JP2001071329A - シート状孔質樹脂成形金型の圧力媒体注入部、及びこれを用いた成形金型 - Google Patents

シート状孔質樹脂成形金型の圧力媒体注入部、及びこれを用いた成形金型

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JP2001071329A
JP2001071329A JP2000195891A JP2000195891A JP2001071329A JP 2001071329 A JP2001071329 A JP 2001071329A JP 2000195891 A JP2000195891 A JP 2000195891A JP 2000195891 A JP2000195891 A JP 2000195891A JP 2001071329 A JP2001071329 A JP 2001071329A
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pressure medium
sheet
medium injection
surface forming
wall portion
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JP2000195891A
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English (en)
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Shinkichi Torii
信吉 鳥居
Katsuhiko Suzuki
克彦 鈴木
Koichi Handa
浩一 半田
Kenji Uesugi
憲治 上杉
Masaaki Suzuki
正明 鈴木
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空洞の形状、配置、容積占有率及び開口部面
積率などを空洞毎にも調整でき、軽量化や剛性の制御が
可能で、ヒケやソリが無く外観の良好なシート状孔質樹
脂成形体を製造でき、簡易な構造を有する圧力媒体注入
部及び成形金型を提供すること。 【解決手段】 表面や裏面に開口部を有する盲空洞を備
えた孔質樹脂シートを成形する金型に設けられる圧力媒
体注入部(ノズル)である。ノズル5は注入部材13に
挿入され、先端部がキャビティ4内に突出し、フランジ
部がガス室3に面する。ノズル5の先端部はキャビティ
4の一部を形成する注入部材13の構成材料より低熱伝
導率の被覆材14によって被覆され、被覆材14を介し
て溶融樹脂15と接触する。注入部材13に挿入される
部分の外周面も被覆材14で部分的に被覆され、ガス室
3に面したフランジ部も被覆材14で被覆される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、独立した複数個の
盲空洞を有しシート状で孔質の樹脂成形体を成形するた
めの成形金型に用いられる圧力媒体注入部に係り、更に
詳細には、かかる盲空洞の形状、配置、容積占有率及び
開口部面積率などを随意に設計変更可能であり、シート
状孔質樹脂成形体の軽量化や剛性向上などを適切に制御
し得る、圧力媒体注入部及びこれを用いた成形金型に関
する。また、得られるシート状孔質樹脂成形体は、軽量
で剛性に優れ、吸音特性なども良好であり、例えば、自
動車用の外板材や内装材などに好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来から、空洞を有し剛性が高く且つ軽
量な樹脂成形体を得るために、ハニカム状成形体と平板
とを積層する方法、ブロー法による成形法及び補強リブ
を立設する方法などが行われている。ところが、かかる
積層法によるハニカム状成形体では、積層工程に多くの
時間を要する一方で、積層された層同士が剥離し易く信
頼性に劣り、特に、成形体の一部に選択的に剛性を付与
することが困難であるという問題があった。また、ブロ
ー成形では、成形に際し補強リブを立設できない成形体
中央部につき、剛性が不十分になるという問題がある。
更に、補強リブを立設する方法では、リブ構造によって
成形体表面にヒケが発生し易く、また、金型構造が複雑
になって金型加工に手間がかかり、しかも金型温度の制
御が複雑・困難になるという問題があった。
【0003】これらの問題に対し、特公昭57−149
68号公報には、射出成形金型のキャビティ内に不十分
な溶融樹脂を充填後、同じ口から加圧ガスを注入してキ
ャビティ内を満たし、樹脂中空体を形成する方法が提案
されている。また、特開昭54−111557号公報に
は、ヒケ防止のため、金型内部に突出片を形成し、この
突出片に位置するキャビティ部分と他のキャビティ部分
との温度差を利用しながら補強リブを立て、更にガスを
注入してこの補強リブを起点として成形体中に空洞を形
成する方法や、更に金型の一部がスライドして容積が拡
大することにより補強リブを形成する方法が提案されて
いる。更に、特開平6−134828号公報では、かか
るリブ構造によるものとして、射出成形中に逆止弁を介
してガスを注入し、中空体を形成する方法が提案されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特公昭57−14968号公報に記載の方法では、ガス
注入口が樹脂射出口と同じであるため、形成される空洞
の個数や大きさを容易には制御できないという課題があ
る。また、特開昭54−111557号公報に記載の方
法では、空洞の容積や形状を制御できず、成形品にソリ
などが発生し易いという課題があった。
【0005】更に、特開平6−134828号公報に記
載の方法では、ガス注入ノズルに逆止弁を設けているた
め、逆止弁での樹脂詰まりによって所望の空洞を形成で
きないことがある。また、逆止弁を設けた結果、ノズル
先端部が大きくなって単位面積当たりに多数の空洞を設
けることができず、更には、ガス注入ノズルの先端形状
を随意に変化させて空洞の形状を変えることが困難であ
るという課題があり、かかる課題は、ノズル先端部に加
熱装置を設けた特開平6−155556号公報記載の成
形金型にも共通する。
【0006】更にまた、これら3つの方法で得られる樹
脂成形体は、いずれも厚みが50〜100mm程度のい
わゆる厚物であり、また、形成する空洞の位置や個数、
大きさを意図的に制御できず、従って、これら3つの方
法で得られる樹脂成形体は、薄く軽量で剛性に優れ、し
かも剛性を部分的にも調整し得る本発明の孔質樹脂成形
体とは、技術思想を異にする。
【0007】また、特開平5−131483号公報に
は、射出成形中にガスを注入し、連続した空洞を形成し
た成形品が開示されているが、空洞が連続しているた
め、リブがある部分と無い部分とで剛性が異なる。更
に、空洞の連続した部分とリブがある部分とに歪みを生
じ易く、かかる部位にソリを生ずる。また、意図する部
位にリブを立設して剛性を付与することが困難であると
いう課題があった。更に、特開平8−276452号公
報に記載の成形金型では、樹脂シリンダーノズルと加圧
流体ノズルが同一のノズルを共用する構造であるため、
加圧流体ノズルの形状を変化させて空洞形状を制御する
ことができないという課題がある。
【0008】更にまた、上述した特開平6−13482
8号公報や特開平6−155556号公報などに記載の
方法のように、加熱成形時に樹脂が流動性を帯びている
間に加圧ガスを注入し、一度に空洞を有する樹脂成形体
を製造する方法では、空洞形状又は空洞容積の制御によ
り成形体表面におけるヒケの防止又は補強リブを増すこ
とを目的にしているため、加圧ガス注入部の構造を工夫
して空洞形状及び空洞容積を制御することについては、
考慮されていなかった。更に、これらの方法によって形
成された空洞では、各空洞が連通しているか又は独立し
た空洞を形成していても、リブ厚、形状及び容積等を個
々の空洞毎に制御ができないという課題もあった。
【0009】本発明は、このような従来技術の有する課
題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、空洞の形状、配置、容積占有率及び開口部面積率な
どを空洞毎にも随意に調整でき、軽量化や剛性の制御が
可能であり、しかもヒケやソリが無く良好な外観を有す
るシート状孔質樹脂成形体を製造でき、更には、簡易な
構造を有し、複雑な加工を必要としない圧力媒体注入部
及びこれを用いた成形金型を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、内容積を変化させ
得る特定のキャビティを備える金型を用い、圧力媒体注
入部の材料特性や形状を制御することにより、上記目的
が達成されることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0011】即ち、本発明の第1の圧力媒体注入部は、
表面及び/又は裏面に開口部を有する複数個の独立した
盲空洞を備えたシート状孔質樹脂成形体を成形でき、シ
ート表面形成壁部とシート裏面形成壁部を有し、このシ
ート表面形成壁部及びシート裏面形成壁部の少なくとも
一方が他方と離間する方向に変位可能で、上記シート状
孔質樹脂成形体に所望形状を付与するキャビティと、こ
のキャビティに連通する樹脂注入部を備えた成形金型、
に用いられる圧力媒体注入部であって、上記シート表面
形成壁部及び/又はシート裏面形成壁部に配設され、そ
の全部又は一部の熱伝導率が、上記キャビティを形成す
る材料の熱伝導率と異なることを特徴とする。
【0012】また、この圧力媒体収入部の好適形態は、
上記圧力媒体注入部の全部又は一部の熱伝導率が、上記
キャビティ形成材料の熱伝導率より小さいことを特徴と
する。
【0013】更に、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、上記全部又は一部に、上記キャビティ形成材料より
熱伝導率が小さな被覆材を被覆して成ることを特徴とす
る。
【0014】更にまた、この圧力媒体注入部の更に他の
好適形態は、上記シート表面形成壁部及び/又はシート
裏面形成壁部から突設されていることを特徴とする。
【0015】また、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、上記一部が、上記キャビティに注入される溶融樹脂
と接する部分であることを特徴とする。
【0016】更に、この圧力媒体注入部の更に他の好適
形態は、上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面
