JP2001064497A - 難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成物

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JP2001064497A
JP2001064497A JP24499399A JP24499399A JP2001064497A JP 2001064497 A JP2001064497 A JP 2001064497A JP 24499399 A JP24499399 A JP 24499399A JP 24499399 A JP24499399 A JP 24499399A JP 2001064497 A JP2001064497 A JP 2001064497A
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polyester resin
flame
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group
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JP24499399A
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English (en)
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Toshiaki Iba
聡明 射場
Katsutoyo Fujita
克豊 藤田
Misuzu Ueda
美鈴 上田
Kimihiko Nakano
公彦 中野
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩素、臭素以外の化合物で難燃化された熱可
塑性ポリエステル樹脂に関し、機械的強度・難燃性・静
電防止性・流動性・靱性・表面外観性に優れた難燃静電
防止性ポリエステル樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂 1〜
60重量%、(B)ポリアルキレンテレフタレートと特
定の式にて示される単位とのブロック共重合体10〜7
0重量%、(C)イオン性界面活性剤 0.1〜10重
量%、(D)被覆処理された安定化赤リン 1〜15重
量%、(E)メラミン・シアヌル酸付加物 5〜20重
量%、からなり、それらの合計が100重量%であるこ
とを特徴とする難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩素、臭素以外の化
合物で難燃化された熱可塑性ポリエステル樹脂に関し、
機械的強度・難燃性・静電防止性・流動性・靱性・表面
外観性に優れた難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアルキレンテレフタレートに代表さ
れる熱可塑性ポリエステル樹脂は、その優れた特性から
幅広い分野に利用されている。
【0003】近年、特に電気及び電子機器部品分野で
は、火災に対する安全性を確保するため、UL−94
(米国アンダーライターズラボラトリー規格)V−0に
適合するような高度な難燃性が要求される場合が多い。
さらに、欧州を中心とした環境問題への配慮から、塩素
や臭素を含まない難燃剤を用いた組成物が要望されてい
る。このようなハロゲン系難燃剤を含まずに難燃化する
方法として最近では、リン系化合物、トリアジン化合物
(例えばメラミン・シアヌル酸付加物)等のチッ素系難
燃剤の使用が知られており、例えば、特開平3−281
652号公報、特開平5−70671号公報、特開平5
−287119号公報、特開平6−157880号公報
などが挙げられる。
【0004】他方、ポリエステル樹脂を含む熱可塑性樹
脂組成物は帯電しやすいことが知られており、近年、こ
のような樹脂に対して、機械的強度あるいは難燃性等の
機能の他に、静電防止性が要求されている。通常、静電
防止性を付与しない樹脂組成物の体積固有抵抗値は1E
+17〜18Ω・cmオーダーレベルであるが、IC用
保護部材、導電性フィルム、電力ケーブル用導電性材料
などを開発している家電分野やOA機器分野では、1E
+10〜12Ω・cmオーダーレベルを要求されている
のが現状である。樹脂に静電防止性を付与する方法とし
ては、一般的に導電性カーボンブラックや金属繊維を添
加する方法は良く知られており、特開平9−14335
0号公報、特開平8−337678号公報、特開昭49
−99734号公報が例示できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱可塑
性ポリエステル樹脂に導電性カーボンブラックを添加し
て静電防止性を付与する場合、該カーボンブラックが樹
脂成分に不溶であるため、得られる樹脂組成物の靱性が
低下するという問題点があった。近年のコストダウンの
流れの中、製品の組立て工数の削減としてビスレス化が
進められており、樹脂製部品のビス止めから、製品に爪
状部を設け、はめ込みに式による取り付けへと方式が変
更しつつある。この様なはめ込み式に対応するために
は、樹脂のスナップフィット性、即ち靱性の向上が必要
となる。また、導電性カーボンブラックについては樹脂
劣化による機械的強度あるいは流動性の低下を引き起こ
すことがあるため、その添加量は極力減少させる必要が
あるが、少量である場合、安定した静電防止性を付与す
ることができないという問題もあった。
【0006】これに対し、導電性カーボンブラックを用
いずに樹脂に静電防止性を付与する方法として、界面活
性剤を添加する方法が一般的に知られているが、熱可塑
性ポリエステル系樹脂に界面活性剤を添加しても、得ら
れる組成物の抵抗値としては、1E+14Ω・cmオー
ダーの静電防止レベルが現状であった。しかし、さらに
高い静電防止性を付与するために界面活性剤量を増加す
ると、樹脂の分解が促進されて機械的強度が低下した
り、成形品表面への界面活性剤のブリード量が多くなる
ために、外観の低下(曇化)という問題があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、驚くべき
事に、熱可塑性ポリエステル樹脂に被覆処理された安定
化赤リン、メラミン・シアヌル酸付加物とともに、ポリ
アルキレンテレフタレート単位と特定構造のポリエーテ
ル単位とのブロック共重合体およびイオン性界面活性剤
を併用添加することにより、導電性カーボンブラックを
使うことなく、目的とする低い静電防止性、高い靱性、
良好な表面外観が得られ、さらには塩素、臭素系以外の
化合物で高い難燃性を付与した難燃静電防止性ポリエス
テル樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は (A)熱可塑性ポリエステル樹脂 1〜60重量% (B)ポリアルキレンテレフタレートと、下記一般式
(1)にて示される単位とのブロック共重合体 10〜
70重量%
【0009】
【化2】 (式中、R1は炭素数2〜5のアルキル基を、Xは炭素
