JP6211831B2 - 車両用フード装置 - Google Patents

車両用フード装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6211831B2
JP6211831B2 JP2013135219A JP2013135219A JP6211831B2 JP 6211831 B2 JP6211831 B2 JP 6211831B2 JP 2013135219 A JP2013135219 A JP 2013135219A JP 2013135219 A JP2013135219 A JP 2013135219A JP 6211831 B2 JP6211831 B2 JP 6211831B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hood
pedestrian
vehicle
collision
posture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013135219A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015009621A (ja
Inventor
勇 長澤
勇 長澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Subaru Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Subaru Corp filed Critical Subaru Corp
Priority to JP2013135219A priority Critical patent/JP6211831B2/ja
Publication of JP2015009621A publication Critical patent/JP2015009621A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6211831B2 publication Critical patent/JP6211831B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、自動車等の車両の車体前部に設けられる車両用フード装置に関し、特に衝撃吸収効果及び衝撃吸収後における歩行者保護効果をともに向上したものに関する。
自動車等の車両の車体前部には、エンジンルーム上部の開口を開閉する蓋状の外装部材であるフード(ボンネット)が設けられる。
このようなフードは、車両が歩行者と衝突した際に、変形することによってエネルギを吸収し、歩行者の傷害を抑制する機能を有する。
また、近年では、フードによる歩行者保護性能を向上するため、歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出した場合に、アクチュエータによってフードの一部又は全体を上昇させるもの(ポップアップフード)が提案されている。
このようなポップアップフードは、衝撃吸収に利用可能なストロークを増大することによって、歩行者への加害性を低減することが可能である。
ポップアップフードに関する従来技術として、例えば特許文献1には、車両と歩行者との衝突を予測してボンネットフードをポップアップさせる車両用フード装置において、歩行者がボンネットフードから車両のいずれの側方に落下しそうかを推測し、ボンネットフードを左右方向に傾斜させながらポップアップさせて歩行者の落下を防止することが記載されている。
特開2005−206103号公報
上述した特許文献1に記載された技術においては、エネルギ吸収後における歩行者の落下防止効果はある程度得られるものと認められるが、歩行者から受けるエネルギの吸収に適したフードの姿勢(上昇高さ、傾斜等)と、落下防止に適したフードの姿勢とは必ずしも一致しないため、エネルギ吸収効果が低下することが懸念される。
本発明の課題は、衝撃吸収効果及び衝撃吸収後における歩行者保護効果をともに向上した車両用フード装置を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、車体前部に設けられるフードと、前記フードを車体に対して上昇させかつ前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能なフード駆動装置と、歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出する衝突検出手段と、前記衝突検出手段による検出結果に応じて前記フード駆動装置を制御して前記フードを駆動させるフード駆動制御手段とを備える車両用フード装置であって、前記フード駆動制御手段は、歩行者の衝突又は衝突の前兆の検出に応じて前記フードを上昇させるとともに歩行者からの衝撃吸収に備えた第1の姿勢に前記フードを駆動させ、衝撃吸収後に歩行者の落下方向を制御する第2の姿勢に前記フードを駆動させ、前記フード駆動制御手段は、衝突時の歩行者の身体の方向を検出する身体方向検出手段を備え、前記フード駆動制御手段は、検出された身体の方向が車体に正対する方向に近い場合に、身体の方向が車体に対して横向きに近い場合に対して前記第1の姿勢における前記フードの後端部の上昇量を増加するよう前記フード駆動装置を制御することを特徴とする車両用フード装置である。
これによれば、フードの第1の姿勢は歩行者からの衝撃吸収に最適となるように設定し、第2の姿勢は衝撃吸収後の歩行者の落下方向の制御に最適となるように設定することによって、衝撃吸収効果及び衝撃吸収後における歩行者保護効果をともに向上することができる。
また、内臓への傷害が問題となりやすい正面からの衝突の場合には、比較的強固であり致命傷となりにくい肩などの体側部の衝突の場合に対して、フードの上昇量を増加させ、フードによるエネルギ吸収能力を高めることによって、歩行者の傷害を抑制することができる。
請求項2に係る発明は、車体前部に設けられるフードと、前記フードを車体に対して上昇させかつ前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能なフード駆動装置と、歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出する衝突検出手段と、前記衝突検出手段による検出結果に応じて前記フード駆動装置を制御して前記フードを駆動させるフード駆動制御手段とを備える車両用フード装置であって、前記フード駆動制御手段は、歩行者の衝突又は衝突の前兆の検出に応じて前記フードを上昇させるとともに歩行者からの衝撃吸収に備えた第1の姿勢に前記フードを駆動させ、衝撃吸収後に歩行者の落下方向を制御する第2の姿勢に前記フードを駆動させ、前記フード駆動制御手段は、歩行者の頭部の位置を逐次撮像する撮像手段を備え、前記フード駆動制御手段は、前記第1の姿勢において前記頭部が前記フードに衝突する位置の上昇量を増加するよう前記フード駆動装置を制御することを特徴とする車両用フード装置である。
これによれば、フードの第1の姿勢は歩行者からの衝撃吸収に最適となるように設定し、第2の姿勢は衝撃吸収後の歩行者の落下方向の制御に最適となるように設定することによって、衝撃吸収効果及び衝撃吸収後における歩行者保護効果をともに向上することができる。
また、フードにおける歩行者の頭部が衝突する位置の上昇量を増加させることによって、頭部のエネルギ吸収に利用可能なストロークを増大させ、頭部の傷害を抑制することができる。
請求項3に係る発明は、前記撮像手段は、前記フードに衝突後の前記歩行者を逐次撮像し、前記フード駆動制御手段は、前記フード上における前記歩行者の位置変化に応じて前記フードの姿勢を前記第1の姿勢からフィードバック制御することを特徴とする請求項2に記載の車両用フード装置である。
これによれば、衝突後の歩行者の頭部位置等に応じてフードの姿勢をフィードバック制御することによって、歩行者保護性能をより向上することができる。
