JP2001072438A - 抗菌性加工板硝子材 - Google Patents

抗菌性加工板硝子材

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JP2001072438A
JP2001072438A JP24498099A JP24498099A JP2001072438A JP 2001072438 A JP2001072438 A JP 2001072438A JP 24498099 A JP24498099 A JP 24498099A JP 24498099 A JP24498099 A JP 24498099A JP 2001072438 A JP2001072438 A JP 2001072438A
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Sadataka Yoneda
禎孝 米田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特に食中毒等が憂慮される食品類陳列ケ−スの
構築部材である板硝子材の抗菌効果の保持、並びに持続
性を図った抗菌性加工板硝子材を提供する。 【構成】表面平滑状又は少許湾曲状の板硝子材の少なく
とも一方の片面側にアンダ−コ−ト層を設け、次いで抗
菌剤配合樹脂組成物のトップコ−ト層の薄膜を形成、或
いは該配合樹脂組成物に表面凹凸形成剤及び/又は沈殿
防止剤を混練配合した被覆層を形成し焼き付け塗装を施
し、抗菌剤を被覆層の表面側に凝集保持せしめた構成と
する。 【効果】抗菌剤の機能、作用を有効に保持でき、食品類
陳列ケ−ス等の構築部材として、雑菌等の増殖或いは繁
殖を防止し、抗菌効果を長期間にわたって持続させるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は抗菌性加工板硝子材に関
し、抗菌剤に表面凹凸形成剤及び/又は沈降防止剤を含
有した樹脂組成物による被膜層を形成した抗菌効果の増
進並びに持続性を有し、該板硝子材を用いた食品陳列ケ
−ス等の各種用途で抗菌効果を発揮し得る抗菌性加工板
硝子材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、病院で問題となっている院内感染
(MRSA)が抗菌作用をもつ製品に拍車をかけている
他、他人の一度使ったボ−ルペンや、電話、電車の吊り
革などが持てないといった過剰なまでの清潔症候群が広
まり世間の関心を集めている。一方、菌を殺してその数
を減らしていく殺菌作用、或いは菌を抑制してそれ以上
増えないようにする制菌等を含めたいわゆる抗菌作用に
関し、我が国での高温多湿の気象条件がカビ等の微生物
の発生と繁殖に適しているので、生活環境などのクリ−
ン化のためにも抗菌性を増進、発揮維持できる製品が必
要となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、抗菌性の
社会認識の高まりに伴って、たとえば飲食関連の各種容
器に抗菌性加工として容器の周囲外面に抗菌性金属カル
ボン酸塩の樹脂含有保護膜や酸化チタン膜を被覆した易
開口性缶蓋を備えた衛生的特性に優れた飲料缶等が多数
提案されている。しかしながら、たとえば飲食関連では
特に夏期には目立って食中毒が発生し易く、その原因に
は食材の管理、販売の為の陳列、貯蔵或いは輸送等の過
程での雑菌の繁殖がある。特に、近年は購買者が外部か
ら収納陳列された食品類を視認できる透明又は半透明状
の硝子板材を正面側に配置した商品透視性硝子陳列ケ−
スは、食品類のほか、飲料、ドリンク剤等の収納陳列に
適し、さらに硝子陳列ショ−ケ−ス内での例えばだしジ
ャコ等の海産物の仕切り壁、刺し身食材の中間載置棚等
に至るまで、商品確認と取り出し簡便な食品向ショ−ケ
−スが巷間目立っているが、その形態はとりもなおさず
硝子板材と食材等が相接又は隣接する位置関係にある。
このように該陳列ショ−ケ−スでは顧客の商品を確認し
易く、前面垂直型の平滑状若しくは手前側を湾曲状とし
