JP2001328122A - 樹脂成形金型及びこれを用いた樹脂成形体の成形方法 - Google Patents

樹脂成形金型及びこれを用いた樹脂成形体の成形方法

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JP2001328122A
JP2001328122A JP2000269048A JP2000269048A JP2001328122A JP 2001328122 A JP2001328122 A JP 2001328122A JP 2000269048 A JP2000269048 A JP 2000269048A JP 2000269048 A JP2000269048 A JP 2000269048A JP 2001328122 A JP2001328122 A JP 2001328122A
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pressure medium
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cavity
molded body
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JP2000269048A
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English (en)
Inventor
Katsuhiko Suzuki
克彦 鈴木
Shinkichi Torii
信吉 鳥居
Koichi Handa
浩一 半田
Kenji Uesugi
憲治 上杉
Masaaki Suzuki
正明 鈴木
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 盲空洞の開口径、形状及び容積を容易に制御
できる金型であって、軽量で剛性及び吸音特性を有し、
ヒケ及びソリ等がなく外観品質に優れ、複数の独立した
盲空洞を有する樹脂成形体を成形できる金型、及びこの
金型を用いた樹脂成形体の成形方法を提供すること。 【解決手段】 盲空洞を内包した樹脂成形体を成形する
金型であって、キャビティ4を規定する固定金型2と可
動金型1とを有し、キャビティ4の内壁部には凹凸が形
成され、固定金型2の表面形成壁部2aには原料樹脂注
入口6及び圧力媒体注入部5が設けられ、可動金型1
は、裏面形成壁部1aを有し、圧力媒体の注入方向とほ
ぼ同一方向へ変位できる樹脂成形金型である。キャビテ
ィ内の溶融樹脂が流動性を帯びている間に、圧力媒体を
注入し盲空洞を形成する樹脂成形方法である。少なくと
も2段階の工程で圧力媒体を注入する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂成形金型に係
り、更に詳細には、キャビティを構成する金型表面を粗
面化して充填原料樹脂と金型との密着性を高め、盲空洞
の形成を容易化する金型及びこれを用いた樹脂成形体の
成形方法に関する。本発明によって得られる樹脂成形体
は、高剛性且つ軽量であり、また吸音・遮音、外部エネ
ルギーの吸収及び断熱等の機能を有し、例えば自動車用
の外板材や内装材などに好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来から、空洞を有し剛性が高く且つ軽
量な樹脂成形体の成形には、ハニカム状成形体と平板と
を積層する方法や補強リブを立設する方法などが用いら
れている。ところが、ハニカム状成形体と平板との積層
法では、ハニカム状成形体を作製する積層工程に多くの
時間を必要とし、また、積層した層同士が剥離し易く信
頼性に劣り、特に、得られる成形体の剛性を部分的に向
上することが困難であるという問題があった。また、補
強リブを立設する方法では、複雑な金型加工を必要と
し、また開口面を塞ぐ工程が必要である等の問題があっ
た。
【0003】これらの問題に対し、原料樹脂が流動性を
帯びている加熱成形時に、圧力媒体を注入し一度に樹脂
成形体に空洞を形成する方法が提案されている。しか
し、この方法は、空洞の形状や容積を制御することによ
り成形体表面のヒケを防止すること又は補強を増すこと
を目的としているため、空洞位置は金型の形状により制
限されてしまい、任意の部位に独立した空洞を形成する
ことが困難であった。また、形成された空洞は、各空洞
が連通していたり、また独立した空洞を形成していても
リブ厚、形状、容積等を制御できないという問題もあっ
た。
【0004】例えば、特公昭57−14968号公報で
は、射出成形金型のキャビティ容積に満たない溶融樹脂
を充填後、同じ口から加圧ガスを注入してキャビティ内
を満たし盲空洞体を形成する方法が提案されている。し
かし、圧力媒体注入口が樹脂射出口と同じため、形成さ
れる盲空洞体の大きさ、容積及び存在密度を容易に制御
できないという問題があった。
【0005】また、特開平6−134828号公報で
は、リブ構造によるものとして、射出成形中に圧力媒体
を注入し盲空洞体を成形した製造方法が提案されている
が、単に盲空の形成を目的としたノズル構造であるた
め、樹脂の薄肉部に形状を制御して多数の独立盲空洞を
形成できず、また、圧力媒体注入部(ノズル)に逆止弁
を設けているため、ノズル形状が制約され所定の盲空洞
を成形体に形成できず、更に、ノズル先端に逆止弁を設
けているため、ノズル先端部が大きくなり単位面積当た
りに多数のノズルを設定できず、盲空洞体の配置密度を
変えることや軽量及び剛性を制御することが困難である
という問題があった。
【0006】更に、特開平6−155556号公報で
は、特開平6−134828号公報に示されてる方法で
発生する問題の他、ノズル先端部に加熱装置を設けてい
る構造のため、ノズル先端部が大きくなり単位面積当た
りのノズル数が限定されるという問題があった。
【0007】更にまた、特開平8−276452号公報
では、樹脂シリンダーノズルと圧力媒体注入ノズルとし
