JP2001072596A - 抗菌作用の増強方法 - Google Patents

抗菌作用の増強方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗生物質の抗菌作用の増強方法とその用途を
提供する。 【解決手段】 テリマグランジンI及び/又はコリラジ
ンを抗生物質と併用することを特徴とする抗菌作用の増
強方法ならびに、テリマグランジンI及び/又はコリラ
ジンと抗生物質とを含有せしめてなる抗菌剤を提供する
ことにより解決する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗菌作用の増強方
法に関し、詳しくは、テリマグランジンI(telli
magrandin I)骨格を有する化合物及び/又
はコリラジン(corilagin)骨格を有する化合
物を抗生物質と併用することを特徴とする抗菌作用の増
強方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】抗生物質は感染症などの治療に有効な化
学療法剤として従来より広く使用されている。しかしな
がら、抗生物質は、医療現場等における濫用により、種
類によってはその抗生物質に対する耐性菌の出現を招く
場合があり、斯かる耐性菌に関連する問題が近年発生し
はじめている。例えば、β−ラクタム系抗生物質をはじ
めとする諸種の抗生物質に対する多剤耐性を獲得したメ
チシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin
−resistant Staphylococcus
aureus、以下、「MRSA」と略記する。)が
院内感染により患者に致命的な結果をもたらしたとの報
告例もある。MRSAを含め、抗生物質に対する耐性を
獲得した病原菌は、ヒト以外の動物、鳥類、爬虫類、魚
類などにも感染し伝搬する場合があり、抗生物質耐性菌
の問題は医療現場にとどまらず、大きな社会問題に発展
しつつある。
【0003】このような、抗生物質に対する耐性菌に対
しては、現在のところその抗生物質とは作用機作の異な
る別の抗生物質で対処するのが一般的である。例えば、
MRSAに対しては、一般に、MRSAにより耐性が獲
得された抗生物質とは作用機作の異なるバンコマイシン
等の抗生物質を適用することにより対処されている。こ
のような対処方法は、その初期の段階では耐性菌の殺菌
ないしは静菌に奏効するものの、連用すると、その別の
抗生物質に対する新たな耐性菌の出現を招く場合があ
る。また、バンコマイシン等の抗生物質はヒトに対して
副作用を示す場合もある。このように、抗生物質に対す
る耐性菌に関する問題は未だ根本的には解決されていな
いというのが現状である。この問題を解決する方策のひ
とつとしては、抗生物質が、その抗生物質に対する耐性
菌に対しても効果を示すようにその抗菌作用を増強する
ことが考えられるけれども、そのような抗菌作用の増強
のための、十分に有効といえる方法は現在のところ確立
されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】斯かる状況に鑑み、こ
の発明の課題は、抗生物質の抗菌作用を増強する方法と
その用途を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため、抗生物質の抗菌作用の増強能を有す
る物質を求めて植物を中心とする諸種の材料を広く検索
した。その結果、バラの花弁及びウワウルシの葉の抽出
物は抗生物質と併用した場合、その抗菌作用を顕著に増
強するという全く独自の知見を得た。引き続き本発明者
らは、該増強作用を示したこれらの抽出物を分画して、
該増強作用の本体の単離と同定を試みた。その結果、バ
ラの花弁の抽出物より該増強作用の本体のひとつとして
テリマグランジンI骨格を有する化合物を、ウワウルシ
の葉の抽出物より該増強作用の本体としてコリラジン骨
格を有する化合物を同定した。
【0006】斯くして単離・同定された化合物は、いず
れも抗生物質と併用したときその抗菌作用を顕著に増強
し、とりわけ、MRSAに対するβ−ラクタム系抗生物
質の抗菌作用を顕著に増強することが確認された。この
発明は以上の知見に基づいて完成されたものである。
【0007】すなわち、この発明は、テリマグランジン
I骨格を有する化合物及び/又はコリラジン骨格を有す
る化合物を抗生物質と併用することを特徴とする抗菌作
用の増強方法ならびに、テリマグランジンI骨格を有す
る化合物及び/又はコリラジン骨格を有する化合物と抗
生物質とを含有せしめてなる抗菌剤により上記の課題を
解決するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明はテリマグランジンI骨
格を有する化合物及び/又はコリラジン骨格を有する化
合物を抗生物質と併用することを特徴とする抗菌作用の
増強方法に関するものである。この発明で用いるテリマ
グランジンI骨格を有する化合物の具体例としては化1
で表されるテリマグランジンIが、また、この発明で用
いるコリラジン骨格を有する化合物の具体例としては化
2で表されるコリラジンがそれぞれ挙げられる。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】この発明でいうテリマグランジンI骨格を
有する化合物及びコリラジン骨格を有する化合物とは、
上記に例示されるテリマグランジンI及びコリラジンそ
れぞれの誘導体であって、β−ラクタム系抗生物質など