請求項4に係る発明は、車体前部に設けられるフードと、前記フードを車体に対して上昇させかつ前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能なフード駆動装置と、歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出する衝突検出手段と、前記衝突検出手段による検出結果に応じて前記フード駆動装置を制御して前記フードを駆動させるフード駆動制御手段とを備える車両用フード装置であって、前記フード駆動制御手段は、歩行者の衝突又は衝突の前兆の検出に応じて前記フードを上昇させるとともに歩行者からの衝撃吸収に備えた第1の姿勢に前記フードを駆動させ、衝撃吸収後に歩行者の落下方向を制御する第2の姿勢に前記フードを駆動させ、前記フード駆動制御手段は、前記フードが前記第1の姿勢にあるときに歩行者の衝撃吸収完了を判定する衝撃吸収完了判定手段を備え、前記フード駆動制御手段は、前記衝撃吸収完了判定手段の判定に応じて前記フードが前記第1の姿勢から前記第2の姿勢へ推移するよう前記フード駆動装置を制御することを特徴とする車両用フード装置である。
これによれば、フードの第1の姿勢は歩行者からの衝撃吸収に最適となるように設定し、第2の姿勢は衝撃吸収後の歩行者の落下方向の制御に最適となるように設定することによって、衝撃吸収効果及び衝撃吸収後における歩行者保護効果をともに向上することができる。
また、歩行者の衝撃吸収完了を判定してフードを第1の姿勢から第2の姿勢へ推移させることによって、上述した効果をより確実に得ることができる。
請求項に係る発明は、前記衝撃吸収完了判定手段は、前記フード上における歩行者を逐次撮像する撮像手段、及び、前記フードの加速度を検出する加速度センサを備え、前記歩行者の前記フードに対する相対速度が所定値以下となりかつ前記フードの加速度が所定値以下となった場合に前記衝撃吸収完了を判定することを特徴とする請求項に記載の車両用フード装置である。
これによれば、撮像手段によって検出される歩行者のフードに対する相対速度及び加速度センサによって検出されるフードの加速度に基づいて、衝撃吸収完了を適切に判定して歩行者保護性能をより高めることができる。
請求項6に係る発明は、車体前部に設けられるフードと、前記フードを車体に対して上昇させかつ前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能なフード駆動装置と、歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出する衝突検出手段と、前記衝突検出手段による検出結果に応じて前記フード駆動装置を制御して前記フードを駆動させるフード駆動制御手段とを備える車両用フード装置であって、前記フード駆動制御手段は、歩行者の衝突又は衝突の前兆の検出に応じて前記フードを上昇させるとともに歩行者からの衝撃吸収に備えた第1の姿勢に前記フードを駆動させ、衝撃吸収後に歩行者の落下方向を制御する第2の姿勢に前記フードを駆動させ、前記フード駆動制御手段は、自車両周囲の環境を認識する環境認識手段を有し、前記フード駆動制御手段は、前記環境認識手段による環境認識結果に基づいて前記第2の姿勢における前記フードの姿勢を設定することを特徴とする車両用フード装置である。
これによれば、フードの第1の姿勢は歩行者からの衝撃吸収に最適となるように設定し、第2の姿勢は衝撃吸収後の歩行者の落下方向の制御に最適となるように設定することによって、衝撃吸収効果及び衝撃吸収後における歩行者保護効果をともに向上することができる。
また、自車両周囲の環境を認識して最適な方向に歩行者を落下させることによって、二次被害の低減を図ることができる。
請求項7に係る発明は、前記フード駆動制御手段は、前記環境認識手段が接近中の対向車を検出しかつ自車両の反対向車線側に隣接する危険因子が検出されない場合に、前記第2の姿勢における前記フードを対向車線側が高くなる方向に傾斜させることを特徴とする請求項6に記載の車両用フード装置である。
これによれば、歩行者を危険因子が検出されない反対向車線側へ落下させることによって、歩行者が対向車と衝突する二次被害を防止することができる。
ここで、危険因子(本明細書、特許請求の範囲においては、危険を生じさせる可能性が高い物体、地形等を意味ものとする)として、自車両に対して所定範囲内に存在するガードレール、電柱や標識等のポール類等の建造物や、駐停車中の他車両、溝、穴、崖などの地形が挙げられる。
請求項8に係る発明は、前記フード駆動制御手段は、前記環境認識手段が自車両の反対向車線側に隣接する危険因子を検出しかつ接近中の対向車が検出されない場合に、前記第2の姿勢における前記フードを反対向車線側が高くなる方向に傾斜させることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車両用フード装置である。
これによれば、対向車が検出されなかった対向車線に歩行者を落下させることによって、反対向車線側に存在する危険因子による二次被害を防止することができる。
請求項9に係る発明は、前記フード駆動制御手段は、前記環境認識手段が接近中の対向車を検出しかつ自車両の反対向車線側に隣接する危険因子を検出した場合に、前記第2の姿勢における前記フードを前部が高くなる方向に傾斜させることを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載の車両用フード装置である。
これによれば、対向車線側、反対向車線側のいずれに歩行者を落下させても危険性が予見される場合に、フードの前部を高くして歩行者をすくい上げフード上に保持することによって二次被害を防止することができる。
請求項10に係る発明は、車体前部に設けられるフードと、前記フードを車体に対して上昇させかつ前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能なフード駆動装置と、歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出する衝突検出手段と、前記衝突検出手段による検出結果に応じて前記フード駆動装置を制御して前記フードを駆動させるフード駆動制御手段とを備える車両用フード装置であって、前記フード駆動制御手段は、歩行者の衝突又は衝突の前兆の検出に応じて前記フードを上昇させるとともに歩行者からの衝撃吸収に備えた第1の姿勢に前記フードを駆動させ、衝撃吸収後に歩行者の落下方向を制御する第2の姿勢に前記フードを駆動させ、前記フード駆動装置は、前記フードの左前部、右前部、左後部、右後部にそれぞれ設けられ前記フードを昇降させる複数のアクチュエータを有し、前記フードの前部又は後部の一方に設けられたアクチュエータには前記フードを揺動可能に支持するヒンジが設けられ、他方に設けられたアクチュエータには前記フードとの係合を解除する係合解除機構が設けられることを特徴とする車両用フード装置である。
これによれば、フードの第1の姿勢は歩行者からの衝撃吸収に最適となるように設定し、第2の姿勢は衝撃吸収後の歩行者の落下方向の制御に最適となるように設定することによって、衝撃吸収効果及び衝撃吸収後における歩行者保護効果をともに向上することができる。
また、フードを高い自由度で駆動可能として上述した各発明の効果を確実に発揮することができる。
さらに、上記発明のアクチュエータ配置とした場合であってもフードの開閉が妨げられることがない。
請求項11に係る発明は、歩行者の体格を検出する体格検出手段を備え、前記フード駆動制御手段は、検出された歩行者の体格が大きい場合に、体格が小さい場合に対して前記第1の姿勢における前記フードの後端部の上昇量を増加するよう前記フード駆動装置を制御することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の車両用フード装置である。
これによれば、体格が大きく衝突によるエネルギが大きい場合にはフードの上昇量を増加させてエネルギ吸収能力を高めることによって、歩行者の傷害を抑制することができる。
以上説明したように、本発明によれば、衝撃吸収効果及び衝撃吸収後における歩行者保護効果をともに向上した車両用フード装置を提供することができる。
