JP2001081075A - イピダクリン及び塩酸イピダクリン水和物の製造方法 - Google Patents

イピダクリン及び塩酸イピダクリン水和物の製造方法

Info

Publication number
JP2001081075A
JP2001081075A JP2000204905A JP2000204905A JP2001081075A JP 2001081075 A JP2001081075 A JP 2001081075A JP 2000204905 A JP2000204905 A JP 2000204905A JP 2000204905 A JP2000204905 A JP 2000204905A JP 2001081075 A JP2001081075 A JP 2001081075A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ipidacrine
amino
solvent
hydrochloride hydrate
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000204905A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4587529B2 (ja
Inventor
Hiromasa Omori
裕正 大森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikken Chemicals Co Ltd
Original Assignee
Nikken Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikken Chemicals Co Ltd filed Critical Nikken Chemicals Co Ltd
Priority to JP2000204905A priority Critical patent/JP4587529B2/ja
Publication of JP2001081075A publication Critical patent/JP2001081075A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4587529B2 publication Critical patent/JP4587529B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Other In-Based Heterocyclic Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】極めて収率がよいうえ、危険性が少なく、操作
方法がより容易で環境面からも問題の少ないイピダクリ
ン及び塩酸イピダクリン水和物の製造方法を提供する。 【解決手段】五酸化二リンを炭化水素系溶媒中でリン酸
トリアルキル及びアルコールと反応させることにより脱
水縮合剤であるポリリン酸エステルを製造し、得られた
ポリリン酸エステルを単離することなく2−アミノ−1
−シクロペンテン−1−カルボニトリルとシクロヘキサ
ノンとの脱水縮合反応に用いることを特徴とする式
(I) 【化1】 で表されるイピダクリン(9−アミノ−2,3,5,
6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]
キノリン)の製造方法、及び得られたイピダクリンにア
セトン中又はアセトンと少量の水からなる混合溶媒中で
更に濃塩酸を作用させ塩酸塩化を行うことを特徴とする
塩酸イピダクリン水和物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イピダクリン(9
−アミノ−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1
H−シクロペンタ[b]キノリン)及び塩酸イピダクリ
ン水和物(9−アミノ−2,3,5,6,7,8−ヘキ
サヒドロ−1H−シクロペンタ[b]キノリン一塩酸塩
一水和物)の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩酸イピダクリン水和物は抹消神経系統
