JP2001069706A - 回転電機の固定子 - Google Patents
回転電機の固定子Info
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Abstract
子巻線の端部を応力集中による破壊から保護すること。 【解決手段】 スロットを有しない円筒状の固定子鉄心
17と、その内部に収容される円筒状の固定子巻線15
との間に放熱シート19aを挿入した。放熱シート19
aは、ガラスクロスあるいはポリエステルメッシュクロ
ス等により補強され、押圧により変形可能な可撓性を有
するゴム系材料からなり、かつ、良熱伝導性の充填剤を
含有してなる絶縁放熱シートであることが好ましく、更
に好ましくは、窒化ボロン粉末を含有するシリコンゴム
シートを用いる。さらに、固定子鉄心17の端部と固定
子巻線15の端部との間に、放熱シート19aに重ねて
更に樹脂製の保護シート19bを挿入する。
Description
い円筒状の固定子鉄心内に円筒状の固定子巻線が収容さ
れてなる回転電機の固定子に係わり、特に、固定子の放
熱性向上に有効な技術、及び固定子巻線の端部を応力集
中による破壊から保護するのに有効な技術に関する。
技術として、特開昭53−54705号に開示された回
転電機の固定子が知られている。この固定子は、ケーシ
ング(ヨーク)と固定子巻線(コイル)との間に熱伝導
部材が挿入された構成を有しており、固定子鉄心と固定
子巻線間だけでなく、ケーシングと固定子巻線間をも完
全に密着させることにより、放熱性を大幅に向上させる
ものである。
定子はいわゆるスロット(溝部)を有する固定子であ
り、ケーシングと固定子巻線との間に熱伝導部材が挿入
されてはいるものの、固定子巻線と固定子鉄心との間に
は熱伝導部材が挿入されていないことから、固定子の周
方向に沿って温度分布がバラつく構成となっている。従
って、作動時に熱歪みが生じると、熱伝導部材を介して
密着状態にあるケーシングと固定子巻線とが分離し、放
熱性の低下を来すおそれがある。
て、スロットを有しない円筒状の固定子鉄心内に円筒状
の固定子巻線が収容されてなる場合には、固定子鉄心と
固定子巻線間の絶縁を確保する為、絶縁紙(例えば、デ
ュポン社製のノーメックスシート等)を固定子鉄心と固
定子巻線間に挿入することがある。ところが、このよう
な絶縁紙は、絶縁性は十分なものの、熱伝導性及び可撓
性が不足しており、固定子鉄心及び固定子巻線との密着
性を確保することが出来ない為、界面に空気層を挟んで
しまう事となり、放熱を阻害する要因となっていた。ま
た、スロットレス固定子は、一般に、スロットを有しな
い固定子鉄心に固定子巻線を内挿した後、固定子巻線に
マンドレルを内挿し、これらを一体にしたままの状態で
樹脂を含浸硬化させることにより成形される。ところ
が、加熱硬化時にマンドレルが熱膨張すると、固定子巻
線の端部が固定子鉄心のエッジ部(外周面と端面との交
差稜線部)に押し付けられ、エッジ部に押圧された部分
に応力が集中するため、固定子巻線が破壊されて絶縁層
がなくなり、ショートする場合がある。
たもので、その目的とするところは、固定子の放熱性を
向上させること、及び固定子巻線の端部を応力集中によ
る破壊から保護することにある。
め、本発明は以下の手段を採用した。すなわち、本発明
に係る回転電機の固定子は、スロットを有しない円筒状
の固定子鉄心と、前記固定子鉄心の内部に収容される円
筒状の固定子巻線と、前記固定子鉄心と前記固定子巻線
との間に挿入される放熱シートと、を備えることを特徴
としている。
鉄心と固定子巻線との間に、放熱シートを挿入している
から、作動時における固定子周方向に沿う温度分布のバ
ラつきが抑制され、固定子鉄心と固定子巻線との密着状
態がより確実に保持されると共に、固定子巻線で発生し
た熱が放熱シートを介して効果的に伝達され、放熱性が
向上する。
性の充填剤を含有している場合には、強度や絶縁性の低
下を来すことなく、放熱性を向上させることが可能とな
る。また、以上の構成において、放熱シートが押圧によ
り変形可能な可撓性を有するゴム系材料からなる場合に
は、その一方の面を固定子巻線の凹凸に倣って密着させ
ると共に、他方の面を固定子鉄心に密着させることがで
きるから、絶縁性を確保しつつ、放熱性が更に向上させ
ることが可能となる。
マトリックス樹脂と熱伝導性充填剤を配合する事により
得られるものであり、具体的にいえば、上記マトリック
ス樹脂としては、天然ゴム、あるいは、ブタジエンゴ