形成壁部を貫通した別体の筒状ノズルから構成されるこ
とを特徴とする。
【0017】更にまた、この圧力媒体注入部の他の好適
形態は、上記熱伝導率が小さな被覆材が、上記筒状ノズ
ルと上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成
壁部との間に介在し、両者の直接接触が防止されている
ことを特徴とする。
【0018】また、この圧力媒体注入部の更に他の好適
形態は、上記被覆材の熱伝導率が、10(W・m−1
−1)以下であることを特徴とする。
【0019】次に、本発明の第2の圧力媒体注入部は、
上述の如き成形金型に用いられる圧力媒体注入部であっ
て、上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成
壁部に配設され、圧力媒体導入管と圧力媒体噴出口とを
連結して成り、この圧力媒体噴出口の内部形状が、上記
圧力媒体導入管の内部形状とほぼ同一か又はそれより拡
開した形状であることを特徴とする。
【0020】また、この圧力媒体注入部の好適形態は、
上記圧力媒体噴出口の拡開角度が、上記圧力媒体導入管
の中心軸に対して10〜90゜、若しくは中心軸に対し
平行であることを特徴とする。
【0021】更に、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成
壁部から突出している突出部を有することを特徴とす
る。
【0022】更にまた、この圧力媒体注入部の更に他の
好適形態は、上記突出部が先細部分を有する外部形状を
なし、この先細部分の先細角度が上記圧力媒体導入管の
中心軸に対して10〜90゜であることを特徴とする。
【0023】また、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、上記突出部の突出長が、上記シート表面形成壁部と
シート裏面形成壁部との距離の3/4以下であることを
特徴とする。
【0024】次に、本発明の第3の圧力媒体注入部は、
上述の如き成形金型に用いられる圧力媒体注入部であっ
て、上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成
壁部に穿設された貫通孔に、リベット状のピンを遊嵌し
て成り、このリベット状ピンの頭部と上記シート表面形
成壁部及び/又はシート裏面形成壁部の背面との間に、
圧力媒体導入用の間隙を設けて成ることを特徴とする。
【0025】また、この圧力媒体注入部の好適形態は、
上記リベット状ピンの先端部が、上記シート表面形成壁
部及び/又はシート裏面形成壁部から突出していること
を特徴とする。
【0026】更に、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、上記リベット状ピンの胴部に、この胴部の延在方向
と平行な溝が設けられていることを特徴とする。
【0027】更にまた、この圧力媒体注入部の更に他の
好適形態は、上記リベット状ピンの胴部に、螺旋溝が設
けられていることを特徴とする。
【0028】また、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、上記リベット状ピンの胴部と上記貫通孔との間隙
が、1〜200μmであることを特徴とする。
【0029】更に、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、一端に係止片を有するブシュを更に上記貫通孔に嵌
入し、このブシュに上記リベット状ピンを遊嵌し、上記
ブシュの係止片と上記リベット状ピンの頭部のとの間に
圧力媒体導入用の間隙を設けて成ることを特徴とする。
【0030】更にまた、この圧力媒体注入部の他の好適
形態は、上記ブシュの先端部が、上記シート表面形成壁
部及び/又はシート裏面形成壁部から突出していること
を特徴とする。
【0031】また、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、上記リベット状ピンの胴部と上記ブシュとの間隙
が、1〜200μmであることを特徴とする。
【0032】次に、本発明の第4の圧力媒体注入部は、
上述の如き成形金型に用いられる圧力媒体注入部であっ
て、上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成
壁部から突出した突出部を有し、この突出部が、上記キ
ャビティに注入される溶融乃至半固形の樹脂と係合可能
な係合部を備えることを特徴とする。
【0033】また、この圧力媒体注入部の好適形態は、
上記係合部が、上記突出部の外周に、この突出部の突出
方向と交差する方向に設けられた溝から成ることを特徴
とする。
【0034】更に、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、上記係合部が上記突出部の先端に設けられた拡径部
から成り、上記係合部の基部からこの拡径部への移行領
域が90゜以下の角度で立ち上がっていることを特徴と
する。
【0035】更にまた、この圧力媒体注入部の更に他の
好適形態は、上記シート表面形成壁部及び/又はシート
裏面形成壁部とを貫通し、これらとは別体で形成されて
いることを特徴とする。
【0036】次に、本発明の第5の圧力媒体注入部は、
上述の如き成形金型に用いられる圧力媒体注入部であっ
て、上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成
壁部を貫通した別体の円筒状ノズルから構成され、該ノ
ズル先端は、中心部と、この中心部に1以上の外周部層
を円周状に被覆した外周部とから構成され、上記ノズル
先端中心部及びノズル先端外周部は溶融樹脂と接するこ
とができ、上記ノズル先端外周部の熱伝導率が、上記ノ
ズル先端中心部の熱伝導率と異なることを特徴とする。
【0037】また、この圧力媒体注入部の好適形態は、
上記ノズル先端外周部が、上記キャビティ形成材料と同
一又はそれより高い熱伝導率を有することを特徴とす
る。
【0038】更に、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、上記ノズル先端中心部の熱伝導率が、上記ノズル先
端外周部の熱伝導率より小さいことを特徴とする。
【0039】更にまた、この圧力媒体注入部の更に他の
好適形態は、上記ノズル先端中心部の熱伝導率が、10
(W・m−1・K−1)以下であることを特徴とす
る。
【0040】また、この圧力媒体注入部の他の好適形態
は、上記ノズル先端中心部が、上記キャビティ形成材料
より熱伝導率が小さな材料を該ノズル先端中央に被覆し
又は充填して成ることを特徴とする。
【0041】更に、この圧力媒体注入部の更に他の好適
形態は、上記ノズル先端中心部の面積が、得られるシー
ト状孔質樹脂成形体の開口部面積の1.1倍以上である
ことを特徴とする。
【0042】更にまた、この圧力媒体注入部の他の好適
形態は、圧力媒体噴出口が、上記ノズル先端の側面に設
けられていることを特徴とする。
【0043】また、この圧力媒体注入部の更に他の好適
形態は、上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面
形成壁部より後退した位置に凹設されていることを特徴
とする。
【0044】更に、本発明のシート状孔質樹脂成形金型
は、上述の如き圧力媒体注入部と、シート表面形成壁部
と、シート表裏面形成壁部を有し、このシート表面形成
壁部又はシート表裏面形成壁部の少なくとも一方に、複
数の吸引孔を設けたことを特徴とする。
【0045】更にまた、本発明の他のシート状孔質樹脂
成形金型は、上述の如き圧力媒体注入部と、シート表面
形成壁部とシート裏面形成壁部を有し、このシート表面
形成壁部及びシート裏面形成壁部の少なくとも一方が他
方と離間する方向に変位可能で、上記シート状孔質樹脂
成形体に所望形状を付与するキャビティと、このキャビ
ティに連通する樹脂注入部と、を備えることを特徴とす
る。
【0046】
【作用】本発明の第1の圧力媒体注入部によれば、熱が
圧力媒体注入部から金型キャビティに伝達するのを抑制
でき、圧力媒体の温度低下を防止できる。また、金型キ
ャビティにおいては、熱伝達が低減されているため、溶
融樹脂の固化が遅延し、この結果、孔質樹脂成形体にお
ける空洞の開口部の形成が容易になる。また、第2の圧
力媒体注入部によれば、圧力媒体の注入方向を制御で
き、拡開した盲空洞を形成し易くなる。更に、第3の圧
力媒体注入部によれば、圧力媒体の注入を制御でき、溶
融樹脂の逆流をほぼ確実に防止できるとともに、圧力媒
体流に所定の方向性を付与できる。更にまた、第4の圧
力媒体注入部によれば、金型キャビティに充填された溶
融樹脂の一部に減圧部を形成することができ、この結
果、圧力媒体の注入がいっそう容易になり、盲空洞の形
成を容易に行うことができる。また、第5の圧力媒体注
入部によれば、ノズル先端外周部近傍樹脂を早期に固化
させることができ、圧力媒体の注入時に開口部周囲の溶
融樹脂による変形や狭小を防止し、開口部径や盲空洞内
径の精度が高い樹脂形成が可能となる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、本発明の圧力媒体注入部に
ついて詳細に説明する。 (1)上述の如く、この圧力媒体注入部は、所定の盲空
洞を備えたシート状孔質樹脂成形体を成形できる成形金
型に用いられる。
【0048】ここで、かかるシート状孔質樹脂成形体
は、相互に独立した複数個の盲空洞を有し、これら盲空
洞の開口部が、このシート状成形体の表面及び/又は裏
面に面している。また、かかる盲空洞は、該シート状成
形体において、表面−裏面間が貫通していない空洞を意
味する。また、盲空洞同士は接しておらず、それぞれが
独立した空間を形成している。上記盲空洞は、代表的に
は、開口部が存在するシート面(表面又は裏面)からこ
れに対向するシート面(裏面又は表面)の方向に延在・
拡開しており、典型的には、球形、楕円球形、茄子形や
裸電球形の孔形状を有する。なお、本明細書において
は、シート状成形体のいずれか一方の表面を「表面」又
は「シート表面」、他方の表面を「裏面」又は「シート
裏面」と記載するが、両者に本質的な差異がある訳では
なく、説明の便宜のためであり、両者を相互に交換して
記載しても、本発明の範囲に属するのは言うまでもな
い。
【0049】また、上述のような樹脂成形体において、
盲空洞以外の部分を構成する樹脂としては、加熱成形時
に流動性を帯びている樹脂であればよく、熱可塑性樹脂
