JP2001066479A - 光ファイバケーブル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ケーブル径の細径化が図れ、ケーブル中間部
から光ファイバテープ心線の取り出しが容易な光ケーブ
ルを提供する。 【解決手段】 光ファイバテープ心線２の積層体をケー
ブル心とする。繊維状緩衝体３が一体化されている押え
巻テープ４を光ファイバテープ心線２の積層体の外側か
ら押え巻きし、積層体を繊維状緩衝体３内に収容する。
押え巻テープ４の外側には外皮５を施す。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバテープ
心線の積層体を収容した光ファイバケーブルに関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】光ファイバテープ心線の積層体を収容し
て成る光ファイバケーブルは周知である。光ファイバテ
ープ心線の積層体をケーブル内に収容する手法として
は、その積層体をスロットロッド（合成樹脂製の棒状部
材）の外周面に形成した溝内に収容するもの、あるい
は、パイプ状中空部材の中に収容するもの、さらにはそ
のパイプ状中空部材に光ファイバテープ心線の積層体を
収容した後にその中空内にジェリー状の物質を充填する
ものがある。上記何れの手法においても、光ファイバテ
ープ心線積層体の収容部の外側は外皮（シース）によっ
て被覆されてケーブル化されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の光ケーブルの内、光ファイバテープ心線の積層体を
スロットロッドの表面側の溝内に収容したものは、スロ
ットロッドを使用するため、ケーブル外径の細径化を図
る上で支障となる上、コストが高くなるという問題があ
った。また、光ファイバテープ心線の積層体をパイプ状
中空部材内に収容するものは、ケーブルの中間部で光フ
ァイバテープ心線を取り出す場合に、パイプ状中空部材
やジェリー状物質を除去する作業を強いられ、作業性が
悪い上に、その除去作業時に光ファイバテープ心線を損
傷させてしまうという作業ミスが起こり易いという問題
があった。

【０００４】本発明は上記従来の課題を解決するために
成されたものであり、その目的は、光ケーブルの細径化
が可能で、コストも高くならず、ケーブル中間部で光フ
ァイバテープ心線を取り出す場合においても、その作業
性がよく、光ファイバテープ心線を損傷させる作業ミス
も起こり難い光ファイバケーブルを提供することにあ
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、次のような手段をもって課題を解決する
手段としている。すなわち、本発明は、光ファイバテー
プ心線の積層体の周りが繊維状緩衝体で覆われ、その繊
維状緩衝体を介して光ファイバテープ心線の積層体が押
え巻テープにより押え巻きされ、その押え巻テープの外
側は外皮により被覆されており、前記繊維状緩衝体は少
なくとも押え巻テープに接触する部位が押え巻テープに
接着されて押え巻テープと一体化されている構成をもっ
て、課題を解決する手段としている。

【０００６】本発明においては、スロットロッドや中空
部材を使用することなく、光ファイバテープ心線の積層
体をケーブル心としその外側を繊維状緩衝体と一体化さ
れた押え巻テープにより押え巻きされているので、ケー
ブルの細径化が図れ、コストも高く成ることがない。ま
た、ケーブルの中間部で光ファイバテープ心線を取り出
す場合には外皮を剥ぎ、外側から押え巻テープを切断す
ることによって、繊維状緩衝体も押え巻テープと一体的
に切断されるので、内部の光ファイバテープ心線を傷つ
けることなく、容易に繊維状緩衝体から分離して取り出
すことが可能となるものである。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を図面
に基づき説明する。図１は本発明に係る光ファイバケー
ブルの一実施形態例における断面構成を示す。同図にお
いて、光ケーブル１は光ファイバテープ心線２の積層体
（図では光ファイバテープ心線２の６枚の積層体）をケ
ーブル心として、その光ファイバテープ心線２の積層体
の周りが繊維状緩衝体３によって覆われ、この繊維状緩
衝体３を介して光ファイバテープ心線２の積層体は押え
巻テープ４によって押え巻きされている。そしてその押
え巻テープ４の外側に押し出し製造技術により外皮（シ
ース）５が施されて光ケーブル１が構成されている。

【０００８】光ファイバテープ心線２は図２に示すよう
に、複数（図では４本）の光ファイバ６を平行に配列し
た状態で、テープ被覆層９よって被覆したものである。
光ファイバ６はファイバ７の外面をファイバ被覆層８に
よって被覆したものであり、図２の例では、ファイバ被
覆層８は紫外線硬化プラスチックの塗布層によって形成
され、テープ被覆層９も紫外線硬化プラスチックの塗布
層によって形成されているが、これらファイバ被覆層８
およびテープ被覆層９の材料はこれに限定されず、適宜
の被覆材料が選択使用可能である。

