JP2001072740A - エステル系エラストマー - Google Patents

エステル系エラストマー

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JP2001072740A
JP2001072740A JP24771999A JP24771999A JP2001072740A JP 2001072740 A JP2001072740 A JP 2001072740A JP 24771999 A JP24771999 A JP 24771999A JP 24771999 A JP24771999 A JP 24771999A JP 2001072740 A JP2001072740 A JP 2001072740A
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Japan
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polymer
polyester
ester
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elastomer
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JP24771999A
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English (en)
Inventor
Akihiko Fujiwara
昭彦 藤原
Akihiro Niki
章博 仁木
Hirotake Matsumoto
弘丈 松本
Yasuhiro Nakatani
康弘 中谷
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハードセグメント成分とソフトセグメント成
分のブロック性が高く、高温での耐へたり性が良好で、
特に柔軟性に優れたエステル系エラストマー。 【解決手段】 一般式(1) で表される短鎖ポリエステル
成分と、Tgが20℃以下でMnが500 〜5000であって分子の
両末端に水酸基を有するポリマー(D) を構成成分として
一般式(2) で表される長鎖ポリエステル成分との繰り返
しから構成され、前記短鎖ポリエステル成分と長鎖ポリ
エステル成分が特定割合のポリエステル系共重合体(A)1
00重量部と、Tgが20℃以下でMnが500 〜5000で分子の両
末端に水酸基含有のポリマー(B) 50〜500 重量部のブロ
ック共重合体であり、共重合体(A)及びポリマー(B) は
一般式(3) 等で表されるウレタン結合成分(C) 10〜100
重量部で結合され、共重合体(A) の溶解度パラメータδ
Aとポリマー(B) の溶解度パラメータδBとの差の絶対
値|δA−δB|が3.5 以下の上記エラストマー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温での機械的特
性、特に、高温における耐へたり性を維持し、柔軟性に
優れたエステル系エラストマーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、環境問題への意識の高まりから、
様々な産業分野においてリサイクル可能な素材への代替
の動きが加速されている。ゴム素材としては熱可塑性エ
ラストマー(TPE)が古くから注目されており、自動
車、各種工業等の分野において、様々な用途で用いられ
るようになった。
【0003】しかしながら、現状では、機械的強度、耐
熱性、耐磨耗性、耐屈曲疲労性等の諸物性に優れなが
ら、適度な柔軟性を有するような熱可塑性エラストマー
は得られていない。例えば、ポリエステル系エラストマ
ー(TPEE)は機械的強度、耐熱性、耐磨耗性、耐屈
曲疲労性に優れるが、柔軟な材料を得ることは難しく、
柔軟なTPEEを得るために物理的架橋を担うハードセ
グメント成分の割合を減らすといった方法が提案されて
いるが(例えば特開平2−88632号公報等)、ハー
ドセグメント成分のブロック性が低下し、その結果、融
点が低下し高温での機械的特性が低下するといった問題
点があり、柔軟性と機械的強度を満たすものは得られて
いなかった。
【0004】また、TPEEには大変形時・高温時の圧
縮永久ひずみが大きく耐クリープ性に欠けるといった問
題もあり、その重合度を上げることによって耐クリープ
性を改良するといった技術が、例えば特開昭52−12
1699号公報に提案されているが、耐クリープ性の改
善は充分でなく、さらに、この方法では柔軟性との両立
は不可能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
熱可塑性エラストマーの問題点に鑑み、ハードセグメン
ト成分とソフトセグメント成分のブロック性が高く、高
温における耐へたり性が良好で、特に柔軟性に優れたエ
ステル系エラストマーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明は、一般式(1)で表される短
鎖ポリエステル成分と、ガラス転移温度が20℃以下で
数平均分子量が500〜5000であって分子の両末端
に水酸基を有するポリマー(D)を構成成分として一般
式(2)で表される長鎖ポリエステル成分との繰り返し
から構成され、前記短鎖ポリエステル成分が50〜95
重量%、前記長鎖ポリエステル成分が50〜5重量%で
あるポリエステル系共重合体(A)と、ガラス転移温度
が20℃以下で数平均分子量が500〜5000であっ
て分子の両末端に水酸基を有するポリマー(B)とのブ
ロック共重合体であって、ポリエステル系共重合体
(A)及びポリマー(B)は一般式(3)又は一般式
(4)で表されるウレタン結合成分(C)によって結合
されており、ポリエステル系共重合体(A)100重量
部に対して、ポリマー(B)50〜500重量部及びウ
レタン結合成分(C)10〜100重量部から構成さ
れ、ポリエステル系共重合体(A)の溶解度パラメータ
δAとポリマー(B)の溶解度パラメータδBとの差の
絶対値|δA−δB|が3.5以下であるエステル系エ
ラストマーを提供する。
【0007】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0008】請求項2記載の発明は、ポリマー(B)及
びポリマー(D)が、異なっていても良い、一般式
(5)で表されるポリエーテルである請求項1記載のエ
ステル系エラストマーを提供する。
【化13】 請求項3記載の発明は、ポリマー(B)及びポリマー