及び熱硬化性樹脂のいずれであってもよいが、盲空洞の
形成時間の設定が容易な熱可塑性樹脂を好ましく用いる
ことができる。熱硬化性樹脂の場合は、触媒種、触媒量
及び加熱温度等を選定することにより、硬化性を調整す
れば容易に使用することができる。一方、熱可塑性樹脂
は、空洞の形成時間の設定が容易であるため特に好適で
あり、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リスチレン、アクリル樹脂、メタクリル酸メチル、PB
T、PET、ポリカーボネート(PC)、ABS樹脂、
AES樹脂、ナイロン、ポリアミド(PA)、ポリフェ
ニレンエーテル(PPE)及びこれらの共重合体などを
用いることができる。なお、これらの樹脂には、通常使
用されているタルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維及び
有機繊維等の補強材を配合することが可能である。
【0050】また、かかる樹脂成形体において、上記盲
空洞の開口部は、上述の如く、シート表面、シート裏面
又はこれら両面に存在し、これら開口部(盲空洞)は、
シート表面及び/又は裏面に均一に分布していてもよい
が、当該シート面の一部について密に分布しているな
ど、所望の部分剛性や軽量性に応じて、不均一に分布し
ていてもよい。なお、開口部を均一に分布させる場合に
は、隣接する開口部同士の中心点が等間隔になるように
することが好ましい。かかる開口部配置により、盲空洞
を囲む樹脂部分、即ち補強リブに相当する樹脂部分の厚
さが均一となるため、剛性のばらつきが少なくなる。
【0051】更に、上記樹脂成形体においては、盲空洞
の容積の総和が、そのシート状成形体の容積の1〜70
%を占有するようにすることが好ましい。かかる容積率
が1%未満では、重量基準での比較において、空洞を形
成しないものに対して有意な剛性差が得られず、空洞形
成の効果を十分には発現できず、70%を超えると、軽
量化には優れるが、剛性が低下し過ぎることがある。
【0052】また、上記樹脂成形体においては、盲空洞
の開口部面積の総和が、その開口部が存在するシート面
の全面積の1〜70%を占有することが好ましい。かか
る開口部面積率が1%未満では、軽量化の効果を十分に
発現できず、また、70%を超えると、剛性が低下し過
ぎることがあり、好ましくない。
【0053】更にまた、上記樹脂成形体においては、上
述の如き孔形状を有する盲空洞の深さとそのシート状成
形体の厚さとの寸法差、即ち(シート状成形体の厚さ−
盲空洞長)が、1mm以上となるようにすることが好ま
しい。この寸法差が1mm未満では、剛性が十分でな
い。なお、本発明によって得られる樹脂成形体の厚さ
は、代表的に5〜30mmであり、この点においても上
記従来技術の厚物シートと異なるが、上記範囲を超えて
厚さを増大することは容易であり、本発明に関連する成
形体は、厚さによって制限を受けるものではない。
【0054】また、上記樹脂成形体では、上述の如き孔
形状を有する盲空洞の最大径部分において、そのシート
状成形体の表面及び裏面に平行な断面による断面積が、
この盲空洞における断面積の1〜30倍の広さを有する
ことが好ましい。かかる盲空洞の最大断面積が開口部面
積の1倍未満では、空洞形成による軽量化効果が十分で
はなく、30倍を超えると、空洞が大きくなり過ぎ、剛
性が不十分となることがある。
【0055】なお、上記シート状成形体のシート表面及
び/又はシート裏面に、少なくとも1層の樹脂層を付加
的に積層することができ、かかる樹脂層の積層により、
ねじれ剛性を向上できる。また、かかる樹脂層として塗
装塗膜を用いることができ、これにより、樹脂成形体の
外観を更に良好なものとすることができる。更に、文様
等を加飾したり、耐擦傷性や光沢等を持つ樹脂薄膜層を
積層することも可能であり、これによって、かかる樹脂
成形体の商品性を更に向上することができる。
【0056】本発明の圧力媒体注入部を備えた成形金型
によって製造でき、上述のような構成を有するシート状
孔質樹脂成形体は、適切な軽量性と剛性を兼備してお
り、各種日用品や軽量材料などに用いられるが、特に自
動車の内装材や外板材等として好適であり、この場合、
上述の軽量性と剛性の兼備の外、吸音特性や保温性の効
果も期待できる。
【0057】また、本発明の圧力媒体注入部によって注
入可能な圧力媒体としては、圧力や温度等の制御が容易
で原料樹脂に対して不活性な気体、液体及び流動体など
が好ましく、特に、窒素ガス、炭酸ガス、空気及びヘリ
ウムなどを好適に用いることができる。
【0058】(2)本発明において、この圧力媒体注入
部が配設される成形金型は、シート表面形成壁部とシー
ト裏面形成壁部を有し、このシート表面形成壁部及びシ
ート裏面形成壁部の少なくとも一方が他方と離間する方
向に変位可能で、上記シート状孔質樹脂成形体に所望形
状を付与するキャビティと、このキャビティに連通する
樹脂注入部を備える。
【0059】図1は、かかるシート状孔質樹脂成形体の
成形金型の一例を示す断面図である。同図において、こ
の成形金型は、固定金型1と、可動金型2と、固定金型
1の可動金型2側に装着された圧力媒体・樹脂注入部材
13と、可動金型2と注入部材13とで規定される金型
キャビティ4とを備える。
【0060】注入部材13には、圧力媒体の一例である
加圧ガスをキャビティ4に注入する複数本の加圧ガス注
入用ノズル5と、成形体の原料樹脂をキャビティ4に注
入する樹脂注入口6とがそれぞれ別個に設けられてお
り、圧力媒体注入部の一例である加圧ガス注入用ノズル
5は、この注入部材13と固定金型1との間に設けられ
たガス室3を介して、ガスボンベ7、圧力調整バルブ
8、制御弁9、加熱装置10を有するガス供給系に連通
している。一方、樹脂注入口6は、注入部材13及び固
定金型1のほぼ中央部を貫通して、図示しない原料樹脂
供給系と連結している。
【0061】この成形金型においては、可動金型2の凹
部立壁2aが成形体シートの裏面を形成し、この凹部立
壁2aと対向する注入部材13の壁部13aが、盲空洞
の開口部を有する成形体シートの表面を形成する機能を
果たす。また、可動金型2は、加圧ガスの注入方向(図
面の左方)にスライド移動可能に構成されており、換言
すれば、キャビティ4のシート裏面形成壁部である凹部
立壁2aが、シート表面形成壁部である壁部13aに対
し離間する方向に変位可能に構成されている。
【0062】また、上述した加圧ガス注入用ノズル5
は、注入部材の壁部13aから可動金型の凹部立壁2a
の方向に突出しており、これにより、得られる成形体シ
ートの表面には、開口部が形成され易くなっている。な
お、このノズル5の内径は、原料樹脂がノズル内に逆流
するのを防止する弁を設ける必要が無く、樹脂がノズル
内に侵入せず又はごく少量しか侵入せず、侵入したとし
てもガス注入圧で排出されるような大きさとすることが
好ましい。かかる内径は、原料樹脂の種類、成形温度、
成形圧力及びガス注入圧などを考慮して定めることがで
きるが、上述のようにノズル5が突出している場合、代
表的には、1〜200μmとすることが好ましい。
【0063】図1に示した成形金型を用いる樹脂成形体
の製造では、まず、原料樹脂を樹脂注入口6を介してキ
ャビティ4に充填する。そして、この充填中又は充填後
に、加圧ガス注入用ノズル5を介して加圧ガスをキャビ
ティ4に注入し、これに対応して可動金型2を左方にス
ライドさせ、図2に示すように、充填した樹脂中に盲空
洞11を形成し成長させる。なお、以上の工程は一工程
で実施可能である。しかる後、樹脂を固化し離型するこ
とにより、表面に開口部を有する複数個の独立した盲空
洞11がシート裏面方向に延在しているシート状孔質樹
脂成形体12を得ることができる。
【0064】ここで、可動金型2のスライド変位は、加
圧ガスの注入を利用して行うことができるが、加圧ガス
の注入とは別個に行うこともでき、具体的には、ガス圧
力、油圧作動力及びスプリングなどの付勢力を利用して
行うことができる。かかる可動金型2のスライド変位に
より、キャビティ4の内容積が増大するが、この内容積
拡大率は、代表的に1.1〜10倍とされる。内容積拡
大率が1.1倍未満では、拡大率が小さすぎて、形成す
る盲空洞の容積にバラツキを生じ易く、成形体の製品精
度が低下することがある。一方、10倍を超えると、盲
空洞の容積が大きくなりすぎて、開口部を有さないシー
ト裏面における転写性が不十分となって、成形体の品質
が低下したり、剛性が不十分になることがある。
【0065】また、加圧ガスは、充填樹脂が必要以上に
冷却されて流動性を早期に喪失するるのを防止すべく、
ガス供給系の加熱装置10によって加熱可能であり、更
に、ガス注入圧は圧力調整バルブで調整でき、注入時期
は制御弁9によって制御できる。かかるガス温度やガス
注入圧は、原料樹脂の種類、注入用ノズルの形状や本数
に応じて適宜選定できるが、代表的には、ガス温度を3
00℃以下、ガス注入圧を0.3〜5.0MPaとする
ことが好ましい。ガス温度が300℃を超えると、通常
使用する原料樹脂が分解して分解ガスを生成し、形成す
る空洞の容積を制御できないなどの不具合を生ずること
があり、また、樹脂の分解により成形体の変色や剛性低
下を招くことがある。一方、ガス注入圧については、成
形金型の設計上の見地から上述の範囲とすることが適当
である。
【0066】また、この成形金型では、加圧ガスがガス
室3に一旦貯留されるため、各注入用ノズル5から注入
されるガス圧を均一に制御することができ、複数個の独
立した盲空洞11の成長を容易に均一化することができ
る。この場合、ガス室3は、セラミックスやテトラフル
オロエチレン等の熱伝導率の小さい材質で内面が被覆さ
れていることが好ましい。なお、盲空洞の容積や深さを
変化させたい場合には、1又は2以上の他のガス供給系
を設置して異なるガス注入圧を適用すればよい。更に
は、複数個のガス供給系を設けることにより、混合ガス
のガス注入圧を均一化して使用することも可能になる。
【0067】また、加圧ガスの注入時期は、樹脂の充填
中又は充填後に樹脂が流動性を保持している際である
が、充填中は樹脂の充填率が75%以上になったときに
ガス注入を行うことが好ましい。充填率が75%未満で
は、加圧ガス注入用ノズル5に十分な樹脂が回り込ま
ず、ガスを注入しても盲空洞の形成が困難となるからで
ある。一方、充填後は充填完了後10秒以内にガス注入
を行うのが好ましい。使用する原料樹脂の流動性が高い
場合には、ガス圧が0.3MPa程度でも盲空洞を形成
できるが、充填完了後10秒を経過すると、樹脂の流動
性が低下し、キャビティ内中心部の樹脂と周辺部の樹脂