の抗生物質の抗菌作用の増強能を有する化合物全般を意
味する。上記に例示される以外のこの発明で用い得る化
合物としては、例えば、化1又は化2における水酸基の
1個又は2個以上が、それぞれ独立に、水素原子、アル
キル基、アルコキシ基、カルボキシル基、アリール基な
どの置換基で置換された誘導体を挙げることができる。
個々のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、イソプロピル基などが、また、個々の
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、イソプロポキシ基などが挙げられ
る。個々のアリール基としては、例えば、フェニル基、
ジフェニル基及びターフェニル基などが挙げられる。
【0012】以上のような、この発明で用いるテリマグ
ランジンI骨格を有する化合物及びコリラジン骨格を有
する化合物(以下、これらの化合物から選ばれる1種又
は2種以上を単に「当該化合物」ということがある。)
は、調製方法が種々知られている場合があるので、慣用
の方法により調製されるこれらの化合物はいずれも有利
にこの発明で用いることができる。したがってこの発明
の実施において、当該化合物はその給源や調製方法によ
り限定されず、例えば、植物体など天然の給源から得ら
れたものであっても、化学合成などにより人為的に得ら
れたものであってもよい。また、この発明の実施におい
て、当該化合物は精製された実質的に単一の形態で用い
ても、また、後述する当該化合物による抗菌作用の増強
効果を実質的に消失させない範囲で他の成分との混合物
としての形態で用いてもよい。医療分野、食品分野、化
粧品分野など、ヒトに適用する場合には、天然の給源か
ら比較的高純度に精製された当該化合物を用いるのが望
ましい。テリマグランジンI骨格を有する化合物はバラ
の花弁をはじめとするバラの植物体に、また、コリラジ
ン骨格を有する化合物はウワウルシの葉をはじめとする
ウワウルシの植物体に比較的多く含有されるので、これ
らの給源から精製された当該化合物は医療、食品、化粧
品などの諸分野でのこの発明の実施に有利である。
【0013】天然の給源から当該化合物を調製するに
は、配糖体を含む天然のポリフェノール類の分離・精製
に用いられる通常の手段が適宜採用される。斯かる通常
の手段としては、例えば、抽出、濃縮、濾過、分液、分
別沈澱、結晶化、分蜜、真空乾燥、凍結乾燥、吸着クロ
マトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、疎水性クロ
マトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、イオン
交換クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィーなど
が挙げられる。以上のような慣用の方法から選ばれる適
宜の方法で当該化合物の給源の抽出物を分画して生成す
る画分を、後述する抗菌作用の増強効果の判定方法に供
して所期の性質を示した画分を選択・合一し、合一した
画分を、必要に応じて、さらに適宜の方法により分画
し、生成する画分を前記と同様に選択・合一する操作を
繰り返せば、所望のレベルにまで精製された当該化合物
を得ることができる。斯くして得られる当該化合物は、
さらに必要に応じて、適宜の他の成分と混合するなどし
て組成物の形態に調製して使用することもでき、本発明
による抗菌作用の増強方法の実施分野や実施の対象とな
る微生物の種類に応じて、適宜の精製度・形態の当該化
合物の調製物を用いればよい。
【0014】斯くして調製される当該化合物は、単独で
は、医療分野で通常用いられる慣用の抗生物質の抗菌作
用と比較すると通常明らかに弱い抗菌作用しか示さな
い。当該化合物の種類や精製度、対象とする微生物の種
類などにもよるが、当該化合物の抗菌作用を最小発育阻
止濃度(以下、「MIC」という。)で表すと、通常、
100μg/ml程度ないしはそれ以上である。当該化
合物は単独ではこのように弱い抗菌作用しか示さないけ
れども、抗生物質と併用したとき、その抗生物質の抗菌
作用を顕著に増強する能力を有している。
【0015】この発明による抗菌作用の増強方法で用い
る抗生物質は、当該化合物の併用によりその抗菌作用が
増強されるものであればいずれでもよい。一般に抗生物
質とは、原核細胞及び真核細胞を含む微生物のいずれか
1種以上に対する殺菌作用又は静菌作用を示す物質と定
義される。この発明においては、このように定義される
抗生物質のうち、テリマグランジンIやコリラジンなど
の当該化合物の併用によりその抗菌作用が増強されるも
のであれば、それらから適宜選ばれる1種又は2種以上
はいずれも用いることができ、化学構造や抗菌作用の作
用機作、さらには、対象となる微生物の種類により限定
されるものではない。抗菌作用の増強の効果は、対象と
する抗生物質に応じて選ばれる慣用の抗菌作用の測定系
に当該化合物を添加して抗菌作用を調べることにより確
認することができる。すなわち、斯かる測定系で抗生物
質を当該化合物と併用して求められた抗菌作用の測定値
が、同じ測定系でその抗生物質及び当該化合物をそれぞ
れ単独で用いた場合の抗菌作用の加算値を上回った場
合、換言すれば、抗生物質と当該化合物の併用により相
乗的に高まった抗菌作用が確認された場合、当該化合物
の併用によりその抗生物質の抗菌作用が増強されたと判
定される。以上述べた、この発明で用い得る抗生物質
(以下、その1種又は2種以上を単に「当該抗生物質」