における興奮伝達の刺戟効果がある化合物として報告さ
れている[特公昭63−35611]。また、学習促進
・記憶増強効果がある化合物としても報告されている
[特公平3−54922]。
【0003】塩酸イピダクリン水和物の製造方法として
は、まず2−アミノ−1−シクロペンテン−1−カルボ
ニトリル(1−アミノ−2−シアノシクロペンテン−
1)とシクロヘキサノンをポリリン酸と乾燥ベンゼン中
加熱還流を行い、イピダクリン(9−アミノ−2,3,
5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ
[b]キノリン)を得て、これをエタノール中塩化水素
ガスを通じて塩酸イピダクリン水和物(9−アミノ−
2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロ
ペンタ[b]キノリン一塩酸塩一水和物)を得る方法が
報告されている[特公昭63−35611]。また、上
記反応中、副生成物として得られる5,5−ペンタメチ
レン−7−オキソ−1,2,3,4,6,7−ヘキサヒ
ドロシクロペンタ[d]ピリミジンをトルエン中、オキ
シ塩化リンと作用させても、イピダクリンが得られるこ
とが記載されている。[特公平3−54922]
【0004】また、特許第2510586号公報によれ
ば、2−アミノ−1−シクロペンテン−1−カルボニト
リルとシクロヘキサノンとをクロロホルム等の溶媒中で
ポリリン酸エチルの存在下20〜100℃で反応させる
方法が記載されている。同公報の記載によれば、ポリリ
ン酸エチルは、ジエチルエーテルと五酸化二リンをクロ
ロホルム中で反応させることにより製造される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記特公昭63−35
611や特公平3−54922に記載の方法を利用して
塩酸イピダクリン水和物を合成するには、途中で不純物
として得られる5,5−ペンタメチレン−7−オキソ−
1,2,3,4,6,7−ヘキサヒドロシクロペンタ
[d]ピリミジンを除去しなければならず、収率が低下
する。また、不純物である5,5−ペンタメチレン−7
−オキソ−1,2,3,4,6,7−ヘキサヒドロシク
ロペンタ[d]ピリミジンは、特公平3−54922に
よれば、オキシ塩化リンと反応させることによって塩酸
イピダクリン水和物に誘導することは可能であるが、こ
の様な処理を行うことは、反応工程が増加する等の理由
で大量合成には不向きである。
【0006】また、特許第2510586号公報に記載
の方法はポリリン酸エチルの製造に可燃性の高い危険な
ジエチルエーテルを用いているため操作方法が非常に煩
雑になる上、調製に長時間(3日間)かかるため工業的
な大量合成には適さない。また、調製されたポリリン酸
エチルは、高粘性で取扱が不便である上、経時変化し易
い化合物であるため、常に一定品質のものを使用するこ
とが極めて困難になるという欠点がある。また、反応溶
媒としてクロロホルムを用いているが、工業化において
大量のハロメタンの一種であるクロロホルムを用いるこ
とは、作業上はもとより環境面からも問題であり、好ま
しい方法とは言い難い。更に、クロロホルム中で脱水縮
合反応を行った場合反応液中に生成したイピダクリン
は、水を加えて塩にして水相に移行せしめた後、水相を
アルカリ性にして結晶を析出する方法で分離精製してい
る。しかしながら、クロロホルムはイピダクリンの塩が
かなりの量溶存するため、この方法で収率を上げるため
にはクロロホルム相を複数回(4回以上)洗浄する必要
があり、作業行程が多くなる欠点がある。
【0007】さらに、上記3種類の公報によれば、イピ
ダクリンを塩酸塩化させ、塩酸イピダクリン水和物に誘
導する際、溶媒としてエタノールを、塩酸塩化剤として
塩化水素ガスを用いている。溶媒としてエタノールの様
なアルコール系の溶媒を用いた場合、生成した塩酸イピ
ダクリン水和物には相当量の残留溶媒が結晶水の代わり
に部分的に取り込まれており、結晶水の不足した塩酸イ
ピダクリン水和物が得られる。この結晶は赤外吸収スペ
クトルが標準品の標準スペクトルチャートと一致せず、
X線構造解析による結晶形の変化等も認められる(医薬
品研究 28,9,643−657(1997))など
の欠点がある。また、塩酸塩化剤として猛毒で取り扱い