数2〜5のアルキレン基、炭素数6〜30の2価の芳香
族基またはアルキル置換された芳香族基を、Yは2価の
結合基又は直接結合を表し、m及びnはそれぞれ1以上
の整数で且つm+nは3以上の整数を表し、m及びn個
のR1はそれぞれ異なっても良い) (C)イオン性界面活性剤 0.1〜10重量% (D)被覆処理された安定化赤リン 1〜15重量% (E)メラミン・シアヌル酸付加物 5〜20重量% からなり、それらの合計が100重量%であることを特
徴とする難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成物に関す
るものである。
【0010】好ましい実施態様としては、さらに、
(F)強化充填剤を添加してなる前記記載の難燃静電防
止性ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0011】さらに好ましい実施態様としては、さら
に、(G)フッ素系樹脂を添加してなる前記いずれか記
載の難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0012】さらに好ましい実施態様としては、さら
に、(H)多官能性化合物を添加してなる前記いずれか
記載の難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成物に関す
る。
【0013】さらに好ましい実施態様としては、(A)
熱可塑性ポリエステル樹脂がポリアルキレンテレフタレ
ート系樹脂である前記いずれか記載の難燃静電防止性ポ
リエステル樹脂組成物に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で使用する(A)熱可塑性
ポリエステル樹脂とは、酸成分として2価以上のカルボ
ン酸または、エステル形成性誘導体を用い、アルコール
成分として2価以上のアルコールおよび/またはフェノ
ール成分とを公知の方法で重縮合して得られる熱可塑性
ポリエステル樹脂をいう。これらの中でも加工性、機械
的性質、電気的性質、耐熱性などのバランスに優れるとい
う点で、ポリアルキレンテレフタレート樹脂が好まし
い。これらポリアルキレンテレフタレート樹脂の具体例
としてはポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピ
レンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート
樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタレート樹脂などが挙
げられる。
【0015】本発明で使用する(A)熱可塑性ポリエス
テル樹脂は、必要に応じて、好ましくは、20重量%以
下、特に好ましくは、10重量%以下の割合で、他の成
分を共重合することができる。共重合の成分としては、
公知の酸成分、アルコールおよび/またはフェノール成
分、あるいは、エステル形成性誘導体が使用できる。
【0016】前記酸成分としては、炭素数8〜22の2
価以上の芳香族カルボン酸、炭素数4〜12の脂肪族カ
ルボン酸、さらには、炭素数8〜15の脂環式カルボン
酸、およびエステル形成性誘導体が挙げられる。カルボ
ン酸類の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸
等のフタル酸類、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−
カルボキシフェニル)メタンアントラセンジカルボン
酸、4−4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス
(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸等の2
価芳香族カルボン酸類、アジピン酸、セバシン酸、マレ
イン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット
酸等の3価以上の芳香族カルボン酸、およびエステル形
成性誘導体が挙げられる。これらは単独あるいは2種以
上を併用して用いられる。これらの中でも得られた樹脂
の物性、取り扱い性、反応の容易さに優れるという理由で
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸
が好ましい。
【0017】また、アルコールおよび/またはフェノー
ル成分としては、炭素数2〜15の2価以上の脂肪族ア
ルコール、炭素数6〜20の2価以上の脂環式アルコー
ル、炭素数6〜40の2価以上の芳香族アルコールまた
はフェノール、ならびにエステル形成性誘導体が挙げら
れる。これらの具体例としては、エチレングリコール、
プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオー
ル、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロ
ヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,
2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2’−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトー
ル等の化合物、およびそのエステル形成性誘導体が用い
られる。これらの中でも得られた樹脂の物性、取り扱い
性、反応の容易さに優れるという理由でエチレングリコ
ール、ブタンジオールが好ましい。また、p−ヒドロキ
シ安息香酸のようなオキシ酸、ε−カプロラクトン等の
環状エステルも使用することができる。
【0018】これら(A)熱可塑性ポリエステル系樹脂
は、単独または、2種以上併用され、その量は、1〜6
0重量%、好ましくは、5〜50重量%、さらに好まし
くは、10〜40重量%である。1重量%未満では十分
な効果が得られないし、60重量%を越えると本発明の
目的である優れた特性を付与した難燃性ポリエステル樹
脂を得ることができない。
【0019】上記熱可塑性ポリエステル樹脂の製造方法
は、公知の重合方法、例えば溶融重縮合、固相重縮合、
溶液重合等によって得ることができる。また、重合時に
樹脂の色調を改良するため、リン酸、亜リン酸、次亜リ
ン酸、リン酸モノメチル、リン酸ジメチル、リン酸トリ
メチル、リン酸メチルジエチル、リン酸トリエチル、リ
ン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ
フェニル等の化合物の1種または、2種以上を添加して
もよい。
【0020】さらに、得られた熱可塑性ポリエステル樹
脂の結晶化度を高めるために、重合時に、通常よく知ら
れた有機または、無機の各種結晶核剤を、単独または、
2種以上併用してもよい。
【0021】前記熱可塑性ポリエステル樹脂の対数粘度
(フェノール/テトラクロロエタンが重量比で1/1の
混合溶媒中、25℃で測定)は、好ましくは、0.4〜
2.0dl/gであり、さらに好ましくは0.6〜1.
