JP2001081219A - 酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法 - Google Patents

酸化アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高透明性を有し、かつ酸素ガスバリア性、水
蒸気バリア性等に優れ、特に、環境温度が変化しても水
蒸気バリア性の変化が少ない酸化アルミニウム蒸着フィ
ルム及びその製造法を提供する。 【解決手段】 基材フィルム4の表面にアルミニウム蒸
気と酸素とを気相中で反応させて酸化アルミニウム蒸着
膜21を形成した蒸着フィルムで、蒸着フィルムの50
0nmでの全光線透過率を基材フィルム4に対し90〜
98%の微着色状態になるようにインラインで調整しな
がら蒸着膜を形成し、かつ、蒸着フィルムを蒸着膜を内
側にして巻取り、次に、蒸着膜を外側に巻返した後、温
度35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの環境
下、48時間以上放置し、蒸着フィルムの500nmで
の全光線透過率を99%以上に改質させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化アルミニウム
蒸着フィルムおよびその製造法に関し、更に詳しくは、
高い透明性を有し、かつ、酸素ガスバリア性、水蒸気バ
リア性等に優れ、特に、環境温度が変化しても水蒸気バ
リア性の変化が少ない温度依存性に優れた酸化アルミニ
ウム蒸着フィルムおよびその製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア
性等に優れた包装用材料として種々のものが開発され、
提案されているが、それらの一つとして、近年、酸化ア
ルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、あるいは、酸化
ケイ素蒸着ポリエステルフィルム等の無機酸化物の蒸着
膜を有する蒸着フィルムが知られている。而して、上記
の酸化アルミニウム蒸着ポリエステルフィルムは、酸化
ケイ素蒸着ポリエステルフィルムと比較して、ボイル包
装適性、あるいは、レトルト包装適性等に優れ、更に、
透明性等にも優れていることから、近年、軟包装分野に
おいて、広範に使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の酸化
アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム等の酸化アルミ
ニウム蒸着フィルムにおいて、高い透明性を有する酸化
アルミニウム蒸着フィルムを製造するために、例えば、
酸化アルミニウムを蒸発源として蒸着する場合がある
が、この場合には、透明性に優れたものを製造すること
はできるという利点を有するが、酸化アルミニウムの蒸
発温度が高く、かつ、その熱効率が著しく劣ることか
ら、高コストになるという問題点があり、更に、蒸着時
に基材フィルムへの熱的影響が大きいという問題点もあ
る。このため、基材フィルムの上に、気相中で酸化アル
ミニウム蒸気と酸素ガスとを反応させながら酸化アルミ
ニウムの蒸着膜を形成する反応蒸着方法が知られている
が、この場合、酸素ガスの供給量が多いと、高透明な酸
化アルミニウム蒸着フィルムを製造することができる
が、酸素ガスバリア性等が劣るという問題点があり、ま
た、酸素ガスの供給量が少ないと酸素ガスバリア性等は
良くなるが、透明性が劣り、更に、透明性を高めるため
に、空気中に放置して完全に酸化させることも試みられ
ているが、この場合には、その処理に長時間を必要と
し、コスト的に問題点がある。また、蒸着インラインで
酸化アルミニウム蒸着膜面に酸素プラズマを照射し、そ
の蒸着膜面に、反応性の高い高活性酸素を導入し、酸化
アルミニウムと水酸化アルミニウムとからなる複合膜を
形成する方法も知られているが、この場合には、複合膜
が、よりアモルファスになり、例えば、温度変化により
酸素ガスバリア性が大きく変化し、温度依存性の高い、
使用性に劣る複合膜になるという問題点がある。更にま
た、蒸着オフラインで酸化アルミニウム蒸着膜面を処理
することにより、上記と同様に、酸化アルミニウムと水
酸化アルミニウムとからなる複合膜を形成する方法も知
られているが、この場合においても、上記と同様に、温
度依存性が高くなり、高温において酸素ガスバリア性が
劣化する複合膜になるという問題点がある。いずれにし
ても、酸化アルミニウム蒸着フィルムは、その酸化アル
ミニウム蒸着膜が、高い透明性を有するという利点があ
るが、酸素ガスバリア性等において酸化ケイ素蒸着樹脂
フィルムよりも劣り、酸素ガスバリア性、水蒸気ガスバ
リア性等について、酸化ケイ素蒸着樹脂フィルムに及ば
ないものである。また、酸化アルミニウム蒸着フィルム
において、その酸素ガスバリア性、水蒸気ガスバリア性
等を上げるために、酸化アルミニウム蒸着膜の膜厚を厚
くすることも試みられているが、酸化アルミニウム蒸着
膜の膜硬度が高く、例えば、積層ラミネ−ト加工、ある
いは、製袋加工等の後加工工程において酸化アルミニウ
ム蒸着膜にクラックが発生し、その要をなさないという
問題点がある。更に、基材フィルムの表面に、予め、蒸
着用アンダ−コ−ト剤等をコ−ティングし、酸化アルミ
ニウム蒸着膜あるいは酸化ケイ素蒸着膜等との密着強度
等を向上させて、その酸素ガスバリア性、水蒸気ガスバ
リア性等を向上させることも試みられているが、酸化ア
ルミニウム蒸着膜の場合には、その効果が認められない
ものである。そこで本発明は、高い透明性を有し、か
つ、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優れ、特
に、環境温度が変化しても水蒸気バリア性の変化が少な
い温度依存性が充分に小さい酸化アルミニウム蒸着フィ
ルムおよびその製造法を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な問題点を解決すべく種々検討の結果、基材フィルムの
片面に、アルミニウム蒸気と酸素とを気相中で反応させ
ながらその反応系をインラインで調整して、得られる蒸
着フィルムの500nmでの全光線透過率を、上記の基
材フィルムの500nmでの全光線透過率を100とし
たときに、90〜98%の範囲の全光線透過率を有する
微着色状態である酸化アルミニウムの蒸着膜を形成して
