JP2009179673A - 抗菌性塗膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】銀が本来有している光輝性および抗菌性を有し、表面が平滑な抗菌性塗膜、および銀が本来有している光輝性および抗菌性を有し、表面が平滑であり、外観が美麗な食品用容器、食器、家具および建材を提供すること。
【解決手段】厚さが5〜50μmである樹脂プレート6上に銀薄膜が形成された抗菌性フイルムを裁断してなり、目開きが150μmのメッシュを通過する粒子径を有する抗菌性フイルムフレーク9を0.5〜10質量%の含有率で含有し、乾燥後の塗膜厚さ10〜100μmを有することを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】厚さが5〜50μmである樹脂プレート6上に銀薄膜が形成された抗菌性フイルムを裁断してなり、目開きが150μmのメッシュを通過する粒子径を有する抗菌性フイルムフレーク9を0.5〜10質量%の含有率で含有し、乾燥後の塗膜厚さ10〜100μmを有することを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明は、抗菌性塗膜に関する。さらに詳しくは、抗菌性塗膜;例えば、食品、食材などの移送用コンテナ、宅配用断熱性コンテナなどの食品用容器;和食器、洋食器などの食器;食器棚、食卓、机などの家具;および洗面台、台所などに使用される建材に関する。本発明の食品用容器、食器、家具および建材は、前記抗菌性塗膜を有するので、衛生的で清潔な環境で好適に使用することができる。
銀は、その反射光の白色度および輝度が高い反面、亜硫酸ガスや塩素ガスなどと接触したとき、硫化銀や塩化銀などの化合物となるため、その光輝性が損なわれ、いわゆる「いぶし銀」と呼ばれているようにくすんだ色調となる。
銀のくすんだ色調が視認されないようにして銀が本来有する抗菌性を塗料に付与するためには、ナノオーダーの粒子径が非常に小さい銀微粒子を塗料に配合することが考えられる。しかし、銀微粒子は、その直径が非常に小さいため、銀微粒子が有する形状や銀が本来有する美しい輝きを視認することが困難であるとともに、銀微粒子を含有する塗膜に、銀に特有の白色度の高い光輝性を十分に付与することができない。
銀が使用された抗菌性材料として、銀イオンを供給する抗菌剤を有するガラスビーズが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、このガラスビーズには、銀ではなく酸化銀などの銀イオンを供給する抗菌剤が用いられているため、銀が本来有している光輝性を発現させることができない。さらに、このガラスビーズを塗料に添加して使用した場合、平滑な塗膜を形成することができない。
ところで、一般に、高齢者向けの食事の宅配や、生活協同組合などが行なっている食材の宅配システムでは、食品用容器として発泡ポリスチレン製の食品用容器が用いられている(例えば、特許文献2参照)。この発泡ポリスチレン製の食品用容器は、リターナブルな食品用容器として、通常、破壊したり、割れなどによって断熱性が低下するまで繰り返して使用されている。
しかし、発泡ポリスチレン製の食品用容器は、油脂などの汚れが付着しやすいだけでなく、容器内に詰め込まれた食材などによって発泡ポリスチレンに微細な傷がつきやすく、さらに容器内部や発泡体内部は、多湿となりやすいことから、細菌が増殖するのに好都合な環境となっている。
そこで、近年、銀が本来有している光輝性および抗菌性を発現する抗菌性塗膜、および汚れや傷がつきにくく、表面が美麗な抗菌性塗膜を有する食品用容器の開発が望まれている。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、銀が本来有している光輝性および抗菌性を有し、表面が平滑な抗菌性塗膜、および銀が本来有している光輝性および抗菌性を有し、表面が平滑であり、外観が美麗な食品用容器、食器、家具および建材を提供することを課題とする。
本発明の抗菌性塗膜は、厚さが10〜50μmである樹脂フイルム上に銀薄膜が形成された抗菌性フイルムを裁断してなり、目開きが150μmのメッシュを通過する粒子径を有する抗菌性フイルムフレークを0.5〜10質量%の含有率で含有し、乾燥後の塗膜厚さ10〜100μmを有することを特徴とする。本発明の抗菌性塗膜は、前記構成を有するので、銀が本来有している光輝性および抗菌性を有し、表面が平滑である。
本発明の抗菌性塗膜において、前記樹脂フイルムに用いられる樹脂が、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドおよびポリウレタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂である場合、耐候性、耐食性および樹脂フイルムと銀薄膜との密着性を高めることができる。また、これらの樹脂からなる樹脂フイルムを用いた場合には、150℃までの温度で溶融したり、変色しがたいため、形成された抗菌性塗膜が加熱された場合であっても、銀の光輝性を十分に発現させることができる。
本発明の抗菌性塗膜において、前記抗菌性フイルムフレークの銀薄膜上に、さらにポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂の薄膜が形成されている場合、この樹脂の薄膜は、銀薄膜との密着性に優れており、銀薄膜が空気と接触することによって酸化したり、亜硫酸ガスによって硫化することによって光輝性が低下することを防止することができる。