て同一ノズルを兼用する構造であるため、圧力媒体注入
ノズル形状を変え盲空洞形状を制御することができない
という問題があった。
【0008】かかる従来の問題を解決し得る技術とし
て、本発明者らは、本願出願時に未公開の特願平11−
119250号、特願平11−116256号、特願平
11−191088号及び特願平11−224426号
において、内容積変化させ得る特定のキャビティを用
い、樹脂注入口とガス注入口とを別個独立に構成するこ
と、空洞受容層を設置することなどにより、空洞の形
状、配置、容積、個数及び開口部面積などを空洞毎に制
御でき、軽量化や剛性の制御が可能であり、しかもヒケ
やソリを発生し難い成形金型及び成形方法などを既に提
案している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らが上記出願関連技術につき、更に検討を加えた結
果、以下のような改良の余地があることが判明した。即
ち、樹脂成形体を製造する際には、溶融原料樹脂の充填
後、圧力媒体の注入時などに、原料樹脂が金型と適度に
密着していないと、盲空洞の形成が困難になることを知
見した。
【0010】本発明は、このような知見に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、盲空洞の開口
径、形状及び容積を容易に制御できる金型であって、軽
量で剛性及び吸音特性を有し、ヒケ及びソリ等がなく外
観品質に優れ、複数の独立した盲空洞を有する樹脂成形
体を成形できる金型、及びこの金型を用いた樹脂成形体
の成形方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、キャビティ内壁部
の任意部分に凹凸を設けて粗面化し、金型と原料樹脂と
の密着性を制御することや、所要に応じて、金型温度を
制御したりすることにより、上記目的が達成できること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】即ち、本発明の樹脂成形金型は、表面に開
口部を有し裏面方向に延在する複数個の独立した盲空洞
を内包した樹脂成形体を成形する金型であって、キャビ
ティを規定する固定金型と可動金型とを有し、このキャ
ビティの内壁部には凹凸が形成され、上記固定金型は、
上記樹脂成形体の表面を形成する壁部を有し、この表面
形成壁部には原料樹脂注入口及び圧力媒体注入部が設け
られ、上記可動金型は、上記表面形成壁部に対向した裏
面形成壁部を有し、上記圧力媒体注入部を介する圧力媒
体の注入方向とほぼ同一の方向へ変位可能であることを
特徴とする。
【0013】また、本発明の樹脂成形金型の好適形態
は、上記凹凸が、少なくとも上記表面形成壁部における
圧力媒体注入部の周辺に設けられていることを特徴とす
る。
【0014】更に、本発明の樹脂成形金型の他の好適形
態は、上記凹凸が、連続若しくは断続した条溝及び/又
は連続若しくは断続した突条であることを特徴とする。
【0015】更にまた、本発明の樹脂成形金型の好適形
態は、上記固定金型に上記圧力媒体注入部を設置する挿
入孔が穿設され、この挿入孔の内壁のキャビティ側部分
に上記条溝及び/又は上記突条が設けられていることを
特徴とする。
【0016】また、本発明の樹脂成形金型の他の好適形
態は、上記挿入孔の内壁が上記圧力媒体注入部の先端近
傍からキャビティ側にかけて、10°以下の角度で拡開
していること、を特徴とする。
【0017】更に、本発明の樹脂成形体の成形方法は、
上記樹脂成形金型を用いて上記樹脂成形体を成形するに
当たり、上記キャビティ内への溶融樹脂の充填中若しく
は充填後、又は上記可動金型の変位中若しくは変位後で
あって、上記溶融樹脂が流動性を帯びている間に、圧力
媒体を上記圧力媒体注入部から当該溶融樹脂内に注入
し、得られる樹脂成形体に開口部を有する盲空洞を形成
することを特徴とする。
【0018】更にまた、本発明の樹脂成形体の成形方法
の好適形態は、上記固定金型の温度が上記可動金型の温
度以上に制御されることを特徴とする。
【0019】
【作用】本発明の樹脂成形金型においては、固定金型の
キャビティ内壁部の任意部分に凹凸を設けた。よって、
アンカー効果の発現より表面形成壁部に原料樹脂が適度
な強さで密着し、樹脂成形体に形成する盲空洞の開口
径、形状及び容積を容易に制御できる。また、本発明の
樹脂成形体の成形方法の好適形態においては、成形の際
に固定金型の温度を可動金型の温度以上とした。よっ
て、原料樹脂の密着性を維持し容易に盲空洞を形成でき
る。更に、本発明の成形方法の好適形態においては、盲
空洞を形成するために注入する圧力媒体を2段階で注入
することとした。よって、盲空洞を所望の形状に整える
ことや外観品質を良好にすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の樹脂成形金型につ
いて、図面を参照して詳細に説明する。上述の如く、本
発明の樹脂成形金型は、盲空洞を内包した樹脂成形体を
成形する金型であって、固定金型と可動金型とが規定す
るキャビティ内壁部に凹凸を形成した金型である。
【0021】本発明の樹脂成形金型の一例である成形金
型の側面断面図を図1及び図2に示す。なお、図1は原
料樹脂を注入する前の状態を示し、図2はキャビティ内
に原料樹脂を注入し、圧力媒体(ガスなど)を注入して
盲空洞を形成している状態を示している。
【0022】図1及び図2において、この樹脂成形金型
は、固定金型2と、圧力媒体の注入方向とほぼ同一の方
向へ変位可能である可動金型1とを有し、固定金型2の
凸部を構成する表面形成壁部2aには、可動金型1の凹
部と固定金型2の凸部で規定されるキャビティ4に原料
樹脂12を注入する樹脂注入口6と、圧力媒体(加圧ガ
ス)をキャビティ4に注入する圧力媒体注入部の一例で
あるガス注入用ノズル5とがそれぞれ別個に設けられて
いる。また、ガス注入用ノズル5には、ガス室3を介し
て、ガスボンベ7、圧力調整バルブ8、制御弁9及び加
熱装置10より構成される圧力媒体供給系が連結されて
