JP2001067639A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2001067639A
JP2001067639A JP2000189963A JP2000189963A JP2001067639A JP 2001067639 A JP2001067639 A JP 2001067639A JP 2000189963 A JP2000189963 A JP 2000189963A JP 2000189963 A JP2000189963 A JP 2000189963A JP 2001067639 A JP2001067639 A JP 2001067639A
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magnetic
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JP2000189963A
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Yasushi Naoe
康司 直江
Kiyomi Ejiri
清美 江尻
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高密度磁気記録においても媒体ノイス゛の低減が可
能で、高いC/N比を示す磁気記録媒体を提供するこ
と。 【解決手段】 非磁性可撓性支持体上に、非磁性粉末と
結合剤とを含む非磁性層及び強磁性粉末と結合剤とを含
む磁性層をこの順に設けた磁気記録媒体において、前記
磁性層の平均厚みdが0.01〜0.3μmであり、該磁性層
の厚み方向に存在する強磁性粉末の平均個数mが1〜20の
範囲である磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度記録におい
て高い出力と良好なC/N比を示す、デジタル信号を高
密度で記録再生するに適した磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年高密度化と共に記録波長が短くなる
傾向にあり、磁性層が厚いと出力が低下する記録時の自
己減磁損失、再生時の厚み損失の問題が大きくなってい
る。このため、磁性層を薄くすることが行われている
が、2μm以下の磁性層を直接支持体に塗布すると磁性
層の表面に非磁性支持体の影響が表れやすくなり、電磁
変換特性やドロップアウトの悪化傾向が見られる。この
問題を解決する一つの手段に、特開昭63-191315号公
報、特開昭63-187418号公報に記されているように、支
持体上に同時重層塗布方式を用いて非磁性層と磁性層を
この順に設けることにより、濃度の高い磁性塗布液を薄
く塗布する方法がある。これらの発明により飛躍的に歩
留まりは改良され良好な電磁変換特性を得ることができ
るようになった。
【0003】民生用テ゛シ゛タルVCRシステムでは、金属薄膜を蒸
着したテーフ゜、いわゆるMEテーフ゜が実用化されている。しか
し、塗布型磁気記録テーフ゜、いわゆるMPテーフ゜で民生用テ゛シ゛
タルVCRシステムに対応したものを作製するには、テ゛ータ信号が
高出力で、トラッキンク゛信号出力を確保しつつ、オーバーラ
イト消去特性を改善する必要がある。本発明者らは、磁
性層を薄層化しつつ、磁性層の充填度を上げることで、
上記要求を満足する塗布型磁気記録テーフ゜を提案した(特
開平11-185240号参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】民生用テ゛シ゛タルVCRシステム
では、機器(アンフ゜)ノイス゛が高いため、機器ノイス゛と媒体ノイス゛
からなるトータルノイス゛は機器ノイス゛に支配されてしまう。その
ため、実用上、媒体ノイス゛は特に重要視されていなかっ
た。しかし、民生用テ゛シ゛タル VCRシステムの規格上は、媒体ノイ
ス゛をMEリファレンステーフ゜に対して、−2d B以内に入れる必要が
ある。又、最近、MRヘット゛を搭載したテ゛イスクシステムやテーフ゜システ
ムが開発されているが、これらのシステムで用いられる磁気
記録媒体として、媒体ノイス゛を低くする要求が高まってい
る。金属薄膜型の磁気記録媒体では、磁性層厚を薄層化
し、結晶粒を小さくすることで、単位体積当たりの磁性
粒子数を増やして、媒体ノイス゛を低減させている〔日本応
用磁気記録学会誌 VOL.22 Supplement NO.S3、1998の
『ヘリカルスキャンシステムにおけるMRヘット゛用薄層蒸着テーフ゜の検討』
(小野寺誠一ら)〕。一方、塗布型磁気記録媒体は、金属
薄膜型の磁気記録媒体と比べて媒体ノイス゛低減が不十分で
あり、再生ヘット゛としてMRヘット゛が搭載されるシステムで塗布型
磁気記録媒体を用いる場合、媒体ノイス゛の低減という観点
から以下の課題がある。 磁性層の充填度が金属薄膜型媒体に比べて低く、かつ
単位体積当たりの磁性粒子数が少ない。 磁性層や非磁性層塗布時に広い波長領域に渡る面粗れ
[特に、1〜20μmヒ゜ッチ粗さ]が発生する。 塗布による磁性層厚みの変動が発生する[特に、飽和
記録型システムで問題になる。] 磁性層中に非磁性物を添加するため磁性粒子の均一性
維持が難しい。
【0005】そこで、本発明の目的は、MRヘット゛を用いる
システムにおいて採用されているような高密度磁気記録にお
いても、媒体ノイス゛の低減が可能で、高いC/N比を示す
ことができる磁気記録媒体を提供することにある。発明
者らは上記課題に応えるべく前記の特開平11-185240号
に記載された磁気記録媒体をベースに、これを改良し
て、高出力であり、かつ充分に低ノイズである磁気記録
媒体を見いだし、本発明を完成した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性可撓性
支持体上に、非磁性粉末と結合剤とを含む非磁性層及び
強磁性粉末と結合剤とを含む磁性層をこの順に設けた磁
気記録媒体において、前記磁性層の平均厚みdが0.01〜
0.3μmであり、該磁性層の厚み方向に存在する強磁性
粉末の平均個数mが1〜20の範囲であることを特徴とする
磁気記録媒体に関する。本発明の磁気記録媒体におい
て、前記磁性層の強磁性粉末は針状であり、平均長軸長
lが0.02〜0.15μmであり、前記磁性層の平均厚みdと強
磁性粉末の平均長軸長lの比d/lが4以下であることが好
ましい。さらに本発明の磁気記録媒体では、磁性層に含
まれる強磁性粉末は偏平針状であり、かつこの偏平針状
強磁性粉末は長軸と直角方向の断面のアスペクト比が1
を超えることが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、磁性層
の平均厚みdが0.01〜0.3μmであり、かつ磁性層の厚
み方向に存在する強磁性粉末の平均個数mが1〜20の範囲
であることを特徴とする。
【0008】従来の磁気誘導型ヘット゛で記録再生した場
合、これほど磁性層を薄くすると磁化量が少なく再生出
力が低下する。しかし、MRヘット゛で再生した場合は感度が
充分に高いので、充分な出力が得られかつ、磁性層が薄
い利点である分解能が向上できる。即ち、磁性層の厚み
の平均値dを0.01μm以上とすることで、必要な磁気を
確保し、また0.3μm以下とすることで分解能が向上し、
MRヘッドでのC/N比を改善できる。特に、磁性層の厚み
の平均値dは、高感度なMRヘッドでの場合、飽和し易い
ため、分解能を確保する観点で、好ましくは0.01〜0.2
μmの範囲、さらに好ましくは0.01〜0.1μmの範囲であ
る。
【0009】さらに、本発明の磁気記録媒体において
は、磁性層の厚み方向に存在する強磁性粉末の平均個数
mが1〜20の範囲である。本発明者らの鋭意研究の結果、
磁性層厚み方向に存在する磁性粒子数によって、磁性層
充填度、つまりBmの依存性があることが判明した。より