6dl/gである。対数粘度が0.4dl/g未満で
は、成形品の機械的強度や難燃性が低下する傾向があ
り、2.0dl/gを越えると流動性が低下する傾向が
ある。
【0022】本発明に用いられる(B)ブロック共重合
体は、アルキレンテレフタレート単位を主たる構成成分
とするポリエステル単位と特定構造のポリエーテル単位
とからなる、ポリエステル・エーテルブロック共重合体
である。(B)中のポリエステル単位としては、好適に
は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体と、
炭素数2〜10のグリコールまたはそのエステル形成性
誘導体を用いて得られるテレフタル酸系のものであり、
中でも、エチレンテレフタレート単位、テトラメチレン
テレフタレート単位を主たる構成成分とするものが好ま
しい。(B)中のポリエーテル単位部分の主要部は、下
記一般式(1)
【0023】
【化3】 (式中、R1は炭素数2〜5のアルキル基を、Xは炭素
数2〜5のアルキレン基、炭素数6〜30の2価の芳香
族基またはアルキル置換された芳香族基を、Yは2価の
結合基又は直接結合を表し、m及びnはそれぞれ1以上
の整数で且つm+nは3以上の整数を表し、m及びn個
のR1はそれぞれ異なっても良い)で表される単位であ
る。
【0024】一般式(1)中のR1の具体例としては、
例えばエチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレ
ン、等が挙げられ、これらは単独あるいは2種以上併用
して用いられる。一般式(1)中のXの具体例として
は、−CH2−、−C24−、−C36−、−C45
等のアルキレン基、フェニレン基、メチレフェニレン
基、ビフェニレン基などの2価の芳香族基、2−メチル
フェニレン基、4−メチルフェニレン基、2,4−ジメ
チルフェニレン基、イソプロピルフェニレン基、2−エ
チルフェニレン基、4−エチルフェレン基、2,4−ジ
エチルフェニレン基などのアルキル基で置換された芳香
族基などがあげられる。この中でも、静電防止性の観点
から特にXはフェニレン基が好ましい。
【0025】一般式(1)中のYの具体例としては、例
えば−C(CH32−、−CH2−、−S−、−SO
2−、−S(CH32−、−CO−、等の2価の結合
基、あるいは直接結合が挙げられる。
【0026】一般式(1)中のm及びnは、1以上の整
数でありかつm+nは3以上の整数である。またいずれ
も分子量が400以上の単位である。ポリエーテル単位
の分子量は、好ましくは600〜6000、さらに好ま
しくは800〜3000である。分子量が400未満で
は、得られた共重合体の融点が低下する傾向にあり、分
子量が6000を越えると、相溶性が悪くなり、均一な
共重合体が得られない傾向にあるため、好ましくない。
(B)ブロック共重合体は、例えば特公平5−8941
に示されたような方法で製造することができる。
【0027】また、これらブロック共重合体は、通常
0.35dl/g〜1.20dl/gの固有粘度を有す
るものであるが、成形加工性と機械的物性、電気的特性
とのバランスの面から、固有粘度が0.40dl/g
〜1.00dl/gのものが好ましく、0.50dl/
g 〜0.90dl/gのものがさらに好ましい。固有
粘度が0.35dl/g未満では、組成物の機械的強度
や耐熱性が低下する傾向にあり、1.20dl/gを超
えると、組成物の流動性が低下して成形加工性が悪化
し、電気抵抗値も十分に低下させることができない傾向
にある。(B)ブロック共重合体中の、ポリエーテル単
位と、アルキレンテレフタレート単位を主たる構成成分
とするポリエステル単位との比率は、共重合体100重
量%中、ポリエーテル単位が3〜60重量%、好ましく
は25〜60重量%、さらに好ましくは25〜50重量
%、アルキレンテレフタレート単位を主たる構成成分と
するポリエステル単位が、97〜40重量%、好ましく
は75〜40重量%、さらに好ましくは75〜50重量
%、とからなるものが用いられる。ポリエーテル単位が
3重量%未満では、得られる組成物の靱性改善が不十分
であり、60重量%を越えると成形品の機械的強度、静
電防止性が低下する傾向がある。(B)ブロック共重合
体の添加量は、10〜70重量%、好ましくは、20〜
60重量%、さらに好ましくは、30〜50重量%であ
る。(B)ブロック共重合体の添加量が10重量%未満
では成形品の電気抵抗値の低下が不十分であり、また7
0重量%を越えると得られた成形体の機械的強度、難燃
性が低下するため好ましくない。
【0028】本発明に用いられる(C)イオン性界面活
性剤としては、市販のものが使用できる。例えば、アニ
オン系界面活性剤としては、2−エチルヘキシル硫酸エ
ステルなどの脂肪族アルキル硫酸エステル、オレイルア
ルコール硫酸エステルなどの脂肪族アルコール硫酸エス
テル、アルキルスルフォン酸、アルキルベンゼンスルフ
ォン酸、アルキルナフタレンスルフォン酸などのナトリ
ウム塩やカリウム塩等が、カチオン系界面活性剤として
は、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩、ピリジ
ン誘導体等が挙げられる。得られる組成物の機械的特性
と電気的特性のバランスの観点から、アニオン系界面活
性剤が好ましい。
【0029】さらに、(C)イオン性界面活性剤の融点
は、(A)熱可塑性ポリエステルの冷結晶化温度(Tc
h)より高いものが好ましい。イオン性界面活性剤の融
点が、熱可塑性ポリエステルの冷結晶化温度より低い
と、組成物中よりのブリードアウトが増大し、金型汚染
や成形品外観の低下の原因となる。
【0030】(C)イオン性界面活性剤の配合量は、難
燃導電性ポリエステル樹脂組成物中、0.1〜10重量
%、好ましくは0.2〜8重量%、更に好ましくは、
0.3〜5重量%である。0.1重量%未満では静電防
止効果が十分でなく、10重量%を超えると機械的強