ということがある。)の具体例としては、例えば、オキ
サシリン、ベンジルペニシリン、アンピシリン、セフメ
タゾール及びイミペネムをはじめとするβ−ラクタム系
抗生物質や、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサ
イクリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン及びミ
ノサイクリンをはじめとするテトラサイクリン系抗生物
質などが挙げられる。この発明による抗菌作用の増強方
法は、β−ラクタム系抗生物質との併用によるときとり
わけ著効を発揮する。
【0016】この発明による抗菌作用の増強方法は、当
該化合物及び/又は当該抗生物質が単独で抗菌作用を発
揮する微生物に対して、抗菌作用の増強効果を示す場合
もあるが、当該抗生物質が単独では顕著な抗菌作用を示
さない微生物に適用するととりわけ顕著な効果を発揮す
る。したがって、本発明による方法は、従来の抗生物質
では対処し得なかった微生物の殺菌ないしは静菌に極め
て有効である。当該抗生物質が単独では顕著な抗菌作用
を示さない微生物としては、例えば、当該抗生物質に対
する耐性を獲得した微生物の変異株が挙げられ、より詳
細には、当該抗生物質に対する耐性を獲得した、スタフ
ィロコッカス属又はストレプトコッカス属のグラム陽性
菌の変異株や、バクテロイデス属、フコバクテリウム
属、シュードモナス属、エシェリヒア属、エンテロバク
ター属、クレブシエラ属、セラティア属、シトロバクタ
ー属又はアシネトバクター属のグラム陰性細菌の変異株
が挙げられる。これらのうち、当該抗生物質のひとつで
あるβ−ラクタム系抗生物質をはじめとする諸種の抗生
物質に対する多剤耐性を獲得したMRSA(スタフィロ
コッカス属)に対し、この発明による抗菌作用の増強方
法はとりわけ著効を発揮する。
【0017】この発明でいう、当該化合物を当該抗生物
質と併用するとは、当該抗生物質を、上記で述べた微生
物による汚染・感染が懸念されるか又は確認された対象
物に適用する際に、その適用前、適用後及び/又は適用
と同時にその対象物に当該化合物を適用することを意味
する。いずれの時期の適用によっても所期の効果が得ら
れるけれども、より望ましくは、当該抗生物質の適用前
又は適用と同時に適用される。ここでいう適用とは、当
該抗生物質及び/又は当該化合物を、必要に応じて適宜
の他の成分、例えば、溶解剤、希釈剤、緩衝剤、賦形
剤、安定剤などから選ばれる1種又は2種以上との組成
物としての形態で、対象物に投与、接種、塗布、添加、
噴霧、含浸などすることを意味する。この発明による抗
菌作用の増強方法を実施し得る分野としては、例えば、
医療分野、畜産分野、水産分野、食品分野、化粧品分
野、衛生用品分野、日用品分野、建材分野、情報伝達機
器分野などが挙げられ、この発明による方法は、これら
の分野における上記で述べた微生物による汚染・感染の
予防、処置及び/又は治療に奏効する。当該抗生物質及
び当該化合物を併用する際の用量・割合は、上記で述べ
た、抗菌作用の増強効果の確認方法により求められる、
対象微生物に対して有効な両者の濃度と、適用の対象物
の種類を勘案して選択される。通常は、当該化合物及び
当該抗生物質がそれぞれ単独では抗菌作用を発揮し得な
い用量であっても、両者を併用することにより所期の抗
菌作用が得られる。使用する当該化合物ならびに当該抗
生物質の種類や実施の分野にもよるけれども、例えば、
上記のような微生物による感染症に罹患した患者に適用
する医療分野においては、患者の症状に応じて、成人患
者1人に対して、当該抗生物質を、固形物重量換算で、
1日当たり通常1mg以上、望ましくは10mg以上、
より望ましくは100mg以上の用量を1回又は2回以
上に分けて、連日または隔日の頻度で、患部に応じて選
択される経口、経皮、皮内、皮下、筋肉内、静脈内など
のいずれかの経路で適用し、その際に、当該化合物を、
当該抗生物質の1回当たりの適用量に対して固形物重量
比で等量以上、望ましくは2倍量以上、より望ましくは
5倍量以上に相当する量を、当該抗生物質の適用経路に
準じて適用して併用すればよい。また、ヒトを含む生体
以外の、例えば、医療関連機器等の諸物品に適用する場
合には、該物品の使用前、使用中及び/又は使用後に、
通常0.01mg/ml以上、望ましくは0.1mg/
ml以上、より望ましくは1mg/ml以上の濃度の溶
液に調製した当該抗生物質を該物品に噴霧、塗布、含浸
するなどして適用し、その際に、当該抗生物質の濃度に
対して通常等濃度以上、望ましくは2倍以上、より望ま
しくは5倍以上の濃度の溶液に調製した当該化合物を該
物品に同様に適用して併用すればよい。
【0018】この発明は、上記で述べた当該化合物と当
該抗生物質とを含有せしめてなる抗菌剤を提供するもの
でもある。この発明の抗菌剤は、当該化合物及び当該抗
生物質がそれぞれ単独では達成し得ない、増強された抗
菌作用を発揮するので、上記で述べた、この発明による
方法を実施し得る諸分野において有利に用いることがで
きる。この発明の抗菌剤は、それぞれの使用分野におい
て増強された抗菌作用が発揮されるものであればよく、
特定の組成や形態に限定されるものではない。使用分野
にもよるが、この発明の抗菌剤は、通常、液状、懸濁
状、ペースト状又は固形状に調製され、当該抗生物質を
0.001乃至20%(w/w)、望ましくは、0.0
1乃至10%(w/w)含有するとともに、当該化合物
を0.001乃至80%(w/w)、望ましくは、0.