(D)が、異なっていても良い、一般式(6)で表され
る脂肪族ポリエステルである請求項1記載のエステル系
エラストマーを提供する。
【化14】
【0009】請求項4記載の発明は、ポリマー(B)及
びポリマー(D)が、異なっていても良い、一般式
(7)で表されるポリラクトンである請求項1記載のエ
ステル系エラストマーを提供する。
【化15】 請求項5記載の発明は、ポリマー(B)及びポリマー
(D)が、異なっていても良い、一般式(8)で表され
るポリカーボネートである請求項1記載のエステル系エ
ラストマーを提供する。
【化16】
【0010】以下、本発明を更に詳細に説明する。本発
明で使用されるポリエステル系共重合体(A)は一般式
(1)で表される短鎖ポリエステル成分、及び、ガラス
転移温度が20℃以下で、数平均分子量が500〜50
00であって分子の両末端に水酸基を有するポリマー
(D)を構成成分とし、一般式(2)で表される長鎖ポ
リエステル成分の繰り返しから構成される。このような
共重合体(A)としては、例えば、芳香族ジカルボン酸
又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量ジオール及
びガラス転移温度が20℃以下で数平均分子量が500
〜5000であって分子の両末端に水酸基を有するポリ
マー(D)を反応させることによって得られる。上記芳
香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン
酸、パラフェニレンジカルボン酸等を挙げることがで
き、そのエステル形成性誘導体としては、テレフタル酸
ジメチル、イソフタル酸ジメチル、オルソフタル酸ジメ
チル、ナフタレンジカルボン酸ジメチル、パラフェニレ
ンジカルボン酸ジメチル等を挙げることができ、これら
は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよ
い。
【0011】上記芳香族ジカルボン酸もしくはそのエス
テル形成性誘導体の中でも、テレフタル酸、ナフタレン
ジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、ナフタレンジカ
ルボン酸ジメチルが好ましい。このような芳香族ジカル
ボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体を用いること
によって、高温における耐へたり性が大幅に向上する。
上記ポリエステル系共重合体(A)を得るための低分子
量ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,
2 −プロパンジオール、1,3 −プロパンジオール、1,3
−ブタンジオール、1,4 ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、1,5 −ペンタンジオール、1,6 −ヘキサン
ジオール等が挙げられ、これらは単独で用いられてもよ
く、2種以上が併用されてもよい。これらのジオールの
中でも、好ましくは、エチレングリコール、1,4 ブタン
ジオールが用いられ、これらのジオールを用いることに
よって、機械的特性が向上する。
【0012】上記ポリエステル系共重合体(A)を得る
ための、ガラス転移温度が20℃以下で、数平均分子量
が500〜5000であって分子の両末端に水酸基を有
するポリマー(D)としては、ポリエーテル、脂肪族ポ
リエステル、ポリラクトン、ポリカーボネート、ポリオ
レフィン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアク
リレート、ポリシロキサン等が挙げられる。これらのう
ちでも、その反応性が優れていることから、特にポリエ
ーテル、脂肪族ポリエステル、ポリラクトン、ポリカー
ボネートが好ましく用いられる。
【0013】上記ポリマー(D)は、数平均分子量が5
00〜5,000のものが用いられ、好ましくは500
〜2,000のものが用いられる。数平均分子量が50
0未満では、得られるポリエステル系共重合体(A)の
ブロック性が低下して融点が低くなり、その結果、本発
明により得られるエステル系エラストマーの高温での機
械的強度が低くなる。また、数平均分子量が5,000
を越えると、ポリマー(B)との相溶性が低くなるため
エステル系エラストマーの重合度が上がらず、十分な強
度のエラストマーが得られない。
【0014】上記ポリマー(D)は、ガラス転移温度が
20℃以下のものが用いられる。ガラス転移温度が20
℃を超えると、ポリマー(B)との相溶性の低下により
エステル系エラストマーの重合度があがらず十分な強度
のエラストマーが得られない。好ましくはガラス転移温
度が0℃以下、さらに好ましくは−20℃以下のものが
用いられる。
【0015】上記ポリマー(D)を得るための上記ポリ
エーテルとしては、例えば、ポリエチレングリコール、
ポリ1,3 −プロピレングリコール、ポリ1,2 プロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキ
サメチレングリコール等が挙げられる。中でも、機械的
特性、耐候性に優れる点でポリテトラメチレングリコー
ルが好ましく、市販品としては、BASF社製「PTH
F」や三菱化学社製「PTMG」等が例示される。
【0016】上記ポリエーテルは、数平均分子量が50
0〜5000程度のものが用いられる。500よりも小
さい場合、得られるポリエステル系共重合体(A)のブ
ロック性が低下し融点が低くなり、エステル系エラスト
マーの高温での機械的強度が低くなる。5000よりも
大きい場合、ポリマー(B)との相溶性が低くなるため
エステル系エラストマーの重合度が上がらず、十分な強
度のエラストマーが得られない。好ましくは、数平均分
子量500〜2000のものが用いられる。
【0017】上記ポリマー(D)を得るための脂肪族ポ
リエステルとしては、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオ
ールとを重縮合することによって得られる。上記脂肪族
ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、
コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられるが、
生成するポリマーから得られる成形体の物性を損なわな
い範囲でその他の各種ジカルボン酸を併用することがで
きる。上記ジオールとしては、例えば、エチレングリコ
ール、1,2 一プロパンジオール、1,3 一プロパンジオー