本発明の抗菌性塗膜において、抗菌性フイルムフレークとして、正方形状の抗菌性フイルムフレークが用いられ、当該抗菌性フイルムフレークの一辺の長さと乾燥後の塗膜厚さとが、式(I):
(P−X)≦T≦(P+Y) (I)
〔式中、Pは抗菌性フイルムフレークの一辺の長さ(μm)、Tは乾燥後の塗膜厚さ(μm)、Xは5μm、Yは5μmを示す〕
で表される関係を満足する場合、形成される抗菌性塗膜中に抗菌性フイルムフレークを完全に埋没させずに、塗膜表面上に抗菌性フイルムフレークの端部がより多く現れるようにすることができるので、銀による抗菌性を十分に発現させることができるとともに、抗菌性塗膜の平滑性を高めることができる。
(P−X)≦T≦(P+Y) (I)
〔式中、Pは抗菌性フイルムフレークの一辺の長さ(μm)、Tは乾燥後の塗膜厚さ(μm)、Xは5μm、Yは5μmを示す〕
で表される関係を満足する場合、形成される抗菌性塗膜中に抗菌性フイルムフレークを完全に埋没させずに、塗膜表面上に抗菌性フイルムフレークの端部がより多く現れるようにすることができるので、銀による抗菌性を十分に発現させることができるとともに、抗菌性塗膜の平滑性を高めることができる。
また、本発明の食品用容器は、容器本体および蓋体を有し、少なくとも容器本体および蓋体の内面に前記抗菌性塗膜が形成されている。本発明の食品用容器では、その容器内部に付着した細菌の増殖が抑制されるので、衛生的な環境で食品を収納することができる。また、本発明の食品用容器の抗菌性塗膜が形成されている面は、銀が本来有している光輝性を有し、抗菌性塗膜の表面が平滑であり、外観が美麗である。本発明の食品用容器としては、例えば、硬質樹脂で形成されたシール容器、コンテナやトレー、発泡樹脂で形成された断熱性を有する食品容器などが挙げられる。これらは、いずれも、抗菌性塗膜で細菌の増殖が抑制されるため、衛生的である。
本発明の食器は、その表面に抗菌性塗膜が形成されている。したがって、本発明の食器は、抗菌性塗膜により、食器の表面で細菌が増殖するのが抑制され、銀が本来有している光輝性を有し、抗菌性塗膜の表面が平滑であり、外観が美麗であるので、例えば、ファミリーレストランなどの外食産業、病院、学校、家庭などで好適に使用することができる。
本発明の家具は、その表面に抗菌性塗膜が形成されている。したがって、本発明の家具は、表面の抗菌性塗膜により、家具の表面に付着した細菌の増殖が抑制され、銀が本来有している光輝性を有し、抗菌性塗膜の表面が平滑であり、外観が美麗である。本発明の家具としては、例えば、食器棚、テーブル、机などが挙げられ、これらは、いずれも、抗菌性塗膜で細菌の増殖が抑制されるため、衛生的である。
本発明の建材は、その表面に抗菌性塗膜が形成されている。したがって、本発明の建材は、表面に付着した細菌の増殖が抑制され、しかも銀が本来有している光輝性を有し、抗菌性塗膜の表面が平滑であり、外観が美麗であるので、例えば、台所のテーブルトップ、洗面台のトップ、浴室の壁面などに好適に使用することができる。
本発明の抗菌性塗膜は、銀が本来有している光輝性および抗菌性を有し、表面が平滑である。本発明の食品用容器、食器、家具および建材は、その表面に前記抗菌性塗膜が形成されているので、銀が本来有している光輝性および抗菌性を有し、表面が平滑であり、外観が美麗である。
本発明の抗菌性塗膜は、厚さが5〜50μmである樹脂フイルム上に銀薄膜が形成された抗菌性フイルムを裁断することによって得られ、目開きが150μmのメッシュを通過する粒子径を有する抗菌性フイルムフレークを0.5〜10質量%の含有率で含有し、乾燥後の塗膜厚さ10〜100μmを有することを特徴とする。
抗菌性フイルムは、樹脂フイルム上に銀薄膜を形成することによって得られる。樹脂フイルムに用いられる樹脂は、耐候性および抗菌性フイルムと銀薄膜との密着性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66などのポリアミド、ポリイミドおよびポリウレタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。これらのなかでは、汎用性および透明性の観点から、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
樹脂フイルムは、1種類の樹脂で形成された単層構造を有するものであってもよいが、2層以上の多層構造を有するものであってもよい。2層以上の多層構造を有する樹脂フイルムは、単層構造を有する樹脂フイルムの表面上に、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂を塗布することにより、形成することができる。多層構造を形成している各樹脂層は、同一種類の樹脂で形成されていてもよく、あるいは異なる種類の樹脂で形成されていてもよい。
樹脂フイルムの厚さは、樹脂フイルムが変形するのを防止する観点から、5μm以上であり、コスト面および反射光の透過性の観点から、50μm以下、好ましくは20μm以下である。