ム,ニトロルゴム,ブチルゴム,シリコンゴム,フッ素
ゴム,アクリルゴム等の合成ゴム等を用いる事が出来
る。また、上記熱伝導性充填剤としては、窒化ボロン,
窒化アルミニウム,アルミナ等を用いる事が出来る。特
に、放熱シートにシリコンゴムシートを用いた場合に
は、その弾性変形により、一方の面は固定子巻線の凹凸
に倣って密着し、他方の面は固定子鉄心に密着するか
ら、放熱性がより一層向上することとなる。さらに、固
定子巻線が熱を発生し、高温になっても、耐熱性に優れ
る点、及びハロゲン等を含まない為、有毒ガスが発生し
ない等の点からもシリコンゴムシートは好適である。ま
た、熱伝導性充填剤としては、高熱伝導率を有し、か
つ、電気絶縁性,化学的安定性,充填性に優れる窒化ボ
ロンが、電気絶縁用途,放熱充填剤としても広く用いら
れており、好適である。そのような構成をとるシリコン
放熱シートは、トランジスタ放熱用途等で市販されてお
り、例えば、信越化学製の放熱シリコンゴムシート(T
C−BGタイプ)、デンカ製の放熱シート(BFGタイ
プ)等の使用が可能である。
て、前記固定子鉄心の端部と前記固定子巻線の端部との
間に、さらに保護シートを挿入した場合には、固定子巻
線の端部が保護シートによって補強されるから、固定子
の部に応力集中が生じても、固定子巻線を破壊から有効
に保護することが可能となる。
施の形態について説明する。図1には、スロットレス固
定子1を備えた回転電機3が示されており、この回転電
機3は、例えば数kW〜数十kWとされ、数万回転以上
の回転数で使用される高速回転電気機械に用いて好適な
ものである。
形成されており、該ケーシング5の中心軸線上に回転子
7が軸受(図示略)を介して回転自在に配置されてい
る。ケーシング5には、油圧回路4の一部をなすオイル
通路6が形成されている。このオイル通路6には、供給
源8から潤滑オイルが供給され、この潤滑オイルにより
軸受の潤滑、及びスロットレス固定子1の冷却が同時に
行われる。このとき、スロットレス固定子1の冷却は、
図1の矢印で示すように、内周から外周の順に行われ
る。
磁石が組み込まれている。永久磁石は、回転子7の表面
において径方向に磁束を発生するp極(pは2以上の偶
数)の磁極を形成するように構成されている。この永久
磁石としては、Sm-Co,Nd-Fe-B焼結磁石等の希土
類磁石が好適である。
ナーチューブ(図示略)を介して、スロットレス固定子
1が配置されている。このインナーチューブは、スロッ
トレス固定子1の内周側を流通する潤滑オイル(図1中
の矢印)を遮蔽するものであり、例えば、ジルコニアセ
ラミックスからなる。
を固定するための溝部(スロット)が形成されていない
ものである。また、スロットレス固定子1は、回転子7
側に位置する固定子巻線15と、ケーシング5側に位置
する固定子鉄心17とから構成され、自然状態にて固定
子鉄心17の内径よりも大きな外径を有する固定子巻線
15が弾性的に縮径された状態で固定子鉄心17内に配
置されてなる。
ト)の形成されていない円筒面とされた中空円筒形状を
なし、その外周とケーシング5の内周との間に潤滑オイ
ル(図1中の矢印)を流通させるオイル通路6が形成さ
れるように、両端部においてケーシング5に固定されて
いる。また、固定子鉄心17は、図7に示すように、周
方向に等分割された2つの分割コア13を組み合わせて
なるが、リング状の電磁鋼板を板厚方向に多数枚積層す
ることにより構成してもよい。
よりも大きな外径を有する中空円筒形状とされており、
該固定子鉄心17の内周面が該固定子巻線15の外周面
と対向するように、絶縁層19を介して固定されてい
る。すなわち、固定子巻線15は、その径方向内方に圧
縮された状態で固定子鉄心17内に組み込まれ、法線方
向(径方向外方)に押し広がろうとする弾発力により固
定子鉄心17の内周に機械的に固定されている。
全長を覆うように配置された放熱シートと、固定子巻線
15の両端部においてのみ放熱シート上に重ねて全周を
覆うように配置された保護シートとからなる積層構造と
なっている。放熱シートは、ガラスクロスあるいはポリ
エステルメッシュクロス等により補強され、押圧により
変形可能な可撓性を有するゴム系材料からなり、かつ、
良熱伝導性の充填剤を含有している。
ルメッシュクロス等で補強されているため、引裂き強さ
に優れ、固定子鉄心17の内周面と固定子巻線15の外
周面間に挿入された状態で、固定子巻線15が法線方向
(径方向外方)に押し広がろうとする力を受けた場合に