本発明を適用した車両用フード装置の実施例1を有する車両のフード及びアクチュエータの配置を示す模式図である。 実施例1の車両用フード装置におけるフードの動作を示す模式図である。 実施例1の車両用フード装置におけるアクチュエータの係合解除機構の構成を示す模式図である。 実施例1の車両用フード装置のシステム構成を示すブロック図である。 実施例1の車両用フード装置における歩行者衝突時のフード制御を示すフローチャートである。 実施例1の車両用フード装置における歩行者の体格に応じたフード制御を示す模式図である。 実施例1の車両用フード装置における歩行者の身体の向きに応じたフード制御を示す模式図である。 実施例1の車両用フード装置における衝撃吸収後のフード制御の一例を示す模式図である。 本発明を適用した車両用フード装置の実施例2を有する車両のフード及びアクチュエータの配置を示す模式図である。
本発明は、衝撃吸収効果及び衝撃吸収後における歩行者保護効果をともに向上した車両用フード装置を提供する課題を、歩行者との衝突又は衝突の前兆の検出に応じて衝撃吸収に適したフード位置にフードを駆動し、その後衝撃吸収の完了を判定した場合に歩行者の落下方向が安全な方向となるよう制御するためのフード位置にフードを駆動することによって解決した。
以下、本発明を適用した車両用フード装置の実施例1について説明する。
実施例の車両用フード装置は、例えば、乗用車等の自動車の車体前部に設けられるフード(ボンネット)を、歩行者との衝突時に上昇(ポップアップ)させて衝撃吸収ストロークを増加させ、歩行者の傷害を抑制するものである。
図1は、実施例1の車両用フード装置を有する車両のフード及びアクチュエータの配置を示す模式図である。
図1(a)は、フードを閉じた状態における側面視図、図1(b)は、フードを閉じた状態を上方から見た平面視図、図1(c)は、フードを開いた状態における側面視図である。
車両1は、キャビン2の前部にエンジンルーム3を有する例えば3ボックス型の乗用車である。
キャビン2は、車体の前後方向における中央部に設けられた乗員の居住空間部である。
エンジンルーム3は、車両の走行用動力源であるエンジン等が収容される空間部である。
エンジンルーム3は、キャビン2の前端部下方に設けられた隔壁であるトーボードから車両前方側へ突き出して形成されている。
エンジンルーム3の前端部における左右には、前照灯4が設けられている。
エンジンルーム3の上部には、エンジン等の内部機器へのアクセスを可能とするため開口5が設けられている。
開口5の上部には、開閉可能な蓋状の外装部材であるフード(ボンネット)10が設けられている。
フード10は、例えばスチール、アルミニウム系合金等を板金加工することによってパネル状に形成されている。
フード10は、上方から見た平面形が例えば実質的に矩形状に形成されている。
フード10は、歩行者との衝突時に変形することによって衝撃を吸収する機能を有する。
フード10には、ヒンジ11、ラッチ12が設けられている。
ヒンジ11は、フード10の後部における左右端部に設けられ、フード10を車体に対して車幅方向に沿った軸回りに揺動可能に支持するものである。
ラッチ12は、フード10の前端部をエンジンルーム3の前端部に設けられた図示しないラジエータパネルの上部に係止するものである。
ラッチ12は、ドライバによる所定の係止解除操作(フードオープナの開操作)に応じて係止を解除可能となっている。
フード10には、例えば油圧式のアクチュエータである左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22、左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24が設けられている。
各アクチュエータは、図示しないアキュムレータにおいて蓄圧された作動油を、フード制御ユニット100によって制御されるサーボバルブを介して供給されることによって作動する。
左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22は、フード10の前端部を車体に対して昇降させるものである。
左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22は、左右の前照灯4の内側に、左右に離間して配置されている。
左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24は、フード10の後端部を、ヒンジ12とともに、車体に対して昇降させるものである。
左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24は、フード10の後端部における左右端部にそれぞれ配置されている。
左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22、左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24は後述するフード制御ユニット100による制御に応じて、独立してフード10の各部位を昇降することが可能となっている。
図2は、実施例1の車両用フード装置におけるフードの動作を示す模式図である。
図2(a)は、車両1を側方から見た図、図2(b)は、車両1を前方から見た図(図2(a)のb−b部矢視図)である。
図2に示すように、フード10は、前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能となっている。
左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22による上昇量よりも左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24による上昇量を大きくすることによって、フード10は前傾(前方が下がる方向の傾斜)する。
左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22による上昇量を左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24による上昇量に対して大きくすることによって、フード10は後傾(後方が下がる方向の傾斜)する。
左前アクチュエータ21、左後アクチュエータ23による上昇量よりも右前アクチュエータ22、右後アクチュエータ24による上昇量を大きくすることによって、フード10は左傾(左側が下がる方向の傾斜)する。
左前アクチュエータ21、左後アクチュエータ23による上昇量を右前アクチュエータ22、右後アクチュエータ24による上昇量に対して大きくすることによって、フード10は右傾(右側が下がる方向の傾斜)する。
左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22には、ラッチ12を解除してフード10を開くときのために、フード10との係合を解除する係合解除機構30が設けられている。
図3は、実施例1の車両用フード装置におけるアクチュエータの係合解除機構の構成を示す模式図である。
図3(a)は、係合解除機構の側面視図であり、図3(b)は、係合解除機構30を下方から見た図(図3(a)のb−b部矢視図)である。
図3においては、左前アクチュエータ21に設けられる係合解除機構30を示すが、右前アクチュエータ22にも実質的に同様の係合解除機構が設けられる。
図3に示すように、左前アクチュエータ21は、例えばシリンダ式の油圧アクチュエータであって、作動油の供給、排出に応じて伸縮するようになっている。
左前アクチュエータ21の車体側の端部(図3における右側の端部)は、図示しないヒンジを介して、車体に対して揺動可能に連結されている。
係合解除機構30は、左前アクチュエータ21のフード側の端部(図3における左側の端部)を、フード10の前端部に対して回動可能かつ係合解除可能に連結するものである。
係合解除機構30は、フード側ブラケット31、アクチュエータ側ブラケット32、係合ピン33等を有して構成されている。
フード側ブラケット31はフード10の前端部における下面から、下方に突き出して形成されている。