樹脂フイルム上に形成される銀薄膜の厚さは、銀が有する光輝性および抗菌性を十分に発現させる観点から、好ましくは30nm以上、より好ましくは40nm以上であり、銀薄膜の形成に要する時間を短縮させるとともに、コストの低減を図る観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは60nm以下である。銀薄膜は、例えば、真空蒸着法、イオン蒸着法、スパッタリング法などの方法によって樹脂フイルム上に形成させることができる。これらの方法のなかでは、コスト面から、真空蒸着法が好ましい。
抗菌性フイルムフレークの銀薄膜上には、さらにポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂からなる薄膜(以下、樹脂薄膜という)が形成されていることが好ましい。このように抗菌性フイルムフレークの銀薄膜上に樹脂薄膜が形成されている場合、銀薄膜と空気との接触が阻まれるので、銀の酸化や硫化を防止し、銀が本来有している光輝性を十分に発現させることができる。
抗菌性フイルムフレークの銀薄膜上に樹脂薄膜を形成させる方法としては、例えば、
抗菌性フイルムフレークを製造する前に、あらかじめ抗菌性フイルムの銀薄膜上に樹脂フイルムを積層し、融着一体化させる方法、あらかじめ抗菌性フイルムの銀薄膜上に溶解または溶融させた樹脂をグラビアコーターなどにより塗布し、形成された樹脂薄膜を硬化させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
抗菌性フイルムフレークを製造する前に、あらかじめ抗菌性フイルムの銀薄膜上に樹脂フイルムを積層し、融着一体化させる方法、あらかじめ抗菌性フイルムの銀薄膜上に溶解または溶融させた樹脂をグラビアコーターなどにより塗布し、形成された樹脂薄膜を硬化させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
抗菌性フイルムフレークの銀薄膜上に形成される樹脂薄膜の厚さは、その樹脂薄膜の機械的強度を高める観点および銀が本来有している光輝性を十分に発現させる観点から、通常、1〜6μm程度である。さらに抗菌性フイルムフレークの機械的強度を高める観点から、樹脂薄膜上にバインダーとしてポリエチレンテレフタレートなどからなる樹脂フイルムを貼付してもよい。
樹脂フイルム上に銀薄膜が形成され、必要により銀薄膜上に樹脂薄膜が形成された抗菌性フイルムの厚さは、樹脂フイルムの厚さ、銀薄膜の厚さ、樹脂薄膜の厚さなどによって異なるので一概には決定することができないが、通常、これらの厚さの和である。
抗菌性フイルムフレークは、抗菌性フイルムを所望の大きさに裁断することによって得られる。裁断の方法には特に限定がなく、その裁断方法としては、例えば、裁断機やロータリーカッターなどを用いて抗菌性フイルムを裁断する方法などが挙げられる。より具体的には、抗菌性フイルムフレークは、例えば、抗菌性フイルムに所定の幅でマイクロスリットを施した後、得られた抗菌性フイルムの裁断片をマイクロスリットに対して直角方向で所定の幅で裁断することによって得ることができる。
抗菌性フイルムフレークの端面では、銀薄膜の銀が露出している。この露出している銀が水分と接触したとき、水中に溶出し、銀イオンとなるので、抗菌性が発現する。
抗菌性フイルムフレークは、塗膜表面の平滑性を高める観点から、目開きが150μm、好ましくは125μm以下、より好ましくは75μm以下のメッシュを通過する粒子径を有する。また、抗菌性フイルムフレークは、銀が有する光輝性を十分に視認しうるようにする観点から、目開きが20μm以上、好ましくは25μm以上、より好ましくは45μm以上のメッシュを通過しない粒子径、すなわちそのメッシュ上に残存する粒子径を有することが望ましい。
抗菌性フイルムフレークの形状としては、例えば、正方形状、長方形状、三角形状、星形状、短冊形状、その他の多角形状、円形状、楕円形状などが挙げられる。これらの形状のなかでは、形成された抗菌性塗膜の表面の平滑性を高める観点から、正方形状、長方形状および円形状が好ましく、コスト面から抗菌性フイルムを重ね切りすることによって形成することができる正方形状および長方形状がより好ましく、正方形状がさらに好ましい。
本発明の抗菌性塗膜に用いられる塗料としては、例えば、ウレタン系塗料、酢酸ビニル系塗料、アクリル系塗料などが挙げられる。これらの塗料のなかでは、比較的厚膜の塗膜を形成させることができることから、ウレタン系塗料および酢酸ビニル系塗料が好ましく、耐食性を高める観点から、ウレタン系塗料がより好ましい。
塗料に添加する抗菌性フイルムフレークの量は、塗料の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、塗料に含まれる樹脂固形分量100質量部あたり、抗菌性および光輝性を十分に発現させる観点から、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、抗菌性塗膜の平滑性を高める観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
なお、塗料には、形成される抗菌性塗膜の親水性を向上させ、銀の溶出を促進させる観点から、シリカパウダーを添加することが好ましい。
シリカパウダーの粒子径は、特に限定されないが、通常、1〜10μmの範囲内にあることが好ましい。シリカパウダーの量は、塗料に含まれている樹脂固形分量100質量部あたり、形成される抗菌性塗膜の親水性を向上させる観点から、好ましくは1.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上であり、抗菌性塗膜の平滑性を高める観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以上である。
