JP2001071859A - 歩行者安全モジュール装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 後端部がヒンジ固定されたボンネットのため
の歩行者安全装置を提供する。 【解決手段】 歩行者安全装置は、ボンネット１の車両
進行方向前端4の下側に配置された歩行者安全モジュー
ル2とボンネット1の車両進行方向後端５に配置されたヒ
ンジ組立体3と、からなる。ボンネット1は、モジュール
2にラッチ固定されている。ボンネット1の車両進行方向
前端4に歩行者による衝撃が加わった場合に、モジュー
ル2は回転するよう機械的に解放され、ボンネット1はそ
の前端4が下方に下げられる。同時に、ボンネット1の回
転衝撃はボンネット1の後端5を上方に持ち上げるよう使
用される。後部ヒンジ組立体3における２つのヒンジ・
バー11,12は、ボンネットへの衝撃により解放されてボ
ンネット後端5の持ち上がりを可能とし、ボンネット1を
展開位置に固定する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は歩行者安全装置に関
し、より具体的には自動車用の歩行者安全装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】視界、空力及び外観上の理由から、近年
の自動車の設計においては、ボンネットの高さを極力低
い位置に保つことが望まれている。その結果、自動車の
ボンネットとエンジン・ルーム収容物との間隔が、殆ど
ない状態となっている。従って、衝突の際に歩行者によ
る衝撃が加わった際の、ボンネットによる衝撃吸収効果
は極めて小さいものとなる。歩行者安全性能は、ボンネ
ットの隙間を大きくすることにより向上することが出来
る。それで、歩行者による衝撃が加わった際にボンネッ
ト位置を高くするための工夫が、必要である。

【０００３】ヨーロッパ特許0630801 B1号には、車両進
行方向前端にヒンジを有し、後端に解放可能なラッチを
有する車両用ボンネットが開示されている。ヒンジ機構
とラッチ機構の両方によってボンネットが車両に取り付
けられており、それら両者は、ボンネットの前端が衝突
時に歩行者による衝撃を受けた際に、その全長に亘って
ボンネット全体を持ち上げるよう、配置されている。上
記の特許明細書に開示されたヒンジ及びラッチ機構は、
車両進行方向前端でヒンジ固定されたボンネットについ
てのものであるが、それは車両進行方向後端でヒンジ固
定されたボンネットには適用できない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】それで、本発明の主な
目的は、後方でヒンジ固定されたボンネットのための、
上述のいずれの欠点も持たない歩行者安全装置を提供す
ることである。

【０００５】本発明によれば、後方でヒンジ固定された
ボンネットのための歩行者安全装置が提供され、それが
ボンネットの車両進行方向後端の位置を高くしつつ、ボ
ンネットの車両進行方向前端による歩行者の衝撃に対す
る衝撃吸収を可能とすることになる。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によれば、歩行者
安全装置が、ボンネットを含み、該ボンネットは一対の
ヒンジ組立体により車体にヒンジ結合され、上記ヒンジ
組立体は上記ボンネットの車両進行方向後端に配置さ
れ、それにより、該ヒンジ組立体は、歩行者による衝撃
に応答して上記ボンネットを持ち上げるとともに、展開
位置にて上記ボンネットを固定し、上記ボンネットは、
該ボンネットの車両進行方向前端において安全モジュー
ルにラッチ固定され、該安全モジュールは、そのモジュ
ールの右側及び左側において２つの安全モジュール回動
軸で車体構造体に取り付けられたアッパー・フロント・
クロスメンバーとして構成され、通常動作状態において
は、車両横断方向軸周りのモジュールの回転は、安全モ
ジュールの右側及び左側に置かれた，安全モジュールと
車体との間の２つのせん断ピンにより拘束され、該両せ
ん断ピンが車両長手方向軸に関して上記安全モジュール
・ヒンジ軸の前に配置され、せん断ピンの寸法とせん断
ピンから安全モジュール・ヒンジ軸までの距離が、上記
ボンネットの前端における歩行者による衝撃があった場
合に、上記安全モジュールが解放され上記車両横断方向
軸回りに回転する様上記せん断ピンが所定の荷重がかか
ると破断する様に、構成される。

【０００７】バンプ・ストップは、上記歩行者安全モジ
ュールにその後端上側にて取り付けられており、上記バ
ンプ・ストップはまた、安全モジュール回動軸の後方に
配置されていて、歩行者の衝撃が加わった場合に、安全
モジュールが回転を開始すると、該モジュールの後端が
上記ボンネットに当ってそれを上方に持ち上げる一方、
上記ボンネットがその車両進行方向前端にかかる歩行者
による衝撃力により押し下げられ、その結果上記ボンネ
ットが車両横断方向軸周りに回転を開始する様に、なさ
れている。それで、ボンネットの車両進行方向前端は衝
撃が加わった際に下方に移動し、衝突時に歩行者に対し
衝撃吸収機能を奏する。

