JP3411771B2 - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

Info

Publication number
JP3411771B2
JP3411771B2 JP02101697A JP2101697A JP3411771B2 JP 3411771 B2 JP3411771 B2 JP 3411771B2 JP 02101697 A JP02101697 A JP 02101697A JP 2101697 A JP2101697 A JP 2101697A JP 3411771 B2 JP3411771 B2 JP 3411771B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
dye
azo
recording
recording layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP02101697A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1081069A (ja
Inventor
敦志 門田
貴彦 鈴木
江美子 神戸
正博 新海
寿美子 北川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TDK Corp filed Critical TDK Corp
Priority to JP02101697A priority Critical patent/JP3411771B2/ja
Publication of JPH1081069A publication Critical patent/JPH1081069A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3411771B2 publication Critical patent/JP3411771B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアゾ金属錯体系色素
を記録層に用いた光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明の発明者らはCD(コンパクトデ
ィスク)規格に対応した記録可能な光記録媒体としてC
D−R(追記型コンパクトディスク)を開発してきた。
近年、更なる高密度光記録媒体が望まれており、その一
つとしてCD−Rの記録波長を現行の780nmから68
0〜635nmへと短波長化した次世代のCD−RやDV
D−R(追記型デジタルビデオディスク)等が提唱され
ている。しかしこれまで780nmに対応すべく開発が進
められてきた結果、680nm〜635nm等の短波長側で
耐光性や溶解性、ならびに記録感度等の諸特性を満たし
ている色素はほとんど知られていない。さらに無視でき
ない要求として、現行規格との互換性が挙げられる。す
なわち、現行の記録機で記録した媒体が短波長で最低
限、読み出しができなくては過去の情報の蓄積を簡便か
つ迅速に活用できなくなる障害が生じることになる。よ
って今後開発されるべき短波長用記録層には、現行波長
の780nmにおける規格の遵守、いわゆるオレンジブッ
ク規格を満足しつつ、同時に680nm〜635nmにおい
ても現行規格と同様な特性を有することが重要視されて
くる。
【0003】これを最も現実的に実現するためには、現
行規格で良好な特性を有し、かつ短波長側に大きな吸収
をもたない色素を適当量混合して両波長にて特性を満足
する方法が考えられる。この場合、混合系での記録特性
を十分に吟味する必要がある。
【0004】記録波長も重要であるが、特に重要で実現
困難な特性が記録層用色素の耐光性である。これまでに
高耐光性色素として、主に何らかの金属錯体系色素が開
示されてきた。例えば特開昭59−55795号に示さ
れるような、耐光性が低いシアニン色素に金属錯体クエ
ンチャーを組合せて耐光性を改善した例がある。しか
し、この系はスピンコート時に用いられる塗布溶媒に対
する溶解度が著しく低下することと、安定化剤そのもの
が分解劣化してしまう欠点を有する。この他にも、高耐
光性を有するものとして、例えばアゾ系金属錯体系色素
(特公平7−51682号)、ホルマザンニッケル錯体
色素(特開昭60−254038号、同62−1449
97号)等がある。確かにこれら金属錯体色素は耐光性
に優れているが、一般に記録感度が低く、比較的溶解性
も低く、特定の溶媒にしか溶解しない欠点を有する。ま
た680nm〜635nmの短波長での記録再生を考慮する
と、ホルマザンニッケル金属錯体色素はその吸収波長が
長過ぎ、もはやこの骨格では短波長への対応は不可能と
考えられる。
【0005】高耐光性色素として古くから知られるフタ
ロシアニン系色素に関しては、やはり上述の欠点を回避
することは難しく、短波長色素記録層用色素としての展
開は不可能と考えられる。以上のように680nm〜63
5nmの短波長での記録再生特性、とりわけ長波長側に吸
収をもつ色素との混合系で用いた場合にも所望の記録再
生特性を有し、色素単独で高耐光性と溶解性を有する色
素骨格が強く求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、第一
に、耐光性に優れ、680nm〜635nm程度の波長にお
いて良好な記録再生特性を有する高感度な光記録媒体を
提供することである。第二に、さらには780nm程度の
波長においても良好な記録再生が可能で、オレンジブッ
ク規格に適合する記録再生特性を有する高感度な光記録
媒体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(6)の本発明により達成される。 (1) 下記式(I)で示されるアゾ化合物と金属化合
物とを反応させて得られたアゾ金属錯体系色素を含有す
る記録層を有する光記録媒体。
【0008】
【化3】
【0009】[式(I)において、Q1 は2個の炭素原
子とともに芳香環を形成するのに必要な原子群を表す。
Zは活性水素を有する基を表す。Aは炭素原子またはヘ
テロ原子を表す。Q2 は2個の炭素原子およびAととも
に芳香環を形成するのに必要な原子群を表し、Q3 は炭
素原子、窒素原子およびAとともに芳香環を形成するの
に必要な原子群を表し、Q2 で完成される芳香環と、Q
3 で完成される芳香環とは縮合環を形成している。] (2) 前記アゾ金属錯体系色素の中心金属がCo、M
n、Ti、V、Ni、Cu、Zn、Mo、W、Ru、F
e、Pd、PtまたはAlであり、前記アゾ化合物が下
記式(Ia)で表される上記(1)の光記録媒体。
【0010】
【化4】
【0011】[式(Ia)において、R1 、R2 、R3
よびR4 は各々水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、ア
ルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル
基、アリール基、カルバモイル基またはアルコキシカル
ボニル基を表し、これらは同一でも異なるものであって
もよい。R1 とR2 、R2 とR3 およびR3 とR4 は各
々互いに結合して縮合環を形成してもよい。Zは−O
H、−SH、−NH2 、−COOH、−CONH2 、−
SO2 NH2 または−SO3 Hを表す。R5 、R6 、R
7 、R8 、R9 およびR10は各々水素原子、ハロゲン原
子、ニトロ基、シアノ基またはアルキル基を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。] (3) 下記式(II)で示されるアゾ化合物と金属化合
物とを反応させて得られたアゾ金属錯体系色素を含有す
る記録層を有する光記録媒体。 式(II) Q1 −N=N−Q2 [式(II)において、Q1 は8−キノリル基を表し、Q
2 は2−イミダゾリル基を表し、2−イミダゾリル基の
1位の窒素は活性水素を有する。] (4) 前記アゾ金属錯体系色素の中心金属がCo、M
n、Ni、Cu、Zn、Mo、FeまたはPdである上
記(3)の光記録媒体。 (5) 前記記録層がさらに前記アゾ金属錯体系色素と
は光学特性の異なる光吸収色素を含有する上記(1)〜
(4)のいずれかの光記録媒体。 (6) 前記光学特性の異なる光吸収色素がフタロシア
ニン系色素である上記(5)の光記録媒体。
【0012】
【作用】本発明に用いられるアゾ金属錯体系色素は、式
(I)、好ましくは式(Ia)で示されるアゾ化合物を金
属に配位させたものであり、中心金属は、アゾ基が結合
する芳香環中の炭素原子に隣接する炭素原子の隣接位に
存在し、この炭素原子とともに縮合芳香環を形成する窒
素原子と配位結合を形成する。このため、特公平7−5
1682号公報に開示のアゾ基が結合する芳香環中の炭
素原子に隣接する窒素原子で中心金属に配位するアゾ金
属錯体系色素に比べ、錯体自体が比較的歪んだ配位構造
を取ることになり、これが溶解性向上をもたらすものと
考えられる。同時にこの歪んだ配位構造が熱分解性を高
め、一般に記録感度が低いとされてきた金属錯体系色素
であっても比較的記録感度が高い原因になっていると考
えられる。また、理論的な説明はできないが、この歪ん
だ構造が混合色素系で用いた場合のジッター特性の向上
という予想外の効果にもつながっているものと考えられ
る。
【0013】なお、H. Hoshino, T. Yotsuyanagi, Buns
eki Kagaku, 31, E435 (1982) には、2−(8−キノリ
ルアゾ)−5−N,N−ジエチルアミノフェノール(式
(II)においてR1 、R3 〜R10=H、R2 =−N(C
252 、Z=−OH)が開示されている。しかし、
このものは逆相分配液体クロマトグラフィーによる金属
の分析試薬として用いられているのみであり、光記録媒
体の記録層に用いることについては示唆すらされていな
い。
【0014】また、本発明に用いられるアゾ金属錯体系
色素は、式(II)で示されるアゾ化合物を金属に配位さ
せたものであり、中心金属は、キノリン環の窒素原子と
配位結合を形成する。アゾ基はキノリン環の8位[後述
の式(IIa)参照]に存在し、窒素原子はアゾ基が結合
する炭素原子の隣接位にある炭素原子の隣接位に存在す
る。このため、特公平7−51682号、特公平7−7
1867号、特公平7−71868号、特公平7−71
869号の各公報に開示のアゾ基が結合する芳香環中の
炭素原子に隣接する窒素原子で中心金属に配位するアゾ
金属錯体系色素に比べ、錯体自体が比較的歪んだ配位構
造を取ることになり、これが溶解性向上をもたらすもの
と考えられる。同時にこの歪んだ配位構造が熱分解性を
高め、一般に記録感度が低いとされてきた金属錯体系色
素であっても比較的記録感度が高い原因になっていると
考えられる。また、理論的な説明はできないが、この歪
んだ構造が混合色素系で用いた場合のジッター特性の向
上という予想外の効果にもつながっているものと考えら
れる。
【0015】なお、「Shozo Shibata, Masamichi Furuk
awa and Ryozo Nakashima, Analytica Chimica Acta, 8
1(1976) 131-141 」には、式(II)で示されるアゾ化合
物の1種である2−(8−キノリルアゾ)−4,5−ジ
フェニルイミダゾールが示されており、この化合物を金
属の比色分析試薬として用いることが示されている。し
かし、上記文献には、2−(8−キノリルアゾ)−4,
5−ジフェニルイミダゾールの金属錯体を光記録媒体の
記録層に用いることについては示唆すらされていない。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の光記録媒体はアゾ金属錯体系色素を含有
する記録層を有し、このようなアゾ金属錯体系色素とし
ては、まず式(I)で示されるアゾ化合物と金属化合物
とを反応させて得られたものが挙げられる。
【0017】式(I)について説明すると、Q1 は2個
の炭素原子とともに芳香環を形成するのに必要な原子群
を表す。Q1 で完成される芳香環は炭素環であっても複
素環であってもよく、単環であっても多環であってもよ
い。多環の場合は縮合多環であっても環集合であっても
よい。このような芳香環としては、ベンゼン環、ナフタ
レン環、ピリジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール
環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン
環、イミダゾール環、ピラジン環、ピロール環などが挙
げられ、なかでもベンゼン環、ナフタレン環が好まし
く、特にベンゼン環が好ましい。
【0018】Zは活性水素を有する基を表し、その具体
例としては式(Ia)におけるものと同じものが挙げられ
る。
【0019】Q1 で完成される芳香環は、Z、アゾ基の
ほかにさらに置換基を有していてもよく、このような置
換基としてはアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シ
アノ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ
基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル
基、アミノ基等が挙げられる。
【0020】Aは炭素原子、またはO、N、S等のヘテ
ロ原子を表し、炭素原子が好ましい。
【0021】Q2 は2個の炭素原子およびAとともに芳
香環を形成するのに必要な原子群を表し、Q2 で完成さ
れる芳香環はQ1 で完成される芳香環と同様のものであ
ってよく、具体例も同様のものが挙げられる。なかでも
ベンゼン環が好ましい。
【0022】Q3 は炭素原子、窒素原子およびAととも
に芳香環を形成するのに必要な原子群を表し、Q3 で完
成される含窒素芳香環は単環であっても縮合多環であっ
てもよい。このような含窒素芳香環の具体例としてはピ
リジン環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサ
ゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、イミダ
ゾール環、ピラジン環、ピロール環などが挙げられ、な
かでもピリジン環が好ましい。
【0023】Q2 で完成される芳香環とQ3 で完成され
る芳香環とは縮合環を形成するが、このような縮合環と
してはキノリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサ
ゾール環などが挙げられ、好ましくはキノリン環であ
る。
【0024】また、Q2 とQ3 で完成される縮合芳香環
は、アゾ基のほかに、さらに置換基を有していてもよ
く、このような置換基としてはQ1 のところで例示した
ものと同様のものを挙げることができる。
【0025】式(I)で示されるアゾ化合物のなかでは
式(Ia)で示されるものが好ましい。式(Ia)について
説明すると、R1 〜R4 は各々水素原子、ハロゲン原
子、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオ
キシ基、アシル基、アリール基、カルバモイル基または
アルコキシカルボニル基を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。
【0026】R1 〜R4 で表されるハロゲン原子として
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0027】R1 〜R4 で表されるアミノ基としては、
置換基を有するものが好ましいが、無置換のものであっ
てもよい。置換アミノ基としては特にジアルキルアミノ
基が好ましい。この場合ジアルキルアミノ基のアルキル
部分の炭素数は1〜12、さらには1〜4であることが
好ましく、直鎖状であっても分岐を有するものであって
もよい。また、ジアルキルアミノ基における2つのアル
キル基は各々同一でも異なるものであってもよい。R1
〜R4 で表されるアミノ基の具体例としては、アミノ
基、メチルアミノ基等も挙げられるが、ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチル
アミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルイソプロピル
アミノ基、エチルイソプロピルアミノ基、メチルブチル
アミノ基、エチルブチルアミノ基、イソプロピルブチル
アミノ基等が好ましい。
【0028】R1 〜R4 で表されるアルキル基として
は、総炭素数1〜12のものが好ましく、直鎖状であっ
ても分岐を有していてもよく、場合によってはシクロア
ルキル基やシクロアルキル基を有するものであってもよ
い。さらには置換基を有していてもよく、このような置