抗菌性フイルムフレークを添加した塗料を基材に塗布する方法としては、例えば、スプレーコーティング法、刷毛塗り法、ロールコーター法、フローコーター法、浸漬法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみによって限定されるものではない。
なお、例えば、一辺の長さが50μmである正方形状の抗菌性フイルムフレークを添加した塗料を乾燥後の塗膜厚さが20μm程度となるように基材に塗布した場合、その塗膜厚さが抗菌性フイルムフレークの一辺の長さよりも小さいので、形成された抗菌性塗膜の表面から抗菌性フイルムフレークが突出し、抗菌性塗膜の表面に顕著な凹凸が現れるようになる。そこで、塗膜表面の平滑性を高めるために、塗膜厚さを大きくすることが考えられるが、塗膜厚さを大きくすると、塗料を塗布するときに液ダレや塗り斑が生じたり、塗膜にいわゆるワキが生じるおそれがある。
したがって、このような場合には、1回の塗布によって膜厚が20μm程度の塗膜を形成し、塗膜が半硬化した状態で、1回目と同様にして2回目の塗布を行ない、膜厚が20μm程度の塗膜を重ね塗りすることが好ましい。このように2回目の重ね塗りを行なった場合には、塗膜全体の厚さが大きいにもかかわらず、液ダレや塗り斑の発生を防止することができる。
また、2回目の重ね塗りの際に使用された塗料に含まれている溶媒によって1回目の塗布によって形成された塗膜の表面が溶解するので、1回目の塗布によって形成された塗膜と重ね塗りによって形成された塗膜とが両者の境界面で混ざり合って一体化する。さらに、塗膜全体の厚さを抗菌性フイルムフレークの一辺の長さと同等かまたはそれよりも大きくすることができることから、抗菌性フイルムフレークの大部分が塗膜中に埋没するため、形成された塗膜の表面から抗菌性フイルムフレークが顕著に突出することが防止されるので、表面が平滑な抗菌性塗膜を形成することができる。
形成された塗膜中に抗菌性フイルムフレークを完全に埋没させずに、抗菌性塗膜の表面上に抗菌性フイルムフレークの端部がより多く現れるようにすることにより、銀による抗菌性を十分に発現させる観点、および抗菌性塗膜の平滑性を高める観点から、抗菌性フイルムフレークとして、正方形状の抗菌性フイルムフレークを用い、この抗菌性フイルムフレークの一辺の長さと乾燥後の塗膜厚さとが、式(I):
(P−X)≦T≦(P+Y) (I)
〔式中、Pは抗菌性フイルムフレークの一辺の長さ(μm)、Tは乾燥後の塗膜厚さ(μm)、Xは5μm、Yは5μmを示す〕
で表される関係を満足することが好ましい。
(P−X)≦T≦(P+Y) (I)
〔式中、Pは抗菌性フイルムフレークの一辺の長さ(μm)、Tは乾燥後の塗膜厚さ(μm)、Xは5μm、Yは5μmを示す〕
で表される関係を満足することが好ましい。
式(I)において、Xは、抗菌性塗膜の平滑性を高める観点から、好ましくは5μm、より好ましくは3μmである。また、Yは、塗膜表面上に抗菌性フイルムフレークの端部がより多く現れるようにすることにより、銀による抗菌性を十分に発現させる観点から、好ましくは5μm、より好ましくは3μmである。
前記基材の材質としては、例えば、樹脂、木材、金属、ガラス、紙などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
なお、基材が、使用される塗料に含まれている溶媒に溶解する性質を有する場合、その塗料を該基材に塗布したとき、基材が該溶媒によって変質したり、溶解するおそれがある。このような場合には、基材を溶解するなどの悪影響を基材に与えず、形成される抗菌性塗膜との接着性に優れているプライマーをあらかじめ基材に塗布しておくことが好ましい。このような性質を有するプライマーとしては、例えば、基材が樹脂で形成されている場合、無溶剤型の2液反応硬化性のウレタン塗料やエマルジョン塗料などが挙げられる。
なお、基材に塗布することによって形成される抗菌性塗膜の乾燥後の塗膜厚さは、塗料の種類や塗料に含まれている抗菌性フイルムフレークの大きさによって異なるので一概には決定することができないが、抗菌性塗膜に含まれている抗菌性フイルムフレークの絶対量を増加させることによって抗菌性を高める観点から、10μm以上、好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、塗り斑を防止し、抗菌性塗膜を平滑にする観点から、100μm以下、好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。
以上説明したように、本発明の抗菌性塗膜は、銀が本来有する光輝性および抗菌性を併せ持つので、種々の物品に好適に使用することができる。
本発明の抗菌性塗膜を好適に使用しうる物品の具体例としては、例えば、食品、食材などの移送用コンテナ、宅配用断熱性コンテナなどの食品用容器;和食器、洋食器などの食器;食器棚、食卓、机などの家具;洗面台、台所などに使用される建材などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の食品用容器は、容器本体および蓋体を有し、少なくとも容器本体および蓋体の内面に前記抗菌性塗膜が形成されている。