たケ−キ類等の陳列ショ−ケ−スや側面も通常透視性硝
子板材を用いた商品陳列ケ−スが多くみられるが、食材
等の収納陳列の取扱、衛生面からみて、その対策は十分
といえないものであった。出願人は、さきに特許第29
02575号において、抗菌効果及びその増進、持続性
を有する抗菌性加工硝子容器を提案しており、本発明は
板硝子材についての改良に関するものである。
【0004】上記食品陳列ケ−ス等の板硝子の嵌め込み
構築の箇所は当然ながら陳列収納食品類について、雑細
菌の繁殖を抑制できる加工並びにその効果が持続される
ことが望まれるが、抗菌剤を含有した樹脂膜を塗装する
場合、他の素材と違って表面平滑状若しくは少許湾曲状
からなる板硝子材では、該板硝子材と表面塗膜との接着
性などが劣ること、また、食品陳列ケ−スは屋内のほ
か、店頭又は軒下等の太陽熱直射や雨風等の暴露条件下
で設置されることも少なくなく、塗膜層の接着性や層間
剥離などの問題があった。
【0005】さらに、抗菌剤加工においては、抗菌剤等
の配合によって、硝子板材の透明性ないしは透視性が若
干低下する傾向がみられる難点がある。たとえばすり硝
子状に仕上げた抗菌加工は陳列商品の確認の妨げとはな
らないが、塗膜厚さが厚くなると透明感が阻害されるた
め、この対応にも配慮が必要である。さらに、従来、板
硝子材の少なくとも表裏面のいずれか一方に抗菌剤含有
の被膜層を設ける場合、樹脂配合物等に含有せしめた抗
菌剤成分は、通常分散状態の為直接雑細菌に接触する抗
菌成分はその一部分に限られ、消極的な意味で一般雑細
菌の繁殖を抑制するとはいうものの積極的な意味での抗
菌作用を期待し難い。また、一般雑細菌の増殖、素材と
カビ発生、腐敗等のため抗菌作用が持続されることが望
まれる点からみても不十分であった。
【0006】本発明は表面平滑状若しくは少許湾曲状か
らなる板硝子材であって、かつ少なくとも一方の片面側
にはアンダ−コ−ト層が設けた後、0.2%以上の抗菌
剤を含有したトップコ−ト層からなる被膜層を形成し焼
き付け塗装してなる抗菌性加工板硝子材、前記板硝子材
の少なくとも一方の片面側には、0.2%以上の抗菌剤
及び表面凹凸形成剤を含有した樹脂組成物による被膜層
を形成し焼き付け塗装してなる抗菌性加工板硝子材、ま
た、前記表面凹凸形成剤がシリカゲル、酸化チタン、炭
酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレ−等の一
種又は二種以上より選ばれたものである抗菌性加工板硝
子材、並びに板硝子材の少なくとも一方の片面側には、
0.2%以上の抗菌剤及び沈降防止剤面にを含有した樹
脂組成物による被覆層を形成し焼き付け塗装してなる抗
菌性加工板硝子材、前記沈降防止剤が、有機ベントナイ
ト、ポリドアマイドワックス系、水添ヒマシ油ワック
ス、酸化ポリエチレン系、金属石鹸類、界面活性剤系等
を主成分とする一種又は二種以上より選ばれたものであ
る抗菌性加工板硝子材、さらに板硝子材の少なくとも一
方の片面側には、0.2%以上の抗菌剤並びに表面凹凸
形成剤及び/又は沈降防止剤を含有した樹脂組成物によ
る被覆層を形成し焼き付け塗装してなる抗菌性加工板硝
子材、前記被覆層をロ−ルコ−ティング、ディップコ−
ティング、スプレ−塗布、静電塗装、電着塗装、ワイヤ
−コ−ト、フロ−コ−ト、ドクタ−コ−ト等から選ばれ
たいずれかの方法により形成してなる抗菌性加工板硝子
材を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明において、上記の
目的は、たとえば食品類陳列ケ−ス等の構築材料を占め
る表面平滑状若しくは少許湾曲状からなる板硝子材の少
なくとも一方の片面側にアンダ−コ−ト層を設けた後、
0.2%以上の抗菌剤を含有したトップコ−ト層からな
る被膜層を形成し焼き付け塗装するか、或いは抗菌剤を
含有した樹脂組成物中に表面凹凸形成剤を混入しマット
調に仕上げて表面積を多くするか、さらに該樹脂組成物
中に膨潤分散或いはゲル構造等を形成するための沈降防
止剤を配合せしめた抗菌剤含有樹脂組成物の塗膜層を形
成し焼き付け塗装することによって、該塗膜層の表面に