度、表面外観性が低下する。
【0031】本発明で使用する(D)被覆処理された安
定化赤リンとは、赤燐を被膜により被覆処理した赤リン
のことである(以下、安定化赤リンと略記する。)。安
定化赤リンを用いることにより、通常未処理の赤リンを
用いた場合と比較して、成形加工時の臭気発生が抑えら
れたり、耐湿性が改良されているため電気特性の低下も
防ぐことができる点から好ましい。
【0032】安定化赤リンにおける赤リン含有量は、5
0%以上であるのが難燃性の点から好ましく、60%以
上であるのがさらに好ましい。赤リンの含有量の上限
は、臭気が改善される点からは、99.5%であり、さ
らに好ましくは、99.0%である。安定化赤リンの平
均粒子径は、0.1〜500μmであるのが、分散性、
難燃性、成形品外観の点から好ましく、さらに好ましく
は、0.5〜200μmである。赤リン被覆処理に用い
られる好ましい材料としては、熱硬化性樹脂、金属水酸
化物、金属から選ばれた1種以上が挙げられる。これら
によって被覆処理されることにより、得られる樹脂組成
物の難燃性を保ったまま臭気を低減させることができ
る。前記熱硬化性樹脂としては、赤リンを被覆できる樹
脂であれば特に制限はなく、その具体例としては、フェ
ノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、
メラミン−ホルマリン系樹脂、アルキッド系樹脂、−O
H変性アクリロニトリル・スチレン共重合体、−NH2
変性アクリロニトリル・スチレン共重合体などが挙げら
れる。前記金属水酸化物としては、赤リンを被覆できる
化合物であれば特に制限はなく、その具体例としては、
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、
酸化チタンなどが挙げられる。前記金属としては、無電
解メッキにより赤リンを被覆できる被膜を形成しうる金
属であればよく、その具体例としては、Fe、Ni、C
o、Cu、Zn、Mn、Ti、Zr、Alまたはこれら
の合金などが挙げられる。前記のごとき材料から形成さ
れる被膜は、1種の材料から形成されていてもよい。ま
た被膜は、1重でもよく、また2重以上に積層されたも
のでもよい。安定化赤リンは、単独で用いてもよく2種
以上組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせて
用いる場合の組み合わせ方には限定はなく、例えば、被
膜の異なるもの、粒径などの異なるものを任意に組み合
わせることができる。
【0033】また、安定化赤リンはあらかじめポリオレ
フィン系樹脂と単純混合あるいは溶融混合させ、マスタ
ーバッチとしても用いることができる。前記ポリオレフ
ィン系樹脂という言葉は狭義のポリオレフィンの他に、
ポリジエン、オレフィンモノマーおよびジエンモノマー
からなる共重合体、オレフィンモノマーおよびジエンモ
ノマーのうちの1種以上を主成分(50%以上、さらに
は60%以上)とし、これらと共重合可能な他のビニル
系単量体の1種以上との共重合体、それら2種以上の混
合物を包含する広義の概念として用いられる。
【0034】前記ポリオレフィン系樹脂の例としては、
たとえば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペ
ンテン、イソブテン、ブタジエン、イソプレン、クロロ
プレン、フェニルプルパジエン、シクロペンタジエン、
1,3−シクロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジ
エン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−シクロオ
クタジエン、α,ω−非共役ジエン類などのモノマーの
単独重合体(例えば、通常のポリエチレンの他に、高密
度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリ
エチレンなどのポリエチレン、シンジオタクチックポリ
プロピレン、アイソタクチックポリプロピレン、アタク
チックポリプロピレンなどのポリプロピレンなど)、前
記オレフィンモノマーおよびジエンモノマーの2種以上
を組み合わせて得られる共重合体、例えば、エチレン―
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、プロピ
レン―(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、
1−ブテン―(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重
合体、1−ペンテン―(メタ)アクリル酸アルキルエス
テル共重合体などのオレフィン―(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル共重合体、エチレン―一酸化炭素―(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、プロピレン
―一酸化炭素―(メタ)アクリル酸アルキルエステル共
重合体、1−ブテン―一酸化炭素―(メタ)アクリル酸
アルキルエステル共重合体、1−ペンテン―一酸化炭素
―(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体などの
オレフィン―一酸化炭素―(メタ)アクリル酸アルキル
エステル共重合体などが挙げられる。
【0035】前記ポリオレフィン系樹脂のうちで好まし
いものとしては、成形加工性、ポリエステル系樹脂への
分散性や相溶性の点から、オレフィン―(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル共重合体が挙げられる。
【0036】前記オレフィン―(メタ)アクリル酸アル
キルエステル共重合体は、一般的には1種以上のオレフ