おり、所定量の圧力媒体が所定圧でノズル5に供給され
得る。更に、樹脂注入口6は、固定金型2の中央を貫通
して、図示しない金型外部の原料樹脂供給系と連結して
いる。
【0023】本発明の樹脂成形金型は、キャビティ内壁
部に凹凸が形成されて成るものであるが、適度な密着性
を確保できるのであればキャビティ内壁部の任意部分に
凹凸を形成でき、本例のように、少なくとも表面形成壁
部2aに凹凸を形成することができる。また、かかる凹
凸は、少なくとも上記表面形成壁部2aに設置されるガ
ス注入用ノズル5の周辺に形成することもできる。
【0024】このように、キャビティ内壁(表面形成壁
部2a)を適度に粗面化することでアンカー効果が発現
し、原料樹脂の解離が防止され、盲空洞形成の際には原
料樹脂との密着性が増大し、盲空洞11を確実に形成で
きる。
【0025】ここで、「アンカー効果(投錨効果ともい
う)」とは、キャビティ内壁(表面形成壁部2a)の凹
凸部分(くぼみ)に原料樹脂の一部が入り込み、錨を打
ち込んだような状態になって密着強さが発現することを
いい、凹凸が多く密着面積が大きくなるほどアンカー効
果も増大する。
【0026】また、上記凹凸として、表面形成壁部2a
(キャビティ内壁部)に条溝15及び/又は突条16を
形成することができ、かかる条溝15及び/又は突条1
6は、連続させたり、断続させたり、任意に組み合わせ
るなどして凹凸とすることができる。例えば、表面形成
壁部2aの全面に条溝15及び/又は突条16を形成す
ること(図5及び図6)、ノズル列ごとに条溝と突条と
を交互に形成すること(図7)ができる。本例の金型で
は、幅5〜20μm、深さ(高さ)10〜50μm、長
さ500〜1000μm程度の条溝や突条を10〜50
本/cm程度形成することが望ましい。更に、条溝1
5や突条16は、ノズル5の周辺のみに形成することも
できる(図8及び図9)。この場合には、特にノズルと
隣接するノズルとの距離の1/2以内まで条溝15や突
条16を形成することが望ましい。
【0027】なお、条溝15や突条16を活用して樹脂
成形体を加飾することや触感を付与することもできる。
また、条溝15や突条16は、キャビティ内壁部の全体
に形成することも可能であり、この場合には原料樹脂を
金型により密着させて盲空洞を形成することができる。
【0028】条溝15や突条16を形成するときは、表
面形成壁部2aと原料樹脂12との密着性が向上し易
く、盲空洞11をより確実に形成できるので有効であ
る。即ち、ガスの注入圧でノズル5近傍の原料樹脂12
が表面形成壁部2aから解離して、圧力媒体が金型外に
漏れることや、盲空洞11を形成しようとする所定位置
より外れて樹脂内に注入されることを防止できる。ま
た、凹凸として条溝15や突条16を形成しないとき
は、キャビティ拡大時に原料樹脂12が表面形成壁部2
aより解離し、ノズル5が原料樹脂内に挿入又は着接さ
れておらず、圧力媒体を注入しても固定金型2と原料樹
脂12との間に漏れてしまい、原料樹脂内にガスを注入
できず盲空洞11の形成ができないことがある。
【0029】また、条溝15及び/又は突条16は、J
IS−B0601で定義する中心線平均粗さRaが、
0.25〜200μmであることが好ましい。中心線平
均粗さRaが0.25μm未満では、アンカー効果が発
現せずキャビティ拡大時に金型より原料樹脂が解離し圧
力媒体を注入することが困難となり易い。また、200
μmを超えるとアンカー効果が過剰に発現してしまい、
樹脂成形体を離型することが困難であったり、離型して
も樹脂の一部が金型に付着・残存し樹脂成形体の外観が
著しく損なわれることがある。なお、表面形成壁部2a
を所望の粗面とするには、条溝や突条を設けるととも
に、更に表面形成壁部2aに研削、研磨及びエッチング
などを適宜施すことができる。
【0030】更に、ガス注入用ノズル5は、ノズルの先
端部を表面形成壁部2aに対して凹設することができ
る。言い換えれば、図3に示すように、ノズル先端を表
面形成壁部2aに対し後退させて挿入し、金型孔(挿入
孔)を有するように設けることができる。このとき、か
かるノズル5は固定金型2よりも、また固定金型2は可
動金型1よりも、高い熱伝導率を有する素材で構成され
ることが望ましい。
【0031】ノズル5を用いて樹脂成形体を成形する際
は、表面形成壁部に2aに対面している原料樹脂12の
表面(裏面)には、以下のような過程で盲空洞11が容
易に形成される。まず、溶融原料樹脂12が注入される
際には、キャビティ内は溶融温度付近まで加熱され、ガ
ス注入用ノズル5と固定金型2とがなす凹部内(ノズル
5の正面近傍)まで原料樹脂12が充填される。このと
き、高熱伝導性であるノズル5は迅速に放熱するため、
いち早くノズル周辺の温度が下降し、ノズル5の正面近
傍に存在する原料樹脂12の固化が優先的に発生する。
次いで、凹設されたノズル5の正面に発生した固化膜が
加圧ガスを受けて内部に押し出され、容易に盲空洞11
が形成される。このとき、ノズル5の正面近傍にある原
料樹脂12がアンカー効果により表面形成壁部2aに密
着しているので、この原料樹脂12は加圧ガスの導入路
としての役割を果たし、盲空洞11の形成をより的確に
行い得る。
【0032】一方、かかるノズル5を表面形成壁部2a
と面一に設置すると、形状、容積を制御した盲空洞11
の形成が困難となり易い。ノズル5の正面に発生した固
化膜とまだ固化膜が薄い溶融樹脂12との間を破り、制
御されない方向にガスが注入され、隣接する盲空洞11
と連通するためである。また、ガス注入用ノズル5とし
ては、図3及び図4に示すようにガス通路13、ガス噴
出口14を有するノズルを例示できる。このノズル5の
ように、ガス通路13がノズル先端で分岐しているとき
は、上述のように固化膜が発生するときでも的確に加圧
ガスを注入することができる。なお、ガス通路13は、
ノズル先端の中央から加圧ガスを注入できる直線形状に
設けることもできる。
【0033】更に、ガス注入用ノズル5には逆止弁を設
