JP2001080211A - アゾ金属錯体系色素および光記録媒体 - Google Patents

アゾ金属錯体系色素および光記録媒体

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JP2001080211A
JP2001080211A JP25555699A JP25555699A JP2001080211A JP 2001080211 A JP2001080211 A JP 2001080211A JP 25555699 A JP25555699 A JP 25555699A JP 25555699 A JP25555699 A JP 25555699A JP 2001080211 A JP2001080211 A JP 2001080211A
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JP
Japan
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group
optical recording
recording medium
general formula
azo
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JP25555699A
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English (en)
Inventor
Noritaka Nakayama
憲卓 中山
Keiko Ishidai
圭子 石代
Tatsuo Tanaka
達夫 田中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 620〜660nmの波長において良好な記
録の記録再生特性を有し、780nmの波長の記録再生
が可能な高感度で保存安定性が高い光記録媒体を提供す
る。 【解決手段】 下記一般式(1)で表されるアゾ化合物
の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応させ
て得られた新規アゾ金属錯体系色素および該色素を含有
する記録層を有する光記録媒体。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アゾ金属錯体系色
素を用いた光記録媒体および新規なアゾ金属錯体系色素
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、記録可能な光記録媒体としてCD
−R(追記型コンパクトディスク)の普及はめざましい
が、動画データを扱う等情報量の急速な増大に伴い、更
に大容量の光記録媒体が脚光を浴びている。その一つと
してCD−Rの記録波長を現行の780nmから650
nmへ短波化した次世代のCD−RやDVD−R(追記
型デジタルビデオディスク)等が提唱されている。これ
ら短波長の記録材料に対応した色素としては、吸収、反
射特性に優れたシアニン色素がこの用途に用いられてい
るが、耐光性等の保存性が低いため、経時で情報が失わ
れたり、書き込めなくなる欠点があった。このような問
題を解決する方法が、例えば米国特許3,432,30
0号、同4,050,938号、特開昭60−1187
48号、同63−199248号、特開平2−3002
88号等に光安定剤、あるいは光安定化方法として記載
されているが、十分な保存安定性を得るには至っていな
い。また、特開平8−332772号、同9−5812
3号、同10−149584号、同10−188358
号、同10−228671号、同11−42858号に
はピリジンアゾ金属錯体系色素が、特開平10−810
69号、同10−44606号、同10−58828
号、同10−86517号、同10−214422号、
同10−214423号、同10−228671号には
複素環アゾ金属錯体系色素が記載されているが、これら
の公報ではいづれもアゾ金属錯体系の色素を用いるた
め、耐光性の改善は見られるが、未だ不十分であり、感
度、溶解性および記録特性の点において更なる改良が望
まれている。
【0003】また、特開平8−332772号にはピリ
ジンアゾ金属錯体系色素と、金に比べて安価な銀を反射
層に用いるべく検討が進められているが、保存安定性が
十分でなく、更なる改良が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的は
耐光性に優れ、620〜660nmの波長において良好
な記録再生特性を有する高感度で保存安定性の高い光記
録媒体を提供することである。第二の目的は新規な光記
録用アゾ金属錯体系色素を提供することである。第三の
目的は620〜660nmの波長の記録再生と780n
mの波長の記録再生が可能な光記録媒体を提供すること
である。本発明の第四の目的はより安価な銀を反射層に
用いた保存安定性の高い光記録媒体を提供することであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下の本発明
の構成により解決する事が出来た。
【0006】1)下記一般式(1)で表されるアゾ化合
物の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応さ
せて得られたアゾ金属錯体系色素を含有する記録層を有
する光記録媒体。
【0007】
【化11】
【0008】式中、R1は水素原子、それぞれ置換され
ていてもよいアルキル基、アリール基又はアルケニル基
を表す。R2は置換基を表し、mは0〜3の整数を表
し、mが2以上の時、R2は同一であっても異なってい
ても良い。AおよびRはそれぞれ5員又は6員の置換さ
れていてもよい複素環を表す。Yは活性水素を有する基
を表す。
【0009】2)アゾ化合物が下記一般式(2)で表さ
れることを特徴とする1)項に記載の光記録媒体。
【0010】
【化12】
【0011】式中、R1は水素原子、それぞれ置換され
ていてもよいアルキル基、アリール基又はアルケニル基
を表す。R2およびR3は置換基を表し、mは0〜3の整
数、nは0〜4の整数を表し、mおよびnが2以上の
時、R2およびR3はそれぞれ同一であっても異なってい
ても良い。Rは5員又は6員の置換されていてもよい芳
香族複素環を表す。Zは5員又は6員の含窒素複素環を
構成する成分を表す。Yは活性水素を有する基を表す。
【0012】3)アゾ化合物が下記一般式(3)で表さ
れることを特徴とする2)項に記載の光記録媒体。
【0013】
【化13】
【0014】式中、R1は水素原子、それぞれ置換され
ていてもよいアルキル基、アリール基又はアルケニル基
を表す。R2およびR3は置換基を表し、mは0〜3の整
数、nは0〜4の整数を表し、mおよびnが2以上の
時、R2およびR3はそれぞれ同一であっても異なってい
ても良い。Rは5員又は6員の置換されていてもよい芳
香族複素環を表す。Yは活性水素を有する基を表す。
【0015】4)下記一般式(4)で示されるアゾ化合
物の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応さ
せて得られたアゾ金属錯体系色素を含有する記録層を有
する光記録媒体。
【0016】
【化14】
【0017】式中、R1は水素原子、それぞれ置換され
ていてもよいアルキル基、アリール基又はアルケニル基
を表す。R2およびR3は置換基を表し、mは0〜3の整
数、nは0〜4の整数を表し、mおよびnが2以上の
時、R2およびR3はそれぞれ同一であっても異なってい
ても良い。R4は置換基を表し、pは0〜5の整数を表
し、pが2以上の時、R4はそれぞれ同一であっても異
なっていても良い。Zは活性水素を有する基を表す。
【0018】5)アゾ化合物が下記一般式(5)で表さ
れることを特徴とする4)項に記載の光記録媒体。
【0019】
【化15】
【0020】式中、R1は水素原子、それぞれ置換され
ていてもよいアルキル基、アリール基又はアルケニル基
を表す。R2、R3およびR4は置換基を表し、mは0〜
3の整数、nは0〜4の整数を表し、mおよびnが2以
上の時、R2およびR3はそれぞれ同一であっても異なっ
ていても良い。pは0〜5の整数を表し、pが2以上の
時、R4はそれぞれ同一であっても異なっていても良
い。qが2以上の時、R3はそれぞれ同一であっても異
なっていても良い。Xはハロゲン原子を表す。
【0021】6)アゾ化合物が下記一般式(6)で表さ
れることを特徴とする5)項に記載の光記録媒体。
【0022】
【化16】
【0023】式中、R1は水素原子、それぞれ置換され
ていてもよいアルキル基、アリール基又はアルケニル基
を表す。R2、R3およびR4は置換基を表し、mは0〜
3の整数、mが2以上の時、R2およびR3はそれぞれ同
一であっても異なっていても良い。pは0〜5の整数を
表し、pが2以上の時、R4はそれぞれ同一であっても
異なっていても良い。rは0〜2の整数を表す。rが2
以上の時、R3はそれぞれ同一であっても異なっていて
も良い。XおよびX′はハロゲン原子を表す。
【0024】7)アゾ金属錯体系色素の中心金属がNi
である事を特徴とする1)〜6)項の何れか1項記載の
光記録媒体。
【0025】8)下記一般式(7)で表されるアゾ化合
物の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応さ
せて得られたアゾ金属錯体系色素と下記一般式(8)お
よび下記一般式(9)で表される化合物の少なくとも一
種を含有する記録層を有する光記録媒体。
【0026】
【化17】
【0027】式中、R5およびR5′は水素原子又はそれ
ぞれ置換されていてもよいアルキル基、アリール基、ア
ルケニル基又は複素環基を表す。R2は置換基を表し、
mは0〜3の整数を表し、mが2以上の時、R2は同一
