JP2001078749A - 生体触媒を用いた反応液の精製方法 - Google Patents

生体触媒を用いた反応液の精製方法

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JP2001078749A JP25415199A JP25415199A JP2001078749A JP 2001078749 A JP2001078749 A JP 2001078749A JP 25415199 A JP25415199 A JP 25415199A JP 25415199 A JP25415199 A JP 25415199A JP 2001078749 A JP2001078749 A JP 2001078749A
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biocatalyst
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Masaru Sudo
勝 須藤
Katsuo Ishii
勝男 石井
Kozo Murao
耕三 村尾
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体触媒を用いた反応液の精製方法の提供。 【解決手段】 生体触媒反応は高純度の生成物が得られ
るが、一方、生体触媒由来の微細固形物、または蛋白質
が混入し、純度の低下を引き起こしたり、精製工程でト
ラブルの原因となる場合がある。それらの問題点は、得
られた反応液に気体を泡状に吹き込むことにより形成さ
れる泡沫層を除去することにより、解決することができ
高純度の精製物を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体触媒を用いて
化合物を製造する方法における反応液の精製方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】菌体、固定化菌体または固定化酵素等の
生体触媒を用いる反応は、プロセスが簡略化できるこ
と、あるいは高純度の生成物が得られること、また反応
条件が穏和であるため反応性の高い化合物も安定して製
造できる等の利点があり、近年多くの化合物の製造に用
いられている。
【0003】しかし、高純度の反応液が得られるにも拘
らず、反応液に生体触媒由来の微細な固形物および蛋白
質が混入してしまう欠点を有している。これらの不純物
は純度を下げるばかりでなく、例えば、その後の濃縮や
蒸留工程で反応液が発泡し濃縮が困難になるなど、トラ
ブルの原因となる。
【0004】この様な反応液から微細な固形物を除去す
る方法としては、例えば、中空糸膜で濾過する方法、凝
集剤を添加して沈殿させる方法及び遠心分離する方法が
知られている。(特公平05−49273号等)
【0005】また、この様な反応液から蛋白質を除去す
る方法としては、例えばポリアクリロニトリル繊維を用
いる方法(特公昭61−43092号)、活性炭に吸着
させる方法(特公平02−09022号)及び加熱して
凝析させ浮上分離する方法(特開昭53−89265
号)が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】反応液から微細な固形
物を除去する方法として、例えば、反応液を中空糸膜で
濾過する方法は、反応液中の固形物が多い場合、中空糸
膜が短時間に閉塞し、頻繁に中空糸膜の再生処理を行っ
たり、濾過面積を大きくする必要があり、運転コストや
設備投資が大きくなってしまう。反応液に凝集剤を添加
する方法は、生体触媒を用いて高純度に反応させたにも
かかわらず、結果的に反応液中に不純物を添加すること
になり好ましくない。また、遠心分離する方法は、10
μm以下の微細固形物を除去するには、遠心効果の高い
分離機を要し、多大なエネルギーを必要とする。更に、
これらの方法では、固形物の除去はできるが、溶解して
いる蛋白質を除去することは出来ない。
【0007】反応液から蛋白質を除去する方法として、
例えば、ポリアクリロニトリル繊維を用いる方法は、蛋
白質の吸着容量が少ない上に再生が困難である。活性炭