【０００９】前記繊維状緩衝体３はポリプロピレンやナ
イロン等のプラスチックヤーンによって紐状に構成され
ているもので、図１の実施形態例ではポリプロピレンヤ
ーンの繊維を使用している。また、前記押え巻テープ４
は適宜の材料を選択使用可能であるが、本実施形態例で
はポリエステル繊維不織布を使用している。

【００１０】本実施形態例において特徴的なことは、繊
維状緩衝体３が押え巻テープ４と一体化されていること
である。この繊維状緩衝体３と押え巻テープ４の一体化
の手法は、予め押え巻テープ４の押え巻き面に繊維状緩
衝体３を接着して繊維状緩衝体付の押え巻テープ（緩衝
テープ）４として用意しておく場合と、光ケーブルの製
造工程中で繊維状緩衝体３と押え巻テープ４を一体化す
る場合がある。

【００１１】図３は繊維状緩衝体３と押え巻テープ４を
接着により一体化する一例を示しており、この例では、
押え巻テープ４の押え巻き面に３ー１〜３ー１５の１５
本の４０００デニールのポリプロピレンヤーンを繊維状
緩衝体として接着している。

【００１２】この図３に示す押え巻テープ４を用い、図
４に示すように繊維状緩衝体３側を内側にして光ファイ
バテープ心線２の積層体を押え巻きし、その押え巻きし
た押え巻テープ４の外周面に押し出し被覆技術により、
ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂の外皮
被覆が施されて光ケーブル１が製造されている。

【００１３】繊維状緩衝体３と押え巻テープ４を光ケー
ブルの製造工程中で一体化する場合は、例えば、押え巻
テープ４の押え巻き面と繊維状緩衝体３の一方又は両方
に外皮５の押し出し被覆の温度で溶融する樹脂等を溶融
接着層として塗布しておき、光ファイバテープ心線２の
積層体の周りに繊維状緩衝体３を配し、しかる後に繊維
状緩衝体３の外側から押え巻テープ４を押え巻きし、次
に、押え巻テープ４の外面に外皮５を押し出し被覆する
ときに、その押し出し被覆時の温度によって、前記溶融
接着層を溶融して繊維状緩衝体３と押え巻テープ４を一
体化する。

【００１４】なお、押え巻テープ４の押え巻きの仕方は
図４に示すような横巻きとする以外に、縦添え巻きとし
てもよいものである。また、光ファイバテープ心線２の
積層体の収容の仕方も、積層体を真直状にしてもよく、
あるいは多少長さ方向に緩みを持たせて収容してもよ
く、さらには図５に示すようにケーブル中心軸Ｃ回りに
捻回して収容してもよいものである。

【００１５】本実施形態例によれば、繊維状緩衝体３と
押え巻テープ４とが一体化されているので、光ケーブル
の中間部で光ファイバテープ心線２を取り出すときに
は、図６に示すように、外皮５を剥がし、押え巻テープ
４を切断することにより押え巻テープ４と一体化されて
いる繊維状緩衝体３も一緒に切断されることとなる。従
って、押え巻テープ４を切断して、押え巻テープ４を引
き剥がす方向に引張ることにより、繊維状緩衝体３も押
え巻テープ４とともに引き剥がし方向に移動して光ファ
イバテープ心線２と繊維状緩衝体３の分離が確実に行わ
れ、光ファイバテープ心線２を容易に取り出すことがで
きる。

【００１６】押え巻テープ４に繊維状緩衝体３を一体化
させていない状態の場合には、光ケーブルの中間部で光
ファイバテープ心線２を取り出すときに押え巻テープ４
を切断して押え巻テープ４を引き剥がす方向に引張って
も繊維状緩衝体３は押え巻テープ４とともに引き剥がし
方向に移動せず、光ファイバテープ心線２は繊維状緩衝
体３の中に埋もれた状態となり光ファイバテープ心線２
を容易に取り出せない。そのため、光ファイバテープ心
線２を取り出すために繊維状緩衝体３を切断すると、繊
維状緩衝体３に紛れている光ファイバテープ心線２も誤
って切断してしまうという不具合が生じ易くなる。この
点、本実施形態例では、前記のように繊維状緩衝体３と
押え巻テープ４が一体化されているので、光ファイバテ
ープ心線２の取り出しが用意となり、光ファイバテープ
心線２を誤って切断してしまう作業ミスを防止すること
ができる。