具体的には、磁性層厚み方向に存在する磁性粒子数が20
個を超えるとBmの依存性は殆どなくなるが、20個以下に
なると磁性層厚み方向に存在する磁性粒子数が減るに従
い、Bmが向上することがわかった。又、磁性層の表面性
についても、Bmの挙動と同じように磁性層厚み方向に存
在する磁性粒子数が減ることで、良化することが判っ
た。磁性層の厚み方向に存在する強磁性粉末の平均個数
mは、好ましくは2〜10の範囲であり、より好ましく
は2〜6の範囲である。
【0010】磁性層断面の観察結果から、磁性体粒子の
長軸長をlとした時、磁性層平均厚みdが薄くなり、d/l
比が下がってくると針状磁性粒子の絡み合いが改善さ
れ、磁性粒子の磁性層厚み方向の配向変動が小さくなる
ことが分かった。これにより、磁性層の表面性が平滑に
なったり、磁性体粒子の充填性が改善されてBmが向上す
る。そのため、本発明の磁気記録媒体では、磁性層の強
磁性粉末は針状であり、平均長軸長lが0.02〜0.15μmで
あり、前記磁性層の平均厚みdと強磁性粉末の平均長軸
長lの比d/lが4以下であることが好ましい。針状強磁性
粉末の平均長軸長lは、好ましくは0.04〜0.12μmの範
囲であり、磁性層の平均厚みdと強磁性粉末の平均長軸
長lの比d/lは好ましくは2以下、0.06以上である。
この範囲とすることで、磁性層厚み方向における塗布時
の粒度配向やカレンタ゛フ゜ロセスでの粒度配向を向上されること
ができる。さらに、塗布時の粒度配向を高める際には、
塗布直後の磁性液膜hと偏平針状磁性粒子の長軸長lにつ
いて、h/l比が6以下になるように、 長軸長lや磁性液の
固形分濃度を調整することが更に好ましい。又、磁性塗
膜がある程度乾燥した段階で、磁性層表面に平滑な部材
でスムーシ゛ンク゛することで、更に粒度配向が向上する。又、
塗布速度を上げたりして、塗布液にセン断をかけるように
することでも粒度配向が向上する。塗布液については、
粘度のチキソトロヒ゜ー性を高めるとともに、液の渦流動を抑制
するように塗膜初期乾燥を弱めることで、塗布液中の粒
子配向性を向上させることができる。
【0011】磁性層厚み方向に存在する磁性粒子数が少
なくなっても、磁性層の空隙を確保するように設計する
ことでカレンタ゛フ゜ロセスでの磁性層の成形性は確保できる。
又、非磁性層を有し、カレンタ゛フ゜ロセスでの非磁性層の成形性
を確保することで、上/下層界面の乱れの低減や磁性層
表面の平滑化が可能である。
【0012】さらに本発明の磁気記録媒体では、磁性層
に含まれる強磁性粉末は偏平針状であり、かつこの偏平
針状強磁性粉末は長軸と直角方向の断面のアスペクト比
が1を超えることが好ましい。偏平針状強磁性粉末は、
磁性層塗布時に長幅がヘ゛ース面に平行になるように磁性体
が形成される傾向があり、そのため、磁性層厚み方向に
おける磁性体の配向性が向上し、磁性層の表面性やBmが
向上できるという利点がある。偏平針状強磁性粉末は、
長軸と直角方向に切断した短軸断面が長幅/短幅を有す
る楕円もしくは、多角形である粉末である。本発明で使
用できる偏平針状強磁性粉末としては、例えば、特開平
10-340805号公報に記載されたような偏平針状強磁性金
属粉末を挙げることができる。偏平針状磁性粒子の長幅
/短幅比は1を超え、好ましくは1.5以上、より好ましく
は2.0以上である。長幅/短幅比が大きくなるとそれがだ
け磁性層厚み方向における磁性体の配向性が向上すると
いう利点がある。偏平針状強磁性粉末は、例えば、特開
平10-340805号公報に記載されている方法で作製するこ
とができる。即ち、オキシ水酸化鉄を生成させる反応系
に水可溶性のAl塩とY等の希土類金属塩を添加してAlとY
等の希土類金属を固溶したCo含有オキシ水酸化鉄を作
り、 その際のCo/Al/Y等の希土類金属の含有量比を
調整することで、偏平状のオキシ水酸化鉄を作製するこ
とができる。そのオキシ水酸化鉄を還元、焼成、徐酸化
することで、偏平針状の強磁性金属粉末を作製すること
ができる。AlとY等の希土類金属を固溶したCo含有オキ
シ水酸化鉄において、Co含有量は5〜50at%、好ましくは
20〜35at%で、Al含有量が0.1〜12at%、好ましくは3〜8a
t%、かつY等の希土類金属の含有量を0.1〜12at%、好ま
しくは3〜8at%で、Al含有量とY等の希土類金属の含有
量の原子比が0.5〜2の範囲にあることが、長幅/短幅比
を効果的に上げると言う観点から好ましい。
【0013】偏平針状磁性粒子の断面における短幅長は
2〜20nmであり、好ましくは、5〜15nmである。短幅長が
小さくなると磁性層厚み方向に多くの磁性粒子を存在さ
せることが可能になる。又、厚み方向の粒子が重なった
際の段差が小さくなるため、磁性層表面性が平滑にな
る。但し、短幅長が小さすぎると、σsが確保出来なく
なる問題がある。そのため、民生用テ゛シ゛タルVCRシステムのよう
な高Brの薄層磁性層が要求される系では、短幅長は更に
10〜15nmにするが好ましい。短幅長が20nm以上になると
大きな磁性粒子になるため単位体積当たりの磁性粒子数
を増やすことができなくなるため、MRヘット゛搭載システムにお
ける、媒体ノイス゛を低減することが、難しくなる傾向があ
る。又、カレンタ゛フ゜ロセスにおける磁性層の成形において、そ
の効果が低減するため、磁性層厚みが薄く、かつ厚み変
動の少ない磁性層を有したり、平滑な面性や均一で高充
填度な磁性層を有することが難しくなる場合がある。
【0014】本発明の磁気記録媒体は、磁性層中の非磁
性物量、特に真比重の低い結合剤樹脂量を強磁性粉末10
0重量部に対して、5〜15重量部の範囲で用いることが好
ましい。上記範囲とすることで、塗膜形成時に適度な空
隙を作り、 磁性層厚み方向に存在する磁性粒子数が少
ない系におけるカレンタ゛フ゜ロセスでの成形性を確保することが
できる。結合剤樹脂量を多くなり過ぎると針状磁性粒子
の配向しやすさやカレンタ゛フ゜ロセスでの成形性が低下する傾向
がある。つまり、磁性液中の磁性粒子の分散性を確保で
きる範囲で、結合剤樹脂量を少なくすることが好まし
い。そのため、磁性液中で磁性粒子表面に吸着し、かつ
適度な硬さを有する長い分子鎖を形成する結合剤を使用
することが好ましい。これにより、磁性液中での磁性粒
子同志の間隔を広げて、結合剤量が少なくても、磁性粒
子の凝集性を抑制することができる。又、塗布乾燥にお
ける磁性粒子の凝集性も抑制できるため、より平滑な表
面性と磁性粒子の凝集乱れの少ない磁性層を形成するこ
とができる。つまり、媒体ノイス゛の低い磁気記録媒体を作
製することができる。該結合剤としては、極性基を有す
るホ゜リウレタン樹脂で、該ホ゜リウレタン樹脂が環状構造とエーテル基を
含むホ゜リウレタン、分岐脂肪族ホ゜リエステルホ゜リウレタン、タ゛イマシ゛オール構
造を有するホ゜リウレタンなどあることが更に好ましい。該ウレタ
ン樹脂は1種でも、混合でも良いが、磁性層の結合剤中の
該ウレタン樹脂の存在比率が50〜100wt%にするのが好まし
い。
【0015】さらに本発明の磁気記録媒体の製造方法に
おいて、カレンタ゛フ゜ロセスについては、以下の条件で処理する
ことが好ましい。最初のロールニッフ゜が、金属ロール同志による
構成であり、ニッフ゜線圧が300kg/cm以上、好ましくは400k
g/cm以上であり、処理速度が150m/分以下、好ましく
は、100m/分以下、更に好ましくは30m/分以下であるこ
とが適当である。温度は、70〜100℃の範囲であること
が適当であり、この範囲内で、上層磁性層や下層非磁性
層の結合剤のTgや結合剤種、量によって影響する上/下
層の成形しやすさを考慮して、随時設定することが好ま
しい。
【0016】本発明において磁性層は、一層に限られる
訳ではなく、二層以上でも構わない。尚、磁性層厚みの
各測定値の最大値は、dの1.0〜3倍程度の範囲にあ
ることが好ましい。また、同測定値の最小値はdの0.