を用いる方法は、活性炭の再生処理が難しく、また活性
炭の持つ反応性により目的化合物が変成する場合があ
る。また、加熱して凝析、浮上分離する方法は、反応液
を加熱することになり反応性の高い化合物を製造するに
は好ましくない。更に、これらの方法では、溶解してい
る蛋白質は除去できるが、微細な固形物を除去すること
は出来ない。
【0008】
【課題を解決するための手段】生体触媒を用いて化合物
を製造する場合、前述したように、高純度の反応液が得
られること、また、反応性の高い化合物の製造も安定し
て実施できる等の利点がある。しかしながら、高純度の
反応液が得られるにもかかわらず、生体触媒由来の不純
物が混入してしまう欠点もある。
【0009】従って、本発明者らは、その欠点を克服す
べく、反応液に如何なるものも添加することなく、また
反応液の温度やpH等の条件をできるだけ変化させるこ
となく反応液を精製する方法について鋭意検討した。
【0010】その結果、驚くべきことに、反応時に生体
触媒より漏出し反応液中に混入した蛋白質が起泡成分と
なり、反応液中に気体を泡状に吹き込み、形成される泡
沫層の一部または全部を除去するだけで、反応液中の微
細固形物および蛋白質を除去できることを見出し本発明
に至った。
【0011】すなわち、本発明は、如何なるものも反応
液に添加せず、更に反応生成物に影響なく処理すること
が可能であり、例えば、アクリルアミドのような高純度
な製品が求められ、且つ、反応性の高い化合物の製造に
おける反応液の精製方法として非常に好ましい。
【0012】また、本発明は、反応液中の微細固形物除
去と反応液に溶解している蛋白質除去が同時に達成され
るため、特に生体触媒を使用して得られる反応液の精製
方法として好ましい。
【0013】すなわち、本発明の要旨は、生体触媒反応
で得られた反応液を精製するにあたり、気体を泡状に吹
き込み、形成される泡沫層の一部または全部を除去する
ことにある。
【0014】尚、本発明でいう泡沫層とは、反応液に気
体を泡状に導入した場合に、上部に形成される、気体を
主構成要素とする層であって、互いに薄い液体膜で隔て
られている気泡が集まっている層のことをいう。また、
その下部に形成される、液体を主構成要素とし、多数の
気泡が液体中に浮かんだ層のことを分散気泡層と呼ぶこ
ととする。
【0015】
【発明実施の形態】本発明でいう生体触媒とは、菌体若
しくはその処理物または目的とする反応を触媒する酵素
を含有する菌体もしくは酵素自体を包括法、架橋法、担
体結合法等で固定化したものである。固定化担体として
は、ガラスビーズ、シリカゲル、ポリウレタン、ポリア
クリルアミド、ポリビニルアルコール、カラギーナン、
寒天、ゼラチン等がある。
【0016】菌体を固定化する方法の内、包括固定化法
は菌体濃度の高い固定化菌体が得られるため、工業的に
多く用いられている。例えば、包括固定化用モノマーと
して、アクリルアミドおよび/またはアクリルアミドの
誘導体を用いられることが多い(特公昭58−3507
8号、特開平7−203964号参照)。
【0017】この様な重合性モノマーを用いて菌体を包
括固定化する方法としては、回分式、連続式いずれでも
良いが、重合熱によって触媒能が失活しないよう熱を除
去することが好ましい。連続的に固定化する場合には、
菌体液、モノマー液、重合開始剤等をラインミキシング
してベルトコンベア上で重合させる方法が考えられる。
【0018】また、反応速度の速い反応に生体触媒を用
いる場合は、固定化菌体は粒状に裁断するのが望まし
い。裁断方法は、例えば、カッターナイフで切断、ホモ
ジナイズ、金網に押しつける、あるいはこれらの組み合
わせが考えられる。また、固定化時に、液滴状態下で固
定化することにより粒状化することも考えられる。
【0019】生体触媒を用いて化合物を製造する反応装
置としては、固定層、移動層、流動層、撹拌槽等何れで
もよく、また回分反応でも連続反応でも良い。反応様式
は、反応基質、反応液、目的化合物等の物性、生産規模
等により選ばれ、反応装置が設計される。例えば、連続
反応で製造する場合においては、2つ以上の撹拌槽を連
続的に繋げた多槽連続撹拌槽が好ましい。また、連続撹