けていないが、ノズル5とこれを凹設している固定金型
2との間隙、加圧ガス噴出口14及び加圧ガス通路13
の内径を調整することでガスの逆流を防止できる。かか
る調整の際には原料樹脂種、樹脂成形体の形状及び成形
条件などを考慮し、適宜好適なノズルを選定することが
好ましい。更にまた、ガス注入用ノズル5のノズル径を
調整することで盲空洞11の開口部径を制御できる。こ
の開口部径の制御は吸・遮音機能の発現などに大きく影
響し、得られる樹脂成形体の付加機能を高めることがで
きる。なお、ガス注入用ノズル5の設置間隔及び存在率
を部分的に偏らせ、盲空洞11の開口部を原料樹脂(樹
脂成形体)12の表面(裏面)に均一に分布させること
もできるし、樹脂成形体12の裏面の一部について密に
分布させるなど、任意部分の剛性や軽量性に応じて不均
一に分布させることも可能である。
【0034】また、ガス注入用ノズル5を固定金型2
(表面形成金型)に設けた挿入孔17に穿設するとき
は、図10又は図11に示すように、挿入孔17の内壁
のキャビティ側部分に、条溝15や突条16を設けるこ
とが好ましい。これより、盲空洞を形成する際(キャビ
ティの拡大時やガスの注入時など)に、原料樹脂がガス
注入用ノズル5の近傍に密着するため、ガスを注入して
もノズル5の近傍や表面形成壁部2aから原料樹脂が解
離しにくく、盲空洞を円滑に形成することができる。一
方、挿入孔17の内壁に条溝や突条を設けないと、盲空
洞の形成時に注入ガスにより原料樹脂がノズル5の近傍
や表面形成壁部2aから解離してしまい、樹脂内部へガ
スが注入できないことがある。また、解離した原料樹脂
と固定金型2との間に圧力媒体が注入され、所望の盲空
洞が形成できないことがある。なお、原料樹脂の密着性
が高過ぎると樹脂成形体の離型が困難となることがある
ため、上記条溝や突条は、位置、大きさ及び深さ(高
さ)などを適宜調整して設置することがよい。
【0035】更に、挿入孔17の内壁と原料樹脂との密
着性には上述のアンカー効果が大きく寄与するため、か
かる条溝15や突条16は、上記表面形成壁部2aと同
様に中心線平均粗さRaが、0.25〜200μmであ
ることが好ましく、特に1〜20μmであることがより
好ましい。このような中心線平均粗さRaであれば原料
樹脂が適度に密着し易いので有効である。なお、中心線
平均粗さRaが0.25μm未満ではキャビティ拡大時
に原料樹脂が表面形成壁部2aから容易に解離し、ガス
(圧力媒体)を原料樹脂内部に注入できず盲空洞の形成
ができないことがある。200μmを超えると盲空洞は
形成できるが、樹脂成形体の離型が困難となり、得られ
る樹脂成形体の開口部の破損や樹脂成形体自体の曲がり
などから外観品質が著しく低下することがある。また、
脱離工数が増加するので樹脂成形工程のサイクルタイム
が増し、生産性が低下することがある。
【0036】更にまた、図11に示すように、挿入孔1
7の内壁は、ガス注入用ノズル5の先端近傍からキャビ
ティ側にかけて10°以下の角度で拡開していることが
好ましい。これより、挿入孔17の内壁に密着している
樹脂が離型時に剥がれ易くなり、サイクルタイムを短縮
でき生産性が向上できる。また、離型が容易になるので
樹脂成形体の離型時の損傷を防止でき、外観品質を高め
ることができる。一方、10°を超える角度で拡開する
ときは、キャビティ拡大時に原料樹脂が挿入孔17の内
壁及び表面形成壁部2aから解離し易くなり盲空洞が形
成できないことがある。なお、挿入孔17の拡開部分
は、上記角度を満たしていればよく、円錐形、截頭円錐
形、角錐形、截頭角錐形及び球冠形などの形状とするこ
ともできる。また、挿入孔17は、その内壁が拡開して
いない形状、即ち、上記拡開角度が0°である筒状でも
よい。更に、ガス注入用ノズル5の先端近傍からキャビ
ティ側へ狭窄化しているとき(上記拡開角度が0°未満
のとき)は、樹脂成形体の離型が困難となるので好まし
くない。
【0037】次に、本発明の樹脂成形体の成形方法につ
き、一例である上記樹脂成形金型(図1及び図2)を用
いた成形方法により、詳細に説明する。
【0038】まず、圧力媒体注入部5の圧力媒体通路1
4を原料樹脂12の溶融温度付近まで加熱する。次い
で、キャビティ内に原料樹脂を充填中又は充填後、又は
可動金型1の変位中若しくは変位後であって、溶融樹脂
12が流動性を帯びている間に、ガス室3から加熱され
ている圧力媒体を注入し、原料樹脂12に盲空洞11を
形成する。このとき、上記圧力媒体は、表面形成壁部2
aから可動金型1の凹部立壁1aの方向とほぼ同一方向
へ注入され、樹脂成形体12の表面には、盲空洞11の
開口部11aが形成されることになる。また、可動金型
1は圧力媒体注入中に注入方向に変位し、盲空洞11の
形成を促進する。圧力媒体を注入し溶融原料樹脂12に
所望の盲空洞11を付与した後は、原料樹脂12を固化
(冷却)し、成形金型から離型することにより樹脂成形
体12が得られる。
【0039】ここで、盲空洞11とは、上記樹脂積層体
において、表面−裏面間が貫通していない空洞を意味す
る。また、盲空洞同士は接しておらず、それぞれが独立
した空間を形成している。盲空洞11は、盲空洞開口部
11aが存在する表面(裏面)からこれに対向する裏面
(表面)の方向に延在・拡開しており、典型的には円
形、楕円球形、茄子形や裸電球型の孔形状を有する。
【0040】また、上記樹脂成形体12における盲空洞
11以外の部分を構成する樹脂、即ち樹脂成形体を構成
する原料樹脂12としては、加熱成形時に流動性を帯び
ている樹脂であればよく、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹
脂のいずれであっても用いることができる。特に加熱に
より樹脂の粘性を容易に調整でき、開口部を有する盲空
洞11の形成時間の設定が容易な熱可塑性樹脂を用いる
ことが好ましい。
【0041】熱可塑性樹脂を用いると盲空洞11の形成
時間の設定も容易になるため、一般の射出成形、射出圧
縮成形、圧縮成形、押出成形及びスタンピング成形など