とに流動性の差異が生じ易く、15MPaを超えるガス
圧を適用しても、流動性の低下した周辺部では盲空洞を
形成できないことがある
【0068】上述した製造方法において、得られるシー
ト状孔質樹脂成形体の有する盲空洞の個数及び配置は、
加圧ガス注入用ノズル5の本数及び配置に等しくなるの
で、意図する成形体の軽量化や全体的又は部分的剛性の
向上は、注入部材13の壁部13aにおける単位面積当
たりのノズル本数及び配置を制御することにより、簡易
に実現できる。即ち、形成された盲空洞は各々が成形体
内で独立して存在し、この場合、空洞間の樹脂は、成形
体の表面と裏面とを補強するリブを形成していると考え
ることができる。よって、ノズルの配置及び形成される
盲空洞の容積や深さを制御することにより、かかる補強
リブの配置位置及び厚さを制御でき、所望の軽量化や剛
性向上を達成できるのである。
【0069】上述の如く、形成される盲空洞の形状や容
積は、ガス注入圧力、注入時間及びキャビティの拡大率
などを調整することによって制御できる。一方、盲空洞
の位置は、ガス注入用ノズルの設置位置と一致する。よ
って、例えば、成形体全体の剛性を均一化したい場合や
軽量化に重点を置く場合などは、相当数のノズルを全体
に均一に配置すればよく、また、かかる空洞の形成によ
る効果を樹脂成形体の一部に求める場合には、部分的に
加圧ガス注入用ノズルを配置すればよい。上述した隣接
開口部間の等間隔性も、ノズルの等間隔配置により実現
される。また、後に具体的にも図示するが、ノズルの形
状(特に先端形状、突出長及び口径)、配置位置及び注
入ガス圧力等を変化させることにより、盲空洞の形状を
球、楕円球、なす形及び裸電球形等とすることができ、
これにより、成形体に適した剛性及び軽量を満足させる
のに最適な盲空洞を有する成形体を形成できる。
【0070】なお、上述の製造方法においては、原料と
して溶融樹脂を用い、流動状態を保持する時期が重要と
なるため、キャビティ4内を加熱・冷却可能な装置を付
加し、樹脂の流動性を調整し易くしてもよい。また、か
かる製造方法は、樹脂を注入して成形するものである
が、上述した成形装置の構造に対応できる注入方法であ
れば適用することができ、例えば、射出成形法や加熱圧
縮成形法などを用いることができる。
【0071】更に、上述した図1及び図2に示した成形
金型は、注入部材の壁部13aにノズル5が配設されて
おり、シート表面(片面)のみに盲空洞の開口部を形成
する仕様のものであるが、本発明は、この仕様の成形金
型に限定されるものではなく、所要に応じて、可動金型
の凹部立壁2aにノズル5を配設でき、更には、金型1
が図示右方にもスライド変位可能な成形金型にも適用可
能であり、この場合には、シート表面のみならずシート
裏面、又は両面に盲空洞の開口部を有するシート状成形
体が得られる。
【0072】(3)本発明の圧力媒体注入部は、上述し
たように、所定のシート状孔質樹脂成形体を製造するた
めの成形金型に用いられ、典型的には、上記加圧ガス注
入用ノズル5(又はこれと同等の部材)を構成するもの
であるが、以下、各実施形態毎に具体的に説明する。
【0073】(実施形態1)図3は、本発明の第1の圧
力媒体注入部の一実施形態を示す断面図であり、ノズル
5の近傍を示す図1及び2の部分断面図に相当する。同
図において、圧力媒体注入部の一例である加圧ガス注入
用ノズル5は、注入部材13に挿入されており、その先
端部がキャビティ4内に突出しており、フランジ部がガ
ス室3に面している。
【0074】本実施形態において、このノズル5の先端
部は、キャビティ4の一部を形成する注入部材13の構
成材料よりも熱伝導率が小さな被覆材14によって被覆
されており、この被覆材14を介して溶融樹脂15と接
触している。また、注入部材13に挿入されている部分
の外周面も同一の被覆材14で部分的に被覆されてお
り、更には、ガス室3に面したフランジ部も被覆材14
で覆われ、注入部材13から隔離されており、ノズル5
と注入部材13との直接接触が回避されている。
【0075】上述の構成を有するノズル5を備えた成形
金型において、空洞を形成するための圧力媒体の一例で
ある加熱加圧ガスは、ガス室3からガス経路16に入
り、ノズル5の先端部から溶融樹脂15に注入される。
この際、加熱加圧ガスは、熱伝導率が大きく熱容量の大
きな注入部材13から隔離されたノズル5を介して溶融
樹脂15に注入されるため、加熱加圧ガスの熱がノズル
5を介して注入部材13に伝達されるのを抑制でき、上
述のようなガス注入過程でのガス温度の低下が有効に防
止でき、ほぼ設定温度のままの加熱加圧ガスをノズル5
の先端部に供給できる。
【0076】また、注入部材13とノズル5とは低熱伝
導性の被覆材14を介して接触しており、両者の間には
空気層が介在しているので、ノズル5から注入部材13
への熱伝達が極めて有効に防止されており、従って、予
め加熱加圧ガスを流通させてノズル5を予熱しておくこ
とも可能であり、これによっても、注入される加熱加圧
ガスの温度低下を極めて有効に防止できる。なお、かか
る作用は、ノズル5自体の構成材料を熱伝導率の小さな
ものとすることにより、促進される。
【0077】ところで、キャビティ内部においては、充
填された溶融樹脂15と被覆材14が接しているので、
被覆材14で覆われているノズル5の先端部は、加温さ
れて表面温度が高くなる。この際、被覆材14の熱伝導
率が小さく、所要に応じてノズル本体の熱伝導率も小さ
いため、熱の逃げは緩やかに進行し、被覆されていない
注入部材13に比し、ノズル先端部の表面温度は高く維
持される。よって、ノズル先端部近傍における溶融樹脂
15の固化は、注入部材13(及び図示しないキャビテ
ィ壁部)の近傍における樹脂固化より遅くなり、ノズル
先端部近傍の樹脂は、注入部材13近傍の樹脂より薄く
なって、注入される加熱加圧ガスで容易に軟化して開口
部が形成され、所定の盲空洞が容易に形成される。
【0078】なお、本実施形態において、被覆材14の
熱伝導率は、10(W・m−1・K −1)以下であるこ
とが好ましい。10(W・m−1・K−1)を超える
と、ノズル先端部における溶融樹脂15の固化が進み、
注入される加熱加圧ガスで容易に開口部を形成できず、
所定の盲空洞が形成されないことがある。かかる被覆材
14及びノズル5の構成材料としては、例えばナイロン
6、ナイロン46、ナイロン610、ポリエーテルスル
フォン酸、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル
イミド、芳香族ポリエステル、ポリテトラフルオロエチ
レン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキ
シアルカン、シリコーン樹脂、炭化ケイ素、窒化ケイ
素、アルミナ及び酸化ケイ素等を用いることができる。
また、これらの材料に、炭酸カルシウム、マイカ、無機
繊維及び有機繊維を配合したものも使用できる。更に、
本実施形態においては、加熱加圧ガスの熱が周囲に伝達
されるのを防止すべく、ガス室3の内面が、上述の被覆
材や、セラミックス又はテトラフルオロエチレン等の熱
伝導率の小さな材料で被覆されていることが好ましい。
【0079】(実施形態2)図4に、第1の圧力媒体注
入部の他の実施形態を示す。なお、以下、上述した注入
部の場合と実施的に同一の部材には同一の符号を付し、
その説明を省略する。 本実施形態において、ガス注入
部5’は、注入部材13の一部を加工して作成されてお
り、キャビティ内部に突出している。また、実施形態1
の場合と同様に、ガス注入部5’は、注入部材13より
も熱伝導率の小さい被覆材で覆われており、ガス室3か
らガス注入部5’の先端部までのガス経路16を短くす
ることなどにより、実施形態1の場合と同等の作用効果
を発揮する。
【0080】(実施形態3)図6は、本発明の第2の圧
力媒体注入部の一実施形態を示す断面図である。同図に
おいて、圧力媒体注入部の一例であるガス注入ノズル2
0は、その先端部21が、圧力媒体導入管の一例である
ガス経路16と、圧力媒体噴出口の一例であるガス噴出
口28とを連結して構成されており、この先端部21は
キャビティ内に突出している。また、本実施形態では、
ガス噴出口28の内部形状は、ガス経路16の内部形状
より拡開している。一方、ノズル先端部21の外部形状
は、先細形状をなしており、先細部分26を有してい
る。
【0081】上述の構造を有するガス注入ノズル20を
備えた成形金型における成形において、加熱加圧ガスは
ガス経路16を介してガス噴出口28から噴出するが、
この際、加熱加圧ガスは拡開しているガス噴出口28の
流出面24に沿って拡散し、図示しない溶融樹脂に注入
される。本実施形態においては、拡開角度25、即ち流
出面24とガス経路中心軸23とのなす角度を調整する
ことにより、加熱加圧ガスの注入方向を制御でき、これ
により、形成する盲空洞の形状を制御できる。
【0082】例えば、拡開角度25を大きくすれば、開
口部から内部に拡大する形状を有する空洞を樹脂成形体
に設けることができ、拡開角度25を小さくすれば、開
口部とほぼ同等の口径を有する盲空洞を形成することが
できる。代表的には、この拡開角度25は、10〜90
゜とすることが好ましい。10゜未満では、盲空洞容積
が小さくなり、所定の軽量化を図ることが困難である。
90゜を超えると、加熱加圧ガスが逆流して開口部を拡
大し、所定の開口部断面積形成を困難にする。なお、加
熱加圧ガスの圧力、注入時間、キャビティ内への突出長
及びキャビティ内容積の拡大率などによっても、盲空洞
の拡開率や深さは影響を受ける。
【0083】一方、本実施形態において、先細部分26
は、溶融樹脂に加熱加圧ガスを注入するための開口部の
形成を促進する機能を果たす。即ち、上述の樹脂成形に
おいて、キャビティ内に突出しているノズル先端部21
は、キャビティ内に充填された溶融樹脂で容易に加温さ
れ、キャビティ壁部を形成する注入部材13などの温度
よりも高温になり(図2参照)、ノズル先端部21近傍
で形成される樹脂固化層は薄くなる。更に、先細部分2
6の形状によって溶融樹脂の流れが乱されるので、先端
部21近傍における樹脂固化層の形成が遅延し、これら
の相乗作用により、上記開口部の形成が促進される。
【0084】ノズル先端部21の突出長は、金型温度や
溶融樹脂温度に応じて適宜変更することができるが、金
型温度と溶融樹脂温度との差が小さい場合には、短くで
き、更には、先細部分26が設けられている場合には、
突出長をゼロにできる。一方、かかる突出長が拡大前に
おけるキャビティの厚さ、即ちキャビティ拡大前におけ