の煩雑な塩化水素ガスを用いることなどから、決して扱
い易いとはいえず、好ましい方法とは言い難い。従っ
て、本発明の目的は、上記の如き欠点がなく、しかも収
率の良いイピダクリン又は塩酸イピダクリン水和物の製
造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、イピダクリ
ン製造方法において収率が良く、しかも危険性が少な
く、操作方法が容易で環境面からも問題の少ない方法を
見いだすべく鋭意検討した結果、五酸化二リンを炭化水
素系溶媒中でリン酸トリエチル及びエタノールと反応さ
せることにより得られるポリリン酸エチルを単離するこ
となく、脱水縮合剤として用いればこれらの問題が解決
することを見いだし、更に研究を行うことにより本発明
を完成した。
【0009】また、イピダクリンの塩酸塩化工程では、
アセトン溶媒中で濃塩酸を用いて塩酸塩化すれば赤外吸
収スペクトルやX線構造解析による結晶形の変化が認め
られない塩酸イピダクリン水和物が得られることを見い
だし、更に研究を行うことにより本発明を完成した。
【0010】本発明は、五酸化二リンを炭化水素系溶媒
中でリン酸トリアルキル及び水酸基を有する化合物と反
応させることにより脱水縮合剤である部分的に水酸基を
有するポリリン酸エステルを製造し、得られた該ポリリ
ン酸エステルを単離することなく2−アミノ−1−シク
ロペンテン−1−カルボニトリルとシクロヘキサノンと
の脱水縮合反応に用いることを特徴とする式(I)
【0011】
【化2】
【0012】で表されるイピダクリン(9−アミノ−
2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロ
ペンタ[b]キノリン)の製造方法である。
【0013】また、本発明は、イピダクリンにアセトン
中又はアセトンと少量の水からなる混合溶媒中で濃塩酸
を作用させ塩酸塩化を行うことを特徴とする塩酸イピダ
クリン水和物の製造方法である。更に、本発明は、製造
される塩酸イピダクリン水和物が残留溶媒が含まれない
標準品の赤外吸収スペクトル(A型)を示すものである
ことを特徴とする塩酸イピダクリン水和物の製造方法で
ある。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明で用いられているイピダクリン(9−アミノ
−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シク
ロペンタ[b]キノリン)とは、通常無水物のことを示
すが、イピダクリン一水和物(理論水和物量)あるいは
水分量が一水和物以下のものも包含する。これは、イピ
ダクリン(無水物−無定型結晶)を空気中で室温下に放
置すると自然に空気中の水分を吸収して、安定な一水和
物になることによる。また、例えばイピダクリンをメタ
ノール−水混合溶媒あるいは、アセトン−水混合溶媒の
様な含水有機溶媒中で再結晶を行うと、イピダクリン一
水和物(針状結晶等)が得られることからも挙げられ
る。これらイピダクリン一水和物あるいは理論水和物量
以下の結晶は、通常減圧下で加熱乾燥させると容易に結
晶水を失い無水物となる。
【0015】本発明で用いられる部分的に水酸基を有す
るポリリン酸エステルは、構造の一部がP−OH残基を
有することを特徴としている。五酸化二リンと理論量の
リン酸トリアルキルとの反応で得られるポリリン酸エス
テルは、構造の中にP−OH残基を有さないポリマーで
ある。しかしながら、このポリリン酸エステルを縮合剤
として用いると反応において副生成物の産生や原料の分
解等が起こり、得られるイピダクリンの収率の低下を招
くばかりか純度の悪い着色したイピダクリンが得られ
る。本発明では、構造の一部がP−OH残基になったポ
リリン酸エステルを用いるため、上記の様な副生成物の
産生や原料の分解等が発生せず、高収率で高純度なイピ
ダクリンが得られる。
【0016】本発明で用いられる部分的に水酸基を有す
るポリリン酸エステルは以下の方法によって得られる。
即ち、五酸化二リンと反応しない有機溶媒中、例えばト
ルエン、ベンゼン等の炭化水素系有機溶媒中、五酸化二
リンを懸濁させ、適当な温度に加熱しながらリン酸トリ
アルキルを滴下する。反応は速やかに進行するため滴下
後すぐにあるいはしばらく時間をかけた後、水酸基を有