で通常使用される熱可塑性樹脂が使用でき、具体的に
は、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィ
ン樹脂、アクリロニトリルなどのアクリル系樹脂、AB
Sやポリスチレンなどのポリスチレン系樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリカーボネート、PBT及びPETなどの飽
和ポリエステル樹脂、ポリアセタール、ポリエーテルス
ルフォン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサ
ルファイド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリエステ
ル、フッ素系樹脂及びビニル樹脂、又はこれらを一構成
成分とするポリマーアロイなどが挙げられる。
【0042】一方、熱硬化性樹脂を用いる場合は、触媒
種、触媒量及び加熱温度などを選定することにより、硬
化時間を調整できる。なお、これら熱可塑性樹脂及び熱
硬化性樹脂には、タルク、ガラスビーズ、酸化ケイ素、
着色顔料、金属粉末、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ポ
リアミド繊維、炭素繊維、光安定剤、滑材、帯電防止
剤、酸化防止剤等の充填剤及び繊維強化剤などの各種添
加剤を適宜加えることもできる。
【0043】また、樹脂成形体の成形時には固定金型2
の温度を可動金型1の温度以上に制御することができ、
この場合には原料樹脂12の流動性を保持できる。例え
ば、固定金型2として可動金型1よりも高い熱伝導率を
有する材料で構成されたものを用いることができる。こ
の結果、キャビティ内に注入された溶融原料樹脂12の
冷却・固化が遅延され、金型と原料樹脂との密着性を高
めることができる。また、可動金型1がガス注入方向へ
変位するときに、原料樹脂12の裏面全体に固化膜が発
生しにくくなるため、表面形成壁部2a(固定金型2)
における原料樹脂12の離脱が防止され、盲空洞11の
形成が円滑に行われ易い。なお、固定金型2の温度は、
可動金型1に対して10〜50℃高いことが望ましい。
【0044】更に、樹脂成形体の成形は、ガス注入用ノ
ズル5やガス経路13の径、ガス注入用ノズル5の凹設
深さ、ガス室3及びガス注入用ノズル5の先端形状など
が適宜変更・組合せ可能な射出成形機などを用いる射出
成形法や、圧縮成形機などを用いる射出圧縮成形法等に
よることが望ましい。盲空洞11の形状や容積を制御し
易くなるからである。また、樹脂成形体の大きさ、重
量、剛性及び盲空洞容積などに応じて、可動金型1の変
位前後のキャビティ容積を設定することができる。
【0045】更にまた、加圧ガスは、加熱装置10を経
由し、制御弁9で注入時期及び圧力が制御され、固定金
型2に設けたガス室3(圧力媒体室)を介して、所望の
圧力及び容量で注入されることが望ましい。また、加圧
ガスは樹脂成形体12の成形条件や原料樹脂種などによ
り異なるが、常温大気圧下で気体状態を示すものが好ま
しく、不燃性である空気、炭酸ガス、窒素又はアルゴン
などを使用できる。特に、供給が容易で廉価な空気、炭
酸ガス又は窒素を用いることが望ましい。
【0046】また、注入するガスの圧力は、成形時の樹
脂温度、金型温度及びキャビティ拡大タイミングなどに
より異なるが、0.05〜20MPaとすることが望ま
しい。0.05MPa未満では、盲空洞の形成が困難と
なり易く、20MPaを超えると加圧ガスの制御が困難
となり、隣接する盲空洞同士が連結して独立した盲空洞
の形成が困難となり易い。
【0047】更に、盲空洞形成のための加圧ガスの注入
は、注入圧を変化させた少なくとも2段階の工程で行う
ことが好ましい。例えば、2段階で加圧ガスを注入する
場合には、まず1段目の加圧ガスをキャビティ拡大前で
あって、原料樹脂12の充填中/充填後に、原料樹脂1
2に注入して、盲空洞11を形成できる空間、即ち盲空
洞の大枠を確保し、その後、2段目の加圧ガスをキャビ
ティ拡大後/拡大中に、必要に応じてガス圧を変えて上
記空間に注入することができる。この場合は、盲空洞の
形状が整え易く、更には樹脂成形体の表面を整えて外観
品質を向上させることができるので有効である。
【0048】更にまた、変化させるガス注入圧は、原料
樹脂種、盲空洞の容積及び形状などに応じ、好適な圧力
に設定することが望ましく、1段目を低くし2段目を高
くすること、又はこの逆に設定できる。具体的には、盲
空洞の容積を大きくしたいときは、1段目を高圧にして
盲空洞の大枠を形成し、2段目を低圧にして盲空洞の形
状を整えることができる。一方、外観品質が高く容積の
小さい盲空洞を得ようとするときは、1段目を低圧に
し、2段目を高圧にして金型面への押圧を高め、樹脂成
形体の表面外観品質を良好にすることができる。なお、
上記1段目と2段目で注入するガスの種類は異なるもの
であってもよいし同じものを用いてもよい。また、例示
した注入方法(2段階の注入方法)に限られず、更に多
くの段階を経て注入する場合であっても同様の効果が得
られることは言うまでもない。
【0049】
【実施例】以下、本発明を図面を参照して実施例及び比
較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実
施例に限定されるものではない。
【0050】(1)樹脂成形金型 型締め圧力110tの射出成形機に以下に示す樹脂成形
金型をセットした。図1に示す構造を有する金型で、キ
ャビティ内容積は、100×100×3(可変前)〜1
0(可変後)mmに変位できるようにした。ポリプロピ
レン樹脂((株)チッソ:XK4157V)を樹脂温度
190℃で射出成形し、8mm厚さの樹脂成形体を成形
できる金型とした。射出成形前及び盲空洞形成後の概要
を図1及び図2に示す。加圧ガス注入用ノズル5はφ6
mmとし、ノズル側面に噴出口を2つ有するものを9本
格子状に等間隔で配置した。また、ノズル先端は、表面