食品用容器の容器本体および蓋体は、通常、樹脂で形成される。容器本体および蓋体は、例えば、射出成形などによって成形された成形体であってもよく、あるいは型内発泡成形などによって成形された樹脂発泡体であってもよい。
容器本体および蓋体に用いられる樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂、AS樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。容器本体および蓋体は、食品を保存するときなどに外気温による影響を受けにくくする観点から、断熱性を有する樹脂発泡体で構成されていることが好ましい。
好適な食品用容器としては、ビーズ法発泡ポリスチレンなどに代表される発泡ポリスチレンからなる容器、発泡ポリプロピレン容器、発泡ポリエチレン容器などが挙げられる。これらの中では、軽量でかつ断熱性に優れていることから、発泡ポリスチレン容器が好ましい。発泡ポリスチレン容器の発泡倍率は、断熱性を高める観点から、好ましくは10倍以上、より好ましくは20倍以上であり、機械的強度を高める観点から、好ましくは50倍以下、より好ましくは40倍以下である。
本発明の食品用容器は、少なくとも容器本体および蓋体の内面に前記抗菌性塗膜が形成されているので、その内面が抗菌性を有するとともに、油脂などの汚れが付着しがたく、容器内に詰め込まれた食材などによって微細な傷がつきがたいため、容器内部が多湿であっても細菌が増殖しがたいという利点がある。
なお、前記抗菌性塗膜は、食品用容器の容器本体の内面のみに形成されていてもよいが、容器全体に光輝性および抗菌性を付与し、機械的強度を高める観点から、容器本体の内面のみならず外面にも形成されていることが好ましい。また、これと同様に、容器全体に光輝性および抗菌性を付与し、機械的強度を高める観点から、食品用容器の蓋体の内面および外面に抗菌性塗膜が形成されていることが好ましい。
図1は、本発明の食品用容器の一実施態様を示す概略斜視図である。図1に示される食品用容器は、容器本体1および蓋体2で構成され、容器本体1および蓋体2は、いずれも、断熱性を付与するために発泡ポリスチレンなどの樹脂発泡体で形成されている。
容器本体1および蓋体2の外表面には、抗菌性塗膜(図示せず)が形成されている。より具体的には、図1に示された容器本体1の一部概略断面図である図2に示されているように、樹脂発泡体3の表面上に下地層4が形成され、下地層4の上面に抗菌性塗膜5が形成されている。下地層4は、抗菌性塗膜5を直接、樹脂発泡体3に塗布したときに、抗菌性塗膜5を形成させるために使用した塗料に含まれている溶媒によって樹脂発泡体3が溶解したり、変質したりするのを防止するために形成されている。
したがって、抗菌性塗膜5を形成するために使用される塗料に含まれている溶媒が樹脂発泡体3を溶解させたり、変質させたりする性質を有しない場合には、下地層4が形成されていなくてもよい。
なお、抗菌性塗膜5を形成するために使用される塗料が樹脂発泡体3を溶解させたり、変質させたりする性質を有しない場合であっても、下地層4を介在させることにより、抗菌性塗膜5と樹脂発泡体3との接着性が向上する場合には、下地層4を形成させることが好ましい。
本発明の食品用容器の大きさ、容量および形状は、その用途などによって異なるため、一概に決定することができないので、その用途などに応じて適宜調整することが好ましい。
以上のように構成される本発明の食品用容器は、少なくともその容器本体および蓋体の内面に抗菌性を有し、汚れや傷がつきにくく、表面が美麗な抗菌性塗膜を有する。さらに、本発明の食品用容器は、ポリスチレン発泡体で形成されている場合、従来のポリスチレン発泡体からなる食品用容器と対比して遜色のない断熱性を有する。
また、本発明の食品用容器は、少なくともその容器本体および蓋体の内面に抗菌性塗膜を有するので、その容器内部で細菌の増殖が抑制されることから、食品、食材などの移送用コンテナ、宅配用断熱性コンテナなどとして好適に使用することができる。
本発明の食器は、その表面に、前記抗菌性塗膜が形成されている。本発明の食器は、その表面に前記抗菌性塗膜が形成されているので、食器の表面で細菌が増殖するのが抑制されるため、衛生的であり、さらに銀が本来有している光輝性が発現されるので、その外観が美麗であることから、例えば、ファミリーレストランなどの外食産業、病院、学校、家庭などで好適に使用することができる。
食器としては、例えば、茶碗、湯飲み茶碗、碗、皿などの和食器、洋皿、ティーポット、コーヒーカップ、紅茶カップ、ボールなどの洋食器などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の家具は、その表面に抗菌性塗膜が形成されている。本発明の家具は、その表面に前記抗菌性塗膜が形成されているので、家具の表面に付着した細菌の増殖が抑制されることから衛生的であり、しかも銀が本来有している光輝性が発現されるので、その外観が美麗である。
家具としては、例えば、食器棚、テーブル、机などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の建材は、その表面に抗菌性塗膜が形成されている。本発明の建材は、その表面に前記抗菌性塗膜が形成されているので、表面に付着した細菌の増殖が抑制されることから衛生的であり、しかも銀が本来有している光輝性による美麗効果が発現されるので、その外観が美麗である。