01乃至50%(w/w)含有する。
【0019】この発明の抗菌剤は、実質的に当該化合物
及び当該抗生物質のみからなる組成のものはもとより、
これら以外の、個々の使用分野で許容される、例えば、
担体、賦形剤、溶解剤、希釈剤、緩衝剤、安定剤、静菌
剤、着香剤、着色剤などとの組成物としての形態をも包
含する。担体ないしは賦形剤としては、澱粉、デキスト
リン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネ
シウム、ステアリン酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウ
ム、水酸化アルミニウム、重炭酸ナトリウム、グリセリ
ンなどが挙げられる。安定剤としては、より具体的に
は、血清アルブミンやゼラチンなどの蛋白質、グルコー
ス、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロー
ス、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、ラク
チトールなどの糖質が挙げられる。静菌剤としては、エ
タノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類
や、酢酸、乳酸、安息香酸などの有機酸類が挙げられ
る。この発明の抗菌剤は、以上のような成分を配合して
なる組成物を、使用分野に応じて、注射剤、液剤、散
剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、舌下剤、点眼剤、点鼻
剤、坐剤、軟膏、ローション、スプレー、天花粉などの
形態に適宜成形して得ることができる。
【0020】以下、実験に基づいて本発明をより詳しく
説明する。
【0021】
【実験1】〈テリマグランジンI骨格を有する化合物の
併用による抗菌作用の増強〉
【0022】
【実験1−1】〈テリマグランジンIの精製〉バラの花
弁乾燥物約200gに約4lの70%アセトン/水混液
を加えて磨砕して抽出し、濾過して不溶物を除き、溶液
部をエバポレーターで濃縮した。この濃縮物に約400
mlのジエチルエーテルを加え分液ロートで抽出し水層
を回収した。この水層に約1.5lの酢酸エチルを加え
てさらに抽出し、酢酸エチル層を回収し、この層を減圧
濃縮したところ、酢酸エチル抽出物が固形分として1
0.21g得られた。この酢酸エチル抽出物を適量の蒸
留水に溶解した後、『DIAION HP20ゲル』
(三菱化学株式会社製造)を充填したガラスカラム(内
径4.8cm、長さ50cm)に負荷してゲルに吸着さ
せた後、下記表1に示す、20%から100%まで段階
的にメタノール濃度を高めたメタノール/水混液を順次
カラムに通液し、カラムからのそれぞれの溶出物を分画
採取した。採取したそれぞれの画分を常法により減圧濃
縮した後、β−ラクタム系抗生物質であるオキサシリン
(シグマ社販売)の抗菌作用に与えるそれぞれの画分の
併用の影響を以下のように調べた。先ず、試験株とし
て、岡山大学付属病院で単離されたMRSAの4株(O
M481株、OM505株、OM584株、OM623
株)それぞれを32℃で好気的にミュラー・ヒントン培
地(Mueller−Hinton培地、以下「MH培
地」と略記する。)(和光純薬販売)で増殖させた。試
験培地として、最終固形分濃度50μg/mlの上記の
いずれかの画分と、1,024μg/ml以下の順次段
階希釈したいずれかの濃度のオキサシリンとを含むMH
培地を調製した。また、別の試験培地として、上記のい
ずれの画分も含まず、同様に段階希釈したオキサシリン
のみを含むMH培地も調製した。これらの試験培地に、
先に準備した試験株のいずれかを細胞密度106乃至1
7個/mlとなるように加え、32℃で好気的に24
時間保持した。それぞれの試験培地を生理食塩水で適宜
希釈した後、ニュートリエント寒天培地(和光純薬販
売)上に塗布し、32℃で24時間保持した。寒天培地
上に形成したコロニーを肉眼で計測し、オキサシリンの
最少生育阻止濃度(MIC)を求めた。結果を表1に示
す。
【0023】
【表1】
【0024】表1に示すとおり、40%メタノール/水
混液による溶出画分を併用したときオキサシリンは最も
低濃度でMRSAの発育を阻止した。このことから、こ
の画分がオキサシリンのMRSAに対する抗菌作用を増
強する物質を主として含有すると考えられた。
【0025】上記の40%メタノール/水混液による溶
出画分の一部(固形分として997mg)を、『Toy
opearl HW 40ゲル』(東ソー株式会社販
売)を充填したガラスカラム(内径2.2cm、長さ5
2cm)を用いるゲル濾過カラムクロマトグラフィーに
供して分画した。各画分を、オキサシリンの抗菌作用に
与えるそれぞれの併用の影響について上記と同様にして
試験し、オキサシリンのMICを顕著に低下させた画分
を合一し、凍結乾燥して、精製された成分を固形分重量
として364mg得た。得られた精製成分を、上記と同
様にして試験した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】表2に示すとおり、バラの花弁抽出物から