拌槽を用いた場合には、反応槽内もしくは反応槽外に触
媒分離フィルターを設置して槽内触媒濃度や触媒移動速
度を制御することが好ましい。
【0020】反応液に吹き込む気体としては、目的化合
物に対して不活性なものであれば如何なるものでも構わ
ないが、費用、運転の容易さ等の観点から、空気や窒素
が好ましい。
【0021】反応液に気体を吹き込む方法としては、連
続式でも回分式でも構わない。0.1〜10kg−f/
cm程度に圧縮された気体を、反応液が入った槽(以
下気泡槽と呼ぶ)の下方部よりノズルや分散板等を通し
て連続的に供給すればよい。これらノズルや分散板等は
如何なる形態のものでも良いが、発生する気泡径が小さ
くなるのが好ましい。反応液の物性、特に起泡性により
異なるが、具体的にはガラスの焼結体、ウレタンフォー
ム、多孔質テフロン膜、多孔質ポリエチレン等が好まし
い。
【0022】この際、反応液中に生体触媒由来から漏出
した蛋白質の界面活性能により、細かな気泡を生じ、形
成された泡沫層を除去することにより、反応液中の蛋白
質や固形物が効果的に達成される。しかしながら、反応
液中に含まれる蛋白質が少ない場合、または、除去効率
をより向上させるために、アルキルベンゼンスルホン酸
などの界面活性剤、アルブミンなどの蛋白質を添加する
ことも可能である。
【0023】連続的に処理する場合には、塔(カラム)
型、槽(トラフ)型何れでも良い。その際、反応液の供
給口は、気泡発生部より上あるいは上流側であることが
好ましい。
【0024】反応液に吹き込む気体の量は、連続的に処
理する場合には、気泡槽の大きさや反応液の起泡性にも
よるが、反応液流量の1から100倍量が好ましく、特
に10から60倍量がより好ましい。
【0025】泡沫層の除去方法としては、気泡槽に吹き
込む気体に同伴させて押し出す方法や気泡槽の気相部は
開放系にして、液部と泡沫層の界面を調節し泡沫層の一
部をオーバーフローさせる方法、泡沫層を吸引する方
法、すくい取る方法、あるいは掻き取る方法も可能であ
る。
【0026】この様な気泡槽を直列、または並列に複数
繋いで処理することも可能である。例えば、直列に繋ぐ
場合、除去をより進めるために処理液を再度、気泡処理
することも可能である。また、目的化合物の損失を軽減
するために除去した泡沫層を水等で希釈するか、そのま
ま再度、気泡処理し、その処理液を反応槽に戻すなどし
て回収することも可能である。
【0027】また、反応液中の微細固形物をより完全に
除去するために、気泡による処理の後に中空糸膜を用い
た濾過等を組み合わせることも可能である。
【0028】
【実施例】実施例1 (生体触媒の調製)ニトリルヒドラターゼ活性を有する
ロドコッカス ロドクロス(Rhodococcus
rhodochrous)J1(FERM BP−14
78)を、グルコース2%、尿素1%、ペプトン0.5
%、酵母エキス0.3%、塩化コバルト0.05%(何
れも重量%)を含む培地(pH7.0)により30゜C
で好気的に培養した。これを50mMリン酸緩衝液(p
H7.0)にて洗浄して菌体懸濁液(乾燥菌体15重量
%)を調製した。
【0029】(菌体による3−シアノピリジンからニコ
チンアミドへの反応)2Lのガラスビーカーに15%の
3−シアノピリジン水溶液(50mMリン酸バッファ
ー、pH7.0)を1L入れ、これに調製した菌体懸濁
液を10mL添加して30゜Cの水槽中で緩やかに撹拌
し反応を開始した。24時間後、17%のニコチンアミ
ド水溶液を得た。この反応液の濁度(630nmでの吸
光度)は4.7であった。
【0030】(反応液の精製)得られたニコチンアミド
水溶液500mLを、内径50mmの1Lメスシリンダ
ーに入れ、シリコンチューブの先に直径20mmのエア
ーストン(日成産業(株)製)を付け底部に沈め、15
0mL/minで空気を導入した。約1時間後、泡沫層
上部に、菌体が濃縮されていたため、泡沫層を除去し、
分散気泡層部は回収した。この気泡処理反応液の濁度
(630nmでの吸光度)は1.0であった。
【0031】(濾過)得られた気泡処理反応液30mL
を、0.45μmの孔径を持つメンブランフィルター
(アドバンテック(株)製セルロース混合エステルタイ