ィンと1種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
とを、ラジカル開始剤の存在下にラジカル重合すること
により得られるが、重合方法はこれに限られるものでは
なく、一般的に知られている公知の種々の重合方法を用
いて重合することができる。共重合体は、ランダム共重
合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
【0037】前記オレフィン―(メタ)アクリル酸アル
キルエステル共重合体のオレフィンの具体例としては、
エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテンなど
が挙げられる。これらオレフィンは1種または2種以上
組み合わせて用いられる。これらのうちで特に好ましく
は分散性、成形加工性の点からエチレンである。
【0038】また、オレフィン―(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル共重合体の(メタ)アクリル酸アルキル
エステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチ
ルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロ
ピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチ
ルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタク
リレート、n−プロピルメタクリレート、i−プロピル
メタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチ
ルメタクリレートなどが挙げられ、これらは単独または
2種以上組み合わせて用いられる。前記(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルで特に好ましくは、メチルアクリ
レート、エチルアクリレートである。
【0039】前記(D)被覆処理された安定化赤リンの
添加量は、難燃導電性ポリエステル樹脂組成物中、1〜
15重量%であり、好ましくは1.1〜14重量%であ
り、さらに好ましくは、1.2〜13重量%である。添
加量が1重量%未満であると薄肉での難燃性が低下し、
15重量%を越えると加工時に臭気が発生しやすくなる
他、機械的強度、靱性の低下もみられる。
【0040】本発明で使用する(E)メラミン・シアヌ
ル酸付加物とは、メラミン(2,4,6−トリアミノ−
1,3,5−トリアジン)とシアヌル酸(2,4,6−
トリヒドロキシ−1,3,5−トリアジン)および/ま
たはその互変異体が形成する化合物である。メラミン・
シアヌル酸付加物は、メラミンの溶液とシアヌル酸の溶
液を混合して塩を形成させる方法や一方の溶液に他方を
加えて溶解させながら塩を形成させる方法等によって得
ることが出来る。メラミンとシアヌル酸の混合比には特
に限定はないが、得られる付加物が熱可塑性ポリエステ
ル樹脂の熱安定性を損ないにくい点から、等モルに近い
方がよく、特にモル比で1:1が好ましい。メラミン・
シアヌル酸付加物の平均粒子径は、特に限定されない
が、得られる組成物の強度特性、成形加工性の点から
0.01〜250μmが好ましく、特に、0.5〜20
0μmが好ましい。(E)メラミン・シアヌル酸付加物
の添加量は、難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成物
中、5〜20重量%であり、好ましくは6〜19重量%
であり、さらに好ましくは、7〜18重量%である。添
加量が5重量%未満であると難燃性が低下し、20重量
%を越えると機械的強度、流動性、靱性が低下する。
【0041】本発明の組成物にはさらに、(F)強化充
填剤を配合し、機械的強度を高めることができる。強化
充填剤は従来から使用されているものがそのまま使用で
きる。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウ
ム繊維、セラミックビーズ、ガラスビーズ、ガラスバル
ーン、セラミックバルーン、ガラスフレーク、珪酸カル
シウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸マグネ
シウム、硫酸バリウム、雲母、タルク、カオリン、マイ
カ、クレー等が挙げられる。
【0042】ガラス繊維、カーボン繊維等の繊維状の強
化剤を使用する場合には、経済性、作業性の面から、集
束剤にて処理されたものを用いるのが好ましい。特に強
化充填剤としてガラス繊維を用いる場合、作業性の観点
から集束剤にて処理されたチョップドストランドガラス
繊維を用いるのが好ましい。また、樹脂とガラス繊維と
の密着性を高めるため、ガラス繊維の表面をカップリン
グ剤で処理したものが好ましく、バインダーを用いたも
のであってもよい。
【0043】前記カップリング剤としては、例えば、γ
−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化
合物が、またバインダーとしては、例えば、エポキシ樹
脂、ウレタン樹脂等が好ましく使用されるが、これらに
限定されるものではない。これらガラス繊維は1種また
は2種以上併用して使用することが出来る。ガラス繊維
の繊維径は1〜20μm、繊維長は0.01〜50mm
が好ましい。繊維径が1μm未満であると添加しても期
待するような補強効果が得られない傾向があり、繊維経
が20μmを超えると成形品の表面性や流動性が低下す
る傾向があり、好ましくない。また、繊維長が0.01
mm未満であると添加しても期待するような樹脂補強効
果が得られない傾向があり、繊維長が50mmを超える
と流動性が低下する傾向があり好ましくない。
【0044】(F)強化充填剤の添加量は、難燃静電防
止性ポリエステル樹脂組成物中、0〜50重量%が好ま