換基としてはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)
などが好ましい。R1 〜R4 で表されるアルキル基とし
ては、特に、総炭素数1〜4の直鎖ないし分岐の置換基
を有していてもよいアルキル基が好ましく、具体的には
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−
ブチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
【0029】R1 〜R4 で表されるアルコキシ基として
は、アルキル部分の総炭素数が1〜4のものが好まし
く、ハロゲン原子(フッ素原子等)などで置換されてい
てもよい。このようなアルコキシ基の具体例としては、
メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、
ペンタフルオロプロポキシ基などが挙げられる。
【0030】R1 〜R4 で表されるアリールオキシ基と
しては、さらに置換基を有するものであってもよく、例
えばフェノキシ基等が好ましい。
【0031】R1 〜R4 で表されるアシル基としては、
アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基等が挙げら
れ、なかでもアセチル基等が好ましい。
【0032】R1 〜R4 で表されるアリール基として
は、さらに置換基を有するものであってもよく、例えば
フェニル基、(o−,m−,p−)トリル基等が挙げら
れる。
【0033】R1 〜R4 で表されるカルバモイル基とし
ては、さらに置換基を有するものであってもよく、例え
ばカルバモイル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチ
ルアミノカルボニル基等が挙げられる。
【0034】R1 〜R4 で表されるアルコキシカルボニ
ル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシ
カルボニル基等が挙げられる。
【0035】R1 とR2 、R2 とR3 およびR3 とR4
は各々互いに結合して縮合環を形成してもよく、この場
合の縮合環としては炭素環が好ましく、特にベンゼン環
が好ましい。なかでもR3 とR4 が結合してベンゼン環
を形成する場合が好ましい。
【0036】R1 〜R4 の組合せとしては、R1 、R3
およびR4 が各々水素原子、アルキル基、アルコキシ基
または塩素原子であり、R2 が置換アミノ基、アルキル
基、アルコキシ基またはアリールオキシ基であることが
好ましい。特にR2 は置換アミノ基が好ましく、とりわ
けR2 が置換アミノ基であって、R1 、R3 およびR4
が水素原子であるものが好ましい。
【0037】Zは−OH、−SH、−NH2 、−COO
H、−CONH2 、−SO2 NH2または−SO3 Hを
表し、特に−OHが好ましい。
【0038】R5 〜R10は各々水素原子、ハロゲン原
子、ニトロ基、シアノ基またはアルキル基を表し、これ
らは同一でも異なるものであってもよい。
【0039】R5 〜R10で表されるアルキル基として
は、R1 〜R4 で表されるアルキル基と同様のものが挙
げられ、総炭素数1〜4の直鎖ないし分岐のアルキル基
が好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル
基等が挙げられる。
【0040】R5 〜R10の組合せとしては、R6 および
8 〜R10が各々水素原子、ハロゲン原子、アルキル基
等であって、R5 、R7 が水素原子、ニトロ基、シアノ
基、トリフルオロメチル基等である組合せが好ましく、
とりわけ、R5 〜R10が水素原子である組合せが好まし
い。
【0041】式(Ia)で示されるアゾ化合物としてはR
1 、R3 およびR4 が各々水素原子、R2 が置換アミノ
基であり、R5 〜R10が各々水素原子であり、Zが−O
Hであるものが好ましい。
【0042】式(I)、特に式(Ia)で示されるアゾ化
合物を配位させて得られるアゾ金属錯体系色素の中心金
属は、Co、Mn、Ti、V、Ni、Cu、Zn、M
o、W、Ru、Fe、Pd、Pt、Alが好ましい。こ
のなかでV、Mo、Wは酸化物イオン、例えばVO2+
VO3+、MoO2 +、MoO3+、WO3+の形となっていて
もよい。中心金属としてはさらにCo、Cu、Ni、M
nが好ましく、よりさらにはCo、Ni、特にはCoが
好ましい。
【0043】式(I)、好ましくは式(Ia)で示される
アゾ化合物は3座配位子である。したがって、中心金属
の配位数が4以上である場合、上記のアゾ化合物のほか
に他の配位子が配位してもよい。このような他の配位子
としては塩素原子、水分子、ヒドロキソ等が挙げられる
が、これらの他の配位子は原料や反応溶媒等に由来す
る。
【0044】なお、式(I)、好ましくは式(Ia)で示
されるアゾ化合物の基は酸アニオン(例えばZ=−OH
のときは−O- )の形で金属に配位する。
【0045】また、アゾ金属錯体系色素が電荷をもつ場
合の対イオンとしては、塩化物イオン(Cl- )、臭化
物イオン(Br- )、ヨウ化物イオン(I- )、テトラ
フルオロホウ酸イオン(BF4 -)、ヘキサフルオロリン
酸イオン(PF6 -)、テトラフェニルホウ酸イオン(B
(C654 -)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、タン
グステン酸イオン(WO4 2- )、アセチルアセトンアニ
オン(CH3COCH=C(CH3)O-)等が挙げられ、好ましくは塩
化物イオン(Cl- )、テトラフルオロホウ酸イオン
(BF4 -)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)、
過塩素酸イオン(ClO4 -)、アセチルアセトンアニオ
ン(CH3COCH=C(CH3)O-)が挙げられ、特にはテトラフル
オロホウ酸イオン(BF4 -)、ヘキサフルオロリン酸イ
オン(PF6 -)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、アセチ
ルアセトンアニオン(CH3COCH=C(CH3)O-)が好ましい。
【0046】このようなアゾ金属錯体系色素には、式
(Ia)で示されるアゾ化合物を配位させたものとして、
例えば下記式(Ib) で示されるものがある。
【0047】
【化5】
【0048】式(Ib) において、R1 〜R10は式(Ia)
中のものと同義のものであり、Z1は−O- 、−S-
−COO- 、−CONH- 、−SO2 NH- または−S
3 -を表す。M1は中心金属を表し、Lは他の配位子を
表す。nは1または2である。mは通常0または1〜3
の整数である。Xは対イオンを表し、xは電荷の均衡を
保つための数である。
【0049】以下に、本発明に用いるアゾ金属錯体系色
素の具体例を、アゾ金属錯体系色素を得るのに使用され
るアゾ化合物と中心金属と対イオンとの組合せで示す。
なお、アゾ化合物については式(Ib)中のR1 等の組合
せで示している。
【0050】
【化6】
【0051】
【化7】
【0052】
【化8】
【0053】
【化9】
【0054】
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
【化12】
【0057】
【化13】
【0058】
【化14】
【0059】
【化15】
【0060】
【化16】
【0061】
【化17】
【0062】
【化18】
【0063】
【化19】
【0064】
【化20】
【0065】
【化21】
【0066】
【化22】
【0067】
【化23】
【0068】
【化24】
【0069】本発明に用いるアゾ化合物は、H. Hoshin
o, T. Yotsuyanagi, Bunseki Kagaku, 31, E435 (1982)
、S. Shibata, M. Furukawa, R. Nakashima, Anal. Ch
im. Acta, 81, 131 (1976) やこれらに引用された文献
等の記載を参照して合成することができる。
【0070】化合物の同定は、マススペクトル、 1H−
核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル等によって
行うことができる。
【0071】また、アゾ金属錯体系色素は、上記のアゾ
化合物と金属塩とをアルコール(メタノール、エタノー
ル等)やケトン(アセトン等)などの非水溶媒中で反応
させることによって得ることができる。金属塩としては
塩化物(例えば塩化コバルト、塩化亜鉛、塩化クロム、
塩化マンガン、塩化鉄、オキシ三塩化バナジウム等)や
酢酸塩(例えば酢酸ニッケル、酢酸銅等)アセチルアセ
トナト錯塩(アセチルアセトナトコバルト(III)塩等)
などが一般に用いられる。錯形成反応は室温(15℃〜
30℃)程度の温度で瞬時に進行するものもあるが、通
常は、室温〜100℃程度の温度で、3分〜1.5時間
程度反応させればよい。このような錯体の形成は溶液の
呈色によって確認できる。また結晶化して固形物として
得ることができるが、このものの同定は、可視紫外吸収
スペクトル、赤外吸収スペクトル、マススペクトル等に
よって行うことができる。
【0072】上記のようにして得られたアゾ金属錯体系
色素は対イオンを有する場合、合成原料の金属塩に由来
する対イオン(例えばCl- 、CH3 COO- 等)を有
するが、場合により塩交換を行ってClO4 -、BF4 -
PF6 -等に変換することが好ましい。塩交換は、過塩素
酸塩(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム、過
塩素酸マグネシウム等)、テトラフルオロホウ酸塩(テ
トラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸
アンモニウム等)、ヘキサフルオロリン酸塩(ヘキサフ
ルオロリン酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸アンモニ
ウム等)を用い、これらの塩をメタノール、エタノール
等の溶媒に溶解した溶液(0.5〜4wt% )中に上記の
アゾ金属錯体系色素を、この色素と上記塩との量比(色
素/塩のモル比)が1/0.5〜1/2となるように添
加し攪拌するなどして行うことができる。そして、その
後結晶化させればよい。
【0073】このものの同定は可視紫外吸収スペクト
ル、マススペクトル、蛍光X線測定等によって行うこと
ができる。
【0074】以下に合成例を示す。
【0075】合成例1色素No. I−186の合成 アゾ化合物:2−(8−キノリルアゾ)−5−(N,N
−ジエチルアミノ)フェノールの合成 濃硫酸3.5mlを水16mlで希釈し、淡黄色の8−アミ
ノキノリン2.88g(20mmol)を溶解させてオレン
ジ色の水溶液とした。これを氷浴中、5℃以下に冷却し
ながら、水15mlに溶解した亜硝酸ナトリウム1.40
g (20mmol)を攪拌しながら徐々に加えてジアゾ化を
行った。亜硝酸ナトリウム水溶液の添加に伴って、赤色
の不溶物が析出してきた。9割ほど加えたところで反応
液は緑色を帯び、全量を加えると黒褐色の不溶物のない
溶液となった。さらに30分間、攪拌を続けた。
【0076】エタノール6mlに3−ジエチルアミノフェ
ノール3.30g (20mmol)を溶かし、これを上記ジ
アゾニウム塩水溶液に3〜5℃に冷却しながら徐々に加
えてカップリングを行った。反応液は赤褐色となり、不
溶なジアゾニウム塩が徐々に消滅して全体が均一な溶液
となった。全量を加えた後に1時間、氷浴中で攪拌し
た。
【0077】酢酸ナトリウムを加えて沈澱を析出させ、
吸引濾過によりこれを集め、エタノール可溶成分を抽出
した。この溶液をロータリーエバポレータにて濃縮乾固
し、さらに真空熱乾燥して緑色の金属光沢を有する結晶
を得た(収率62.5%)。質量分析値(M+ ):32
【0078】Co錯体の合成 上記のアゾ化合物0.25g (0.8mmol)をメタノー
ル5mlに溶解させ、ここへ塩化コバルト6水和物0.1
2g (0.5mmol)を加え、5分間攪拌した。液は瞬時
に赤紫色に呈色した。このメタノール溶液に30mlの水
を加えて錯体を析出させ、吸引濾過して集めた。この粗
製物を少量の水で洗い、60℃で1時間熱真空乾燥させ
た。深緑色の金属光沢を有する0.13g (収率52
%)のCo錯体を得た。この錯体について蛍光X線測定
を行ったところ、1分子中のコバルト原子と塩素原子の
モル比Cl/Coは1.09となり錯体1分子当り1個
のCl- が存在することが確認された。
【0079】合成例2色素No. I−1の合成 合成例1で得た色素No. I−186(対イオンCl-
0.12g をメタノール5mlに溶解させ、ここへテトラ
フルオロホウ酸アンモニウム0.1g (1.0mmol)を
加え、5分間攪拌した。このメタノール溶液に30mlの
水を加えて錯体を析出させ、吸引濾過して集めた。この
粗製物を少量の水で洗い、60℃で1晩真空熱乾燥させ
た。アルミナ(展開溶媒エタノール)にてカラム精製を
行い目的成分をエバポレーターにて乾固させ、60℃で
1晩真空熱乾燥させた。深緑色の金属光沢を有する0.
06g の目的物を得た。また、蛍光X線測定により、コ
バルト原子とフッ素原子のモル比F/Coは4.10と
なり、錯体1分子当り1個のBF4 -が存在していること
が確認された。
【0080】合成例3色素No. I−2の合成 合成例1で得た色素No. I−186(対イオンCl-
を出発原料とし、ヘキサフルオロリン酸カリウムを塩交
換用の試薬として用いるほかは合成例2のBF 4 -塩と同
様にしてPF6 -塩である目的物を得た。
【0081】合成例4色素No. I−3の合成 合成例1で得た色素No. I−186(対イオンCl-
を出発原料とし、過塩素酸ナトリウム一水和物を塩交換
用の試薬として用いるほかは合成例2のBF4 -塩と同様
にしてClO4 -塩である目的物を得た。
【0082】合成例5色素No. I−5の合成 Ni錯体の合成 合成例1のアゾ化合物0.61g (1.9mmol)をエタ
ノール20mlに溶解させ、ここへ酢酸ニッケル4水和物
0.30g (1.2mmol)を加え、80℃で1時間還流
した。液は赤紫色に呈色した。このエタノール溶液に5
0mlの水を加えて錯体を析出させ、吸引濾過して集め
た。この粗製物を少量の水で洗い、60℃で1時間熱真
空乾燥させた。黒色の金属光沢を有する0.35g (収
率57%)のNi錯体を得た。
【0083】BF4 -塩の合成 上記のNi錯体(対イオンCH3 COO- )0.34g
をメタノール5mlに溶解させ、ここへテトラフルオロホ
ウ酸アンモニウム0.1g (1.0mmol)を加え、5分
間攪拌した。このメタノール溶液に30mlの水を加えて
錯体を析出させ、吸引濾過して集めた。この粗製物を少
量の水で洗い、60℃で1晩真空熱乾燥させた。アルミ
ナ(展開溶媒エタノール)にてカラム精製を行い、目的
成分をエバポレーターにて乾固させ、60℃で1晩真空
熱乾燥させた。黒色の金属光沢を有する0.18g の目
的物を得た。また、蛍光X線測定により、ニッケル原子
とフッ素原子のモル比F/Niは4.02となり、錯体
1分子当り1個のBF4 -が存在していることが確認され
た。
【0084】合成例6色素No. I−32の合成 アゾ化合物:2−(8−キノリルアゾ)−5−(N,N
−ジメチルアミノ)安息香酸の合成 濃硫酸3.5mlを水16mlで希釈し、淡黄色の8−アミ
ノキノリン2.88g(20mmol)を溶解させてオレン
ジ色の水溶液とした。これを氷浴中、5℃以下に冷却し
ながら、水15mlに溶解した亜硝酸ナトリウム1.40
g (20mmol)を攪拌しながら徐々に加えてジアゾ化を
行った。亜硝酸ナトリウム水溶液の添加に伴って、赤色
の不溶物が析出してきた。9割ほど加えたところで反応
液は緑色を帯び、全量を加えると黒褐色の不溶物のない
溶液となった。さらに30分間、攪拌を続けた。
【0085】水5ml、ジオキサン10ml、エタノール1
0mlの混合液に3−(N,N−ジメチルアミノ)安息香
酸3.30g (20mmol)を溶かし、さらに水酸化カリ
ウム4.30g (77mmol)を加えてアルカリ性にし
た。これを上記ジアゾニウム塩水溶液に3〜8℃に冷却
しながら徐々に加えてカップリングを行った。反応液は
赤褐色となり、全量を加えた後に1時間、氷浴中で攪拌
したところ黒色のペースト状の不溶物が析出した。
【0086】酢酸ナトリウムを加えて全体を中和し、吸
引濾過により固体を集め、エタノール可溶成分を抽出し
た。この溶液をロータリーエバポレータにて濃縮乾固
し、さらに真空熱乾燥して黒褐色の結晶を得た(収率6
3.0%)。 質量分析値(M+ ):321
【0087】Ni錯体の合成 上記のアゾ化合物0.60g (1.9mmol)をエタノー
ル20mlに溶解させ、ここへ酢酸ニッケル4水和物0.