であっても異なっていても良い。Aは5員又は6員の置
換されていてもよい複素環を表す。Yは活性水素を有す
る基を表す。
【0028】
【化18】
【0029】式中、R11は水素原子、ヒドロキシル基、
−SOR13、−SO214、アルキル基、シクロアルキ
ル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素
環基又は−COR15基を表す。R13、R14は各々アルキ
ル基又はアリール基を表す。R15はアルキル基、アルケ
ニル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表
す。Z11およびZ12はそれぞれ炭素数1〜3のアルキレ
ン基を表す。ただし、Z11およびZ12で表されるアルキ
レン基の炭素数の総和は3〜6である。R12はZ11又は
12に置換可能な基を表し、n11は0〜4の整数を表
す。n11が2以上の時、複数あるR12は同じであって
も異なっていても良い。X11は−CR1617−、−NR
18−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−又は−P
O(OR192−を表す。R16、R17は各々水素原子又
は−OCOR20基を表し、R16、R17が結合して複素環
を形成するのに必要な原子群を表す。R20はアルキル
基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、
アリール基又は複素環基を表す。R18、R19は水素原
子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、アリール基又は複素環基を表す。
【0030】
【化19】
【0031】式中、R21は水素原子、アルキル基、アシ
ル基又はトリアルキルシリル基を表す。R22、R23、R
24、R25、R26は各々水素原子、アルキル基、シクロア
ルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アシルアミノ
基、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、
アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、
スルホンアミド基又はトリアルキルシリルオキシ基を表
す。R22〜R26のうちの二つの基が連結して5〜6員環
を形成してもよい。
【0032】9)前記一般式(8)又は前記一般式
(9)で表される化合物の少なくとも一種を含有する記
録層を有する事を特徴とする1)〜7)項の何れか1項
記載の光記録媒体。
【0033】10)前記一般式(6)で表されるアゾ化
合物の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応
させて得られたアゾ金属錯体系色素と下記一般式(1
0)で表される化合物の少なくとも一種を含有する記録
層を有する光記録媒体。
【0034】
【化20】
【0035】式中、R31はハロゲン原子、アルキル基、
シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリー
ルオキシ基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アシ
ルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコ
キシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、スルホ
ンアミド基、トリアルキルシリルオキシ基、カルバモイ
ル基又はスルファモイル基を表す。m1は0〜4の整数
を表し、m1が2以上の時、R31は同じであっても異な
っていてもよく、隣接する場合には環を形成してもよ
い。
【0036】11)前記一般式(10)で表される化合
物の少なくとも一種を含有する記録層を有する事を特徴
とする1)〜7)項の何れか1項記載の光記録媒体。
【0037】12)アゾ金属錯体系色素を含有する記録
層に接して金属薄膜層を有する事を特徴とする1)〜1
1)項の何れか1項記載の光記録媒体。
【0038】13)金属薄膜層の金属の主成分が銀であ
ることを特徴とする12)項記載の光記録媒体。
【0039】14)読み込みおよび書き込みの波長が6
20〜660nmである事を特徴とする1)〜13)項
の何れか1項記載の光記録媒体。
【0040】15)前記一般式(1)で表されるアゾ化
合物の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応
させて得られたアゾ金属錯体系色素。
【0041】16)前記一般式(3)で表されるアゾ化
合物の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応
させて得られたアゾ金属錯体系色素。
【0042】以下、本発明を詳細に説明する。
【0043】本発明のアゾ金属錯体系色素はアゾ化合物
と金属イオン供給化合物とを反応させることで得られ
る。以下に本発明で使用されるアゾ化合物と金属イオン
供給化合物に付きさらに詳しく述べる。
【0044】本発明で使用される好ましいアゾ化合物と
しては前記一般式(1)、前記一般式(4)、前記一般
式(7)で示される化合物が挙げられる。
【0045】前記一般式(1)においてより好ましい化
合物として前記一般式(2)で示される化合物が挙げら
れ、もっとも好ましい化合物としては前記一般式(3)
で示される化合物である。
【0046】前記一般式(4)においてより好ましい化
合物として前記一般式(5)で示される化合物が挙げら
れもっとも好ましい化合物としては前記一般式(6)で
示される化合物である。
【0047】前記一般式(1)において、R1は水素原
子又はそれぞれ置換されていてもよいアルキル基、アリ
ール基又はアルケニル基を表す。アルキル基としては例
えばメチル、エチル、ブチル、ペンチル、2−メトキシ
エチル、2−ヒドロキシエチル、2−メタンスルホニル
エチル、トリフルオロメチル、2−エチルヘキシル基等
が挙げられる。アリール基としては例えばフェニル、ベ
ンゾイル、ナフチル基等が挙げられる。アルケニル基と
しては炭素数2〜10のアルケニル基、例えば、ビニ
ル、アリル、1−プロペニル、2−ペンテニル、1,3
−ブタジエニル等が好ましい。
【0048】R2は置換基を表し、例えばハロゲン原子
(例えばフッ素原子、塩素原子等)、アルキル基(例え
ばメチル、エチル、ブチル、ペンチル、2−メトキシエ
チル、トリフルオロメチル、2−エチルヘキシル等)、
アリール基、(例えばフェニル、ベンゾイル等)、アル
コキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ等)、
アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル、
i−プロポキシカルボニル等)アシルオキシ基(例えば
アセチルオキシ、エチルカルボニルオキシ等)、カルバ
モイル基(例えばメチルカルバモイル、エチルカルバモ
イル、ブチルカルバモイル、フェニルカルバモイル
等)、スルファモイル基(例えばスルファモイル、メチ
ルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニル
スルファモイル等)、アルキルチオ基(例えばメチルチ
オ、エチルチオ、オクチルチオ等)アリールチオ基(例
えばフェニルチオ、p−トリルチオ等)、アミノ基(例
えばアミノ、メチルアミノ、ジエチルアミノ、メトキシ
エチルアミノ等)、アシルアミノ基(例えばアセチルア
ミノ、クロロアセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ベ
ンゾイルアミノ、トリフルオロアセチルアミノ等)、ア
ルキルウレイド基(例えばメチルウレイド、エチルウレ
イド、メトキシエチルウレイド、ジメチルウレイド
等)、アリールウレイド基(例えばフェニルウレイド
等)、アルキルスルホンアミド基(例えばメタンスルホ
ンアミド、エタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミ
ド、トリフルオロメチルスルホンアミド、2,2,2−
トリフルオロエチルスルホンアミド等)、アリールスル
ホンアミド基(例えばフェニルスルホンアミド、トリル
スルホンアミド等)、アルキルアミノスルホニルアミノ
基(例えばメチルアミノスルホニルアミノ、エチルアミ
ノスルホニルアミノ等)、アリールアミノスルホニルア
ミノ基、(例えばフェニルアミノスルホニルアミノ等)
ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、複素環基等(例え
ばピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、フリル、チエ
ニル等)が挙げられる。
【0049】mは0〜3の整数を表し、mが2以上の
時、R2は同一であっても異なっていても良い。また、
隣接する場合には環を形成しても良い。
【0050】AおよびRはそれぞれ5員又は6員の置換
されていてもよい複素環を表し、例えばイミダゾール、
フラン、チオフェン、ピラゾール、トリアゾール、ピリ
ジン、ピリミジン、ベンズチアゾール、インドール、キ
ノリン、ピラジン、ピロール、オキサゾール、チアゾー
ル、チオフェン等の複素環が挙げられる。
【0051】Yは活性水素を有する基を表し、例えばヒ
ドロキシル基、メルカプト基、アミノ基(アシルアミノ
基等の置換アミノ基を含む)、ヒドロキシカルボニル基
等が挙げられる。
【0052】前記一般式(2)において、R1、R2
m、YおよびRは前記一般式(1)のそれと同義であ
る。R3はR2と同義であり、nは0〜4の整数を表し、