形成壁部2aより1mm後退した位置に配置した。ノズ
ル先端部は平坦状のものを各々用いた。圧力媒体はエア
(加熱圧縮空気)を使用し、加熱装置で120℃に加熱
し注入した。表面形成壁部及び裏面形成壁部の表面に
は、全面又はノズル周辺に条溝及び/又は突条を形成し
た。なお、圧力媒体(加圧ガス)注入圧、及び固定金型
と可動金型の凹凸種、凹凸の配置、金型面の粗度及び金
型温度を表1及び表2に示す。
【0051】(2)樹脂成形体の成形 上述の樹脂成形金型を用いて、以下の実施例及び比較例
に示す樹脂成形体を成形した。
【0052】(実施例1)キャビティ内に樹脂を98%
充填後、キャビティ内厚さを拡大するとともにエア(圧
力媒体)を注入し、拡大後のキャビティを8mmとして
成形し、冷却後、取り出し、樹脂成形体を成形した。こ
のとき固定金型の表面形成壁部には、中心線平均粗さR
aが15μmの条溝を全面に設け、可動金型の裏面形成
壁部には、0.4μmの条溝を設けた。また、エアは2
段階に分けて注入した。なお、成形の際のエアの注入
圧、表面形成金型及び裏面形成金型の凹凸種、凹凸の配
置、金型面の粗度及び金型温度と、この樹脂成形体の評
価結果を表1に示す。
【0053】(実施例2)表面形成壁部及び裏面形成壁
部の凹凸種、配置位置を変えた以外は、実施例1と同様
の操作を繰り返して、樹脂成形体を成形した。なお、成
形の際のエアの注入圧、表面形成金型及び裏面形成金型
の凹凸種、凹凸の配置、金型面の粗度及び金型温度と、
この樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
【0054】(実施例3及び実施例4)表面形成壁部の
凹凸種、配置位置を変えた以外は、実施例1と同様の操
作を繰り返して、樹脂成形体を成形した。なお、成形の
際のエアの注入圧、表面形成金型及び裏面形成金型の凹
凸種、凹凸の配置、金型面の粗度及び金型温度と、この
樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
【0055】(実施例5及び実施例6)表面形成壁部の
粗度Raを変えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り
返して、樹脂成形体を成形した。なお、成形の際のエア
の注入圧、表面形成金型及び裏面形成金型の凹凸種、凹
凸の配置、金型面の粗度及び金型温度と、この樹脂成形
体の評価結果を表1に示す。
【0056】(実施例7)固定金型の温度を変えた以外
は、実施例1と同様の操作を繰り返して、樹脂成形体を
成形した。なお、成形の際のエアの注入圧、表面形成金
型及び裏面形成金型の凹凸種、凹凸の配置、金型面の粗
度及び金型温度と、この樹脂成形体の評価結果を表1に
示す。
【0057】(実施例8〜10)2段階で注入するエア
の圧力を変えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返
して、樹脂成形体を成形した。なお、成形の際のエアの
注入圧、表面形成金型及び裏面形成金型の凹凸種、凹凸
の配置、金型面の粗度及び金型温度と、この樹脂成形体
の評価結果を表1に示す。
【0058】(実施例11)図11に示すように、圧力
媒体注入部の挿入孔内壁を圧力媒体注入の先端部近傍よ
りキャビティ側へ2°の勾配で拡開させた以外は、実施
例1と同様の操作を繰り返して、樹脂成形体を成形し
た。なお、成形の際のエアの注入圧、表面形成金型及び
裏面形成金型の凹凸種、凹凸の配置、金型面の粗度及び
金型温度と、この樹脂成形体の評価結果を表1に示す。
【0059】(実施例12)圧力媒体注入部の挿入孔内
壁を圧力媒体注入の先端部近傍よりキャビティ側へ10
°の勾配で拡開させた以外は、実施例1と同様の操作を
繰り返して、樹脂成形体を成形した。なお、成形の際の
エアの注入圧、表面形成金型及び裏面形成金型の凹凸
種、凹凸の配置、金型面の粗度及び金型温度と、この樹
脂成形体の評価結果を表1に示す。
【0060】(実施例13)圧力媒体注入部の挿入孔内
壁を圧力媒体注入の先端部近傍よりキャビティ側へ2°
の勾配で拡開させ、内壁部の表面粗度を0.25μmと
した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、樹脂
成形体を成形した。なお、成形の際のエアの注入圧、表
面形成金型及び裏面形成金型の凹凸種、凹凸の配置、金
型面の粗度及び金型温度と、この樹脂成形体の評価結果
を表1に示す。
【0061】(実施例14)圧力媒体注入部の挿入孔内
壁を圧力媒体注入の先端部近傍よりキャビティ側へ2°
の勾配で拡開させ、内壁部の表面粗度を180μmとし
た以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、樹脂成
形体を成形した。なお、成形の際のエアの注入圧、表面
形成金型及び裏面形成金型の凹凸種、凹凸の配置、金型
面の粗度及び金型温度と、この樹脂成形体の評価結果を
表1に示す。
【0062】(比較例1)表面形成壁部及び裏面形成壁
部に凹凸を設けず、粗度を変えた以外は、実施例1と同
様の操作を繰り返して、樹脂成形体を成形した。なお、
成形の際のエアの注入圧、表面形成金型及び裏面形成金
型の凹凸種、凹凸の配置、金型面の粗度及び金型温度
と、この樹脂成形体の評価結果を表2に示す。
【0063】(比較例2)表面形成壁部に凹凸を設け
ず、粗度を変えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り
返して、樹脂成形体を成形した。なお、成形の際のエア
の注入圧、表面形成金型及び裏面形成金型の凹凸種、凹
凸の配置、金型面の粗度及び金型温度と、この樹脂成形
体の評価結果を表2に示す。
【0064】(比較例3)表面形成壁部の粗度を変えた
以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、樹脂成形
体を成形した。なお、成形の際のエアの注入圧、表面形
成金型及び裏面形成金型の凹凸種、凹凸の配置、金型面