建材としては、例えば、台所のテーブルトップ、洗面台のトップ、浴室の壁面などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
ポリエチレンテレフタレートからなる幅600mm、長さ200m、厚さ9μmのフイルムの片面にコロナ放電処理を施し、このコロナ放電が施された面に真空蒸着により、厚さが50nmの銀薄膜を形成した。さらに形成された銀薄膜の表面上に、片面にホットメルト接着剤が塗布されたラミネート用ポリエチレンテレフタレートフイルムでドライラミネートを行ない、3層構造を有する厚さが約18μmの抗菌性フイルムを製造した。
ポリエチレンテレフタレートからなる幅600mm、長さ200m、厚さ9μmのフイルムの片面にコロナ放電処理を施し、このコロナ放電が施された面に真空蒸着により、厚さが50nmの銀薄膜を形成した。さらに形成された銀薄膜の表面上に、片面にホットメルト接着剤が塗布されたラミネート用ポリエチレンテレフタレートフイルムでドライラミネートを行ない、3層構造を有する厚さが約18μmの抗菌性フイルムを製造した。
次に、得られた抗菌性フイルムを幅600mm、長さ600mmの平板状に裁断し、100枚を重ね合わせて圧縮し、幅が50μmとなるように裁断機で裁断することにより、細糸状のフイルム片を作製した。このフイルム片をさらに長手方向に幅が50μmとなるように裁断することにより、縦50μm、横50μm、厚さ約18μmの正方形状を有する抗菌性フイルムフレークを作製した。得られたフイルムフレークの一辺の長さは、いずれも、45〜55μmの範囲内にあった。
シンナー250g、前記で得られた抗菌性フイルムパウダー19gおよびシリカパウダー〔富士シリシア化学(株)、商品名:サイリシア〕19gを均一な組成となるように混合し、シンナー混合物を得た。
次に、2液性ウレタン塗料〔カシュー(株)製、商品名:ストロンTXL2800〕を用い、その主剤であるポリオール化合物500gと前記シンナー混合物288gとを混合した後、硬化剤としてイソシアネート化合物250gを混合し、塗料1038gを得た。
得られた塗料1038gを加圧式コンテナ〔(株)アネスト岩田製、品番:PC−18D〕に充填し、スプレーガン〔アネスト岩田(株)製、品番:LPH−101−122P〕に取り付けた。
一方、ABS樹脂〔テクノポリマー(株)製、品番:150〕100質量部あたり黒色顔料としてカーボンブラック1質量部の割合で両者を混合し、得られた混合物を射出成形機〔日精樹脂工業(株)製、型締め圧力:75t〕により、縦120mm、横120mm、厚さ4mmの樹脂プレート5枚をあらかじめ製造しておいた。
この樹脂プレート5枚を塗装用の台の上に平坦に並べ、塗装面に対して鉛直方向で30cmの上部の位置にスプレーガンのノズルを下向きに配置し、プレート1枚あたり5秒間程度の噴霧を行なった。このとき、塗装面に塗料のタレや斑の発生がなく、塗膜は、平滑に形成されていた。残りの4枚のプレートについても、前記と同様にして噴霧を行なった。
塗料の噴霧後、各樹脂プレートをそのままの状態で室温中にて15分間静置し、形成された塗膜の指触を行なったところ、多少指へのタックがあり、塗膜は半ゲル状となっていた。この状態で、各樹脂プレートに1回目と同様にして2回目の塗料の噴霧を行なった。
2回目の噴霧を行なったとき、塗装面に塗料のタレや斑の発生がなく、形成された塗膜は、平滑であった。2回目の塗布後、室温中で30分間常温乾燥を行ない、シンナーの揮発を促し、抗菌性塗膜を形成した。
図3は、抗菌性塗膜A7および抗菌性塗膜B8が形成された樹脂プレート6の概略説明図である。図3に示されるように、樹脂プレート6上には、1回目の塗布によって形成された抗菌性塗膜A7を有し、その上面には2回目の塗布によって形成された抗菌性塗膜B8を有する。抗菌性塗膜A7および抗菌性塗膜B8のなかには、抗菌性フイルムフレーク9が分散している。
次に、シンナーの揮発と生成したポリウレタンの塗膜の硬化を促進させるために、抗菌性塗膜が形成された樹脂プレート5枚を60℃の乾燥室内に入れ、3時間乾燥させた後、乾燥室から各樹脂プレートを取り出し、その時点で指触を試みたが、形成された抗菌性塗膜は、十分に硬化していた。その後、各樹脂プレートを24時間常温で放置した。
次に、これらの樹脂プレートうちの1枚の樹脂プレートに対し、JIS K5600−5.6に準拠してクロスカット試験を行なった。クロスカットは、2mm間隔とし、格子パターンを縦6個、横6個の合計36個とし、市販のセロハン粘着テープの接着面に密着させた後、90度の角度でセロハン粘着テープを剥がし、セロハン粘着テープを剥がした塗膜面を目視にて観察した。その結果、格子内の抗菌性塗膜の剥離が認められなかった。
乾燥させた抗菌性塗膜の塗膜厚さを光学式デジタル顕微鏡(キーエンス社製、商品名:DIGITAL―MICROSCOPE、VHX−100F)で5点観察し、その平均値を求めたところ、その平均値は43μmであった。
次に樹脂プレートの表面に形成された抗菌性塗膜の抗菌性をJIS Z2801に基づいて調べた。この抗菌性試験は、社団法人京都微生物研究所に依頼して行なった。その結果(抗菌検査NO―8053)を表1に示す。なお、ブランクプレートは、抗菌性塗膜が形成されていない樹脂プレートを用いて試験したときの結果を示す。
表1に示された結果から、表面上に抗菌性塗膜が形成された樹脂プレートは、ブランクプレートと対比して、格段に優れた抗菌性を有することがわかる。
実施例2