nが2以上の時、R3はそれぞれ同一であっても異なっ
ていても良い。Zは5員又は6員の含窒素複素環を構成
する成分を表す。
【0053】前記一般式(3)において、R1、R2
m、YおよびRは前記一般式(1)のそれと同義であ
る。R3はR2と同義であり、nは0〜4の整数を表し、
nが2以上の時、R3はそれぞれ同一であっても異なっ
ていても良い。
【0054】前記一般式(4)において、R1、R2、R
3、mおよびnは一般式(3)で示されたものと同義で
ある。ZはYと同義である。R4はR2と同義であり、p
は0〜5の整数を表し、pが2以上の時、R4はそれぞ
れ同一であっても異なっていても良い。
【0055】前記一般式(5)において、R1、R2、R
3、R4、mおよびpは前記一般式(4)で示されたもの
と同義である。qは0〜3の整数を表す。qが2以上の
時、R3はそれぞれ同一であっても異なっていても良
い。Xはハロゲン原子を表す。
【0056】前記一般式(6)において、R1、R2、R
3、R4、mおよびpは一般式(4)で示されたものと同
義である。rは0〜2の整数を表す。rが2以上の時、
3はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。X
およびX′はハロゲン原子を表す。
【0057】前記一般式(7)において、A、Yおよび
mは前記一般式(1)で示されたものと同義である。R
5およびR5′はそれぞれ置換されていてもよいアルキル
基、アリール基、アルケニル基又は複素環基等を表す。
アルキル基としては例えばメチル、エチル、ブチル、ペ
ンチル、2−メトキシエチル、2−ヒドロキシエチル、
2−メタンスルホニルエチル、トリフルオロメチル、2
−エチルヘキシル基等が挙げられる。アリール基として
は例えばフェニル、ベンゾイル、ナフチル基等が挙げら
れる。アルケニル基としては炭素数2〜10のアルケニ
ル基、例えばビニル、アリル、1−プロペニル、2−ペ
ンテニル、1,3−ブタジエニル等が好ましい。複素環
基としては例えばピリジル、ピラゾリル、イミダゾリ
ル、フリル、チエニル等が好ましい。また、R5および
5′が同時に水素原子であることはない。
【0058】以下に本発明の前記一般式(1)〜前記一
般式(7)の化合物例を示す。
【0059】
【化21】
【0060】
【化22】
【0061】
【化23】
【0062】
【化24】
【0063】
【化25】
【0064】以下に、本発明で併用される前記一般式
(8)および前記一般式(9)で示される化合物につき
述べる。
【0065】前記一般式(8)において、R11は水素原
子、ヒドロキシル基、−SOR13、−SO214、アル
キル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アリール基、複素環基又は−COR15基を表す。R
13、R14は各々アルキル基又はアリール基を表す。R15
はアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール
基又は複素環基を表す。Z11およびZ12はそれぞれ炭素
数1〜3のアルキレン基を表す。ただし、Z11およびZ
12で表されるアルキレン基の炭素数の総和は3〜6であ
る。R12はZ11又はZ12に置換可能な基を表し、n11
は0〜4の整数を表す。n11が2以上の時、複数ある
12は同じであっても異なっていても良い。X11は−C
1617−、−NR18−、−O−、−S−、−SO−、
−SO2−又は−PO(OR192−を表す。R16、R17
は各々水素原子、−OCOR20基又は、R16、R17が結
合して複素環を形成するのに必要な原子群を表す。R20
はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アル
キニル基、アリール基又は複素環基を表す。R18、R19
は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニ
ル基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表す。
【0066】前記一般式(9)において、式中、R21
水素原子、アルキル基、アシル基又はトリアルキルシリ
ル基を表す。R22、R23、R24、R25、R26は各々水素
原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、
アリール基、アリールオキシ基、アルケニル基、アルケ
ニルオキシ基、アシルアミノ基、ハロゲン原子、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、
アシルオキシ基、アシル基、スルホンアミド基又はトリ
アルキルシリルオキシ基を表す。R22〜R26のうちの二
つの基が連結して5〜6員環を形成してもよい。
【0067】以下に本発明に用いられる前記一般式
(8)で表される化合物例を示す。
【0068】
【化26】
【0069】
【化27】
【0070】
【化28】
【0071】
【化29】
【0072】
【化30】
【0073】
【化31】
【0074】
【化32】
【0075】
【化33】
【0076】
【化34】
【0077】
【化35】
【0078】
【化36】
【0079】
【化37】
【0080】以下に本発明に用いられる前記一般式
(9)で表される化合物例を示す。
【0081】
【化38】
【0082】
【化39】
【0083】
【化40】
【0084】
【化41】
【0085】
【化42】
【0086】
【化43】
【0087】
【化44】
【0088】
【化45】
【0089】
【化46】
【0090】
【化47】
【0091】
【化48】
【0092】
【化49】
【0093】
【化50】
【0094】
【化51】
【0095】以下に、本発明で併用される前記一般式
(10)で示される化合物につき述べる。前記一般式
(10)において、式中、R31はハロゲン原子、アルキ
ル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アリール基、
アリールオキシ基、アルケニルオキシ基、アシルアミノ
基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカル
ボニル基、アシルオキシ基、アシル基、スルホンアミド
基、トリアルキルシリルオキシ基、カルバモイル基又は
スルファモイル基を表す。m1は0〜4の整数を表し、
m1が2以上の時、R31は同じであってもよく、隣接す
る場合には環を形成してもよい。これらの置換基の中で
も炭素数1〜18のアルコキシ基が好ましく、これらの
例としはメトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプ
ロピルオキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ、t−ブチ
ルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチル
オキシ、デシルオキシ基等を挙げることが出来る。
【0096】以下に本発明の前記一般式(10)の化合
物例を示す。
【0097】
【化52】
【0098】本発明のアゾ金属錯体系色素はアゾ化合物
と金属イオン供給化合物とを反応させることで得られ
る。金属イオン供給化合物としては、金属イオンの無機
酸又は有機酸の塩および金属錯体が挙げられ、なかでも
有機酸の塩および錯体が好ましい。前記金属イオン供給
化合物を構成する金属イオンとしては、例えば周期律表
の第I〜第VIII族に属する1価および多価の金属等が挙
げられるが、中でもAl、Co、Cr、Cu、Fe、M
g、Mn、Mo、Ni、Sn、TiおよびZnが好まし
く、特にNi、Cu、Cr、CoおよびZnが好まし
い。前記金属イオン供給化合物としては、例えばN
2+、Cu2+、Co2+、Cr2+、Zn2+を金属イオンと
し、ハライドイオン(フルオライド、クロライド、ブロ
マイド、アイオダイド)、亜硫酸イオン、硫酸イオン、
アルキル又はアリールスルホン酸イオン、硝酸イオン、
亜硝酸イオン、過塩素酸イオン、カルボキシレート、サ
リシネート、ベンゾエート、トリフルオロアセテート、
ヘキサフルオロホスフェート、テトラフルオロボレート
を陰イオンとする塩等が挙げられる。また、酢酸やステ
アリン酸等脂肪族カルボン酸の塩、安息香酸、サリチル
酸等芳香族カルボン酸の塩等を挙げることができ、ま
た、Ni2+、Cu2+、Co2+、Cr2+およびZn2+と錯
体を形成するものも好ましく、配位子としてアンモニア
又は1級アミン(例えばアンモニア、メチルアミン、エ
チレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジア
セテート、グリシンアミド)等が挙げられる。
【0099】アンモニア又は1級アミン以外の配位子あ
るいは対イオンとしては、例えば水、2,2′−ビピリ
ジル、ハロゲン(クロロ、ブロモ、ヨード)イオン、ヒ
ドロキシイオン、ニトロイオン、シアノイオン、チオシ
アナートイオン、アジドイオン、カルボネートイオン、
オキザラートイオン、アセチルアセトナートイオン、ヘ
キサフルオロアセチルアセトナート等を含有した錯体が
好ましく用いられる。
【0100】上記のようにして得られたアゾ金属錯体系
色素は対イオンを有する場合、合成原料の金属塩に由来
する対イオン(例えばCl- 、CH3COO- 等)を
有するが、場合により塩交換を行ってClO4 -、B
4 -、PF6 -等に変換することが好ましい。塩交換は、
過塩素酸塩(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウ
ム、過塩素酸マグネシウム等)、テトラフルオロホウ酸
塩(テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロ
ホウ酸アンモニウム等)、ヘキサフルオロリン酸塩(ヘ
キサフルオロリン酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸ア
ンモニウム等)を用い、これらの塩をメタノール、エタ
ノール等の溶媒に溶解した溶液(0.5〜4wt%)中
に上記のアゾ金属錯体系色素を、この色素と上記塩との
量比(色素/塩のモル比)が1/0.5〜1/2となる
ように添加し撹拌する等して行うことができる。
【0101】以下に前記一般式(1)〜(3)で表され
るアゾ化合物と金属イオン供給化合物とを反応させて得
られた本発明化合物のアゾ金属錯体系色素例および合成
例を示す。
【0102】
【化53】
【0103】
【化54】
【0104】
【化55】
【0105】
【化56】
【0106】化合物例MDH−2の合成
【0107】
【化57】
【0108】カテコール2.0gと酢酸60mlの混合
物に2−エチルアミノピリジン2.2gを30℃以下で
添加し、更にヨウ素酸ナトリウム2.5gの水溶液20
mlを15℃以下で添加した後、3−ブロモ−6−ヒド
ラジノピリジン3.0gの酢酸溶液15mlを添加し、
室温で1時間攪拌した。攪拌終了後ロータリーエバポレ
ーターで溶媒を留去し、残留物をN,N−ジメチルホル
ムアミドで溶解し、蒸留水を加えると固形物が析出し
た。この析出物をカラムクロマトグラフィーで精製し、
赤色結晶(NC−2)5.0gを得た。赤色結晶はNM
RおよびMassスペクトルで目的物であることを確認
した。
【0109】
【化58】
【0110】次に得られた赤色結晶を1gをメタノール
25mlに溶解し、塩化ニッケル6水和物0.25gを
加えた。溶媒留去後、アセトニトリルを添加し、結晶を
濾取、洗浄、乾燥して、深緑色の金属光沢を有する結晶
(MDH−2)0.68gを得た。この化合物の吸収極
大は580nmであった。
【0111】化合物例MDH−11の合成
【0112】
【化59】
【0113】カテコール2.0gと酢酸60mlの混合
物に2−メチルアミノチオフェン2.0gを30℃以下
で添加し、更にヨウ素酸ナトリウム2.5gの水溶液2
0mlを15℃以下で添加した後、2−ヒドラジノピリ
ジン1.8gの酢酸溶液15mlを添加し、室温で1時
間攪拌した。攪拌終了後ロータリーエバポレーターで溶
媒を留去し、残留物をN,N−ジメチルホルムアミドで
溶解し、蒸留水を加えると固形物が析出した。この析出
物をカラムクロマトグラフィーで精製し、赤色結晶(N
C−11)3.6gを得た。得られた赤色結晶はNMR
およびMassスペクトルで目的物であることを確認し
た。
【0114】
【化60】
【0115】次に得られた赤色結晶を1gをメタノール
25mlに溶解し、塩化ニッケル6水和物0.23gを
加えた。溶媒留去後、アセトニトリルを添加し、結晶を
濾取、洗浄、乾燥して、深緑色の金属光沢を有する結晶
(MDH−11)0.66gを得た。この化合物の吸収
極大波長は575nmであった。
【0116】以下に前記一般式(4)〜(6)で表され
るアゾ化合物と金属イオン供給化合物とを反応させて得
られた本発明のアゾ金属錯体系色素例を示す。
【0117】
【化61】
【0118】
【化62】
【0119】以下に前記一般式(7)で表されるアゾ化
合物と金属イオン供給化合物とを反応させて得られた本
発明のアゾ金属錯体系色素例を示す。尚、これらの化合
物は前述のMDH−2およびMDH−11の合成方法と
同様にして合成する事が可能である。
【0120】
【化63】
【0121】
【化64】
【0122】
【化65】
【0123】
【化66】
【0124】
【化67】
【0125】
【化68】
【0126】次に本発明の光記録媒体の構成に付き述べ
る。
【0127】本発明の光記録媒体は、基板上に少なくと
も前記一般式(1)〜(7)で表される色素の少なくと
も1種を配位子とするアゾ金属錯体系色素を含有する記
録層を有する光記録媒体である。また、別の形態とし
て、基板上に少なくとも前記一般式(1)〜(7)で表
される色素の少なくとも1種を配位子とするアゾ金属錯
体系色素および前記一般式(8)〜(10)で表される
化合物の少なくとも1種を含有する記録層を有する光記
録媒体である。
【0128】これらのアゾ金属錯体系色素は光記録媒体
の記録層に用いるとき、1種のみで用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。また、合成過程で、アゾ化合物
の配位数が異なったり、あるいは他の配位子の種類が異
なるような2種以上の化合物が得られるときは分離する
ことなくそのまま用いてもよい。
【0129】また、これらの色素は、635nmの波長
又は650nmの波長での複素屈折率の実部n(屈折
率)が2.00〜2.40であり、虚部k(消衰係数)
が0.01〜0.40であることが好ましい。このよう
な実部nおよび虚部kの物を用いることによって十分な
反射率と信号の変調度が得られ、特に600〜680n
mの波長での記録および/又は再生を良好に行うことが
出来る。これに対して実部nが2.0未満となると信号
の変調度が小さくなり、虚部kが0.4を越えると十分
な反射率が得られない。また、実部nが2.8を越える
色素の合成は事実上不可能である。尚、色素の実部nお
よび虚部kは、所定の透明基板上に色素膜を光記録媒体
の記録層程度の厚さ、例えば40〜100μmの厚さに
記録層と同条件で設層して、測定用サンプルを作製し、
次いで、この測定用サンプルの635nmの波長又は6
50nmの波長における反射率および透過率を測定し、
これらの測定値から、例えば、共立全書「光学」石黒浩
三P168〜P178に記載の方法に準じ、算出したも
のである。反射率は測定用サンプルの基板を通しての反
射率あるいは色素膜側からの反射率であり、鏡面反射
(5°程度)にて測定することができる。
【0130】本発明のアゾ金属錯体系色素は、有機溶媒
に対する溶解性が十分であり、光記録媒体の基板材料と
して汎用されているポリカーボネート樹脂(PC)を侵
すことがない塗布溶媒(例えば2,2,3,3−テトラ
フルオロプロパノール等)に対する溶解度が大きい。
【0131】このようなアゾ金属錯体系色素を用いた記
録層は、特に追記型の光記録ディスク(CD−RやDV
D−R等)に用いることが好ましい。このような記録層
は、色素含有塗布液を用いて設層することが好ましく、
特に、回転する基板上に塗布液を展開塗布するスピンコ
ート法により塗設することが好ましい。このほか、グラ
ビア塗布法、スプレーコート法、ディッピング法等を使
用して塗設してもよい。なお、塗布溶媒については後述
する。
【0132】上記のようなスピンコート法により塗設し
た後、必要に応じて塗膜を乾燥させる。このようにして
形成される記録層の厚さは、目的とする反射率等に応じ
て適宜設定されるものであるが、通常、40〜300μ
mの範囲である。
【0133】尚、塗布液における色素含有量は、好まし
くは0.05〜10wt%とするのがよい。この場合
0.05wt%以下だと実質的に感度が出ず、また10
wt%を越えると感度低下に加えて、色素の析出が大き
な問題となる。アゾ金属含有錯体系色素は溶解性が良好
であるので、このような含有量の塗布液を容易に調製す
ることができる。具体的にいえば、本発明のアゾ金属錯
体系色素は主に極性溶媒に良好な溶解性を示し、アルコ
ール系やセロソルブ系ないしはアルコキシアルコール
系、ジアセトンアルコール等のケトアルコール、シクロ
ヘキサノン等のケトン、2,2,3,3−テトラフルオ
ロプロパノール等のフッ素化アルコール等に0.5〜1
0wt%溶解する。特にポリカーボネート製ディスク基
板に塗布する際に好適な塗布溶媒である、エチルセロソ
ルブや2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに
2wt%以上溶解し、短時間に良質な膜を塗設すること
が可能である。塗布液には適宜バインダー、分散剤、安
定剤等を含有させてもよい。
【0134】また、本発明の光記録媒体の記録層にはア
ゾ金属錯体系色素のほか、他の種類の光吸収色素を含有
させてもよい。このような色素としては、フタロシアニ
ン系色素、シアニン系色素、上記とは別種の金属錯体色
素、スチリル系色素、ポリフィリン系色素、上記とは別
種のアゾ色素、ホルマザン金属錯体等が挙げられる。し
たがって、このような場合には、塗布液中にこのような
色素を含有させて記録層を塗設すればよい。
【0135】特に、本発明では、680〜635nmの
短波長と780nmの波長との2波長で記録再生可能と
したり、また記録と再生をこの2つの波長に分けて行う
ことができる。この場合、780nmのの波長光で記録
を行い、680〜635nmの短波長と780nmの波
長の2波長で再生を行うCD−RIIの記録と再生方式に
適当である。このような構成とする場合、記録層には本
発明のアゾ金属錯体系色素のほか、吸収特性等の光学特
性の異なる色素を用いることが好ましい。このような組
合せとしては、本発明のアゾ金属錯体系色素を短波長用
とし、他種の光吸収色素を長波長用とするものが、好ま
しく用いられる。このような場合、本発明のアゾ金属錯
体系色素のほかに、吸収極大(λmax)波長が680
〜750nmの色素を含有させることが好ましく、この
ような吸収極大(λmax)波長をもつ色素を上記色素
のなかから選択して用いればよい。なかでも、通常、フ
タロシアニン系色素やペンタメチンシアニン系色素が用
いられる。
【0136】特に、上記のような2波長で記録、再生を
行うタイプのCD−RIIの記録層に用いる場合、アゾ金
属錯体系色素は650nmの波長での複素屈折率の実部
nが1.8〜2.6、虚部kが0.02〜0.20であ
ることが好ましい。一方、これと組み合わせる色素とし
ては、780nmの波長での複素屈折率の実部nが1.