する化合物(分子内に−OH残基を有する化合物)、例
えばエタノール、水等を加える。この反応は通常発熱を
伴って進行するため、必要なら適当な温度まで冷却す
る。この反応も速やかに進行するため滴下を終えた時点
でポリリン酸エステルの調製は完了する。
【0017】本発明で用いられるリン酸トリアルキルと
しては、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル等が挙げ
られる。本発明では、多くの場合リン酸トリエチルが使
用される。水酸基を有する化合物としては、アルコー
ル、水、ポリリン酸、ピロリン酸、リン酸等が挙げら
れ、好ましくはアルコールが挙げられる。また、これら
は、単一化合物であっても混合物であってもよい。アル
コールとしては、メタノール、エタノール、プロパノー
ル等の一価アルコールが好ましい。この他に、エチレン
グリコール、グリセリンの様な多価アルコールも使用す
ることができる。炭化水素系溶媒としては、五酸化二リ
ンと反応しない溶媒であればよく、具体的には、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等あるいはそれらの混合物があ
げられるが、毒性及びコストの面からトルエンが好まし
い。
【0018】五酸化二リンは、2−アミノ−1−シクロ
ペンテン−1−カルボニトリルに対して、通常、モル比
で3〜10等量が用いられるが、反応収率、コストの面
からモル比で3〜8等量用いるのが好ましい。リン酸ト
リアルキルは、五酸化二リンに対して、通常、モル比で
0.3〜1.2等量が用いられるが、反応収率、操作手
順、コスト面からモル比で0.4〜1等量用いるのが好
ましい。水酸基を有する化合物としてアルコールを使用
する場合、アルコールは、五酸化二リンに対して、通
常、モル比で0.05〜1等量、好ましくは、0.1〜
0.6等量用いられる。また、アルコールの代わりに
水、ポリリン酸、ピロリン酸あるいはリン酸を使用する
こともできるが、この場合、生成するポリリン酸エステ
ルのP−OH基の数がエタノール等のアルコールを用い
た場合と同様になるようにモル数を調整する。つまり、
水であれば、アルコールに対して2分の1等量、リン酸
であれば3分の1等量が好ましい。
【0019】五酸化二リンを炭化水素系溶媒中でリン酸
トリアルキル及びアルコール(あるいは分子内に−OH
残基を有する化合物)と反応させる工程では、通常0℃
から100℃、好ましくは30℃から80℃の範囲で反
応を行うことができ、通常、6時間以内で反応は終了す
る。2−アミノ−1−シクロペンテン−1−カルボニト
リルとシクロヘキサノンの脱水縮合反応工程では、通常
0℃から110℃、好ましくは30℃から80℃の範囲
で反応を行うことができ、通常1時間から6時間で反応
は終了する。
【0020】反応終了後、生成物を反応液から分離精製
するには、例えば溶媒抽出、結晶化、活性炭処理、カラ
ムクロマトグラフィー等の方法を適宜選択し、場合によ
り組み合わせて用いることにより容易に精製物を得るこ
とができる。
【0021】従来、ポリリン酸あるいはポリリン酸エス
テル系の脱水剤を五酸化二リンから調製する際、水、ア
ルコール等、五酸化二リンと反応しやすい化合物を用い
た場合は、滴下途中でアメ状物質が生成するため、攪拌
が非常に困難となる欠点を有していた。一方、ジエチル
エーテル等の五酸化二リンと反応しにくい化合物では、
アメ状物質は生成し難いが、逆に調製時間が非常に長く
なる欠点を有していた。本発明によれば、ポリリン酸エ
ステルの調製工程において、五酸化二リンにリン酸トリ
アルキル及びアルコール(あるいは分子内に−OH残基
を有する化合物)を作用させている。また、この工程で
使用する溶媒に炭化水素系溶媒、特に好ましい溶媒とし
てトルエンを用いている。ポリリン酸エステルの調製に
用いる五酸化二リンとリン酸トリアルキル及びアルコー
ル(あるいは分子内に−OH残基を有する化合物)の反
応は、発熱反応ではあるが、穏和な条件で反応が進行す
るため、工業化に適した反応である。また、この反応
は、短時間、多くの場合1時間以内に終了するため、製
造コストの面からも有利である。
【0022】本発明では、合成されたポリリン酸エステ
ルは、単離することなくそのまま2−アミノ−1−シク