フード側ブラケット31は、鉛直方向に沿って延びた平板状の部材であって、中央部に円形の開口が形成されている。
アクチュエータ側ブラケット32は、左前アクチュエータ21のフード側の端部に取り付けられ、フード10を閉じた際にフード側ブラケット31を挟み込むように、下方から見た平面形はコの字状に形成されている。
アクチュエータ側ブラケット32には、フード10を閉じた際にフード側ブラケット31の開口と同心に配置される円形の開口が形成されている。
係合ピン33は、フード側ブラケット31の開口とアクチュエータ側ブラケット32の開口に挿入され、フード側ブラケット31とアクチュエータ側ブラケット32とを揺動可能に連結する軸状の部材である。
係合ピン33は、係合解除アクチュエータ(図4に示す左係合解除アクチュエータ34)によって軸方向に駆動され、フード側ブラケット31及びアクチュエータ側ブラケット32に挿入されてこれらを連結する係合位置と、フード側ブラケット31から引き抜かれ、左前アクチュエータ21とフード10との係合を解除する係合解除位置との間で変位可能となっている。
次に、上述した左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22、左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24、及び、左右の係合解除機構30のアクチュエータ(左係合解除アクチュエータ34、右係合解除アクチュエータ35)を制御する制御システムについて説明する。
図4は、実施例1の車両用フード装置のシステム構成を示すブロック図である。
図4に示すように、左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22、左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24、左係合解除アクチュエータ34、右係合解除アクチュエータ35は、フード制御ユニット100によって制御され、フード制御ユニット100の指令に従って駆動されるようになっている。
左係合解除アクチュエータ34、右係合解除アクチュエータ35は、左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22にそれぞれ設けられた係合解除機構30の係合ピン33をそれぞれ駆動するものである。
フード制御ユニット100は、ドライバがキャビン2内の図示しないフードオープナを用いてフード10を開く操作を行った場合に、左係合解除アクチュエータ34、右係合解除アクチュエータ35を駆動して係合ピン33をフード側ブラケット31から抜き取らせる。
また、その後フード10が閉じられた場合は、左係合解除アクチュエータ34、右係合解除アクチュエータ35を駆動して係合ピン33をフード側ブラケット31に挿入させる。
フード制御ユニット100は、例えばCPU等の情報処理手段、RAMやROM等の記憶手段、入出力インターフェイス及びこれらを接続するバス等を有して構成されている。
フード制御ユニット100は、左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22、左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24、左係合解除アクチュエータ34、右係合解除アクチュエータ35に対して制御指令を与えて各アクチュエータを駆動させる。
また、左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22、左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24には、それぞれ各アクチュエータのストロークを検出するストロークセンサが設けられ、その出力はフード制御ユニット100に提供されるようになっている。
フード制御ユニット100は、各アクチュエータのストロークセンサの出力に基づいてフード10の姿勢を演算可能となっている。
フード制御ユニット100は、フード10の実際の姿勢が目標姿勢に近づくように各アクチュエータをフィードバック制御する。
目標姿勢の設定手法については、後に詳しく説明する。
フード制御ユニット100には、衝突検出センサ101、フード加速度センサ102、環境認識装置110が接続されている。
衝突検出センサ101は、例えば車体前端部に設けられた外装部材であるバンパに設けられ、前後方向の加速度を検出するものである。
衝突検出センサ101は、車幅方向に分散して複数設けられている。
衝突検出センサ101は、歩行者が実際に車体と衝突したか否かを検出するものである。
フード加速度センサ102は、フード10の内面部に添付されフード10の表面の法線方向(実質的に上下方向)の加速度を検出するものである。
フード加速度センサ102は、環境認識装置110と協働して、フード10による歩行者からのエネルギ吸収完了判別に用いられるものである。
環境認識装置110は、左カメラ111、右カメラ112からなるステレオカメラを備え、公知のステレオ画像処理技術を用いて、自車両前方の車線形状や障害物等の物体の種類、位置等を検出するものである。
左カメラ111、右カメラ112は、例えば車両のフロントガラス上端部(ルームミラー近傍)に左右方向に離間して配置された撮像手段である。
環境認識装置110は、左カメラ111、右カメラ112が撮像した画像に基づいて障害物等を認識するとともに、各カメラの視差を利用して、三角測量の原理によって自車両からの距離を算出するステレオ画像処理を行う。
左カメラ111、右カメラ112は、自車両前方を所定の間隔で時系列的に撮像することによって、一対の撮像画像をステレオ画像として随時出力する。
環境認識装置110は、ステレオ画像のそれぞれについてステレオ画像処理を行い、距離画像を生成する。
距離画像は、画像平面上の位置に対応付けされた距離値(視差)の集合として定義される。ここで、左右画像における相関する画素ブロックの水平方向のずれ量が視差となる。
環境認識装置110は、この視差に基づいて、当該画素ブロックの被写体の自車両からの距離を算出する。
環境認識装置110は、実質的に同等の距離値を有する隣接した画素群を物体として検出するとともに、その高さ方向、幅方向のサイズや輪郭形状に基づいて、歩行者、対向車、建造物等の物体の種類や、車線に隣接する地形等を判別する。
このようにして、環境認識装置110は、左カメラ111、右カメラ112の撮像範囲内に含まれる歩行者、対向車、建造物等の自車両に対する相対位置を検出可能となっている。
環境認識装置110は、歩行者として認識された画素群の上下方向の画素数及び距離から、歩行者の身長の高低(体格の大小)を検出可能となっている。
また、環境認識装置110は、歩行者として認識された画素群の上下方向の画素数と水平方向の画素数との比率に基づいて、歩行者の身体の自車両に対する方向(正対方向〜横向き)を推定可能となっている。
また、環境認識装置110は、歩行者として認識された画素群の上端部近傍の一定の領域を歩行者の頭部であると認識する。
このようにして頭部であると認識された画素群を、衝突前後を通じてトラッキングすることによって、環境認識装置110は歩行者がフード10上に倒れ込んだ状態においても歩行者の頭部を認識可能となっている。
以下、上述した実施例1の車両用フード装置の制御について説明する。
図5は、実施例1の車両用フード装置における歩行者衝突時のフード制御を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS01:歩行者状態検知>
環境認識装置110は、自車両前方に存在し、衝突する可能性のある歩行者の状態を検知してフード制御ユニット100に提供する。
例えば、歩行者の自車両に対する相対位置、相対速度、体格の大小、自車両に対する身体の向き等を検出する。
その後、ステップS02に進む。
<ステップS02:衝突可能性判断>
フード制御ユニット100は、環境認識装置110での歩行者状態検知結果に基づいて、当該歩行者が自車両に衝突する可能性(衝突可能性)を算出する。