しく、より好ましくは5〜45重量%であり、さらに好
ましくは、10〜40重量%である。強化充填剤の添加
量が50重量%を越えると、押出加工時のペレットに欠
けや割れが生じたり、流動性、靱性が低下する傾向にあ
る。
【0045】本発明の組成物にはさらに、(G)フッ素
系樹脂をドリッピング防止剤として添加することができ
る。フッ素系樹脂とは、樹脂中にフッ素原子を有する樹
脂であり、これらフッ素樹脂の具体例としては、ポリモ
ノフルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリト
リフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テ
トラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重
合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、ポ
リフッ化ビニリデンなどを挙げることができる。また、
得られた成形品の難燃性などの物性を損なわない範囲で
必要に応じ、これらフッ素樹脂の製造に用いる単量体と
他のフッ素原子を含有しない共重合可能な単量体とを併
用して重合して得られた共重合体を用いてもよい。これ
らのフッ素系樹脂は、1種あるいは、2種以上組み合わ
せて用いてもよい。(G)フッ素系樹脂の分子量は、1
00万〜2000万が好ましく、さらに好ましくは、2
00万〜1000万である。また、平均粒子径は、10
00μm以下であり、好ましくは、450μm以下、さ
らに好ましくは、300〜430μmである。平均粒子
径が450μmを越えると、押出加工性が低下し、樹脂
組成物が得られない場合がある。これらフッ素系樹脂の
製造方法に関しては、乳化重合、懇濁重合、塊状重合、
溶液重合などの通常、公知の方法により得ることができ
る。(G)フッ素系樹脂の添加量は、難燃静電防止性ポ
リエステル樹脂組成物中、0.01〜5重量%であり、
好ましくは、0.05〜2重量%、さらに好ましくは、
0.1〜1重量%である。添加量が、0.01重量%未
満では、難燃性を向上させる効果が小さく、5重量%を
越えると機械的強度・流動性、表面外観性などが低下す
る傾向がある。
【0046】本発明の組成物にはさらに、(H)多官能
性化合物を機械的強度を高めるために添加することがで
きる。多官能性化合物とは、官能基を2個以上有する化
合物(以下、官能基含有化合物)であり、官能基含有化
合物における官能基の種類としては、エポキシ基、カル
ボン酸無水物基、イソシアネート基、オキサゾリン基、
カルボジイミド基、アルデヒド基、カルボキシル基、ア
ジリジニル基、シアネート基が挙げられ、これらの基は
1種のみならず、2種以上含まれていてもよい。官能基
含有化合物の具体例を挙げると、エポキシ基を有する化
合物としては、例えばビスフェノールA型、ビスフェノ
ールS型、ビフェニル型、フェノールノボラック型、ポ
リグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂、レゾルシンジ
グリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジル等のジ
グリシジル化合物等が、酸無水物基を有する化合物とし
ては、例えば無水ピロメリット酸、無水メリット酸等の
酸無水物基を2個以上有する化合物が、イソシアネート
基を有する化合物としては、例えばフェニレンジイソシ
アネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイ
ソシアネート等のジイソシアネート化合物が、オキサゾ
リン基を有する化合物としては、例えば2,2−(1,
3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2
−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)
等のビスオキサゾリン化合物が、カルボジイミド基を有
する化合物としては、例えばフェニレンジイソシアネー
トやトルエンジイソシアネート等から誘導されるカルボ
ジイミド化合物が、アルデヒド基を有する化合物として
は、例えば1,4−ジアルデヒドベンゼン等のジアルデ
ヒド化合物が、カルボキシル基を有する化合物として
は、例えばテレフタル酸等のジカルボン酸化合物が、ア
ジリジニル基を有する化合物としては、例えばトリスア
ジリジニルホスフィンオキシド、トリメチロールプロパ
ン―トリ―β―アジリジニルプロピオネート等のジアジ
リジニル化合物が挙げられる。これらは単独または2種
以上組み合わせて用いられる。前記、官能基含有化合物
の中でも特にジエポキシ化合物が、得られた樹脂組成物
の物性バランス等の観点から好ましい。
【0047】本発明の難燃静電防止性ポリエステル樹脂
組成物は、本発明を損なわない範囲でさらに他の任意の
熱可塑性あるいは熱硬化性の樹脂、例えば不飽和ポリエ
ステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリスチレン系樹脂、ゴム状弾性体共重合ポリスチ
レン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系化合物共重
合体、ゴム状弾性体含有アクリロニトリル・スチレン系
化合物共重合体、ポリアルキル(メタ)アクリレート系
樹脂、ポリフェニルマレイミド系樹脂、ポリフェニレン
スルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポ
リアセタール系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ゴム状弾性
体、グラフト変性ゴム状弾性体、等を単独あるいは2種
以上あわせて添加しても良い。
【0048】また、本発明の難燃性ポリエステル樹脂組