ロペンテン−1−カルボニトリルとシクロヘキサノンの
脱水縮合反応に用いられる利点がある。このため、経時
変化に伴うポリリン酸エステルの品質の劣化を避けるこ
とができる。また、合成されたイピダクリンは、水を加
えてポリリン酸エステルを分解し、イピダクリンのリン
酸塩として水相に移行せしめたとき、該塩がトルエン等
の炭化水素系溶媒にに殆ど溶けないため、生成物の分離
精製が容易であるという利点がある。
【0023】上記のように水相に移行せしめたイピダク
リンリン酸塩に、水酸化ナトリウム水溶液を加え、析出
結晶を濾取することによってイピダクリンを得ることが
できる。この析出結晶は、例えば溶媒抽出、結晶化、カ
ラムクロマトグラフィー等の方法を適宜選択し、場合に
より組み合わせて用いることにより容易にイピダクリン
の精製物を得ることができる。本発明では、通常はメタ
ノール−水の混合溶媒中で再結晶することによって精製
されたイピダクリンを得ることができる。
【0024】本発明のイピダクリンの塩酸塩化工程で
は、溶媒としてアセトン又はアセトンと少量の水からな
る混合溶媒中で濃塩酸を作用させ塩酸塩化すれば赤外吸
収スペクトルやX線構造解析による結晶形の変化が認め
られない塩酸イピダクリン水和物が得られる。この場
合、完全に無水のイピダクリンに溶媒としてアセトンの
みを用い塩酸塩化を行った場合においても塩酸中に含ま
れる水の影響で、一塩酸塩一水和物である塩酸イピダク
リン水和物が得られる。アセトンと少量の水からなる混
合溶媒中の水の量は、アセトンに対して容積比で、通常
1/5倍量以下、好ましくは1/10倍量以下である。
混合溶媒中の水の量が多くなると、塩酸イピダクリン水
和物が水に溶けやすい為、収率の低下を招き好ましくな
い。
【0025】塩酸塩を濾過後、得られた塩酸塩に付着し
ている過剰のアセトンを乾燥させれば、理論量である一
分子の結晶水がついた塩酸イピダクリン水和物が得られ
る。この結晶の赤外吸収スペクトルは標準スペクトルと
一致しており、X線構造解析による結晶形も標準品と同
一である。尚、本発明で得られる塩酸イピダクリン水和
物には少量(通常、300ppm以下)のアセトンが残留
している場合もあるが、この場合は、結晶を高温・高湿
下に放置するか、結晶に少量の水を加えて混合後乾燥す
ることにより、容易にアセトンを完全に除去することが
できる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるもので
はない。
【0027】実施例1 9−アミノ−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−
1H−シクロペンタ[b]キノリンの合成 五酸化二リン(P25)78.8g(555mmol)
をトルエン100mL中に懸濁させ、55℃に昇温させ
た。同温度にてリン酸トリエチル78.6mL(462
mmol)を滴下し、更にエタノール8.0ml(13
9mmol)を滴下し30分攪拌した。この溶液を20
℃に冷却し、2−アミノ−1−シクロペンテン−1−カ
ルボニトリル(1−アミノ−2−シアノシクロペンテ
ン)10.0g(92.5mmol)とシクロヘキサノ
ン10.1mL(97.1mmol)を加え、55℃に
て3.5時間攪拌した。冷却し、水200mLを40℃
以下で滴下し、55℃にて30分攪拌した。水相を分離
し、トルエン相を水100mLで洗浄し得られた水相を
先に分離した水相と合わせた。この水相を濃アンモニア
水溶液400mL中に滴下し、クロロホルム−メタノー
ル(10:1)混合溶媒で抽出した。抽出溶媒を無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られ
た残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(シリカゲル3
00g;クロロホルム:メタノール:濃アンモニア水=
100:9:1)で精製し、得られた結晶を60℃で減
圧乾燥することにより目的化合物を15.8g(収率9
0.7%)得た。
【0028】1H−NMR(400MHz,CDC
3):δ 1.80−1.91(4H,m),2.1
1(2H,dd,J=7.3,7.6Hz),2.40
−2.46(2H,m),2.70(2H,t,J=
7.3Hz),2.80−2.86(2H,m),2.