【００１７】なお、繊維状緩衝体３は全てが押え巻テー
プ４に接着一体化されていることは必ずしも必要でな
く、少なくとも押え巻テープ４の押え巻き面に接触して
いる部分が接着一体化していればよい。なぜならば、押
え巻テープ４を切断して引き剥がし方向に引張ることに
より、押え巻テープ４に接着していない繊維状緩衝体３
も押え巻テープ４に接着している繊維状緩衝体３との摩
擦力や絡まり結合によって、押え巻テープ４に接着して
いる繊維状緩衝体３とともに引き剥がし方向に移動して
光ファイバテープ心線２との分離が容易に行われるから
である。

【００１８】上記実施形態例においては、押え巻テープ
４によって、光ファイバテープ心線２の積層体を押え巻
きすることにより、繊維状緩衝体３は押え巻きの力によ
って、光ファイバテープ心線２の積層体に十分に食い込
む結果、外力に対する十分な光ファイバテープ心線２の
緩衝保護効果が図れることとなる。

【００１９】なお、本発明は上記実施形態例に限定され
ることなく、様々な実施の形態を取り得る。例えば、本
発明の光ケーブルを架空布設に適する構造とするために
は、図７に示すように外皮５に連結部１０を一体形成
し、この連結部１０内に鋼線等の支持線１１を埋設し、
この支持線１１を用いて光ケーブル１を吊り保持して架
空布設するようにする。

【００２０】また、本実施形態例の説明中には繊維状緩
衝体３の材質、繊度、本数、押え巻テープ４の材質、光
ファイバテープ心線２の心数、光ファイバテープ心線２
の積層枚数等を明記したが、これらは一例を示したもの
にすぎず、本発明はこれらの明記のものに限定されるも
のではない。

【００２１】

【発明の効果】本発明の光ケーブルは、光ファイバテー
プ心線の積層体をケーブル心とした構造であるので、従
来例の光ケーブルに用いたスロットロッドが省略され、
ケーブルの細径化を図ることができる上に、コストが高
くなるのを抑制できる。

【００２２】また、光ファイバテープ心線の積層体の周
りに配される繊維状緩衝体は押え巻テープにより押え巻
きされるので、繊維状緩衝体は光ファイバテープ心線の
積層体に充分食い込み状態となり、これにより、外力に
対する十分な光ファイバテープ心線の緩衝保護効果を図
ることができる。特に、繊維状緩衝体付の押え巻テープ
を用いて光ファイバテープ心線の積層体を押え巻きする
ことにより、押え巻きの力が直接繊維状緩衝体に作用す
るので、繊維状緩衝体の積層体への食い込みアップが十
分に図れ、積層体の各光ファイバテープ心線相互のずれ
移動を効果的に防止できる。

【００２３】さらに、繊維状緩衝体は押え巻テープに一
体化されているので、例えば、光ケーブルの中間部から
光ファイバテープ心線を取り出す場合には、光ファイバ
テープ心線が繊維状緩衝体内に埋まるように収容されて
いても、押え巻テープを切断して取り除くだけで、繊維
状緩衝体内に紛れることなく光ファイバテープ心線を繊
維状緩衝体から容易に分離して取り出すことが可能とな
る。

【００２４】さらに、前記押え巻きによる繊維状緩衝体
の積層体への食い込み効果と、前記ケーブル径の細径化
とが相俟って、光ケーブルの十分な可撓性が得られ、ケ
ーブルの曲げ径を小さくでき、光ケーブルの布設作業も
容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る光ケーブルの一実施形態例の断面
構成図である。

【図２】光ファイバテープ心線の説明図である。

【図３】繊維状緩衝体付き押え巻テープの構成説明図で
ある。

【図４】押え巻テープの押え巻き形態例を示す説明図で
ある。

【図５】光ファイバテープ心線の積層体を捻回して収容
した状態の説明図である。

【図６】光ケーブルの中間部から光ファイバテープ心線
を取り出す状況の説明図である。

【図７】架空布設に適した光ケーブルの実施形態例の構
成説明図である。

【符号の説明】

１ 光ケーブル ２ 光ファイバテープ心線 ３ 繊維状緩衝体 ４ 押え巻テープ ５ 外皮 ６ 光ファイバ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩倉 大輔 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古 河電気工業株式会社内 (72)発明者 岩田 秀行 東京都千代田区大手町二丁目３番１号 日 本電信電話株式会社内 Ｆターム(参考） 2H001 BB16 BB23 DD15 HH02 KK17

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 光ファイバテープ心線の積層体の周りが
   繊維状緩衝体で覆われ、その繊維状緩衝体を介して光フ
   ァイバテープ心線の積層体が押え巻テープにより押え巻
   きされ、その押え巻テープの外側は外皮により被覆され
   ており、前記繊維状緩衝体は少なくとも押え巻テープに
   接触する部位が押え巻テープに接着されて押え巻テープ
   と一体化されていることを特徴とする光ファイバケーブ
   ル。