ル、1,3 一ブタンジオール、1,4 一ブタンジオール、ネ
オペンチルグリコール、1,5 一ペンタンジオール、1,6
一ヘキサンジオール等が挙げられが、生成するポリマー
から得られる成形体の物性を損なわない範囲でその他の
各種ジオールを併用することができる。
【0018】脂肪族ポリエステルの市販品としては、日
本ポリウレタン社製「ニツポラン4009」、「ニツポ
ラン4070」等が例示される。上記脂肪族ポリエステ
ルは、数平均分子量が500〜5000程度のものが用
いられる。500よりも小さい場合、得られるポリエス
テル系共重合体(A)のブロック性が低下し融点が低く
なり、エステル系エラストマーの高温での機械的強度が
低くなる。5000よりも大きい場合、ポリマー(B)
との相溶性が低くなるためエステル系エラストマーの重
合度が上がらず、十分な強度のエラストマーが得られな
い。好ましくは、数平均分子量500〜2000のもの
が用いられる。
【0019】上記ポリマー(D)を得るためのポリラク
トンはラクトンを開環重合することによって得られる。
上記ラクトンとしては炭素数が3から10のものが好ま
しく用いられ、特にカプロラクトンが好ましく用いられ
る。ポリラクトンとして、市販品としては、ユニオンカ
ーバイド社製「TONEポリオール」等が例示される。
上記ポリラクトンは、数平均分子量が500〜5000
程度のものが用いられる。500よりも小さい場合、得
られるポリエステル系共重合体(A)のブロック性が低
下し融点が低くなり、エステル系エラストマーの高温で
の機械的強度が低くなる。5000よりも大きい場合、
ポリマー(B)との相溶性が低くなるためエステル系エ
ラストマーの重合度が上がらず、十分な強度のエラスト
マーが得られない。好ましくは、数平均分子量500〜
2000のものが用いられる。
【0020】上記ポリマー(D)を得るためのポリカー
ボネートは脂肪族カーボネートを開環重合することによ
って得られる。上記脂肪族カーボネートとしては炭素数
が4から10のものが好ましく用いられ、特に、プロピ
レンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキ
サメチレンカーボネートが好ましい。ポリカーボネート
の市販品としては、日本ポリウレタン社製「ニツポラン
981」等が例示される。上記ポリカーボネートは、数
平均分子量が500〜5000程度のものが用いられ
る。500よりも小さい場合、得られるポリエステル系
共重合体(A)のブロック性が低下し融点が低くなり、
エステル系エラストマーの高温での機械的強度が低くな
る。5000よりも大きい場合、ポリマー(B)との相
溶性が低くなるためエステル系エラストマーの重合度が
上がらず、十分な強度のエラストマーが得られない。好
ましくは、数平均分子量500〜2000のものが用い
られる。
【0021】本発明のポリエステル系共重合体(A)は
公知の方法によって重合することが可能である。例え
ば、テレフタル酸ジメチルエステルをポリマー(D)及
び過剰の低分子量ジオールとともに、触媒の存在下にお
いて200℃で加熱してエステル交換反応を行う。これ
に引き続き、減圧下240℃において重縮合反応を行う
ことにより、上記共重合体(A)は得られる。本発明の
ポリエステル系共重合体において、短鎖ポリエステル成
分が占める割合は50〜95重量%である。50重量%
よりも少ない場合、ポリエステル系共重合体(A)の融
点が低く、エステル系エラストマーの高温での機械強度
に悪影響を与える。95重量%よりも多い場合、ポリマ
ー(B)との相溶性が低いためエステル系エラストマー
の重合度が上がらず、十分な強度のエラストマーが得ら
れない。好ましくは、70〜90重量%のものが用いら
れる。
【0022】上記ポリエステル系共重合体(A)におい
て、その固有粘度は0.05〜0.5 が好ましい。O.05より小
さい場合、エステル系エラストマーのブロック性が低く
なり高温での機械的強度に悪影響を与える。0.5 よりも
大きい場合ポリマー(B)との相溶性が低いためエステ
ル系エラストマーの重合度が上がらず、十分な強度のエ
ラストマーが得られない。より好ましい固有粘度は、O.
15〜O.3 である。なお、本発明におけるポリエステル系
共重合体(A)の固有粘度は、オルトクロルフェノール
を溶媒として25℃で測定したものである。
【0023】本発明において、ガラス転移温度が20℃
以下で、数平均分子量が500〜5000であって分子
の両末端に水酸基を有するポリマー(B)としては、ポ
リエーテル、脂肪族ポリエステル、ポリラクトン、ポリ
カーボネート、ポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリ
イソプレン、ポリアクリレート、ポリシロキサン等が挙
げられる。これらのうちでも、その反応性が優れている
ことから、特にポリエーテル、脂肪族ポリエステル、ポ
リラクトン、ポリカーボネートが好ましく用いられる。
【0024】上記ポリマー(B)は、数平均分子量が5
00〜5,000のものが用いられる。数平均分子量が
500未満では、得られるポリエステル系共重合体
(A)の柔軟性が失われるので好ましくない。数平均分
子量が5,000を越えると、ポリエステル系共重合体
(A)との相溶性が低くなるためエステル系エラストマ
ーの重合度が上がらず、十分な強度のエラストマーが得
られない。好ましくは数平均分子量が500〜3,00
0のものが用いられ、さらに好ましくは、500〜2,
000のものが用いられる。
【0025】上記ポリマー(B)は、ガラス転移温度が
20℃以下のものが用いられる。ガラス転移温度が20
℃を超えると、ポリエステル系共重合体(A)との相溶
性の低下によりエステル系エラストマーの重合度があが
らず十分な強度のエラストマーが得られない。好ましく
はガラス転移温度が0℃以下、さらに好ましくは−20
℃以下のものが用いられる。
【0026】上記ポリマー(B)として好適なポリエー
テルの例としては、例えば、ポリエチレングリコール、
ポリ1,3 −プロピレングリコール、ポリ1,2 プロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキ
サメチレングリコール等が挙げられる。中でも、機械的
特性、耐候性に優れる点でポリテトラメチレングリコー
ルが好ましく、市販品としては、BASF社製「PTH
F」や三菱化学社製「PTMG」等が例示される。
【0027】上記ポリエーテルは、数平均分子量が50
0〜5000のものが用いられる。500よりも小さい
場合、得られるポリエステル系共重合体(A)の柔軟性
