であるため、難燃性は良好であるが、耐衝
撃性、加工流動性バランスが不十分である。実施例6
は、一撃ダートの値が比較例4に比較して低いが、難燃
性、剛性、加工流動性バランスに優れる。
【0043】
【実施例10〜16、比較例5〜11】実施例1〜5で
用いたGRCのG−6および各成分を表6、表7に掲げ
る組成(単位は重量部)にて、シリンダー温度が220
℃に設定された2軸押出機で混練造粒した後、射出成形
機(シリンダー温度240℃、金型温度45℃)を用い
て物性測定用試験片、および燃焼試験用成形片を得た。
表5に得られた試験片を用いて評価を行った結果を掲げ
る。
【0044】
【表6】
【0045】
【表7】 実施例10〜16、比較例5〜11は、フェノール樹脂
(B)および赤リン系難燃剤(C)の添加量および比率
の違いによる効果を示している。実施例9〜15の樹脂
組成物は、(B)+(C)および(C)/(B)の値が
本発明の範囲であるため、難燃性、機械的強度、加工流
動性、耐薬品性バランスに優れた難燃樹脂組成物であ
る。これらの難燃樹脂組成物は、スチレン系ゴム強化樹
脂であるために塗装性が良好である。比較例5、8は
(C)/(B)の値が本発明の範囲外であるため、耐薬
品性と難燃性バランスが不十分である。比較例6、9
は、(C)/(B)の値が本発明の範囲を越えるため、
機械的強度、難燃性、加工流動性、耐薬品性バランスが
不十分である。比較例7は、(B)+(C)の含有量が
本発明の範囲を越えるため衝撃強度、加工流動性が不十
分である。比較例10は、(D)の含有量が本発明の範
囲外であるために、耐薬品性、剛性バランスが不十分で
ある。比較例11は、(D)の含有量が本発明の範囲を
越えるため、加工流動性、機械的強度の耐衝撃性バラン
スが不十分である。
【0046】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性、
加工流動性、機械的強度、耐薬品性バランスに優れる。
この効果は、ゴム強化樹脂とフェノール樹脂、赤リン系
難燃剤、水酸化マグネシウム系難燃剤の組み合わせによ
る組成物において、重量平均粒子径200nm〜150
0nm、320nm〜2000nmのゴム粒子の割合が
20wt%以上であるゴム状重合体に、ビニル化合物を
グラフト共重合して得られるグラフト重合体の表面グラ
フト被覆率が80%以上で、かつ上記ゴム状重合体表面
にグラフト重合しているビニル化合物の平均厚みが5〜
25nmであることを特徴とするグラフト重合体をゴム
強化樹脂の成分とし、さらにフェノール樹脂および赤リ
ン系難燃剤の合計の添加量およびその比率、水酸化マグ
ネシウム系難燃剤を特定の範囲にすることで達成しう
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面グラフト被覆率およびビニル化合
物の被覆厚さを求めるための具体的解析例を示す図であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スチレン系ゴム強化樹脂(A)、フェノ
    ール樹脂(B)、赤リン系難燃剤(C)および水酸化マ
    グネシウム系難燃剤(D)からなり、スチレン系ゴム強
    化樹脂(A)100重量部に対し、フェノール樹脂
    (B)および赤リン系難燃剤(C)の合計量が1〜30
    重量部、および水酸化マグネシウム系難燃剤(D)が1
    〜35重量部であり、かつ赤リン系難燃剤(C)/フェ
    ノール樹脂(B)の配合比が1〜20である難燃性樹脂
    組成物において、スチレン系ゴム強化樹脂(A)は32
    0〜2000nmのゴム粒子の割合が20wt%以上で
    ある重量平均粒子径200〜1500nmのゴム粒子
    に、ビニル化合物をグラフト共重合して得られるグラフ
    ト重合体を含んでなり、該ゴム粒子にグラフト重合して
    いるビニル化合物の下記(イ)式により定義される表面
    グラフト被覆率が80%以上で、かつ該ゴム粒子表面に
    グラフト重合しているビニル化合物の平均厚みが5〜2
    5nmであることを特徴とする難燃性樹脂組成物であ
    る。 表面グラフト被覆率(%)=(s/S)×100 (イ) (ここで、Sはゴム状重合体の表面積、sはゴム状重合
    体表面にグラフトし、被覆しているビニル化合物の表面
    積)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のビニル化合物が、スチレ
    ンおよびアクリロニトリルを含む請求項1記載の難燃性
    樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のビニル化合物が、スチレ
    ンおよびアクリロニトリルを含み、スチレン系ゴム強化
    樹脂(A)におけるゴム状重合体の含有量が15〜25
    重量%である請求項1および2記載の難燃性樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のフェノール樹脂(B)
    が、ノボラック型フェノール樹脂である請求項1〜3記
    載の難燃性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のフェノール樹脂(B)
    が、ノボラック型フェノール樹脂であり、赤リン系難燃
    剤(C)/フェノール樹脂(B)の配合比が2〜5であ
    る請求項1〜4記載の難燃性樹脂組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100683129B1 (ko) 2006-03-30 2007-02-15 주식회사 지케이엘 난연성 스티렌계 수지의 제조방법 및 그에 의해 제조된조성물
JP2012046648A (ja) * 2010-08-27 2012-03-08 Nippon A&L Inc 熱可塑性樹脂組成物及び樹脂成形品

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