プ47mmφ)にて濾過し、清浄なニコチンアミド水溶
液を得た。
【0032】比較例1 実施例1で得られた気泡処理していないニコチンアミド
水溶液30mLを、実施例1と同様に濾過しようと試み
たところ、フィルターが直ぐに閉塞し10mLも濾過す
ることができなかった。
【0033】実施例2 (生体触媒の調製)実施例1と同様にしてニトリルヒド
ラターゼ活性を有するロドコッカス ロドクロス(Rh
odococcus rhodochrous)J1
(FERMBP−1478)の菌体懸濁液(乾燥菌体1
5重量%)を得た。
【0034】一方、アクリルアミド、メチレンビスアク
リルアミド及び2ージメチルアミノプロピルメタクリル
アミドが、それぞれ30,1,4重量%となるようにモ
ノマー混合水溶液を調製した。続いて、菌体懸濁液、モ
ノマー水溶液、10重量%のN,N,N',N'−テトラ
メチルエチレンジアミン水溶液、10重量%の過硫酸ア
ンモニウム水溶液を、それぞれ、5、2、0.1、0.
1L/hrで順々にラインミキシングし、その流出液を
300×300×30mmのバットに次々と受け、その
バット上で重合させた。
【0035】前述の方法で調製したシート状の菌体固定
化物を、ナイフで0.5mm角程度に細かく裁断し固定
化菌体粒子を得た。この固定化菌体粒子を、0.1%の
アクリル酸ナトリウム水溶液中(pH7.0に調整)で
流動化させつつ通液洗浄し、固定化菌体触媒を得た。
【0036】(固定化菌体によるアクリロニトリルから
アクリルアミドへの反応)内容積5Lのジャケット付き
セパラブルフラスコに、0.2g/Lのアクリル酸ナト
リウム水溶液3510g、固定化菌体触媒3gを添加
し、pH7.0、温度10゜Cに制御しながら、2枚の
平板の撹拌翼(翼長120mm、翼幅20mm)にて8
0rpmで攪拌した。これに、アクリロニトリル濃度が
常に2重量%となるように、連続的にフィードし、反応
生成物であるアクリルアミドの濃度が40%となるまで
蓄積反応を行った。反応終了後、目開き300μmの金
網を用いて、固定化菌体を分離し反応液を得た。
【0037】(反応液の精製)得られたアクリルアミド
水溶液1Lを、底部に10μmの孔径を持つ高密度ポリ
エチレン製空気分散板(セントラルフィルタ(株)製U
HE−810)と液抜き出しノズルを取り付けた内径5
0mmのジャケット付きガラスカラムに張り込んだ。空
気分散板より20L/hrで空気を導入したところ、約
400mmの分散気泡層と約300mmの泡沫層を形成
した。この分散気泡層部に、1L/hrの速度で残りの
アクリルアミド反応液4Lを連続的に添加しつつ、分散
気泡層の層高が400mmを保つように、気泡処理後の
反応液を連続的に回収した。また全ての反応液を添加
し、30分後、泡沫層を掻き取った。さらにカラム内に
残っている反応液も回収し、先に連続的に回収した反応
液と併せて気泡処理反応液とした。
【0038】(濃縮)得られた気泡処理反応液4Lを、
内容積10Lのセパラブルフラスコに入れ、45mmH
g下で、且つ、アクリルアミドの重合を防止するため1
50mL/min量の空気導入しながら温浴中にてアク
リルアミド濃度が50%となるまで濃縮した。その結
果、約3.2Lの透明なアクリルアミド50%水溶液を
得た。
【0039】比較例2 実施例2同様に40%アクリルアミド反応液を得た。但
し反応液の精製は行わずに、実施例2と同様にして50
%までの濃縮を行おうとしていたところ、反応液中に含
まれていた固定化菌体由来の蛋白質が原因と思われる
が、反応液が激しく発泡し50%までの濃縮操作の継続
が困難となった。また、釜残水溶液は、生体触媒由来の
微細固形物が混入し、濁りが見られた。
【0040】実施例3 (生体触媒の調製)ニトリルヒドラターゼ活性を有する
シュードモナス クロロラフィス(Pseudomon
as chlororaphis)B23(FERM
BP−187)を、ショ糖1.0%、メタクリロニトリ
ル0.5%、ペプトン0.3%、リン酸2水素1カリウ
ム0.1%、リン酸1水素2カリウム0.1%、硫酸マ
グネシウム0.1%、酵母エキス0.3%、硫酸第二鉄
0.001%(何れも重量%)を含む培地(pH7.