衝突可能性は、例えば、自車両の車速、歩行者の自車両に対する相対位置に基づいて予め設定されるマップから読み出すようにすることができる。
例えば、衝突可能性は、自車両の車速が大きいほど高く、歩行者の方位が自車両の進行方向に近くかつ自車両との相対距離が小さいほど高くなるよう設定される。
衝突可能性が予め設定された閾値(所定値)以上である場合にはステップS03に進み、その他の場合には一連の処理を終了(リターン)する。
<ステップS03:フード傷害軽減モード駆動>
フード制御ユニット100は、左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22、左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24をそれぞれ駆動してフード10を歩行者の傷害軽減のために最適化された姿勢(本発明にいう第1の姿勢)まで駆動するフード傷害軽減モード駆動を実行する。
フード10が各種ロック機構によって保持されている場合には、このときロック機構を解除する。
フード10は、全体的に上昇するとともに、後端部の上昇量が前端部の上昇量よりも大きくなるように前傾する。
このとき、フード制御ユニット100は、歩行者の体格及び身体の向きに応じてフード10の姿勢を変化させる制御を行なう。
図6は、実施例1の車両用フード装置における歩行者の体格に応じたフード制御を示す模式図である。
図6(a)は、歩行者の体格が比較的大きい(長身)場合、図6(b)は、歩行者の体格が比較的小さい場合を示している。
図6に示すように、フード制御ユニット100は、歩行者Pの体格が比較的大きい場合には、より大きなエネルギを吸収可能とするため、フード10の後端部の上昇量を大きくしてフード10の前傾をより強める制御を行なう。
一方、フード制御ユニット100は、歩行者Pの体格が比較的小さい場合には、フード10の後端部の上昇量を小さくしてフード10の前傾を弱め、歩行者Pがフード10に衝突する入射角を小さくして初期の衝撃軽減を図っている。
また、フード制御ユニット100は、歩行者Pの体格が大きく、腰の位置が高い場合には、腰を効率よく曲げるため、フード10の前端部の高さを上げるようにしてもよい。
このような制御は、歩行者の体格に応じてフード10の上昇量、角度を無段階に変化させてもよく、また、一つあるいは複数の閾値を設けて段階的に変化させてもよい。
図7は、実施例1の車両用フード装置における歩行者の身体の向きに応じたフード制御を示す模式図である。
図7(a)は、歩行者が側方(肩部)から衝突した場合、図7(b)は、歩行者が正面(胸部)から衝突した場合を示している。
図7に示すように、フード制御ユニット100は、歩行者Pが正面から衝突した場合には、比較的脆弱であり内臓に致命傷を受けやすい胸部、腹部を確実に保護するため、フード10の後端部の上昇量を大きくしてフード10の前傾をより強める制御を行なう。
一方、フード制御ユニット100は、歩行者Pが側方から衝突した場合には、比較的強固であり致命傷となりにくい肩部から衝突することになるため、歩行者Pがフード10に衝突する入射角を小さくして初期の衝撃軽減を図っている。
また、フード制御ユニット100は、環境認識装置110を用いて歩行者Pの頭部の位置を追跡し、フード10において歩行者Pの頭部が衝突すると予測される位置の上昇量を大きくする制御を行い、十分な衝撃吸収ストロークを確保する。
フード10の駆動制御を終了後、ステップS04に進む。
<ステップS04:歩行者衝突回避判断>
フード制御ユニット100は、ステップS03においてフード傷害軽減モード駆動を行ってから、所定の時間が経過しかつ衝突検出センサ101がバンパへの歩行者の衝突を検出しなかった場合に、歩行者衝突が回避されたものとして、ステップS05に進む。
一方、所定の時間が経過する前に衝突検出センサ101がバンパへの歩行者の衝突を検出した場合には、歩行者衝突を回避できなかったものとして、ステップS06に進む。
<ステップS05:フード初期状態戻し>
フード制御ユニット100は、左前アクチュエータ21、右前アクチュエータ22、左後アクチュエータ23、右後アクチュエータ24をそれぞれ駆動してフード10を初期状態(通常の走行時の状態)に戻し、ロック機構を再びロック状態に復帰させる。
その後、一連の処理を終了(リターン)する。
<ステップS06:歩行者挙動検出>
フード制御ユニット100は、環境認識装置110を用いてフード10上に倒れ込んだ歩行者Pを認識し、フード10に対する歩行者Pの相対速度、歩行者Pの頭部位置などを検出する。
その後、ステップS07に進む。
<ステップS07:最適落下場所設定>
フード制御ユニット100は、環境認識装置110を用いて、対向車線を自車両側に接近しつつある対向車や、自車両の反対向車線側に存在するガードレール、標識、電柱、側構等の建造物や、崖等の地形などの危険因子の有無を判別する。
フード制御ユニット100は、このような環境認識結果を用いて、衝撃吸収完了後に歩行者Pを落下させても安全な方向を判別する。
図8は、実施例1の車両用フード装置における衝撃吸収後のフード制御の一例を示す模式図である。
図8のように、対向車OVが接近中でありかつ自車両の反対向車線側(図8のような左側通行の場合においては自車両の左側)に、ガードレール等の危険因子が存在しない場合には、フード10における対向車線側の上昇量を反対向車線側の上昇量に対して大きくし、歩行者Pを反対向車線側(この場合左側)に落下させる。
これによって、歩行者Pが対向車線側に落下して対向車に轢かれたり、自車両前方に落下して自車両に轢かれるといった二次被害を防止することができる。
一方、自車両の反対向車線側にガードレール等の危険因子が存在しかつ対向車OVが検出されない場合には、フード10における反対向車線側の上昇量を対向車線側の上昇量に対して大きくし、歩行者を対向車線側に落下させる。
これによって二次被害を防止することができる。
また、自車両の反対向車線側にガードレール等の危険因子が存在しかつ対向車OVが接近中である場合には、左右どちらに落下させても二次被害のリスクが高いものとして、フード制御ユニット100は、フード10の前部を後部に対して上昇させることによって、歩行者Pをフード10上にすくい上げ、落下を防止することを決定する。
フード制御ユニット100が最適落下場所を設定し、フード歩行者落下モード駆動時におけるフード10の目標姿勢を決定後、ステップS08に進む。
<ステップS08:フードフィードバック制御駆動>
フード制御ユニット100は、ステップS06において検出された歩行者の挙動に対して、フード10の位置、姿勢を最適化するフィードバック制御を行う。
例えば、歩行者Pが衝撃吸収中にフード10の表面上を滑り、いずれかの端部から落下するおそれがある場合には、当該端部の上昇量を増加させてフード10を傾斜させ、落下を防止する。
また、歩行者Pの頭部位置が当所想定した位置よりもずれた場合には、歩行者Pの頭部近傍においてフード10が十分な上昇量となるように各アクチュエータを制御してフード10の位置、姿勢を変化させる。
その後、ステップS09に進む。
<ステップS09:衝撃吸収完了判断>
フード制御ユニット100は、フード10の変形による歩行者Pの衝撃吸収が完了したか否かを判定する。
具体的には、環境認識装置110によって検出される歩行者Pの頭部のフード10に対する相対速度が、予め設定された閾値以下(実質的に停止)となり、かつ、フード加速度センサ102が検出するフード10の加速度が予め設定された閾値以下に収束した場合に、衝撃吸収完了を判定する。
衝撃吸収完了判定が成立した場合には、ステップS10に進み、成立しない場合には、ステップS06に戻り、以降の処理を繰り返す。
<ステップS10:フード歩行者落下モード駆動>
フード制御ユニット100は、ステップS07において設定されたフード歩行者落下モード駆動時におけるフード10の目標姿勢に基づいて、各アクチュエータを制御してフード10を駆動し、歩行者Pを安全と判定された方向に落下させる姿勢(本発明にいう第2の姿勢)とするフード歩行者落下モード駆動を実行する。
その後、一連の処理を終了(リターン)する。