抗菌剤を凝集移行せしめた構成、或いは凹凸形成により
混入された抗菌剤との接触面積の増加を図り、また、沈
降防止剤により該樹脂組成物中に膨潤ゲル構造等を形成
し混入抗菌剤の沈降を防止する揺変剤として被膜層の表
面側に移行凝集せしめる形態とし、混入配合された抗菌
剤の効果を発揮し、かつ長期間にわたりその効果を持続
せしめることができる。
【0008】さらに、上記抗菌剤加工において、抗菌剤
含有樹脂組成物の配合、若しくは被膜厚さを厚くする場
合などに起因し、収納陳列商品の透視性がやや低下する
ことが障害となるときは、食品類陳列ケ−ス等の構築材
料としての収納陳列商品の視認の妨げとなる透視性の低
下を抑制するため、必要により該抗菌剤含有樹脂組成物
に透明性保持のため添加剤を配合した構成とすることが
できる。
【0009】本発明に用いられる板硝子材は、構築物等
の窓用をはじめ、照明用、鏡用、写真看板用等の用途に
供され、平滑状若しくは少許湾曲状からなる板硝子材で
あればいずれでもよく、また、引上法で製造される透明
な普通板硝子、両面を研磨したみがき板ガラス、一面を
すり加工したすりガラス等であって、その組成はソ−ダ
石灰ガラスに少量のアルミナ、酸化マグネシウムを加
え、耐風化性を改善すると共に成形が容易になるように
構成されたものが一般的であり、該板硝子材は透明或い
は不透明のいずれであってもよい。
【0010】また、本発明において、抗菌剤含有樹脂組
成物により塗膜層を形成する方法としては、たとえばロ
−ルコ−ティング、ディップコ−テング、スプレ−塗
布、静電塗装、電着塗装、ワイヤ−コ−ト、フロ−コ−
ト、ドクタ−コ−ト等の中から選ばれたいずれかの方法
により塗膜層を形成する。すなわち、表面平滑状若しく
は少許湾曲状からなる板硝子材の少なくとも外側表面及
び/又は裏側表面にアンダ−コ−ト層を設けた後、抗菌
剤を含有したトップコ−ト層からなる被膜層を形成し焼
き付け塗装することにより達成する。さらに、塗膜層の
厚みは、密着性や耐腐食性に優れたものを使用すること
が適当であるが、一般に乾燥固形物基準で10〜50μ
m、特に15〜45μmの範囲が適当である。また、抗
菌剤の効果を発揮する為には塗膜層の厚みは比較的薄い
範囲が適当であるが、単層では15〜20μm、ダブル
コ−トでは表面トップコ−ト層の厚みは、10〜15μ
mの範囲とするのが好適である。
【0011】次に、抗菌剤含有樹脂組成物に用いる樹脂
は、抗菌剤を混入可能で且つ硝子容器への接着性がすぐ
れた熱硬化型塗膜の形成が適当であり、エポキシ系樹
脂、メラミン系樹脂等の熱硬化性樹脂、或いはアクリル
系樹脂の単独又は二種以上の組み合わせで使用すること
ができ、たとえばカルボキシル基含有アクリル系樹脂と
これに対して反応性を有する熱硬化性樹脂メラミン系樹
脂、エポキシ系樹脂との組み合わせ、或いはアクリル系
−エポキシ系、アクリル系−アミノ系、アクリル系−エ
ポキシ系−フエニ−ル系、アクリル系−エポキシ系−ア
ミノ系、アクリル−ウレタン系等の組み合わせで用いる
ことができる。たとえば、エポキシ系樹脂成分の場合、
アクリル系樹脂と組み合わせでは、ビスフエノ−ルA等
のビスフエノ−ル類とエピハロヒドリンとの重縮合によ
り得られたビスフエノ−ル型エポキシ樹脂が適当であ
る。
【0012】抗菌剤含有樹脂組成物は、上記のような単
独又は2種以上の組み合わせからなる樹脂と、酸化銀、
酢酸銀、或いはその他の銀塩とを、ブレンダ−又はミキ
サ−等により一般に乾式ブレンドと呼ばれる方法で予備
混合し、該樹脂組成物の樹脂粒子の表面に一様に酸化銀
を付着させることができる。次に、予備混合した樹脂組
成物をその溶融温度以上で、その分解温度よりも低い温
度で、ニ−ダ−や、ミキサ−等を用い混練を行なうが、
一般に混練温度は90〜220℃の範囲が適当である。
【0013】本発明において、抗菌性金属としては、銀
系、銅系等の抗菌性金属を単独或いは2種以上の組み合
わせとして使用し得るが、銀系が適当である。一方、銀
をカルボン酸塩とするのに使用される共重合体の酸単位
としては、メタクリル酸、アクリル酸等のエチレン系不