蒸着フィルムを製造し、次いで、該蒸着フィルムを、そ
の酸化アルミニウムの蒸着膜面を内側にして巻き取り、
次に、該酸化アルミニウムの蒸着膜面が外側になるよう
に巻き返し、しかる後、上記の巻き返した蒸着フィルム
を温度35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの環
境中に48時間以上放置して恒温恒湿処理することによ
り蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着膜を
高透明化し、当該蒸着フィルムの500nmでの全光線
透過率を99%以上に改質させてなる酸化アルミニウム
蒸着フィルムを製造したところ、極めて高い透明性を有
し、更に、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等に優
れ、特に、環境温度が変化しても水蒸気バリア性の変化
が少ない温度依存性が充分に小さい酸化アルミニウム蒸
着フィルムを見出して本発明を完成したものである。
【0005】すなわち、本発明は、基材フィルムの片面
に、アルミニウム蒸気と酸素とを気相中で反応させて酸
化アルミニウムの蒸着膜を形成した蒸着フィルムであ
り、更に、該蒸着フィルムが、その500nmでの全光
線透過率を、基材フィルムの500nmでの全光線透過
率を100としたときに、90〜98%の微着色状態に
なるようにインラインで調整しながら酸化アルミニウム
の蒸着膜を形成した蒸着フィルムからなり、かつ、該蒸
着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜を内側に
して巻き取り、次に、その酸化アルミニウムの蒸着膜を
外側に巻き返した後、温度35〜45℃、相対湿度80
〜100%RHの環境中に48時間以上放置して、該蒸
着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着膜を高透
明化し、当該蒸着フィルムの500nmでの全光線透過
率を99%以上に改質させてなることを特徴とする酸化
アルミニウム蒸着フィルムおよびその製造法等に関する
ものである。
【0006】
【発明の実施の形態】上記の本発明について以下に更に
詳しく説明する。まず、本発明にかかる酸化アルミニウ
ム蒸着フィルムの製造法について説明すると、本発明に
かかる酸化アルミニウム蒸着フィルムは、まず、真空蒸
着装置等を使用し、基材フィルムの片面に、アルミニウ
ム蒸気と酸素とを気相中で反応させながらその反応系を
インラインで調整して、得られる蒸着フィルムの500
nmでの全光線透過率を、上記の基材フィルムの500
nmでの全光線透過率を100としたときに、90〜9
8%の範囲の全光線透過率を有する微着色状態である酸
化アルミニウムの蒸着膜を形成して蒸着フィルムを製造
し、次いで、該蒸着フィルムを、その酸化アルミニウム
の蒸着膜面を内側にして巻き取り、次に、更に、該酸化
アルミニウムの蒸着膜面が外側になるように巻き返し、
しかる後、上記の巻き返した蒸着フィルムを温度35〜
45℃、相対湿度80〜100%RHの環境中に48時
間以上放置して恒温恒湿処理を施すことにより製造する
ことができるものである。
【0007】上記の本発明にかかる酸化アルミニウム蒸
着フィルムの製造法について、その一例である巻き取り
式真空蒸着機を例示して更に具体的に説明すると、図1
に示すように、巻き取り式真空蒸着装置1の真空チャン
バ−2の中で、巻き出しロ−ル3から繰り出す基材フィ
ルム4は、ガイドロ−ル5、6を介して、冷却したコ−
ティングドラム7に案内され、ここで、るつぼ8で蒸着
源9として熱せられたアルミニウム(金属)を蒸発さ
せ、その際に、酸素吹き出し口10より酸素ガス等を供
給し、上記のアルミニウム蒸気と酸素ガスとを反応させ
ながら、冷却したコ−ティングドラム7上の基材フィル
ム4の表面に、マスク11、11を介して酸化アルミニ
ウムの蒸着膜を成膜化し、次いで、該酸化アルミニウム
の蒸着膜を形成した基材フィルム4を、その酸化アルミ
ニウムの蒸着膜を内側にして、ガイドロ−ル5´、6´
を介して、巻き取りロ−ル12に巻き取って、基材フィ
ルム4の上に酸化アルミニウムの蒸着膜を形成してなる
蒸着フィルを製造する。而して、本発明においては、上
記で製造した蒸着フィルムは、その酸化アルミニウムの
蒸着膜が完全に透明ではないことから、その透明化をオ
フラインで行うものである。すなわち、本発明において
は、図示しないが、上記で製造した蒸着フィルムを真空
チャンバ−から取り出した後、巻き返し機等を使用し
て、その酸化アルミニウムの蒸着膜面が外側になるよう
に巻き返し、しかる後、その巻き返した蒸着フィルムを
温度35〜45℃の範囲で、相対湿度80〜100%の
範囲の一定条件下において48時間以上放置して恒温恒
湿処理を施して該蒸着フィルムを構成する酸化アルミニ
ウムの蒸着膜を高透明化し、当該蒸着フィルムの500
nmでの全光線透過率を99%以上に改質させて、本発
明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造するも
のである。本発明においては、上記の巻き返しの段階
で、酸化アルミニウムの蒸着膜面が空気と接触し、該酸
化アルミニウムの蒸着膜に存在する10Å以下の細孔に
空気中の酸素が取り込まれ、更に、温度35〜45℃の
範囲で、相対湿度80〜100%の範囲の一定条件下に
おいて48時間以上放置して恒温恒湿処理することによ
り、酸化アルミニウムの蒸着膜に水蒸気を接触させるこ
とにより、アモルファスな酸化アルミニウムの蒸着膜に
改質することを可能とするものである。
【0008】上記の製造法において、基材フィルムとし
ては、無色透明な各種の樹脂のフィルムないしシ−トを
使用することができ、具体的には、例えば、ポリエチレ
ンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、
ポリエチレンテレフタレ−トあるいはポリエチレンナフ
タレ−ト等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、
ポリカ−ボネ−ト系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィ
ルムないしシ−トを使用することができる。この樹脂の
フィルムないしシ−トは、単層、あるいは、2層以上の