8〜2.6、虚部kが0.02〜0.30、特に積層タ
イプの記録層に用いる場合は虚部kが0.02〜0.1
5であって、薄膜の吸収スペクトルの半値幅、すなわち
λmax付近のスペクトル線の半値幅が170nmの波
長以下、好ましくは150nmの波長以下であるものが
好ましい。半値幅の下限には特に制限はないが、通常5
0nmの波長である。このような半値幅のものを用いる
ことによって、併用するアゾ金属錯体系色素の吸収特性
に影響を与えることがなく、短波長域における反射率お
よび変調度が十分となる。これに対し、半値幅が170
nmの波長をこえると、その吸収端が短波長レーザーの
波長域にかかってしまい、短波長域での反射率の低下を
招いてしまう。なお、半値幅は吸収極大(λmax)波
長における透過率Tが25%以下となるように透明基板
上に色素膜を形成したサンプルを作製し、このサンプル
の吸収スペクトルを測定することにより求めることがで
きる。サンプルの色素膜の厚さは、通常、50〜150
μmの範囲である。
【0137】尚、上記の実部nおよび虚部kは、測定波
長を各々650nm、780nmの波長として前記と同
様にして求めたものである。
【0138】また、2波長の記録、再生を目的とする場
合、本発明のアゾ金属錯体系色素の層と他の色素の層と
を積層した記録層としてもよい。積層順については適宜
選択すればよく、通常、1層当たりの厚さは40〜25
0μmの範囲とすればよい。このような積層タイプの記
録層は、各色素を含有する塗布液をそれぞれ用いて塗設
すればよい。
【0139】このような積層タイプの記録層で2層構成
とする場合、基板側にアゾ金属錯体系色素を含有する短
波長対応の記録層下層(第1の記録層)を設け、その上
に他の色素を含有する780nmの波長対応の記録層上
層(第2の記録層)を設けることが好ましい。この場
合、記録層下層を記録層上層に比べ薄くすることが好ま
しく、記録層下層と上層との厚さの比は感度の面から下
層/上層が1/10〜1/1となるようにすることが好
ましい。
【0140】このような2波長対応の、あるいは短波長
対応の記録層を基板上に有する光記録ディスクとして、
図1、図2には、その構成例の部分断面図が示されてい
る。図1について説明すると、図1に示される光記録デ
ィスク1は、記録層上に反射層を密着して有するCD規
格に対応した再生が可能な密着型光記録ディスクであ
る。図示のように、光記録ディスク1は、基板2表面に
本発明のアゾ金属錯体系色素を含有する記録層3を有
し、記録層3に密着して反射層(反射膜)4を有し、反
射層4に密着して保護膜(保護層)5を有する。
【0141】記録層3は、アゾ金属錯体系色素と他の色
素を用いた前記の混合タイプあるいは積層タイプとした
2波長対応型、アゾ金属錯体系色素を主成分とした短波
長対応型のものである。
【0142】基板2は、ディスク状のものであり、基板
2の裏面側からの記録および再生を可能とするために、
記録光および再生光(特に635〜650nmの波長お
よび780nmの波長)に対し、実質的に透明(好まし
くは透過率88%以上)な材料(例えば樹脂あるいはガ
ラス等)を用いて形成するのがよい。材質的には、樹脂
を用いることが好ましく、ポリカーボネート樹脂、アク
リル樹脂、アモルファスポリオレフィン、TPX、ポリ
スチレン系樹脂等の各種熱可塑性樹脂が好ましい。ま
た、大きさは、直径64〜200mm程度、厚さ1.2
mm程度のものとする。
【0143】基板2の記録層3形成面には、図1に示す
ように、トラッキング用のグルーブ23が形成される。
グルーブ23は、スパイラル状の連続型グルーブである
ことが好ましく、深さは0.1〜0.25μm、幅は混
合タイプ、短波長対応型では0.35〜0.60μm、
積層タイプでは0.35〜0.80μm、グルーブピッ
チは1.5〜1.7μmであることが好ましい。グルー
ブをこのような構成とすることにより、グルーブの反射
レベルを下げることなく、良好なトラッキング信号を得
ることができる。特にグルーブ幅を0.35〜0.80
μm、あるいは0.35〜0.60μmに規制すること
は重要であり、グルーブ幅を0.35μm未満とする
と、十分な大きさのトラッキング信号が得られにくく、
記録時のトラッキングのわずかなオフセットによって、
ジッター(Jitter)が大きくなりやすい。またグ
ルーブ幅が大きくなると波形ひずみが生じやすくなる。
【0144】図1に示されるように、基板2に設層され
る記録層3は、前記の色素含有塗布液を用い、前記のよ
うに、好ましくはスピンコート法により塗設されたもの
である。スピンコート法による塗設は通常の条件に従
い、内周から外周にかけて、回転数を500〜5000
rpmの間で調整する等して行えばよい。
【0145】このようにして形成される記録層3の厚さ
は、混合タイプ、短波長対応型では、乾燥膜厚で50〜
300μmとすることが好ましい。この範囲外では反射
率が低下して、オレンジブック規格に対応した再生を行
うことが難しくなる。この際、グルーブ23内の記録ト
ラック内の記録層3の膜厚を100μm以上、特に13
0〜300μmとすると、変調度がきわめて大きくな
る。
【0146】また、積層タイプでは、前記したとおり、
乾燥膜厚で、各々40〜250μmとすることが好まし
い。これにより良好な再生を行うことができる。またグ
ルーブ23内の記録トラック内の記録層3の膜厚は50
μm以上、特に50〜80μmとすることが好ましい。
さらに、前記のとおり、2層構成とし、下層に本発明の
アゾ金属錯体系色素を含有させるときには、上下層の膜
厚を前記のようにすることによって、CD−RIIとした
とき、780nmでの記録・再生を良好に行うことがで
きる。
【0147】このようにして形成される記録層3が、2
波長対応型の色素混合タイプの記録層であるときは、6
35〜650nmの波長において実部nは1.8〜2.
3、虚部kは0.02〜0.20、780nmの波長に
おいて実部nは1.8〜2.5、虚部kは0.03〜
0.15であることが好ましい。また、2波長対応型の
積層タイプの記録層であるとき、635〜650nmの
波長において、実部nは1.8〜2.3、虚部kは0.