が失われるので好ましくない。5000よりも大きい場
合、ポリエステル系共重合体(A)との相溶性の低下に
よりエステル系エラストマーの重合度が上がらず、十分
な強度のエラストマーが得られない。好ましくは数平均
分子量が500〜3,000のものが用いられ、さらに
好ましくは、500〜2,000のものが用いられる。
【0028】ポリマー(B)及びポリマー(D)は、請
求項2記載の如く、上記一般式(5)で表されるポリエ
ーテル(互いに異なっていても良い)であることが好ま
しい。
【0029】上記ポリマー(B)として好適な脂肪族ポ
リエステルは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールと
を重縮合することによって得られる。上記脂肪族ジカル
ボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられ、生成する
ポリマーから得られる成形体の物性を損なわない範囲で
その他の各種ジカルボン酸を併用することができる。上
記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,
2 一プロパンジオール、1,3 一プロパンジオール、1,3
一ブタンジオール、1,4 一ブタンジオール、ネオペンチ
ルグリコール、1,5 一ペンタンジオール、1,6 一ヘキサ
ンジオール等が挙げられ、生成するポリマーから得られ
る成形体の物性を損なわない範囲でその他の各種ジオー
ルを併用することができる。
【0030】脂肪族ポリエステルの市販品としては、日
本ポリウレタン社製「ニツポラン4009」、「ニツポ
ラン4070」等が例示される。上記脂肪族ポリエステ
ルは、数平均分子量が500〜5000程度のものが用
いられる。500よりも小さい場合、得られるポリエス
テル系共重合体(A)のの柔軟性が失われるので好まし
くない。5000よりも大きい場合、ポリエステル系共
重合体(A)との相溶性が低くなるためエステル系エラ
ストマーの重合度が上がらず、十分な強度のエラストマ
ーが得られない。好ましくは数平均分子量が500〜
3,000のものが用いられ、さらに好ましくは、50
0〜2,000のものが用いられる。
【0031】ポリマー(B)及びポリマー(D)は、請
求項3記載の如く、上記一般式(6)で表される脂肪族
ポリエステル(互いに異なっていても良い)であること
が好ましい。
【0032】上記ポリマー(B)として好適なポリラク
トンは、ラクトンを開環重合することによって得られ
る。上記ラクトンとしては炭素数が3から10のものが
好ましく用いられ、特にカプロラクトンが好ましく用い
られる。ポリラクトンの市販品としては、ユニオンカー
バイド社製「TONEポリオール」等が例示される。上
記ポリラクトンは、数平均分子量が500〜5000の
ものが用いられる。500よりも小さい場合、得られる
ポリエステル系共重合体(A)のブロック性の柔軟性が
失われるので好ましくない。5000よりも大きい場
合、ポリエステル系共重合体(A)との相溶性が低くな
るためエステル系エラストマーの重合度が上がらず、十
分な強度のエラストマーが得られない。好ましくは数平
均分子量が500〜3,000のものが用いられ、さら
に好ましくは、500〜2,000のものが用いられ
る。
【0033】ポリマー(B)及びポリマー(D)は、請
求項4記載の如く、上記一般式(7)で表されるポリラ
クトン(互いに異なっていても良い)であることが好ま
しい。
【0034】上記ポリマー(B)として好適なポリカー
ボネートは脂肪族カーボネートを開環重合することによ
って得られる。上記脂肪族カーボネートとしては炭素数
が4から10のものが好ましく用いられ、特に、プロピ
レンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキ
サメチレンカーボネートが好ましい。ポリカーボネート
の市販品としては、日本ポリウレタン社製「ニツポラン
981」等が例示される。上記ポリカーボネートは、数
平均分子量が500〜5000のものが用いられる。5
00よりも小さい場合、得られるポリエステル系共重合
体(A)のブロック性の柔軟性が失われるので好ましく
ない。5000よりも大きい場合、ポリエステル系共重
合体(A)との相溶性が低くなるためエステル系エラス
トマーの重合度が上がらず、十分な強度のエラストマー
が得られない。好ましくは数平均分子量が500〜3,
000のものが用いられ、さらに好ましくは、500〜
2,000のものが用いられる。
【0035】ポリマー(B)及びポリマー(D)は、請
求項4記載の如く、上記一般式(8)で表されるポリカ
ーボネート(互いに異なっていても良い)であることが
好ましい。
【0036】本発明のエステル系エラストマーは、上記
ポリエステル系共重合体(A)とポリマー(B)とのブ
ロック共重合体であって、ポリエステル系共重合体
(A)及びポリマー(B)は一般式(3)又は一般式
(4)で表されるウレタン結合成分(C)によって結合
されている。
【0037】上記ウレタン結合成分(C)によって結合
されたエステル系エラストマーを得るためには、ポリエ
ステル共重合体(A)及びポリマー(B)と一般式
(9)で表されるジイソシアネート化合物を反応させれ
ばよい。このとき、ジイソシアネート化合物と反応する
末端官能基が両方とも水酸基の場合は一般式(3)のウ
レタン結合成分(C)、一方が水酸基でもう一方がカル
ボキシル基の場合は一般式(4)のウレタン結合成分
(C)によって結合される。 なお、ポリエステル系共
重合体(A)の末端官能基がカルボキシル基の場合は一
般式(10)のウレタン結合成分によって結合される部
分も少量含まれると考えられる。
【0038】
【化17】
【0039】
【化18】
【0040】
【化19】
【0041】
【化20】 上記ジイソシアネート化合物は、同一分子内に2個のイ
ソシアネート基を有する化合物であればその構造は特に
限定されず、生成したポリエステル系エラストマーの流
動性を保つ範囲で3個以上のイソシアネート基を有する
化合物を用いてもよい。上記ジイソシアネートとして
は、例えば、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシア
ネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソ
シアネート;1,2 −エチレンジイソシアネート、1,3 −
プロピレンジイソシアネート、1,4 −ブタンジイソシア
ネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4