上記の方法で精製された成分の併用によりオキサシリン
によるMRSAに対するMICは著しく低下した。より
詳細には、この精製成分は最終濃度50μg/mlでオ
キサシリンと併用すると、MICを1/500程度ある
いはそれ以下に低下させた。このことから、この精製成
分が抗菌作用の増強能を有していると判断された。
【0028】常法にしたがって、重水素化アセトン中
で、周波数500MHzで、上記で得た精製成分の1
−核磁気共鳴スペクトル(以下、「1H−NMR」と略
記する。)を調べたところ、図1に示すスペクトルが得
られた。この結果観察された化学シフトならびに水素原
子の帰属を表3に示す。
【0029】
【表3】
【0030】上記の結果に基づいて、本実験により得た
精製成分をテリマグランジンI(tellimagra
ndin I)、別名、cyclic 4,6−(4,
4’,5,5’,6,6’−hexahydroxy
[1,1'−biphenyl]−2,2'dicarb
oxylate)2,3−bis(3,4,5−tri
hydroxybenzoate),(S)−D−Gl
ucoseと同定した。本化合物の構造は化1に示して
いる。通常の高速液体クロマトグラフィーにより調べた
ところ、本実験で精製したテリマグランジンIの純度は
約90%であった。
【0031】
【実験1−2】〈テリマグランジンIの併用によるオキ
サシリンの抗菌作用の増強〉オキサシリンの抗菌作用を
増強するテリマグランジンIによる効果を確認するため
以下の実験を行った。テリマグランジンIは、実験1−
1の方法で精製して調製した。試験株として、MRSA
の単離株OM584株を32℃で好気的にMH培地で増
殖させた。試験培地として、MH培地、2μg/mlの
オキサシリンを含むMH培地、50μg/mlのテリマ
グランジンIを含むMH培地、2μg/mlのオキサシ
リンと50μg/mlのテリマグランジンIとを含むM
H培地を調製した。これらの試験培地に、先に準備した
試験株を細胞密度約1×107個/mlとなるように加
え、32℃で好気的に20時間保持した。それぞれの試
験培地を生理食塩水で適宜希釈し、ニュートリエント寒
天培地(和光純薬販売)に塗布し、32℃で24時間保
持した。寒天培地上に形成されたコロニーを肉眼で計測
し、計測値より、試験培地中で20時間保持した時点に
おける試験株の生菌数を求めた。結果を図2に示す。な
お、本図において、白抜き丸(○)はMH培地における
MRSAの生菌数の経時変化を、黒塗り丸(●)はオキ
サシリン(2μg/ml)のみを含むMH培地における
MRSAの生菌数の経時変化を、白抜き三角(△)はテ
リマグランジンI(50μg/ml)のみを含むMH培
地におけるMRSAの生菌数の経時変化を、黒塗り三角
(▲)はオキサシリン(2μg/ml)とテリマグラン
ジンI(50μg/ml)との両者を含むMH培地にお
けるMRSAの生菌数の経時変化をそれぞれ示してい
る。また、本図における縦軸は、コロニーの計測数に基
づく生菌数(コロニー・フォーミング・ユニット、図3
においては「cfu」と表示した。)の対数値(底1
0)を示している。
【0032】図2に示すとおり、MH培地、2μg/m
lのオキサシリンのみを含むMH培地、及び、50μg
/mlのテリマグランジンIのみを含むMH培地では、
いずれも培養20時間後、試験株は100倍以上の生菌
数にまで増殖したのに対して、2μg/mlのオキサシ
リンと50μg/mlのテリマグランジンIとを含むM
H培地中では、試験株は増殖せず死滅してゆき、20時
間後で約1/100の生菌数となった。これらの結果
は、オキサシリンとテリマグランジンIは併用により相
乗的に増強された抗菌作用を発揮し、テリマグランジン
Iには抗生物質の抗菌作用を顕著に増強する作用がある
ことを意味している。したがって、それぞれ単独ではM
RSAの増殖を阻止できない程度の濃度のオキサシリン
とテリマグランジンIであっても、これらを併用する
と、MRSAの増殖を顕著に阻止し、さらに、死滅させ
ることができる。
【0033】
【実験1−3】〈抗菌作用の増強に有効なテリマグラン
ジンIの濃度〉抗生物質オキサシリンの抗菌作用の増強
に奏効するテリマグランジンIの有効な濃度を検討する
ために、種々の濃度のテリマグランジンI存在下でのオ
キサシリンの抗菌作用を実験1−1の方法に準じて調べ
た。結果を表4に示す。
【0034】
【表4】
【0035】表4に示すとおり、いずれの試験株におい
ても、併用するテリマグランジンIの濃度が25μg/
ml以上の場合は、オキサシリン単独の系と比較して、
MICが顕著に低下し、MRSAに対する抗菌作用が増
強されることが判明した。これらの結果は、抗生物質オ
キサシリンと併用する場合、MRSAの抗菌作用を発揮
するのに有効なテリマグランジンIの濃度は、最終濃度
として約25μg/ml以上であり、好ましくは30μ
g/ml以上、より好ましくは40μg/ml以上であ
り、テリマグランジンIの濃度が50μg/ml以上で
は特に好ましいことが判明した。これらの結果は、この