飽和カルボン酸又はその無水物が挙げられ、これらは単
独又は2種以上の組み合わせとして使用することができ
る。上記抗菌剤の含有量は、特に食品用陳列ケ−ス用等
の用途、及び菌、カビ、ウィルス等の種類、並びに一段
処理又は二段トップコ−ト処理等にもよるが、一般に抗
菌剤の含有量は樹脂組成物(固形分に対し)0.2重量
%以上、好ましくは0.2〜10重量%の範囲をもって
含有することが適当である。上記範囲より少ないとき
は、抗菌作用やその持続性が十分でなく、一方、上記範
囲より多く使用しても抗菌性は殆ど変わらず、持続性の
点でも格別の利点がなく、さらなる抗菌効果を期待でき
ずむしろコストアップ要因となる。また、被膜層の耐腐
食性や耐候性の低下、さらに粗面化し易く、黒ずみ変色
等の要因ともなり、視認上も表面光沢が損なわれる等の
点で不利となる。
【0014】本発明において、抗菌剤を混入した樹脂組
成物に配合する表面凹凸形成剤としては、シリカゲル、
酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウ
ム、クレ−等の一種又は二種以上より選ばれたものを使
用することができ、これによって硝子容器の外周表面を
マット調に仕上げて表面積が多い構成とし、含有抗菌剤
が表面側に位置せしめる形態とすることができる。
【0015】本発明において、抗菌剤を混入した樹脂組
成物に配合せしめる沈降防止剤としては、非水系では分
散せずビヒクルとの溶媒和によって膨潤分散構造を形成
する有機ベントナイト、或いは非極性溶剤中で膨潤ゲル
構造を形成する水添ヒマシ油ワックス、ビヒクル中で膨
潤ゲル構造を形成する有機系の揺変剤であるポリドアマ
イドワックス系、芳香族系の溶剤中にコロイド状に微分
散させた揺変剤で安定なコロイド構造を作る酸化ポリエ
チレン系、せっけんの膨潤分散する性質でゲル化が可能
な金属せっけん類、ヒマシ油、高級脂肪族アルコ−ルの
硫酸化物、リン酸化物の金属塩等が主流で液状物でも後
添加可能で使用が容易な界面活性剤系等を主成分とする
一種又は二種以上より選ばれたものを用いることができ
る。これによって、樹脂組成物中に含有の抗菌剤の沈降
を防止し被膜層の表面側に保持させる構成とすることが
できる。
【0016】
【作用】本発明は、不特定多数の顧客が取り扱う商品陳
列ショ−ケ−スのほか、特に食中毒が憂慮される食品類
陳列ケ−ス等の構築板硝子部材を対象とし、その少なく
とも一方の片面側に抗菌剤を含有した樹脂組成物の被膜
層を形成するが、アンダ−コ−ト層に次いで、抗菌剤含
有のト−プコ−ト層を設けた場合、その表面薄膜に抗菌
剤が集約含有された構成のため抗菌効果を顕現発揮せし
めるように働く。また、抗菌剤を含有した樹脂組成物に
表面凹凸形成剤を配合せしめることにより板硝子材の少
なくとも一方の片面側に形成した塗膜層に積極的に凹凸
を設け表面積の増加を図り、その表面積の拡大に伴い、
抗菌剤の作用を有効に発揮できるように働く。次に、抗
菌剤を含有する樹脂組成物に沈降防止剤を配合せしめる
ことにより含有抗菌剤が可及的被膜層の表面側に位置、
集結し易く、抗菌効果並びに持続性を発揮し得るように
働く。さらに、抗菌剤に対し、表面凹凸形成剤及び/又
は沈降防止剤を適宜組み合わせた樹脂組成物による被膜
層を形成し、これらの相乗効果によって抗菌効果の発揮
と併せ、比較的長期間にわたりその効果を持続できるよ
うに働く。
【0017】
【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。
以下%は重量%を示す。 実施例1 百貨店の食品売場で多く使用されるショ−ケ−スの陳列
棚の構築部材である板硝子材として、以下の加工処理を
行った。ソ−ダ硝子製の板硝子材(厚さ5mm、縦63
0mm、横900mm)の表面側にウレタン系樹脂を主
剤にイソシアネ−トの反応基を添加した塗料を、スプレ
−で塗布し膜厚み20〜25ミクロンのアンダ−コ−ト
層を形成した。次いで、層着したアンダ−コ−ト層に同
じ塗料に、抗菌剤(東亞合成製,ノバロンAG−30
0、平均粒径0.3〜0.8ミクロンの微細粒子を3.