おいても、破れ等を生じ、絶縁性を阻害するという不具
合を生じることがない。また、押圧により変形可能な可
撓性を有するゴム系材料からなる為、固定子鉄心17の
内周面と固定子巻線15の外周面に密着させる事が可能
となる。よって、密着性の確保と共に、良熱伝導性の充
填剤を含有している事によるゴム系材料等の熱伝導率向
上効果により、絶縁性を確保しつつ、放熱性を向上させ
る事が可能となる。
は、シリコンゴムに良熱伝導性の窒化ボロン粉末を分散
させたシリコンゴムシートが好適である。その理由は、
シリコンゴムシートは弾性を有するため、一方の面は固
定子巻線15の凹凸に倣って密着し、他方の面は固定子
鉄心17に密着するからである。保護シートは、機械的
特性に優れ、絶縁性,耐熱性,ワニス耐性を備える事が
必要であり、例えば、デュポン社製のノーメックスシー
トタイプ410等が好適である。
るスロットレス固定子1の製造方法の一実施の形態につ
いて説明する。なお、以下の実施の形態では、放熱シー
トとして熱伝導率が3.8W/m・kに設定されたシリ
コンゴムシート19aを用い、保護シートとしてノーメ
ックスシート19bを用いた場合について説明する。
a,23b,23cを複数組み合わせることにより、中
空円筒形状の固定子巻線15を成形する。コイルセグメ
ント23a,23b,23cは、導体からなる複数の細
線が束ねられた束線25を略菱形状に一周回巻回して一
ターンを形成し、前記ターンを前記菱形状の一の対角線
方向A1に隣り合うように順次ずらせて連続して複数タ
ーン巻回し配置することにより形成する(図2参照)。
そして、複数のコイルセグメント23a,23b,23
cを前記対角線方向A1に順次ずらせかつ重ね合わせて
帯状体27を形成した後、該帯状体27を中空円筒状に
巻くことにより、中空円筒状の固定子巻線15とする
(図3参照)。
8を混ぜたアルコール溶液16中に浸漬し、BN粒子1
8を固定子巻線15の表面から内部にまで充填させる
(図4参照)。その後、固定子巻線15をアルコール溶
液16中から引き上げて自然乾燥することにより、揮発
性のアルコールを蒸発させる。
ンゴムシート19aを全周かつ全長にわたって巻き付け
る(図5参照)。次に、シリコンゴムシート19aを巻
き付けた固定子巻線15の外周両端部に、ノーメックス
シート19bを重ねて巻き付ける(図6参照)。しかる
後、シリコンゴムシート19a及びノーメックスシート
19bが巻き付けられた固定子巻線15を固定子鉄心1
7内に組み付ける(図7参照)。
ア13を内周面が互いに向かい合うように、上下方向に
一定の隙間をおいて対向配置しておき、次に、棒状の治
具Mを用いて固定子巻線15を下側に配置された分割コ
ア13の内周面に載置し、該分割コア13と上側に配置
された分割コア13とを相対接近させて、分割コア13
を円筒状に組み立てて行う。
に圧縮された状態で固定子鉄心17内に組み込まれる。
このとき、固定子巻線15はバネとして機能し、固定子
鉄心17内で法線方向(径方向外方)に押し広がろうと
するため、その際の弾発力により固定子巻線15は固定
子鉄心17の内周に機械的に固定される。
自体弾性を有するから、前記弾発力がより強まって固定
子巻線15が固定子鉄心17内により安定して固定され
る。さらに、シリコンゴムシート19aは、その弾性変
形により、一方の面は固定子巻線15の外周凹凸に倣っ
て密着し、他方の面は固定子鉄心17の内周に密着する
から、作動時における放熱性は各段に向上することとな
る。
巻線15とを一体にしたままの状態でワニス含浸槽31
に浸漬する(図8参照)。その後、全体を図示しない真
空容器内に入れ、真空含浸を行う。このとき、固定子巻
線15の外周面及び固定子鉄心17の内周面は、シリコ
ンゴムシート19aと密着している為、ワニスはほとん
ど含浸されない。そして、ワニスを固定子巻線15内に
含浸した後、これら固定子鉄心17と固定子巻線15と
を一体にしたままの状態でワニス含浸槽31から引き上
げる。
樹脂製のマンドレル33を挿入し(図9参照)、これら
固定子鉄心17,固定子巻線15,及びマンドレル33
を一体にしたままの状態で全体を加熱することにより、
ワニスを加熱硬化させる(図10参照)。
して拡径するから、マンドレル33の外周は固定子巻線
15の内周に接触して該固定子巻線15を固定子鉄心1
7側にさらに押圧する。このとき、固定子巻線15の端
部と固定子鉄心17の端部との間には放熱シート19a
とノーメックスシート19bが二重に挿入されているか
ら、固定子巻線15の端部は補強され、外圧による破壊
から有効に保護される(図11参照)。
子巻線15の端部が固定子鉄心17のエッジ部に押圧さ
れて応力集中が生じたとしても、固定子巻線15が破壊
されて絶縁層19がなくなることによる固定子巻線15
のショートは回避される。そして、ワニス硬化後にマン
ドレル33を抜き去れば、スロットレス固定子1が完成
する(図12参照)。
保護シートとは別体であるが、一体であってもよく、か
かる場合には、放熱シートの端部を折り返して、この折
り返し部を保護シートとする。具体的に説明すると、固
定子巻線15の全長よりも幅広のシリコンゴムシート1
9aを固定子巻線15に巻き付け、該固定子巻線15の
両端からはみ出したシリコンゴムシート19aの余長部
をその内面が外面となるように折り返すことにより、シ
リコンゴムシート19aが固定子巻線15の両端部にお
いて二重に折り重なるように構成する。
子巻線15を、略菱形状をなす複数のコイルセグメント
23a,23b,23cを組み合わせることにより形成
しているが、他の方法により形成しても構わないことは
もとよりである。
によれば、以下の効果を奏する。 (a)請求項1の発明によれば、スロットを有しない固
定子鉄心と固定子巻線との間に放熱シートを挿入するこ
とにより、作動時における固定子周方向に沿う温度分布
のバラつきを抑制し、固定子鉄心と固定子巻線との密着
状態がより確実に保持されるようにしており、しかも、
固定子巻線で発生した熱が放熱シートを介して効果的に
伝達されるから、放熱性が各段に向上する。
トは、良熱伝導性の充填剤を含有しているため、強度や
絶縁性の低下を来すことなく、放熱性を向上させること
ができる。 (c)請求項3の発明によれば、放熱シートに、押圧に
より変形可能な可撓性を有するゴム系材料からなるシー
トを用いることにより、その一方の面を固定子巻線の凹
凸に倣って密着させると共に、他方の面を固定子鉄心に
密着させることができるから、絶縁性を確保しつつ、放
熱性を更に向上させることができる。 (d)請求項4の発明によれば、放熱シートにガラスク
ロスあるいはポリエステルメッシュクロス等の補強材に
より補強されたゴムシートを用いることにより、固定子
鉄心と固定子巻線を組み付ける時に、固定子巻線が法線
方向に押し広がろうとする力を生じても、破れ等を生
じ、絶縁性を阻害するという不具合を生じることがな
い。
心の端部と固定子巻線の端部との間に、さらに保護シー
トを挿入することにより、固定子巻線の端部を補強して
いるから、かかる端部に応力集中が生じても、固定子巻
線を破壊から有効に保護することができ、良好な絶縁性
を確保することができる。
転電機の縦断面図である。
ている状態を示す斜視図である。
筒状に巻いて形成した固定子巻線を示す斜視図である。
巻線を浸漬した状態を示す図である。
ている状態を示す斜視図である。
の外周両端部に更にノーメックスシートを巻き付けた状
態を示す斜視図である。
を組み込む状態を示す斜視図である。
の状態でワニス槽に浸漬した状態を示す図である。
ンドレルを挿入する状態を示す図である。
体にしたままの状態で、ワニスを加熱硬化している状態
を示す図である。
態を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 スロットを有しない円筒状の固定子鉄心
と、 前記固定子鉄心の内部に収容される円筒状の固定子巻線
と、 前記固定子鉄心と前記固定子巻線との間に挿入される放
熱シートと、を備えることを特徴とする回転電機の固定
子。 - 【請求項2】 前記放熱シートは、良熱伝導性の充填剤
を含有していることを特徴とする請求項1記載の回転電
機の固定子。 - 【請求項3】 前記放熱シートは、押圧により変形可能
な可撓性を有するゴム系材料からなることを特徴とする
請求項1又は請求項2記載の回転電機の固定子。 - 【請求項4】 前記放熱シートは、ガラスクロスあるい
はポリエステルメッシュクロス等の補強材により補強さ
れたゴムシートであることを特徴とする請求項1〜請求
項3のいずれかに記載の回転電機の固定子。 - 【請求項5】 前記固定子鉄心の端部と前記固定子巻線
の端部との間には、さらに保護シートが挿入されている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載
の回転電機の固定子。
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