−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3 −シクロヘキ
サンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、
水素添加した4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート
等の脂肪族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0042】本発明のエステル系エラストマーは、ポリ
エステル系共重合体(A)100重量部に対してポリマ
ー(B)50〜500重量部及びウレタン結合成分
(C)10〜100重量部から構成される。その理由
は、上記ポリマー(B)の量が、50重量部よりも少な
い場合はエステル系エラストマーの十分な柔軟性が得ら
れず、500重量部よりも多い場合は十分な機械強度が
得られないからであり、好ましくは100重量部〜30
0重量部から構成される。また、上記ウレタン結合成分
(C)の量が、10重量部よりも少ない場合はエステル
系エラストマーが高分子量体にならず機械強度が低いも
のとなってしまい、100重量部よりも多い場合はエス
テル系エラストマーが柔軟性の劣ったものとなるからで
あり、好ましくは30〜70重量部から構成される。
【0043】本発明のエステル系エラストマーにおいて
は、ポリエステル系共重合体(A)の溶解度パラメータ
δAとポリマー(B)の溶解度パラメータδBとの差の
絶対値|δA−δB|が3.5以下であることを必要と
する。本発明において、溶解度パラメータとは、一般に
溶媒の溶解度パラメーターを表す量(ΔE/V)1/2
高分子について援用した値である。ΔEは溶媒のモル蒸
発エネルギーであるが、高分子の場合は分子鎖を溶媒分
子とほぼ同体積の部分鎖(セグメント)に分断して蒸発
可能な単位を想定し、このセグメント1モル当りの蒸発
エネルギーを用いて算出する。Vは体積を表し、ここで
は、上記セグメントの体積を用いる。
【0044】上記溶解度パラメーターは、溶媒と高分
子、さらには高分子同士の相溶性を表す目安となるもの
で、本発明においては、上記|δA−δB|が3.5以
下となるようにポリエステル系共重合体(A)とポリマ
ー(B)とを選択することによって、相溶性の良い両者
の反応を速やかに進行させ、柔軟で機械的強度の高いエ
ステル系エラストマーを得ることを可能としている。
【0045】高分子の溶解度パラメーターは、実験的に
は高分子化学会編「高分子データブック」(1989年
発行、培風館)592頁に記載の方法によって求めるこ
とが出来る。この方法では既知の異なる溶解度パラメー
タδSを持つ一連の溶媒に高分子を浸漬して、その高分
子を溶解させる溶媒のδSの範囲から、高分子の溶解度
パラメータを算出する。
【0046】また、計算により溶解度パラメータを求め
る方法として、例えば、Fedorの方法等が知られて
いる。Fedorの方法は、日本接着協会誌、第22
巻,10号,564頁,(1986年) に記載されてい
る。この方法では高分子の溶解度パラメータδPは、 δP=(ΣΔei /ΣΔvi )1/2 によって求めることが出来る。ΣΔei , ΣΔvi は、
高分子の繰り返し単位に関して、高分子の各構成成分毎
に上記日本接着協会誌の564頁に記載の表の値をあて
はめ、それらと表の基礎値の総和から求めることが出来
る。
【0047】例として、ポリテトラメチレングリコール
(−C48−O−)に関してδPを算出すると次のよう
になる。 ΣΔei =1180×4+800=5520 ΣΔvi =16.1×4+3.8=68.2 δP=(5520/68.2)1/2 =8.996 尚、日本接着協会誌記載のによると、メチレン基と酸素
のΔei 及びΔvi はそれぞれ、メチレン基(Δei
1180、Δvi =16.1)、酸素(Δei=80
0、Δvi =3.8)である。
【0048】また、δPが10である高分子αが80重
量部と、δPが12である高分子βが20重量部とから
構成される共重合体のδPは各高分子の重量分率を考慮
して以下のように算出される。
【0049】 δP=10×0.8+12×0.2=10.4
【0050】本発明において、上記|δA−δB|が
3.5より大きい場合は、ポリエステル系共重合体
(A)とポリマー(B)との相溶性が低下し、両者の反
応が困難となり、強度の充分なエステル系エラストマー
を得ることができない。溶解度パラメータの差の絶対値
の好ましい範囲は|δA−δ|が3以下であり、さらに
好ましくは2.5以下である。この場合、ポリエステル
系共重合体(A)とポリマー(B)との相溶性が非常に
良いため、ポリエステル系共重合体(A)とポリマー
(B)との反応が速やかに進行し、強度の充分なエステ
ル系エラストマーを得ることができる。
【0051】本発明におけるポリエステル系エラストマ
ーは、例えば、ポリエステル系共重合体(A)、ポリマ
ー(B)及びジイソシアネート化合物を溶融混合して反
応させることにより得られる。溶融混合の好ましい方法
としては、例えば押出機内で溶融混合する方法が挙げら
れ、好ましい混合温度は、180〜260℃である。1
80℃未満であると、ポリエステル系共重合体(A)が
溶融しないため反応が困難であり、高分子量のポリマー
としてのエステル系エラストマーが得られ難く、260
℃を超えると、ポリエステル系共重合体(A)及びジイ
ソシアネートが分解し、強度の充分なエステル系エラス
トマーが得られ難い。溶融混合温度の更に好ましい範囲
は200〜240℃である。
【0052】上記溶融混合時に触媒を用いても良い。そ
の触媒としては、ジアシル第一錫、テトラアシル第二
錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジラウレート、
ジメチル錫マレート、錫ジオクタノエート、錫テトラア
セテート、トリエチレンアミン、ジエチレンアミン、ト
リエチルアミン、ナフテン酸金属塩、オクチル酸金属
塩、トリイソブチルアルミニウム、テトラブチルチタネ
ート、酢酸カルシウム、二酸化ゲルマニウム、三酸化ア
ンチモン等が好ましい。上記触媒は二種類以上併用して
もよい。
【0053】本発明のエステル系エラストマーには、安
定剤が使用されてよく、例えば、1,3,5−トリメチル−
2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−
4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキ
シ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサ
スピロ[5,5]ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸
化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α
−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニ
ルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチ
ル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル 3,3'−
チオジプロピオネート、ペンタエリスチリルテトラキス
(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3'
−チオジプロピオネート等の熱安定剤等が挙げられる。
【0054】本発明のエステル系エラストマーには、製
造時又は製造後に実用性を損なわない範囲で、繊維、無
機充填剤、無機物、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止
剤、高級脂肪酸塩等の添加剤を添加してもよい。
【0055】上記繊維としては、例えば、ガラス繊維、
炭素繊維、ボロン繊維、炭化けい素繊維、アルミナ繊
維、アモルファス繊維、シリコン・チタン・炭素系繊維
等の無機繊維;アラミド繊維等の有機繊維等が挙げられ
る。上記無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウ
ム、酸化チタン、マイカ、タルク等が挙げられ、上記無
機物としては、例えば、硫酸バリウム、アルミナ、酸化
珪素等が挙げられる。上記難燃剤としては、例えば、ヘ
キサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプ
ロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエ
ーテル等が挙げられる。上記紫外線吸収剤としては、例
えば、P−tert−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒド
ロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−
4−メトキシ−2'−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−
トリヒドロキシブチロフェノン等が挙げられる。
【0056】上記帯電防止剤としては、例えば、N,N−
ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリ
ルスルホネート、アルキルスルファネート等が挙げられ
る。上記高級脂肪酸塩としては、例えば、ステアリン酸
ナトリウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナト
リウム等が挙げられる。
【0057】本発明のエステル系エラストマー組成物
は、上記以外の熱可塑性樹脂やゴム成分を混合してその
性質を改質して使用してもよい。かかる熱可塑性樹脂と
しては、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィ
ン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリ
カーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等が挙げ
られる。又、ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、ス
チレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレン、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、エ
チレン−プロピレン共重合体(EPM、EPDM)、ポリクロロ
プレン、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ウ
レタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチ
レン系熱可塑性エラストマー、塩化ビニル樹脂系熱可塑
性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、ア
ミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0058】本発明のエステル系エラストマーを用いて
得られた成形品は、例えば、自動車部品、電気及び電子
部品、工業部品、スポーツ用品、メディカル用品等に好
適に用いられる。自動車部品としては、例えば、等速ジ
ョイントブーツ、ラックアンドオピニオヨンブーツ等の
ブーツ類;ボールジョイントシール;安全ベルト部品;
バンパーフェイシア;エンブレム;モール等が挙げられ
る。上記電気及び電子部品としては、例えば、電線被覆
材、ギア類、ラバースイッチ、メンブレンスイッチ、タ
クトスイッチ、O−リング等が挙げられる。上記工業部
品としては、例えば、油圧ホース、コイルチューブ、シ
ール材、パッキン、Vベルト、ロール、防振制振材料、
ショックアブソーバー、カップリング、ダイヤフラム等
が挙げられる。
【0059】上記スポーツ用品としては、例えば、靴
底、球技用ボール等が挙げられる。上記メディカル用品
としては、例えば、メディカルチューブ、輸血パック、
カテーテル等が挙げられる。上記用途の他、弾性繊維、
弾性シート、複合シート、ホットメルト接着剤、他の樹
脂とのアロイ用素材等としても好適に用いることができ
る。
【0060】(作用)本発明のエステル系エラストマー
は以下の理由から、柔軟性及び高温における機械特性に
優れている。すなわち、通常、異なったポリマー成分は
相溶性が不十分なため、お互いに反応させることは困難
であるが、本発明においては、ハードセグメントである
一般式(1)で表される短鎖ポリエステル成分に、ソフ
トセグメント成分である一般式(2)で表される長鎖ポ
リエステル成分を共重合させて得られたポリエステル系
共重合体(A)と、ソフトセグメント成分である上記ポ
リマー(B)とを用い、更に、ポリエステル系共重合体
(A)の溶解度パラメータδAとポリマー(B)の溶解
度パラメータδBとの差の絶対値|δA−δB|を3.