の粗度及び金型温度と、この樹脂成形体の評価結果を表
2に示す。
【0065】(比較例4)固定金型の温度を変えた以外
は、実施例1と同様の操作を繰り返して、樹脂成形体を
成形した。なお、成形の際のエアの注入圧、表面形成金
型及び裏面形成金型の凹凸種、凹凸の配置、金型面の粗
度及び金型温度と、この樹脂成形体の評価結果を表2に
示す。
【0066】(比較例5及び6)2段階で注入するエア
の圧力を変えた以外は、実施例1と同様の操作を繰り返
して、樹脂成形体を成形した。なお、成形の際のエアの
注入圧、表面形成金型及び裏面形成金型の凹凸種、凹凸
の配置、金型面の粗度及び金型温度と、この樹脂成形体
の評価結果を表2に示す。
【0067】(比較例7)圧力媒体注入部の挿入孔内壁
部の表面粗度を300μmとした以外は、実施例1と同
様の操作を繰り返して、樹脂成形体を成形した。なお、
成形の際のエアの注入圧、表面形成金型及び裏面形成金
型の凹凸種、凹凸の配置、金型面の粗度及び金型温度
と、この樹脂成形体の評価結果を表2に示す。
【0068】(比較例8)圧力媒体注入部の挿入孔内壁
部の表面粗度を0.06μmとした以外は、実施例1と
同様の操作を繰り返して、樹脂成形体を成形した。な
お、成形の際のエアの注入圧、表面形成金型及び裏面形
成金型の凹凸種、凹凸の配置、金型面の粗度及び金型温
度と、この樹脂成形体の評価結果を表2に示す。
【0069】(比較例9)圧力媒体注入部の挿入孔内壁
を圧力媒体注入の先端部近傍よりキャビティ側へ−5°
の勾配で狭窄化させた以外は、実施例1と同様の操作を
繰り返して、樹脂成形体を成形した。なお、成形の際の
エアの注入圧、表面形成金型及び裏面形成金型の凹凸
種、凹凸の配置、金型面の粗度及び金型温度と、この樹
脂成形体の評価結果を表2に示す。
【0070】(比較例10)圧力媒体注入部の挿入孔内
壁を圧力媒体注入の先端部近傍よりキャビティ側へ20
°の勾配で拡開させた以外は、実施例1と同様の操作を
繰り返して、樹脂成形体を成形した。なお、成形の際の
エアの注入圧、表面形成金型及び裏面形成金型の凹凸
種、凹凸の配置、金型面の粗度及び金型温度と、この樹
脂成形体の評価結果を表2に示す。
【0071】(3)評価方法 実施例1〜14及び比較例1〜10で成形した樹脂成形
体について、以下の〜について評価した。
【0072】盲空洞形成数 樹脂成形体の外観を目視にて観察し、形成されている盲
空洞数を評価した。 ヒケの有無 樹脂成形体の表面外観を目視で観察し、ヒケの有無を評
価した。 離型性 樹脂成形体を樹脂成形金型から取り出す際(離型時)の
脱着の容易性を評価した。 表面外観 樹脂成形体の表面を目視にて観察し、離型後の表面欠け
の有無を評価した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】表1に示すように、本発明の範囲内である
樹脂成形金型及び成形方法で得られた樹脂成形体(実施
例1〜14)は、所望の盲空洞数を有し、ヒケ・ソリも
無く、離型性及び表面外観も良好であることが明らかで
ある。一方、表2に示すように、本発明の範囲外の樹脂
成形金型及び成形方法で得られた樹脂成形体(比較例1
〜10)は、比較例1及び2ではキャビティ内壁(表面
形成壁部、裏面形成壁部)に凹凸が設けられていないた
めヒケ・ソリが発生し易いことがわかる。また、比較例
3では表面形成壁部の粗度が大きいため盲空洞は形成で
きるが離型性及び表面外観が悪くなり易いことがわか
る。更に、比較例4では固定金型の温度が低いためヒケ
・ソリが発生し易いことがわかる。更にまた、比較例5
及び6では圧力媒体の注入圧が過小又は過大であったた
め盲空洞が形成できなかったりヒケ・ソリが発生し易い
ことがわかる。また、比較例7及び8では挿入孔内壁の
粗度が大き過ぎたり小さ過ぎたりするため、離型性や表
面外観が悪化し易いことがわかる。更に、比較例9及び
10では挿入孔の内壁勾配が大き過ぎたり小さ過ぎたり
するため、離型性や表面外観が悪化し易いことがわか
る。
【0076】以上、本発明を好適実施例及び比較例によ
り詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定され
るものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の
変形が可能である。例えば、樹脂成形体において盲空洞
の開口部は表面のみならず、裏面や表裏面の双方に設け
ることが可能である。また、固定金型と可動金型につい
ては固定側と可動側とを置換することが可能であり、更
には双方を変位させることも可能である。
【0077】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、キャビティ内壁部の任意部分に凹凸を設けて粗面化
し、金型と原料樹脂との密着性を制御することや、所要
に応じて、金型温度を制御したりすることとしたため、
盲空洞の開口径、形状及び容積を容易に制御できる金型
であって、軽量で剛性及び吸音特性を有し、ヒケ及びソ
リ等がなく外観品質に優れ、複数の独立した盲空洞を有
する樹脂成形体を成形できる金型、及びこの金型を用い
た樹脂成形体の成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂成形金型の一例(樹脂注入前)を
示す側面断面図である。
【図2】本発明の樹脂成形金型の一例(樹脂注入後)を
示す側面断面図である。
【図3】条溝を設けた表面形成壁部及び圧力媒体注入部
の一例を示す側面断面図である。
【図4】突条を設けた表面形成壁部及び圧力媒体注入部
の一例を示す側面断面図である。
【図5】条溝を全体に設けた表面形成壁部を示す正面図
である。
【図6】突条を全体に設けた表面形成壁部を示す正面図
である。
【図7】条溝及び突条を交互に配列した表面形成壁部の
一例を示す正面図である。
【図8】条溝を圧力媒体注入部の周辺に設けた表面形成
壁部を示す正面図である。
【図9】突条を圧力媒体注入部の周辺に設けた表面形成
壁部を示す正面図である。
【図10】条溝又は突条を表面形成壁部及び圧力媒体注
入部の近傍に設けた固定金型の一例を示す側面断面図で
ある。
【図11】条溝又は突条を表面形成壁部及び圧力媒体注
入部の近傍に設けた固定金型の一例を示す側面断面図で
ある。
【符号の説明】
1 可動金型(裏面形成金型) 1a 裏面形成壁部 2 固定金型(表面形成金型) 2a 表面形成壁部 3 ガス室(圧力媒体室) 4 キャビティ 5 圧力媒体注入部(加圧ガス注入用ノズル) 6 樹脂注入口 7 ガスボンベ(圧力媒体) 8 圧力調整バルブ 9 制御弁 10 加熱装置 11 盲空洞 11a 盲空洞開口部 12 樹脂成形体(原料樹脂) 13 ガス経路(圧力媒体通路) 14 ガス噴出口 15 条溝部 16 突条部 17 挿入孔
フロントページの続き (72)発明者 半田 浩一 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 上杉 憲治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 鈴木 正明 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 4F202 AF01 AG05 AG07 AR02 AR06 CA11 CB01 CK11 CK42 CN01 4F206 AF01 AG05 AG07 AR02 AR06 JA05 JL02 JN27 JQ07 JQ81

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に開口部を有し裏面方向に延在する
    複数個の独立した盲空洞を内包した樹脂成形体を成形す
    る金型であって、 キャビティを規定する固定金型と可動金型とを有し、こ
    のキャビティの内壁部には凹凸が形成され、 上記固定金型は、上記樹脂成形体の表面を形成する壁部
    を有し、この表面形成壁部には原料樹脂注入口及び圧力
    媒体注入部が設けられ、 上記可動金型は、上記表面形成壁部に対向した裏面形成
    壁部を有し、上記圧力媒体注入部を介する圧力媒体の注
    入方向とほぼ同一の方向へ変位可能であることを特徴と
    する樹脂成形金型。
  2. 【請求項2】 上記凹凸が、少なくとも上記表面形成壁
    部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の樹
    脂成形金型。
  3. 【請求項3】 上記凹凸が、少なくとも上記表面形成壁
    部における圧力媒体注入部の周辺に設けられていること
    を特徴とする請求項1又は2記載の樹脂成形金型。
  4. 【請求項4】 上記凹凸が、連続若しくは断続した条溝
    及び/又は連続若しくは断続した突条であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の樹脂成
    形金型。
  5. 【請求項5】 上記条溝及び/又は上記突条の中心線平
    均粗さRaが0.25〜200μmであることを特徴と
    する請求項4記載の樹脂成形金型。
  6. 【請求項6】 上記圧力媒体注入部の先端部が、上記表
    面形成壁部に対して凹設されていることを特徴とする請
    求項1〜5のいずれか1つの項に記載の樹脂成形金型。
  7. 【請求項7】 上記固定金型に上記圧力媒体注入部を設
    置する挿入孔が穿設され、この挿入孔の内壁のキャビテ
    ィ側部分に上記条溝及び/又は上記突条が設けられてい
    ることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つの項に
    記載の樹脂成形金型。
  8. 【請求項8】 上記挿入孔の内壁に設ける条溝及び/又
    は突条の中心線平均粗さRaが、1〜20μmであるこ
    とを特徴とする請求項7記載の樹脂成形金型。
  9. 【請求項9】 上記挿入孔の内壁が上記圧力媒体注入部
    の先端近傍からキャビティ側にかけて、10°以下の角
    度で拡開していること、を特徴とする請求項7〜9のい
    ずれか1つの項に記載の樹脂成形金型。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1つの項に記
    載の樹脂成形金型を用いて上記樹脂成形体を成形するに
    当たり、上記キャビティ内への溶融樹脂の充填中若しく
    は充填後、又は上記可動金型の変位中若しくは変位後で
    あって、上記溶融樹脂が流動性を帯びている間に、圧力
    媒体を上記圧力媒体注入部から当該溶融樹脂内に注入
    し、得られる樹脂成形体に開口部を有する盲空洞を形成
    することを特徴とする樹脂成形体の成形方法。
  11. 【請求項11】 上記固定金型の温度が上記可動金型の
    温度以上に制御されることを特徴とする請求項10記載
    の樹脂成形体の成形方法。
  12. 【請求項12】 上記圧力媒体が常温常圧下で気体状態
    を示すことを特徴とする請求項10又は11記載の樹脂
    成形体の成形方法。
  13. 【請求項13】 上記圧力媒体の注入を、注入圧を変化
    させた少なくとも2段階の工程で行うことを特徴とする
    請求項10〜12のいずれか1つの項に記載の樹脂成形
    体の成形方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005018902A1 (ja) * 2003-08-22 2005-03-03 Suzuka Fuji Xerox Co., Ltd. 中空成形品、中空成形品の製造方法および中空成形用金型
WO2011030938A1 (ko) * 2009-09-10 2011-03-17 (주)엘지하우시스 수압 또는 증기압을 이용한 성형 방법 및 성형 장치

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