ような濃度となるようにテリマグランジンIを併用する
と、MRSAに対する抗生物質の使用濃度あるいは使用
量を低減させることができることを意味している。
【0036】
【実験1−4】〈テリマグランジンIの併用による種々
の抗生物質の抗菌作用の増強〉本発明のテリマグランジ
ンIによる各種の抗生物質の抗菌作用の増強効果を実験
1−1の方法に準じて調べた。抗生物質として、β−ラ
クタム系抗生物質である、オキサシリン、ベンジルペニ
シリン(米国、シグマ社販売)、アンピシリン(和光純
薬販売)、セフメタゾール(米国、シグマ社販売)、イ
ミペネム(萬有製薬販売)を用いた。試験株として、M
RSAの単離株であるOM481株、OM505株、O
M584株、OM623株と、メチシリン感受性の黄色
ブドウ球菌1株(ATCC 21027)を用いた。結
果を表5に示す。なお、本表中の「単独」とは抗生物質
を単独で適用した場合を、「併用」とは最終濃度40μ
g/mlのテリマグランジンIと抗生物質とを併用して
適用した場合をそれぞれ意味する。
【0037】
【表5】
【0038】表5に示すとおり、いずれの抗生物質にお
いても、抗生物質を単独で適用した場合と比較すると、
抗生物質とテリマグランジンIとの併用によって抗生物
質のMICは顕著に低下した。このことから、テリマグ
ランジンIには、広くβ−ラクタム系の抗生物質の抗菌
作用を増強する能力があることが判明した。なお、表5
における、オキサシリン及びベンジルペニシリンを用い
た実験結果に示されるとおり、テリマグランジンIは、
MRSAに対する場合ほど顕著ではないものの、MRS
A以外の微生物に対する抗生物質の抗菌作用をも増強す
ることも判明した。また、データは割愛するけれども、
同様の実験により、テリマグランジンIは、テトラサイ
クリンのMRSAに対する抗菌作用をも顕著に増強する
ことが確認された。
【0039】
【実験2】〈コリラジン骨格を有する化合物の併用によ
る抗菌作用の増強〉400mlのウワウルシ葉抽出液
『日本薬局方 ウワウルシ流エキス』(司生堂製薬株式
会社販売)をエバポレーターで濃縮・乾固して、約8.
1gの固形物を得た。この固形物を適量の蒸留水に溶解
させた後、『Toyopearl HW40Cゲル』
(東ソー株式会社販売)を充填したガラスカラム(内径
2.2cm、長さ52cm)に負荷した後、水、20%
メタノール/水混液、60%メタノール/水混液、メタ
ノール、70%アセトン/水混液を順次カラムに通液
し、カラムからのそれぞれの溶出物を分画採取した。採
取したそれぞれの画分を常法により減圧濃縮した後、そ
の一部を用いて、実験1−1に準じて、β−ラクタム系
抗生物質であるオキサシリンの抗菌作用に与えるそれぞ
れの画分の併用の影響を調べた。その結果、60%メタ
ノール/水混液による溶出画分を併用したときオキサシ
リンのMRSAに対するMICは顕著に低下した。
【0040】上記の60%メタノール/水混液による溶
出画分を、常法にしたがって、『MCI CHP20P
ゲル』(三菱化学株式会社製)による逆相カラムクロマ
トグラフィーに続いて調製用高速液体クロマトグラフィ
ーに供して分画し、実験1−1に準じて、β−ラクタム
系抗生物質であるオキサシリンの抗菌作用に与えるそれ
ぞれの画分の併用の影響を調べた。これらの画分のう
ち、オキサシリンのMRSAに対するMICをとりわけ
顕著に低下させた画分を採取し、凍結乾燥して、精製さ
れた成分を固形分重量として364mg得た。上記の方
法に準じて、この精製成分を最終濃度8μg/ml及び
16μg/mlで併用したときの、オキサシリンのMR
SAに対するMICを調べた。結果を表6に示す。
【0041】
【表6】
【0042】表6に示すとおり、ウワウルシの葉抽出物
から上記の方法で精製された成分の併用によりオキサシ
リンのMRSAに対するMICは著しく低下した。より
詳細には、この精製成分は最終濃度16μg/mlでオ
キサシリンと併用すると、オキサシリンのMRSAに対
するMICを1/50程度あるいはそれ以下に低下させ
ることが判明した。なお、上記の方法に準じて、本実験
による精製成分の単独でのMRSAの単離株4株に対す
るMICを調べたところ、いずれの株に対しても128
μg/ml程度であった。以上の結果は、オキサシリン
の抗菌作用は上記の精製成分と併用したとき相乗的に増
強され、本実験による精製成分に抗生物質の抗菌作用の
顕著な増強作用があることを意味している。
【0043】実験1−1に準じて、重水素化アセトン中
で、周波数500MHzで、上記で得た精製成分の1
−NMRを調べたところ、図3に示すスペクトルが得ら
れた。この結果観察された化学シフトならびに水素原子
の帰属を表7に示す。
【0044】
【表7】
【0045】上記の結果に基づいて、本実験により得た
精製成分をコリラジン(corilagin)、別名、
cyclic 3,6−(4,4’,5,5’,6,
6’−hexahydroxy[1,1'−biphe
nyl]−2,2'dicarboxylate)1−
(3,4,5−trihydroxybenzoat
e),β−D−Glucoseと同定した。本化合物の