食品用容器として、図1に示される容器本体および蓋体2からなる食品輸送用コンテナ(外形寸法:幅550mm、奥行き345mm、高さ178mm、厚さ:27.5mm、容量:22L、ビーズ法発泡ポリスチレン(EPS)製、発泡倍率:30倍)を用いた。
食品用容器として、図1に示される容器本体および蓋体2からなる食品輸送用コンテナ(外形寸法:幅550mm、奥行き345mm、高さ178mm、厚さ:27.5mm、容量:22L、ビーズ法発泡ポリスチレン(EPS)製、発泡倍率:30倍)を用いた。
この容器本体1および蓋体2の全表面に、耐有機溶媒性を付与するために無溶媒反応硬化型ウレタン塗料〔(株)J−FIT製、商品名:ケムプライム3501〕を塗布し、厚さ100μmの下地層(図示せず)を形成した。
この容器本体1の底面が上となるように、容器本体1を逆さまにして回転可能な塗料台に置いた。
次に、実施例1と同様にして調製した塗料を加圧式コンテナ〔(株)アネスト岩田製、品番:PC−18D〕に充填し、スプレーガン〔アネスト岩田(株)製、品番:LPH−101−122P〕に取り付けた後、乾燥後の塗膜厚さが20μm程度となるように容器本体1の底面と側面に塗布したが、液ダレが生じなかった。この塗料を容器本体1の外表面全体に塗布し、1層目の抗菌性塗膜を形成し、そのままの状態で室温中にて10分間静置した。この時点では、塗膜が完全には乾燥しておらず、塗膜の硬化が少し進んだ状態であった。
その後、乾燥後の塗膜厚さが20μm程度となるように、前記と同様にして1層目の塗膜の上に前記塗料を上塗りし、この容器本体1を雰囲気温度が60℃の乾燥室内に30分間入れた後、乾燥室から取り出した。
次に、この容器本体1の内面にも、前記と同様にして抗菌性塗膜を形成させ、60℃の乾燥室で3時間乾燥することにより、その全面が抗菌性塗膜で覆われた容器本体1を得た。また、これと同様にして、蓋体2の内面および外面にも抗菌性塗膜を形成させ、その全面が抗菌性塗膜で覆われている食品輸送用コンテナを得た。
次に、この食品輸送用コンテナの圧縮試験を以下の方法に基づいて行なった。その結果を図4に示す。
〔圧縮試験方法〕
食品輸送用コンテナの上面全体に、厚さ40mmのベニヤ板を置き、圧縮試験用プレスを用いて均一に荷重がかかるように食品輸送用コンテナを圧縮し、著しい変形または破壊するまでの荷重をオートグラフ〔(株)島津製作所製、商品名:オートグラフAG−50kNE〕を用いて測定した。
食品輸送用コンテナの上面全体に、厚さ40mmのベニヤ板を置き、圧縮試験用プレスを用いて均一に荷重がかかるように食品輸送用コンテナを圧縮し、著しい変形または破壊するまでの荷重をオートグラフ〔(株)島津製作所製、商品名:オートグラフAG−50kNE〕を用いて測定した。
図4に示された結果から、食品輸送用コンテナの初期の高さの10%である17.8mmの変形(圧縮寸法)における圧力は、約3.5kNであり、さらに圧力を高めて圧力が9kNとなった時点でも、食品輸送用コンテナは破壊せずに、圧縮圧力に耐えることがわかる。
このことから、実施例2で得られた食品輸送用コンテナは、通常の食品容器として使用する際の耐圧荷重である約1kN程度には十分に耐えるものであることがわかる。なお、圧縮寸法が約43mmのときに、大きな圧力の低下が見られるが、これは、食品輸送用コンテナの上部に設置したベニヤ板の割れによる変形に基づくものである。
実施例3
実施例2と同様にして食品輸送用コンテナを製造し、その食品輸送用コンテナの物性として、断熱性を以下の方法に基づいて測定した。その結果を表2に示す。
実施例2と同様にして食品輸送用コンテナを製造し、その食品輸送用コンテナの物性として、断熱性を以下の方法に基づいて測定した。その結果を表2に示す。
〔断熱性の測定方法〕
食品輸送用コンテナ内にドライアイスのブロック(ブロック1個の質量:2kg)2個を入れた。このとき、ドライアイスの底面に食品輸送用コンテナが直接接触しないようにするために、食品輸送用コンテナの内側の底面全体にポリウレタン製スポンジ(厚さ:4cm)を敷いた。
食品輸送用コンテナ内にドライアイスのブロック(ブロック1個の質量:2kg)2個を入れた。このとき、ドライアイスの底面に食品輸送用コンテナが直接接触しないようにするために、食品輸送用コンテナの内側の底面全体にポリウレタン製スポンジ(厚さ:4cm)を敷いた。
この食品輸送用コンテナ(質量:1396g)を10℃の恒温室内に置き、ドライアイスの質量の経時変化を調べた。なお、ドライアイスの質量は、ドライアイスのブロックを入れた食品輸送用コンテナの質量から食品輸送用コンテナおよび発泡スポンジの質量を引くことによって求めた。
比較例1
実施例3で得られた食品輸送用コンテナの代わりに、従来の食品保管用コンテナ〔積水化成品工業(株)製、商品名:エスレンコンテナMTR−22、容量20L、全体の質量:2846g〕を用い、実施例3と同様にして断熱性を調べた。その結果を表2に示す。
実施例3で得られた食品輸送用コンテナの代わりに、従来の食品保管用コンテナ〔積水化成品工業(株)製、商品名:エスレンコンテナMTR−22、容量20L、全体の質量:2846g〕を用い、実施例3と同様にして断熱性を調べた。その結果を表2に示す。
表2に示された結果から、実施例3で得られた食品輸送用コンテナは、比較例1の従来の食品保管用コンテナと対比して、断熱性に優れていることがわかる。
したがって、実施例3で得られた食品輸送用コンテナは、食品を輸送したり、保管するためのコンテナとして好適に使用しうるものであることがわかる。