30g (1.2mmol)を加え、5分間攪拌した。液は瞬
時に赤紫色に呈色した。このエタノール溶液に50mlの
水を加えて錯体を析出させ、吸引濾過して集めた。この
粗製物を少量の水で洗い、60℃で1時間熱真空乾燥さ
せた。黒色の金属光沢を有する0.41g (収率68
%)のNi錯体を得た。
【0088】BF4 -塩の合成 合成例5のBF4 -塩の合成と同様にして目的物を得た。
【0089】合成例7色素No. I−187の合成 合成例6のアゾ化合物を用い、そのほかは合成例1と同
様にして目的物を得た。
【0090】合成例8色素No. I−33の合成 合成例7で得た色素No. I−187を用い、そのほかは
合成例2と同様にして目的物を得た。
【0091】合成例9色素No. I−188の合成 アゾ化合物:2−(5−ニトロ−8−キノリルアゾ)−
5−(N,N−ジエチルアミノ)フェノールの合成 濃塩酸11.6mlを水20mlで希釈し、黄色の5−ニト
ロ−8−アミノキノリン3.8g (20mmol)を溶解さ
せ、さらに溶解性を上げるため2−メトキシエタノール
10mlを加え、5−ニトロ−8−アミノキノリンを完全
に溶解させた。これを氷浴中5℃以下に冷却しながら、
水15mlに溶解した亜硝酸ナトリウム1.40g (20
mmol)を攪拌しながら徐々に加えてジアゾ化を行った。
亜硝酸ナトリウムの滴下後、そのまま30分間攪拌を続
けた。
【0092】水10ml、エタノール20mlの混合液に3
−ジエチルアミノフェノール3.30g (20mmol)を
溶かし、さらに水酸化ナトリウム4.0g (100mmo
l)を加えてアルカリ性にした。これを上記ジアゾニウ
ム水溶液に3〜8℃に冷却しながら徐々に加えてカップ
リングを行った。全量を加えた後に1時間攪拌を続け
た。酢酸ナトリウムを加えて全体を中和し、析出した固
体を吸引濾過にて集め、エタノール可溶成分を抽出し
た。この溶液をロータリーエバポレータにて濃縮乾固
し、さらに60℃で真空熱乾燥して黒色の結晶を得た。 質量分析値(M+ ):365
【0093】上記のアゾ化合物を用い、そのほかは合成
例1と同様にして目的物を得た。
【0094】合成例10色素No. I−12の合成 合成例9で得た色素No. I−188を用い、そのほかは
合成例2と同様にして目的物を得た。
【0095】合成例11色素No. I−189の合成 アゾ化合物:2−(8−キノリルアゾ)−5−(N,N
−ジエチルアミノ)アニリンの合成 濃硫酸3.5mlを水16mlで希釈し、8−アミノキノリ
ン2.88g (20mmol)を溶解させた。これを氷浴中
5℃以下に冷却しながら、水15mlに溶解した亜硝酸ナ
トリウム1.40g (20mmol)を攪拌しながら徐々に
加えてジアゾ化を行った。全量を加えた後、30分間攪
拌を続けた。
【0096】メタノール10mlに3−ジエチルアミノア
ニリン3.28g (20mmol)を溶かし、これを上記ジ
アゾニウム塩水溶液に3〜5℃で冷却しながら徐々に加
えてカップリングを行った。全量を加えた後に1時間、
氷浴中で攪拌した。
【0097】水酸化ナトリウムを加えて中和し、さらに
水を加えて希釈した後、食塩を加えて塩析を行った。析
出した沈澱を吸引濾過により集め、エタノール可溶成分
を抽出した。この溶液をロータリーエバポレータにて濃
縮乾固し、さらに真空熱乾燥して緑色の金属光沢を有す
る結晶を得た(収率58.3%)。 質量分析値(M+ ):319
【0098】Co錯体の合成 上記のアゾ化合物0.25g (0.8mmol)をエタノー
ル5mlに溶解させ、ここへ塩化コバルト6水和物0.1
2g (0.5mmol)を加え、60℃に加熱しながら30
分間攪拌した。液は赤紫色に呈色した。このエタノール
溶液に水30mlを加えて錯体を析出させ、吸引濾過して
集めた。この粗製物を少量の水で洗い、60℃で1時間
真空熱乾燥させた。深緑色の金属光沢を有する0.18
g のCo錯体を得た。
【0099】合成例12色素No. I−8の合成 合成例11で得た色素No. I−189を用い、そのほか
は合成例2と同様にして目的物を得た。
【0100】合成例13色素No. I−190の合成 アゾ化合物:2−(7−クロロ−8−キノリルアゾ)−
5−(N,N−ジエチルアミノ)−6−メチルフェノー
ルの合成 濃硫酸11.5ml、水20ml、ジオキサン15mlの混合
液に7−クロロ−8−アミノキノリン3.58g (20
mmol)を加え、60℃で加熱しながら完全に固体を溶か
した。これを氷浴中5℃以下に冷却しながら、水15ml
に溶解した亜硝酸ナトリウム1.40g (20mmol)を
攪拌しながら徐々に加えてジアゾ化を行った。全量を加
えた後、30分間攪拌を続けた。
【0101】エタノール10mlに2−メチル−3−ジエ
チルアミノフェノール3.58g (20mmol)を溶か
し、これを上記ジアゾニウム塩水溶液に3〜5℃で冷却
しながら徐々に加えてカップリングを行った。全量を加
えた後に1時間氷浴中で攪拌した。
【0102】水酸化ナトリウムを加えて中和し、析出し
た固体を吸引濾過により集め、エタノール可溶成分を抽
出した。この溶液をロータリーエバポレータにて濃縮乾
固し、さらに真空熱乾燥して黒色の金属光沢を有する結
晶を得た(収率71%)。 質量分析値(M+ ):367
【0103】上記アゾ化合物を用い、合成例1と同様に
してCo錯体(対イオンCl- )を得た。
【0104】合成例14色素No. I−82の合成 色素No. I−190を出発原料とし、過塩素酸ナトリウ
ム一水和物を塩交換用の試薬として用い、合成例4と同
様にしてClO4 -塩である目的物を得た。
【0105】他の例示化合物も上記と同様にして合成
し、同様に同定した。
【0106】本発明のアゾ金属錯体系色素の融点(m
p)は150〜320℃であり、またλmax (エタノー
ル中)は480〜620nmの範囲にある。
【0107】これらのアゾ金属錯体系色素は光記録媒体
の記録層に用いるとき、1種のみで用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。また、合成過程で、アゾ化合物
の配位数が異なったり、あるいは他の配位子の種類が異
なるような2種以上の化合物が得られるときは分離する
ことなくそのまま用いてもよい。
【0108】また、これらの色素は、635nmまたは6
50nmでの複素屈折率の実部nが2.00〜2.40で
あり、虚部kが0.01〜0.40である。なお、色素
のnおよびkは、所定の透明基板上に色素膜を光記録媒
体の記録層程度の厚さ、例えば40〜100nm程度の厚
さに記録層と同条件で設層して、測定用サンプルを作製
し、次いで、この測定用サンプルの635nmまたは65
0nmにおける反射率および透過率を測定し、これらの測
定値から、例えば、共立全書「光学」石黒浩三P168
〜178に準じ、算出したものである。反射率は測定用
サンプルの基板を通しての反射率あるいは色素膜側から
の反射率であり、鏡面反射(5°程度)にて測定したも
のである。
【0109】これらの化合物は、有機溶媒に対する溶解
性が十分であり、光記録媒体の基板材料として汎用され
ているポリカーボネート樹脂(PC)を侵すことがない
塗布溶媒に対する溶解度が大きくなる。
【0110】本発明に用いられるアゾ金属錯体系色素と
しては次に式(II)で示されるアゾ化合物と金属化合物
とを反応させて得られたものが挙げられる。 式(II) Q1 −N=N−Q2
【0111】式(II)について説明すると、Q1 は8−
キノリル基を表し、8−キノリル基は、アゾ基のほか
に、さらに置換基を有していてもよく、このような置換
基としてはハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ
基、アミド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、ス
ルファモイル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル
基、アシルオキシ基、アルキル基等が挙げられる。
【0112】この場合のハロゲン原子としては、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0113】アミノ基としては、置換基を有するものが
好ましく、置換アミノ基としては特にジアルキルアミノ
基が好ましい。この場合ジアルキルアミノ基のアルキル
部分の炭素数は1〜12、さらには1〜4であることが
好ましく、直鎖状であっても分岐を有するものであって
もよい。アミノ基の具体例としては、アミノ基、メチル
アミノ基等も挙げられるが、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基等
が好ましい。アミノ基の総炭素数は0〜8であることが
好ましい。
【0114】アミド基としては、アルキル基やアリール
基を有するものであってよく、アセトアミド基、プロピ
オニルアミノ基、ブチリルアミノ基、ベンズアミド基等
が挙げられる。アミド基の総炭素数は2〜7であること
が好ましい。
【0115】スルホンアミド基としては、アルキル基や
アリール基を有するものであってよく、メチルスルホニ
ルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、フェニルスル
ホニルアミノ基等が挙げられる。スルホンアミド基の総
炭素数は1〜6であることが好ましい。
【0116】カルバモイル基としては、さらに置換基を
有するものであってもよく、例えばカルバモイル基、メ
チルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基
等が挙げられる。カルバモイル基の総炭素数は1〜5で
あることが好ましい。
【0117】スルファモイル基としては、さらに置換基
を有するものであってもよく、例えばスルファモイル
基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホ
ニル基等が挙げられる。スルファモイル基の総炭素数は
0〜4であることが好ましい。
【0118】アルコキシ基としては、アルキル部分の総
炭素数が1〜4のものが好ましく、ハロゲン原子(フッ
素原子等)などで置換されていてもよい。このようなア
ルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンタフルオロプロポ
キシ基などが挙げられる。
【0119】アルコキシカルボニル基としては、例えば
メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げ
られる。アルコキシカルボニル基の総炭素数は2〜5で
あることが好ましい。
【0120】アシルオキシ基としてはアセチルオキシ
基、プロピオニルオキシ基等が挙げられる。アシルオキ
シ基の総炭素数は2〜5であることが好ましい。
【0121】アルキル基としては、総炭素数1〜12の
ものが好ましく、直鎖状であっても分岐を有していても
よく、場合によってはシクロアルキル基やシクロアルキ
ル基を有するものであってもよい。さらには置換基を有
していてもよく、このような置換基としてはハロゲン原
子(フッ素原子、塩素原子等)などが好ましい。アルキ
ル基としては、特に、総炭素数1〜4の直鎖ないし分岐
の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましく、具
体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプ
ロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル
基、t−ブチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられ
る。
【0122】Q1 で表される8−キノリル基としては無
置換のものが好ましく、置換基を有する場合の置換基と
しては、上記のなかでも、ハロゲン原子、ニトロ基、ア
ルキル基等が好ましい。
【0123】また、上記の置換基が2個以上存在すると
き、これらの置換基は同一でも異なるものであってもよ
い。上記の置換基の数は0〜2個であることが好まし
い。
【0124】式(II)において、Q2 は2−イミダゾリ
ル基を表し、2−イミダゾリル基の1位の窒素[後述の
式(IIa)参照]は活性水素を有する。2−イミダゾリ
ル基は、アゾ基のほかにさらに4位および/または5位
[後述の式(IIa)参照]に置換基を有していてもよ
く、このような置換基としてはアルキル基、アルコキシ
基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アリール基、
アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、カルバモイル基、アミノ基等が挙げられる。
【0125】この場合のアルキル基、アルコキシ基、ハ
ロゲン原子、アルコキシカルボニル基、カルバモイル
基、アミノ基の具体例としては、Q1 のところで挙げた
ものと同様のものが挙げられる。ただし、アルキル基は
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基であっても
よく、アラルキル基の総炭素数は7〜10であることが
好ましい。
【0126】また、アリール基としては、さらに置換基
を有するものであってもよく、例えばフェニル基、(o
−,m−,p−)トリル基等が挙げられる。アリール基
の総炭素数は6〜10であることが好ましい。
【0127】アリールオキシ基としては、さらに置換基
を有するものであってもよく、例えばフェノキシ基等が
好ましい。アリールオキシ基の総炭素数は6〜10であ
ることが好ましい。
【0128】アシル基としては、アセチル基、プロピオ
ニル基、ブチリル基等が挙げられ、なかでもアセチル基
等が好ましい。アシル基の総炭素数は2〜5であること
が好ましい。
【0129】また、Q2 で表される2−イミダゾリル基
では、隣接する置換基同士が互いに結合して環を形成し
てもよく、このような環としてはベンゼン環等が挙げら
れる。
【0130】Q2 で表される2−イミダゾリル基は4位
および/または5位に、さらにはこれらの両方の位置に
置換基を有するものが好ましく、置換基としてはフェニ
ル基、(o−,m−,p−)クロロフェニル基、(o
−,m−,p−)ブロモフェニル基、(o−,m−,p
−)トリル基、(o−,m−,p−)ブチルフェニル基
等のアリール基等が好ましく、なかでもフェニル基が特
に好ましい。4位、5位の両方に置換基を有するときの
各置換基は同一でも異なるものであってもよい。
【0131】式(II)で示されるアゾ化合物を配位させ
て得られるアゾ金属錯体系色素の中心金属は、Co、M
n、Ni、Cu、Zn、Mo、Fe、Pdが好ましい。
このなかでMoは酸化物イオン、例えばMoO2 +、Mo
3+の形となっていてもよい。中心金属としてはさらに
Co、Cu、Ni、Mnが好ましく、よりさらにはC
o、Ni、特にはNiが好ましい。
【0132】式(II)で示されるアゾ化合物は3座配位
子であり、通常、金属と1:1錯体あるいは1:2錯体
(金属:配位子)を形成する。したがって、中心金属の
配位数が4以上である場合、上記のアゾ化合物のほかに
他の配位子が配位してもよい。このような他の配位子と
しては塩素原子、水分子、ヒドロキソ等が挙げられる
が、これらの他の配位子は原料や反応溶媒等に由来す
る。
【0133】なお、式(II)で示されるアゾ化合物の基
は、Q2 で表されるイミダゾリル基の活性水素が解離し
た酸アニオンの形で金属に配位する。
【0134】また、アゾ金属錯体系色素が電荷をもつ場
合の対イオンとしては、塩化物イオン(Cl- )、臭化
物イオン(Br- )、ヨウ化物イオン(I- )、テトラ
フルオロホウ酸イオン(BF4 -)、ヘキサフルオロリン
酸イオン(PF6 -)、テトラフェニルホウ酸イオン(B
(C654 -)、過塩素酸イオン(ClO4 -)、タン
グステン酸イオン(WO4 2- )、アセチルアセトンアニ
オン(CH3COCH=C(CH3)O-)等が挙げられ、好ましくは塩
化物イオン(Cl- )、テトラフルオロホウ酸イオン
(BF4 -)、ヘキサフルオロリン酸イオン(PF6 -)、
過塩素酸イオン(ClO4 -)が挙げられ、特にはテトラ
フルオロホウ酸イオン(BF4 -)、ヘキサフルオロリン
酸イオン(PF6 -)、過塩素酸イオン(ClO4 -)が好
ましい。
【0135】このようなアゾ金属錯体系色素の構造につ
いて例を示せば、下記のものが挙げられる。このものは
式(II)で示されるアゾ化合物として2−(8−キノリ
ルアゾ)−4,5−ジフェニルイミダゾールを用いてN
iに配位させ、対イオンをClO4 -としたもの(後述の
例示の色素No. II-3)である。
【0136】
【化25】
【0137】以下に、本発明に用いるアゾ金属錯体系色
素の具体例を、アゾ金属錯体系色素を得るのに使用され
るアゾ化合物と中心金属と対イオンとの組合せで示す。
なお、アゾ化合物については下記式(IIa)中のR1
の組合せで示している。
【0138】
【化26】
【0139】
【化27】
【0140】
【化28】
【0141】
【化29】
【0142】
【化30】
【0143】
【化31】
【0144】
【化32】
【0145】
【化33】
【0146】
【化34】
【0147】
【化35】
【0148】
【化36】
【0149】
【化37】
【0150】
【化38】
【0151】本発明に用いるアゾ化合物は、「Shozo Sh
ibata, Masamichi Furukawa and Ryozo Nakashima, Ana
lytica Chimica Acta, 81(1976) 131-141 」やこれらに
引用された文献等の記載を参照して合成することができ
る。
【0152】化合物の同定は、マススペクトル、 1H−
核磁気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトル等によって
行うことができる。
【0153】また、アゾ金属錯体系色素は、上記のアゾ
化合物と金属塩とをアルコール(メタノール、エタノー
ル等)やケトン(アセトン等)などの非水溶媒中で反応
させることによって得ることができる。金属塩としては
塩化物(例えば塩化コバルト、塩化亜鉛、塩化クロム、
塩化マンガン、塩化鉄、オキシ三塩化バナジウム等)や
酢酸塩(例えば酢酸ニッケル、酢酸銅等)、アセチルア
セトナト錯塩(アセチルアセトナトコバルト(III)塩
等)などが一般に用いられる。錯形成反応は室温(15
℃〜30℃)程度の温度で瞬時に進行するものもある
が、通常は、室温〜100℃程度の温度で、3分〜1.