共押し出し法で製膜したもの、あるいは、例えば、フラ
ット法による逐次2軸延伸法、同時2軸延伸法、チュ−
ブラ−同時2軸延伸法等を利用して二軸方向に延伸加工
されているもの等を使用することができ、更に、その厚
さとしては、フィルムないしシ−トの製造時の安定性等
から、約7〜100μm位、好ましくは、9〜25μm
位が望ましい。また、上記の樹脂のフィルムないしシ−
トとしては、必要ならば、その表面に、例えば、コロナ
放電処理、プラズマ処理、フレ−ム処理、その他等の表
面活性処理を任意に施すことができる。また、本発明に
おいては、蒸着膜との強固を密着強度を達成するため
に、例えば、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ
系、アミン系、その他等のアンカ−コ−ト剤を第1の薄
膜を形成する蒸着工程で、インライン、あるいは、オフ
ラインで形成することもできる。更に、本発明において
は、用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収
剤、可塑剤、滑剤、充填剤、その他等の所望の添加剤
を、その透明性に影響しない範囲内で任意に添加し、そ
れらを含有する樹脂のフィルムないしシ−ト等も使用す
ることができる。
【0009】而して、本発明においては、基材フィルム
としては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トの
中でも、テレフタル酸とエチレングリコ−ルとの縮合反
応で得られるポリエチレンテレフタレ−トフィルム等の
ジカルボン酸の酸成分とジオ−ルのアルコ−ル成分との
脱水縮合物であるポリエステル系樹脂のフィルムないし
シ−トを使用することが望ましいものである。上記のポ
リエステル系樹脂としては、その目的に応じて、例え
ば、酸成分、あるいは、アルコ−ル成分に他の成分を使
用したり、あるいは、部分的に多成分を使用してコポリ
マ−とすることもできる。更に、上記のポリエステル系
樹脂のフィルムないしシ−トとしては、通常の一般タイ
プのものの他、透明タイプ、易接着性タイプ、レトルト
タイプ、その他、特殊なタイプのもの等のいずれのもで
も使用することができる。
【0010】次に、本発明において、本発明にかかる酸
化アルミニウム蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウ
ムの蒸着膜としては、透明性に優れ、非結晶性の酸化ア
ルミニウムの蒸着膜が好ましく、具体的には、式AlO
X (ただし、式中、Xは、1〜1.5の数を表す。)で
表される酸化アルミニウムの蒸着膜が好ましいものであ
る。また、本発明において、上記の酸化アルミニウムの
蒸着膜の膜厚としては、50〜500Å位、より好まし
くは、150〜300Å位が望ましく、而して、上記に
おいて、300Åより厚くなると、その膜の可撓性が低
下し、膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくな
く、また、150Å未満であると、そのバリア性等の効
果を奏することが困難になることから好ましくないもの
である。而して、本発明において、上記の酸化アルミニ
ウムの蒸着膜は、具体的には、例えば、蒸着原料として
アルミニウムを用い、エレクトロンビ−ムガン等でアル
ミニウムを蒸発させ、そのアルミニウムの蒸発気相中に
酸素ガス等を供給することでアルミニウムを酸化させ
て、基材フィルムの上に酸化アルミニウムの蒸着膜を低
コストで良好に形成するものである。上記において、酸
化反応を効率的に行うためには、マイクロウエ−ブ波を
照射しながら蒸着する方法も利用することができる。本
発明において、上記の蒸着法としては、例えば、真空蒸
着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法等の
物理気相成長法(物理気相成長法、Physical
Vapor Deposition法、PVD法)によ
って、酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、これを使用
することができる。また、上記において、蒸着原料の加
熱方式としては、例えば、エレクトロンビ−ム(EB)
方式、高周波誘導加熱方式、抵抗加熱方式等を用いるこ
とができ、本発明においては、熱効率が良く、高速で蒸
着が可能なエレクトロンビ−ム方式の真空蒸着法がより
好ましいものである。
【0011】ところで、本発明にかかる酸化アルミニウ
ム蒸着フィルムにおいて、酸化アルミニウムの蒸着膜の
透明性は、アルミニウムと反応させる酸素ガスの供給量
によって決まるものであり、酸素ガスの供給量が多い
と、透明性は良好になるが酸素ガスバリア性は悪くな
り、また、酸素ガスの供給量が少ないと、酸素ガスバリ
ア性良好になるが、透明性は悪化することになるもので
ある。而して、本発明においては、蒸着インラインで酸
素ガスの供給量を調整し、蒸着フィルムの500nmで
の全光線透過率を、上記の基材フィルムの500nmで
の全光線透過率を100としたときに、90〜98%の
範囲、好ましくは、94〜97%の範囲の全光線透過率
を有する微着色状態である酸化アルミニウムの蒸着膜を
形成するものである。本発明においては、上記で酸化ア
ルミニウム蒸着膜を形成した基材フィルムを、その酸化
アルミニウムの蒸着膜面を内側にして巻き取り、しかる
後、更に、該酸化アルミニウムの蒸着膜面が外側になる
ように巻き返し、次いで、上記の巻き返した蒸着フィル
ムを温度35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの
環境中に48時間以上放置して恒温恒湿処理することに
より、該蒸着フィルムの全光線透過率を99%以上に調
整して、本発明にかかる高透明性を有する酸化アルミニ
ウム蒸着フィルムを製造することができるものである。
【0012】而して、本発明において、上記のような製
造法で得られる本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フ
ィルムAは、図2の概略的断面図で示すように、基材フ
ィルム4の片面に、アルミニウム蒸気と酸素とを気相中
で反応させてなる酸化アルミニウムの蒸着膜21を設け
た蒸着フィルムからなり、更に、その酸化アルミニウム
の蒸着膜面の巻き返しを反転させて恒温恒湿処理してな
るものである。上記の酸化アルミニウム蒸着フィルム