0%を混練し、再度スプレ−塗布を施した。2度目の塗
装膜もアンダ−コ−トと同様に、20〜25ミクロンの
不膜層を形成し、アンダ−コ−トとトップコ−トを合わ
せ40〜50ミクロンに仕上げた。次いで、180℃
で、20分間焼き付け乾燥を施した。
【0018】次に、抗菌性加工の効果を調べる為に、厚
さ5mm、縦20mm×横20mmの板硝子に同様に塗
装膜を塗布し、同様に熱処理を施したものを検体とし、
その表面の指定面に大腸菌を滴下し、25℃、24時間
保存後、生菌数を測定する試験を行なった。試験方法
は、試験菌株Escherichia coli IF
O 3301(大腸菌)を用い、該試験菌株を普通寒天
培地で、35℃、18〜24時間培養した後、滅菌リン
酸緩衝液に菌体を浮遊させ、105 /mLとなるように
調整した。次いで、上記検体の外周表面の指定面に試験
菌液を1mL滴下した後、25℃で保存した。この洗い
出し液中の生菌数をSCDLP寒天培地を用いた混釈平
板培養法(35℃、2日間)により測定した。なお対照
として同じ試験をプラスチック板について行ったものを
比較例1とした。その結果、比較例1では、生菌数,3
5℃、24時間で、5.4×105 に対し、実施例1で
は、1.5×101 であり、大腸菌の繁殖が減少し抑制
されていることが判明した。
【0019】実施例2 寿司店等の生食材の保管に多く使用される冷蔵ケ−スの
底板構築部材である板硝子材として、以下の加工処理を
行った。ソ−ダ硝子製の板硝子材(厚さ5mm、縦33
0mm×横500mm)の表面側に、ウレタン系樹脂及
び艶消しタイプのフッソ系樹脂を混合し、イソシアネ−
トの反応基を添加した塗料に、ゼオライト−銀イオン系
抗菌剤、品川燃料製ゼオミックAW−10N、平均粒径
0.5〜1.0mmを、固形分に対し5.0%混練し、
静電塗装法(米国ランズバ−グ社製,静電塗装機)によ
り、対象物に塗装膜として50〜60ミクロンの塗装膜
を形成した。次いで、170℃で25分間焼き付け乾燥
を施した。
【0020】上記加工板硝子材を検体とし、外周表面の
指定面に試験菌液を1mLを滴下し実施例1と同様の試
験を行なった結果、上記比較例1での5.1×105
対し<10であった。
【0021】実施例3 百貨店やス−パ−または商店街等の実演販売が催される
場合に、購買顧客と実演者との間に設けられる硝子パ−
テ−ション用の板硝子材として、以下の加工処理を行っ
た。ソ−ダ硝子製の板硝子材(厚さ8mm、縦230m
m×横200mm)の表裏面の下部3分の1に実施例2
と同様の塗料に、富士シリシア化学製,シルウェルS−
B03シリカゲル系を平均粒径1.0〜1.5ミクロン
を1.0%混練し、次いで、沈降防止剤・ポリアマイド
ワックス系0.5%を再度混練し、該樹脂組成物中でゲ
ル構造を形成させた後、ディップコ−ティングで塗装膜
厚さ50〜100ミクロン塗装膜を塗布し、190℃で
30分焼き付け乾燥を施した。
【0022】次に、実施例3の加工板硝子材を検体と
し、外周表面の指定面に試験菌液を、1mLを滴下し実
施例1と同様の試験を行った。その結果、比較例1での
5.1×105 に対し、1.3×10であった。
【0023】実施例4 洋菓子ケ−キ、肉屋等の店頭販売で使用される商品陳列
ショ−ケ−スで、特に顧客が商品の状態を目を凝らして
確かめようとする頻度が高い傾向のある陳列用ケ−スの
構築部材に用いる板硝子材として、以下の加工処理を行
った。一般的にこの種の商品陳列ショ−ケ−スの形態
は、局面を同時に保有し、湾曲の部分と平面状の部分と
が1枚で兼ね備えたものであり、このような陳列ケ−ス
に供される板硝子構築部材に加工を施した板硝子加工材
である。ソ−ダ硝子製からなる上記形態の板硝子材に、
メラミン樹脂20%、アクリル樹脂10%、エポキシ系
樹脂20%・硬化剤5%、カップリング剤0.5%から
ナル樹脂組成物を用いて、スプレ−ガンによるアンダ−
コ−ト層を塗布し、20〜25ミクロンの塗膜を形成し
た。次いで、アンダ−コ−ト処理済の該板硝子材に対
し、同じ塗料に抗菌剤(東亞合成製,ノバロンAG−3
00、平均粒径0.3〜0.8ミクロンの微細粒子を
0.5%を混練し、トップコ−トを静電塗装法(米国ラ
ンズバ−グ社製,静電塗装機)により、10〜15ミク
ロンの範囲の薄塗膜を形成した。上記アンダ−コ−ト・