5時間程度反応させればよい。このような錯体の形成は
溶液の呈色によって確認できる。また結晶化して固形物
として得ることができるが、このものの同定は、可視紫
外吸収スペクトル、赤外吸収スペクトル、マススペクト
ル等によって行うことができる。
【0154】上記のようにして得られたアゾ金属錯体系
色素は対イオンを有する場合、合成原料の金属塩に由来
する対イオン(例えばCl- 、CH3 COO- 等)を有
するが、場合により塩交換を行ってClO4 -、BF4 -
PF6 -等に変換することが好ましい。塩交換は、過塩素
酸塩(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム、過
塩素酸マグネシウム等)、テトラフルオロホウ酸塩(テ
トラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸
アンモニウム等)、ヘキサフルオロリン酸塩(ヘキサフ
ルオロリン酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸アンモニ
ウム等)を用い、これらの塩をメタノール、エタノール
等の溶媒に溶解した溶液(0.5〜4wt% )中に上記の
アゾ金属錯体系色素を、この色素と上記塩との量比(色
素/塩のモル比)が1/0.5〜1/2となるように添
加し攪拌するなどして行うことができる。そして、その
後結晶化させればよい。
【0155】このものの同定は可視紫外吸収スペクト
ル、マススペクトル、蛍光X線測定等によって行うこと
ができる。
【0156】以下に合成例を示す。
【0157】合成例15色素No. II−1の合成 アゾ化合物:2−(8−キノリルアゾ)−4,5−(ジ
フェニルイミダゾールの合成 濃硫酸2.7mlを水20mlで希釈し、淡黄色の8−アミ
ノキノリン2.88g(20mmol)を溶解させてオレン
ジ色の水溶液とした。これを氷浴中、5℃以下に冷却し
ながら、水15mlに溶解した亜硝酸ナトリウム1.40
g (20mmol)を攪拌しながら徐々に加えてジアゾ化を
行った。亜硝酸ナトリウム水溶液の添加に伴って、赤色
の不溶物が析出してきた。9割ほど加えたところで反応
液は緑色を帯び、全量を加えると黒褐色の不溶物のない
溶液となった。さらに30分間、攪拌を続けた。
【0158】20%水酸化ナトリウム水溶液50ml、2
0%炭酸ナトリウム水溶液50ml、エタノール70mlの
混合液に4,5−ジフェニルイミダゾール4.4g (2
0mmol)を溶かし、これを上記ジアゾニウム塩水溶液に
3〜5℃に冷却しながら徐々に加えてカップリングを行
った。反応液は赤褐色となり、全量を加えた後に1時
間、氷浴中で攪拌した。
【0159】1時間後、析出した固体を吸引ろ過により
集め、水で数回洗浄した。さらに、エタノールで抽出を
行い、可溶成分をロータリーエバポレータにて濃縮乾固
した。さらに真空熱乾燥して茶色の結晶を得た。 質量分析値(M+ ):375、融点(mp):252℃
【0160】Ni錯体(色素No. II−1)の合成 上記のアゾ化合物0.3g (0.8mmol)をエタノール
5mlに溶解させ、ここへ塩化ニッケル0.1g (0.8
mmol)を加え、5分間攪拌した。液は瞬時に青紫色に呈
色した。このエタノール溶液に30mlの水を加えて錯体
を析出させ、吸引濾過して集めた。この粗製物を少量の
水で洗い、60℃で1時間熱真空乾燥させた。深緑色の
金属光沢を有する0.18g (収率52%)のニッケル
錯体を得た。この錯体について蛍光X線測定を行ったと
ころ、1分子中のニッケル原子と塩素原子のモル比Cl
/Niは1.05となり錯体1分子当たり1個のCl-
が存在することが確認された。
【0161】合成例16色素No. II−2の合成 合成例1で得た色素No. II−1(対イオンCl- )0.
18g をエタノール5mlに溶解させ、ここへテトラフル
オロホウ酸アンモニウム0.1g (1.0mmol)を加
え、5分間攪拌した。このエタノール溶液に30mlの水
を加えて錯体を析出させ、吸引濾過して集めた。この粗
製物を少量の水で洗い、60℃で1晩真空熱乾燥させ
た。アルミナ(展開溶媒ジクロロメタン:エタノール=
2:1)にてカラム精製を行い目的成分をエバポレータ
ーにて乾固させ、60℃で1晩真空熱乾燥させた。0.
07g の目的物を得た。また、蛍光X線測定により、ニ
ッケル原子とフッ素原子のモル比F/Niは4.08と
なり、錯体1分子当たり1個のBF4 -が存在しているこ
とが確認された。
【0162】合成例17色素No. II−5の合成 金属塩として塩化コバルトを用いるほかは、合成例1の
Ni錯体と同様に合成を行った。この錯体について蛍光
X線測定を行ったところ、1分子中のコバルト原子と塩
素原子のモル比Cl/Coは1.02となり錯体1分子
には1個のCl- が存在していることが確認された。
【0163】合成例18色素No. II−7の合成 合成例3で得た色素No. II−5(対イオンCl- )と過
塩素酸ナトリウム一水和物とから合成例2と同様にして
ClO4 -塩を得た。錯体1分子には1個のClO4 -が存
在していることが確認された。
【0164】その他の色素も上記と同様にして合成する
ことができる。
【0165】これらのアゾ金属錯体系色素のλmax は5
20〜630nm(エタノール中で測定)であり、融点
(mp)は210〜320℃である。
【0166】これらのアゾ金属錯体系色素は光記録媒体
の記録層に用いるとき、1種のみで用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。また、合成過程で、アゾ化合物
の配位数が異なったり、あるいは他の配位子の種類が異
なるような2種以上の化合物が得られるときは分離する
ことなくそのまま用いてもよい。また、本発明では式
(I)で示されるアゾ金属錯体系色素と式(II)で示さ
れるアゾ金属錯体系色素を併用してもよい。
【0167】また、これらの色素は、635nmまたは6
50nmでの複素屈折率の実部nが2.00〜2.50で
あり、虚部kが0.01〜0.50である。
【0168】なお、色素のnおよびkは、所定の透明基
板上に色素膜を光記録媒体の記録層程度の厚さ、例えば
40〜100nm程度の厚さに記録層と同条件で設層し
て、測定用サンプルを作製し、次いで、この測定用サン
プルの635nmまたは650nmにおける反射率および透
過率を測定し、これらの測定値から、例えば、共立全書
「光学」石黒浩三P168〜178に準じ、算出したも
のである。反射率は測定用サンプルの基板を通しての反
射率あるいは色素膜側からの反射率であり、鏡面反射
(5°程度)にて測定したものである。
【0169】このようなアゾ金属錯体系色素は、有機溶
媒に対する溶解性が十分であり、光記録媒体の基板材料
として汎用されているポリカーボネート樹脂(PC)を
侵すことがない塗布溶媒に対する溶解度が大きくなる。
【0170】このようなアゾ金属錯体系色素を用いた記
録層は、特に追記型の光記録ディスク(CD−RやDV
D−R等)に用いることが好ましい。このような記録層
は、色素含有塗布液を用いて設層することが好ましい。
特に、回転する基板上に塗布液を展開塗布するスピンコ
ート法によることが好ましい。このほか、グラビア塗
布、スプレーコート、ディッピング等によってもよい。
なお、塗布溶媒については後述する。
【0171】上記のようなスピンコートの後、必要に応
じて塗膜を乾燥させる。このようにして形成される記録
層の厚さは、目的とする反射率などに応じて適宜設定さ
れるものであるが、通常、400〜3000A 程度であ
る。
【0172】なお、塗布液における色素含有量は、好ま
しくは0.05〜10wt% とするのがよい。アゾ金属含
有錯体系色素は溶解性が良好であるので、このような含
有量の塗布液を容易に調製することができる。具体的に
いえば、本発明のアゾ金属錯体系色素は主に極性溶媒に
良好な溶解性を示し、アルコールやセロソルブ系ないし
アルコキシアルコール系、ジアセトンアルコールなどの
ケトアルコール、シクロヘキサノンなどのケトン、2,
2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素
化アルコールなどに0.5〜10wt% 溶解する。特にポ
リカーボネート製ディスク基板に塗布する際に好適な塗
布溶媒である、エチルセロソルブや2,2,3,3−テ
トラフルオロプロパノールに4wt% 以上溶解し、短時間
に良質なスピンコート膜を成膜することが可能である。
【0173】塗布液には適宜バインダー、分散剤、安定
剤などを含有させてもよい。
【0174】また、本発明の光記録媒体の記録層にはア
ゾ金属錯体系色素のほか、他の種類の光吸収色素を含有
させてもよい。このような色素としては、フタロシアニ
ン系色素、シアニン系色素、上記とは別種の金属錯体色
素、スチリル系色素、ポリフィリン系色素、上記とは別
種のアゾ色素、ホルマザン金属錯体などが挙げられる。
【0175】したがって、このような場合には、塗布液
中にこのような色素を含有させて記録層を塗設すればよ
い。
【0176】特に、本発明では、680〜635nm程度
の短波長と780nm程度の従来の波長との2波長で記録
再生可能としたり、また記録と再生をこの2つの波長に
分けて行うことができる。この場合、780nm程度の従
来の波長光で記録を行い、短波長と780nm程度の従来
の波長光の2波長で再生を行うCD−RIIの記録と再生
方式に適当である。このような構成とする場合、記録層
には本発明のアゾ金属錯体系色素のほか、吸収特性など
の光学特性の異なる色素を用いることが好ましい。この
ような組合せとしては、本発明のアゾ金属錯体系色素を
短波長用とし、他種の光吸収色素を長波長用とするもの
や、これとは逆にアゾ金属錯体系色素を長波長用とし、
他種の光吸収色素を短波長用とするものなどがあるが、
通常は前者の組合せで好ましく用いられる。このような
場合、本発明のアゾ金属錯体系色素のほかに、吸収極大
(λmax )が680〜750nm程度の色素を含有させる
ことが好ましく、このような吸収極大(λmax )をもつ
色素を上記色素のなかから選択して用いればよい。なか
でも、通常、フタロシアニン系色素やペンタメチンシア
ニン系色素が用いられる。
【0177】特に、上記のような2波長で記録、再生を
行うタイプのCD−RIIの記録層に用いる場合、アゾ金
属錯体系色素は650nmでの複素屈折率の実部nが1.