は、その500nmでの全光線透過率が、99%以上の
高透明性を有し、かつ、23℃/100%RHおよび3
8℃/100%RHの2温度帯における各々の水蒸気透
過度を基に、酸化アルミニウム蒸着フィルムが、酸化ア
ルミニウムの蒸着膜と基材フィルムとからなる2層構成
の複合フィルムからなると仮定して得られる酸化アルミ
ニウムの蒸着膜の23℃/100%RHにおける水蒸気
透過係数(P23)が、38℃/100%RHにおける
水蒸気透過係数(P38)よりも常に小さく、23〜3
8℃の温度帯において発熱的な水蒸気透過性を示す酸化
アルミニウムの蒸着膜であり、更に、上記の酸化アルミ
ニウムの蒸着膜の23℃/100%RHにおける水蒸気
透過係数(P23)が、1×10-17 〜3.0×10
-17 g・cm2 /cm・sec・cmHgの範囲にあ
り、また、上記の酸化アルミニウム蒸着膜の38℃/1
00%RHにおける水蒸気透過係数(P38)が、5×
10-17 〜7×10-17 g・cm2/cm・sec・c
mHgの範囲にあり、かつ、酸化アルミニウムの蒸着膜
の水蒸気透過係数の温度変化が、アレニウスの式による
その見掛けの活性化エネルギ−が、20kcal/mo
l以下で温度依存性の低い酸化アルミニウムの蒸着膜か
らなることを特徴とする酸化アルミニウム蒸着フィルム
にかかるものである。
【0013】上記の本発明にかかる酸化アルミニウム蒸
着フィルムについて、下記の方法で酸化アルミニウムの
蒸着膜の水蒸気透過係数を測定した。まず、本発明にか
かる酸化アルミニウム蒸着フィルムについて、その水蒸
気透過度をモコン(MOCON)法で、米国、モダンコ
ントロ−ル(MODERNCONTROL)社製の水蒸
気透過度測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMTR
AN)3/31〕を使用して測定した。本発明において
は、上記の測定の前に、本発明にかかる酸化アルミニウ
ム蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着膜の
膜厚を蛍光X線分析法にかかる絶対検量線法で測定し
た。また、本発明において、上記のモコン法における測
定条件としては、酸化アルミニウムの蒸着膜面を水蒸気
側に、また、基材フィルム面を窒素ガス側になるように
測定セルに取り付け、温度23℃と38℃の2温度帯
で、相対湿度をいずれの場合も100%RHの条件に設
定して測定した。次に、本発明においては、上記のよう
な測定とは別に、ポリエステル系樹脂フィルム等の基材
フィルムの水蒸気透過度を上記と同じ条件で測定した。
本発明において、水蒸気透過度(g/m2 ・day・a
tm)から水蒸気透過係数(g・m2 /cm・sec・
cmHg)への変換は、測定サンプルの膜厚を水蒸気透
過度に加味して、1辺が1cmの立方体に換算して水蒸
気の圧力分圧差が1cmHgの場合の水蒸気の透過量
(標準状態、℃/1atm)を計算することで得られる
(『包装技術便覧』、発行所、日本包装技術協会、発行
日、1995年7月1日、第1340頁〜第1355頁
参照)。ここで、酸化アルミニウムの蒸着膜のみの水蒸
気透過係数は、次の式を基に計算される。 L/P=a1/p1+a2/p2 上記の式において、Lは、酸化アルミニウム蒸着フィル
ムの厚さ(a1+a2)を表し、a1は、酸化アルミニ
ウムの蒸着膜の厚さを表し、a2は、基材フィルムの厚
さを表し、Pは、酸化アルミニウム蒸着フィルムの水蒸
気透過係数を表し、p1は、目的とする酸化アルミニウ
ムの蒸着膜の水蒸気透過係数を表し、p2は、基材フィ
ルムの水蒸気透過係数を表す。上記のようにして得た酸
化アルミニウムの蒸着膜の23℃と38℃における水蒸
気透過係数をそれぞれP23とP38とすると、酸化アルミ
ニウムの蒸着膜の水蒸気透過の活性化エネルギ−は、次
の式で表すアレニウスの式も基に計算される。 LogP23/P38=−E/2.303R(1/T1 −1
/T2 ) 上記の式において、Eは、自由エネルギ−(cal/m
ol)を表し、Rは、気体定数(1.987cal・K
-1・mol-1)を表し、T1 は、23℃の絶対温度(°
K)を表し、T2 は、38℃の絶対温度(°K)を表わ
す。
【0014】而して、本発明にかかる酸化アルミニウム
蒸着フィルムは、上記のような測定により、前述のよう
に、基材フィルムの片面に、アルミニウム蒸気と酸素と
を気相中で反応させてなる酸化アルミニウムの蒸着膜を
設けた酸化アルミニウム蒸着フィルムであり、更に、該
酸化アルミニウム蒸着フィルムは、その500nmでの
全光線透過率が、99%以上の高透明性を有し、かつ、
23℃/100%RHおよび38℃/100%RHの2
温度帯における各々の水蒸気透過度を基に、酸化アルミ
ニウム蒸着フィルムを構成する酸化アルミニウムの蒸着
膜の23℃/100%RHにおける水蒸気透過度が、酸
化アルミニウムの蒸着膜の38℃/100%RHにおけ
る水蒸気透過度より常に小さく、更に、23〜38℃の
温度帯では発熱的な水蒸気透過性を示す酸化アルミニウ
ムの蒸着膜であり、更に、酸化アルミニウムの蒸着膜の
23℃/100%RHにおける水蒸気透過度が、1×1
-17 〜3.0×10-17 g・cm2 /cm・sec・
cmHgの範囲にあり、また、酸化アルミニウムの蒸着
膜の38℃/100%RHにおける水蒸気透過度が、5
×10-17 〜7×10-16 g・cm2 /cm・sec・
cmHgの範囲にあり、かつ、酸化アルミニウムの蒸着
膜の水蒸気透過係数の温度変化が、アレニウスの式によ
るその見掛けの活性化エネルギ−が、20kcal/m
ol以下で温度依存性の低い酸化アルミニウムの蒸着膜
であることを特徴とする酸化アルミニウム蒸着フィルム
にかかるものである。
【0015】上記のようにして製造した本発明にかかる
酸化アルミニウム蒸着フィルムは、例えば、樹脂のフィ
ルム、紙基材、金属素材、合成紙、セロハン、その他等
の包装用容器を構成する包装用素材等と任意に組み合わ
せて、例えば、ラミネ−トして種々の複合フィルムを製
造し、種々の物品を充填包装するに適した包装材料を製
造可能とするものである。上記の樹脂のフィルムとして
は、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエ
チレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹
脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−
アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、酸変性ポリオ
レフィン系樹脂、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン
系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹
脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニ
リデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリア
クリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロ
ニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹
脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ
−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、
ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系
樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィ
ルムないしシ−トから任意に選択して使用することがで
きる。本発明において、上記のフィルムないしシ−ト
は、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等の
いずれのものでも使用することができる。また、その厚
さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲か
ら選択して使用することができる。更に、本発明におい
ては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、
インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性
状の膜でもよい。また、上記において、紙基材として
は、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、ある
いは純白ロ−ル紙、クラフト紙、板紙、加工紙等の紙基
材、その他等を使用することができる。上記において、
紙層を構成する紙基材としては、坪量約80〜600g
/m2位のもの、好ましくは、坪量約100〜450g
/m2 位のものを使用することが望ましい。また、上記
にといて、金属素材としては、例えば、アルミニウム
箔、あるいは、アルミニウム蒸着膜を有する樹脂のフィ
ルム等を使用することができる。
【0016】次に、上記の本発明において、上記のよう
な材料を使用して複合フィルムを製造する方法について
説明すると、かかる方法としては、通常の包装材料をラ
ミネ−トする方法、例えば、ウエットラミネ−ション
法、ドライラミネ−ション法、無溶剤型ドライラミネ−
ション法、押し出しラミネ−ション法、Tダイ押し出し
成形法、共押し出しラミネ−ション法、インフレ−ショ
ン法、共押し出しインフレ−ション法、その他等で行う
ことができる。而して、本発明においては、上記の積層
を行う際に、必要ならば、例えば、コロナ処理、オゾン
処理、フレ−ム処理、その他等の前処理をフィルムに施
すことができ、また、例えば、ポリエステル系、イソシ
アネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポ
リブタジェン系、有機チタン系等のアンカ−コ−ティン
グ剤、あるいはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリ
エステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロ−
ス系、その他等のラミネ−ト用接着剤等の公知のアンカ
−コ−ト剤、接着剤等を使用することができる。
【0017】次に、本発明において、上記のような複合
フィルムを使用して製袋ないし製函する方法について説
明すると、例えば、包装用容器がプラスチックフィルム
等からなる軟包装袋の場合、上記のような方法で製造し
た複合フィルムを使用し、その内層のヒ−トシ−ル性樹
脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはそ
の二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒ−トシ−ル
してシ−ル部を設けて袋体を構成することができる。而
して、その製袋方法としては、上記の複合フィルムを、
その内層の面を対向させて折り曲げるか、あるいはその
二枚を重ね合わせ、更にその外周の周辺端部を、例え
ば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方
シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ
−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ
−ル型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−
ルして、本発明にかかる種々の形態の包装用容器を製造
することができる。その他、例えば、自立性包装袋(ス
タンディングパウチ)等も製造することが可能であり、
更に、本発明においては、上記の複合フィルムを使用し
てチュ−ブ容器等も製造することができる。上記におい
て、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−
ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−
ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行う
ことができる。なお、本発明においては、上記のような
包装用容器には、例えば、ワンピ−スタイプ、ツウ−ピ
−スタイプ、その他等の注出口、あるいは開閉用ジッパ