る可動金型の凹部立壁2aと注入部材の壁部13aとの
距離の3/4を超えると(図2参照)、流動性を帯びて
いる樹脂層が狭くなりすぎて、形成すべき盲空洞の形状
や容積の制御が困難になるので、かかる突出長はキャビ
ティ厚さの3/4以下に制御することが好ましい。
【0085】他方、上述した先細部分の形状は、溶融樹
脂の流れを乱して樹脂固化層の形成を遅延できれば、特
に限定されるものではないが、先細角度27、即ち先細
部分26とガス経路中心軸23とのなす角度が10〜9
0゜となるように調整することが好ましい。樹脂温度や
樹脂の充填圧力にも影響を受けるが、金型温度と溶融樹
脂温度との差が大きい場合は、先細角度27を小さくす
ることが好ましく、この温度差が小さい場合は、樹脂固
化層の形成が緩やかに進行するため、先細角度27が大
きくても問題はない。
【0086】図7〜図9に、ガス注入ノズルの内部形状
の他の例を示す。図9に示した例は、ガス経路中心軸2
3と平行な流出面24’を有するものであり、加熱加圧
ガスの注入方向をいっそう精度よく調整できる。また、
図10〜図12に、ガス注入ノズルの外部形状の他の例
を示す。なお、このような外部形状を有すれば、拡開し
た内部形状を有することは本発明の必須事項ではない。
更に、本実施形態では、ガス注入ノズル20はキャビテ
ィ壁部と別体に形成されていたが、これに限定されるも
のではなく、キャビティ壁部と一体に形成することも可
能である。
【0087】(実施形態4)図13は、本発明の第3の
圧力媒体注入部の一実施形態を示す断面図であり、図1
4は、図13の部分拡大断面図である。図13及び図1
4において、本実施形態のガス注入部は、注入部材13
に穿設された貫通孔13bに、リベット状のピン30を
遊嵌して構成されている。また、このリベットピン30
の頭部30aと、注入部材13のシート表面形成壁部の
背面、即ちガス室3側の壁面13cとは突起31で接触
しており、頭部30aと壁面13cとの間には、加熱加
圧ガス注入用の間隙が設けられている。更に、リベット
ピン30の胴部にも突起31が設けられており、この突
起31により、リベットピン30は貫通孔13bに間隙
13gをもって位置決めされ、遊嵌されている。
【0088】本実施形態のガス注入部を備えた成形金型
による樹脂成形において、加熱加圧ガスは、頭部30a
と壁面13cとの間隙と間隙13gを介して、キャビテ
ィに注入される。この際、ガス注入部の先端には、樹脂
の逆流防止弁を設ける必要はなく、間隙13gの大きさ
を調整することにより、樹脂の逆流を簡易に防止でき
る。間隙13gの大きさは、使用する樹脂及びその溶融
温度に応じて適宜変更することができるが、1〜200
μmとすることが好ましい。1μm未満では、加熱加圧
ガスの圧力が低下して盲空洞の形成にバラツキが生ずる
ことがあり、200μmを超えると、樹脂が逆流して樹
脂詰まりを生ずることがあるので、好ましくない。
【0089】(実施形態5)図15に、本発明の第3の
圧力媒体注入部の他の実施形態を示す。本実施形態にお
いては、フランジ部32aを有するブシュ32が貫通孔
13bに挿入されており、リベットピン30はブシュ3
2に遊嵌されている。フランジ部32aにより、ブシュ
32のキャビティへの突出長が規定されており、また、
実施形態4と同様に突起31によりリベットピン30の
位置決めがなされている。ブシュ32の内壁とリベット
ピン30の胴部との間隙32gは、上記間隙13gと同
様に制御することが好ましい。
【0090】実施形態4及び5において、ガス注入部の
先端部、即ちブシュ及び/又はリベットピンの先端部
は、キャビティ内へ突出させることができるが、その突
出長は上述のように樹脂固化層の形成、ひいては盲空洞
の形成に影響するので、適切に調整することが好まし
い。実施形態4及び5において、かかる突出長は、キャ
ビティ拡大前における可動金型の凹部立壁2aと注入部
材の壁部13aとの距離の3/4以下とすることが好ま
しい。但し、突出長をゼロにすることができるのは、上
述の通りであり、更には、突出部分に凹凸などの所定形
状を付与すれば、突出長をゼロにし易いのも上述の通り
である。
【0091】(実施形態6)図16に、第3の圧力媒体
注入部の更に他の実施形態を示す。本実施形態において
は、間隙13gを小さくし、リベットピン30の胴部に
螺旋溝33が設けられており、これにより、加熱加圧ガ
スの注入を確保するとともに、加熱加圧ガスの流れに回
転を付与することができる。かかる回転ガス流により、
盲空洞の形成を制御することができ、所望の形状を付与
することが可能になる。なお、螺旋溝33と交差する他
の螺旋溝(図示せず)を設けることも可能であり、これ
により、回転ガス流の直進性を促進することもできる。
【0092】(実施形態7)図17に、第3の圧力媒体
注入部の更に他の実施形態を示す。螺旋溝33の代わり
に直線溝34を設けた以外は、実施形態6の構成と同一
である。本実施形態によれば、加熱加圧ガス流の直進性
が促進される。なお、実施形態6及び7において、ブシ
ュ32を設けてもよいのは言うまでもない。
【0093】(実施形態8)図18は、本発明の第4の
圧力媒体注入部の一実施形態を示す断面図である。同図
において、この圧力媒体注入部の一例であるガス注入ノ
ズル40は、肉厚のほぼ円筒状をなし、注入部材13を
貫通してキャビティ内に突出しており(図2参照)、突
出したノズル先端部には、溶融〜半溶融の樹脂15と係
合し得る拡径部40aが設けられている。なお、本実施
形態において、基部40bから拡径部40aへの移行領
域40cは、ほぼ90゜に立ち上がっており、ガス注入
ノズル40と樹脂15との係合を確実にしている。
【0094】上述の構造を有するガス注入ノズル40を
備えた成形金型による樹脂成形の際には、図19に示す
ように、まず、溶融樹脂15をキャビティに充填する。
次いで、溶融樹脂が流動性を帯びている間に可動金型2
を若干左方に移動すると、溶融樹脂15とノズル40の
拡径部40aとの係合に起因して、溶融樹脂内部に減圧
領域15aが形成される。しかる後、ノズル40を介し
て加熱加圧ガスをキャビティに注入すると、樹脂15内
部に盲空洞11が形成されるが、この盲空洞11の形成
は上記減圧領域15aを利用して行われるため、極めて
円滑且つ容易に行われる。また、キャビティ拡大時に、
溶融樹脂が固定金型13より解離するのを防ぐ働きもあ
る。
【0095】(実施形態9)図20に、第4の圧力媒体
注入部の他の実施形態を示す。本実施形態では、ガス注
入ノズル41の拡径部41aの先端部が曲面加工されて
いるが、実施形態8と同様の作用効果を発揮する。
【0096】(実施形態10)図21は、第4の圧力媒
体注入部の更に他の実施形態を示す断面図である。ガス
注入ノズル42の先端部には、このノズルのキャビティ
への突出方向とほぼ直交する方向に係合溝42aが設け
られており、この溝42aが樹脂15との係合を可能に
している。本実施形態のノズルも、上記同様の作用効果
を発揮する。
【0097】(実施形態11)図22は、第4の圧力媒
体注入部の他の実施形態を示す断面図である。ガス注入
ノズル43の先端部において、係合溝43より前方部分
がテーパ処理されている以外は、実施形態10と同様の
構成を有し、同様の作用効果を奏する。なお、実施形態
8〜11においては、ガス注入ノズルをキャビティ壁
(具体的には、注入部材13)とは別体で作成し、これ
をキャビティ壁に挿入したが、これに限定されるもので
はなく、キャビティ壁と一体に形成することも可能であ
る。また、実施形態8〜11のノズルにおいては、ノズ
ルを収容し得るブシュをキャビティ壁に挿通し、これに
ノズルを遊嵌すれば、ブシュとノズル外周面との間隙か
ら加熱加圧ガスを注入することも可能になる。
【0098】(実施形態12)図23に、本発明の第5
の圧力媒体注入部の他の実施形態(断面図及びA方向に
おける矢視図)を示す。本実施形態の圧力媒体注入部
は、圧力媒体注入部44をシート裏面成形壁部51より
後退した位置に凹設し、この注入部44の先端中心部4
6を低熱伝導率材とし、先端外周部45を高熱伝導率材
とし、圧力媒体噴出口47をノズル先端側面に設けて成
る。
【0099】この結果、樹脂成形の際は、外周部45が
接する溶融樹脂には、中心部46が接する溶融樹脂より
も熱の逃げが早急に進行するため、強固な固化層が形成
される。一方、中心部46が接する樹脂は、その周囲の
樹脂との流動性差が大きく、流動性が高い(軟らか
い)、言い換えれば、流動状態又は薄膜状態を維持して
いる。このため、圧力媒体を固化が進んでいない樹脂中
心部(中心部46が接する樹脂)へ注入し、所望の盲空
洞を容易に形成できる。また、外周部45が接する樹脂
が早期に固化することから、盲空洞成形時における開口
部周囲の溶融樹脂による変形や狭小を防止でき、盲空洞
内の空間(開口部径や盲空洞内径)を精度よく形成でき
るので有効である。更に、本実施形態のように、圧力媒
体噴出口47をノズル先端の側面に設けるときは、成形
金型において圧力媒体注入部44の挿入孔にできる該成
形金型と圧力媒体注入部44との間隙から圧力媒体を原
料樹脂に注入でき、盲空洞形成が容易になる。このと
き、かかる間隙を制御することで、樹脂の逆流や噴出口
への樹脂詰まりを防止することができる。また、圧力媒
体注入部44を前後に可変とするときは、裏面形成壁部
までの全てがかかる間隙となり得るので、圧力媒体の注
入に利用することができ、均一な開口径を形成し得る。
更にまた、本実施形態のように、圧力媒体注入部44を
裏面形成壁部51から後退した位置に凹設すると、開口
部外壁(開口部周囲)を形成する原料樹脂と成形金型と
の接触面積が増大し、ノズル先端外周部45と併せて熱
伝導が急速に進行するので、より強固な開口部外壁を形
成できる。この結果、盲空洞形成後に盲空洞内壁を構成
する溶融樹脂(流動性の高い樹脂)により開口部が変形
・狭小するのを防止することができる。
【0100】なお、中心部46は、原料樹脂と接して上
記効果を発揮できれば特に限定されないが、キャビティ
形成材料より熱伝導率の小さい中心部形成材料を、圧力
媒体注入部44の先端に被覆した構成や圧力媒体注入部
44の先端中心に充填した構成であることがより好まし
い。また、圧力媒体注入部44を構成する筒状ノズルに
設ける圧力媒体噴出口47は、ノズルの先端中央に配置
してもよいし、本実施形態のように分岐させて複数の噴
出口を有する形状としてもよい。更に、本実施形態のよ
うに、ノズル先端に設ける中心部46に1以上の外周部
層を円周状に被覆して外周部45とすることができる。
複数の外周部層を被覆して外周部45とするときは、所