4〜1倍程度の範囲にあることが好ましい。
【0017】以下、本発明の磁気記録媒体について更に
詳細に説明する。本発明に使用される強磁性金属粉末と
しては、特に限定されないが、FeまたはFeを主成分
とする合金が好ましい。これらの強磁性金属粉末には所
定の原子以外にAl、Mg、Si、S、Sc、Ca、T
i、V、Cr、Cu、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、S
n、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、
Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、P、Co、M
n、Zn、Ni、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわ
ない。特に、Al、Mg、Si、Ca、Y、Ba、L
a、Nd、Co、Ni、Bの少なくとも1つがFe以外
に含まれるものが好ましい。
【0018】これらの強磁性金属粉末にはあとで述べる
分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤などで分散前
にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具体的には、
特公昭44-14090号、特公昭45-18372号、特公昭47-22062
号、特公昭47-22513号、特公昭46-28466号、特公昭46-3
8755号、特公昭47-4286号、特公昭47-12422号、特公昭4
7-17284号、特公昭47-18509号、特公昭47-18573号、特
公昭39-10307号、特公昭48-39639号、米国特許3026215
号、同3031341号、同3100194号、同3242005号、同33890
14号、同5591535号などに記載されている。
【0019】強磁性金属粉末には少量の水酸化物、また
は酸化物を含んでもよい。強磁性金属粉末の公知の製造
方法により得られたものを用いることができ、下記の方
法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシュ
ウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸化
鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe
−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を熱
分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナト
リウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤
を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中で
蒸発させて微粉末を得る方法などである。このようにし
て得られた強磁性金属粉末は公知の徐酸化処理、すなわ
ち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤に
浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜を
形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素ガ
スと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形成
する方法のいずれを施したものでも用いることができ
る。
【0020】本発明の磁性層に使用される強磁性金属粉
末のBET法による比表面積は、好ましくは30〜50
2/gから選ばれる。これにより、良好な表面性と低
いノイズの両立が可能となる。
【0021】また強磁性金属粉末の形状については、針
状、特に偏平針状が好ましいが、粒状、米粒状、板状も
許容し得る。強磁性金属粉末の平均長軸長は、好ましく
は0.05〜0.15μm、更に好ましくは0.08〜
0.12μmである。該長軸長は、透過型電子顕微鏡写
真を撮影し、その写真から強磁性粉末の短軸長と長軸長
とを直接読みとる方法と画像解析装置カールツァイス社
製IBASSIで透過型電子顕微鏡写真トレースして読
みとる方法を適宜併用して求められる。強磁性金属粉末
の針状比は4以上18以下が好ましく、更に好ましくは
5以上12以下である。強磁性金属粉末の含水率は0.
01〜2%とするのが好ましい。結合剤の種類によって
強磁性金属粉末の含水率は最適化するのが好ましい。
【0022】強磁性金属粉末のpHは用いる結合剤との
組合せにより最適化することが好ましい。その範囲は4
〜12であるが、好ましくは7〜10である。強磁性金
属粉末は必要に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸
化物などを表面に存在させてもかまわない。その量は強
磁性金属粉末に対し0.1〜10重量%であり表面処理
を施すと脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2
以下になり好ましい。強磁性金属粉末には可溶性のN
a、Ca、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場
合があるが200ppm以下であれば特に特性に影響を
与える事は少ない。また、本発明に用いられる強磁性金
属粉末は空孔が少ないほうが好ましくその値は20容量
%以下、さらに好ましくは5容量%以下である。
【0023】次に本発明の好ましい態様で使用される非
磁性層の詳細な内容について説明する。本発明の非磁性
層に用いられる非磁性無機粉末は、例えば、金属酸化
物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化
物、金属硫化物、等の無機質化合物から選択することが
できる。無機質化合物としては例えばα化率90%以上
のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−ア
ルミナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−
酸化鉄、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、チタンカ
ーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化スズ、酸化マ
グネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコニウム、窒
化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウ
ム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単独または
組合せで使用される。特に好ましいのは二酸化チタン、
酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましい
のは二酸化チタン、α酸化鉄である。
【0024】これら非磁性無機粉末の粒子サイズは3μ
m以下が好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる
非磁性無機粉末を組み合わせたり、単独の非磁性無機粉
末でも粒径分布を広くして同様の効果をもたせることも
できる。とりわけ好ましいのは非磁性無機粉末の粒子サ
イズは0.01μm〜0.2μmである。特に非磁性無
機粉末が粒状金属酸化物である場合は、平均粒子径が
0.08μm以下が好ましく、針状金属酸化物である場
合は、長軸長が0.3μm以下が好ましく、0.2μm
以下が更に好ましい。尚、非磁性無機粉末の粒子サイズ
の測定は、前記強磁性金属粉末の場合と同様である。タ
ップ密度は0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜
1.5g/mlである。非磁性無機粉末の含水率は0.
1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%、更に好ま
しくは0.3〜1.5重量%である。非磁性無機粉末の
pHは2〜11であるが、pHは7〜10の間が特に好
ましい。非磁性無機粉末の比表面積は1〜100m2
g、好ましくは5〜70m2/g、更に好ましくは10
〜65m2/gである。非磁性無機粉末の結晶子サイズ
は0.004μm〜1μmが好ましく、0.04μm〜
0.1μmが更に好ましい。ジブチルフタレート(DB
P)を用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは1
0〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gで
ある。比重は1〜12、好ましくは3〜6である。形状
は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良い。
【0025】強熱減量は20重量%以下であることが好
ましく、本来ないことが最も好ましいと考えられる。本
発明に用いられる上記非磁性無機粉末のモース硬度は4以
上、10以下のものが好ましい。これらの粉体表面のラ
フネスファクターは0.8〜1.5が好ましく、更に好
ましいラフネスファクターは0.9〜1.2である。非
磁性無機粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は1〜20
μmol/m2、更に好ましくは2〜15μmol/m2である。
非磁性無機粉末の25℃での水への湿潤熱は2.0×10-5J
/cm2(200erg/cm2)〜6.0×10-5J/cm2 (600erg/cm2)の
範囲にあることが好ましい。また、この湿潤熱の範囲に
ある溶媒を使用することができる。100〜400℃で
の表面の水分子の量は1〜10個/100オンク゛ストロームが適当
である。水中での等電点のpHは3〜9の間にあること
が好ましい。
【0026】これらの非磁性無機粉末の表面には表面処
理によりAl2O3 、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3 、Zn
O を存在させることが好ましい。特に分散性に好ましい
のはAl2O3 、SiO2、TiO2、ZrO2であるが、更に好ましい
のはAl2O3 、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて
使用しても良いし、単独で用いることもできる。また、
目的に応じて共沈させた表面処理層を用いても良いし、
先ずアルミナを表層に存在させた後でシリカを存在させ
る方法、またはその逆の方法を採ることもできる。ま
た、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わな
いが、均質で密である方が一般には好ましい。
【0027】本発明の非磁性層に用いられる非磁性無機
粉末の具体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学
製HIT-100,ZA-G1、戸田工業社製DPN-250,DPN-250BX、DP
N-245,DPN-270BX、DPB-550BX、DPN-550RX 石原産業製酸
化チタンTTO-51B、TTO-55A,TTO-55B、TTO-55C、TTO-55S、T
TO-55D、SN-100,MJ-7 α−酸化鉄E270,E271,E300,チタン
工業製STT-4D、STT-30D、STT-30、STT-65C、テイカ製MT
-100S、MT-100T、MT-150W、MT-500BMT-600BMT-100F、MT-500
HD。堺化学製FINEX-25,BF-1,BF-10,BF-20,ST-M、同和鉱
業製DEFIC-Y,DEFIC-R、日本アエロジル製AS2BM,TiO2P25,
宇部興産製100A,500A、チタン工業製Y-LOP及びそれを焼
成したものが挙げられる。
【0028】特に好ましい非磁性無機粉末は二酸化チタ
ンとα−酸化鉄である。α−酸化鉄(ヘマタイト)は以
下のような諸条件の基で実施される。α−Fe23粉末