実施例4
実施例2と同様にして食品輸送用コンテナを製造し、そのコンテナの内面底部を50mm×50mmの寸法で切り取った試験片について、大腸菌および黄色ブドウ球菌による抗菌性試験を行なった。
実施例2と同様にして食品輸送用コンテナを製造し、そのコンテナの内面底部を50mm×50mmの寸法で切り取った試験片について、大腸菌および黄色ブドウ球菌による抗菌性試験を行なった。
なお、抗菌性試験は、社団法人京都微生物研究所に依頼して行なった。試験は、JIS Z2801に規定のフイルム密着法によって行なった。その結果(抗菌検査NO−8213)を表3に示す。なお、コントロールは、抗菌性を有しないポリエチレンフイルムを用いて試験を行なったときの結果を示す。
表3に示された結果から、実施例4で得られた食品輸送用コンテナの容器本体の表面の抗菌性塗膜は、大腸菌および黄色ブドウ球菌のいずれについても、24時間経過後の生菌数が10個未満であり、減菌率が99.99%であることがわかる。また、実施例4で得られた食品輸送用コンテナの容器本体の表面の抗菌性塗膜は、抗菌活性値の判定基準値である2を超えることから、十分な抗菌性を備えていることがわかる。
以上の結果から、本発明の抗菌性塗膜は、抗菌性を有するので、衛生的で清潔な環境で使用される用途、例えば、食品、食材などの移送用コンテナ、宅配用断熱性コンテナなどの食品用容器;和食器、洋食器などの食器;食器棚、食卓、机などの家具;および洗面台、台所などに使用される建材に好適に使用することができることがわかる。
1 容器本体
2 蓋体
3 樹脂発泡体
4 下地層
5 抗菌性塗膜
6 樹脂プレート
7 抗菌性塗膜A
8 抗菌性塗膜B
9 抗菌性フイルムフレーク
2 蓋体
3 樹脂発泡体
4 下地層
5 抗菌性塗膜
6 樹脂プレート
7 抗菌性塗膜A
8 抗菌性塗膜B
9 抗菌性フイルムフレーク
Claims (8)
- 厚さが5〜50μmである樹脂フイルム上に銀薄膜が形成された抗菌性フイルムを裁断してなり、目開きが150μmのメッシュを通過する粒子径を有する抗菌性フイルムフレークを0.5〜10質量%の含有率で含有し、乾燥後の塗膜厚さ10〜100μmを有することを特徴とする抗菌性塗膜。
- 樹脂フイルムに用いられる樹脂が、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドおよびポリウレタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂である請求項1に記載の抗菌性塗膜。
- 抗菌性フイルムフレークの銀薄膜上に、さらにポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アクリル樹脂およびエポキシ樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種の樹脂からなる薄膜が形成されている請求項1または2に記載の抗菌性塗膜。
- 抗菌性フイルムフレークとして、正方形状の抗菌性フイルムフレークが用いられ、当該抗菌性フイルムフレークの一辺の長さと乾燥後の塗膜厚さとが、式(I):
(P−X)≦T≦(P+Y) (I)
〔式中、Pは抗菌性フイルムフレークの一辺の長さ(μm)、Tは乾燥後の塗膜厚さ(μm)、Xは5μm、Yは5μmを示す〕
で表される関係を満足する請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌性塗膜。 - 容器本体および蓋体を有し、少なくとも容器本体および蓋体の内面に請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌性塗膜が形成されていることを特徴とする食品用容器。
- 表面に請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌性塗膜が形成されていることを特徴とする食器。
- 表面に請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌性塗膜が形成されていることを特徴とする家具。
- 表面に請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌性塗膜が形成されていることを特徴とする建材。
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Cited By (3)
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CN101891965A (zh) * | 2010-08-09 | 2010-11-24 | 粟斌 | 一种自动杀菌消毒的银离子树脂及其制造方法和用途 |
WO2014040203A2 (zh) * | 2012-09-17 | 2014-03-20 | Zhu Ge Jian Feng | 自消毒餐具及其制作方法 |
CN110205016A (zh) * | 2019-06-24 | 2019-09-06 | 李文森 | 一种红木家具抗菌面漆 |
-
2008
- 2008-01-30 JP JP2008018526A patent/JP2009179673A/ja not_active Withdrawn
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