8〜2.6、虚部が0.02〜0.20であることが好
ましい。一方、これと組み合わせる色素としては、78
0nmでの複素屈折率の実部nが1.8〜2.6、虚部k
が0.02〜0.30、特に積層タイプの記録層に用い
る場合は0.02〜0.15であって、薄膜の吸収スペ
クトルの半値幅、すなわちλmax 付近のスペクトル線の
半値幅が170nm以下、好ましくは150nm以下である
ものが好ましい。半値幅の下限には特に制限はないが、
通常50nmである。このような半値幅のものを用いるこ
とによって、併用するアゾ金属錯体系色素の吸収特性に
影響を与えることがなく、短波長域における反射率およ
び変調度が十分となる。これに対し、半値幅が170nm
をこえると、その吸収端が短波長レーザーの波長域にか
かってしまい、短波長域での反射率の低下を招いてしま
う。なお、半値幅は吸収極大λmax における透過率Tが
25%以下となるように透明基板上に色素膜を形成した
サンプルを作製し、このサンプルの吸収スペクトルを測
定することにより求めたものである。例えば、図1の吸
収スペクトルに従って説明すると、λmax における透過
率T1 と、さらに波長を長波長側に移行させた場合波長
の移行に依存せず、ほぼ一定となる透過率T2 とを求
め、T2 を基線(ベース)としてT1 までのボトムの深
さの半分の幅△λを半値幅とする。サンプルの色素膜の
厚さは、通常、500〜1500A(50〜150nm)
程度である。
【0178】なお、上記のnおよびkは、測定波長を各
々650nm、780nmとして前記と同様にして求めたも
のである。
【0179】このような色素としては、特に式(III)で
表されるフタロシアニン系色素であることが好ましい。
【0180】
【化39】
【0181】式(III)において、Mは中心原子を表す。
1 、X2 、X3 およびX4 は、各々ハロゲン原子を表
し、これらは同一でも異なるものであってもよい。p
1、p2、p3およびp4は各々0または1〜4の整数
であり、p1+p2+p3+p4は0〜15である。Y
1 、Y2 、Y3 およびY4 は各々酸素原子または硫黄原
子を表し、これらは同一でも異なるものであってもよ
い。Z1 、Z2 、Z3 およびZ4 は各々炭素原子数4以
上のアルキル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基
または複素環基を表し、これらは同一でも異なるもので
あってもよい。q1、q2、q3およびq4は各々0ま
たは1〜4の整数であり、これらは同時に0になること
はなく、q1+q2+q3+q4は1〜8である。
【0182】式(III)についてさらに詳細に記すと、式
(II)においてMは中心原子を表す。Mで表わされる中心
原子としては、水素原子(2H)または金属原子が挙げ
られる。このときの金属原子としては、周期表1〜14
族(1A〜7A族、8族、1B〜4B族)に属する金属
原子等であってよく、具体的にはLi、Na、K、M
g、Ca、Ba、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、
Mo、W、Mn、Tc、Fe、Co、Ni、Ru、R
h、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Z
n、Cd、Hg、Al、In、Tl、Si、Ge、S
n、Pb等、特にLi、Na、K、Mg、Ca、Ba、
Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、
Tc、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、I
r、Pt、Cu、Ag、Au、Cd、Hg、Al、I
n、Tl、Si、Ge、Sn、Pbが挙げられる。この
なかで、Al、Si、Ge、Zn、Cu、Pd、Ni、
Fe、Co等が好ましく、特にCu、Pd、Ni、F
e、Co、VO等が経時安定性の点で好ましい。
【0183】なお、これらの金属原子は、V等のよう
に、VO等の形であってもよく、さらにはSi、Al、
Ge、Co、Fe等のように、金属原子の上下あるいは
一方に、エーテル基、エステル基、ピリジンおよびその
誘導体等の配位子がさらに配位した形であってもよい。
Siである好ましい例については後述する。
【0184】X1 〜X4 は、各々ハロゲン原子を表し、
ハロゲン原子としてはF、Cl、Br、I等がある。特
にBr、Fであることが好ましい。
【0185】p1、p2、p3およびp4は各々0また
は1〜4の整数であり、p1+p2+p3+p4は0〜
15であり、好ましくは0〜10である。
【0186】X1 〜X4 は、各々同一でも異なるもので
あってもよく、p1、p2、p3、p4が各々2以上の
整数であるとき、X1 同士、X2 同士、X3 同士、X4
同士は同一でも異なるものであってもよい。
【0187】Y1 〜Y4 は各々酸素原子または硫黄原子
を表し、特に酸素原子であることが好ましい。Y1 〜Y
4 は通常同一であるが、異なるものであってもよい。Z
1 〜Z4 は各々炭素原子数4以上のアルキル基、脂環式
炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基を表し、
これらは同一でも異なるものであってもよい。
【0188】q1、q2、q3およびq4は各々0また
は1〜4の整数であり、これらは同時に0になることは
なく、q1+q2+q3+q4は1〜8であり、好まし
くは2〜6である。
【0189】Y1 〜Y4 のフタロシアニン環に対する結
合位置は、フタロシアニン環の3位および/または6位
(下記の構造式参照)であることが好ましく、このよう
な結合を少なくとも1個含むことが好ましい。
【0190】
【化40】
【0191】Z1 〜Z4 で表されるアルキル基としては
炭素原子数4〜16のものが好ましく、直鎖状であって
も分岐を有するものであってもよいが、分岐を有するも
のが好ましい。また置換基を有していてもよく、置換基
としてはハロゲン原子(F、Cl、Br、I等、特に好
ましくはF、Br等)などが挙げられる。このようなア
ルキル基の具体例としては、n−C49 、i−C4
9 −、s−C49 −、t−C49 −、n−C511
−、(CH32 CHCH2 CH2 −、(CH33
CH2 −、(C252 CH−、C25 C(CH
32 −、n−C37 CH(CH3 )−、n−C6
13−、(CH32 CHCH2 CH2 CH 2 −、(CH
33 C−CH2 −CH2 −、n−C37 CH(CH
3 )CH2−、n−C49 CH(CH3 )−、n−C7
15−、[(CH32 CH]2−CH−、n−C4
9 CH(CH3 )CH2 −、(CH32 CHCH2
H(CH3 )CH2 −、n−C817−、(CH33
CCH2 CH(CH3 )CH2 −、(CH32 CHC
H(i−C49 )−、n−C49 CH(C25
CH2 −、n−C919−、CH3 CH2 CH(CH
3 )CH2 CH(CH3 )CH2 CH2 −、(CH3
2 CHCH2 CH2 CH2 CH(CH3 )CH2 −、n
−C37 CH(CH3 )CH2 CH(CH3 )CH2
−、n−C1021−、(CH33 CCH2 CH2
(CH32 CH2 −、n−C1123−、n−C1225
−、n−C1327−、n−C1429−、n−C15
31−、n−C1633−、CHF2 CF2 CH2 −、CF
3 CH2 −、CF3 CF2 CH2 CH2−、(CF32
(CH3 )C−CH2 −、n−C49 −、i−C4
9 −、s−C49 −、t−C49 −等が挙げられ
る。
【0192】Z1 〜Z4 で表される脂環式炭化水素基と
しては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が挙げ
られ、シクロヘキシル基等が好ましい。これらはさら
に、置換基を有していてもよく、このような置換基とし
ては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリー
ロキシ基、アラルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、カ
ルボキシル基、エステル基、アシル基、アミノ基、アミ
ド基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル
基、スルホ基、スルフィノ基、アリールアゾ基、アルキ
ルチオ基、アリールチオ基等が挙げられ、なかでも炭素
原子数1〜5のアルキル基(例えばメチル基、エチル
基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル
基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−
ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、ne
o−ペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブ
チル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イ
ソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキ
シ基)、アリール基(例えばフェニル基、トリル基、ビ
フェニル基、ナフチル基)、ハロゲン原子(例えばF、
Cl、Br、I、好ましくはF、Br)等が好ましい。
これらの置換基の置換位置は、Y1 〜Y4 の結合位置の
隣接位のうちのいずれか一方または両方であることが好
ましく、このような置換を少なくとも1個含むことが好
ましい。
【0193】Z1 〜Z4 で表される芳香族炭化水素基と
しては、単環であっても縮合環を有するものであっても
よく、さらには置換基を有するものであってもよい。ま
た総炭素原子数は6〜20であることが好ましい。具体
的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニ
ル基等が好ましい。これらは、さらに置換基を有してい
てもよく、このような置換基としては、脂環式炭化水素
基のところで例示したものと同様のものを挙げることが
でき、好ましいものも同様である。また好ましい置換位
置も同様であり、Y1 〜Y4 の結合位置のオルト位であ
ることが好ましく、オルト置換を少なくとも1個含むこ
とが好ましい。
【0194】Z1 〜Z4 で表される複素環基としては、
単環であっても縮合環を有するものであってもよく、ヘ
テロ原子が酸素、窒素、硫黄等、特に酸素、窒素等であ
るものが好ましい。具体的には、ピリジル基、フラノン
−イル基、ピラジル基、ピラゾリジル基、ピペリジノン
−イル基、キノキサリル基、ピラノン−イル基、チオフ
ェントリオン−イル基等が挙げられ、ピリジル基、2−
フラノン−イル基等が好ましい。これらの複素環基は、
さらに置換基を有していてもよく、置換基としては脂環
式炭化水素基、芳香族炭化水素基のところで例示したも
のを挙げることができ、好ましいものも同様である。特
に、Y1 〜Y4 の結合位置の隣接位に炭素原子が存在す
る場合、このような隣接位に置換基を有することが好ま
しい。
【0195】Z1 〜Z4 としては、特に脂環式炭化水素
基、芳香族炭化水素基が好ましく、さらにはシクロヘキ
シル基、フェニル基が好ましく、特にはY1 〜Y4 の結
合位置の少なくとも一方の隣接位に置換基(特には前記
した好ましい置換基)を有するものが好ましい。
【0196】このようなフタロシアニン系色素の具体例
を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。具体例は下記式(IIa)[化13]のX11
14、X 15〜X18、X19〜X22、X23〜X26およびMを
用いて示しており、X11〜X14等においてすべてHであ
るときはHで、また置換基であるときはそのもののみを
示しHの表示は省略している。なお、フタロシアニン環
における3位と6位、4位と5位とは各々同等であり、
これらにおいていずれか一方に置換基が存在するときは
代表例を示しているにすぎない。
【0197】
【化41】
【0198】
【化42】
【0199】
【化43】
【0200】
【化44】
【0201】
【化45】
【0202】
【化46】
【0203】
【化47】
【0204】
【化48】
【0205】
【化49】
【0206】
【化50】
【0207】
【化51】
【0208】
【化52】
【0209】
【化53】
【0210】
【化54】
【0211】
【化55】
【0212】また、中心原子がSiである下記式(IV)
で表わされるフタロシアニン系色素も好ましい。
【0213】
【化56】
【0214】式(IV) において、A1 、A2 、A3 およ
びA4 は各々水素原子またはアルキル基を表し、これら
は同一でも異なるものであってもよい。Af1およびAf2
は各々フッ化アルキル基を表し、これらは同一でも異な
るものであってもよい。Rf1、Rf2、Rf3およびRf4
フッ化アルキル基を表し、これらは同一でも異なるもの
であってもよい。r1、r2、r3およびr4は各々0
または1〜4の整数であり、これらは同時に0になるこ
とはなく、r1+r2+r3+r4=1〜16である。
【0215】A1 〜A4 で表されるアルキル基としては
炭素原子数1〜3のものが好ましく、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
1〜A4 は通常同一であることが好ましい。
【0216】Af1、Af2で表されるフッ化アルキル基と
しては、炭素原子数1〜6のものが好ましく、直鎖状で
あっても分岐を有するものであってもよい。また、パー
フルオロ基でないほうが好ましい。このようなフッ化ア
ルキル基としてはCHF2 CF2 CH2 −、(CF3
2 (CH3 )C−CH2 −、CF3 −CH2 −、CF3
−CF2 −CH2 −CH2 −等が挙げられる。Af1、A
f2は通常同一であることが好ましい。
【0217】Rf1〜Rf4で表されるフッ化アルキル基と
しては、炭素原子数1〜6のものが好ましく、直鎖状で
あっても分岐を有するものであってもよい。また、パー
フルオロ基でない方が好ましい。このようなフッ化アル
キル基としてはCHF2 CF2 CH2 −、(CF32
(CH3 )C−CH2 −、CF3 CH2 −、CF3 CF
2 CH2 CH2 −等が挙げられる。Rf1〜Rf4は通常同
一であることが好ましい。r1〜r4は0または1〜4
の整数であり、これらは同時に0になることはなく、1
〜16である。r1〜r4は、好ましくは各々1または
2であり、特に好ましくはr1=r2=r3=r4=1
である。なお、r1〜r4が2以上であるとき、各Rf1
同士、各Rf2同士、各Rf3同士、各Rf4同士は同一でも
異なるものであってもよい。
【0218】酸素原子のフタロシアニン環に対する結合
位置は、前記同様、フタロシアニン環の3位および/ま
たは6位であることが好ましく、このような結合を少な
くとも1個含むことが好ましい。
【0219】このようなフタロシアニン系色素の具体例
を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。具体例は下記式(IVa )のA1 〜A4 、Af1、A
f2、X31〜X34、X35〜X38、X39〜X42、X43〜X46
を用いて示しており、X31〜X34等においてすべてHで
あるときはHで、また置換基であるときはそのもののみ
を示しHの表示は省略している。なお、フタロシアニン
環の3位と6位、4位と5位とは各々同等であり、これ
らにおいていずれかに置換基が存在するときは代表例を
示しているにすぎない。
【0220】
【化57】
【0221】
【化58】
【0222】上述のフタロシアニン系色素は、特開昭6
3−313760号、特開昭63−301261号、E
P675489号等に記載の方法を参照して合成するこ
とができる。
【0223】これらの色素の融点(mp)は60〜40
0℃である。
【0224】これらのフタロシアニン系色素について7
80nmにおけるnおよびkを表1、表2に示す。これら
のnおよびkは、色素膜の厚さを80nmとして求めたも
のである。また、前述のようにして色素薄膜の吸収スペ
クトルの半値幅を求めたが、これらの結果およびλmax
(薄膜)も併記する。
【0225】
【表1】
【0226】
【表2】
【0227】なお、これらのフタロシアニン系は、色素
1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0228】本発明に用いられる塗布溶媒として、具体
的には、アルコール系(ケトアルコール系、エチレング
リコールモノアルキルエーテル系等のアルコキシアルコ
ール系を含む。)、脂肪族炭化水素系、ケトン系、エス
テル系、エーテル系、芳香族系、ハロゲン化アルキル系
等から適宜選択すればよい。
【0229】このなかで、アルコール系、脂肪族炭化水
素系などが好ましい。アルコール系のなかでは、アルコ
キシアルコール系、ケトアルコール系などが好ましい。
アルコキシアルコール系は、アルコキシ部分の炭素原子
数が1〜4であることが好ましく、かつアルコール部分
の炭素原子数が1〜5、さらには2〜5であることが好
ましく、総炭素原子数が3〜7であることが好ましい。
具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル
(メチルセロソルブ)やエチレングリコールモノエチル
エーテル(エチルセロソルブ、エトキシエタノールとも
いう)やブチルセロソルブ、2−イソプロポキシ−1−
エタノール等のエチレングリコールモノアルキルエーテ
ル(セロソルブ)系や1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−メトキシ−2−ブタノール、3−メトキシ−1
−ブタノール、4−メトキシ−1−ブタノール、1−エ
トキシ−2−プロパノール等が挙げられる。ケトアルコ
ール系としてはジアセトンアルコール等が挙げられる。
さらには2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール
などのフッ素化アルコールも用いることができる。
【0230】脂肪族炭化水素系としては、n−ヘキサ
ン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシ
クロヘキサン、シクロオクタン、ジメチルシクロヘキサ
ン、n−オクタン、iso−プロピルシクロヘキサン、
t−ブチルシクロヘキサンなどが好ましく、なかでもエ
チルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどが好
ましい。
【0231】また、ケトン系としてはシクロヘキサノン
などが挙げられる。
【0232】本発明では、特にエチレングリコールモノ
アルキルエーテル系等のアルコキシアルコール系が好ま
しく、なかでもエチレングリコールモノエチルエーテ
ル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−
2−ブタノール等が好ましく、さらにはこれらの混合溶
媒も好ましく、例えばエチレングリコールモノエチルエ
ーテルと1−メトキシ−2−ブタノールの組合せのよう
なものが挙げられる。
【0233】なお、本発明のアゾ金属錯体系色素および
フタロシアニン系色素は、2種以上を併用して前記の各
n、kを満足するようにしてもよい。
【0234】2波長の記録、再生を目的とする光記録媒
体の記録層における本発明の金属錯体系色素とフタロシ
アニン系色素等の他の色素との比率は、本発明のアゾ金
属錯体系色素/他の色素のモル比が90/10〜10/
90であることが好ましい。
【0235】したがって、このような混合タイプの記録
層は、このような色素を所定の比率で含有する塗布液を
用いて塗設すればよい。
【0236】また、2波長の記録、再生を目的とする場
合、本発明のアゾ金属錯体系色素の層と他の色素の層と
を積層した記録層としてもよい。積層順については適宜
選択すればよく、通常、1層当たりの厚さは400〜2
500A(40〜250nm)程度とすればよい。このよ
うな積層タイプの記録層は、各色素を含有する塗布液を
それぞれ用いて塗設すればよい。
【0237】このような積層タイプの記録層で2層構成
とする場合、基板側にアゾ金属錯体系色素を含有する短
波長対応の記録層下層(第1の記録層)を設け、その上
に上記のフタロシアニン系色素等の他の色素を含有する
780nm対応の記録層上層(第2の記録層)を設けるこ
とが好ましい。この場合、記録層下層を記録層上層に比
べ薄くすることが好ましく、記録層下層と上層との厚さ
の比は下層/上層が1/10〜1/1となるようにする
ことが好ましい。
【0238】このような2波長対応の、あるいは短波長
対応の記録層を基板上に有する光記録ディスクとして、
図2、図3には、その構成例が示されている。図2、図
3は、部分断面図である。図2について説明すると、図
2に示される光記録ディスク1は、記録層上に反射層を
密着して有するCD規格に対応した再生が可能な密着型
光記録ディスクである。図示のように、光記録ディスク
1は、基板2表面に本発明のアゾ金属錯体系色素を含有
する記録層3を有し、記録層3に密着して、反射層(反
射膜)4、保護膜(保護層)5を有する。
【0239】記録層3は、アゾ金属錯体系色素と他の色
素を用いた前記の混合タイプあるいは積層タイプとした
2波長対応型、アゾ金属錯体系色素を主成分とした短波
長対応型のものである。
【0240】基板2は、ディスク状のものであり、基板
2の裏面側からの記録および再生を可能とするために、
記録光および再生光(波長500〜900nm程度、とり
わけ波長500〜700nm程度、さらには波長630〜
690nm程度、なかでも波長635〜680nm程度のレ
ーザー光および波長680〜900nm程度のレーザー
光、なかでも波長680〜780nm程度のレーザー光や
波長770〜900nm程度、とりわけ770〜830nm
程度の半導体レーザー光、特に635〜650nmおよび
780nm)に対し、実質的に透明(好ましくは透過率8
8%以上)な樹脂あるいはガラスを用いて形成するのが
よい。また、大きさは、直径64〜200mm程度、厚さ
1.2mm程度のものとする。
【0241】基板2の記録層3形成面には、図2に示す
ように、トラッキング用のグルーブ23が形成される。
グルーブ23は、スパイラル状の連続型グルーブである
ことが好ましく、深さは0.1〜0.25μm 、幅は混
合タイプ、短波長対応型では0.35〜0.60μm 、
積層タイプでは0.35〜0.80μm 、グルーブピッ
チは1.5〜1.7μm であることが好ましい。グルー
ブをこのような構成とすることにより、グルーブの反射
レベルを下げることなく、良好なトラッキング信号を得
ることができる。特にグルーブ幅を0.35〜0.80
μm 、あるいは0.35〜0.60μm に規制すること
は重要であり、グルーブ幅を0.35μm 未満とする
と、十分な大きさのトラッキング信号が得られにくく、
記録時のトラッキングのわずかなオフセットによって、
ジッターが大きくなりやすい。またグルーブ幅が大きく
なると波形ひずみが生じやすくなる。
【0242】基板2は、材質的には、樹脂を用いること
が好ましく、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ア
モルファスポリオレフィン、TPX、ポリスチレン系樹
脂等の各種熱可塑性樹脂が好適である。そして、このよ
うな樹脂を用いて射出成形等の公知の方法に従って製造
することができる。グルーブ23は、基板2の成形時に
形成することが好ましい。なお、基板2製造後に2P法
等によりグルーブ23を有する樹脂層を形成してもよ
い。また、場合によってはガラス基板を用いてもよい。
【0243】図2に示されるように、基板2に設層され
る記録層3は、前記の色素含有塗布液を用い、前記のよ
うに、好ましくはスピンコート法により形成されたもの
である。スピンコートは通常の条件に従い、内周から外
周にかけて、回転数を500〜5000rpm の間で調整
するなどして行えばよい。
【0244】このようにして形成される記録層3の厚さ
は、混合タイプ、短波長対応型では、乾燥膜厚で、50
0〜3000A (50〜300nm)とすることが好まし
い。この範囲外では反射率が低下して、CD規格に対応
した再生を行うことが難しくなる。この際、グルーブ2
3内の記録トラック内の記録層3の膜厚を1000A
(100nm)以上、特に1300〜3000A (130
〜300nm)とすると、変調度がきわめて大きくなる。
【0245】また、積層タイプでは、前記したとおり、
乾燥膜厚で、各々400〜2500A (40〜250n
m)とすることが好ましい。これにより良好な再生を行
うことができる。またグルーブ23内の記録トラック内
の記録層3の膜厚は500A (50nm)以上、特に50
0〜800A (50〜80nm)とすることが好ましい。
さらに、前記のとおり、2層構成とし、下層に本発明の
アゾ金属錯体系色素を含有させるときには、上下層の膜
厚を前記のようにすることによって、CD−RIIとした
とき、780nmでの記録・再生を良好に行うことができ
る。
【0246】このようにして形成される記録層3は、2
波長対応型の色素混合タイプの記録層であるときは、6
35〜650nmにおいてn=1.8〜2.3、k=0.