定の熱伝導率を得られるのであれば、各層ごとに層厚や
構成材料を変えて被覆することができる。更にまた、か
かる外周部45は、中心部46の周囲全体に被覆される
ことがより好適であるが、所定の中心部46との熱伝導
率差が得られるのであれば、中心部46の一部(原料樹
脂と接する部位)に被覆することもできる。また、図2
3に示すように、圧力媒体噴出口47が、中心部46を
貫通して成る構造であるときは圧力バランスを保持でき
盲空洞形状を制御し易くなるが、貫通していない構造で
あってもよい。更に、盲空洞形成の際には、圧力媒体注
入部44を前後に変位させることができ、これは盲空洞
形成を容易ならしめる面から好適である。更にまた、図
1及び図2に示す成形金型を一部変形すれば、本実施形
態における圧力媒体注入部44を設置できることは言う
までもない。
【0101】また、外周部45の構成材料としては、キ
ャビティ形成材料の熱伝導率と同一又はそれより高い熱
伝導率を有するものを使用することができる。このとき
は、接する樹脂表層部の熱を急速に奪い、固下膜の形成
を促進することができるので好ましい。かかる外周部4
5の構成材料としては、例えば、黄銅、アルミニウム合
金、青銅及び銀合金などを用いることができる。
【0102】更に、中心部46の熱伝導率は10(W・
−1・K−1)以下であることが好ましい。10(W
・m−1・K−1)を超えると溶融樹脂の固化が進み、
注入される圧力媒体(加熱加圧ガスなど)で容易に開口
部を形成できず、所定の盲空洞が形成されないことがあ
る。かかる中心部46の構成材料としては、例えばナイ
ロン6、ナイロン66、ナイロン610、ポリエーテル
スルフォン酸、ポリフェニレンサルファイド、ポリエー
テルイミド、芳香族ポリエステル、ポリテトラフルオロ
エチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアル
コキシアルカン、シリコーン樹脂、炭化ケイ素、窒化ケ
イ素、アルミナ及び酸化ケイ素等を用いることができ
る。また、これらの材料に、炭酸カルシウム、マイカ、
無機繊維及び有機繊維を配合したものも使用できる。
【0103】更にまた、中心部46の面積は、樹脂成形
体に形成する開口部面積の1.1倍以上であることがよ
い。中心部46より高い熱伝導率を有する外周部45
は、接している周辺の樹脂からも熱を奪うため、形成さ
れた開口部面積は、中心部46の面積より小さくなるこ
とがある。このため、1.1倍以上であれば所定の開口
部面積を確保し易いので有効である。
【0104】また、成形金型(キャビティ容積)が大型
化すると特に顕著となるが、キャビティ内に注入された
溶融樹脂は、ゲート(樹脂注入口)近辺と最深部では樹
脂の到達に時間差が生じる。このため、溶融樹脂が成形
金型面(キャビティ内壁部)と接する時間差により、ゲ
ート近辺では樹脂表面から成形金型への熱伝導により流
動性が低下し、最深部では熱伝導時間が短いため、高い
流動性を維持することがある。本実施形態の圧力媒体注
入部44では、中心部46が周囲の構成材料に比べ低熱
伝導率を有するため、中心部46に接している樹脂表面
温度の低下を遅延し、成形金型への熱の逃げを低減で
き、最深部まで樹脂が注入されるまでの期間も流動性が
保持されるので、均一な開口径を形成できる。従って、
特に大型の樹脂成形体に大きな効果を発揮できる。
【0105】上述の実施形態のような圧力媒体注入部を
用いると、得られる樹脂成形体に所望の開口部を有する
盲空洞を形成することができ、この盲空洞により得られ
る樹脂成形体には軽量・高剛性且つ吸音機能が発現され
る。ここで、上記盲空洞は、上記開口部の空気を質量と
して開口部の内部(後部)の空隙部を空気ばねとした振
動系を構成して固有振動を有する。このため、騒音発生
源より盲空洞に入射した音は、かかる盲空洞の固有振動
数と一致して共鳴を引き起こし、激しく振動し、空隙部
と開口部の壁との摩擦で音エネルギーが熱エネルギーに
変換され減衰する。この結果、吸音効果を発現させる。
また、盲空洞の固有振動は、開口径及び空隙容積を制御
することで減衰を要求する周波数に適合させることがで
きる。従って、樹脂成形体に設計通りの開口径を設定で
きることは、吸音機能を制御する大きな因子であり、本
発明の圧力媒体注入部及び成形金型を用いて樹脂成形を
行うことが吸音機能を制御する上で大いに有効であると
いえる。
【0106】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により詳細
に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではない。なお、以下の実施例及び比較例における成形
条件及び成形評価は、下記の要領で行った。
【0107】[成形条件](基礎的条件) 図1に示すような射出成形機タイプの成形金型であっ
て、キャビティ内容積が100×100×3(厚さ)m
m(移動前)〜10mm(移動後)に可変で、型締め圧
力が110tのものを用いた。圧力媒体としては窒素ガ
ス、原料樹脂としてはポリプロピレン又はポリエチレン
を用いた。3.0MPa(加熱前)の窒素ガスを加熱装
置で昇温し、固定金型1から溶融樹脂中に注入し、射出
成形を行った。樹脂温度は200℃で、金型温度は可動
側、固定側とも70℃とした。また、かかる成形の際、
窒素ガスは、制御弁9−9間に一時的に滞留して所定温
度に加熱され、キャビティ4内に樹脂を充填中又は充填
完了後、信号を受けて制御弁9が開くと、ガス室3へ流
入する。各々のガス注入ノズル5はガス室3に連結され
ており、各ノズル5には同時期に同じ圧力の窒素ガスが
供給される。
【0108】[成形評価] (空洞形成数)得られた成形体のうちの10個を選出し
て破断し、目視にて計測した個数の平均値とした。 (ガス温度低下代)成形工程において、ガス通気3分後
の温度を測定し、次式に基づいて算出した。 (加熱装置出口ガス温度)−(ノズル又はガス注入部の
先端ガス温度)
【0109】(空洞最大断面積/開口部断面積比)ガス
導入中心軸と直交する空洞の開口部と空洞の最大断面の
面積を比較した。 (ヒケ)開口部と反対面の成形体外観を目視で観察し、
ヒケの有無を判断した。 (ノズル詰まり(樹脂詰まり))10回成形後のノズル
又はガス注入部における樹脂詰まりを評価した。
【0110】(実施例1)図3に示すように、100×
100mmのキャビティ側壁面に、外径3mm、内径1
00μmのガス注入ノズルを20本等間隔に配置した金
型を使用した。ガス室内部はセラミックスで被覆し、ノ
ズル先端部及び側面等はテトラフルオロエチレンで被覆
した。また、ノズルはSUS304で作成した。上述の
成形評価を行い、得られた結果を表1に示した。
【0111】(実施例2)図4に示すガス注入部を備
え、100×100mmのキャビティ側壁面に、内径5
0μmのガス注入部を20箇所等間隔に配置した以外
は、実施例1と同様の構成を有する金型を用い、成形を
行った。成形評価の結果を表1に示した。
【0112】(実施例3)ノズル本体をテトラフルオロ
エチレン製とし、ノズル先端部と側面等をテトラフルオ
ロエチレンで被覆した以外は、実施例1と同様の構成を
有する金型を用いて成形を行った。成形評価の結果を表
1に示す。
【0113】(実施例4)ノズル本体をアルミナ製とし
た以外は、実施例1と同様の構成を有する金型を用いて
成形を行った。成形評価の結果を表1に示す。
【0114】(比較例1)図5に示すように、ノズル先
端部及び側面が被覆されていない構造を有する以外は、
実施例1と同様の構成を有する金型を用いて成形を行っ
た。成形評価の結果を表1に示す。
【0115】
【表1】
【0116】(実施例5〜15)ガス注入ノズルとして
は外径5mmで内径100μmのものを使用し、20本
を等間隔で配置し、キャビティ内への突出長はノズル長
を調整することで行った。各例で使用した注入ノズルの
形状は表2に示した通りである。また、原料樹脂として
はポリエチレンを用いた。樹脂充填前のキャビティ厚さ
を3mmにし、充填98%で可動金型を後退させるとと
もに、加圧ガスを注入した。後退後のキャビティ厚さは
10mmとした。ガス注入ノズルの先細角度及び拡開角
度を変化させたノズルを金型に設け、成形体を成形し
た。上述の成形評価を行い、得られた結果を表2に示し
た。
【0117】
【表2】
【0118】(比較例2)ノズルをキャビティ側壁面よ
り金型内部に1mm後退させた以外は、実施例5と同様
の構成を有する金型を用いて成形を行った。成形評価の
結果を表3に示す。
【0119】(比較例3)樹脂充填前のキャビティ厚さ
を9mmにし、後退を1mmとした以外は、実施例5と
同様の操作を繰り返した。成形評価の結果を表3に示
す。
【0120】(比較例4)ガス注入ノズル先端に樹脂逆
流防止弁を設けた、外径10mm、内径0.3mmのノ
ズル2本を等間隔で配設した以外は、実施例5と同様の
構成を有する金型を用いて成形を行った。成形評価の結
果を表3に示す。
【0121】
【表3】
【0122】(実施例16)ガス注入ノズルの個数は2
0個とした。ガス注入ノズルは、図15に示すように、
ノズル外筒と内挿ピンから構成され、ノズル外径は6m
mで、ガス噴出間隙は20μmとし、ノズル先端部はキ
ャビティ内に1mm突出させた。かかる金型を用い、樹
脂充填前のキャビティ厚さを3mmにし、充填率98%
で可動金型を後退させるとともに、3.0MPaの加圧
ガスを注入した。後退後の厚さは10mmとした。成形
評価の結果を表4に示す。
【0123】(実施例17)ノズルのガス噴出間隙を2
μmにした以外は、実施例16と同様の構成を有する金
型を用いて成形を行った。成形評価の結果を表4に示
す。
【0124】(実施例18)ノズルのガス噴出間隙を1
80μmにした以外は、実施例16と同様の構成を有す
る金型を用いて成形を行った。成形評価の結果を表4に
示す。
【0125】(実施例19)図14に示すように、キャ
ビティ側壁面に内径6mmの貫通孔を設け、これに内挿
ピンを遊嵌してガス注入部(20個)を形成した以外
は、実施例16と同様の構成を有する金型を用いて成形
を行った。成形評価の結果を表4に示す。
【0126】(実施例20)ノズル先端部のキャビティ
内への突出長を0mmにした以外は、実施例16と同様
の構成を有する金型を用いて成形を行った。成形評価の
結果を表4に示す
【0127】(実施例21)ノズル先端部をキャビティ
側壁面の1mm内部に設けた以外は、実施例16と同様
の構成を有する金型を用いて成形を行った。成形評価の
結果を表4に示す。
【0128】(実施例22)図16に示すように、ノズ
ル外筒と内挿ピンとの間隙を小さくし、且つ内挿ピンの