成物をより高性能なものにするために、フェノール系や
ホスファイト系などの酸化防止剤、エチレンと不飽和カ
ルボン酸とのケン化物であるアイオノマー、カルボン酸
金属塩、などの結晶核剤、などを単独または2種類以上
併せて使用することが好ましい。さらに必要に応じて、
通常良く知られた、安定剤、有機系の難燃剤、難燃助
剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、顔料、染料、滑
剤、可塑剤、などの添加剤を本発明の目的を損なわない
程度に、単独または2種類以上併せて使用することがで
きる。
【0049】本発明の組成物の製造方法は特に限定され
るものではない。例えば上記成分、および他の添加剤、
樹脂、等を乾燥後、単軸、2軸等の押出機のような溶融
混練機にて、溶融混練する方法等により製造することが
できる。また、配合剤が液体である場合は、液体供給ポ
ンプなどを用いて2軸押出機に途中添加して製造するこ
ともできる。
【0050】本発明で製造された熱可塑性ポリエステル
樹脂組成物の成形加工法は特に限定されるものではな
く、熱可塑性樹脂について一般に用いられている成形
法、例えば射出成形、ブロー成形、押出成形、真空成
形、プレス成形、カレンダー成形、などが適用できる。
また、得られる樹脂組成物は、安全で高度な難燃性を有
し、その他の特性とのバランスが良好であるため、家電
ハウジング、プリンタ・パソコン・ファックス部品など
のOA機器部品、コネクタ・スイッチ・ヒューズホルダ
ー・ブレーカーケースなどの電子・電気部品に好適に使
用される。
【0051】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】(実施例1) (A)熱可塑性ポリエステル樹脂として対数粘度が約
0.75dl/gの二酸化ゲルマニウムを用いて重合さ
れたポリエチレンテレフタレート(A1)14重量%、
(B)対数粘度が約0.80dl/g、ポリエーテル単
位/アルキレンテレフタレート単位比率=30/70重
量%であるブロック共重合対体(B1)34重量%、
(C)イオン性界面活性剤としてアニオン系界面活性剤
エレクトロストリッパーPC−03(花王株式会社製
Tm:150℃)(C1)1重量%、(D)安定化赤リ
ン系難燃剤としてフェノール系樹脂で被覆された赤燐、
ノーバエクセル140(燐化学工業株式会社製 赤リン
含有量95%、平均粒子径25〜35μm)(D1)4
重量%、(E)メラミン・シアヌル酸付加物として、M
C440(日産化学株式会社製 平均粒子径100〜2
00μm)(E1)15重量%、(G)フッ素樹脂とし
て、ポリフロンFA−500(ダイキン工業株式会社製
ポリテトラフルオロエチレン)0.5重量%、(H)
多官能性化合物として、エピコート828(油化シェル
エポキシ株式会社製 ビスフェノールA型エポキシ樹
脂)を0.5重量%、ホスファイト系酸化防止剤である
HP−10(旭電化株式会社製)0.5重量%、フェノ
ール系酸化防止剤であるAO−60(旭電化株式会社
製)0.5重量%をドライブレンドした。この混合物を
シリンダー温度270℃に設定したベント式44mmφ
同方向2軸押出機(商品名:日本製鋼所株式会社製TE
X44)のホッパーに供給するととともに、(F)強化
充填剤としてガラス繊維T-195H/P(日本電気硝子
株式会社製)30重量%をサイドフィーダーを用いそれ
ぞれ押出機の途中から添加して、溶融混練することによ
り樹脂組成物を得た。
【0053】なお、樹脂組成物の評価は下記の方法で行
った。 評価方法 得られたペレットを140℃で4時間乾燥後、射出成形
機(型締め圧:75トン)を用いて、シリンダー温度280
℃、金型温度:100℃にて厚み6.4mmバー(長さ:1
27mm、幅:12.7mm)、厚み3.2mmのASTM
1号ダンベル試験片を、射出成形機(型締め圧:35ト
ン)を用いて、シリンダー温度:280℃、金型温度:10
0℃にて厚み1.6mm(長さ:127mm、幅:12.7
mm)を、射出成形機(型締め圧80t)を用い、シリ
ンダー温度280℃、金型温度90℃にて、120mm
角×厚み3.0mmの平板を作成し、以下の評価を行っ
た。 <引張強度>厚み3.2mmASTM1号ダンベル試験
片を用いて、ASTM D−638に従い引張試験を行
い、最大強度を求めた。 <曲げ伸び>厚み6.4mmのバーを用いて、ASTM
D−790に従い曲げ試験を行い、最大たわみ量(曲
げ伸び)を求めた。 <難燃性>厚み1.6mmバーを用いて、UL−94規
格に記載された垂直燃焼試験法に従い難燃性を評価し
た。 <静電防止性>120mm角×厚み3.0mmの平板を
用いて、ASTM D−257に従い抵抗測定を行い、
体積固有抵抗率を求めた。 <流動性>JIS K−7210に従い、280℃、予
熱時間5分のB法フロー値を測定した。 <表面外観性>ASTM1号ダンベル試験片を観察し、
以下の基準にて外観性を判定した。 ○:良好な光沢面が見られる。 △:ダンベル末端部にやや曇りが生じている。 ×:ダンベルの半分以上に曇りが生じている。 該樹脂組成物の評価結果を表1に示す。 (実施例2−14)各配合剤を表1、表2に示した量に
変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得
た。ただし、配合剤は以下のものを用いた。評価結果を
表1、表2に示す。 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂として、(A2)対数
粘度が0.60dl/gであるポリプロピレンレンテレフ
タレート樹脂、または(A3)対数粘度が0.85dl/
gであるポリブチレンテレフタレート樹脂を、(B)ブ
ロック共重合体として、(B2)対数粘度が約0.75
dl/g、ポリエーテル単位/アルキレンテレフタレー
ト単位比率=40/60重量%であるブロック共重合体
を、(C)イオン性界面活性剤として、(C2)アニオ