以上説明した実施例1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)環境認識装置110が歩行者Pとの衝突の前兆を検出した場合に、フード10を衝撃吸収に適した位置(フード傷害軽減モードの位置)に駆動し、衝撃吸収完了後にフード10を歩行者を安全な方向に落下させる位置(フード歩行者落下モードの位置)に駆動することによって、衝撃吸収効果を高めて歩行者Pの傷害を抑制するとともに、歩行者Pが対向車に轢かれたり、ガードレール等の危険物上に落下する等の二次被害を防止することができる。
(2)歩行者Pの体格が大きい場合にフード傷害軽減モードにおけるフード10の上昇量を増加することによって、体格が大きく衝突によるエネルギが大きい場合であっても十分なエネルギ吸収能力を確保して歩行者の傷害を抑制することができる。
(3)歩行者Pの身体が正面から衝突した場合にフード傷害軽減モードにおけるフード10の上昇量を増加することによって、胸部や内臓等への傷害を抑制することができる。
(4)環境認識装置110を用いて、フード10における歩行者Pの頭部が衝突することが予測される位置を予測し、衝突が予測される箇所のフード10の上昇量を増加させることによって、ストロークを十分に確保して頭部の傷害を抑制することができる。
(5)環境認識装置110を用いて、衝突後におけるフード10上の歩行者Pの頭部の位置を逐次検出し、フード10における頭部近傍の領域の上昇量を増加させることによって、歩行者保護性能をより向上することができる。
(6)環境認識装置110によって検出される歩行者のフード10に対する相対速度、及び、フード加速度センサ102の出力に基づいて、衝撃吸収完了を判定し、フード傷害軽減モードからフード歩行者落下モードに移行させることによって、衝撃吸収完了を適切に判定して上述した効果をより確実に得ることができ、歩行者保護性能を向上することができる。
(7)環境認識装置110を用いて歩行者Pを落下させても安全な方向を判別し、フード歩行者落下モードにおけるフード10の目標姿勢を決定することによって、二次被害の低減を適切に図ることができる。
(8)対向車OVが接近しており反対向車線側にガードレール等が存在しない場合に、歩行者Pを反対向車線側に落下させることによって、歩行者Pが対向車に轢かれる二次被害を防止することができる。
(9)対向車OVが検出されず反対向車線側にガードレール等の危険因子が存在する場合に、歩行者Pを対向車線側に落下させることによって、歩行者Pがガードレール上などの危険箇所に落下する二次被害を防止することができる。
(10)対向車OVが接近しておりかつ反対向車線側にガードレール等の危険因子が存在する場合に、フード10の前部を高くして歩行者Pをすくい上げフード10上に保持することによって二次被害を防止することができる。
(11)フード10の前後左右にアクチュエータ21〜24を設けたことによって、フード10を高い自由度で駆動可能として上述した効果を確実に発揮することができる。
(12)フード10前部に設けられるアクチュエータ21,22のフード10との係合を解除する係合解除機構30を設けたことによって、本発明の適用によってフード10の開閉が妨げられることがない。
次に、本発明を適用した車両用フード装置の実施例2について説明する。
上述した実施例1と実質的に共通する箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図9は、本発明を適用した車両用フード装置の実施例2を有する車両のフード及びアクチュエータの配置を示す模式図である。
実施例2においては、左前アクチュエータ21及び右前アクチュエータ22を、左右の前照灯4の後方に、前照灯4の上端部にほぼ沿って配置している。
以上説明した実施例2においても、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
(1)車両用フード装置の構成は、上述した各実施例の構成に限らず、適宜変更することが可能である。例えば、アクチュエータ、センサの種類、配置、個数等は適宜変更することができる。
実施例では、フードを昇降させるアクチュエータとして、油圧式のものを用いたが、空気圧式や電動式のアクチュエータを用いてもよい。
(2)実施例では、ステレオカメラを有する環境認識装置による衝突の前兆の検出に応じてフードの駆動を開始しているが、アクチュエータの駆動速度が十分に高速である場合には、車体前端部に設けられる加速度センサ等によって実際の衝突を検出してからフードの駆動を開始してもよい。
(3)実施例では、環境認識装置としてステレオカメラを有するものを用いているが、これに限らず、例えば単眼カメラとミリ波レーダ、レーザレーダ等の距離検出装置を併用してもよい。
(4)実施例では環境認識装置は車両前方の環境を認識しているが、車両側方や後方の環境を認識可能である場合には、後続車両や併走車両の検出結果に応じてフード歩行者落下モードにおけるフードの目標姿勢を決定してもよい。
1 車両 2 キャビン
3 エンジンルーム 4 前照灯
5 開口 10 フード
11 ヒンジ 12 ラッチ
21 左前アクチュエータ 22 右前アクチュエータ
23 左後アクチュエータ 24 右後アクチュエータ
30 ラッチ解除機構 31 フード側ブラケット
32 アクチュエータ側ブラケット 33 係合ピン
34 左係合解除アクチュエータ 35 右係合解除アクチュエータ
100 フード制御ユニット 101 衝突検出センサ
102 フード加速度センサ 110 環境認識装置
111 左カメラ 112 右カメラ
P 歩行者 OV 対向車

Claims (11)

  1. 車体前部に設けられるフードと、
    前記フードを車体に対して上昇させかつ前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能なフード駆動装置と、
    歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出する衝突検出手段と、
    前記衝突検出手段による検出結果に応じて前記フード駆動装置を制御して前記フードを駆動させるフード駆動制御手段と
    を備える車両用フード装置であって、
    前記フード駆動制御手段は、歩行者の衝突又は衝突の前兆の検出に応じて前記フードを上昇させるとともに歩行者からの衝撃吸収に備えた第1の姿勢に前記フードを駆動させ、衝撃吸収後に歩行者の落下方向を制御する第2の姿勢に前記フードを駆動させ、
    前記フード駆動制御手段は、衝突時の歩行者の身体の方向を検出する身体方向検出手段を備え、
    前記フード駆動制御手段は、検出された身体の方向が車体に正対する方向に近い場合に、身体の方向が車体に対して横向きに近い場合に対して前記第1の姿勢における前記フードの後端部の上昇量を増加するよう前記フード駆動装置を制御すること
    を特徴とする車両用フード装置。
  2. 車体前部に設けられるフードと、
    前記フードを車体に対して上昇させかつ前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能なフード駆動装置と、
    歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出する衝突検出手段と、
    前記衝突検出手段による検出結果に応じて前記フード駆動装置を制御して前記フードを駆動させるフード駆動制御手段と
    を備える車両用フード装置であって、
    前記フード駆動制御手段は、歩行者の衝突又は衝突の前兆の検出に応じて前記フードを上昇させるとともに歩行者からの衝撃吸収に備えた第1の姿勢に前記フードを駆動させ、衝撃吸収後に歩行者の落下方向を制御する第2の姿勢に前記フードを駆動させ、
    前記フード駆動制御手段は、歩行者の頭部の位置を逐次撮像する撮像手段を備え、
    前記フード駆動制御手段は、前記第1の姿勢において前記頭部が前記フードに衝突する位置の上昇量を増加するよう前記フード駆動装置を制御すること
    を特徴とする車両用フード装置。
  3. 前記撮像手段は、前記フードに衝突後の前記歩行者を逐次撮像し、
    前記フード駆動制御手段は、前記フード上における前記歩行者の位置変化に応じて前記フードの姿勢を前記第1の姿勢からフィードバック制御すること
    を特徴とする請求項2に記載の車両用フード装置。
  4. 車体前部に設けられるフードと、
    前記フードを車体に対して上昇させかつ前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能なフード駆動装置と、
    歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出する衝突検出手段と、
    前記衝突検出手段による検出結果に応じて前記フード駆動装置を制御して前記フードを駆動させるフード駆動制御手段と
    を備える車両用フード装置であって、
    前記フード駆動制御手段は、歩行者の衝突又は衝突の前兆の検出に応じて前記フードを上昇させるとともに歩行者からの衝撃吸収に備えた第1の姿勢に前記フードを駆動させ、衝撃吸収後に歩行者の落下方向を制御する第2の姿勢に前記フードを駆動させ、
    前記フード駆動制御手段は、前記フードが前記第1の姿勢にあるときに歩行者の衝撃吸収完了を判定する衝撃吸収完了判定手段を備え、
    前記フード駆動制御手段は、前記衝撃吸収完了判定手段の判定に応じて前記フードが前記第1の姿勢から前記第2の姿勢へ推移するよう前記フード駆動装置を制御すること
    を特徴とする車両用フード装置。
  5. 前記衝撃吸収完了判定手段は、前記フード上における歩行者を逐次撮像する撮像手段、及び、前記フードの加速度を検出する加速度センサを備え、前記歩行者の前記フードに対する相対速度が所定値以下となりかつ前記フードの加速度が所定値以下となった場合に前記衝撃吸収完了を判定すること
    を特徴とする請求項4に記載の車両用フード装置。
  6. 車体前部に設けられるフードと、
    前記フードを車体に対して上昇させかつ前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能なフード駆動装置と、
    歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出する衝突検出手段と、
    前記衝突検出手段による検出結果に応じて前記フード駆動装置を制御して前記フードを駆動させるフード駆動制御手段と
    を備える車両用フード装置であって、
    前記フード駆動制御手段は、歩行者の衝突又は衝突の前兆の検出に応じて前記フードを上昇させるとともに歩行者からの衝撃吸収に備えた第1の姿勢に前記フードを駆動させ、衝撃吸収後に歩行者の落下方向を制御する第2の姿勢に前記フードを駆動させ、
    前記フード駆動制御手段は、自車両周囲の環境を認識する環境認識手段を有し、
    前記フード駆動制御手段は、前記環境認識手段による環境認識結果に基づいて前記第2の姿勢における前記フードの姿勢を設定すること
    を特徴とする車両用フード装置。
  7. 前記フード駆動制御手段は、前記環境認識手段が接近中の対向車を検出しかつ自車両の反対向車線側に隣接する危険因子が検出されない場合に、前記第2の姿勢における前記フードを対向車線側が高くなる方向に傾斜させること
    を特徴とする請求項6に記載の車両用フード装置。
  8. 前記フード駆動制御手段は、前記環境認識手段が自車両の反対向車線側に隣接する危険因子を検出しかつ接近中の対向車が検出されない場合に、前記第2の姿勢における前記フードを反対向車線側が高くなる方向に傾斜させること
    を特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車両用フード装置。
  9. 前記フード駆動制御手段は、前記環境認識手段が接近中の対向車を検出しかつ自車両の反対向車線側に隣接する危険因子を検出した場合に、前記第2の姿勢における前記フードを前部が高くなる方向に傾斜させること
    を特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載の車両用フード装置。
  10. 車体前部に設けられるフードと、
    前記フードを車体に対して上昇させかつ前後方向及び左右方向に傾斜させることが可能なフード駆動装置と、
    歩行者との衝突又は衝突の前兆を検出する衝突検出手段と、
    前記衝突検出手段による検出結果に応じて前記フード駆動装置を制御して前記フードを駆動させるフード駆動制御手段と
    を備える車両用フード装置であって、
    前記フード駆動制御手段は、歩行者の衝突又は衝突の前兆の検出に応じて前記フードを上昇させるとともに歩行者からの衝撃吸収に備えた第1の姿勢に前記フードを駆動させ、衝撃吸収後に歩行者の落下方向を制御する第2の姿勢に前記フードを駆動させ、
    前記フード駆動装置は、前記フードの左前部、右前部、左後部、右後部にそれぞれ設けられ前記フードを昇降させる複数のアクチュエータを有し、
    前記フードの前部又は後部の一方に設けられたアクチュエータには前記フードを揺動可能に支持するヒンジが設けられ、他方に設けられたアクチュエータには前記フードとの係合を解除する係合解除機構が設けられること
    を特徴とする車両用フード装置。
  11. 歩行者の体格を検出する体格検出手段を備え、
    前記フード駆動制御手段は、検出された歩行者の体格が大きい場合に、体格が小さい場合に対して前記第1の姿勢における前記フードの後端部の上昇量を増加するよう前記フード駆動装置を制御すること
    を特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の車両用フード装置。
JP2013135219A 2013-06-27 2013-06-27 車両用フード装置 Active JP6211831B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013135219A JP6211831B2 (ja) 2013-06-27 2013-06-27 車両用フード装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013135219A JP6211831B2 (ja) 2013-06-27 2013-06-27 車両用フード装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015009621A JP2015009621A (ja) 2015-01-19
JP6211831B2 true JP6211831B2 (ja) 2017-10-11