【０００８】上記ヒンジ組立体は、安全ヒンジ軸に連結
された下部ヒンジ・バー及び上部ヒンジ・バーを有し、
両ヒンジ・バーは、通常動作モードにあるときには両ヒ
ンジ・バーの間に配置されたせん断ピンにより上記安全
ヒンジ軸周りの回転が拘束され、上記ヒンジ・バーは、
歩行者による衝撃が加わる間の過荷重により上記せん断
ピンが破断した際に、安全動作モードにおいて安全ヒン
ジ軸周りに回転するよう解放される。その後、ボンネッ
トはその車両進行方向後端を持ち上げることが出来、上
記ヒンジ組立体の位置関係により決定される位置に該ヒ
ンジ組立体により固定される。

【０００９】上述した、及びそれ以外の本発明の目的、
特徴及び利点は、添付の図面を組み合わせて以下の詳細
な説明を読むことにより、より明確になるであろう。

【００１０】

【発明の実施の形態】歩行者安全装置の斜視図を、図１
に示す。そのモジュールは、ボンネット1、歩行者安全
モジュール2及び後部ヒンジ3からなる。安全モジュール
2は、ボンネットの車両進行方向前端4の下側に配置さ
れ、通常の動作状態では一般的なラッチ台として機能す
る。後部ヒンジ3は、ボンネットの車両進行方向後端5に
配置され、通常の動作状態では同様に一般的なヒンジと
して作用する。

【００１１】図２は、展開状態における歩行者安全装置
を示す。ボンネット車両進行方向前端4のいずれかの位
置と歩行者のでん部／上脚部との間に、例えば力Ｆで表
される衝撃がかかる際に、衝突エネルギーはモジュール
2の前端を回転させるのに用いられ、続いてボンネット1
をモジュール2の周りに回転させ、そしてボンネットの
車両進行方向前端4が徐々に潰れるようにさせる。ボン
ネット1の回転衝撃力はまた、ヒンジ組立体3の位置関係
が変化してボンネット1の車両進行方向後端5が上方に持
ち上げられた状態の安全動作モードまで後部ヒンジ組立
体3を解放させるのに用いられ、それでボンネット1はエ
ンジンの硬質部分から離れるように持ち上げられる。こ
れにより、歩行者のでん部／上脚部にかかる荷重がより
小さくなり、頭部傷害の危険性が低減する。

【００１２】歩行者安全モジュール2の通常動作状態の
詳細が、断面図として図３に示されている。安全モジュ
ール2は、モジュール断面の中心部に配置された安全モ
ジュール軸6により、車体構造体の前端部に取り付けら
れている。安全モジュール2は、通常動作状態において
回転するのを防止し構造的機能を持つことを可能とする
ために、せん断ピン7その他の構造的手段により、拘束
される。ラバー製のバンプ・ストップ8は、モジュール2
の後端に対向して、ボンネット1の下側に配置されてい
る。この構成の変形例の一つとして、グリル開口部補強
組立体に組み込まれたものが考えられる。

【００１３】図４は、展開状態の歩行者安全モジュール
を示す。ボンネット1の車両進行方向前端4に、荷重Ｆで
表される歩行者の衝撃がかかる間に、安全モジュール2
の回動軸6の周りに時計まわり方向のモーメントが発生
する。所定の衝撃荷重がかかると、せん断ピン7が破断
し、モジュールは回転自在となる。同じ機能を達成する
のにモジュールと車体前端構造体との間に他の構造的連
結部を用いても良く、あるいは代わりにグリル開口部補
強体がこの態様で回転出来る上部部材を組み込んでいて
も良い。ラバー・バンプ・ストップ8はこの回転を直接
ボンネット補強材に伝達し、それでボンネットも時計ま
わり方向に回転を始める。

【００１４】通常動作状態における後部ヒンジが、図５
に示されている。ボンネットが、前部車体構造体に取付
けられた第１ヒンジ軸9の周りに回転し、さらに追加の
動きが必要であれば、ボンネット1に取り付けられた第
２ヒンジ回動軸10の周りに回転する様に、ヒンジ連結部
が構成される。第１及び第２回動軸は、下部ヒンジ・バ
ー11と上部ヒンジ・バー12により連結されており、それ
らの両ヒンジ・バーは安全ヒンジ軸13により連結されて
いる。安全ヒンジ軸13は、下部ヒンジ・バー11と上部ヒ
ンジ・バー12とを連結するせん断ピン14などの構造的手
段により、通常動作状態の間ボンネットの後端が上方に
持ち上がらない様に、拘束されている。

【００１５】展開状態での後部ヒンジ組立体が、図６に
示されている。ボンネット1の車両進行方向前端4にかか
る乗員の衝撃は、ボンネットのインナー・サイドメンバ
ーを介して後部ヒンジ組立体に伝達される。この回転
は、ヒンジ組立体に対して通常動作とは反対方向に荷重
を加える。所定の荷重がかかると、せん断ピン14が破断
し、安全ヒンジ軸13が解放される。それでヒンジ組立体
は、第１ヒンジ軸9及び第２ヒンジ軸10の回りに同時に
回転自在となる。２つのヒンジ・バー11と12は、それら
ヒンジ・バーが一直線上になるまで回転し、その後両ヒ
ンジ・バー11と12が通常動作状態に対して逆方向の小さ
な角度分をなすことに特徴付けられる様な位置まで、上
部ヒンジ・バー12は中心位置を超えて回動する。これに
よりボンネット1が、後部ヒンジの部分で通常動作状態
よりも約100mm高い位置である上昇位置に固定される。

【００１６】

【発明の効果】本発明によれば、先行技術の欠点を解消
した、後端部がヒンジ固定されたボンネットのための歩
行者安全装置を提供できる。その構成により、ボンネッ
トの車両進行方向後端の位置を高くしつつ、歩行者によ
る衝撃に対するボンネット車両進行方向前端による衝撃
吸収が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による歩行者安全装置の、通常動作状態
にあるときの斜視図である。

【図２】本発明による歩行者安全装置の、ボンネットが
展開されて解放された状態を示す、斜視図である。

【図３】通常動作状態にあるときの、歩行者安全モジュ
ールの断面図である。

【図４】展開状態にあるときの、歩行者安全モジュール
の断面図である。

【図５】通常動作状態にあるときの、ヒンジ組立体の断
面図である。

【図６】展開状態にあるときの、ヒンジ組立体の断面図
である。

【符号の説明】

1 ボンネット 2 安全モジュール 3 ヒンジ組立体 4 車両進行方向前端 5 車両進行方向後端 6 安全モジュールヒンジ軸 7 せん断ピン 8 バンプ・ストップ 11 下部ヒンジ・バー 12 上部ヒンジ・バー 13 安全ヒンジ・バー 14 せん断ピン

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボンネット（1）を含み、 該ボンネット（1）は一対のヒンジ組立体（3）により車
   体にヒンジ結合され、 上記ヒンジ組立体（3）は、上記ボンネット（1）の車両
   進行方向後端（5）に配置され、それにより、該ヒンジ
   組立体（3）は、歩行者による衝撃に応答して上記ボン
   ネット（1）を持ち上げるとともに、展開位置にて上記
   ボンネットを固定する、 歩行者安全装置において、 上記ボンネット（1）は、該ボンネット（1）の車両進行
   方向前端（4）において安全モジュール（2）にラッチ固
   定され、 該安全モジュール（2）は、そのモジュールの右側及び
   左側の２つの安全モジュール回動軸（6）で車体構造体
   に取り付けられたアッパー・フロント・クロスメンバー
   として構成され、 車両横断方向軸周りの上記安全モジュール（2）の回転
   が、通常動作状態において、該安全モジュールと上記車
   体との間の２つのせん断ピン（7）により拘束され、 該両せん断ピン（7）は、上記ボンネット（1）の車両進
   行方向前端（4）に歩行者による衝撃（Ｆ）があった場
   合に上記せん断ピン（７）が破断し上記車両進行方向前
   端（4）を下方に移動させる様な距離を持って、安全モ
   ジュール回動軸（6）の前方に配置され、そして、 歩行者安全モジュール（2）の上側後端で安全モジュー
   ル回動軸（6）の後方に取り付けられたバンプ・ストッ
   プ（8）が、上記車両進行方向後端（5）の上方への持ち
   上げを開始させる、 ことを特徴とする歩行者安全装置。
2. 【請求項２】上記ヒンジ組立体（3）は、安全ヒンジ軸
   （13）により互いに連結された下部ヒンジ・バー（11）
   及び上部ヒンジ・バー（12）を持ち、 該両ヒンジ・バーが、通常動作モードにあるときには両
   ヒンジ・バーの間に配置されたせん断ピン（14）により
   上記安全ヒンジ軸（13）周りの回転が拘束され、 上記ヒンジ・バーは、歩行者による衝撃が加わる間の過
   荷重により上記せん断ピン（14）が破断した際に、安全
   動作モードにおいて安全ヒンジ軸（13）周りに回転する
   よう解放される、 ことを特徴とする請求項１に記載の歩行者安全装置。
3. 【請求項３】 上記安全モジュールは、グリル開口部補
   強体に組み込まれることを特徴とする請求項１に記載の
   歩行者安全装置。