ン系界面活性剤エレクトロストリッパーPC(花王株式
会社製 Tm:110℃)を、(D)被服処理された安
定化赤燐として、(D2)オレフィン―(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステル共重合体と赤燐のマスターバッチ
として、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EE
A)とフェノール系樹脂で被覆された赤燐のマスターバ
ッチ(EEA/赤燐含有比=50%/50%)を、
(E)メラミンシアヌル酸付加物として、(E2)MC
690(日産化学株式会社製 平均粒子径1〜2μ
m、)を、(F)強化充填剤として、(F2)マイカ
(A−21S 山口雲母製)を用いた。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】 (比較例1−9)各配合剤を表3に示した量に変更した
以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。ただ
し、配合剤は以下のものを用いた。評価結果を表3に示
す。 ・カーボンブラックとして、ケッチェンブラックEC6
00JD(ケッチェンブラックインターナショナル株式
会社製 DBP吸油量495ml/100g 平均粒子
径30μm)を用いた。
【0056】
【表3】 比較例1では、熱可塑性樹脂の添加量が規格外であるた
め、従来組成物と比較して、機械的強度が低下する他、
難燃性も低下する。比較例2では、ブロック共重合体を
添加していないため、靱性、表面外観性が低下する他、
体積固有抵抗が目標レベルまで低下しない。比較例3で
は、ブロック共重合体の添加量が規格外であるため、従
来組成物と比較して、機械的強度や難燃性も低下する。
比較例4では、過剰に界面活性剤を添加したため、機械
的強度、表面外観性が低下する。比較例5では、界面活
性剤を添加していないため、体積固有抵抗が目標レベル
まで低下しない。比較例6では、安定化赤リン系難燃剤
を添加していないため、難燃性が低下する。比較例7で
は、メラミン・シアヌル酸付加物を添加していないため
難燃性が低下する。比較例8では、過剰にメラミン・シ
アヌル酸付加物を添加したため、機械的強度、靱性、流
動性が低下する。比較例9では、静電防止性を付与する
ために、ケッチェンブラックを添加しているが、靱性、
流動性が低下する。
【0057】以上のように、実施例である表1〜2と比
較例である表3を比較して明らかなように、本発明は、
機械的強度・難燃性・静電防止性・流動性・靱性・表面
外観性に優れ、さらには塩素、臭素以外の化合物で難燃
化された難燃導電性ポリエステル樹脂組成物であること
がわかる。
【0058】
【発明の効果】本発明の難燃導電性ポリエステル樹脂組
成物は、機械的強度・難燃性・静電防止性・流動性・靱
性・表面外観性に優れ、さらには塩素、臭素以外の化合
物で難燃化されているため、各種成形材料として安全か
つ工業的に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 27/12 C08L 27/12 Fターム(参考) 4J002 CF05W CF06W CF07W CF10X DA057 EN016 EN136 EU046 EU188 EV186 EV256 FB077 FB267 FB287 FD010 FD137 FD138 FD316 GQ00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂 1〜6
    0重量% (B)ポリアルキレンテレフタレートと、下記一般式
    (1)にて示される単位とのブロック共重合体 10〜
    70重量% 【化1】 (式中、R1は炭素数2〜5のアルキル基を、Xは炭素
    数2〜5のアルキレン基、炭素数6〜30の2価の芳香
    族基またはアルキル置換された芳香族基を、Yは2価の
    結合基又は直接結合を表し、m及びnはそれぞれ1以上
    の整数で且つm+nは3以上の整数を表し、m及びn個
    のR1はそれぞれ異なっても良い) (C)イオン性界面活性剤 0.1〜10重量% (D)被覆処理された安定化赤リン 1〜15重量% (E)メラミン・シアヌル酸付加物 5〜20重量% からなり、それらの合計が100重量%であることを特
    徴とする難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】さらに、(F)強化充填剤を添加してなる
    請求項1記載の難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】さらに、(G)フッ素系樹脂を添加してな
    る請求項1〜2記載の難燃静電防止性ポリエステル樹脂
    組成物。
  4. 【請求項4】さらに、(H)多官能性化合物を添加して
    なる請求項1〜3記載の難燃静電防止性ポリエステル樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂がポリア
    ルキレンテレフタレート系樹脂である請求項1〜4記載
    の難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100423233B1 (ko) * 2001-03-21 2004-03-18 엘지전선 주식회사 고강도 난연성 절연물
JP2007169403A (ja) * 2005-12-21 2007-07-05 Wintech Polymer Ltd スナップフィット部を有する成形品
JP2011144237A (ja) * 2010-01-13 2011-07-28 Kaneka Corp 非ハロゲン難燃性帯電防止性ポリエステル系樹脂組成物、及びその成形体

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