Family

ID=52303198

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013135219A Active JP6211831B2 (ja) 2013-06-27 2013-06-27 車両用フード装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6211831B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170028126A (ko) 2015-09-03 2017-03-13 엘지전자 주식회사 차량 운전 보조 장치 및 차량
JP2017065293A (ja) * 2015-09-28 2017-04-06 ソニー株式会社 被害低減装置、被害低減方法、及びプログラム
JP7038020B2 (ja) * 2018-08-03 2022-03-17 本田技研工業株式会社 歩行者保護システム
CN111572491A (zh) * 2020-05-01 2020-08-25 东风汽车集团有限公司 基于场景控制的主动机罩系统

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5087622U (ja) * 1973-12-14 1975-07-25
EP1078826B1 (en) * 1999-08-21 2002-01-02 Ford Global Technologies, Inc., A subsidiary of Ford Motor Company Pedestrian safety module device
DE10141730B4 (de) * 2001-08-25 2009-09-03 Conti Temic Microelectronic Gmbh Verfahren zum Schutz lebender Objekte bei einem Zusammenstoß mit einem Fahrzeug sowie ein Fahrzeug mit einer Steuervorrichtung zur Durchführung des Verfahrens
JP3925653B2 (ja) * 2003-07-24 2007-06-06 トヨタ自動車株式会社 車両の衝突保護装置
JP2005206103A (ja) * 2004-01-26 2005-08-04 Mazda Motor Corp 車両用フード装置
JP4161933B2 (ja) * 2004-04-12 2008-10-08 トヨタ自動車株式会社 車両のフード跳ね上げ装置
JP2007038955A (ja) * 2005-08-05 2007-02-15 Toyota Motor Corp 車両用フード制御装置
JP4569822B2 (ja) * 2005-08-16 2010-10-27 株式会社デンソー 車両用歩行者保護装置
JP5026822B2 (ja) * 2007-03-09 2012-09-19 株式会社豊田中央研究所 車両用安全装置
JP5239285B2 (ja) * 2007-10-11 2013-07-17 株式会社豊田中央研究所 フード下降装置
US7997375B2 (en) * 2009-04-17 2011-08-16 Tony Shaw Vehicle hood apparatus
JP2012131463A (ja) * 2010-12-24 2012-07-12 Honda Motor Co Ltd 車両の歩行者衝突位置判定装置
EP2743145B1 (en) * 2012-12-12 2017-04-19 Volvo Car Corporation Safety arrangement for a vehicle

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015009621A (ja) 2015-01-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11242022B2 (en) Pedestrian protecting device for vehicle and vehicle including same
KR101775856B1 (ko) 차량 제어 시스템 및 차량 제어 방법
JP6211831B2 (ja) 車両用フード装置
JP6990631B2 (ja) 車両用保護装置
EP1795403B1 (en) Situationally dependent vehicle structure for pedestrian protection
JP4658624B2 (ja) 車両用フード装置
JPWO2017056374A1 (ja) 被害低減装置、被害低減方法およびプログラム
JP7011985B2 (ja) 車体構造
CN110723099B (zh) 车身构造
EP3501894A1 (en) A device for suspension of a lamp in a vehicle
US8738282B1 (en) Reconfigurable vehicle control system and method
CN110614969A (zh) 可缩回的车辆支腿加强件
JP7038020B2 (ja) 歩行者保護システム
JP2008007064A (ja) フロントフード構造、及び車両の衝突保護装置
JP4862499B2 (ja) 車両用可動バンパ装置
JP2016107647A (ja) 車両の衝突体保護装置
JP4851800B2 (ja) 車両用衝突制御装置
JP2005047316A (ja) 車両用衝突制御装置
JP5026822B2 (ja) 車両用安全装置
JP6909440B2 (ja) 車両の歩行者保護装置
US20220306030A1 (en) Control device, control method, and storage medium
CN214215575U (zh) 无人车
JP2009143435A (ja) 車両制御装置
JP4784535B2 (ja) 車両用安全装置
JP6077402B2 (ja) 車体前部構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161209

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161208

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170207

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170509

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170711

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170821

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170914

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6211831

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250