02〜0.20、780nmの波長において実部nは
1.8〜2.6、虚部kは0.02〜0.15であるこ
とが好ましい。このように複素屈折率の実部n、虚部k
を規制することによって、2波長で良好な記録、再生が
行える。特に780nmの波長程度の従来波長ではオレ
ンジブック規格に対応した記録、再生が行える。
【0148】また、635〜650nmの短波長対応型
のものであるとき、その記録光および再生光波長におけ
る複素屈折率の虚部kは、0〜0.20であることが好
ましい。虚部kが0.20を超えると、十分な反射率が
得られない。また、記録層3の複素屈折率の実部nは、
1.8以上であることが好ましい。実部nが1.8未満
では信号の変調度が小さすぎる。実部nの上限には特に
制限はないが、通常2.6程度である。
【0149】図1に示されるように、記録層3上には、
直接密着して反射層4が設層される。反射層4として
は、Au、Cu、Al、Ag、AgCu等の高反射率金
属ないし合金を用いるのがよく、コストの点からはAg
が好ましい。反射層4の厚さは50μm以上であること
が好ましく、蒸着、スパッタ等により設層すればよい。
また、厚さの上限に特に制限はないが、コスト、生産作
業時間等を考慮すると、120μm程度以下であること
が好ましい。これにより、反射層4単独での反射率は、
90%以上、媒体の未記録部の基板を通しての反射率は
十分であり、2波長対応型のものである時、780nm
の波長の従来の波長では60%以上、特に70%以上が
得られる。
【0150】図1に示されるように、反射層4上には、
保護膜5が設層される。保護膜5は、例えば紫外線硬化
樹脂等の各種樹脂材質から、通常は、0.5〜100μ
mの範囲の厚さに設層すればよい。保護膜5は、層状で
あってもシート状であってもよい。保護膜5は、スピン
コート法、グラビア塗布法、スプレーコート法、ディッ
ピング法等の通常の方法により塗設すればよい。
【0151】このような構成の光記録ディスク1に記録
ないし追記を行うには、例えば635nmの波長あるい
は780nmの波長の記録光を、基板2を通してパルス
状に照射し、照射部の光反射率を変化させる。なお、記
録光を照射すると、記録層3が光を吸収して発熱し、同
時に基板2も加熱される。この結果、基板2と記録層3
との界面近傍において、色素等の記録層材質の融解や分
解が生じ、記録層3と基板2との界面に圧力が加わり、
グルーブの底面や側壁を変形させることがある。
【0152】次に、図2について説明する。図2に示さ
れる光記録ディスク6は、記録層上に反射層を密着し、
その上に保護膜を設け、形成したディスク2枚の保護層
を内側に接着剤で貼り付けた構造を有する、市販のDV
Dプレーヤーで再生が可能な密着型光記録ディスクであ
る。図示のように、光記録ディスク6は、基板7表面に
本発明のアゾ金属錯体系色素を含有する記録層8を有
し、記録層8に密着して反射層(反射膜)9を有し、反
射層(反射膜)9に密着して保護膜(保護層)10を有
し、2枚のディスクの保護膜10を内側に接着層11を
有する。
【0153】基板7は、ディスク状のものであり、基板
7の裏面側からの記録および再生を可能とするために、
記録光および再生光(635〜650nmの波長)に対
し、実質的に透明(好ましくは透過率88%以上)な材
料(例えば樹脂あるいはガラス)を用いて形成するのが
よい。材質的には、樹脂を用いることが好ましく、ポリ
カーボネート樹脂、アクリル樹脂、アモルファスポリオ
レフィン、TPX、ポリスチレン系樹脂等の各種熱可塑
性樹脂が好適である。そして、このような樹脂を用いて
射出成形等の公知の方法に従って製造することができ
る。グルーブ78は、基板7の成形時に形成することが
好ましい。また、大きさは、直径64〜200mmの範
囲、厚さ0.6mmのものとする。
【0154】基板7の記録層8形成面には、図2に示す
ように、トラッキング用のグルーブ78が形成される。
グルーブ78は、スパイラル状の連続型グルーブである
ことが好ましく、深さは0.04〜0.15μm、幅は
0.20〜0.45μm、グルーブピッチは0.74〜
0.80μmであることが好ましい。グルーブをこのよ
うな構成とすることにより、グルーブ部の反射レベルを
下げることなく、良好なトラッキング信号を得ることが
できる。特にグルーブ幅を0.20〜0.45μmに規
制することが重要であり、グルーブ幅を0.20μm未
満とすると、十分な大きさのトラッキング信号が得られ
にくく、記録時のトラッキングのわずかなオフセットに
よって、ジッターが大きくなりやすい。また0.45μ
mを超えると、再生信号の波形歪みが生じやすく、クロ
ストークの増大の原因となる。
【0155】図2に示されるように、基板7に設層され
る記録層8は、前記の色素含有塗布液を用い、前記のよ
うに、好ましくはスピンコート法により形成されたもの
である。スピンコート法による塗設は通常の条件に従
い、内周から外周にかけて、回転数を500〜5000
rpmの間で調整する等して行えばよい。
【0156】このようにして形成される記録層8の厚さ
は、乾燥膜厚で40〜200μmとすることが好まし
い。この範囲外では反射率が低下して、市販のDVDプ
レーヤーによる再生を行うことが難しくなる。この際、
グルーブ78内の記録トラック内の記録層8の膜厚を4
0μm以上、特に60〜200μmとすると、変調度が
極めて大きくなる。
【0157】このようにして形成される記録層8は、6
35〜650nmの短波長対応型のものであるとき、信
号を記録する場合、その記録光および再生光波長におけ
る複素屈折率の虚部kは0.02〜0.20であること
が好ましい。虚部kが0.02未満となると記録層の吸
収率が低下し、通常の記録パワーで記録を行うことが困
難である。また、虚部kが0.20を超えると、反射率
が低くなってしまい、市販のDVDプレーヤーによる再
生を行うことが困難である。また、記録層3の複素屈折
率の実部nは2.0〜2.6となる。実部nが2.0以
下では反射率が低下し、また再生信号が小さくなり、市
販のDVDプレーヤーによる再生が困難となる傾向にあ
る。実部nが2.6以上では色素の合成が困難である。
【0158】図2に示されるように、記録層8上には直
接密着して反射層9が設層される。反射層9としてはA
u、Cu、Al、Ag、AgCu等の高反射率金属ない
し合金を用いるのがよく、Agがコストの点で好まし
い。反射層9の厚さは40μm以上であることが好まし
く、蒸着、スパッタ等により設層すればよい。また、厚
さの上限に特に制限はないが、コスト、生産作業時間等
を考慮すると、厚さは120μm以下であることが好ま
しい。これにより、反射層9単独での反射率は90%以
上、媒体の未記録部の基板を通しての反射率は十分であ
る。
【0159】図2に示されるように、反射層9上には、
保護膜10が設層される。保護膜10は、例えば紫外線
硬化樹脂等の各種樹脂材質から、通常は、0.5〜10
0μmの厚さに設層すればよい。保護膜10は、層状で
あってもシート状であってもよい。保護膜10は、スピ
ンコート法、グラビア塗布法、スプレーコート法、ディ
ッピング法等の通常の方法により塗設すればよい。
【0160】図2に示されるように、2枚のディスクの
保護膜10を内側にして、保護膜10の間に接着層11
を設層する。接着層11は、例えば熱可塑性樹脂、紫外
線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、嫌気性硬化型樹脂等の各
種接着樹脂材質から、通常は0.5〜100μmの厚さ
に設層すればよい。接着層11は、層状であってもシー
ト状であってもよい。接着層11は、スピンコート法、
グラビア塗布法、スプレーコート法等の通常の方法によ
り形成すればよい。接着層11を設層後、2枚のディス
クの接着層11同士を貼り合わせればよい。
【0161】このような構成の光記録ディスク6に記録
ないし追記を行うには、例えば635nmの波長の記録
光を、基板7を通してパルス状に照射し、照射部の光反
射率を変化させる。なお、記録光を照射すると、記録層
8が光を吸収して発熱し、同時に基板7も加熱される。
この結果、基板7と記録層8との界面近傍において、色
素等の記録層材質の融解や分解が生じ、記録層8と基板
7との界面に圧力が加わり、グルーブの底面や側壁を変
形させることがある。
【0162】本発明の光記録媒体の記録、再生を行う光
源としては、固体レーザ、ガスレーザ、色素レーザ、半
導体レーザ等が挙げられる。本発明の化合物は特に高い
記録感度を有していることから、635nmの波長や6
50nmの波長の半導体レーザを用いた記録、再生に適
している。
【0163】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
【0164】実施例1 以下に示す手順で色素薄膜を作製し、吸収極大、耐光性
の評価を行った。
【0165】(1)色素薄膜(記録層)の作製 本発明のアゾ金属錯体系色素(表1に記載)および比較
色素(A)を各1g秤量し、50mlの2,2,3,3
−テトラフルオロプロパノールに溶解した。溶解性は良
好であった。塗布液を、スピンコート法によりガラス基
板(厚さ1.2mm、直径80mm)上に塗布し、80
℃で30分間乾燥することにより当該ガラス基板上に厚
さ100μm前後の記録層を形成し、試料No.1〜1
2を作製した。
【0166】(2)耐光性試験 キセノンフェードメータ(スガ試験機(株)製)を用
い、各試料の記録層にキセノン光を照射し、照射後にお
ける色素残存率を測定した。ここで、照射条件として
は、記録層表面の照度を7万ルクス、照射時の温度を4
3℃、照射時間を30時間とした。また、色素残存率
は、色素の極大吸収波長の光透過率をキセノン光照射前
後で測定して下記の式から求めた。
【0167】色素残存率=(100−T)/(100−
0)×100 ただし、T0はキセノン光照射前の透過率、Tはキセノ
ン光照射後の透過率 (3)暗所保存性試験 恒温槽を用い、各試料の暗所保存性試験を行った。保存
条件は温度:85℃、湿度:60%RHで、保存時間は
72時間とした。また、色素残存率は試料の透過濃度を
濃度計(X−rite310T/R:X−rite社
製)で測定して下式から求めた。
【0168】色素残存率=D/D0×100 ただし、D0は保存性試験開始前の透過濃度、Dは保存
性試験後の透過濃度
【0169】
【化69】
【0170】結果を表1に示す。
【0171】
【表1】
【0172】表1の結果から明らかなように、本発明の
金属錯体系色素は耐光性だけでなく熱による暗所保存性
も良好なことがわかる。
【0173】実施例2 本発明のアゾ金属錯体系色素に前記一般式(7)〜
(9)の化合物を色素に対して10%添加し実施例1と
同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0174】
【表2】
【0175】表2の結果から明らかなように、本発明の
アゾ金属錯体系色素は前記一般式(7)〜(9)の化合
物を添加することで耐光性が更に改善されることがわか
る。
【0176】実施例3 実施例1で作製した試料にAu反射膜およびAg反射膜
を80μmの厚さにスパッタ法により形成し、さらに紫
外線硬化型のアクリル樹脂の透明な保護層を厚さ30μ
mになるようにスピンコート法にて形成した。試料を実
施例1と同様に耐光性および暗所保存性試験を行い、反
射濃度を測定して色素残存率を求めた。結果を表3に示
す。
【0177】
【表3】
【0178】表3の結果から明らかなように、本発明の
アゾ金属錯体系色素は金だけでなく銀においても、耐光
性だけでなく熱による暗所保存性も良好で安定なことが
わかる。
【0179】実施例4 本発明のMDH−1を記録層用の色素として光記録ディ
スクを作製した。グルーブ(深さ0.15μm、幅0.