5以下にすることによって、ポリエステル系共重合体
(A)とソフトセグメント成分である上記ポリマー
(B)との相溶性を向上させ、互いの反応が極めて向上
する構成とした。
【0061】この結果、ハードセグメント成分とソフト
セグメント成分のブロック性が高いエステル系エラスト
マーが生成した。本発明で使用されるエステル系エラス
トマーにおいては、短鎖ポリエステル成分によって形成
される結晶が架橋点を構成することによりエラストマー
としての特性を示すこととなる。本発明のエステル系エ
ラストマーは分子中に、短鎖ポリエステル成分、即ちハ
ードセグメント成分の割合の高い部分と、長鎖ポリエス
テル成分、即ちソフトセグメント成分の割合の高い部分
とから構成されているので、従来の同程度の柔軟性を示
すエステル系エラストマーよりも短鎖ポリエステル成分
が結晶化しやすく、その結果、強固な架橋点が形成さ
れ、高温での優れた機械特性を発現し得るのである。
【0062】更に、ソフトセグメント成分の割合の高い
部分が存在することにより架橋点間分子量が増大し、そ
の結果、柔軟性に富んだエラストマー材料としての特性
を発現し得るのである。
【0063】
【実施例】以下に実施例を掲げて、本発明を更に詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるも
のではない。各種物性は以下の方法を用い測定した。 (1)デュロメータ硬さ(HDD) JIS K 7215に準拠し、23℃で測定した。
【0064】(2)圧縮永久ひずみ JIS K 6301に準拠して、120℃において圧
縮ひずみ量25%で測定した。 (3)引張特性 JIS K 6301に準拠し、室温(23℃)におけ
る引張強度、引張伸びを評価した。
【0065】(実施例1)テレフタル酸ジメチル100
重量部、1,4−ブタンジオール102重量部、数平均分
子量が約1000のポリテトラメチレングリコール(B
ASF製PTHF1000、以下bと略記する)12重
量部、触媒としてテトラブチルチタネート0.3量部、
安定剤として1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン0.
3重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト0.3重量部を加え、反応系を窒素下、200℃
で3時間保ち、エステル交換反応を行った。
【0066】エステル交換反応の進行は留出するメタノ
ール分量を計量することにより確認した。エステル交換
反応進行後、20分間で240℃まで昇温し、減圧操作
を行った。重合系は20分間で2mmHg以下の減圧度
に達した。この状態で20分間、重縮合反応を行った結
果、白色のポリエステル系共重合体(a1)が120重量部
得られた。
【0067】このポリエステル系共重合体(a1)100重
量部、上記ポリテトラメチレングリコール(b) 110重
量部、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート42重
量部を、二軸押出機(ベルストルフ社製 L/D=25)を
用いて、200℃で混練(滞留時間200秒)し、エス
テル系エラストマーのペレットを得た。得られたペレッ
トを用いてプレス成形(プレス温度230℃)により、
2mm厚シートを作製し、種々の物性を測定した。
【0068】得られたエステル系エラストマーの物性を
表1に、また、ポリエステル系共重合体Aである(a1)の
溶解度パラメータδAと、ポリマー(B)である上記ポ
リテトラメチレングリコール(b)の溶解度パラメータ
δBとを、表2に示した。
【0069】(実施例2)1,4−ブタンジオール102
重量部の代りにエチレングリコール70重量部を用い、
上記ポリテトラメチレングリコール(b)15重量部を
用いた以外は、実施例1と同様にしてポリエステル系共
重合体(a2)を得た。
【0070】このポリエステル系共重合体(a2)100重
量部、上記ポリテトラメチレングリコール(b) 100重
量部、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート40重
量部を、二軸押出機(ベルストルフ社製 L/D=25)を
用いて、230℃で混練(滞留時間200秒)し、エス
テル系エラストマーのペレットを得た。得られたペレッ
トを用いてプレス成形(プレス温度230℃)により2
mm厚シートを作製し、実施例1と同様に種々の物性を
測定した。得られたエステル系エラストマーの物性を表
1に、また、ポリエステル系共重合体Aである(a2)の溶
解度パラメータδAと、ポリマー(B)である上記ポリ
テトラメチレングリコール(b)の溶解度パラメータδ
Bとを、表2に示した。
【0071】(実施例3)ナフタレンジカルボン酸ジメ
チル100重量部、1,4−ブタンジオール81重量部、
数平均分子量が約650のポリテトラメチレングリコー
ル(三菱化学社製PTMG650)12重量部、触媒と
してテトラブチルチタネート0.3量部、安定剤として
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン0.3重量部、ト
リス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト0.3
重量部を加え、反応系を窒素下、210℃で3時間保
ち、エステル交換反応を行った。
【0072】エステル交換反応の進行は留出するメタノ
ール分量を計量することにより確認した。エステル交換
反応進行後、20分間で250℃まで昇温し、減圧操作
を行った。重合系は20分間で2mmHg以下の減圧度
に達した。この状態で20分間、重縮合反応を行った結
果、ポリエステル系共重合体(a3)が130重量部得られ
た。
【0073】このポリエステル系共重合体(a3)100重
量部、実施例1で用いたポリテトラメチレングリコール
(b) 110重量部、4,4'−ジフェニルメタンジイソシア
ネート42重量部を、二軸押出機(ベルストルフ社製
L/D=25mm)を用いて、220℃で混練(滞留時間20
0秒)し、エステル系エラストマーのペレットを得た。
得られたペレットを用いてプレス成形(プレス温度23
0℃)により、2mm厚シートを作製し、実施例1と同
様に種々の物性を測定した。
【0074】得られたエステル系エラストマーの物性を
表1に、また、ポリエステル系共重合体Aである(a3)の
溶解度パラメータδAと、ポリマー(B)である上記ポ
リテトラメチレングリコール(b)の溶解度パラメータ
δBとを、表2に示した。
【0075】(比較例1)ナフタレンジカルボン酸ジメ
チル100重量部、1,4−ブタンジオール102重量