92(2H,t,J=7.6Hz),3.91(2H,
br)
【0029】実施例2 イピダクリン(9−アミノ−2,3,5,6,7,8−
ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]キノリン)の
合成 五酸化二リン(P25)394g(2774mmol)
をトルエン500mL中に懸濁させ、55℃に昇温させ
た。同温度にてリン酸トリエチル283mL(1665
mmol)を滴下し、更にエタノール75mL(129
5mmol)を滴下し30分攪拌した。この溶液を30
℃に冷却し、2−アミノ−1−シクロペンテン−1−カ
ルボニトリル50g(462mmol)とシクロヘキサ
ノン50mL(485mmol)を加え、55℃にて
3.5時間攪拌した。加熱を止め、水500mLを55
℃以下で滴下し、55℃にて30分攪拌した。水相を分
離し、トルエン相を水250mLで洗浄し得られた水相
を先に分離した水相と合わせた。この水相を18%水酸
化ナトリウム水溶液2000mL中に滴下し、析出した
結晶を濾過し、良く水洗した。得られた含水結晶をメタ
ノール750mL−水1500mLの混合溶媒に熱時溶
解し、冷却することによって再結晶を行った。析出結晶
を濾取後水洗し、60℃で減圧乾燥を行うことによって
目的化合物を無水物として79g(420mmol)得
た。収率91%。
【0030】実施例3 塩酸イピダクリン水和物(9−アミノ−2,3,5,
6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]
キノリン一塩酸塩一水和物)の合成 イピダクリン(9−アミノ−2,3,5,6,7,8−
ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]キノリン)4
0g(212mmol)をアセトン720mLと水40
mLの混合溶媒に加熱溶解させ、濃塩酸19mL(21
2mmol)を10分かけて滴下した。さらに30分加
熱還流を行った後、室温にて一晩放置した。析出結晶を
濾過し、アセトンで洗浄後空気中に放置し付着アセトン
を蒸発させ目的化合物を49g(202mmol)得
た。収率95%。融点274℃(分解)
【0031】実施例4 イピダクリン、アセトン及び水の量以外は、実施例2と
ほぼ同様の条件で塩酸イピダクリン水和物を製造した。
得られた塩酸イピダクリン水和物の収率、水分量及び赤
外吸収スペクトルを第1表に示す。
【0032】
【表1】
【0033】参考例1 塩酸イピダクリンの部分水和物を2−プロパノールから
再結晶し、溶媒を留去した後、60℃で減圧にて3日間
乾燥して再結晶品を得た(水分量:3.01%)。つい
で、この再結晶品15gを加湿条件下(40℃、75
%)で2日間放置することにより塩酸イピダクリン水和
物を得た。この化合物の赤外吸収スペクトルは、標準品
の赤外吸収スペクトルと一致せず、残留溶媒のあるB型
の赤外吸収スペクトルを示した。
【0034】
【発明の効果】本発明は、五酸化二リンを炭化水素系溶
媒、好ましくはトルエン中でリン酸トリアルキル及びア
ルコール等の水酸基を有する化合物と反応することによ
り得られるポリリン酸エステルを単離することなくその
まま、イピダクリンの合成用の縮合剤として使用するこ
とができ、縮合反応によりイピダクリンを極めて高収率
で得ることができる。このため、本発明は、予め調製さ
れたポリリン酸エステルを使用する場合に比べて、収率
の向上はもとより、危険性、作業性及び環境面からも極
めて好ましい方法である。また、イピダクリンは、アセ
トン中又はアセトンと少量の水からなる混合溶媒中で濃
塩酸を作用させ塩酸塩化を行うことにより容易に塩酸イ
ピダクリン水和物にすることができ、しかも、この結晶
は残留溶媒の含まれない標準品の赤外吸収スペクトル
(A型)を示すものであるため、そのまま医薬品原料と
して使用できる利点がある。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】塩酸イピダクリン水和物のA型の赤外吸収スペ
クトルを示す図である。
【図2】塩酸イピダクリン水和物のB型の赤外吸収スペ
クトルを示す図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 五酸化二リンを炭化水素系溶媒中でリン
    酸トリアルキル及び水酸基を有する化合物と反応させる
    ことにより脱水縮合剤である部分的に水酸基を有するポ
    リリン酸エステルを製造し、得られた該ポリリン酸エス
    テルを単離することなく2−アミノ−1−シクロペンテ
    ン−1−カルボニトリルとシクロヘキサノンとの脱水縮
    合反応に用いることを特徴とする式(I) 【化1】 で表されるイピダクリン(9−アミノ−2,3,5,
    6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ[b]
    キノリン)の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭化水素系溶媒が、ベンゼン、トルエン
    又はキシレンであることを特徴とする請求項1記載のイ
    ピダクリンの製造方法。
  3. 【請求項3】 リン酸トリアルキルがリン酸トリエチル
    又はリン酸トリメチルであることを特徴とする請求項1
    記載のイピダクリンの製造方法。
  4. 【請求項4】 水酸基を有する化合物がアルコール、
    水、ポリリン酸、ピロリン酸又はリン酸であることを特
    徴とする請求項1記載のイピダクリンの製造方法。
  5. 【請求項5】 水酸基を有する化合物がメタノール、エ