02〜0.20、780nmにおいてn=1.8〜2.
5、k=0.03〜0.15であることが好ましい。ま
た、2波長対応型の積層タイプの記録層であるとき、6
35〜650nmにおいて、n=1.8〜2.3、k=
0.02〜0.20、780nmにおいてn=1.8〜
2.6、k=0.02〜0.15であることが好まし
い。このようにn、kを規制することによって、2波長
で良好な記録、再生が行える。特に780nm程度の従来
波長ではオレンジブック規格に対応した記録、再生が行
える。
【0247】また、635〜650nm程度の短波長対応
型のものであるとき、その記録光および再生光波長にお
ける消衰係数(複素屈折率の虚部)kは、0〜0.20
であることが好ましい。kが0.20を超えると、十分
な反射率が得られない。また、記録層3の屈折率(複素
屈折率の実部)nは、1.8以上であることが好まし
い。nが1.8未満では信号の変調度が小さすぎる。n
の上限には特に制限はないが、色素化合物の合成上の都
合等から通常2.6程度である。
【0248】なお、記録層のnおよびkは、所定の透明
基板上に記録層を例えば40〜100nm程度の厚さに実
際の条件にて設層して、測定用サンプルを作製し、次い
で、この測定用サンプルの基板を通しての反射率あるい
は記録層側からの反射率を測定することによって求め
る。この場合、反射率は、記録再生光波長を用いて鏡面
反射(5°程度)にて測定する。また、サンプルの透過
率を測定する。そして、これらの測定値から、例えば、
共立全書「光学」石黒浩三P168〜178に準じ、
n、kを算出すればよい。
【0249】なお、このような記録層のnおよびkは、
用いる色素に応じ、各色素の前記したnおよびkに対応
した値になる。
【0250】図2に示されるように、記録層3上には、
直接密着して反射層4が設層される。反射層4として
は、Au、Cu、Al、Ag、AgCu等の高反射率金
属ないし合金を用いるのがよい。反射層4の厚さは50
0A 以上であることが好ましく、蒸着、スパッタ等によ
り設層すればよい。また、厚さの上限に特に制限はない
が、コスト、生産作業時間等を考慮すると、1200A
程度以下であることが好ましい。これにより、反射層4
単独での反射率は、90%以上、媒体の未記録部の基板
を通しての反射率は十分であり、2波長対応型のものの
780nm程度の従来の波長では60%以上、特に70%
以上が得られる。
【0251】図2に示されるように、反射層4上には、
保護膜5が設層される。保護膜5は、例えば紫外線硬化
樹脂等の各種樹脂材質から、通常は、0.5〜100μ
m 程度の厚さに設層すればよい。保護膜5は、層状であ
ってもシート状であってもよい。保護膜5は、スピンコ
ート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッピング等
の通常の方法により形成すればよい。
【0252】このような構成の光記録ディスク1に記録
ないし追記を行うには、例えば650nmあるいは780
nmの記録光を、基板2を通してパルス状に照射し、照射
部の光反射率を変化させる。なお、記録光を照射する
と、記録層3が光を吸収して発熱し、同時に基板2も加
熱される。この結果、基板2と記録層3との界面近傍に
おいて、色素等の記録層材質の融解や分解が生じ、記録
層3と基板2との界面に圧力が加わり、グルーブの底面
や側壁を変形させることがある。
【0253】また、図3について説明すると、図3に示
される光記録ディスク6は、記録層上に反射層を密着
し、その上に保護膜を設け、形成したディスク2枚の保
護層を内側に接着剤で貼り付けた構造を有する、市販の
DVDプレーヤーで再生が可能な密着型光記録ディスク
である。図示のように、光記録ディスク6は、基板7表
面に本発明のアゾ金属錯体系色素を含有する記録層8を
有し、記録層8に密着して、反射層(反射膜)9、保護
膜(保護層)10を有し、2枚のディスクの保護膜10
を内側に接着層11を有する。
【0254】基板7は、ディスク状のものであり、基板
7の裏面側からの記録および再生を可能とするために、
記録光および再生光(波長500〜900nm程度、とり
わけ波長500〜680nm程度、なかでも波長635〜
680nm程度のレーザー光、特に635〜650nm)に
対し、実質的に透明(好ましくは透過率88%以上)な
樹脂あるいはガラスを用いて形成するのがよい。また、
大きさは、直径64〜200mm程度、厚さ0.6mm程度
のものとする。
【0255】基板7の記録層8形成面には、図3に示す
ように、トラッキング用のグルーブ78が形成される。
グルーブ78は、スパイラル状の連続型グルーブである
ことが好ましく、深さは0.04〜0.15μm 、幅は
0.20〜0.45μm 、グルーブピッチは0.74〜
0.80μm であることが好ましい。グルーブをこのよ
うな構成とすることにより、グルーブ部の反射レベルを
下げることなく、良好なトラッキング信号を得ることが
できる。特にグルーブ幅を0.20〜0.45μm に規
制することが重要であり、グルーブ幅を0.20μm 未
満とすると、十分な大きさのトラッキング信号が得られ
にくく、記録時のトラッキングのわずかなオフセットに
よって、ジッターが大きくなりやすい。また0.45μ
m を超えると、再生信号の波形歪みが生じやすく、クロ
ストロークの増大の原因となる。
【0256】基板7は、材質的には、樹脂を用いること
が好ましく、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ア
モルファスポリオレフィン、TPX、ポリスチレン系樹
脂等の各種熱可塑性樹脂が好適である。そして、このよ
うな樹脂を用いて射出成形等の公知の方法に従って製造
することができる。グルーブ78は、基板7の成形時に
形成することが好ましい。なお、基板7製造後に2P法
等によりグルーブ23を有する樹脂層を形成してもよ
い。また、場合によってはガラス基板を用いてもよい。
【0257】図3に示されるように、基板7に設層され
る記録層8は、前記の色素含有塗布液を用い、前記のよ
うに、好ましくはスピンコート法により形成されたもの
である。スピンコートは通常の条件に従い、内周から外
周にかけて、回転数を500〜5000rpmの間で調整
するなどして行えばよい。
【0258】このようにして形成される記録層8の厚さ
は、乾燥膜厚で400〜2000A(40〜200nm)
とすることが好ましい。この範囲外で反射率が低下し
て、市販のDVDプレーヤーによる再生を行うことが難
しくなる。この際、グルーブ78内の記録トラック内の
記録層8の膜厚を400A(40nm)以上、特に600
〜2000A(60〜200nm)とすると、変調度が極
めて大きくなる。
【0259】このようにして形成される記録層8は、6
35〜650nm程度の短波長対応型のものであるとき、
信号を記録する場合、その記録光および再生光波長にお
ける消衰係数(複素屈折率の虚部)kは、0.02〜
0.20であることが好ましい。kが0.02未満とな
ると記録層の吸収率が低下し、通常の記録パワーで記録
を行うことが困難である。また、kが0.20を超える
と、反射率が低くなってしまい、市販のDVDプレーヤ
ーによる再生を行うことが困難である。また、記録層3
の屈折率(複素屈折率の実部)nは、2.0〜2.6と
なる。n<2.0では反射率が低下し、また再生信号が
小さくなり、市販のDVDプレーヤーによる再生が困難
となる傾向にある。n>2.6では色素の合成が困難で
ある。
【0260】図3に示されるように、記録層8上には、
直接密着して反射層9が設層される。反射層9としては
Au、Cu、Al、Ag、AgCu等の高反射率金属な
いし合金を用いるのがよい。反射層9の厚さは400A
以上であることが好ましく、蒸着、スパッタ等により設
層すればよい。また、厚さの上限に特に制限はないが、
コスト、生産作業時間等を考慮すると、厚さは1200
A程度以下であることが好ましい。これにより、反射層
9単独での反射率は90%以上、媒体の未記録部の基板
を通しての反射率は十分である。
【0261】図3に示されるように、反射層9上には、
保護膜10が設層される。保護膜10は、例えば紫外線
硬化樹脂等の各種樹脂材質から、通常は、0.5〜10
0μm 程度の厚さに設層すればよい。保護膜10は、層
状であってもシート状であってもよい。保護膜10は、
スピンコート、グラビア塗布、スプレーコート、ディッ
ピング等の通常の方法により形成すればよい。
【0262】図3に示されるように、2枚のディスクの
保護膜10を内側にして、保護膜10の間に接着層11
を設層する。接着層11は、例えば熱可塑性樹脂、紫外
線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、嫌気性硬化型樹脂等の各
種接着樹脂材質から、通常は、0.5〜100μm 程度
の厚さに設層すればよい。接着剤11は、層状であって
もシート状であってもよい。接着層11は、スピンコー
ト、グラビア塗布、スプレーコート、等の通常の方法に
より形成すればよい。接着層11を設層後、2枚のディ
スクの接着層11同士を貼り合わせればよい。
【0263】このような構成の光記録ディスク6に記録
ないし追記を行うには、例えば635nmの記録光を、基
板7を通してパルス状に照射し、照射部の光反射率を変
化させる。なお、記録光を照射すると、記録層8が光を
吸収して発熱し、同時に基板7も加熱される。この結
果、基板7と記録層8との界面近傍において、色素等の
記録層材質の融解や分解が生じ、記録層8と基板7との
界面に圧力が加わり、グルーブの底面や側壁を変形させ
ることがある。
【0264】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。 実施例1 例示したアゾ金属錯体系色素のうち、No.I−1の2
wt% の2−エトキシエタノール溶液を用い、ポリカーボ
ネート基板(直径120mm、厚さ1.2mm)上に色素膜
をスピンコート法により形成し、この薄膜サンプルの透
過スペクトルおよび反射スペクトルを測定した。色素膜
の厚さ(乾燥膜厚)は500A(50nm)とした。この
結果を図4に示す。
【0265】図4より、この化合物は700〜500nm
の広い波長領域において高い反射率を示すことがわか
る。これより、この波長領域において市販のCDプレー
ヤーあるいは市販のDVDプレーヤーに対応可能な色素
であることがわかる。
【0266】実施例2 実施例1の薄膜サンプルを用いて耐光性を調べた。耐光
性は初期透過率T0 を測定し、さらに8万ルックスのキ
セノンランプ(島津社製キセノンフェードメーター)を
照射し、照射後の透過率Tを測定し、(100−T)×
100/(100−T0 )にて色素残存率(%)を算出
して調べた。100時間照射後の色素残存率を調べたと
ころ95%程度であった。
【0267】これより、色素No. I−1は耐光性が十分
であることがわかった。
【0268】実施例3 実施例1と同じ色素No. I−1を記録層用の色素として
光記録ディスクを作製した。まず、プリグルーブ(深さ
0.10μm 、幅0.42μm 、グルーブピッチ0.8
0μm )を有する直径120mm、厚さ0.6mmのポリカ
ーボネート樹脂基板上に、スピンコート法により色素を
含有する記録層を900A (90nm)の厚さに形成し
た。この場合の塗布液として、2wt% の2−エトキシエ
タノール溶液を用いた。次に、この記録層にAu反射膜
を850A の厚さにスパッタ法により形成し、さらに紫
外線硬化型のアクリル樹脂の透明な保護層(膜厚5μm
)を形成した。同様にして形成したディスクサンプル
2枚の保護層を内側に接着剤で貼り付けてディスクを形
成した。これをディスクサンプルNo. 1とする。
【0269】ディスクサンプルNo. 1において、特公平
7−51682号公報開示の下記構造のアゾコバルト錯
体色素を用い、この2.0wt% の2−エトキシエタノー
ル溶液を調製し、これを用いて記録層を形成するほかは
同様にしてディスクサンプルNo. 2を作製した。
【0270】
【化59】
【0271】このようにして作製した光記録ディスクの
ディスクサンプルNo. 1、No. 2に対し、レーザー(発
振波長635nm)を使用して、線速1.2m/秒で信号を
8/16変調信号を記録し、最適記録パワー(P0 )、
ジッター(Jitter)を測定した。最適記録パワー
は記録評価に用いている評価機(パルステック社製)で
アシンメトリが0%になる範囲を意味する。この結果を
表3に示す。ジッターに関しては、実施例2と同様の条
件により光照射した場合のジッターの劣化も評価した。
【0272】
【表3】
【0273】表3から明らかなように、特公平7−51
682号公報に開示のアゾコバルト錯体系色素に対し
て、本発明のアゾコバルト錯体系色素は、最適記録パワ
ーが低い、すなわち記録感度が高いことがわかる。また
再生信号のジッター特性に優れていることがわかる。
【0274】実施例4 実施例1と同じ色素No. I−1を記録層用の色素として
光記録ディスクを作製した。まず、プリグルーブ(深さ
0.16μm 、幅0.48μm 、グルーブピッチ1.6
μm )を有する直径120mm、厚さ1.2mmのポリカー
ボネート樹脂基板上に、スピンコート法により色素を含
有する記録層を2000A (200nm)の厚さに形成し
た。この場合の塗布液として、2wt% の2−エトキシエ
タノール溶液を用いた。次に、この記録層にAu反射膜
を850A の厚さにスパッタ法により形成し、さらに紫
外線硬化型のアクリル樹脂の透明な保護層(膜厚5μm
)を形成した。これをディスクサンプルNo. 3とす
る。
【0275】ディスクサンプルNo. 3において、特公平
7−51682号公報開示の下記構造のアゾコバルト錯
体色素(実施例3のディスクサンプルNo.2に用いた比
較色素)を用い、この2.0wt% の2−エトキシエタノ
ール溶液を調製し、これを用いて記録層を形成するほか
は同様にしてディスクサンプルNo. 4を作製した。
【0276】このようにして作製した光記録ディスクの
ディスクサンプルNo. 3、No. 4に対し、レーザー(発
振波長650nm)を使用して、線速1.2m/秒で信号を
記録し、最適記録パワー(P0 )、ジッター(Jitt