外周に深さ20μmの螺旋溝を設けた以外は、実施例1
6と同様の構成を有する金型を用いて成形を行った。成
形評価の結果を表4に示す。
【0129】(実施例23)図17に示すように、ノズ
ル外筒と内挿ピンとの間隙を小さくし、且つ内挿ピンの
外周に深さ20μmの直線溝を設けた以外は、実施例1
6と同様の構成を有する金型を用いて成形を行った。成
形評価の結果を表4に示す。
【0130】
【表4】
【0131】(比較例5)中心部に内径180μmのガ
ス噴出孔を持つ外径6mmの一体型ノズルを備える以外
は、実施例16と同様の構成を有する金型を用いて成形
を行った。成形評価の結果を表5に示す。
【0132】(比較例6)ノズル外筒と内挿ピンとの間
隙が0.5μmである以外は、実施例16と同様の構成
を有する金型を用いて成形を行った。成形評価の結果を
表5に示す。
【0133】(比較例3)ノズル外筒と内挿ピンとの間
隙が250μmである以外は、実施例16と同様の構成
を有する金型を用いて成形を行った。成形評価の結果を
表5に示す。
【0134】
【表5】
【0135】[成形条件]型絞め圧力110tの射出成
形機に、可動金型と固定金型より構成されキャビティ容
積が150×150×3〜15(t)mmに可変でき、
金型端部にゲートを有し、熱伝導率40W/m・Kのプ
リハードンド鋼の金型で、ポリプロピレン樹脂((株)
チッソ、XK4157V)を樹脂温度190℃で射出成
形し供試品を調製した。充填時には5mmで、圧力媒体
注入後に10mmである。固定金型には、キャビティ面
より後退した位置に図23の断面を有するφ10mmの
圧力媒体注入部25本を図24に示す樹脂成形体の開口
部のような配列で設けた。
【0136】[成形評価] (開口率)得られた成形体のうちの10個を選出し、こ
れら成形体の開口数を目視で計測して平均値を求め、こ
れを圧力媒体注入部数で割り、次式に基づいて開口率を
算出した。 開口率(%)=(開口数平均値)/(圧力媒体注入部
数)×100(%)
【0137】(開口径比)ゲート部より最深部(最遠
部)列の平均開口径と、開口しているゲート最近傍列の
平均開口径の比を次式に基づいて算出した。 開口径比=(最近傍列の開口径)/(最深部列の開口
径)
【0138】(外観品質)ヒケ、ソリ、の有無を外観を
目視にて次のように評価した。 良好(○)・・・供試品にヒケ、ソリ無し 劣る(×)・・・供試品にヒケ、ソリ有り
【0139】(実施例24)キャビティ樹脂と接する圧
力媒体注入部の先端外周部は、上記成形金型と同じ材料
を用い、キャビティ樹脂と接する先端部中心部は、熱伝
導率9W/m・Kのアルミナを充填して成る構成とし
た。また、注入部側面に噴出口を設けた。上述の成形条
件で0.5MPaの圧力媒体を注入し、150×150
×10mmの樹脂成形体を成形し評価した。この評価結
果を表6に示す。
【0140】(実施例25)圧力媒体注入部の先端部外
周部を熱伝導率120W/m・KのCu/Zn系に変え
た以外は、実施例24と同様の構成を有する金型を用い
て樹脂成形体を成形し評価した。この評価結果を表6に
示す。
【0141】(実施例26)圧力媒体注入部の中心部に
熱伝導率0.3W/m・Kのφ8mmのナイロン樹脂
(宇部興産、商品名2020B)を加熱融着した以外は
実施例24と同様の構成を有する金型を用いて樹脂成形
体を成形し評価した。この評価結果を表6に示す。
【0142】(実施例27)圧力媒体注入部の先端外周
部を熱伝導率120W/m・KのCu/Zn系に変え、
中心部には熱伝導率0.3W/m・Kのナイロン樹脂
(宇部興産、商品名2020B)を加熱融着している以
外は実施例24と同様の構成を有する金型を用いて樹脂
成形体を成形し評価した。この評価結果を表6に示す。
【0143】
【表6】
【0144】以上、本発明を好適実施形態及び好適実施
例により詳細に説明したが、本発明はこれらの好適実施
形態や好適実施例に限定されるものではなく、本発明の
開示の範囲内において種々の変形が可能である。例え
ば、成形金型の構成を変更することにより、成形体シー
トの裏面に開口部を設けることが可能であり、更には、
シート表面と裏面の双方に開口部を設けることも可能で
ある。更に、図1に示した成形金型において、樹脂注入
口6はキャビティ4に連通していれば十分であり、必ず
しも注入部材13を貫通している必要はなく、可動金型
2の壁部を貫通していてもよい。
【0145】また、第1〜第5の圧力媒体注入部を適宜
組み合わせることができ、特に、1個の成形金型に、第
1〜第5の圧力媒体注入部を適当な組合せで配設するこ
とにより、盲空洞の形状や容積などが適当に変化した孔
質樹脂シートを得ることが可能である。更には、第1の
圧力媒体注入部における技術思想である被覆材などを利
用した熱伝達率の制御は、第2〜第5の圧力媒体注入部
に容易に転用できる。
【0146】更に、第3の圧力媒体注入部に関する実施
形態5において、ブシュのフランジ部32aは必須の要
素ではなく、省略が可能である。更にまた、第4の圧力
媒体注入部に関する実施形態8〜11においては、ノズ
ル先端部が樹脂と係合して樹脂中に減圧領域15aを形
成できれば十分であり、ノズル先端の形状は適宜変更で
き、特に係合溝42aなどはノズルの外周を一周してい
る必要はない。
【0147】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、内容積を変化させ得る特定のキャビティを備える金
型を用い、圧力媒体注入部の材料特性や形状を制御する
こととしたため、空洞の形状、配置、容積占有率及び開
口部面積率などを空洞毎にも随意に調整でき、軽量化や
剛性の制御が可能であり、しかもヒケやソリが無く良好
な外観を有するシート状孔質樹脂成形体を製造でき、更
には、簡易な構造を有し、複雑な加工を必要としない圧
力媒体注入部及びこれを用いた成形金型を提供すること
ができる。また、本発明の成形金型によれば、1ショッ
トでハニカム構造を有する樹脂板が製造される。更に、
盲空洞を随意に存在させることができるので、軽量化を
図れるだけでなく、樹脂成形体内部に所望のリブを設置
することができ、剛性の制御も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシート状孔質樹脂成形体の成形金型の
一例を示し、キャビティ拡大前の状態を示す断面図であ
る。
【図2】図1に示した装置のキャビティ拡大後の状態を
示す断面図である。
【図3】本発明の第1の圧力媒体注入部の一実施形態を
示す断面図である。
【図4】本発明の第1の圧力媒体注入部の他の実施形態
を示す断面図である。
【図5】本発明外の圧力媒体注入部の一例を示す断面図
である。
【図6】本発明の第2の圧力媒体注入部の一実施形態を
示す断面図である。
【図7】ガス注入ノズルの内部形状の他の例を示す断面
図である。
【図8】ガス注入ノズルの内部形状の他の例を示す断面
図である。
【図9】ガス注入ノズルの内部形状の他の例を示す断面
図である。
【図10】ガス注入ノズルの外部形状の他の例を示す断
面図である。
【図11】ガス注入ノズルの外部形状の他の例を示す断
面図である。
【図12】ガス注入ノズルの外部形状の他の例を示す断
面図である。
【図13】本発明の第3の圧力媒体注入部の一実施形態
を示す断面図である。
【図14】図13の部分拡大断面図である。
【図15】本発明の第3の圧力媒体注入部の他の実施形
態を示す断面図である。
【図16】本発明の第3の圧力媒体注入部の更に他の実
施形態を示す断面図である。
【図17】本発明の第3の圧力媒体注入部の他の実施形
態を示す断面図である。
【図18】本発明の第4の圧力媒体注入部の一実施形態
を示す断面図である。
【図19】本発明の第4の圧力媒体注入部を用いた樹脂
成形の工程を示す断面説明図である。
【図20】本発明の第4の圧力媒体注入部の他の実施形
態を示す断面図である。
【図21】本発明の第4の圧力媒体注入部の他の実施形
態を示す断面図である。
【図22】本発明の第4の圧力媒体注入部の更に他の実
施形態を示す断面図である。
【図23】本発明の第5の圧力媒体注入部の一実施形態
を示す断面図及びA矢視図である。
【図24】第5の圧力媒体注入部を用いた樹脂成形で得
られた樹脂成形体を示す底面図及び断面図(A−A断面
及びB−B断面)である。
【符号の説明】
1 固定金型 2 可動金型 3 ガス室 4 キャビティ 5 加圧ガス注入用ノズル 5’ ガス注入部 6 樹脂注入口 7 加圧ガスボンベ 8 圧力調整バルブ 9 制御弁 10 加熱装置 11 空洞 12 成形体 13 注入部材 13b 貫通孔 13c ガス室側壁面 13g 間隙 14 被覆材 15 溶融樹脂 15a 減圧領域 16 ガス経路 20 ガス注入ノズル 21 ノズル先端部 23 ガス経路中心軸 24、24’ 流出面 25 拡開角度 26 先細部分 27 先細角度 28 ガス噴出口 30 リベットピン 30a 頭部 31 突起 32 ブシュ 32a フランジ部 32g 間隙 33 螺旋溝 34 直線溝 40,41,42,43 ガス注入ノズル 40a,41a 拡径部 40b 基部 40c 移行領域 42a,43a 係合溝 44 圧力媒体注入部 45 圧力媒体注入部の外周部 46 圧力媒体収入部の中心部 47 噴出口 48 開口部 49 盲空洞 50 樹脂成形体 51 裏面形成壁部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 半田 浩一 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 上杉 憲治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 鈴木 正明 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4F202 AA04 AA11 AE06 AG06 AG18 CA09 CA11 CB01 CK19 4F204 AA04 AA11 AE06 AG06 AG18 FA01 FB01 FN11 FQ15 4F206 JA05 JM13 JN27 JQ81

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面及び/又は裏面に開口部を有する複
    数個の独立した盲空洞を備えたシート状孔質樹脂成形体
    を成形でき、 シート表面形成壁部とシート裏面形成壁部を有し、この
    シート表面形成壁部及びシート裏面形成壁部の少なくと
    も一方が他方と離間する方向に変位可能で、上記シート