42μm、グルーブピッチ0.80μm)を有する直径
120mm、厚さ0.6mmのポリカーボネート樹脂基
板上に、スピンコート法により色素を含有する記録層を
80μmの厚さに形成した。この場合の塗布液として、
色素濃度として2wt%の2,2,3,3−テトラフル
オロプロパノール溶液を用いた。次に、この記録層にA
u反射膜を80μmの厚さにスパッタ法により形成し、
さらに紫外線硬化型のアクリル樹脂の透明な保護層(膜
厚5μm)を形成した。同様にして形成したディスクサ
ンプル2枚の保護層を内側に接着剤で貼り付けてディス
クを形成した。これをディスクサンプルNo.1とし
た。同様に色素を代えてディスクサンプルを作製した。
【0180】このようにして作製した光記録ディスクの
サンプルNo.1〜No.7に対し、レーザー(発振波
長635nm)を使用して、線速1.3m/秒で信号を
8/16変調信号で記録し、最適記録パワー、ジッター
を測定した。最適記録パワーは記録評価に用いている評
価機でアシンメトリが0%になる範囲を意味する。この
結果を表4に示す。ジッターに関しては、実施例1と同
様の条件により暗所保存した場合のジッターの劣化も評
価した。
【0181】
【表4】
【0182】表4から明らかなように、本発明のアゾ金
属錯体系色素は、最適記録パワーが低い、すなわち記録
感度が高いことがわかる。また再生信号のジッター特性
に優れていることがわかる。
【0183】実施例5 実施例4のディスクサンプルNo.1において、記録層
用の色素として色素MDH−1とシアニン色素CY−1
とを用い、これらの混合色素の2wt%2,2,3,3
−テトラフルオロプロパノール溶液(色素MDH−1/
CY−1のモル比=30/70)を調製し、これにより
記録層を設層するほかは同様にして光記録ディスクを作
製した。これをディスクサンプルNo.8とする。
【0184】また、色素MDH−1/シアニン色素CY
−1のモル比=50/50とするほかはディスクサンプ
ルNo.8と同様にしてディスクサンプルNo.9を作
製した。
【0185】また、このディスクサンプルNo.9にお
いて、色素MDH−1のかわりに比較色素Aを用いるほ
かは同様にしてディスクサンプルNo.10を作製し
た。
【0186】これらのディスクサンプルに対し、実施例
4と同様に、780nmの波長のレーザー光を用いてオ
レンジブック規格に従った記録を行い、次にこのディス
クを650nmの波長のレーザー光を用いて再生したと
きの変調度(I11Mod)とジッターを測定した。こ
の結果を表5に示す。
【0187】
【化70】
【0188】
【表5】
【0189】表5から明らかなように、本発明のアゾ錯
体系色素は色素単独で光記録層に用いた場合のみなら
ず、オレンジブック規格の780nmの波長との両立を
目的として長波長側に吸収を有する色素、例えばシアニ
ン系色素との混合系で用い、650nmの波長付近の短
波長側において再生を行った場合においても変調度やジ
ッターが悪化することなく、優れた特性を発現した。一
方、比較色素として用いられているようなタイプのアゾ
金属錯体系色素は再生信号のジッターが大きくなり、ま
た変調度も本発明の色素と比較して小さいことがわかっ
た。
【0190】さらに、上記のように780nmの波長で
記録した各ディスクサンプルに対し、780nmの波長
のレーザー光を用いて再生したときの変調度とジッター
を測定すると、本発明の色素を用いたディスクサンプル
No.8では変調度が70%、ジッターが19ns、デ
ィスクサンプルNo.9では変調度が71%、ジッター
が20nsであった。これに対し、比較色素を用いたサ
ンプルNo.10では変調度が62%、ジッターが38
nsであり、本発明の色素を用いる方が特性に優れるこ
とがわかった。
【0191】また、635nmの波長のレーザー光を用
い、各ディスクサンプルに対し、記録(線速1.3m/
秒)を行い、650nmの波長のレーザー光で再生を行
ったところ、本発明のディスクサンプルNo.8、N
o.9では良好な再生を行うことができ、変調度、ジッ
ターの点も良好であった。これに対し、比較のディスク
サンプルNo.10では本発明のものに比べ特性が劣っ
た。
【0192】さらに635nmの波長のレーザー光を用
いて記録した各ディスクサンプルに対し、780nmの
波長のレーザー光で再生を行ったところ、本発明のディ
スクサンプルNo.8、No.9では良好な再生を行う
ことができ、変調度、ジッターの点も良好であった。こ
れに対し、比較のディスクサンプルNo.10では本発
明のものに比べ特性が劣った。
【0193】このように本発明のディスクサンプルN
o.8、No.9は2波長対応型の光記録ディスクとし
て良好に使用できることがわかる。
【0194】以上のように、色素No.MDH−1に代
表される本発明のアゾ金属錯体系色素は、比較色素に代
表される公知の光記録層用アゾ金属錯体系色素と比較し
て、その記録感度とジッター特性において優れている。
また、他の光吸収色素と混合して用いた場合において
も、再生信号のジッターが悪化しない等の予想外の特性
を有していることがわかった。
【0195】
【発明の効果】本発明により、塗布溶剤への溶解性に優
れ、かつ保存安定性に優れたアゾ金属錯体系色素を用い
ることにより光記録特性、保存安定性に優れた光記録媒
体およびそれを用いる光記録方法を提供することが可能
である。また、長波長側に吸収を有する色素と混合して
2波長対応型の光記録層用色素として用いた場合におい
ては、公知のアゾ金属錯体系色素とは異なり、混合によ
りジッターが大きく悪化する欠点がない等の予想外の特
性を発現し、2波長対応型という特徴的な光記録媒体を
優れた特性にて実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録ディスクの一例を示す部分断面
図である。
【図2】本発明の光ディスクの他の一例を示す部分断面
図である。
【符号の説明】
1,6 光記録ディスク 2,7 基板 23,78 グルーブ 3,8 記録層 4,9 反射層 5,10 保護膜 11 接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H111 EA31 EA40 FA01 FA12 FA14 FA15 FB02 FB42 5D029 JA04 JB47 MA13

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表されるアゾ化合物
    の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応させ
    て得られたアゾ金属錯体系色素を含有する記録層を有す
    る光記録媒体。 【化1】 〔式中、R1は水素原子、それぞれ置換されていてもよ
    いアルキル基、アリール基又はアルケニル基を表す。R
    2は置換基を表し、mは0〜3の整数を表し、mが2以
    上の時、R2は同一であっても異なっていても良い。A
    およびRはそれぞれ5員又は6員の置換されていてもよ
    い複素環を表す。Yは活性水素を有する基を表す。〕
  2. 【請求項2】 アゾ化合物が下記一般式(2)で表され
    ることを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。 【化2】 〔式中、R1は水素原子、それぞれ置換されていてもよ
    いアルキル基、アリール基又はアルケニル基を表す。R
    2およびR3は置換基を表し、mは0〜3の整数、nは0
    〜4の整数を表し、mおよびnが2以上の時、R2およ
    びR3はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
    Rは5員又は6員の置換されていてもよい芳香族複素環
    を表す。Zは5員又は6員の含窒素複素環を構成する成
    分を表す。Yは活性水素を有する基を表す。〕
  3. 【請求項3】 アゾ化合物が下記一般式(3)で表され
    ることを特徴とする請求項2に記載の光記録媒体。 【化3】 〔式中、R1は水素原子、それぞれ置換されていてもよ
    いアルキル基、アリール基又はアルケニル基を表す。R
    2およびR3は置換基を表し、mは0〜3の整数、nは0
    〜4の整数を表し、mおよびnが2以上の時、R2およ
    びR3はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
    Rは5員又は6員の置換されていてもよい芳香族複素環
    を表す。Yは活性水素を有する基を表す。〕
  4. 【請求項4】 下記一般式(4)で示されるアゾ化合物
    の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応させ
    て得られたアゾ金属錯体系色素を含有する記録層を有す
    る光記録媒体。 【化4】 〔式中、R1は水素原子、それぞれ置換されていてもよ
    いアルキル基、アリール基又はアルケニル基を表す。R
    2およびR3は置換基を表し、mは0〜3の整数、nは0
    〜4の整数を表し、mおよびnが2以上の時、R2およ
    びR3はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
    4は置換基を表し、pは0〜5の整数を表し、pが2
    以上の時、R4はそれぞれ同一であっても異なっていて
    も良い。Zは活性水素を有する基を表す。〕
  5. 【請求項5】 アゾ化合物が下記一般式(5)で表され
    ることを特徴とする請求項4に記載の光記録媒体。 【化5】 〔式中、R1は水素原子、それぞれ置換されていてもよ
    いアルキル基、アリール基又はアルケニル基を表す。R
    2、R3およびR4は置換基を表し、mは0〜3の整数、
    の整数を表し、mが2以上の時、R2およびR3はそれぞ
    れ同一であっても異なっていても良い。pは0〜5の整
    数を表し、pが2以上の時、R4はそれぞれ同一であっ
    ても異なっていても良い。qが2以上の時、R3はそれ
    ぞれ同一であっても異なっていても良い。Xはハロゲン
    原子を表す。〕
  6. 【請求項6】 アゾ化合物が下記一般式(6)で表され
    ることを特徴とする請求項5に記載の光記録媒体。 【化6】 〔式中、R1は水素原子、それぞれ置換されていてもよ
    いアルキル基、アリール基又はアルケニル基を表す。R
    2、R3およびR4は置換基を表し、mは0〜3の整数、
    mが2以上の時、R2およびR3はそれぞれ同一であって
    も異なっていても良い。pは0〜5の整数を表し、pが
    2以上の時、R4はそれぞれ同一であっても異なってい
    ても良い。rは0〜2の整数を表す。rが2以上の時、
    3はそれぞれ同一であっても異なっていても良い。X
    およびX′はハロゲン原子を表す。〕
  7. 【請求項7】 アゾ金属錯体系色素の中心金属がNiで
    ある事を特徴とする請求項1〜6項の何れか1項記載の
    光記録媒体。
  8. 【請求項8】 下記一般式(7)で表されるアゾ化合物
    の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応させ
    て得られたアゾ金属錯体系色素と下記一般式(8)又は
    下記一般式(9)で表される化合物の少なくとも一種を
    含有する記録層を有する光記録媒体。 【化7】 〔式中、R5およびR5′は水素原子又はそれぞれ置換さ
    れていてもよいアルキル基、アリール基、アルケニル基
    又は複素環基を表す。R2は置換基を表し、mは0〜3
    の整数を表し、mが2以上の時、R2は同一であっても
    異なっていても良い。Aは5員又は6員の置換されてい
    てもよい複素環を表す。Yは活性水素を有する基を表
    す。〕 【化8】 〔式中、R11は水素原子、ヒドロキシル基、−SO
    13、−SO214、アルキル基、シクロアルキル基、
    アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基又
    は−COR15基を表す。R13、R14は各々アルキル基又
    はアリール基を表す。R15はアルキル基、アルケニル
    基、アルキニル基、アリール基又は複素環基を表す。Z
    11およびZ12はそれぞれ炭素数1〜3のアルキレン基を
    表す。ただし、Z11およびZ12で表されるアルキレン基
    の炭素数の総和は3〜6である。R12はZ11又はZ12
    置換可能な基を表し、n11は0〜4の整数を表す。n
    11が2以上の時、複数あるR12は同じであっても異な
    っていても良い。X11は−CR16 17−、−NR18−、
    −O−、−S−、−SO−、−SO2−又は−PO(O
    192−を表す。R16、R17は各々水素原子、−OC
    OR20基又は、R16、R17が結合して複素環を形成する
    のに必要な原子群を表す。R20はアルキル基、シクロア
    ルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又
    は複素環基を表す。R18、R19は水素原子、アルキル
    基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、
    アリール基又は複素環基を表す。〕 【化9】 〔式中、R21は水素原子、アルキル基、アシル基又はト
    リアルキルシリル基を表す。R22、R23、R24、R25
    26は各々水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、
    アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルケ
    ニル基、アルケニルオキシ基、アシルアミノ基、ハロゲ
    ン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシ
    カルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、スルホンア
    ミド基又はトリアルキルシリルオキシ基を表す。R22
    26のうちの二つの基が連結して5〜6員環を形成して
    もよい。〕
  9. 【請求項9】 前記一般式(8)又は前記一般式(9)
    で表される化合物の少なくとも一種を含有する記録層を
    有する事を特徴とする請求項1〜7項の何れか1項記載
    の光記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記一般式(6)で表されるアゾ化合
    物の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応さ
    せて得られたアゾ金属錯体系色素と下記一般式(10)
    で表される化合物の少なくとも一種を含有する記録層を
    有する光記録媒体。 【化10】 〔式中、R31はハロゲン原子、アルキル基、シクロアル
    キル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ
    基、アルケニル基、アルケニルオキシ基、アシルアミノ
    基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカル
    ボニル基、アシルオキシ基、アシル基、スルホンアミド
    基、トリアルキルシリルオキシ基、カルバモイル基又は
    スルファモイル基を表す。m1は0〜4の整数を表し、
    m1が2以上の時、R31は同じであっても異なっていて
    もよく、隣接する場合には環を形成してもよい。〕
  11. 【請求項11】 前記一般式(10)で表される化合物
    の少なくとも一種を含有する記録層を有する事を特徴と
    する請求項1〜7項の何れか1項記載の光記録媒体。
  12. 【請求項12】 アゾ金属錯体系色素を含有する記録層
    に接して金属薄膜層を有する事を特徴とする請求項1〜
    11項の何れか1項記載の光記録媒体。
  13. 【請求項13】 金属薄膜層の金属の主成分が銀である
    ことを特徴とする請求項12記載の光記録媒体。
  14. 【請求項14】 読み込みおよび書き込みの波長が62
    0〜660nmである事を特徴とする請求項1〜13項
    の何れか1項記載の光記録媒体。
  15. 【請求項15】 前記一般式(1)で表されるアゾ化合
    物の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応さ
    せて得られたアゾ金属錯体系色素。
  16. 【請求項16】 前記一般式(3)で表されるアゾ化合
    物の少なくとも一種と金属イオン供給化合物とを反応さ
    せて得られたアゾ金属錯体系色素。
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