er)を測定した。最適記録パワーは記録評価に用いて
いる評価機(パルステック社製)でアシンメトリが−2
%になる範囲を意味する。この結果を表4に示す。ジッ
ターに関しては、実施例2と同様の条件により光照射し
た場合のジッターの劣化も評価した。
【0277】
【表4】
【0278】表4から明らかなように、特公平7−51
682号公報に開示のアゾコバルト錯体系色素に対し
て、本発明のアゾコバルト錯体系色素は、最適記録パワ
ーが低い、すなわち記録感度が高いことがわかる。また
再生信号のジッター特性に優れていることがわかる。
【0279】実施例5 実施例4のディスクサンプルNo. 3において、記録層用
の色素として色素No.I−1とフタロシアニン系色素A
−152とを用い、これらの混合色素の2wt%2−エト
キシエタノール溶液(色素No. I−1/フタロシアニン
系色素A−52のモル比=30/70)を調製し、これ
により記録層を設層するほかは同様にして光記録ディス
クを作製した。これをディスクサンプルNo. 5とする。
【0280】また、色素No. I−1/フタロシアニン系
色素A−52のモル比=50/50とするほかはディス
クサンプルNo. 5と同様にしてディスクサンプルNo. 6
を作製した。
【0281】また、このディスクサンプルNo. 6におい
て、色素No. I−1のかわりに特公平7−51682号
公報開示の化23のアゾコバルト錯体系色素(実施例3
のディスクサンプルNo. 2に用いた比較色素)を用いる
ほかは同様にしてディスクサンプル No.7を作製した。
【0282】これらのディスクサンプルに対し、実施例
4と同様に、780nmのレーザー光を用いてオレンジブ
ック規格に従った記録を行い、次にこのディスクを65
0nmのレーザー光を用いて再生したときの変調度(I11
Mod)とジッター(Jitter)を測定した。この
結果を表5に示す。
【0283】
【表5】
【0284】表5から明らかなように、本発明のアゾコ
バルト錯体系色素は色素単独で光記録層に用いた場合の
みならず、オレンジブック規格の780nmとの両立を目
的として長波長側に吸収を有する色素、例えばフタロシ
アニン系色素との混合系で用い、650nm付近の短波長
側において再生を行った場合においても変調度やジッタ
ーが悪化することなく、優れた特性を発現した。一方、
比較色素として用いられているようなタイプのアゾ金属
錯体系色素は再生信号のジッターが大きくなり、また変
調度も本発明の色素と比較して小さいことがわかった。
また、本発明の色素は、比較色素として用いられている
タイプのアゾ金属錯体系色素よりも少ない混合量で所望
の特性が得られていることがわかった。
【0285】さらに、上記のように780nmで記録した
各ディスクサンプルに対し、780nmのレーザー光を用
いて再生したときの変調度とジッターを測定すると、本
発明の色素を用いたディスクサンプルNo. 5では変調度
が68%、ジッターが19ns、ディスクサンプルNo. 6
では変調度が70%、ジッターが20nsであった。これ
に対し、比較色素を用いたサンプルNo. 7では変調度が
62%、ジッターが42nsであり、本発明の色素を用い
る方が特性に優れることがわかった。
【0286】また、650nmのレーザー光を用い、各デ
ィスクサンプルに対し、記録(線速1.2m/秒)を行
い、650nmのレーザー光で再生を行ったところ、本発
明のディスクサンプルNo. 5、No. 6では良好な再生を
行うことができ、変調度、ジッターの点も良好であっ
た。これに対し、比較のディスクサンプルNo. 7では本
発明のものに比べ特性が劣った。
【0287】さらに650nmのレーザー光を用いて記録
した各ディスクサンプルに対し、780nmのレーザー光
で再生を行ったところ、本発明のディスクサンプルNo.
5、No. 6では良好な再生を行うことができ、変調度、
ジッターの点も良好であった。これに対し、比較のディ
スクサンプルNo. 7では本発明のものに比べ特性が劣っ
た。
【0288】このように本発明のディスクサンプルNo.
5、No. 6は2波長対応型の光記録ディスクとして良好
に使用できることがわかる。
【0289】実施例6 実施例5のディスクサンプルNo. 5、No. 6、No. 7の
各々において、フタロシアニン系色素A−52のかわり
にフタロシアニン系色素A−3を使用し、塗布溶媒とし
て1−メトキシ−2−ブタノールを用いた2wt% 溶液を
調製して色素膜を形成し記録層とするほかは同様にして
ディスクサンプルNo. 8、No. 9、No.10を作製し
た。
【0290】ディスクサンプルNo. 8〜No. 10につい
て実施例5と同様にして特性を調べたところ、ディスク
サンプルNo. 8、No. 9については各々ディスクサンプ
ルNo. 5、No. 6と同等以上の良好な特性が得られた。
一方、ディスクサンプルNo.10はディスクサンプルNo.
7と同程度の特性しか示さなかった。
【0291】このなかで780nmで記録を行い、650
nmで再生したときの変調度(I11Mod)とジッター(J
itter)の測定結果を表6に示す。
【0292】
【表6】
【0293】実施例7 実施例5のディスクサンプルNo. 5、No. 6、No. 7の
各々において、フタロシアニン系色素A−52のかわり
にフタロシアニン系色素A−1を使用し、塗布溶媒とし
て1−メトキシ−2−ブタノールを用いた2wt% 溶液を
調製して色素膜を形成し記録層とするほかは同様にして
ディスクサンプルNo. 11、No. 12、No. 13を作製
した。
【0294】ディスクサンプルNo. 11〜13について
実施例5と同様に特性を調べたところ、ディスクサンプ
ルNo. 11、No. 12については各々ディスクサンプル
No.5、No. 6と同等以上の良好な特性が得られた。一
方、ディスクサンプルNo. 13はディスクサンプルNo.
7と同程度の特性しか示さなかった。
【0295】このなかで780nmで記録を行い、650
nmで再生したときの変調度(I11Mod)とジッター(J
itter)の測定結果を表7に示す。
【0296】
【表7】
【0297】以上のように、色素No. I−1に代表され
る本発明のアゾ金属錯体系色素は、比較色素に代表され
る公知の光記録層用アゾ金属錯体系色素と比較して、そ
の記録感度とジッター特性において優れている。また、
他の光吸収色素と混合して用いた場合においても、再生
信号のジッターが悪化しない等の予想外の特性を有して
いることがわかった。
【0298】実施例8 実施例3のディスクサンプルNo. 1、実施例4のディス
クサンプルNo.3、実施例5のディスクサンプルNo.
5、No. 6、実施例6のディスクサンプルNo.8、No.
9、実施例7のディスクサンプルNo.11、No.12にお
いて、色素No. I−1のかわりに、例示した色素No. I
−2、I−3、I−7、I−8、I−9、I−28、I
−32、I−53、I−65、I−79、I−107、
I−143、I−193を各々用い、あるいは色素No.
I−1も含めこれらの色素の2種以上を併用して、その
ほかは同様にして種々のディスクサンプルを作製して実
施例3〜7と同様にして特性を調べたところ、その構成
に応じ、ディスクサンプルNo. 1、No.3、No. 5、No.
6、No.8、No.9、No.11、No.12と同等の特性を
示した。また、色素No. I−1以外の上記の本発明の色
素について、実施例2と同様に耐光性を調べたところ、
色素No. I−1と同様の良好な耐光性を示すことがわか
った。
【0299】実施例9 実施例4と同じポリカーボネート樹脂基板上に、同様に
して色素No. I−1の2wt% 2,2,3,3,−テトラ
フルオロプロパノール溶液を用いて50nm厚の記録層下
層を形成し、さらに色素A−3の1.5wt% エチルシク
ロヘキサン溶液を用いて100nm厚の記録層上層を形成
した。その後は実施例4と同様の操作でディスクサンプ
ルを作製した。
【0300】このようにして作製したディスクサンプル
No. 14に対し、実施例5と同様にして特性を調べたと
ころ、実施例5〜7の本発明のサンプルと同様の良好な
結果を示した。このなかで780nmで記録を行い650
nmで再生したときの変調度(I11Mod)とジッター(J
itter)は以下のようであった。 I11Mod=66% Jitter=20ns
【0301】実施例10 例示したアゾ金属錯体系色素のうち、No.II−2の2
wt% の2−エトキシエタノール溶液を用い、ポリカーボ
ネート基板(直径120mm、厚さ1.2mm)上に色素膜
をスピンコート法により形成し、この薄膜サンプルの透
過スペクトルおよび反射スペクトルを測定した。色素膜
の厚さ(乾燥膜厚)は500A(50nm)とした。この
結果を図5に示す。
【0302】図5より、この化合物は700〜500nm
の広い波長領域において高い反射率を示すことがわか
る。これより、この波長領域において市販のCDプレー
ヤー、あるいは市販のDVDプレーヤーに対応可能な色
素であることがわかる。
【0303】なお、前述のようにして求めた650nmに
おけるnおよびkはn=2.25、k=0.10であっ
た。
【0304】実施例11 実施例10の薄膜サンプルを用いて耐光性を調べた。耐
光性は初期透過率T0を測定し、さらに8万ルックスの
キセノンランプ(島津社製キセノンフェードメーター)
を照射し、照射後の透過率Tを測定し、(100−T)
×100/(100−T0 )にて色素残存率(%)を算
出して調べた。100時間照射後の色素残存率を調べた
ところ95%程度であった。
【0305】これより、色素No. II−2は耐光性が十分
であることがわかった。
【0306】実施例12 実施例10と同じ色素No. II−2を記録層用の色素とし
て光記録ディスクを作製した。まず、プリグルーブ(深
さ0.10μm 、幅0.42μm 、グルーブピッチ0.
80μm )を有する直径120mm、厚さ0.6mmのポリ
カーボネート樹脂基板上に、スピンコート法により色素
を含有する記録層を900A (90nm)の厚さに形成し
た。この場合の塗布液として、2wt% の2−エトキシエ
タノール溶液を用いた。次に、この記録層にAu反射膜
を850A の厚さにスパッタ法により形成し、さらに紫
外線硬化型のアクリル樹脂の透明な保護層(膜厚5μm
)を形成した。同様にして形成したディスク2枚の保
護層を内側に接着剤で貼り付けてディスクを形成した。
これをディスクサンプルNo. 21とする。
【0307】ディスクサンプルNo. 21において、特公
平7−51682号公報開示のアゾコバルト錯体色素
(実施例3のディスクサンプルNo.2に用いた比較色
素)を用い、この2.0wt% の2−エトキシエタノール
溶液を調製し、これを用いて記録層を形成するほかは同
様にしてディスクサンプルNo. 22を作製した。
【0308】このようにして作製した光記録ディスクの
ディスクサンプルNo. 21、No. 22に対し、レーザー
(発振波長635nm)を使用して、線速3.9m/秒で8
/16変調信号を記録し、最適記録パワー(P0 )、ジ
ッター(Jitter)を測定した。最適記録パワーは
記録評価に用いている評価機(パルステック社製)でア
シンメトリが0%になる範囲を意味する。この結果を表
8に示す。ジッターに関しては、実施例11と同様の条
件により光照射した場合のジッターの劣化も評価した。
【0309】
【表8】
【0310】表8から明らかなように、特公平7−51
682号公報に開示のアゾコバルト錯体系色素に対し
て、本発明のアゾコバルト錯体系色素は、最適記録パワ
ーが低い、すなわち記録感度が高いことがわかる。また
再生信号のジッター特性に優れていることがわかる。
【0311】実施例13 実施例10と同じ色素No. II−2を記録層用の色素とし
て光記録ディスクを作製した。まず、プリグルーブ(深
さ0.16μm 、幅0.48μm 、グルーブピッチ1.
6μm )を有する直径120mm、厚さ1.2mmのポリカ
ーボネート樹脂基板上に、スピンコート法により色素を
含有する記録層を2000A (200nm)の厚さに形成
した。この場合の塗布液として、2wt% の2−エトキシ
エタノール溶液を用いた。次に、この記録層にAu反射
膜を850A の厚さにスパッタ法により形成し、さらに
紫外線硬化型のアクリル樹脂の透明な保護層(膜厚5μ
m)を形成した。これをディスクサンプルNo. 23とす
る。
【0312】ディスクサンプルNo. 23において、特公
平7−51682号公報開示のアゾコバルト錯体色素
(実施例3のディスクサンプルNo.2に用いた比較色
素)を用い、この2.0wt% の2−エトキシエタノール
溶液を調製し、これを用いて記録層を形成するほかは同
様にしてディスクサンプルNo. 24を作製した。
【0313】このようにして作製した光記録ディスクの
ディスクサンプルNo. 23、No. 24に対し、レーザー
(発振波長650nm)を使用して、線速1.2m/秒で信
号を記録し、最適記録パワー(P0 )、ジッター(Ji
tter)を測定した。最適記録パワーは記録評価に用
いている評価機(パルステック社製)でアシンメトリが
−2%になる範囲を意味する。この結果を表9に示す。
ジッターに関しては、実施例2と同様の条件により光照
射した場合のジッターの劣化も評価した。
【0314】
【表9】
【0315】表9から明らかなように、特公平7−51
682号公報に開示のアゾコバルト錯体系色素に対し
て、本発明のアゾコバルト錯体系色素は、最適記録パワ
ーが低い、すなわち記録感度が高いことがわかる。また
再生信号のジッター特性に優れていることがわかる。
【0316】実施例14 実施例13のディスクサンプルNo. 23において、記録
層用の色素として色素No. II−2とフタロシアニン系色
素A−52とを用い、これらの混合色素の2wt% 2−エ
トキシエタノール溶液(色素No. II−2/フタロシアニ
ン系色素A−52のモル比=30/70)を調製し、こ
れにより記録層を設層するほかは同様にして光記録ディ
スクを作製した。これをディスクサンプルNo. 25とす
る。
【0317】また、色素No. II−2/フタロシアニン系
色素A−52のモル比=50/50とするほかはディス
クサンプルNo. 25と同様にしてディスクサンプルNo.