5)により25゜Cで好気的に培養した。これを50m
Mホウ酸緩衝液(pH7.0)にて洗浄して菌体懸濁液
(乾燥菌体12重量%)を得た。
【0041】次に、上記方法で得た菌体懸濁液に3%ア
ルギン酸ナトリウム(関東化学(株)製)水溶液に等量
加え、充分に混合した。この混合液を、内径2mmのシ
リコンチューブから1M塩化カルシウム水溶液中に滴下
し、粒子径約3mmの固定化菌体粒子を得た。この固定
化菌体粒子を、50mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.
0に調整)にて洗浄した。
【0042】(固定化菌体によるアジポニトリルから5
−シアノバレロアミドへの反応)300mLのガラスビ
ーカーに50mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を
100mL、前述の固定化菌体2gを添加し、5゜Cの
水槽中でマグネチックスターラーで撹拌しながら、60
mLのアジポニトリルを加えて反応を開始した。このと
き、アジポニトリルの水への溶解度が低いため、2相反
応となったが固定化菌体は水相中に保持されていた。約
10時間後、アジポニトリル相がなくなったので、目開
き300μmの金網にて固定化菌体を分離し反応液を得
た。
【0043】(反応液の精製)得られた5−シアノバレ
ロアミド水溶液50mLを、100mLメスシリンダー
に入れ、木下式ガラスボールフィルター(G−3)を用
いて底部より20mL/minで空気を導入し、30分
間処理した。その結果、濁りのない清浄な5−シアノバ
レロアミド水溶液を得ることができた。
【0044】比較例3 実施例3で得られた気泡処理をしていない反応液を観察
したところ、液中に固定化菌体から漏洩した菌体もしく
は破砕物が混入しているためか濁りが見られた。
【0045】実施例4 (生体触媒の調製)エチレンジアミン−N,N’−ジコ
ハク酸分解活性をコードする遺伝子DNAを導入した形
質転換体エキリヒア コリ(Esherichia c
oli)JM109/pEDS020(FERM P−
15961)を、LB培地(アンピシリン50mg/
L、、イソプロピル−β−チオガラクトシド1mMを含
有)で、37℃、30時間、好気的に振とう培養した。
得られた培養液を100mM1,4−ジアミノブタンを
含む50mMほう酸緩衝液(pH7.75)で洗浄し菌
体懸濁液を得た。次に、菌体懸濁液にグルタルアルデヒ
ドを氷中で25mMになるまで添加した。6N NaO
HでpHを7.75に調整した後、撹拌しながら2時間
放置した。これを更に、エチレンジアミンが50mMと
なるように添加し、6N NaOHでpH9.0とした
後、2時間放置した。次に水素化ほう素ナトリウムを2
5mMとなるように添加して撹拌しながら更に2時間放
置した。その後、6N NaOHにてpH9.2に調整
した後、水浴中で45℃、4時間、加熱処理を行い、フ
マラーゼ活性を除去した菌体懸濁液を調製した。
【0046】一方、N,N−ジメチルアクリルアミド、
メチレンビスアクリルアミド及び2−ジメチルアミノプ
ロピルメタクリルアミドが、それぞれ62,4,6重量
%となるようにモノマー混合水溶液を調製した。
【0047】続いて、菌体懸濁液、モノマー水溶液、1
0重量%N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジア
ミン水溶液、10重量%過硫酸アンモニウム水溶液を、
各々5、0.6、0.1、0.1L/hrで順々にライ
ンミキシングした後、その流出液を幅250mmのベル
トコンベア上で重合させた。0.1%アクリル酸ナトリ
ウム水溶液の代わりに50mMほう酸緩衝液(pH7.
75)を用いて洗浄した以外は実施例2と同様にして固
定化菌体を得た。
【0048】(固定化菌体によるS,S−エチレンジア
ミン−N,N’−ジコハク酸の反応)1Lのガラス製ビ
ーカーに水820gを加え、マグネチックスターラーで
激しく攪拌しながらフマル酸120g、エチレンジアミ
ン30g、水酸化マグネシウム30gを順々に混合し1
kgの透明な液を得た。これに上記固定化菌体を100
g加え反応を開始した。反応は、pHを25%NaOH
水溶液にて8.5に調整、撹拌しながら40℃で行っ
た。1日後、反応液から目開き300μmの金網を用い
て、固定化菌体を除去し、約15%S,S−エチレンジ
アミン−N,N’−ジコハク酸水溶液を得た。
【0049】(反応液の精製)得られたS,S−エチレ
ンジアミン−N,N’−ジコハク酸水溶液50mLを、
100mLメスシリンダーに入れ、木下式ガラスボール
フィルター(G−3)を用いて底部より20mL/mi
nで空気を導入し、30分後、泡沫層を除去し気泡処理
反応液を得た。
【0050】(晶析)得られた気泡処理反応液を、酸析
したところ、純白のS,S−エチレンジアミン−N,
N’−ジコハク酸の結晶が得られた。
【0051】比較例4 実施例4で得られた約15%のS,S−エチレンジアミ
ン−N,N’−ジコハク酸水溶液を気泡処理せずに晶析
を行ったところ、固定化菌体由来の破砕物の混入した
S,S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸の結
晶が得られた。
【0052】
【発明の効果】菌体、固定化菌体または固定化酵素等の
生体触媒を用いた化合物の製造は、反応プロセスが簡略
化できること、反応生成物の純度が高いこと、および反
応条件が穏和であるため反応性に富んだものも安定に製
造でき、極めて有効であるが、反応液中に生体触媒の破
砕物や蛋白質等が混入する欠点を有していた。本発明を
用いれば、効果的に反応液中の生体触媒の破砕物および
蛋白質を除去でき、高純度の製品を得ることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4B029 AA02 BB02 BB03 BB16 CC05 4B033 NA12 NA25 NB36 NB48 NB62 NC06 ND02 ND03 ND08 4B065 AA45X BC41 BC47 BD32 BD44 CA16 CA60

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中、基質に生体触媒を作用させ
    て得られる水溶性化合物を含む反応液を精製する方法に
    おいて、該反応液に気体を泡状に吹き込むことにより形
    成される泡沫層の0.1〜100%を除去することを特
    徴とする生体触媒を用いた反応液の精製方法。
  2. 【請求項2】 生体触媒が固定化菌体または固定化酵素
    である請求項1記載の生体触媒を用いた反応液の精製方
    法。
  3. 【請求項3】 除去成分が生体触媒由来の微細な固形物
    である請求項1または2記載の生体触媒を用いた反応液
    の精製方法。
  4. 【請求項4】 水溶性化合物を含む反応液がアクリルア
    ミド、ニコチンアミド、5−シアノバレロアミド、S,
    S−エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸水溶液で
    ある請求項1または2記載の生体触媒を用いた反応液の
    精製方法。
  5. 【請求項5】 水溶性化合物を含む反応液がアクリルア
    ミド水溶液である請求項2記載の生体触媒を用いた反応
    液の精製方法。
JP25415199A 1999-09-08 1999-09-08 生体触媒を用いた反応液の精製方法 Pending JP2001078749A (ja)

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