    タノール及びプロパノールから選ばれる1つのアルコー
    ルであることを特徴とする請求項1記載のイピダクリン
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 五酸化二リンをトルエン中でリン酸トリ
    エチル及びエタノールと反応させることにより部分的に
    水酸基を有するポリリン酸エチルを製造することを特徴
    とする請求項1記載のイピダクリンの製造方法。
  7. 【請求項7】請求項1ないし請求項6のいずれか1項で
    得られたイピダクリンにアセトン中又はアセトンと少量
    の水からなる混合溶媒中で更に濃塩酸を作用させ塩酸塩
    化を行うことを特徴とする塩酸イピダクリン水和物(9
    −アミノ−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1
    H−シクロペンタ[b]キノリン一塩酸塩一水和物)の
    製造方法。
  8. 【請求項8】請求項7で製造される塩酸イピダクリン水
    和物が残留溶媒が含まれない標準品の赤外吸収スペクト
    ル(A型)を示すものであることを特徴とする塩酸イピ
    ダクリン水和物の製造方法。
JP2000204905A 1999-07-09 2000-07-06 イピダクリン及び塩酸イピダクリン水和物の製造方法 Expired - Fee Related JP4587529B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000204905A JP4587529B2 (ja) 1999-07-09 2000-07-06 イピダクリン及び塩酸イピダクリン水和物の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19543099 1999-07-09
JP11-195430 1999-07-09
JP2000204905A JP4587529B2 (ja) 1999-07-09 2000-07-06 イピダクリン及び塩酸イピダクリン水和物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001081075A true JP2001081075A (ja) 2001-03-27
JP4587529B2 JP4587529B2 (ja) 2010-11-24

Family

ID=26509109

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000204905A Expired - Fee Related JP4587529B2 (ja) 1999-07-09 2000-07-06 イピダクリン及び塩酸イピダクリン水和物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4587529B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009280510A (ja) * 2008-05-20 2009-12-03 Daicel Chem Ind Ltd 含窒素複素環を有するβ−ケトアミド誘導体の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4550113A (en) * 1982-08-19 1985-10-29 Nauchno-Issledovatelsky Institut Po Biologicheskikm Ispytaniyam Khimicheskikh Soedineny 9-Amino-2,3,5,6,7,8-hexahydro-1H-cyclopenta(b)quinoline monohydrate hydrochloride as stimulant of neuro-muscular transmission of smooth muscles
JPS6322520A (ja) * 1986-07-01 1988-01-30 ナウチノ−イスレドワ−チエルスキ−、インスチツ−ト、ポ、ビオロギチェスキム、イスピタニアム、ヒミチェスキフ、ソエディネヌイ 学習促進・記憶増強用薬剤
JPS63297367A (ja) * 1987-05-29 1988-12-05 ゴスダルストベンヌイ、インスチツ−ト、アゾトノイ、プロムイシュレンノスチ(ギアプ) 9−アミノ−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ(b)キノリンの製造方法
JPH06279449A (ja) * 1993-03-26 1994-10-04 Mitsubishi Kasei Corp 4−アミノピリジン誘導体の製造方法
JP2001106674A (ja) * 1999-05-13 2001-04-17 Nikken Chem Co Ltd 塩酸イピダクリン水和物の製造方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4550113A (en) * 1982-08-19 1985-10-29 Nauchno-Issledovatelsky Institut Po Biologicheskikm Ispytaniyam Khimicheskikh Soedineny 9-Amino-2,3,5,6,7,8-hexahydro-1H-cyclopenta(b)quinoline monohydrate hydrochloride as stimulant of neuro-muscular transmission of smooth muscles