26を作製した。
【0318】また、このディスクサンプルNo. 26にお
いて、色素No. II−2のかわりに特公平7−51682
号公報開示のアゾコバルト錯体系色素(実施例3のディ
スクサンプルNo. 2に用いた比較色素)を用いるほかは
同様にしてディスクサンプルNo. 27を作製した。
【0319】これらのディスクサンプルに対し、実施例
13と同様に、780nmのレーザー光を用いてオレンジ
ブック規格に従った記録を行い、次にこのディスクを6
50nmのレーザー光を用いて再生したときの変調度(I
11Mod)とジッター(Jitter)を測定した。こ
の結果を表10に示す。
【0320】
【表10】
【0321】表10から明らかなように、本発明のアゾ
コバルト錯体系色素は色素単独で光記録層に用いた場合
のみならず、オレンジブック規格の780nmとの両立を
目的として長波長側に吸収を有する色素、例えばフタロ
シアニン系色素との混合系で用い、650nm付近の短波
長側において再生を行った場合においても変調度やジッ
ターが悪化することなく、優れた特性を発現した。一
方、比較色素として用いられているようなタイプのアゾ
金属錯体系色素は再生信号のジッターが大きくなり、ま
た変調度も本発明の色素と比較して小さいことがわかっ
た。また、本発明の色素は、比較色素として用いられて
いるタイプのアゾ金属錯体系色素よりも少ない混合量で
所望の特性が得られていることがわかった。
【0322】さらに、上記のように780nmで記録した
各ディスクサンプルに対し、780nmのレーザー光を用
いて再生したときの変調度とジッターを測定すると、本
発明の色素を用いたディスクサンプルNo. 25では変調
度が67%、ジッターが20ns、ディスクサンプルNo.
26では変調度が71%、ジッターが19nsであった。
これに対し、比較色素を用いたサンプルNo. 27では変
調度が62%、ジッターが42nsであり、本発明の色素
を用いる方が特性に優れることがわかった。
【0323】また、650nmのレーザー光を用い、各デ
ィスクサンプルに対し、記録(線速1.2m/秒)を行
い、650nmのレーザー光で再生を行ったところ、本発
明のディスクサンプルNo. 25、No. 26では良好な再
生を行うことができ、変調度、ジッターの点も良好であ
った。これに対し、比較のディスクサンプルNo. 27で
は本発明のものに比べ特性が劣った。
【0324】さらに650nmのレーザー光を用いて記録
した各ディスクサンプルに対し、780nmのレーザー光
で再生を行ったところ、本発明のディスクサンプルNo.
25、No. 26では良好な再生を行うことができ、変調
度、ジッターの点も良好であった。これに対し、比較の
ディスクサンプルNo. 27では本発明のものに比べ特性
が劣った。
【0325】このように本発明のディスクサンプルNo.
25、No. 26は2波長対応型の光記録ディスクとして
良好に使用できることがわかる。
【0326】実施例15 実施例14のディスクサンプルNo. 25、No. 26、N
o. 27の各々において、フタロシアニン系色素A−5
2のかわりにフタロシアニン系色素A−3を使用し、塗
布溶媒として1−メトキシ−2−ブタノールを用いた2
wt% 溶液を調製して色素膜を形成し記録層とするほかは
同様にしてディスクサンプルNo. 28、No. 29、No.
30を作製した。
【0327】ディスクサンプルNo. 28〜No. 30につ
いて実施例14と同様にして特性を調べたところ、ディ
スクサンプルNo. 28、No. 29については各々ディス
クサンプルNo. 25、No. 26と同等以上の良好な特性
が得られた。一方、ディスクサンプルNo. 30はディス
クサンプルNo. 27と同程度の特性しか示さなかった。
【0328】このなかで780nmで記録を行い、650
nmで再生したときの変調度(I11Mod)とジッター(J
itter)の測定結果を表11に示す。
【0329】
【表11】
【0330】実施例16 実施例14のディスクサンプルNo. 25、No. 26、N
o. 27の各々において、フタロシアニン系色素A−5
2のかわりにフタロシアニン系色素A−1を使用し、塗
布溶媒として1−メトキシ−2−ブタノールを用いた2
wt% 溶液を調製して色素膜を形成し記録層とするほかは
同様にしてディスクサンプルNo. 31、No. 32、No.
33を作製した。
【0331】ディスクサンプルNo. 31〜33について
実施例14と同様に特性を調べたところ、ディスクサン
プルNo. 31、No. 32については各々ディスクサンプ
ルNo. 25、No. 26と同等以上の良好な特性が得られ
た。一方、ディスクサンプルNo. 33はディスクサンプ
ルNo. 27と同程度の特性しか示さなかった。
【0332】このなかで780nmで記録を行い、650
nmで再生したときの変調度(I11Mod)とジッター(J
itter)の測定結果を表12に示す。
【0333】
【表12】
【0334】以上のように、色素No. II−2に代表され
る本発明のアゾ金属錯体系色素は、比較色素に代表され
る公知の光記録層用アゾ金属錯体系色素と比較して、そ
の記録感度とジッター特性において優れている。また、
他の光吸収色素と混合して用いた場合においても、再生
信号のジッターが悪化しない等の予想外の特性を有して
いることがわかった。
【0335】実施例17 実施例12のディスクサンプルNo.21、実施例13の
ディスクサンプルNo.23、実施例14のディスクサン
プルNo. 25、No. 26、実施例15のディスクサンプ
ルNo. 28、No. 29、実施例16のディスクサンプル
No. 31、No.32の各々において、色素No. II−2の
かわりに、例示した色素No. II−3、No. II−4、No.
II−6、No. II−13、No. II−44、No. II−63、
No. II−71を各々用い、あるいは色素No. II−2も含
めこれらの色素の2種以上を併用して、そのほかは同様
にして種々のディスクサンプルを作製して実施例12〜
16と同様にして特性を調べたところ、その構成に応
じ、ディスクサンプルNo. 21、No.23、No. 25、N
o. 26、No. 28、No. 29、No. 31、No. 32と
同等の特性を示した。また、色素No. 2以外の上記の本
発明の色素について、実施例11と同様に耐光性を調べ
たところ、色素No. II−2と同様の良好な耐光性を示す
ことがわかった。
【0336】実施例18 実施例13と同じポリカーボネート樹脂基板上に、同様
にして色素No. II−2の2wt% 2,2,3,3,−テト
ラフルオロプロパノール溶液を用いて50nm厚の記録層
下層を形成し、さらに色素A−3の1.5wt% エチルシ
クロヘキサン溶液を用いて100nm厚の記録層上層を形
成した。その後は実施例13と同様の操作でディスクサ
ンプルを作製した。
【0337】このようにして作製したディスクサンプル
No. 34に対し、実施例14と同様にして特性を調べた
ところ、実施例14〜16の本発明のサンプルと同様の
良好な結果を示した。このなかで780nmで記録を行い
650nmで再生したときの変調度(I11Mod)とジッ
ター(Jitter)は以下のようであった。 I11Mod=68% Jitter=22ns
【0338】比較例 実施例13のディスクサンプルNo. 23において、色素
No. II−2のかわりに、下記構造の化合物a、b、c、
dを各々用い、そのほかは同様にして3種のディスクサ
ンプルを作製し、650nmでの記録前のディスクの反射
率を調べたところ、いずれも反射率は低いものであっ
た。
【0339】
【化60】
【0340】この結果より、ピロール環、ピラゾール
環、1,2,4−トリアゾール環または1,2,3−ト
リアゾール環を有する本発明と類似の化合物a〜dは、
いずれも光記録層用色素として適さないことがわかっ
た。
【0341】実施例19 実施例5〜9、実施例14〜18において用いた本発明
のアゾ金属錯体系色素のλmaxを実施例1、10と同様
にして求めた。また650nmにおけるnおよびkを前述
と同様にして求めた。これらの結果を表13に示す。
【0342】
【表13】
【0343】
【発明の効果】本発明によれば、溶解性と耐光性に優れ
たアゾ金属錯体系色素を光吸収色素として用い、記録感
度が高くジッターが小さい等の特性に優れた光記録媒体
が得られる。また、長波長側に吸収を有する色素と混合
して2波長対応型の光記録層用色素として用いた場合に
おいては、公知のアゾ金属錯体系色素とは異なり、混合
によりジッターが大きく悪化する欠点がない等の予想外
の特性を発現し、2波長対応型という特徴的な光記録媒
体を優れた特性にて実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明においてフタロシアニン系色素の薄膜の
吸収スペクトルの半値幅の求め方を説明するグラフであ
る。
【図2】本発明の光記録ディスクの一例を示す部分断面
図である。
【図3】本発明の光ディスクの他の一例を示す部分断面
図である。
【図4】本発明に用いるアゾ金属錯体系色素の透過スペ
クトルおよび反射スペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明に用いるアゾ金属錯体系色素の透過スペ
クトルおよび反射スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
1,6 光記録ディスク 2,7 基板 23,78 グルーブ 3,8 記録層 4,9 反射層 5,10 保護膜 11 接着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新海 正博 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (72)発明者 北川 寿美子 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィーディーケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−156408(JP,A) 特開 平8−310121(JP,A) 特開 平4−89289(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41M 5/26 G11B 7/24 516 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) MARPAT(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I)で示されるアゾ化合物と金
    属化合物とを反応させて得られたアゾ金属錯体系色素を
    含有する記録層を有する光記録媒体。 【化1】 [式(I)において、Q1 は2個の炭素原子とともに芳
    香環を形成するのに必要な原子群を表す。Zは活性水素
    を有する基を表す。Aは炭素原子またはヘテロ原子を表
    す。Q2 は2個の炭素原子およびAとともに芳香環を形
    成するのに必要な原子群を表し、Q3 は炭素原子、窒素
    原子およびAとともに芳香環を形成するのに必要な原子
    群を表し、Q2 で完成される芳香環と、Q3 で完成され
    る芳香環とは縮合環を形成している。]
  2. 【請求項2】 前記アゾ金属錯体系色素の中心金属がC
    o、Mn、Ti、V、Ni、Cu、Zn、Mo、W、R
    u、Fe、Pd、PtまたはAlであり、 前記アゾ化合物が下記式(Ia)で表される請求項1の光
    記録媒体。 【化2】 [式(Ia)において、R1 、R2 、R3 およびR4 は各
    々水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アルキル基、ア
    ルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アリール
    基、カルバモイル基またはアルコキシカルボニル基を表
    し、これらは同一でも異なるものであってもよい。R1
    とR2 、R2 とR3 およびR3 とR4 は各々互いに結合
    して縮合環を形成してもよい。Zは−OH、−SH、−
    NH2 、−COOH、−CONH2 、−SO2 NH2
    たは−SO3 Hを表す。R5 、R6 、R7 、R8 、R9
    およびR10は各々水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、
    シアノ基またはアルキル基を表し、これらは同一でも異
    なるものであってもよい。]
  3. 【請求項3】 下記式(II)で示されるアゾ化合物と金
    属化合物とを反応させて得られたアゾ金属錯体系色素を
    含有する記録層を有する光記録媒体。 式(II) Q1 −N=N−Q2 [式(II)において、Q1 は8−キノリル基を表し、Q
    2 は2−イミダゾリル基を表し、2−イミダゾリル基の
    1位の窒素は活性水素を有する。]
  4. 【請求項4】 前記アゾ金属錯体系色素の中心金属がC
    o、Mn、Ni、Cu、Zn、Mo、FeまたはPdで
    ある請求項3の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記記録層がさらに前記アゾ金属錯体系
    色素とは光学特性の異なる光吸収色素を含有する請求項
    1〜4のいずれかの光記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記光学特性の異なる光吸収色素がフタ
    ロシアニン系色素である請求項5の光記録媒体。
JP02101697A 1996-01-23 1997-01-20 光記録媒体 Expired - Fee Related JP3411771B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02101697A JP3411771B2 (ja) 1996-01-23 1997-01-20 光記録媒体

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8-28646 1996-01-23
JP2864696 1996-01-23
JP20434096 1996-07-15
JP8-204340 1996-07-15
JP02101697A JP3411771B2 (ja) 1996-01-23 1997-01-20 光記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1081069A JPH1081069A (ja) 1998-03-31
JP3411771B2 true JP3411771B2 (ja) 2003-06-03

Family

ID=27283261

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02101697A Expired - Fee Related JP3411771B2 (ja) 1996-01-23 1997-01-20 光記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3411771B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3352972B2 (ja) * 1999-03-30 2002-12-03 エスエムケイ株式会社 タッチパネル入力装置
JP4510500B2 (ja) * 2004-04-15 2010-07-21 株式会社リコー アゾ置換インドール化合物及びアゾ金属キレート化合物、並びに光記録媒体
JP6283311B2 (ja) * 2011-10-11 2018-02-21 ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 新規なフルオロ化合物の調製、調製方法、およびそれから製造された組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1081069A (ja) 1998-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3364231B2 (ja) 光記録媒体
JP2791944B2 (ja) ホルマザン金属錯体系色素を用いた光記録媒体および光安定化方法
JP3438587B2 (ja) 光学記録媒体
JPH09323478A (ja) 光記録媒体
JP3540327B2 (ja) 光安定化シアニン色素
JP3441410B2 (ja) 光記録媒体
JP3724531B2 (ja) 光記録媒体
US7507524B2 (en) Azo-metal chelate dye and optical recording medium
JP4519795B2 (ja) 光学記録媒体及び金属錯体化合物
JP3411771B2 (ja) 光記録媒体
JPH08295811A (ja) 金属キレート化合物およびそれを用いた光学的記録媒体
JP3328169B2 (ja) 金属錯体系色素を用いた光記録媒体
EP1719635A1 (en) Optical recording material and optical recording medium
TWI288160B (en) Azo metal chelate dyestuff and optical recording medium
JP2005271587A (ja) 光記録材料及び光学記録媒体
JP4523366B2 (ja) アゾ金属キレート色素及び光学記録媒体
JP3307520B2 (ja) 光記録媒体
AU2006210275A1 (en) Cationic antipyrine based azo metal complex dyes for use in optical layers for optical data recording
JPH1158977A (ja) 光記録媒体
JPH0966671A (ja) 光記録媒体
WO2007037194A1 (ja) 光記録材料及び光記録媒体
JP2005305839A (ja) 光記録材料及び光記録媒体
JPH0999642A (ja) 光記録媒体
JP2007112066A (ja) 光記録材料及び光記録媒体
JPH10273484A (ja) 金属キレートアゾメチン化合物及びこれを用いた光学的記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030304

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees