JP2001009855A - シート状孔質樹脂成形体 - Google Patents

シート状孔質樹脂成形体

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JP2001009855A
JP2001009855A JP2000082050A JP2000082050A JP2001009855A JP 2001009855 A JP2001009855 A JP 2001009855A JP 2000082050 A JP2000082050 A JP 2000082050A JP 2000082050 A JP2000082050 A JP 2000082050A JP 2001009855 A JP2001009855 A JP 2001009855A
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sheet
resin
cavity
resin molded
molded body
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JP2000082050A
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English (en)
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Shinkichi Torii
信吉 鳥居
Koichi Handa
浩一 半田
Kenji Uesugi
憲治 上杉
Masaaki Suzuki
正明 鈴木
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空洞の配置、容積占有率及び開口部面積率な
どを随意に調整でき、軽量化や剛性の制御が可能であ
り、しかもヒケやソリが無く良好な外観を有するシート
状孔質樹脂成形体を提供すること。 【解決手段】 相互に独立した複数個の盲空洞を有し、
これら盲空洞の開口部が表面及び/又は裏面に設けられ
ているシート状孔質樹脂成形体である。盲空洞の総容積
が、シート状樹脂成形体の容積の1〜95%を占有し、
盲空洞の開口部の総面積が、当該表面及び/又は裏面の
面積の1〜70%を占有する。盲空洞の深さとシート状
樹脂成形体の厚さとの寸法差が1mm以上である。表面
及び/又は裏面に、塗装塗膜などの樹脂層を積層するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、独立した複数個の
盲空洞を有しシート状で孔質の樹脂成形体に係り、更に
詳細には、盲空洞の配置、容積占有率及び開口部面積率
などを随意に設計変更可能であり、軽量化と剛性向上を
適切に制御し得る孔質樹脂成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、空洞を有し剛性が高く且つ軽
量な樹脂成形体を得るために、ハニカム状成形体と平板
とを積層する方法、ブロー法による成形法及び補強リブ
を立設する方法などが行われている。ところが、かかる
積層法によるハニカム状成形体では、積層された層同士
が剥離し易く信頼性に劣り、特に、成形体の一部に選択
的に剛性を付与することが困難であるという問題があっ
た。また、ブロー成形では、成形に際し補強リブを立設
できない成形体中央部につき、剛性が不十分になるとい
う問題がある。更に、補強リブを立設する方法では、リ
ブ構造によって成形体表面にヒケが発生し易く、また、
金型構造が複雑になって金型温度の制御が複雑・困難に
なるという問題があった。
【0003】これらの問題に対し、特公昭57−149
68号公報には、射出成形金型のキャビティ内に不十分
な溶融樹脂を充填後、同じ口から加圧ガスを注入してキ
ャビティ内を満たし、樹脂中空体を形成する方法が提案
されている。また、特開昭54−111557号公報に
は、ヒケ防止のため、金型内部に突出片を形成し、この
突出片に位置するキャビティ部分と他のキャビティ部分
との温度差を利用しながら補強リブを立て、更にガスを
注入してこの補強リブを起点として成形体中に空洞を形
成する方法や、更に金型の一部がスライドして容積が拡
大することにより補強リブを形成する方法が提案されて
いる。更に、特開平6−134828号公報では、かか
るリブ構造によるものとして、射出成形中に逆止弁を介
してガスを注入し、中空体を形成する方法が提案されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
特公昭57−14968号公報に記載の方法では、ガス
注入口が樹脂射出口と同じであるため、形成される空洞
の個数や大きさを容易には制御できないという課題があ
る。また、特開昭54−111557号公報に記載の方
法では、空洞の容積や形状を制御できず、成形品にソリ
などがが発生し易いという課題があった。更に、特開平
6−134828号公報に記載の方法では、ガス注入ノ
ズルに逆止弁を設けているため、逆止弁での樹脂詰まり
によって所望の空洞を形成できず、また、逆止弁を設け
た結果、ガス注入ノズルの先端形状を変えて空洞の形状
を変えることが困難であるという課題があった。
【0005】更にまた、これら3つの方法で得られる樹
脂成形体は、いずれも厚みが50〜100mm程度のい
わゆる厚物であり、また、形成する空洞の位置や個数、
大きさを意図的に制御できず、従って、これら3つの方
法で得られる樹脂成形体は、薄く軽量で剛性に優れ、し
かも剛性を部分的にも調整し得る本発明の孔質樹脂成形
体とは、技術思想を異にする。
【0006】また、特開平5−131483号公報に
は、射出成形中にガスを注入し、連続した空洞を形成し
た成形品が開示されているが、空洞が連続しているた
め、リブがある部分と無い部分とで剛性が異なる。更
に、空洞の連続した部分とリブがある部分とに歪みを生
じ易く、かかる部位にソリを生ずる。また、意図する部
位にリブを立設して剛性を付与することが困難であると
いう課題があった。
【0007】本発明は、このような従来技術の有する課
題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、空洞の配置、容積占有率及び開口部面積率などを随
意に調整でき、軽量化や剛性の制御が可能であり、しか
もヒケやソリが無く良好な外観を有するシート状孔質樹
脂成形体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、内容積を変化させ
得るキャビティを備える金型を用い、樹脂とガスとを別
個独立にキャビティに注入可能とすることなどにより、
上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0009】即ち、本発明のシート状孔質樹脂成形体
は、相互に独立した複数個の盲空洞を有し、これら盲空
洞の開口部が表面及び/又は裏面に設けられていること
を特徴とする。
【0010】また、本発明のシート状孔質樹脂成形体の
好適形態は、上記盲空洞の総容積が、当該シート状樹脂
成形体の容積の1〜95%を占有することを特徴とし、
この場合、上記盲空洞の開口部の総面積が、当該表面及
び/又は裏面の面積の1〜70%を占有することが望ま
しい。
【0011】更に、本発明のシート状孔質樹脂成形体の
他の好適形態は、上記盲空洞の深さと当該シート状樹脂
成形体の厚さとの寸法差が1mm以上であることが望ま
しい。
【0012】更にまた、本発明のシート状孔質樹脂成形
体の更に他の好適形態は、上記盲空洞の開口部が設けら
れている表面及び/又は裏面において、隣接する開口部
間の距離をガス注入ノズルの配置距離を変えることで任
意に設定できることが望ましい。
【0013】また、本発明のシート状孔質樹脂成形体の
他の好適形態においては、上記表面及び/又は裏面に、
少なくとも1層の樹脂層を積層することができ、この場
合、この樹脂層の少なくとも1層を、塗装塗膜とするこ
とができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の樹脂成形体につい
て詳細に説明する。本発明の樹脂成形体は、相互に独立
した複数個の盲空洞を有し、これら盲空洞の開口部が、
このシート状成形体の表面及び/又は裏面に面してい
る。ここで、かかる盲空洞は、該シート状成形体におい
て、表面−裏面間が貫通していない空洞を意味する。ま
た、上述の如く、盲空洞同士は接しておらず、それぞれ
が独立した空間を形成している。上記盲空洞は、代表的
には、開口部が存在するシート面(表面又は裏面)から
これに対向するシート面(裏面又は表面)の方向に延在
・拡開しており、典型的には、球形、楕円球形、断面形
状が概四角あるいは六角の角柱状、茄子形や裸電球形の
孔形状を有する。
【0015】また、本発明の樹脂成形体において、盲空
洞以外の部分を構成する樹脂としては、詳細は後述する
が、加熱成形時に流動性を帯びている樹脂であればよ
く、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれであっても
よいが、盲空洞の形成時間の設定が容易な熱可塑性樹脂
を好ましく用いることができる。
【0016】本発明の樹脂成形体において、上記盲空洞
の開口部は、上述の如く、シート表面、シート裏面又は
これら両面に存在し、これら開口部(盲空洞)は、シー
ト表面及び/又は裏面に均一に分布していてもよいが、
当該シート面の一部について密に分布させるなど、所望
の部分剛性や軽量性に応じて、不均一に分布させること
も可能である。なお、開口部を均一に分布させる場合に
は、隣接する開口部同士の中心点が等間隔になるように
することが好ましい。かかる開口部配置により、盲空洞
を囲む樹脂部分、即ち補強リブに相当する樹脂部分の厚
さが均一となるため、剛性のばらつきを少なくできる。
【0017】また、本発明の樹脂成形体においては、盲
空洞の容積の総和が、そのシート状成形体の容積の1〜
95%を占有するようにすることが好ましい。かかる容
積率が1%未満では、重量基準での比較において、空洞
を形成しないものに対して有意な剛性差が得られず、空
洞形成の効果を十分には発現できず、95%を超える
と、軽量化には優れるが、剛性が低下し過ぎることがあ
る。
【0018】更に、本発明の樹脂成形体においては、盲
空洞の開口部面積の総和が、その開口部が存在するシー
ト面の全面積の1〜70%を占有することが好ましい。
かかる開口部面積率が1%未満では、軽量化の効果を十
分に発現できず、また、70%を超えると、剛性が低下
し過ぎることがあり、好ましくない。
【0019】更にまた、本発明の樹脂成形体において
は、上述の如き孔形状を有する盲空洞の深さとそのシー
ト状成形体の厚さとの寸法差、即ち(シート状成形体の
厚さ−盲空洞長)が、1mm以上となるようにすること
が好ましい。この寸法差が1mm未満では、剛性が十分
でない。なお、本発明の樹脂成形体の厚さは、代表的に
5〜30mmであり、この点においても上記従来技術の
厚物シートと異なるが、上記範囲を超えて厚さを増大す
ることは容易であり、本発明の成形体は、厚さによって
制限を受けるものではない。
【0020】なお、本発明においては、上記シート状成
形体のシート表面及び/又はシート裏面に、少なくとも
1層の樹脂層を付加的に積層することができ、かかる樹
脂層の積層により、ねじれ剛性を向上できる。また、か
かる樹脂層として塗装塗膜を用いることができ、これに
より、樹脂成形体の外観を更に良好なものとすることが
できる。更に、文様等を加飾したり、耐擦傷性や光沢等
を持つ樹脂薄膜層を積層することも可能であり、これに
よって、本発明の樹脂成形体の商品性を更に向上するこ
とができる。
【0021】以上のような構成を有する本発明のシート
状孔質樹脂成形体は、適切な軽量性と剛性を兼備してお
り、各種日用品や軽量材料などに用いられるが、特に自
動車の内装材や外板材等として好適であり、この場合、
上述の軽量性と剛性を兼備する外、盲空洞と開口部とを
備えていることにより、開口部径及び盲空洞容積を制御
し、盲空洞内を空気ばねとして活用でき、所定周波数域
の吸音・遮音が可能になり、また、断熱層として盲空洞
内の空間を活用した断熱も期待できる。更に、盲空洞間
の樹脂壁、換言すれば、リブ相当の樹脂壁厚さを制御す
ることにより、外部からの衝撃エネルギー吸収効果も期
待できる。
【0022】次に、上述したシート状孔質成形体の製造
方法について説明する。図12は、シート状孔質樹脂成
形体の成形装置の一例を示す断面図である。同図におい
て、この成形装置は、固定金型1と、可動金型2と、固
定金型1の可動金型2側に装着されたガス・樹脂注入部
材20と、可動金型2と注入部材20とで規定される金
型キャビティ4とを有する成形金型を備える。なお、こ
の成形装置は、シート表面(片面)のみに盲空洞の開口
部を有するシート状樹脂成形体を成形する仕様のもので
ある。
【0023】注入部材20には、加圧ガスをキャビティ
4に注入する複数本の加圧ガス注入用ノズル5と、成形
体の原料樹脂をキャビティ4に注入する樹脂注入口6と
がそれぞれ別個に設けられており、加圧ガス注入用ノズ
ル5は、この注入部材20と固定金型1との間に設けら
れたガス室3を介して、ガスボンベ7、圧力調整バルブ
8、制御弁9、加熱装置10を有するガス供給系に連通
している。一方、樹脂注入口6は、注入部材20及び固
定金型1のほぼ中央部を貫通して、図示しない原料樹脂
供給系と連結している。
【0024】この成形装置においては、可動金型2の凹
部立壁2aが成形体シートの裏面を形成し、この凹部立
壁2aと対向する注入部材20の壁部20aが、盲空洞
の開口部を有する成形体シートの表面を形成する機能を
果たす。また、可動金型2は、加圧ガスの注入方向(図
面の左方)にスライド移動可能に構成されており、換言
すれば、キャビティ4のシート裏面形成壁部である凹部
立壁2aが加圧ガスの注入方向に変位可能に構成されて
いる。また、上述した加圧ガス注入用ノズル5は、注入
部材の壁部20aから可動金型の凹部立壁2aの方向に
配置され、このため、得られる成形体シートの表面に
は、開口部が形成されることになる。
【0025】上述した成形装置を用いた樹脂成形体の製
造では、まず、原料樹脂を樹脂注入口6を介してキャビ
ティ4に充填する。そして、この充填中又は充填後に、
加圧ガス注入用ノズル5を介して加圧ガスをキャビティ
4に注入し、これに対応して可動金型2を左方にスライ
ドさせ、図13に示すように、充填した樹脂中に盲空洞
11を形成し成長させる。なお、以上の工程は一工程で
実施可能である。しかる後、樹脂を固化し離型すること
により、表面に開口部を有する複数個の独立した盲空洞
11がシート裏面方向に延在しているシート状孔質樹脂
成形体12を得ることができる。
【0026】ここで、可動金型2のスライド変位は、加
圧ガスの注入を利用して行うことができるが、加圧ガス
の注入とは別個に行うこともでき、具体的には、ガス圧
力、油圧作動力及びスプリングなどの付勢力を利用して
行うことができる。かかる可動金型2のスライド変位に
より、キャビティ4の内容積が増大するが、この内容積
拡大率は、代表的に1.1〜30倍とされる。内容積拡
大率が1.1倍未満では、拡大率が小さすぎて、形成す
る盲空洞の容積にバラツキを生じ易く、成形体の製品精
度が低下することがある。一方、30倍を超えると、盲
空洞の容積が大きくなりすぎて、開口部を有さないシー
ト裏面における転写性が不十分となって、成形体の品質
が低下したり、剛性が不十分になることがある。
【0027】また、加圧ガスは、充填樹脂が必要以上に
冷却されて流動性を早期に喪失するるのを防止すべく、
ガス供給系の加熱装置10によって加熱可能であり、更
に、ガス注入圧は圧力調整バルブで調整でき、注入時期
は制御弁9によって制御できる。かかるガス温度やガス
注入圧は、原料樹脂の種類、注入用ノズルの形状や本数
に応じて適宜選定できるが、代表的には、ガス温度を3
00℃以下、ガス注入圧を0.05〜20.0MPaと
することが好ましい。ガス温度が300℃を超えると、
通常使用する原料樹脂が分解して分解ガスを生成し、形
成する空洞の容積を制御できないなどの不具合を生ずる
ことがあり、また、樹脂の分解により成形体の変色や剛
性低下を招くことがある。一方、ガス注入圧について
は、成形装置の設計上の見地から上述の範囲とすること
が適当である。
【0028】なお、使用する加圧ガスとしては、ガス圧
やガス温度などの制御が容易で、原料樹脂に対して不活
性なものを選択することが好ましく、例えば、窒素ガ
ス、炭酸ガス、空気及びヘリウムなどを用いることがで
きる。
【0029】更に、この成形装置では、加圧ガスがガス
室3に一旦貯留されるため、各注入用ノズル5から注入
されるガス圧を均一に制御することができ、複数個の独
立した盲空洞11の成長を容易に均一化することができ
る。なお、盲空洞の容積や深さを変化させたい場合に
は、1又は2以上の他のガス供給系を設置して異なるガ
ス注入圧を適用すればよい。更には、複数個のガス供給
系を設けることにより、混合ガスのガス注入圧を均一化
して使用することも可能になる。
【0030】また、加圧ガスの注入時期は、樹脂の充填
中又は充填後に樹脂が流動性を保持している際である
が、充填中は樹脂の充填率が75%以上になったときに
ガス注入を行うことが好ましい。充填率が75%未満で
は、突出している加圧ガス注入用ノズル5に十分な樹脂
が回り込まず、ガスを注入しても盲空洞の形成が困難と
なるからである。一方、充填後は充填完了後10秒以内
にガス注入を行うのが好ましい。使用する原料樹脂の流
動性が高い場合には、ガス圧が0.05MPa程度でも
盲空洞を形成できるが、充填完了後10秒を経過する
と、樹脂の流動性が低下し、キャビティ内中心部の樹脂
と周辺部の樹脂とに流動性の差異が生じ易く、20MP
aを超えるガス圧を適用しても、流動性の低下した周辺
部では盲空洞を形成できないことがある。
【0031】上述の製造方法において、得られるシート
状孔質樹脂成形体の有する盲空洞の数及び配置は、加圧
ガス注入用ノズル5の本数及び配置に等しくなるので、
意図する成形体の軽量化や全体的又は部分的剛性の向上
は、注入部材20の壁部20aにおける単位面積当たり
のノズル本数及び配置を制御することにより、簡易に実
現できる。即ち、形成された盲空洞は各々が成形体内で
独立して存在し、この場合、空洞間の樹脂は、成形体の
表面と裏面とを補強するリブを形成していると考えるこ
とができる。よって、ノズルの配置及び形成される盲空
洞の容積や深さを制御することにより、かかる補強リブ
の配置位置及び厚さを制御でき、所望の軽量化や剛性向
上を達成できるのである。
【0032】上述の如く、形成される盲空洞の形状や容
積は、ガス注入圧力、注入時間及びキャビティの拡大率
などを調整することによって制御できる。一方、盲空洞
の位置は、ガス注入用ノズルの設置位置と一致する。よ
って、例えば、成形体全体の剛性を均一化したい場合や
軽量化に重点を置く場合などは、相当数のノズルを全体
に均一に配置すればよく、また、かかる空洞の形成によ
る効果を樹脂成形体の一部に求める場合には、部分的に
加圧ガス注入用ノズルを配置すればよい。上述した隣接
開口部間の等間隔性も、ノズルの等間隔配置により実現
される。また、ノズルの形状(特に先端形状、突出長及
び口径)、配置位置及び注入ガス圧力等を変化させるこ
とにより、盲空洞の形状を球、楕円球、断面形状が概四
角あるいは六角の角柱状、茄子形及び裸電球形等とする
ことができ、これにより、成形体に適した剛性及び軽量
を満足させるのに最適な盲空洞を有する成形体を形成で
きる。
【0033】なお、上述の製造方法においては、原料と
して溶融樹脂を用い、流動状態を保持する時期が重要と
なるため、キャビティ4内を加熱・冷却可能な装置を付
加し、樹脂の流動性を調整し易くしてもよい。また、本
発明の製造方法は、樹脂を注入して成形するものである
が、上述した成形装置の構造に対応できる注入方法であ
れば適用することができ、例えば、射出成形法や加熱圧
縮成形法などを用いることができる。
【0034】また、原料樹脂として使用可能なものとし
ては、加熱成形時に流動性を帯びている樹脂であればよ
く、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でも使用できる。熱
硬化性樹脂の場合は、触媒種、触媒量及び加熱温度等を
選定することにより、硬化性を調整することができる。
一方、熱可塑性樹脂は、空洞の形成時間の設定が容易で
あるため特に好適であり、例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のオレフィン系樹脂、アクリルニトリル等
のアクリル系樹脂、ABS、ポリスチレン系樹脂、ポリ
アミド樹脂、ポリカーボネート、PBT、PET等の飽
和ポリエステル樹脂、ポリアセタール、ポリエーテルス
ルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキシド、
ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、芳
香族ポリエステル、フッ素系樹脂、ビニル樹脂及びこれ
らを一構成成分とするアロイも使用できる。これらの樹
脂には、タルク、ガラスビーズ、酸化珪素、着色顔料、
金属粉末、炭酸カルシウム、ガラス繊維、ポリアミド繊
維、炭素繊維、光安定剤や酸化防止等の充填材、繊維強
化材及び各種添加剤を配合することができる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【0036】[1]樹脂成形体の調製 原料樹脂としては、ポリスチレン樹脂(住友化学製、M
192)を使用し、図12に示すような射出成形機を用
い、金型温度40〜60℃、型絞め圧力110t、樹脂
温度200℃で成形した。金型は、可動金型と固定金型
から構成されたキャビティを有し、加圧ガス注入ノズル
は固定金型に配置されている。キャビティ容積は、10
0×100×1〜15mm(t)に可変できる金型を使
用し、加圧ガス注入ノズルは、外径3mm、8mm、1
5mm及び25mmのノズル4種を使用し、各々9本を
等間隔で格子状に配置した。ノズル位置はキャビティ面
の金型面よりも1mm後退した位置に配置している。樹
脂充填時のキャビティ容積は100×100×1又は3
mm(t)である。樹脂注入後、金型キャビティを拡大
させ、エアを圧力0.05〜20MPaで注入し、加圧
ガス圧力、加圧ガス注入開始時間を変え、成形体表面に
開口部を有し、各種の空洞を持つ100×100×3及
び9(t)mmの成形体を調整した。
【0037】[2]性能評価 (1)3点支持による曲げ剛性 実施例及び比較例の各シートから100×100×3
(t)mm又は9(t)mmの試験片を切り出し、3点
支持間距離を65mmとして測定した。 (2)空洞容積率 次式により算出した。 空洞容積率=(V−W/d)/V… (Vは、供試品の容積、Wは、供試品の重量、dは、供
試品の密度を示す) (3)ソリ 90℃のオーブンで4時間耐久後における成形体のソリ
を目視観察し、ソリの有無を判断した。 (4)ヒケ 成形体の外観を目視観察し、ヒケの有無を判断した。以
下の各例において、操作を詳しく説明する。
【0038】(実施例1)外径8mmの加圧ガス注入ノ
ズルを使用し、金型温度40℃、キャビティ厚さ3mm
(t)の金型に充填し、9mm(t)に拡大後、加圧ガ
ス圧力5MPa、樹脂充填後5秒後に加圧ガスを注入
し、本例の成形体シートを得た。得られた成形体シート
を図1に示し、評価結果を表1に示した。
【0039】(実施例2)加圧ガス注入ノズルの外径を
25mm、金型温度を50℃とした以外は、実施例1と
同様の操作を行い、本例の成形体シートを得た。得られ
た成形体シートを図2に示し、評価結果を表1に示し
た。
【0040】(実施例3)加圧ガス注入ノズルの外径を
3mm、加圧ガス注入開始時期を8秒後とした以外は、
実施例1と同様の操作を行い、本例の成形体シートを得
た。得られた成形体シートを図3に示し、評価結果を表
1に示した。
【0041】(実施例4)樹脂充填時のキャビティ厚さ
を1mm(t)、拡大後のキャビティ厚さを9mm
(t)、金型温度を60℃、加圧ガス注入ノズルの外径
を15mm、加圧ガス注入開始時期を3秒後とした以外
は、実施例1と同様の操作を行い、本例の成形体シート
を得た。得られた成形体シートを図4に示し、評価結果
を表1に示した。
【0042】(実施例5)加圧ガス注入ノズルの外径を
3mm、加圧ガス圧力を0.1MPa、加圧ガス注入開
始時期を8秒後とした以外は、実施例1と同様の操作を
行い、本例の成形体シートを得た。得られた成形体シー
トを図5に示し、評価結果を表1に示した。
【0043】(実施例6)加圧ガス注入ノズルの外径を
8mm、加圧ガス圧力を0.1MPa、加圧ガス注入開
始時期を8秒後とした以外は、実施例1と同様の操作を
行い、本例の成形体シートを得た。得られた成形体シー
トを図6に示し、評価結果を表1に示した。
【0044】(比較例1)加圧ガスの注入を停止した以
外は、実施例1と同様の操作を行い、本例の成形体シー
トを得た。得られた成形体シートを図7に示し、評価結
果を表2に示した。
【0045】(比較例2)金型温度を60℃、加圧ガス
圧力を10MPa、加圧ガス注入ノズルの外径を25m
m、加圧ガス注入開始時期を2秒後とした以外は、実施
例1と同様の操作を行い、本例の成形体シートを得た。
得られた成形体シートを図8に示し、評価結果を表2に
示した。
【0046】(比較例3)加圧ガス圧力を0.2MP
a、加圧ガス注入ノズルの外径を3mm、加圧ガス注入
開始時期を9秒後とした以外は、実施例1と同様の操作
を行い、本例の成形体シートを得た。得られた成形体シ
ートを図9に示し、評価結果を表2に示した。
【0047】(比較例4)樹脂充填時のキャビティ厚さ
を1mm(t)、拡大後のキャビティ厚さを9mm
(t)、金型温度60℃、加圧ガス圧力を5MPa、加
圧ガス注入ノズルを外径15mm、加圧ガス注入開始時
期を3秒後とした以外は、実施例1と同様の操作を行
い、本例の成形体シートを得た。得られた成形体シート
を図10に示し、評価結果を表2に示した。
【0048】(比較例5)加圧ガス注入ノズルを外径3
mm、加圧ガス圧力を0.02MPa、加圧ガス注入開
始時期を8秒後とした以外は、実施例1と同様の操作を
行い、本例の成形体シートを得た。得られた成形体シー
トを図11に示し、評価結果を表2に示した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】以上、本発明を好適実施例により詳細に説
明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
なく、本発明の開示の範囲内において種々の変形が可能
である。例えば、成形装置の構成を変更することによ
り、成形体シートの裏面に開口部を設けることが可能で
あり、更には、シート表面と裏面の双方に開口部を設け
ることも可能である。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
内容積を変化させ得るキャビティを備える金型を用い、
樹脂とガスとを別個独立にキャビティに注入可能とする
ことなどとしたため、空洞の配置、容積占有率及び開口
部面積率などを随意に調整でき、軽量化や剛性の制御が
可能であり、しかもヒケやソリが無く良好な外観を有す
るシート状孔質樹脂成形体を提供することができる。即
ち、本発明の樹脂成形体は、1ショットでハニカム構造
を有する樹脂板として製造され得る。また、空洞を随意
に存在させることができるので、軽量化を図れるだけで
なく、樹脂成形体内部に所望のリブを設置することがで
き、剛性の制御も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシート状樹脂成形体の一実施例を示す
平面及び断面図である。
【図2】本発明のシート状樹脂成形体の他の実施例を示
す平面及び断面図である。
【図3】本発明のシート状樹脂成形体の他の実施例を示
す平面及び断面図である。
【図4】本発明のシート状樹脂成形体の他の実施例を示
す平面及び断面図である。
【図5】本発明のシート状樹脂成形体の他の実施例を示
す平面及び断面図である。
【図6】本発明のシート状樹脂成形体の他の実施例を示
す平面及び断面図である。
【図7】比較例のシート状樹脂成形体を示す平面及び断
面図である。
【図8】比較例のシート状樹脂成形体を示す平面及び断
面図である。
【図9】比較例のシート状樹脂成形体を示す平面及び断
面図である。
【図10】比較例のシート状樹脂成形体を示す平面及び
断面図である。
【図11】比較例のシート状樹脂成形体を示す平面及び
断面図である。
【図12】本発明のシート状孔質樹脂成形体の成形装置
の一例を示し、キャビティ拡大前の状態を示す断面図で
ある。
【図13】図12に示した装置のキャビティ拡大後の状
態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 固定金型 2 可動金型 3 ガス室 4 キャビティ 5 加圧ガス注入用ノズル 6 樹脂注入口 7 加圧ガスボンベ 8 圧力調整バルブ 9 制御弁 10 加熱装置 11 空洞 12 成形体 20 注入部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上杉 憲治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 (72)発明者 鈴木 正明 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に独立した複数個の盲空洞を有し、
    これら盲空洞の開口部が表面及び/又は裏面に設けられ
    ていることを特徴とするシート状孔質樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 上記盲空洞の総容積が、当該シート状樹
    脂成形体の容積の1〜95%を占有することを特徴とす
    る請求項1記載のシート状孔質樹脂成形体。
  3. 【請求項3】 上記盲空洞の開口部の総面積が、当該表
    面及び/又は裏面の面積の1〜70%を占有することを
    特徴とする請求項1又は2記載のシート状孔質樹脂成形
    体。
  4. 【請求項4】 上記盲空洞の深さと当該シート状樹脂成
    形体の厚さとの寸法差が1mm以上であることを特徴と
    する請求項1〜3のいずれか1つの項に記載のシート状
    孔質樹脂成形体。
  5. 【請求項5】 上記盲空洞の開口部が設けられている表
    面及び/又は裏面において、隣接する開口部間の距離を
    任意に設定できることを特徴とする請求項1〜4のいず
    れか1つの項に記載のシート状孔質樹脂成形体。
  6. 【請求項6】 上記表面及び/又は裏面に、少なくとも
    1層の樹脂層を積層して成ることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれか1つの項に記載のシート状孔質樹脂成形
    体。
  7. 【請求項7】 上記樹脂層の少なくとも1層が、塗装塗
    膜であることを特徴とする請求項6記載のシート状孔質
    樹脂成形体。
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