−等を任意に取り付けることができる。
【0018】次にまた、包装用容器として、紙基材を含
む液体充填用紙容器の場合、例えば、積層材として、紙
基材を積層した複合フィルムを製造し、これから所望の
紙容器を製造するブランク板を製造し、しかる後該ブラ
ンク板を使用して胴部、底部、頭部等を製函して、例え
ば、ブリックタイプ、フラットタイプあるいはゲ−ベル
トップタイプの液体用紙容器等を製造することができ
る。また、その形状は、角形容器、丸形等の円筒状の紙
缶等のいずれのものでも製造することができる。
【0019】本発明において、上記のようにして製造し
た包装用容器は、透明性、酸素、水蒸気等に対するガス
バリア性、耐衝撃性等に優れ、更に、ラミネ−ト加工、
印刷加工、製袋ないし製函加工等の後加工適性を有し、
また、バリア性膜としての蒸着薄膜の剥離を防止し、か
つ、その熱的クラックの発生を阻止し、その劣化を防止
して、バリア性膜として優れた耐性を発揮し、例えば、
飲食品、医薬品、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き、
接着剤、粘着剤等の化学品ないし化粧品、その他等の種
々の物品の充填包装適性、保存適性等に優れているもの
である。
【0020】
【実施例】次に本発明について以下に実施例を挙げて更
に詳しく説明する。 実施例1〜3 (1).基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸
ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(500nmにお
ける全光線透過率=91.2%)を使用し、これをエレ
クトロンビ−ム(EB)加熱方式の物理気相成長法(P
VD)による真空蒸着機の送り出しロ−ルに装着し、下
記の条件で3種の蒸着フィルムを製造した。 蒸着原料:アルミニウム 真空チャンバ−内の真空度:2.3×10-3mbar 酸素ガス導入前の真空チャンバ−内の真空度:2.9×10-4mbar 酸素ガス導入後の真空チャンバ−内の真空度:4.3×10-4mbar 基材フィルムの搬送速度:580m/min(実施例1) 500m/min(実施例2) 460m/min(実施例3) 基材フィルムの蒸着面:コロナ処理面 (2).上記で製造した各蒸着フィルムを、その酸化ア
ルミニウムの蒸着膜面を内側にして巻き取り、しかる後
該蒸着フィルムを蒸着機より取り出し、次いで該蒸着フ
ィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を外側にし
て巻き返した後、40℃/90%RHの恒温恒湿条件に
3日間保管して恒温恒湿処理して、3種の本発明にかか
る酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造した。 (3).次に、上記で製造した各酸化アルミニウム蒸着
フィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜面に、厚さ50μ
mの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)をドライ
ラミネ−ション法で積層して、下記の層構成からなる3
種の本発明にかかる複合フィルムを製造した。 上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン
系接着剤を用い、接着剤量は、4.5g/m2 (固形分
量)とした。厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレ
フタレ−トフィルム・酸化アルミニウム蒸着膜/接着剤
層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0021】実施例4〜6 (1).上記の実施例1〜3において製造した蒸着フィ
ルムを35℃/80%RHの恒温恒湿条件に7日間保管
して恒温恒湿処理する条件とした他は、上記の実施例1
〜3と同様にして、実施例4〜6の3種の本発明にかか
る酸化アルミニウム蒸着フィルムを製造した。 (2).次に、上記で製造した各酸化アルミニウム蒸着
フィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜面に、厚さ60μ
mの無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)をドライ
ラミネ−ション法で積層して、下記の層構成からなる3
種の本発明にかかる複合フィルムを製造した。上記にお
いて、接着剤としては、2液硬化型のウレタン系接着剤
を用い、接着剤量は、3.5g/m2 (固形分量)とし
た。厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレ−
トフィルム・酸化アルミニウム蒸着膜/接着剤層/厚さ
60μmの無延伸ポリプロピレンフィルム
【0022】比較例1〜3 (1).基材フィルムとして、厚さ12μmの2軸延伸
ポリエチレンテレフタレ−トフィルム(500nmにお
ける全光線透過率=91.2%)を使用し、これをエレ
クトロンビ−ム(EB)加熱方式のPVD真空蒸着機の
送り出しロ−ルに装着し、下記の条件で3種の蒸着フィ
ルムを製造した。なお、酸素ガス供給量を調整し、蒸着
フィルムの全光線透過率が、上記の実施例1〜3よりも
高い透過率になるように調整した。 蒸着原料:アルミニウム 真空チャンバ−内の真空度:2.3×10-3mbar 酸素ガス導入前の真空チャンバ−内の真空度:2.9×10-4mbar 酸素ガス導入後の真空チャンバ−内の真空度:4.3×10-4mbar 基材フィルムの搬送速度:580m/min(比較例1) 500m/min(比較例2) 460m/min(比較例3) 基材フィルムの蒸着面:コロナ処理面 (2).上記で製造した各蒸着フィルムを、その酸化ア
ルミニウム蒸着膜面を内側にして巻き取り、しかる後該
蒸着フィルムを蒸着機より取り出し、次いで蒸着フィル
ムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を外側にして巻
き返した後、40℃/90%RHの恒温恒湿条件に3日
間保管して恒温恒湿処理して、3種の酸化アルミニウム
蒸着フィルムを製造した。 (3).次に、上記で製造した各酸化アルミニウム蒸着
フィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜面に、厚さ50μ
mの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)をドライ
ラミネ−ション法で積層して、下記の層構成からなる3
種の複合フィルムを製造した。 上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン
系接着剤を用い、接着剤量は、4.5g/m2 (固形分
量)とした。厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレ
フタレ−トフィルム・酸化アルミニウム蒸着膜/接着剤
層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0023】比較例4〜5 (1).上記の実施例1において製造した蒸着フィルム
を巻き返し操作を行わないで、蒸着機から取り出して、
そのままの状態で40℃/90%RHの恒温恒湿条件に
7日間保管して恒温恒湿処理して製造した酸化アルミニ
ウム蒸着フィルムを比較例4とし、また、上記の実施例
1において製造した蒸着フィルムを、その酸化アルミニ
ウムの蒸着膜面を内側にして巻き取り、しかる後該蒸着
フィルムを蒸着機より取り出し、次いで蒸着フィルム
を、その酸化アルミニウムの蒸着膜面を外側にして巻き
返した後、23℃、湿度35%RH〜60%RHの恒温
恒湿条件に10日間保管して恒温恒湿処理して製造した
酸化アルミニウム蒸着フィルムを比較例5とした。 (2).次に、上記で製造した各酸化アルミニウム蒸着
フィルムの酸化アルミニウムの蒸着膜面に、厚さ50μ
mの低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)をドライ
ラミネ−ション法で積層して、下記の層構成からなる2
種の複合フィルムを製造した。 上記において、接着剤としては、2液硬化型のウレタン
系接着剤を用い、接着剤量は、3.5g/m2 (固形分
量)とした。厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレ
フタレ−トフィルム・酸化アルミニウム蒸着膜/接着剤
層/厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルム
【0024】実験例1 上記の実施例1〜6、および、比較例1〜5で製造した
蒸着フィルム、および、酸化アルミニウム蒸着フィルム
について、その全光線透過率、酸化アルミニウムの蒸着
膜の膜厚、透明性、水蒸気透過度等を測定した。上記の
全光線透過率は、分光光度計(島津製作所株式会社製、
機種名、UV−2200)を使用し、透過光の500n
mにおける直線光と散乱光の合計値を全光線として透過
率を測定した。また、酸化アルミニウム蒸着膜の膜厚
は、前述のように、蛍光X線分析計を用いて、絶対検量
線法により酸化アルミニウムの蒸着膜の膜厚を測定し
た。更にまた、水蒸気透過度は、モコン(MOCON)
法で、米国、モダンコントロ−ル(MODERN CO
NTROL)社製の水蒸気透過度測定機〔機種名、パ−
マトラン(PERMTRAN)3/31〕を使用して測
定した。その結果を下記の表1に示す。
【0025】 上記の表1において、全光線透過率の単位は、(%)で
あり、膜厚の単位は、(Å)であり、水蒸気透過度の単
位は、(g/m2 ・day・atm)である。また、上
記の表1において、透明性は、酸化アルミニウム蒸着フ
ィルムと蒸着フィルムとの全光線透過率の差より判定
し、◎は、極めて良好、○は、良好、×は、やや着色を
意味する。
【0026】実験例2 次に、上記の実施例1〜6、および、比較例1〜5で製
造した酸化アルミニウム蒸着フィルムについて、その2
3℃および38℃における水蒸気透過度係数および活性
エネルギ−をを測定した。上記の水蒸気透過度係数およ
び活性エネルギ−は、前述のしたとおりの方式で測定し
た。その結果を下記の表2に示す。
【0027】 上記の表2において、酸化アルミニウム蒸着フィルム水
蒸気透過度係数の単位は、(g・cm2 /cm・sec
・cmHg)×1017であり、また、活性化エネルギ−
の単位は、(Kcal/mol)である。
【0028】上記の実験例1〜2から明らかなように、
本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルムにおいて
は、蒸着時に基材フィルムの全光線透過率を100%と
した時に90〜97%に設定し、更に、その蒸着フィル
ムを、その蒸着膜面を外側にして巻き返し、35〜45
℃/80〜100%RHの恒温恒湿条件で2日間以上放
置することにより、その全光線透過率を更に高めること
ができ、その結果、透明性が蒸着直後よりも格段に向上
するものである。更に、本発明にかかる酸化アルミニウ
ム蒸着フィルムの水蒸気透過係数から得られる活性化エ
ネルギ−は、正の値をとり、しかも、20kcal以下
の値を示すことから、比較例のもの(活性化エネルギ−
>20kcal)と比較して、温度依存性が極端に小さ
いものである。なお、比較例4〜5のものは、活性化エ
ネルギ−は、20kcal以下であるが、このものは、
透明性が悪く、使用に耐え得ないものである。
【0029】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明
は、基材フィルムの片面に、アルミニウム蒸気と酸素と
を気相中で反応させながらその反応系をインラインで調
整して、蒸着フィルムの500nmでの全光線透過率
を、上記の基材フィルムの500nmでの全光線透過率
を100としたときに、90〜98%の範囲の全光線透
過率を有する微着色状態である酸化アルミニウムの蒸着
膜を形成し、次いで、該酸化アルミニウムの蒸着膜を形
成した基材フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸着膜
面を内側にして巻き取り、次に、更に、該酸化アルミニ
ウムの蒸着膜面が外側になるように巻き返し、次いで、
上記の巻き返した蒸着フィルムを温度35〜45℃、相
対湿度80〜100%RHの環境中に48時間以上放置
して恒温恒湿処理することにより酸化アルミニウム蒸着
フィルムを製造して、該酸化アルミニウム蒸着フィルム
の全光線透過率を99%以上に調整することができ、極
めて高い透明性を有し、更に、酸素ガスバリア性、水蒸