    状孔質樹脂成形体に所望形状を付与するキャビティと、
    このキャビティに連通する樹脂注入部を備えた成形金
    型、に用いられる圧力媒体注入部であって、 上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成壁部
    に配設され、その全部又は一部の熱伝導率が、上記キャ
    ビティを形成する材料の熱伝導率と異なることを特徴と
    するシート状孔質樹脂成形金型の圧力媒体注入部。
  2. 【請求項2】 上記圧力媒体注入部の全部又は一部の熱
    伝導率が、上記キャビティ形成材料の熱伝導率より小さ
    いことを特徴とする請求項1記載のシート状孔質樹脂成
    形金型の圧力媒体注入部。
  3. 【請求項3】 上記全部又は一部に、上記キャビティ形
    成材料より熱伝導率が小さな被覆材を被覆して成ること
    を特徴とする請求項1記載の圧力媒体注入部。
  4. 【請求項4】 上記シート表面形成壁部及び/又はシー
    ト裏面形成壁部から突設されていることを特徴とする請
    求項1記載の圧力媒体注入部。
  5. 【請求項5】 上記一部が、上記キャビティに注入され
    る溶融樹脂と接する部分であることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれか1つの項に記載の圧力媒体注入部。
  6. 【請求項6】 上記シート表面形成壁部及び/又はシー
    ト裏面形成壁部を貫通した別体の筒状ノズルから構成さ
    れることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項
    に記載の圧力媒体注入部。
  7. 【請求項7】 上記熱伝導率が小さな被覆材が、上記筒
    状ノズルと上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏
    面形成壁部との間に介在し、両者の直接接触が防止され
    ていることを特徴とする請求項6記載の圧力媒体注入
    部。
  8. 【請求項8】 上記被覆材の熱伝導率が、10(W・m
    −1・K−1)以下であることを特徴とする請求項3〜
    7のいずれか1つの項に記載の圧力媒体注入部。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の成形金型に用いられる圧
    力媒体注入部であって、 上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成壁部
    に配設され、圧力媒体導入管と圧力媒体噴出口とを連結
    して成り、この圧力媒体噴出口の内部形状が、上記圧力
    媒体導入管の内部形状とほぼ同一か又はそれより拡開し
    た形状であることを特徴とするシート状孔質樹脂成形金
    型の圧力媒体注入部。
  10. 【請求項10】 上記圧力媒体噴出口の拡開角度が、上
    記圧力媒体導入管の中心軸に対して10〜90゜、若し
    くは中心軸に対し平行であることを特徴とする請求項9
    記載の圧力媒体注入部。
  11. 【請求項11】 上記シート表面形成壁部及び/又はシ
    ート裏面形成壁部から突出している突出部を有すること
    を特徴とする請求項9又は10記載の圧力媒体注入部。
  12. 【請求項12】 上記突出部が先細部分を有する外部形
    状をなし、この先細部分の先細角度が上記圧力媒体導入
    管の中心軸に対して10〜90゜であることを特徴とす
    る請求項11記載の圧力媒体注入部。
  13. 【請求項13】 上記突出部の突出長が、上記シート表
    面形成壁部とシート裏面形成壁部との距離の3/4以下
    であることを特徴とする請求項11又は12記載の圧力
    媒体注入部。
  14. 【請求項14】 請求項1記載の成形金型に用いられる
    圧力媒体注入部であって、 上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成壁部
    に穿設された貫通孔に、リベット状のピンを遊嵌して成
    り、 このリベット状ピンの頭部と上記シート表面形成壁部及
    び/又はシート裏面形成壁部の背面との間に、圧力媒体
    導入用の間隙を設けて成ることを特徴とするシート状孔
    質樹脂成形金型の圧力媒体注入部。
  15. 【請求項15】 上記リベット状ピンの先端部が、上記
    シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成壁部から
    突出していることを特徴とする請求項14記載の圧力媒
    体注入部。
  16. 【請求項16】 上記リベット状ピンの胴部に、この胴
    部の延在方向と平行な溝が設けられていることを特徴と
    する請求項14又は15記載の圧力媒体注入部。
  17. 【請求項17】 上記リベット状ピンの胴部に、螺旋溝
    が設けられていることを特徴とする請求項14又は15
    記載の圧力媒体注入部。
  18. 【請求項18】 上記リベット状ピンの胴部と上記貫通
    孔との間隙が、1〜200μmであることを特徴とする
    請求項17記載の圧力媒体注入部。
  19. 【請求項19】 一端に係止片を有するブシュを更に上
    記貫通孔に嵌入し、このブシュに上記リベット状ピンを
    遊嵌し、上記ブシュの係止片と上記リベット状ピンの頭
    部のとの間に圧力媒体導入用の間隙を設けて成ることを
    特徴とする請求項14〜17のいずれか1つの項に記載
    の圧力媒体注入部。
  20. 【請求項20】 上記ブシュの先端部が、上記シート表
    面形成壁部及び/又はシート裏面形成壁部から突出して
    いることを特徴とする請求項19記載の圧力媒体注入
    部。
  21. 【請求項21】 上記リベット状ピンの胴部と上記ブシ
    ュとの間隙が、1〜200μmであることを特徴とする
    請求項19又は20記載の圧力媒体注入部。
  22. 【請求項22】 請求項1記載の成形金型に用いられる
    圧力媒体注入部であって、 上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成壁部
    から突出した突出部を有し、この突出部が、上記キャビ
    ティに注入される溶融乃至半固形の樹脂と係合可能な係
    合部を備えることを特徴とするシート状孔質樹脂成形金
    型の圧力媒体注入部。
  23. 【請求項23】 上記係合部が、上記突出部の外周に、
    この突出部の突出方向と交差する方向に設けられた溝か
    ら成ることを特徴とする請求項22記載の圧力媒体注入
    部。
  24. 【請求項24】 上記係合部が上記突出部の先端に設け
    られた拡径部から成り、上記係合部の基部からこの拡径
    部への移行領域が90゜以下の角度で立ち上がっている
    ことを特徴とする請求項22記載の圧力媒体注入部。
  25. 【請求項25】 上記シート表面形成壁部及び/又はシ
    ート裏面形成壁部とを貫通し、これらとは別体で形成さ
    れていることを特徴とする請求項22〜24のいずれか
    1つの項に記載の圧力媒体注入部。
  26. 【請求項26】 請求項1記載の成形金型に用いられる
    圧力媒体注入部であって、 上記シート表面形成壁部及び/又はシート裏面形成壁部
    を貫通した別体の円筒状ノズルから構成され、該ノズル
    先端は、中心部と、この中心部に1以上の外周部層を円
    周状に被覆した外周部とから構成され、上記ノズル先端
    中心部及びノズル先端外周部は溶融樹脂と接することが
    でき、上記ノズル先端外周部の熱伝導率が、上記ノズル
    先端中心部の熱伝導率と異なることを特徴とする圧力媒
    体注入部。
  27. 【請求項27】 上記ノズル先端外周部が、上記キャビ
    ティ形成材料と同一又はそれより高い熱伝導率を有する
    ことを特徴とする請求項26項記載の圧力媒体注入部。
  28. 【請求項28】 上記ノズル先端中心部の熱伝導率が、
    上記ノズル先端外周部の熱伝導率より小さいことを特徴
    とする請求項26又は27項記載の圧力媒体注入部。
  29. 【請求項29】 上記ノズル先端中心部の熱伝導率が、
    10(W・m−1・K−1)以下であることを特徴とす
    る請求項26〜28項のいずれか1つの項に記載の圧力
    媒体注入部。
  30. 【請求項30】 上記ノズル先端中心部が、上記キャビ
    ティ形成材料より熱伝導率が小さな材料を該ノズル先端
    中央に被覆し又は充填して成ることを特徴とする請求項
    26〜29項のいずれか1つの項に記載の圧力媒体注入
    部。
  31. 【請求項31】 上記ノズル先端中心部の面積が、得ら
    れるシート状孔質樹脂成形体の開口部面積の1.1倍以
    上であることを特徴とする請求項26〜30項のいずれ
    か1つの項に記載の圧力媒体注入部。
  32. 【請求項32】 圧力媒体噴出口が、上記ノズル先端の
    側面に設けられていることを特徴とする請求項26〜3
    1項のいずれか1つの項に記載の圧力媒体注入部。
  33. 【請求項33】 上記シート表面形成壁部及び/又はシ
    ート裏面形成壁部より後退した位置に凹設されているこ
    とを特徴とする請求項26〜32項のいずれか1つの項
    に記載の圧力媒体注入部。
  34. 【請求項34】 請求項1〜33のいずれか1つの項に
    記載の圧力媒体注入部と、シート表面形成壁部と、シー
    ト表裏面形成壁部を有し、このシート表面形成壁部又は
    シート表裏面形成壁部の少なくとも一方に、複数の吸引
    孔を設けたことを特徴とするシート状孔質樹脂成形金
    型。
  35. 【請求項35】 請求項1〜33のいずれか1つの項に
    記載の圧力媒体注入部と、シート表面形成壁部とシート
    裏面形成壁部を有し、このシート表面形成壁部及びシー
    ト裏面形成壁部の少なくとも一方が他方と離間する方向
    に変位可能で、上記シート状孔質樹脂成形体に所望形状
    を付与するキャビティと、このキャビティに連通する樹
    脂注入部と、を備えることを特徴とするシート状孔質樹
    脂成形金型。
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