は、通常の第一鉄水溶液に等量以上の水酸化アルカリ
水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コロイドを含む懸
濁液をpH11以上にて80℃以下の温度で酸素を含有
ガスを通気して酸化反応を行う事により針状ゲータイト
粒子を生成させる方法、第一鉄塩水溶液と炭酸アルカ
リ水溶液とを反応させて得られるFeCO3を含む懸濁
液に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行う事により紡
錘状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法、第一
鉄水溶液に等量未満の水酸化アルカリ水溶液または炭酸
アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コロイ
ドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して酸化
反応を行う事により針状ゲータイト核粒子を生成させ、
次いで、該針状ケータイト該粒子を含む第一鉄塩水溶液
に、該第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し等量以上の水酸
化アルカリ水溶液を添加した後、酸素含有ガスを通気し
て前記針状ゲータイト核粒子を成長させる方法及び、
第一鉄水溶液に等量未満の水酸化アルカリ水溶液または
炭酸アルカリ水溶液を添加して得られる水酸化第一鉄コ
ロイドを含む第一鉄塩水溶液に酸素含有ガスを通気して
酸化反応を行う事により針状ゲータイト核粒子を生成さ
せ、次いで、酸性または中性領域で前記針状ゲータイト
核粒子を成長させる方法等により得られた針状ゲータイ
ト粒子を前駆体粒子とする。
【0029】尚、ゲータイト粒子の生成反応中に粒子粉
末の特性向上等の為に通常添加されている、Ni、Z
n、P、Si等の異種元素が添加されていても支障がな
い。前駆体粒子である針状ゲータイト粒子を200〜5
00℃の温度範囲で脱水するか、必要に応じて、更に3
50〜800℃の温度範囲で加熱処理により焼き鈍しを
して針状α−Fe23の粒子を得る。
【0030】尚、脱水または焼き鈍しされる針状ゲータ
イト粒子は表面にP、Si、B、Zr、Sb等を含有す
る化合物である焼結防止剤が付着していても支障はな
い。350〜800℃の温度範囲で加熱処理により焼き
鈍しをするのは、脱水されて得られた針状α−Fe23
粒子の粒子表面に生じている空孔を焼き鈍しにより、粒
子の極表面を溶融させて空孔をふさいで平滑な表面形態
とさせる事が好ましいからである。
【0031】また、前記脱水または焼き鈍しをして得ら
れた針状α−Fe23粒子は水溶液中に分散して懸濁液
とし、例えば、Al化合物を添加しpH調整をして前記
α−Fe23粒子の粒子表面に前記添加化合物を被覆し
た後、濾過、水洗、乾燥、粉砕、必要により更に脱気、
圧密処理等を施されてもよい。用いられるAl化合物は
酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウ
ム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩やアルミン酸
ソーダ等のアルミン酸アルカリ塩を使用することが出来
る。この場合のAl化合物添加量はα−Fe23粒子粉
末に対してAl換算で通常、0.01〜50重量%であ
る。また、Al化合物とともにSi化合物を始めとし
て、P、Ti、Mn、Ni、Zn、Zr、Sn、Sbか
ら選ばれる化合物の1種または2種以上を用いて被覆す
ることもできる。Al化合物とともに用いるこれらの化
合物の添加量はそれぞれα−Fe23粒子粉末に対して
通常、0.01〜50重量%の範囲である。
【0032】二酸化チタンの製法に関しては以下の通り
である。これらの酸化チタンの製法は主に硫酸法と塩素
法がある。硫酸法はイルミナイトの源鉱石を硫酸で蒸解
し、Ti,Feなどを硫酸塩として抽出する。硫酸鉄を
晶析分離して除き、残りの硫酸チタニル溶液を濾過精製
後、熱加水分解を行なって、含水酸化チタンを沈澱させ
る。これを濾過洗浄後、夾雑不純物を洗浄除去し、粒径
調節剤などを添加した後、800〜1000℃で焼成す
れば粗酸化チタンとなる。ルチル型とアナターゼ型は加
水分解の時に添加される核剤の種類によりわけられる。
この粗酸化チタンを粉砕、整粒、表面処理などを施して
作成する。塩素法は原鉱石は天然ルチルや合成ルチルが
用いられる。鉱石は高温還元状態で塩素化され、Tiは
TiCl 4 にFeはFeCl2となり、冷却により固体
となった酸化鉄は液体のTiCl4と分離される。得ら
れた粗TiCl4は精留により精製した後核生成剤を添
加し、1000℃以上の温度で酸素と瞬間的に反応さ
せ、粗酸化チタンを得る。この酸化分解工程で生成した
粗酸化チタンに顔料的性質を与えるための仕上げ方法は
硫酸法と同じである。
【0033】表面処理は上記酸化チタン素材を乾式粉砕
後、水と分散剤を加え、湿式粉砕、遠心分離により粗粒
分級が行なわれる。その後、微粒スラリーは表面処理槽
に移され、ここで金属水酸化物の表面被覆が行われる。
まず、所定量のAl,Si,Ti,Zr,Sb,Sn,
Znなどの塩類水溶液を加え、これを中和する酸、また
はアルカリを加えて、生成する含水酸化物で酸化チタン
粒子表面を被覆する。副生する水溶性塩類はデカンテー
ション、濾過、洗浄により除去し、最終的にスラリーp
Hを調節して濾過し、純水により洗浄する。洗浄済みケ
ーキはスプレードライヤーまたはバンドドライヤーで乾
燥される。最後にこの乾燥物はジェットミルで粉砕さ
れ、製品になる。また、水系ばかりでなく酸化チタン粉
体にAlCl3,SiCl4の蒸気を通じその後水蒸気を流入して
表面処理を施すことも可能である。その他の顔料の製法
についてはG.D.Parfitt and K.S.W. Sing”Characteriz
ation of Powder Surfaces”Academic Press,1976を参
考にすることができる。
【0034】非磁性層にカーボンブラックを混合させて
公知の効果であるRsを下げること、光透過率を小さく
することができるとともに、所望のマイクロビッカース
硬度を得る事ができる。
【0035】非磁性層のマイクロビッカース硬度は通
常、0.25〜0.59 GPa(25〜60kg/mm2)、好ましくは
0.29〜0.49 GPa(30〜50kg/mm2)であり、NEC製
薄膜硬度計HMA−400を用いて、 稜角80度、先
端半径0.1μmのダイヤモンド製三角錐針を圧子先端
に用いて、測定する。光透過率は一般に波長900nm
程度の赤外線の吸収が3%以下、たとえばVHSでは
0.8%以下であることが規格化されている。このため
にはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラ
ック、アセチレンブラック、等を用いることができる。
【0036】非磁性層に用いられるカーボンブラックの
比表面積は通常、100〜500m 2/ g、好ましくは
150〜400m2/g、DBP吸油量は通常、20〜
400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gであ
る。カーボンブラックの粒子径は通 常、5nm〜80n
m、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜4
0nmである。通常、カーボンブラックのpHは、2〜1
0、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1
g/ml、が好ましい。本発明に用いられるカーボンブラ
ックの具体的な例としてはキャボット社製、BLACK
PEARLS 2000、1300、1000、90
0、800,880,700、VULCANXC−7
2、三菱化学社製、#3050B,3150B,325
0B、#3750B、#3950B、#950、#65
0B,#970B、#850BMA−600、コロンビア
ンカーボン社製、CONDUCTEX SC、RAVE
N 8800,8000,7000,5750,5250,3500,2100,2000,1800,1
500,1255,1250、アクゾー 社製ケッチェンブラックECな
どがあげられる。カーボンブラックを分散剤などで表面
処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の
一部をグラファイト化したものを使用してもかまわな
い。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあら
かじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボ
ンブラックは上記非磁性無機粉末に対して50重量%を
越えない範囲、非磁性層総重量の40%を越えない範囲
で使用できる。これらのカーボンブラックは単独、また
は組合せで使用することができる。
【0037】非磁性層で使用できるカーボンブラックは
例えば「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会
編」を参考にすることができる。また非磁性層には有機
質粉末を目的に応じて、添加することもできる。例え
ば、アクリルスチレン系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、
メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔 料が挙げられるが、ポリ
オレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリ
アミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化
エチレン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭62
-18564号、特開昭60-255827号に記されているよ うなも
のが使用できる。
【0038】下塗層は一般の磁気記録媒体において設け
ることが行われているが、これは支持体と磁性層又は非
磁性層との接着力を向上させるために設けられるもので
あって、溶剤可溶性のポリエステルが使用される。厚さ
も0.5μm以下が一般的である。非磁性層の結合剤樹
脂、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は
磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤樹脂量、種
類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に
関する公知技術が適用できる。
【0039】磁性層及び非磁性層に使用し得る熱可塑性
樹脂としては、ガラス転移温度が−100〜150℃、
数平均分子量が1,000〜200,000、好ましく
は10,000〜100,000、重合度が約50〜
1,000程度のものである。このような例としては、
塩化ビニル、酢酸ビニル、ビニルアルコール、マレイン
酸、アクリル酸、アクリル酸エステル、塩化ビニリデ
ン、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸エ
ステル、スチレン、ブタジエン、エチレン、ビニルブチ
ラール、ビニルアセタール、ビニルエーテル、等を構成
単位として含む重合体または共重合体、ポリウレタン樹
脂、各種ゴム系樹脂がある。
【0040】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂とし
てはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシーポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリ
オールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物等があげられる。これらの
樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブ
ック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬
化型樹脂を非磁性層、または磁性層に使用することも可
能である。
【0041】これらの例とその製造方法については特開
昭62−256219号に詳細に記載されている。以上
の樹脂は単独または組合せて使用できるが、好ましいも
のとして塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル樹脂、
塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール樹脂、塩化ビニ
ル酢酸ビニル無水マレイン酸共重合体、の中から選ばれ
る少なくとも1種とポリウレタン樹脂の組合せ、または
これらにポリイソシアネートを組み合わせたものがあげ
られる。ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポリウ
レタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテルポリ
エステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタ
ン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポリ
カプロラクトンポリウレタン、ポリオレフィンポリウレ
タン、など公知のものが使用できる。特に、前記した環
状構造を有する短鎖ジオールとエーテル基を含む長鎖ジ
オールからなるポリウレタンが好ましい。ここに示した
すべての結合剤について、より優れた分散性と耐久性を
得るためには必要に応じ、−COOM、−SO3M、−
OSO3M、−P=O(OM)2、−O−P=O(OM)
2、(以上につきMは水素原子、またはアルカリ金属塩
基)、−OH、−NR2、−N+3 (Rは炭化水素
基)、エポキシ基、−SH、−CN、スルホベタイン、
ホスホベタイン、カルボキシベタインなどから選ばれる
少なくともひとつ以上の極性基を共重合または付加反応
で導入したものを用いることが好ましい。このような極
性基の量は10-1〜10-8モル/gであり、好ましくは1
-2〜10-6モル/gである。
【0042】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカーバイト社製 VAGH、V
YHH、VMCH、VAGF、VAGD,VROH,V
YES,VYNC,VMCC,XYHL,XYSG,P
KHH,PKHJ,PKHC,PKFE,日信化学工業
社製、MPR−TA、MPR−TA5,MPR−TA
L,MPR−TSN,MPR−TMF,MPR−TS、
MPR−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000
W、DX80,DX81,DX82,DX83、100
FD、日本ゼオン社製のMR−104、MR−105、
MR110、MR100、400X−110A、日本ポ
リウレタン社製ニッポランN2301、N2302、N
2304、大日本インキ社製パンデックスT−510
5、T−R3080、T−5201、バーノックD−4
00、D−210−80、クリスボン6109,720
9,東洋紡社製バイロンUR8200、UR8300、
RV530、RV280、大日精化社製、ダイフェラミ
ン4020、5020、5100、5300、902
0、9022、7020、三菱化成社製、MX500
4、三洋化成社製サンプレンSP−150、TIM−3
003、旭化成社製サランF310、F210などがあ
げられる。この中でMR−104、MR110、UR−
8200、UR8300、UR−8700、およびジオ
ールと有機ジイソシアネートを主原料とした反応生成物
であり、環状構造とエーテル基を持つポリウレタンが好
ましい。
【0043】本発明において、ポリウレタン樹脂を用い
る場合は,破断伸びが100〜2,000%、破断応力
は4.9×10-6〜9.8×10-4 GPa(0.05〜10kg/c
m2)、降伏点は4.9×10-6〜9.8×10-4 GPa (0.05〜
10kg/cm2)が好ましい。
【0044】本発明に用いるポリイソシアネートとして
は、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これ
らのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、ま
た、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソ
シアネート等が好ましい。これらのイソシアネート類の
市販されている商品名としては、日本ポリウレタン社
製、コロネートL、コロネートHL,コロネート203
0、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネ
ートMTL、武田薬品社製、タケネートD−102,タ
ケネートD−110N、タケネートD−200、タケネ
ートD−202、住友バイエル社製、デスモジュール
L,デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジ
ュールHL,等がありこれらを単独または硬化反応性の
差を利用して二つもしくはそれ以上の組合せで非磁性
層、磁性層とも用いることができる。これらポリイソシ
アネートは、磁性層の全結合剤樹脂に対し、通常、0〜
50重量%、好ましくは0〜30重量%用いられ、非磁
性層の全結合剤樹脂に対し通常、0〜40重量%、好ま
しくは0〜25重量%用いられる。
【0045】本発明の磁気記録媒体を二層以上から構成
した場合は、結合剤樹脂量、結合剤中に占める塩化ビニ
ル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート、あ
るいはそれ以外の樹脂の量、磁性層を形成する各樹脂の
分子量、極性基量、あるいは先に述べた樹脂の物理特性
などを必要に応じ非磁性層と磁性層とで変えることはも
ちろん可能であり、多層磁性層に関する公知技術を適用
できる。
【0046】本発明の磁性層に使用されるカーボンブラ
ックは非磁性層で例示したものを適用できる。カーボン
ブラックは磁性塗料に添加する前にあらかじめ結合剤で
分散してもかまわない。これらのカーボンブラックは単
独、または組合せで使用することができる。カーボンブ
ラックを使用する場合は強磁性金属粉末に対する量の
0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜3重量%、更
に好ましくは0.5〜1.5重量%でもちいることが好
ましい。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係
数低減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、こ
れらは用いるカーボンブラックにより異なる。従って本
発明に使用されるこれらのカーボンブラックは磁性層、
非磁性層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、
吸油量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに
目的に応じて使い分けることはもちろん可能である。本
発明の磁性層で使用できるカーボンブラックは例えば
「カーボンブラック便覧」カーボンブラック協会編を参
考にすることができる。
【0047】本発明に用いられる研磨剤としてはα化率
90%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダ
ム、人造ダイアモンド、窒化珪素、チタンカーバイト、
二酸化チタン、二酸化珪素、窒化ホウ素、など主として
モース6以上の公知の材料が単独または組合せで使用さ
れる。また、これらの研磨剤どうしの複合体(研磨剤を
他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。こ
れらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含ま
れる場合もあるが主成分が90%以上であれば効果にか
わりはない。これら研磨剤の粒子サイズは0.01〜2
μmが好ましいが、必要に応じて粒子サイズの異なる研
磨剤を組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広
くして同様の効果をもたせることもできる。タップ密度
は0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5%、pHは
2〜11、比表面積は1〜30m2/g、が好ましい。
【0048】本発明に用いられる研磨剤の形状は針状、
球状、サイコロ状、のいずれでも良いが、形状の一部に
角を有するものが研磨性が高く好ましい。本発明に用い
られる研磨剤の具体的な例としては、住友化学社製、A
KP−20,AKP−30,AKP−50、HIT−5
0、HIT−60A,HIT−70、HIT−80,H
IT−80G,HIT−100、日本化学工業社製、G
5,G7,S−1、戸田工業社製、TF−100,TF
−140などがあげられる。本発明に用いられる研磨剤
は非磁性層、磁性層で種類、量および組合せを変え、目
的に応じて使い分けることはもちろん可能である。これ
らの研磨剤はあらかじめ結合剤で分散処理したのち磁性
塗料中に添加してもかまわない。本発明の磁気記録媒体
の磁性層表面および磁性層端面に存在する研磨剤は5個
/100μm2以上が好ましい。
【0049】本発明に使用される、添加剤としては潤滑
効果、帯電防止効果、分散効果、可塑効果、などをもつ
ものが使用される。二硫化モリブデン、二硫化タングス
テングラファイト、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、シリコー
ンオイル、極性基をもつシリコーン、脂肪酸変性シリコ
ーン、フッ素含有シリコーン、フッ素含有アルコール、
フッ素含有エステル、ポリオレフィン、ポリグリコー
ル、アルキル燐酸エステルおよびそのアルカリ金属
塩、、アルキル硫酸エステルおよびそのアルカリ金属
塩、ポリフェニルエーテル、フッ素含有アルキル硫酸エ
ステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の
一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐して
いてもかまわない)、および、これらの金属塩(Li、
Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一
価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和
結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭
素数12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合を
含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数1
0〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、ま
た分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一
価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれ
か一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもか
まわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪
酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキ
シド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、
炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪
族アミン、などが使用できる。
【0050】これらの具体例としてはラウリン酸、ミリ
スチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ス
テアリン酸ブチル、オレイン酸、リノール酸、リノレン
酸、エライジン酸、ステアリン酸オクチル、ステアリン
酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オ
クチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソル
ビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステ
アレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、オ
レイルアルコール、ラウリルアルコール、があげられ
る。また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グ
リシドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド
付加体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステ
ルアミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導
体、複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等
のカチオン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、
燐酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基
を含むアニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホ
ン酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル
類、アルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用
できる。これらの界面活性剤については、「界面活性剤
便覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されてい
る。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%
純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応
物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわな
い。これらの不純分は30重量%以下が好ましく、さら
に好ましくは10重量%以下である。
【0051】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は非磁性層、磁性層でその種類、量を必要に応じ
使い分けることができる。例えば、非磁性層、磁性層で
融点のことなる脂肪酸を用い表面へのにじみ出しを制御
する、沸点や極性の異なるエステル類を用い表面へのに
じみ出しを制御する、界面活性剤量を調節することで塗
布の安定性を向上させる、潤滑剤の添加量を非磁性層で
多くして潤滑効果を向上させるなど考えられ、無論ここ
に示した例のみに限られるものではない。
【0052】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性塗料製造のどの工程で添加しても
かまわない、例えば、混練工程前に強磁性金属粉末と混
合する場合、強磁性金属粉末と結合剤と溶剤による混練
工程で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後
に添加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。
また、目的に応じて磁性塗布層を塗布した後、同時また
は逐次塗布で、添加剤の一部または全部を塗布すること
により目的が達成される場合がある。また、目的によっ
てはカレンダーした後、またはスリット終了後、磁性層
表面に潤滑剤を塗布することもできる。
【0053】本発明で使用されるこれら潤滑剤の商品例
としては、日本油脂社製、NAA−102,NAA−4
15,NAA−312,NAA−160,NAA−18
0,NAA−174,NAA−175,NAA−22
2,NAA−34,NAA−35,NAA−171,N
AA−122、NAA−142、NAA−160、NA
A−173K,ヒマシ硬化脂肪酸、NAA−42,NA
A−44、カチオンSA、カチオンMA、カチオンA
B,カチオンBB,ナイミーンL−201,ナイミーン
L−202,ナイミーンS−202,ノニオンE−20
8,ノニオンP−208,ノニオンS−207,ノニオ
ンK−204,ノニオンNS−202,ノニオンNS−
210,ノニオンHS−206,ノニオンL−2,ノニ
オンS−2,ノニオンS−4,ノニオンO−2、ノニオ
ンLP−20R,ノニオンPP−40R,ノニオンSP
−60R、ノニオンOP−80R、ノニオンOP−85
R,ノニオンLT−221,ノニオンST−221,ノ
ニオンOT−221,モノグリMB,ノニオンDS−6
0,アノンBF,アノンLG,ブチルステアレート、ブ
チルラウレート、エルカ酸、関東化学社製、オレイン
酸、竹本油脂社製、FAL−205、FAL−123、
新日本理化社製、エヌジェルブLO、エヌジェルブIP
M,サンソサイザ−E4030,、信越化学社製、TA
−3、KF−96、KF−96L、KF96H、KF4
10,KF420、KF965,KF54,KF50,
KF56,KF907,KF851,X−22−81
9,X−22−822,KF905,KF700,KF
393,KF−857,KF−860,KF−865,
X−22−980,KF−101,KF−102,KF
−103,X−22−3710,X−22−3715,
KF−910,KF−3935、ライオンアーマー社
製、アーマイドP、アーマイドC,アーモスリップC
P、ライオン油脂社製、デュオミンTDO、日清製油社
製、BA−41G、三洋化成社製、プロファン2012
E、ニューポールPE61、イオネットMS−400,
イオネットMO−200、イオネットDL−200、イ
オネットDS−300、イオネットDS−1000、イ
オネットDO−200などが挙げられる。
【0054】本発明で用いられる有機溶媒は任意の比率
でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホ
ロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロ
ヘキサノール、などのアルコール類、酢酸メチル、酢酸
ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチ
ル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチ
ルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサ
ン、などのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、などの芳
香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロラ
イド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒド
リン、ジクロルベンゼン、等の塩素化炭化水素類、N,
N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘ
キサン等のものが使用できる。これら有機溶媒は必ずし
も100%純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応
物、副反応物、分解物、酸化物、水分等の不純分が含ま
れてもかまわない。これらの不純分は30重量%以下が
好ましく、さらに好ましくは10重量%以下である。本
発明で用いる有機溶媒は磁性層と非磁性層でその種類は
同じであることが好ましい。その添加量は変えてもかま
わない。非磁性層に表面張力の高い溶媒(シクロヘキサ
ノン、ジオキサンなど)を用い塗布の安定性をあげる、
具体的には磁性層溶剤組成の算術平均値が非磁性層溶剤
組成の算術平均値を下回らないことが肝要である。分散
性を向上させるためにはある程度極性が強い方が好まし
く、溶剤組成の内、誘電率が15以上20以下の溶剤が
50重量%以上含まれることが好ましい。また、溶解パ
ラメータは8〜11であることが好ましい。
【0055】本発明の磁気記録媒体の厚み構成は支持体
が1〜100μmであるが、特に、1〜8μmの薄い支
持体を用いる場合に有効である。磁性層と非磁性層を合
わせた厚みは支持体の厚みの1/100〜2倍の範囲で
用いられる。また、支持体と非磁性層の間に密着性向上
のための接着層を設けることが好ましい。
【0056】接着層の厚みは0.01〜2μm、このま
しくは0.02〜0.5μmである。また、支持体の磁
性層側と反対側にバックコート層を設けてもかまわな
い。この厚みは0.1〜2μm、好ましくは0.3〜
1.0μmである。これらの接着層、バックコート層は
公知のものが使用できる。本発明に用いられる支持体
は、マイクロビッカース硬度が0.74 GPa(75kg/mm 2)以
上のものであり、二軸延伸を行ったポリエチレンナフタ
レート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、
芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾールなどの公
知のフィルムが使用できる。特に、東レ社製「アラミ
ド」又は旭化成製「アラミカ」として入手できる芳香族
ポリアミドもしくはポリエチレンナフタレートを用いた
支持体が好ましい。
【0057】これらの支持体にはあらかじめコロナ放電
処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処理、
などをおこなっても良い。本発明の目的を達成するに
は、支持体の磁性層を塗布する面の中心線平均表面粗さ
が10nm以下0.1nm以上、好ましくは6nm以下
0.2nm以上、さらに好ましくは4nm以下0.5n
m以上のものを使用することが好ましい。また、これら
の支持体は単に中心線平均表面粗さが小さいだけではな
く、1μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また
表面の粗さ形状は必要に応じて支持体に添加されるフィ
ラーの大きさと量により自由にコントロールされるもの
である。これらのフィラーとしては一例としてはAl,
Ca,Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩で結晶性、非晶
質を問わない他、アクリル系、メラミン系などの有機微
粉末があげられる。また、走行耐久性との両立を図るた
めには、バック層を塗布する面の粗さは磁性層を塗布す
る面の粗さより粗い事が好ましい。バック層塗布面の中
心線表面粗さは好ましくは1nm以上20nm以下、更
に好ましくは2nm以上8nm以下である。磁性層塗布
面とバック層塗布面との粗さを変える場合には、デュア
ル構成の支持体を用いても良いし、コーテイング層を設
ける事によって変えても構わない。
【0058】本発明に用いられる支持体のテープ走行方
向のF−5値は好ましくは0.098〜0.49 GPa(10〜50
kg/mm2)、テープ幅方向のF−5値は好ましくは0.098
〜0.29 GPa(10〜30kg/mm2)であり、テープの長手
方向のF−5値がテープ幅方向のF−5値より高いのが
一般的であるが、特に幅方向の強度を高くする必要があ
るときはその限りでない。また、支持体のテープ走行方
向および幅方向の100℃30分での熱収縮率は好まし
くは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、80℃
30分での熱収縮率は好ましくは1%以下、さらに好ま
しくは0.5%以下である。破断強度は両方向とも0.04
9〜0.98 GPa(5〜100kg/mm2)、弾性率は0.98〜19.6