気バリア性等に優れ、特に、環境温度が変化しても水蒸
気バリア性の変化が少ない温度依存性が充分に小さい酸
化アルミニウム蒸着フィルムを製造し得ることができる
というものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】巻き取り式真空蒸着機についてその一例を示す
概略的構成図である。
【図2】本発明にかかる酸化アルミニウム蒸着フィルム
についてその一例の層構成を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
1 巻き取り式真空蒸着装置 2 真空チャンバ− 3 巻き出しロ−ル 4 基材フィルム 5 ガイドロ−ル 5´ ガイドロ−ル 6 ガイドロ−ル 6´ ガイドロ−ル 7 コ−ティングドラム 8 るつぼ 9 蒸着源 10 酸素吹き出し口 11 マスク 12 巻き取りロ−ル 21 酸化アルミニウムの蒸着膜 A 酸化アルミニウム蒸着フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 14/08 C23C 14/08 A Fターム(参考) 3E086 AD01 BA02 BA15 BA40 BB02 BB05 BB22 BB41 BB42 4F006 AA35 AB74 BA05 CA07 DA01 4F100 AA19B AK06 AK41A AK51G AT00A BA02 EH66 EH66B EH662 EJ38A GB15 HB00B JD03 JD04 JL10B JN08B YY00B 4K029 AA11 AA25 BA44 BC00 EA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムの片面に、アルミニウム蒸
    気と酸素とを気相中で反応させて酸化アルミニウムの蒸
    着膜を形成した蒸着フィルムであり、更に、該蒸着フィ
    ルムが、その500nmでの全光線透過率を、基材フィ
    ルムの500nmでの全光線透過率を100としたとき
    に、90〜98%の微着色状態になるようにインライン
    で調整しながら酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した蒸
    着フィルムからなり、かつ、該蒸着フィルムを、その酸
    化アルミニウムの蒸着膜を内側にして巻き取り、次に、
    その酸化アルミニウムの蒸着膜を外側に巻き返した後、
    温度35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの環境
    中に48時間以上放置して、該蒸着フィルムを構成する
    酸化アルミニウムの蒸着膜を高透明化し、当該蒸着フィ
    ルムの500nmでの全光線透過率を99%以上に改質
    させてなることを特徴とする酸化アルミニウム蒸着フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 酸化アルミニウム蒸着フィルムが、23
    ℃/100%RHおよび38℃/100%RHの2温度
    帯における各々の水蒸気透過度を基に、酸化アルミニウ
    ム蒸着フィルムが、酸化アルミニウムの蒸着膜と基材フ
    ィルムとからなる2層構成の複合フィルムからなると仮
    定して得られる酸化アルミニウムの蒸着膜の23℃/1
    00%RHにおける水蒸気透過係数(P23)が、38
    ℃/100%RHにおける水蒸気透過係数(P38)よ
    りも常に小さく、23〜38℃の温度帯において発熱的
    な水蒸気透過性を示す酸化アルミニウムの蒸着膜であ
    り、更に、上記の酸化アルミニウムの蒸着膜の23℃/
    100%RHにおける水蒸気透過係数(P23)が、1
    ×10-17 〜3.0×10-17 g・cm2 /cm・se
    c・cmHgの範囲にあり、また、上記の酸化アルミニ
    ウム蒸着膜の38℃/100%RHにおける水蒸気透過
    係数(P38)が、5×10-17 〜7×10 -17 g・c
    2 /cm・sec・cmHgの範囲にあり、かつ、酸
    化アルミニウムの蒸着膜の水蒸気透過係数の温度変化
    が、アレニウスの式によるその見掛けの活性化エネルギ
    −が、20kcal/mol以下で温度依存性の低い酸
    化アルミニウムの蒸着膜であることを特徴とする上記の
    請求項1に記載する酸化アルミニウム蒸着フィルム。
  3. 【請求項3】 酸化アルミニウムの蒸着膜が、膜厚15
    0〜300Åの範囲内であることを特徴とする上記の請
    求項1〜2に記載する酸化アルミニウム蒸着フィルム。
  4. 【請求項4】 基材フィルムが、2軸延伸ポリエステル
    フィルムであることを特徴とする上記の請求項1〜3に
    記載する酸化アルミニウム蒸着フィルム。
  5. 【請求項5】 基材フィルムの片面に、アルミニウム蒸
    気と酸素とを気相中で反応させながらその反応系をイン
    ラインで調整して、得られる蒸着フィルムの500nm
    での全光線透過率を、上記の基材フィルムの500nm
    での全光線透過率を100としたときに、90〜98%
    の範囲の全光線透過率を有する微着色状態である酸化ア
    ルミニウムの蒸着膜を形成して蒸着フィルムを製造し、
    次いで、該蒸着フィルムを、その酸化アルミニウムの蒸
    着膜面を内側にして巻き取り、次に、該酸化アルミニウ
    ムの蒸着膜面が外側になるように巻き返し、しかる後、
    上記の巻き返した蒸着フィルムを温度35〜45℃、相
    対湿度80〜100%RHの環境中に48時間以上放置
    して恒温恒湿処理することにより、蒸着フィルムの全光
    線透過率を99%以上に調整することを特徴とする高透
    明性を有する酸化アルミニウム蒸着フィルムの製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011519318A (ja) * 2008-04-18 2011-07-07 フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウ 透明バリア層システム

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