部、数平均分子量が約1000のポリテトラメチレング
リコール(b)170重量部、触媒としてテトラブチル
チタネート0.3量部、安定剤として1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シベンジル)ベンゼン0.3重量部、トリス(2,4−ジ−t
−ブチルフェニル)ホスファイト0.3重量部を加え、
反応系を窒素下、200℃で3時間保ち、エステル交換
反応を行った。
【0076】エステル交換反応の進行は留出するメタノ
ール分量を計量することにより確認した。エステル交換
反応進行後、20分間で240℃まで昇温し、減圧操作
を行った。重合系は20分間で2mmHg以下の減圧度
に達した。この状態で6時間、重縮合反応を行った結
果、エステル系エラストマー283重量部を得た。得ら
れたエステル系エラストマーを用いてプレス成形(プレ
ス温度230℃)により、2mm厚シートを作製し、実
施例1と同様に種々の物性を測定した。
【0077】(比較例2)ナフタレンジカルボン酸ジメ
チル100重量部、1,4−ブタンジオール81重量部、
触媒としてテトラブチルチタネート0.3量部、安定剤
として1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン0.3重量
部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト
0.3重量部を加え、反応系を窒素下、210℃で3時
間保ち、エステル交換反応を行った。
【0078】エステル交換反応の進行は留出するメタノ
ール分量を計量することにより確認した。エステル交換
反応進行後、20分間で250℃まで昇温し、減圧操作
を行った。重合系は20分間で2mmHg以下の減圧度
に達した。この状態で60分、重縮合反応を行った結
果、ポリエステル130重量部を得た。このポリエステ
ル100重量部、実施例1で用いたポリテトラメチレン
グリコール(b) 110重量部、4,4'−ジフェニルメタン
ジイソシアネート43重量部を、二軸押出機(ベルスト
ルフ社製 L/D=25mm)を用いて、220℃で混練(滞
留時間200秒)したが、エステル系エラストマーは得
られなかった。得られたポリエステル系共重合体Aの溶
解度パラメータδAと、ポリマー(B)である上記ポリ
テトラメチレングリコール(b)の溶解度パラメータδ
Bとを、表2に示した。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【発明の効果】本発明のエステル系エラストマーは、一
般式(1)で表される短鎖ポリエステル成分からなるハ
ードセグメント成分と、一般式(2)で表されるソフト
セグメント成分とのブロック性が高いため、柔軟性と高
温での耐へたり性を両立しており、従来の同程度の柔軟
性を示すエステル系エラストマーよりも、強固な架橋点
が形成されているためか、高温での優れた機械特性を発
現し得るエステル系エラストマーである。本発明のエス
テル系エラストマーを用いて得られた成形品は、例え
ば、自動車部品、電気及び電子部品、工業部品、スポー
ツ用品、メディカル用品等に好適に用いられ、特に、自
動車分野のブーツ類やバンパーモール、工業分野のチュ
ーブ類の用途に好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中谷 康弘 大阪府三島郡島本町百山2−1 積水化学 工業株式会社内 Fターム(参考) 4J034 BA03 BA07 DA01 DB03 DF02 DF03 DF11 DF12 DF15 DF16 DF21 DF22 DG02 DG03 DG04 DG06 DH01 DH04 DH05 DM01 DP12 DP18 DP19 HA01 HA07 HC03 HC12 HC13 HC22 HC46 HC61 HC64 HC67 HC71 JA01 KA01 KB02 KC07 KC13 KC16 KC17 KC18 KC23 KD02 KD04 KD05 KD08 KD12 QA05 QA07 RA02 RA03 RA08 RA12 RA14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表される短鎖ポリエステ
    ル成分と、ガラス転移温度が20℃以下で数平均分子量
    が500〜5000である分子の両末端に水酸基を有す
    るポリマー(D)を構成成分として一般式(2)で表さ
    れる長鎖ポリエステル成分との繰り返しから構成され、
    前記短鎖ポリエステル成分が50〜95重量%、前記長
    鎖ポリエステル成分が50〜5重量%であるポリエステ
    ル系共重合体(A)と、ガラス転移温度が20℃以下で
    数平均分子量が500〜5000であって分子の両末端
    に水酸基を有するポリマー(B)とのブロック共重合体
    であって、ポリエステル系共重合体(A)及びポリマー
    (B)は一般式(3)又は一般式(4)で表されるウレ
    タン結合成分(C)によって結合されており、ポリエス
    テル系共重合体(A)100重量部に対して、ポリマー
    (B)50〜500重量部及びウレタン結合成分(C)
    10〜100重量部から構成され、ポリエステル系共重
    合体(A)の溶解度パラメータδAとポリマー(B)の
    溶解度パラメータδBとの差の絶対値|δA−δB|が
    3.5以下であることを特徴とするエステル系エラスト
    マー。 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】
  2. 【請求項2】 ポリマー(B)及びポリマー(D)が、
    異なっていても良い一般式(5)で表されるポリエーテ
    ルであることを特徴とする請求項1記載のエステル系エ
    ラストマー。 【化5】
  3. 【請求項3】 ポリマー(B)及びポリマー(D)が、
    異なっていても良い一般式(6)で表される脂肪族ポリ
    エステルであることを特徴とする請求項1記載のエステ
    ル系エラストマー。 【化6】
  4. 【請求項4】 ポリマー(B)及びポリマー(D)が、
    異なっていても良い、一般式(7)で表されるポリラク
    トンであることを特徴とする請求項1記載のエステル系
    エラストマー。 【化7】
  5. 【請求項5】 ポリマー(B)及びポリマー(D)が、
    異なっていても良い、一般式(8)で表されるポリカー
    ボネートであることを特徴とする請求項1記載のエステ
    ル系エラストマー。 【化8】
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