GPa(100〜2,000kg/mm2)、が好ましい。ま
た、本発明での900nmでの光透過率は30%以下が好
ましく、更に好ましくは3%以下である。
【0059】本発明の磁気記録媒体の磁性塗料を製造す
る工程は、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれ
らの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からな
る。個々の工程はそれぞれ2段階以上にわかれていても
かまわない。本発明に使用する強磁性金属粉末、結合
剤、カーボンブラック、研磨剤、帯電防止剤、潤滑剤、
溶剤などすべての原料はどの工程の最初または途中で添
加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工
程で分割して添加してもかまわない。例えば、ポリウレ
タン樹脂を混練工程、分散工程、分散後の粘度調整のた
めの混合工程で分割して投入してもよい。本発明の目的
を達成するためには、従来の公知の製造技術を一部の工
程としてを用いることができることはもちろんである
が、混練工程では連続ニーダや加圧ニーダなど強い混練
力をもつものを使用することにより高いBrを得ること
ができるので好ましい。連続ニーダまたは加圧ニーダを
用いる場合は強磁性金属粉末と結合剤のすべてまたはそ
の一部(ただし全結合剤の30重量%以上が好ましい)
および強磁性金属粉末100部に対し15〜500部の
範囲で混練処理される。これらの混練処理の詳細につい
ては特開平1−166338号、特開昭64−7927
4号に記載されている。また、磁性層液、非磁性層液、
あるいは研磨剤分散液等を調製する場合には高比重の分
散メディアを用いることが望ましく、ジルコニアビーズ
が好適である。
【0060】本発明において重層構成の磁気記録媒体を
同時重層塗布する装置、方法の例として以下のような構
成を提案できる。 1,磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず非磁性層塗布層を塗布し、非磁性
層塗布層がウェット状態にのうちに特公平1-46186号や
特開昭60-238179号,特開平2-265672号に開示されてい
る支持体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層
磁性層を塗布する。
【0061】2,特開昭63-88080号、特開平2-17971号,
特開平2-265672号に開示されているような塗布液通液ス
リットを二つ内蔵する一つの塗布ヘッドにより上非磁性
層をほぼ同時に塗布する。 3,特開平2-174965号に開示されているバックアップロ
ール付きエクストルージョン塗布装置により上非磁性層
をほぼ同時に塗布する。
【0062】なお、磁性粒子の凝集による磁気記録媒体
の電磁変換特性等の低下を防止するため、特開昭62-951
74号や特開平1-236968号に開示されているような方法に
より塗布ヘッド内部の塗布液にせん断を付与することが
望ましい。さらに、塗布液の粘度については、特開平3-
8471号に開示されている数値範囲を満足することが好ま
しい。
【0063】本発明の磁気記録媒体を得るためには強力
な配向を行うことが好ましい。磁気テープの場合は長手
方向に配向されるが、100mT(1,000G)以上、好ま
しくは300mT(3,000G)以上のソレノイドと希土類
磁石を同極対向で200mT(2,000G)以上、好ましく
は400mT(4,000G)以上、さらに好ましくは600mT
(6,000G)以上の磁場を併用することが好ましく、
さらには乾燥後の配向性が最も高くなるように配向前に
予め適度の乾燥工程を設けることが好ましい。また、フ
ロッピー(登録商標)ディスクの場合は、ランダム配向
が施される。配向条件としては、磁気テープの場合と同
じようにテープ長手方向に配向したのち、例えば周波数
50Hzで磁場強度25mT(250ガウス)また周波
数50Hzで磁場強度12mT(120ガウス)の二つ
の磁場強度等の交流磁場発生装置の中を通過させて、ラ
ンダム配向される。
【0064】また、非磁性層、磁性層を同時重層塗布す
る以前にポリマーを主成分とする接着層を設けることや
コロナ放電、紫外線(UV)照射、電子線照射すること
により接着性を高める公知の手法を組み合わせることが
好ましい。さらに、カレンダ処理ロールとしてエポキ
シ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐
熱性のあるプラスチックロール、または金属ロールを使
用する。また、金属ロール同志、プラスチックロール同
志または金属ロールとプラスチックロールの対ロールで
処理することが出来る。処理温度は、好ましくは70〜
120℃、さらに好ましくは80〜100℃以上であ
る。線圧力は好ましくは200〜500kg/cm、さらに
好ましくは300〜400kg/cm以上である。
【0065】本発明の磁気記録媒体の磁性層面およびそ
の反対面のSUS420Jに対する摩擦係数は好ましく
は0.1〜0.5、さらに好ましくは0.2〜0.3で
ある。表面固有抵抗は好ましくは104〜1012オーム
/sq、磁性層の0.5%伸びでの弾性率は走行方向、
幅方向とも好ましくは0.98〜19.6 GPa(100〜2,0
00kg/mm2)、破断強度は好ましくは9.8×10-5〜2.9×
10-3 GPa(1〜30kg/cm2)、磁気記録媒体の弾性率は
走行方向、幅方向とも好ましくは0.98〜14.7 GPa(10
0〜1,500kg/mm2)、残留伸びは好まし くは0.
5%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は
好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、
もっとも好ましくは0.1%以下で、0%が理想であ
る。磁性層のガラス転移温度(110Hzで測定した動的粘弾
性測定の損失弾性率の極大点)は30℃以上150℃以
下が好ましく、非磁性層のそれは0℃〜100℃が好ま
しい。損失弾性率は1×103〜8×104N/cm2(1×1
8〜8×109dyne/cm2)の範囲にあることが好まし
く、損失正接は0.2以下であることが好ましい。
【0066】損失正接が大きすぎると粘着故障がでやす
い。磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは100m
g/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下であ
り、磁性層に含まれる残留溶媒が非磁性層に含まれる残
留溶媒より少ないほうが好ましい。空隙率は非磁性層、
磁性層とも好ましくは30容量%以下、さらに好ましく
は20容量%以下である。空隙率は高出力を果たすため
には小さい方が好ましいが、目的によってはある値を確
保した方が良い場合がある。例えば、繰り返し用途が重
視されるデータ記録用磁気記録媒体では空隙率が大きい
方が走行耐久性は好ましいことが多い。カレンダ成形性
向上の観点で、カレンダ前シートにおける非磁性層、磁
性層の空隙率は20容量%以上、好ましくは40容量%
以上である。
【0067】本発明の磁気記録媒体の磁性層の磁気特
性、即ち、Hc及びSFD、更にBm、Brは、特に断ら
ない限り、振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁場79
6kA/m(10kOe)で磁性層面内方向で測定した値を言
う。磁気テープの場合、テープ走行方向において、Hc
は前述した通りであり、角形比(SQ)は通常、0.8
5以上であり、好ましくは0.85〜0.95である。
テープ走行方向に直角な二つの方向の角型比、即ち、テ
ープ面に平行かつテープ走行方向に直交する方向とテー
プ面に垂直な方向の二つの各角形比は、走行方向の角型
比の80%以下となることが好ましい。長手方向のレマ
ネンス抗磁力Hrも143 kA/m(1800Oe)以上239 kA
/m(3000Oe)以下が好ましい。垂直方向のHc及び
Hrは80kA/m(1000Oe)以上398 kA/m(5000O
e)以下であることが好ましい。
【0068】磁性層の原子間力顕微鏡(AFM)による
評価で求めた2乗平均粗さRRMSは2nm〜15nmの
範囲にあることが好ましい。
【0069】本発明の磁気記録媒体は非磁性層と磁性層
を有することが好ましいが、目的に応じ非磁性層と磁性
層でこれらの物理特性を変えることができるのは容易に
推定されることである。例えば、磁性層の弾性率を高く
し走行耐久性を向上させると同時に非磁性層の弾性率を
磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの当りを良
くするなどである。また、支持体のテンシライズ方法を
変更して、ヘッド当たりを改良することが本発明におい
ても有効であり、テープ長手方向に対し、直角な方向に
テンシライズした支持体の方が、ヘッド当たりが良好に
なる場合が多い。
【0070】
【実施例】以下の記載の「部」は「重量部」を示し、%
は重量%を示す。 〔強磁性金属粉末〕磁気記録媒体の製造に使用した強磁
性金属粉末の特性、組成を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】〔ポリウレタン樹脂の調製〕 (ポリウレタン樹脂Aの合成)還流式冷却器、攪拌機を
具備し、予め窒素置換した容器に下記のジオールである
HBpA、下記のジオールであるBpA−PPO70
0、その他のジオールのPPG400およびDEISを
モル比でHBpA:BpA−PPO700:PPG40
0:DEIS=24:14:10:2としてシクロヘキ
サノンとジメチルアセトアミドを50:50の重量比で
含む混合溶媒に溶解し、窒素気流下で60℃で溶解し
た。触媒として、ジ−n−ジブチルスズジラウレートを
使用した原料の総量に対して60ppm加えた。
【0073】次に、MDI(4,4−ジフェニルメタン
ジジイソシアネート)をジオールの総和と等モル加え9
0℃にて6時間加熱反応し、エーテル基を4.0nmo
l/g含有し、かつ−SO3Na基が8×10-5モル/
g導入されたMw45000でMn25000のポリウ
レタン樹脂Aを得た。
【0074】尚、略号は、下記のものを示す。 HBpA:水素化ビスフェノールA(新日本理化製リカ
ビノールHB) BpA-PPO700:ビスフェノールAのポリプロピレンオキシ
ド付加物(分子量700) PCL400:ポリカプロラクトンポリオール(分子量40
0) PPG400:ポリプロピレングリコール(分子量400) DEIS:ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホイソフ
タレートのナトリウム塩 上記強磁性金属粉末及びポリウレタン樹脂Aを使用して
以下の磁性層液及び非磁性層液を調製した。
【0075】 塗布液処方 非磁性下層 非磁性粉体 α−Fe23 85部 カーボンブラック 15部 平均一次粒子径 16nm DBP吸油量 80ml/100g pH 8.0 BET法による比表面積 250m2/g 揮発分 1.5% 塩化ビニル共重合体 7部 日本ゼオン社製MR−110 ポリエステルポリウレタン樹脂A 5部 ブチルステアレート 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 120部 シクロヘキサノン 120部 フェニルホスホン酸(PPA) 3部 磁性層 強磁性金属粉末(表1参照) 100部 ポリエステルポリウレタン樹脂A 10部 α−アルミナ(粒子サイズ0.18μm) 5部 カーボンブラック(粒子サイズ0.10μm) 0.5部 ブチルステアレート 1.5部 ステアリン酸 0.5部 メチルエチルケトン 120部 シクロヘキサノン 120部 フェニルホスホン酸(PPA) 5部 〔磁気記録媒体の製造〕 実施例1〜5、比較例1〜2 磁性層液処方及び非磁性層液処方の各成分を混練分散し
たあと、非磁性層液処方の混合液にのみポリイソシアネ
ート硬化剤(日本ポリウレタン工業(株)製コロネート
L)を5部添加し、1μmの平均孔径を有するフィルタ
ーを用いて濾過し、各塗布液を調製した。得られた非磁
性層塗布液を乾燥後の厚さが1.4μmとなるように、
厚さ5.2μmで磁性層塗布面の中心線表面粗さが0.