トップコ−トと2段階の塗装が終了した後、180℃、
20分間焼き付け乾燥を施した。
【0024】次に、実施例4で得られた板硝子材を検体
とし、表面の指定面に試験菌液を、1mLを滴下し、実
施例1と同様の試験を行った。その結果、比較例1の
5.1×105 に対し、2.4×102 であった。該抗
菌剤は、1000℃以上の耐熱性があり、水分を含み難
く変色がしない性質を持っており、得られた板硝子材の
外観も表面光沢において美麗であった。
【0025】なお、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は上記した実施例に限定されるものではな
く、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっ
ても本発明に含まれる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、特に食中毒等が憂慮さ
れ衛生管理が重要な食品類陳列ケ−スの構築部材である
板硝子材に、抗菌効果を付与するためアンダ−コ−ト層
に次いで、抗菌剤含有のトップコ−ト層の薄膜、或いは
表面積を大きくする表面凹凸形成剤を混入、沈殿防止剤
を混入し担持させた構成である為、抗菌剤の機能、作用
を有効に発揮でき、雑菌等の増殖或いは繁殖を防止し、
且つ抗菌効果を長期間にわたって持続させることができ
る等の効果を奏する。
フロントページの続き Fターム(参考) 3E062 AA01 AB14 AC06 JA01 JB23 JC07 4G059 AA01 AC01 AC30 EA01 EA04 EA05 EA10 EA11 EA18 EB01 EB05 EB06 GA02 GA04 GA12 4J038 BA202 CB022 CB182 CG001 CG032 DA161 DB061 DH002 HA216 HA286 HA376 HA386 HA486 HA526 HA556 JA44 JA47 JC09 KA07 KA08 KA09 PA01 PA03 PA04 PA06 PC03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面平滑状若しくは少許湾曲状からなる
    板硝子材であって、かつ少なくとも一方の片面側にはア
    ンダ−コ−ト層が設けた後、0.2%以上の抗菌剤を含
    有したトップコ−ト層からなる被膜層を形成し焼き付け
    塗装してなる抗菌性加工板硝子材。
  2. 【請求項2】 前記板硝子材の少なくとも一方の片面側
    には、0.2%以上の抗菌剤及び表面凹凸形成剤を含有
    した樹脂組成物による被膜層を形成し焼き付け塗装して
    なる請求項1記載の抗菌性加工板硝子材。
  3. 【請求項3】 前記表面凹凸形成剤がシリカゲル、酸化
    チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ク
    レ−等の一種又は二種以上より選ばれたものである請求
    項1ないし2記載の抗菌性加工板硝子材。
  4. 【請求項4】 板硝子材の少なくとも一方の片面側に
    は、0.2%以上の抗菌剤及び沈降防止剤を含有した樹
    脂組成物による被膜層を形成し焼き付け塗装してなる抗
    菌性加工板硝子材。
  5. 【請求項5】 前記沈降防止剤が、有機ベントナイト、
    ポリドアマイドワックス系、水添ヒマシ油ワックス、酸
    化ポリエチレン系、金属石鹸類、界面活性剤系等を主成
    分とする一種又は二種以上より選ばれたものである請求
    項4記載の抗菌性加工板硝子材。
  6. 【請求項6】 板硝子材の少なくとも一方の片面側に
    は、0.2%以上の抗菌剤並びに表面凹凸形成剤及び/
    又は沈降防止剤を含有した樹脂組成物による被覆層を形
    成し焼き付け塗装してなる抗菌性加工板硝子材。
  7. 【請求項7】 前記被覆層をロ−ルコ−ティング、ディ
    ップコ−ティング、スプレ−塗布、静電塗装、電着塗
    装、ワイヤ−コ−ト、フロ−コ−ト、ドクタ−コ−ト等
    から選ばれたいずれかの方法により形成してなる請求項
    1〜6記載の抗菌性加工板硝子材。
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