構造は化2に示している。通常の高速液体クロマトグラ
フィーにより調べたところ、本実験で精製したコリラジ
ンの純度は約98%であった。
【0046】なお、データは割愛するけれども、上記と
同様の実験により、本実験で精製・同定されたコリラジ
ンは、テトラサイクリンのMRSAに対する抗菌作用を
も顕著に増強することが確認された。
【0047】
【実験3】〈急性毒性試験〉常法にしたがって、8週齢
のマウスに実験1及び実験2の方法で精製したテリマグ
ランジンI及びコリラジンのいずれかを、経皮、経口又
は腹腔内の経路で投与し急性毒性を調べた。その結果、
いずれの投与経路においても、調べた最大の投与量であ
る100mg/kgマウス体重においても死亡例は見ら
れなかった。この結果は、この発明で用いる化合物のヒ
トを含む生体への適用が安全であることを裏付けてい
る。
【0048】以下、実施例を示してこの発明を説明する
が、この発明はこれらの実施例によって何ら制限される
ものではない。
【0049】
【実施例1】〈錠剤〉下記の処方にしたがって、
(1)、(4)及び(5)の成分と(2)の成分の一部
を均一に混合し、圧縮成形した後、粉砕し、(3)の成
分及び(2)の成分の残量を加えて混合し、打錠機にて
圧縮成形して一錠200mgの錠剤を得た。 (1)結晶トレハロース 74.5g (2)ステアリン酸マグネシウム 0.5g (3)カルボキシメチルセルロースカルシウム 5g (4)アンピシリン 5g (5)実験1の方法で得たテリマグランジンI 15g 計 100g
【0050】本品は、MRSAをはじめとする諸種の微
生物による口腔内における感染症を治療・予防するため
の舌下錠として、また、MRSAをはじめとする諸種の
微生物による消化器系における感染症を治療・予防する
ための内服用錠剤などとして有利に利用できる。
【0051】
【実施例2】〈錠剤〉下記の処方にしたがって、
(1)、(4)及び(5)の成分と(2)の成分の一部
を均一に混合し、圧縮成形した後、粉砕し、(3)の成
分及び(2)の成分の残量を加えて混合し、打錠機にて
圧縮成形して一錠200mgの錠剤を得た。 (1)結晶トレハロース 74.5g (2)ステアリン酸マグネシウム 0.5g (3)カルボキシメチルセルロースカルシウム 5g (4)オキサシリン 10g (5)実験2の方法で得たコリラジン 10g 計 100g
【0052】本品は、MRSAをはじめとする諸種の微
生物による口腔内における感染症を治療・予防するため
の舌下錠として、また、MRSAをはじめとする諸種の
微生物による消化器系における感染症を治療・予防する
ための内服用錠剤などとして有利に利用できる。
【0053】
【実施例3】〈軟膏〉下記の処方にしたがって、
(1)、(2)、(5)及び(6)の成分と(3)の成
分の一部を均一に混合し、圧縮成形した後、粉砕し、
(4)の成分及び(3)の成分の残量を加えて混合し、
適度の延び、付着性を示す軟膏を得た。 (1)結晶マルトース 50g (2)プルラン 2g (3)蒸留水 20g (4)エタノール 5g (5)セフメタゾールナトリウム 1g (6)実験1の方法で得たテリマグランジンI 3g 計 81g
【0054】本品は、MRSAをはじめとする諸種の微
生物に対する抗菌作用のみならず、マルトースによる細
胞へのエネルギー補給作用も発揮することから、治癒期
間が短縮され、創面をきれいに治癒することのできる軟
膏として有用である。また、本品は、切り傷、火傷、口
内炎など外傷治療の促進に利用することができる。更
に、本品をソフトカプセルなどに充填、成形すれば、M
RSAをはじめとする微生物による直腸内、膣内などに
おける感染症の治療・予防のための坐薬としても有利に
利用できる。
【0055】
【実施例4】〈軟膏〉下記の処方にしたがって、
(1)、(2)、(5)及び(6)の成分と(3)の成
分の一部を均一に混合し、圧縮成形した後、粉砕し、
(4)の成分及び(3)の成分の残量を加えて混合し、
適度の延び、付着性を示す軟膏を得た。 (1)結晶マルトース 50g (2)プルラン 2g (3)蒸留水 20g (4)エタノール 5g (5)イミペネム 1g (6)実験2の方法で得たコリラジン 1g 計 79g
【0056】本品は、MRSAをはじめとする諸種の微
生物に対する抗菌作用のみならず、マルトースによる細
胞へのエネルギー補給作用も発揮することから、治癒期
間が短縮され、創面をきれいに治癒することのできる軟
膏として有用である。また、本品は、切り傷、火傷、口
内炎など外傷治療の促進に利用することができる。更
に、本品をソフトカプセルなどに充填、成形すれば、M
RSAをはじめとする微生物による直腸内、膣内などに
おける感染症の治療・予防のための坐薬としても有利に
利用できる。
【0057】
【実施例5】〈抗菌スプレー〉イソプロパノール 68
重量部に、精製水 26重量部、実験1の方法で得たテ
リマグランジンI 0.9重量部、実験2の方法で得た
コリラジン 0.9重量部、オキサシリン 0.2重量
部、安息香酸4重量部をそれぞれ加え、常法により分散
させて原液を得た。その後、常法にしたがって、100
ml容スプレー容器に、この原液40mlと噴射剤とし
ての液化炭酸ガス60mlをそれぞれ充填して抗菌スプ
レーを得た。
【0058】幅広い抗菌スペクトルを有し、かつ、オキ
サシリンの抗菌作用が増強された本品は、MRSAを含
む微生物による汚染・感染を予防、治療又は処置するた
めの抗菌スプレーとして、医療分野、畜産分野、水産分
野、食品分野、化粧品分野をはじめとする諸種の分野で
有利に利用できる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、この発明は、抗生
物質を適用する際にテリマグランジンI及び/又はコリ
ラジンを併用するとその抗生物質の抗菌作用が顕著に増
強されるという全く独自の知見に基づき完成されたもの
である。この発明による抗菌作用の増強方法は、微生物
の殺菌及び/又は静菌に著効を発揮し、とりわけ、現在
までのところ根本的な対処方法が確立されていなかった
MRSAの殺菌及び/又は静菌に著効を発揮する。この
発明による方法ならびに抗菌剤は、MRSAを含む微生
物による汚染・感染が懸念される諸種の分野において、
その予防、治療及び/又は処置に有効である。
【0060】斯くも顕著な効果を奏するこの発明は、斯
界に貢献すること誠に多大な、意義のある発明であると
言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バラの花弁より抽出・精製したテリマグラン
ジンIの1H−NMRスペクトル(500MHz)を示
す図である。
【図2】 MRSAに対するオキサシリンとテリマグラ
ンジンIによる抗菌作用の発現における相乗効果を示す
図である。
【図3】 ウワウルシの葉より抽出・精製したコリラジ
ンの1H−NMRスペクトル(500MHz)を示す図
である。
【符号の説明】
○ MH培地におけるMRSAの生菌数の経時変化 ● オキサシリン(2μg/ml)のみを含むMH培
地におけるMRSAの生菌数の経時変化 △ テリマグランジンI(50μg/ml)のみを含
むMH培地におけるMRSAの生菌数の経時変化 ▲ オキサシリン(2μg/ml)とテリマグランジ
ンI(50μg/ml)との両者を含むMH培地におけ
るMRSAの生菌数の経時変化
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波多野 力 岡山県岡山市佐山2104番地の6 (72)発明者 伊東 秀之 岡山県岡山市原尾島2丁目5番5号 両備 グレースマンション南館602号室 (72)発明者 土屋 友房 岡山県岡山市津島福居1丁目7番24−5号 (72)発明者 吉田 隆志 岡山県岡山市津高1444番地の118 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 CC04 CC08 CC15 EA07 MA02 MA04 NA05 ZB35 ZC75

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テリマグランジンI骨格を有する化合物
    及び/又はコリラジン骨格を有する化合物を抗生物質と
    併用することを特徴とする抗菌作用の増強方法。
  2. 【請求項2】 テリマグランジンI骨格を有する化合物
    がテリマグランジンIであり、コリラジン骨格を有する
    化合物がコリラジンである、請求項1に記載の抗菌作用
    の増強方法。
  3. 【請求項3】 抗生物質がβ−ラクタム系抗生物質から
    選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載
    の抗菌作用の増強方法。
  4. 【請求項4】 β−ラクタム系抗生物質がオキサシリ
    ン、ベンジルペニシリン、アンピシリン、セフメタゾー
    ル及びイミペネムである請求項3に記載の抗菌作用の増
    強方法。
  5. 【請求項5】 抗菌作用がメチシリン耐性黄色ブドウ球
    菌に対する静菌又は殺菌作用である請求項1、2、3又
    は4に記載の抗菌作用の増強方法。
  6. 【請求項6】 テリマグランジンI骨格を有する化合物
    及び/又はコリラジン骨格を有する化合物と抗生物質と
    を含有せしめてなる抗菌剤。
  7. 【請求項7】 テリマグランジンI骨格を有する化合物
    がテリマグランジンIであり、コリラジン骨格を有する
    化合物がコリラジンである、請求項6に記載の抗菌剤。
  8. 【請求項8】 抗生物質がβ−ラクタム系抗生物質から
    選ばれる1種又は2種以上である請求項6又は7に記載
    の抗菌剤。
  9. 【請求項9】 β−ラクタム系抗生物質がオキサシリ
    ン、ベンジルペニシリン、アンピシリン、セフメタゾー
    ル及びイミペネムである請求項8に記載の抗菌剤。
  10. 【請求項10】 メチシリン耐性ブドウ球菌に対して抗
    菌作用を示す請求項6,7,8又は9に記載の抗菌剤。
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