001μmのポリエチレンナフタレート支持体の表面に
リバースロールを用いて塗布し、更にその直後に磁性層
塗布液をその上に乾燥後の厚さが表2記載のものとなる
ように同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にある
うちに600mT(6000G)の磁力をもつコバルト磁石と4
00mT(4000G)の磁力をもつソレノイドにより配向さ
せ乾燥後、厚み0.5μmのハ゛ック層を塗布した。その
後、金属ロールとエポキシ樹脂ロールから構成される7
段のカレンダで温度80℃、線圧350kg/cm、速度5
0m/minにて処理を行い、6.35mmの幅にスリット
し、DVCビデオ用テープを作成した。
【0076】以上のようにして得られた実施例および比
較例の磁気記録媒体の特性を下記の測定方法によって測
定し、その結果を表2に示す。 〔測定方法〕 磁性層の平均厚みd及びその標準偏差σ:磁性層の平均
厚みd及び磁性層の厚みの標準偏差σは、重層構成の場
合、以下の方法により測定した。磁性層単層の場合もそ
れに準じて測定した。磁気記録媒体を長手方向に渡って
ダイヤモンドカッターで約0.1μmの厚味に切り出
し、透過型電子顕微鏡で倍率10000倍〜10000
0倍、好ましくは20000倍〜50,000倍で観察
し、その写真撮影を行う。写真のプリントサイズはA4
〜A5である。その後、磁性層、非磁性層の強磁性金属
粉末や非磁性無機粉末の形状差に注目して界面を目視判
断して黒く渕どり、かつ磁性層表面も同様に黒く渕ど
る。その後、Zeiss社製画像処理装置IBAS2に
て渕どりした線の長さを測定する。試料写真の長さが2
1cmの場合、測定を85〜300回行う。その際の測
定値の平均値をdとし、以下の式から標準偏差σを求め
る。 σ=[{(d1-d)2+(d2-d)2+……+(dn-d)2}/(n-1)]1/2 d1、d2、……dn は各測定値を示す。nは85〜300
である。
【0077】磁性層厚み方向に存在する磁性粒子の平均
個数mは透過型電子顕微鏡で倍率50000〜100000倍で写
真撮影を行う。試料写真から任意の200点について磁
性層厚み方向に存在する磁性粒子の個数を求めて、それ
らの平均個数mを算出する。 磁気特性(Hc、SFD、SQ、Bm、φm):振動試料
型磁束計(東英工業社製)を用い、印加磁場Hm796kA/
m(10kOe)で測定した。上記の磁性層の平均厚みと
φmからBmを算出した。 ・SRa:光干渉式表面粗さ計であるデジタルオプチカ
ルプロフィラー(WYKO製HD−2000)を用い、
カットオフ0.25mmの条件で中心面平均粗さ(SR
a)を測定した。 ・3Dミロ−PSD:上記WYKO製HD−2000を
使用して表面粗さを測定した。PSD(Power Spectrum
Density)はサンプリング間隔と高さの2乗を掛け合わ
せて算出し、nm3単位で測定されたパワーを表す。5μm
及び10μmピッチの粗さ成分についてPSD値を算出した。 ・AFM:PSD-4.3μm: デジタルインスツルメンツ社ナノス
コープ3装置を使用し、稜角70度、SiN製の四角錐を探針
で、30μm平方角の表面粗さを測定する。表面粗さの周
波数分析により、パワースペクトルを作成する。PSD
(Power SpectrumDensity)はサンプリング間隔と高さ
の2乗を掛け合わせて算出し、nm2単位で測定されたパワ
ーを表す。4.3μmピッチの粗さ成分についてPSD値を算
出した。 ・AFM表面突起: 40nm↑:デジタルインスツル
メンツ社ナノスコープ3装置を使用し、稜角70度、S
iN製の四角錐を探針で、30μm平方角の表面粗さを
測定する。上述したAFM表面粗さ測定において、基準
面からの高さが40nm以上の表面突起高さを有する突
起個数をカウントした。 ・DVC 1/2Tb出力、トータルC/N比、媒体C/N比: 1/2TbC/
N比はドラムテスタを用いて測定する。使用ヘッドは記
録再生用にBs1.2T、ギャップ長0.22μmのMIGヘッドを使
用。記録再生時のヘッド/媒体相対速度は10.5m/secで、
21MHzの単一周波数を記録して、再生スペクトラムをシ
バソク製スペクトラムアナライザーで観測した。C/N比
は、21MHzのキャリア出力と18.7MHzのノイズの比とし
た。媒体C/N比は上記からアンプノイズを差し引いて算
出した。
【0078】
【表2】
【0079】実施例1は比較例1に対して、上層磁性層
厚み方向に存在する磁性粒子個数を上層厚を薄く塗るこ
とで、減じた例である。この変化に伴い、Bm及び磁性層
表面の10μmピッチの粗さ成分や表面突起高さが減
り、媒体C/N比が向上した。実施例2は実施例1より
更に上層磁性層を薄く塗ることで、上層磁性層厚み方向
に存在する磁性粒子個数を少なくした例である。実施例
1に比べてBmが更に向上し、磁性層表面が平滑になっ
た。表面の電磁変換特性の測定にMIGヘッドを使用し
ているため、上層磁性層厚みの低減に伴って、出力は低
下するが、媒体ノイズが面平滑化により低減し、媒体C
/N比の低下は少なかった。実施例3は実施例1に対し
て、上層磁性層を厚く塗ることで、上層磁性層厚み方向
に存在する磁性粒子数を増やした例である。実施例1に
比べてBm及び磁性層表面の平滑性が低下するが、比較例
1に比べてはBmが高く、かつ磁性層表面も平滑であっ
た。実施例4は強磁性粉末について、より偏平針状粒子
を用い上層磁性層厚み方向に存在する磁性粒子数をm=
7にした例である。実施例1に比べて、Bmが向上し、磁
性層表面も平滑になった。又、媒体C/N比も実施例1
に比べて向上した。実施例5は強磁性粉末に紡錘型針状
粒子を用い、上層磁性層厚み方向に存在する磁性粒子数
をm=5にした例である。偏平針状粒子を用いた上層磁
性層の厚みが近い値である実施例1,4に比べて、Bmが
低下し、磁性層表面性も低下した。比較例2は実施例3
に対して非磁性下層を省略した例である。非磁性下層の
省略に伴い、カレンダ成形性低下や上層磁性層中の研磨
剤、カーボン粒子及び凝集物の影響やベース表面突起の
影響が出て、磁性層Bmや磁性層表面性の著しい低下が発
生した。実施例1〜5は全て媒体C/N比測定におい
て、−5dB以上を満たすものであった。
【発明の効果】本発明によれば、MRヘット゛を用いるシステムに
おいて採用されているような高密度磁気記録において
も、媒体ノイス゛の低減が可能で、高いC/N比を示すこと
ができる磁気記録媒体を提供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性可撓性支持体上に、非磁性粉末と
    結合剤とを含む非磁性層及び強磁性粉末と結合剤とを含
    む磁性層をこの順に設けた磁気記録媒体において、前記
    磁性層の平均厚みdが0.01〜0.3μmであり、該磁性層
    の厚み方向に存在する強磁性粉末の平均個数mが1〜20の
    範囲であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記磁性層に含まれる強磁性粉末は針状
    であり、平均長軸長lが0.02〜0.15μmであり、前記磁性
    層の平均厚みdと強磁性粉末の平均長軸長lの比d/lが4以
    下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記磁性層に含まれる強磁性粉末は偏平
    針状であり、かつこの偏平針状強磁性粉末は長軸と直角
    方向の断面のアスペクト比が1を超えることを特徴とす
    る請求項1または2に記載の磁気記録媒体。
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