JPS6322520A (ja) * 1986-07-01 1988-01-30 ナウチノ−イスレドワ−チエルスキ−、インスチツ−ト、ポ、ビオロギチェスキム、イスピタニアム、ヒミチェスキフ、ソエディネヌイ 学習促進・記憶増強用薬剤
JPS63297367A (ja) * 1987-05-29 1988-12-05 ゴスダルストベンヌイ、インスチツ−ト、アゾトノイ、プロムイシュレンノスチ(ギアプ) 9−アミノ−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1H−シクロペンタ(b)キノリンの製造方法
JPH06279449A (ja) * 1993-03-26 1994-10-04 Mitsubishi Kasei Corp 4−アミノピリジン誘導体の製造方法
JP2001106674A (ja) * 1999-05-13 2001-04-17 Nikken Chem Co Ltd 塩酸イピダクリン水和物の製造方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009280510A (ja) * 2008-05-20 2009-12-03 Daicel Chem Ind Ltd 含窒素複素環を有するβ−ケトアミド誘導体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4587529B2 (ja) 2010-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2970123B1 (en) Salt of omecamtiv mecarbil and process for preparing salt
JP5202635B2 (ja) インテグラーゼ阻害剤の調製のためのプロセスおよび中間体
CN113461653B (zh) 一种制备氟雷拉纳中间体的方法以及其制备中间体和应用
JPH089610B2 (ja) 置換イソフラボン誘導体の改良された製造方法
JPH08506332A (ja) テトラゾール−5−カルボン酸誘導体の製法
CN102675395A (zh) 醋酸乌利司他的多晶型及其制备方法
US6433173B1 (en) Process for the preparation of ipidacrine or ipidacrine hydrochloride hydrate
JP4587529B2 (ja) イピダクリン及び塩酸イピダクリン水和物の製造方法
KR101070587B1 (ko) (2s, 3s)-3-〔〔(1s)-1-이소부톡시메틸-3-메틸부틸〕카르바모일〕옥시란-2-카르복실산의 염
CN1030658C (zh) 十八烷基-[2-(n-甲基哌啶子基)-乙基]-磷酸酯的制备方法
WO2021020998A1 (ru) Способ получения роксадустата
CN112028834B (zh) 一种阿贝西利的中间体的合成方法
JPH0959292A (ja) 4−アミノピリミジンヌクレオシドの製造法
EP1539751B1 (en) Process for the preparation of imidazo(1,2-a)pyridine-3-acetamides
JP3477631B2 (ja) 1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラオルガノジシロキサンの精製方法
CN114605320B (zh) 一种5-硝基-6-甲基烟酸乙酯的合成方法
AU627609B2 (en) New quinoline derivatives and process for the preparation thereof
US4170614A (en) Process for preparing halogenated diaryl hydrogen phosphates
EP2468706A1 (en) Process for the preparation of resveratrol
EP0548834A1 (en) Stable hexahydrate of etoposide 4'-phosphate disodium salt
SU1569334A1 (ru) Способ получени 2,2 @ -О-ангидро-(I- @ -D-арабинофуранозил)цитозина гидрохлорида
KR101199919B1 (ko) 아토르바스타틴 헤미칼슘의 신규한 결정형 및 그의 제조방법
JP2018131415A (ja) L−カルノシン誘導体またはその塩の製造方法
JPS58216159A (ja) キノリン誘導体の製造方法
JPS6411019B2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070627

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070622

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100629

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100714

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100810

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100907

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees