JPH10316843A - 難燃性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリエステル樹脂組成物

Info

Publication number
JPH10316843A
JPH10316843A JP12752997A JP12752997A JPH10316843A JP H10316843 A JPH10316843 A JP H10316843A JP 12752997 A JP12752997 A JP 12752997A JP 12752997 A JP12752997 A JP 12752997A JP H10316843 A JPH10316843 A JP H10316843A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester resin
weight
flame
resin composition
retardant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP12752997A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Koyama
央 小山
Kazufumi Hirobe
和史 広部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP12752997A priority Critical patent/JPH10316843A/ja
Publication of JPH10316843A publication Critical patent/JPH10316843A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品薄肉部の難燃性、耐トラッキング性に
優れ、かつペレットの割れ・欠けの少ない、臭素および
塩素系難燃剤、アンチモン化合物を含有しない難燃性ポ
リエステル樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂:10
〜65重量%、(B)有機リン系難燃剤:1〜25重量
%、(C)平均粒径60〜250μmのメラミン・シア
ヌル酸付加物:2〜30重量%、(D)官能基を2個以
上有する化合物:0.05〜10重量%、(E)ガラス
繊維:5〜50重量%、(F)フッ素系樹脂:0.01
〜5重量%からなり、(A)〜(F)成分の合計が10
0重量%であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、臭素および塩素系
難燃剤、アンチモン化合物を含有しない難燃性ポリエス
テル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアルキレンテレフタレートなどに代
表される熱可塑性ポリエステル樹脂は、その優れた特性
から電気および電子機器部品ならびに自動車部品などに
広く使用されている。近年、特に電気および電子機器部
品分野では、火災に対する安全性を確保するため、UL
−94(米国アンダーライターズラボラトリー規格)V
−0に適合するような高度な難燃性が要求される例が多
く、このため種々の難燃剤の配合が検討されている。
【0003】熱可塑性ポリエステル樹脂に難燃性を付与
するばあい、一般的に、難燃剤としてハロゲン系難燃剤
が、必要に応じて三酸化アンチモン等の難燃助剤と併用
して用いられている。しかしながら、ハロゲン系難燃剤
は難燃化効果は大きいものの、樹脂加工時にハロゲン系
難燃剤の分解によって生成したハロゲン化合物がコンパ
ウンド用押出機のシリンダーや成形用金型の表面などを
腐食させたりする問題があった。このため、ハロゲン系
難燃剤を全く使用しないで難燃化する方法が検討されて
いる。
【0004】このような難燃剤の1つとして、水酸化ア
ルミニウムや水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤が知
られている。しかしながら、これら無機系難燃剤は、そ
の難燃化効果が著しく小さいため、高度な難燃性を得る
ためには多量に添加する必要があり、その場合は樹脂本
来の特性が損なわれるという問題があった。
【0005】一方、ハロゲンを含まない難燃剤として、
有機リン系難燃剤やトリアジン化合物(たとえばメラミ
ン・シアヌル酸付加物)等のチッソ系難燃剤の使用が種
々検討されている。有機リン系難燃剤としては、一般的
なものにトリフェニルホスフェート、クレジルジフェニ
ルホスフェート、トリクレジルホスフェート等があげら
れるが、熱可塑性ポリエステル樹脂の耐熱性等の物性の
低下、高温条件下におけるこれら有機リン系難燃剤の揮
発、ブリード等の問題があるため、近年リン酸エステル
の縮合物等比較的分子量の大きい有機リン系難燃剤が検
討されている。このようなリン系難燃剤を使用した難燃
性樹脂組成物としては特公昭51−19858号公報、
特公昭51−39271号公報、特開昭52−1022
55号公報等に記載されているものがあげられる。
【0006】また、UL−94 V−0に適合するよう
な高度な難燃性を達成するために、さらにチッ素系難燃
剤を併用する方法も種々検討されており、たとえば、特
開平3−281652号公報にはポリアルキレンテレフ
タレート樹脂にメラミン・シアヌル酸付加物とリン系難
燃剤を併用する方法が開示されている。また、特開平5
−70671号公報や特開平6−157880号公報に
は、メラミン・シアヌル酸付加物とともに特定のリン系
難燃剤を使用することで、難燃性、有毒ガスの発生、腐
食性を改善する方法が開示されている。しかしながら、
これらの樹脂組成物は、機械的強度、耐衝撃性、耐湿性
などの特性が損なわれるという問題があった。
【0007】本発明者らは、熱可塑性ポリエステル樹脂
に有機リン系難燃剤と、チッ素系難燃剤としてメラミン
・シアヌル酸付加物などのトリアジン化合物とを添加し
て用いる際に生じる機械的強度、耐衝撃性、耐湿性など
の低下に対し、ジエポキシ化合物などの同一分子内に官
能基を2個以上有する化合物を併用することによって改
善できることを見出し、先に提案している(特開平7−
196843号公報、特開平7−233311号公
報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような難燃性ポリ
エステル樹脂組成物が使用される主な分野に電気・電子
部品用途があるが、これらの用途の中でも特に電源プラ
グ部品、コンセント部品、スイッチ部品、リレー部品等
においては高度な難燃性とともに高度な耐トラッキング
性が要求される。さらに、近年における電気・電子部品
の小型化・軽量化に伴い、成形品の薄肉化が進む一方で
製品安全面の配慮から難燃性についてはより高度なレベ
ルが要求されている。
【0009】熱可塑性ポリエステル樹脂と有機リン系難
燃剤、チッ素系難燃剤としてメラミン・シアヌル酸付加
物からなる難燃性ポリエステル樹脂組成物において、高
度な難燃性を達成するためには有機リン系難燃剤または
チッ素系難燃剤を増量する必要がある。しかしながら、
有機リン系難燃剤を増量したばあい、耐熱性などの特性
が低下したり、燃焼時のドリッピングが促進されるため
逆に難燃性が低下したりする問題があった。一方、チッ
素系難燃剤を増量したばあい、チッ素系難燃剤の多くは
メラミン・シアヌル酸付加物のように熱可塑性ポリエス
テル樹脂に対して非相溶であるため、非相溶性成分の増
加により、得られた樹脂組成物のペレットが輸送中に割
れたり、欠けたりして粉体成分が生じやすくなる問題が
あった。このようにして生成した粉体成分は、乾燥機の
フィルターを閉鎖したり、射出成形時にペレット輸送ラ
インの内壁を汚染したりする。特にこの問題は、チッ素
系難燃剤を比較的多量に添加した処方やチッ素系難燃剤
とともにガラス繊維などの無機充填剤を併用した処方に
求められ、上記に述べた成形品薄肉部の難燃性ととも
に、従来より改善が望まれていた課題である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以上のよ
うな問題を改善するべく鋭意検討を重ねた結果、驚くべ
きことに、熱可塑性ポリエステル樹脂に、有機リン系難
燃剤、特定平均粒径のメラミン・シアヌル酸付加物、官
能基を2個以上有する化合物、ガラス繊維、およびさら
に特定量のフッ素系樹脂を添加することで、成形品薄肉
部の難燃性および耐トラッキング性に優れ、かつペレッ
トの割れや欠けの少ない難燃性ポリエステル樹脂組成物
が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は、(1)下記の(A)
〜(F)成分からなり、それらの合計が100重量%で
あることを特徴とする難燃性ポリエステル樹脂組成物に
関する。
【0012】(A)熱可塑性ポリエステル樹脂:15〜
65重量% (B)有機リン系難燃剤:1〜25重量% (C)平均粒径60〜250μmのメラミン・シアヌル
酸付加物:2〜30重量% (D)官能基を2個以上有する化合物:0.05〜10
重量% (E)ガラス繊維:5〜50重量% (F)フッ素系樹脂:0.01〜5重量% さらに本発明は、(2)(A)成分の熱可塑性ポリエス
テル樹脂がポリアルキレンテレフタレート樹脂である前
記(1)項記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物に関す
る。
【0013】さらに本発明は、(3)(A)成分の熱可
塑性ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート樹
脂である前記(1)項または(2)項記載の難燃性ポリ
エステル樹脂組成物に関する。
【0014】さらに本発明は、(4)(B)成分の有機
リン系難燃剤が一般式(I):
【0015】
【化2】
【0016】(式中、R1〜R17はそれぞれ独立して水
素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Yは直接結合
またはメチレン基、炭素数2〜3のアルキレン基、−S
−、−SO2−、−O−、−CO−もしくは−N=N−
である2価の結合基、nは0または1、mは1〜10の
整数を示す)で表される縮合リン酸エステル系難燃剤で
ある前記(1)、(2)または(3)項記載の難燃性ポ
リエステル樹脂組成物に関する。
【0017】さらに本発明は、(5)(D)成分の官能
基を2個以上有する化合物がジエポキシ化合物である前
記(1)、(2)、(3)または(4)項記載の難燃性
ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明で使用する(A)成分の熱
可塑性ポリエステル樹脂とは、2価以上のカルボン酸成
分またはエステル形成能を持つそれらの誘導体、2価以
上のアルコール成分および/またはフェノール成分、あ
るいはエステル形成能を持つそれらの誘導体とを公知の
方法で重縮合して得られる飽和ポリエステル樹脂をい
う。これらの中でも加工性、機械的性質、電気的性質、
耐熱性などのバランスに優れるという点で、ポリアルキ
レンテレフタレート樹脂およびポリアルキレンナフタレ
ート樹脂が好ましい。ポリアルキレンテレフタレート樹
脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリヘキサメチ
レンテレフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチレ
ンテレフタレート樹脂などがあげられ、ポリアルキレン
ナフタレート樹脂の具体例としてはポリエチレンナフタ
レート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂などがあげ
られる。これらの中でも加工性、耐熱性、耐薬品性のバ
ランスがより優れる傾向にあるという点で、特にポリエ
チレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレー
ト樹脂が好ましい。
【0019】前記2価以上のカルボン酸成分としては、
炭素数8〜22の2価以上の芳香族カルボン酸、および
これらのエステル形成性誘導体が用いられる。これらの
具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル
酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフ
ェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4,4′−
ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)
エタン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン
ジカルボン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメ
リット酸等のカルボン酸、ならびにこれらのエステル形
成能を有する誘導体があげられる。これらは単独である
いは2種以上を併用して用いられる。これらの中でも、
得られる樹脂の物性、取り扱い性、反応の容易さに優れ
るという理由で、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸が好ましい。
【0020】2価以上のアルコールおよび/またはフェ
ノール成分としては、炭素数2〜15の脂肪族化合物、
炭素数6〜20の脂環式化合物、炭素数6〜40の芳香
族化合物であって分子内に2個以上の水酸基を有する化
合物類、ならびにこれらのエステル形成性誘導体などが
あげられる。このようなアルコールおよび/またはフェ
ノール成分の具体例としては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオー
ル、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロ
ヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,
2′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2′−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパ
ン、ハイドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトー
ルなどの化合物またはそれらのエステル形成能を有する
誘導体があげられる。これらの中でも、得られる樹脂の
物性、取り扱い性、反応の容易さに優れるという理由
で、エチレングリコール、ブタンジオールが好ましい。
【0021】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)には、上
記の酸成分ならびにアルコールおよび/またはフェノー
ル成分以外に、所望の特性を損なわない範囲で、公知の
共重合可能な成分が共重合されていても良い。このよう
な共重合可能な成分としては、炭素数4〜12の2価以
上の脂肪族カルボン酸、炭素数8〜15の2価以上の脂
環式カルボン酸などのカルボン酸類およびこれらのエス
テル形成性誘導体があげられる。これらの具体例として
は、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン
ジオン酸、マレイン酸、1,3−シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などのジ
カルボン酸、またはそれらのエステル形成能を有する誘
導体があげられる。
【0022】また、p−ヒドロキシ安息香酸のようなオ
キシ酸およびこれらのエステル形成性誘導体、ε−カプ
ロラクトンのような環状エステル等も共重合成分として
使用可能である。さらに、ポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・
プロピレンオキサイド)ブロックおよび/またはランダ
ム共重合体、ビスフェノールA共重合ポリエチレンオキ
シド付加重合体、同プロピレンオキシド付加重合体、同
テトラヒドロフラン付加重合体、ポリテトラメチレング
リコール等のポリアルキレングリコール単位を高分子鎖
中に一部共重合させたものを用いることもできる。
【0023】上記共重合可能な成分の共重合量として
は、概ね20重量%以下であり、好ましくは15重量%
以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0024】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)として好
ましいものは、アルキレンテレフタレート単位を好まし
くは80重量%以上、さらに好ましくは85重量%以
上、最も好ましくは90重量%以上有するポリアルキレ
ンテレフタレートであり、得られる組成物の物性バラン
スが優れる。
【0025】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の、フェ
ノール/テトラクロロエタン=1/1(重量比)の混合
溶媒中、25℃で測定したときの対数粘度は、好ましく
は0.30〜2.00dl/gであり、さらに好ましく
は0.40〜1.80dl/g、特に好ましくは0.5
0〜1.60dl/gである。対数粘度が前記範囲未満
では、成形体の難燃性や機械的強度が不充分であるばあ
いが多く、一方前記範囲を超えると成形流動性が低下す
る傾向がある。
【0026】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の使用量
は、本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物中15〜6
5重量%であり、好ましくは18〜63重量%であり、
さらに好ましくは20〜60重量%である。使用量が前
記範囲未満であると耐熱性、成形加工性が低下し、一方
前記範囲を超えると難燃性、耐トラッキング性が低下す
る傾向にある。
【0027】熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、単独
で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用できる。2
種以上組み合わせて使用するばあい、その組み合わせは
限定されない。たとえば、共重合成分や共重合比が異な
るもの、および/または、分子量が異なるものを、任意
に組み合わせられる。
【0028】本発明で使用する(B)成分としての有機
リン系難燃剤は、代表的には、ホスフェート、ホスホネ
ート、ホスフィネート、ホスフィンオキシド、ホスファ
イト、ホスホナイト、ホスフィナイト、ホスフィンなど
があげられる。このような有機リン系難燃剤の具体例と
しては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェ
ート、トリブチルホスフェート、トリス(2−エチルヘ
キシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホス
フェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホ
スフェート、トリキシリルホスフェート、トリス(イソ
プロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフ
ェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、ク
レジルジフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホ
スフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフ
ェート、ビス(イソプロピルフェニル)フェニルホスフ
ェート、フェニルジクレジルホスフェート、ビス(2−
エチルヘキシル)ホスフェート、モノイソデシルホスフ
ェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフ
ェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホス
フェート、ジフェニル2−アクリロイルオキシエチルホ
スフェート、ジフェニル2−メタクリロイルオキシエチ
ルホスフェート、トリフェニルホスファイト、トリス
(ノニルフェニル)ホスファイト、トリトリデシルホス
ファイト、ジブチルハイドロジエンホスファイト、トリ
フェニルホスフィンオキシド、トリクレジルホスフィン
オキシド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホス
ホン酸ジエチルなど、および、たとえば後述する一般式
(I)で表されるような縮合リン酸エステルなどの有機
リン系化合物などがあげられる。
【0029】これらの有機リン系難燃剤の中でも、成形
加工時にそれ自体が低揮発性でかつ熱安定性が良好で、
しかも熱可塑性ポリエステル樹脂(A)の熱安定性など
の物性を損ないにくいなどの理由から、一般式(I):
【0030】
【化3】
【0031】(式中、R1〜R17はそれぞれ独立して水
素原子または炭素数1〜4のアルキル基、Yは直接結合
またはメチレン基、炭素数2〜3のアルキレン基、−S
−、−SO2−、−O−、−CO−もしくは−N=N−
である2価の結合基、nは0または1、mは1〜10の
整数を示す)で表される縮合リン酸エステルおよびこれ
を主成分とするものが好ましい。R1〜R17で表わされ
る炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチルなどがあげられ、
分散性の観点よりメチルが好ましい。mが大きくなる
と、熱可塑性ポリエステル樹脂(A)に対する分散性が
低下し、難燃効果が低下する傾向があり、mは1〜10
の整数が好ましく、特に1〜7の整数が好ましい。
【0032】すなわち、核置換ベンゼン環を1つ以上も
ったジヒドロキシ化合物とリン酸と核置換フェノール類
が結合したものが好ましく、核置換ベンゼン環を1つ以
上もったジヒドロキシ化合物の例としては、レゾルシノ
ール類、ハイドロキノン類、ビフェノール類、ビスフェ
ノール類などがあげられ、核置換フェノール類の例とし
ては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチル
フェノール、トリメチルフェノールなどがあげられる。
【0033】前記縮合リン酸エステルの具体例として
は、たとえば、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフ
ェート)、メチルレゾルシノールビス(ジフェニルホス
フェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェ
ート)、ビフェノールビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェー
ト)、ビスフェノールSビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノールビス(ジクレジルホスフェー
ト)、メチルレゾルシノールビス(ジクレジルホスフェ
ート)、ハイドロキノンビス(ジクレジルホスフェー
ト)、ビフェノールビス(ジクレジルホスフェート)、
下記式(II)で表されるビスフェノールAビス(ジクレ
ジルホスフェート)、ビスフェノールSビス(ジクレジ
ルホスフェート)、レゾルシノールビス[(ジ−エチル
フェニル)ホスフェート]、メチルレゾルシノールビス
[(ジ−エチルフェニル)ホスフェート]、ハイドロキ
ノンビス[(ジ−エチルフェニル)ホスフェート]、ビ
フェノールビス[(ジ−エチルフェニル)ホスフェー
ト]、ビスフェノールAビス[(ジ−エチルフェニル)
ホスフェート]、ビスフェノールSビス[(ジ−エチル
フェニル)ホスフェート]、下記式(III)で表される
レゾルシノールビス[(ジ−2,6−キシリル)ホスフ
ェート]、メチルレゾルシノールビス[(ジ−2,6−
キシリル)ホスフェート]、下記式(IV)で表されるハ
イドロキノンビス[(ジ−2,6−キシリル)ホスフェ
ート]、ビフェノールビス[(ジ−2,6−キシリル)
ホスフェート]、ビスフェノールAビス[(ジ−2,6
−キシリル)ホスフェート]、ビスフェノールSビス
[(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート]、レゾルシ
ノールビス[(ジ−2,4,6−トリメチルフェニル)
ホスフェート]、メチルレゾルシノールビス[(ジ−
2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフェート]、ハ
イドロキノンビス[(ジ−2,4,6−トリメチルフェ
ニル)ホスフェート]、ビフェノールビス[(ジ−2,
4,6−フェニル)ホスフェート]、ビスフェノールA
ビス[(ジ−2,4,6−トリメチルフェニル)ホスフ
ェート]、ビスフェノールSビス[(ジ−2,4,6−
トリメチルフェニル)ホスフェート]およびこれらの縮
合物などがあげられる。
【0034】これらの中でも、熱安定性がより一層優れ
るとともに、成形時に金型などの金属部分に対する汚染
性が低いため、下記式(II)〜(IV)で表される縮合リ
ン酸エステルおよびこれらの縮合物が好ましい。
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】これらの有機リン系難燃剤は単独であるい
は2種以上を組み合わせて用いられる。2種以上組み合
わせて使用するばあい、その組み合わせは限定されな
い。たとえば、構造の異なるもの、および/または、分
子量の異なるものなどが任意に組み合わせられる。
【0039】有機リン系難燃剤(B)の添加量は難燃性
ポリエステル樹脂組成物中、1〜25重量%であり、好
ましくは2〜23重量%であり、特に好ましくは3〜2
0重量%である。添加量が前記範囲未満であると難燃性
が低下する傾向にあり、一方前記範囲を超えると機械的
強度、耐熱性、耐湿性が低下する傾向にある。
【0040】本発明で使用する(C)成分としてのメラ
ミン・シアヌル酸付加物とは、メラミン(2,4,6−
トリアミノ−1,3,5−トリアジン)とシアヌル酸
(2,4,6−トリヒドロキシ−1,3,5−トリアジ
ン)および/またはその互変異性体が形成する化合物で
あって、平均粒径が60〜250μmのものである。メ
ラミン・シアヌル酸付加物は、メラミンの溶液とシアヌ
ル酸の溶液を混合して塩を形成させる方法や一方の溶液
に他方を加えて溶解させながら塩を形成させる方法など
によって得ることができる。メラミンとシアヌル酸の混
合比には特に限定はないが、えられる付加物が熱可塑性
ポリエステル樹脂の熱安定性を損ないにくい点から、等
モルに近い方がよく、特に1:1が好ましい。メラミン
・シアヌル酸付加物(C)の平均粒径は60〜250μ
mであり、特に100〜200μmが好ましい。平均粒
径が前記範囲未満のばあいは、ペレットの割れ・欠けが
増加する傾向にあり、一方前記範囲を超えるばあいは、
難燃性、耐トラッキング性が低下する傾向があるのみな
らず、ペレットの割れ・欠けが増加する傾向にある。な
お、平均粒径は球体とみなした時の平均粒径であり、粒
子の写真を画像処理し、測定する方法などの常法により
測定できる。
【0041】メラミン・シアヌル酸付加物(C)の添加
量は、難燃性ポリエステル樹脂組成物中、2〜30重量
%であり、好ましくは3〜28重量%であり、特に好ま
しくは4〜25重量%である。添加量が前記範囲未満で
は難燃性、耐トラッキング性が低下する傾向にあり、一
方前記範囲を超えると押出加工性、耐湿性、成形性が低
下し、ペレットの割れ・欠けが増加する傾向にある。
【0042】本発明で使用する(D)成分としての官能
基を2個以上有する化合物(以下、官能基含有化合物
(D)という)は、メラミン・シアヌル酸付加物(C)
によって難燃性、電気的性質、潤滑性、可塑性、着色
性、平面平滑性、染色性を付与された熱可塑性ポリエス
テル樹脂の機械的強度、耐衝撃性、耐湿性、耐熱性等を
極力低下させないために使用するものである。
【0043】官能基含有化合物(D)は、メラミン・シ
アヌル酸付加物(C)と熱可塑性ポリエステル樹脂
(A)との親和性、相溶性を改善し、その結果、熱可塑
性ポリエステル樹脂(A)中でのメラミン・シアヌル酸
付加物(C)の分散性および密着性を改善しているもの
と考えられる。
【0044】官能基含有化合物(D)における官能基の
種類としては、エポキシ基、カルボン酸無水物基、イソ
シアネート基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、ア
ルデヒド基、カルボキシル基、アジリジニル基、シアネ
ート基があげられ、これらの基は1種含まれていてもよ
く、2種以上含まれていてもよい。
【0045】官能基含有化合物(D)における官能基の
数としては、前述のごとく2個以上であることがメラミ
ン・シアヌル酸付加物(C)と熱可塑性ポリエステル樹
脂(A)との結合性の観点から必要であるが、2〜3個
であることが特に好ましい。
【0046】前記官能基含有化合物(D)の具体例をあ
げると、エポキシ基を有する化合物としては、たとえば
ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビフェニル
型、フェノールノボラック型、ポリグリシジルアミン型
等のエポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、
テレフタル酸ジグリシジル等のジグリシジル化合物等
が、酸無水物基を有する化合物としては、たとえば無水
ピロメリット酸、無水メリット酸等の酸無水物基を2個
以上有する化合物等が、イソシアネート基を有する化合
物としては、たとえばフェニレンジイソシアネート、ト
リレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート
等のジイソシアネート化合物が、オキサゾリン基を有す
る化合物としては、たとえば2,2′−(1,3−フェ
ニレン)−ビス(2−オキサゾリン)、2,2′−
(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)等
のビスオキサゾリン化合物が、カルボジイミド基を有す
る化合物としては、たとえば、フェニレンジイソシアネ
ートやトリレンジイソシアネート等から誘導されるカル
ボジイミド化合物が、アルデヒド基を有する化合物とし
ては、たとえば1,4−ジホルミルベンゼン等のジアル
デヒド化合物が、カルボキシル基を有する化合物として
は、たとえばテレフタル酸、ジフェン酸等のジカルボン
酸化合物が、アジリジニル基を有する化合物としては、
たとえばトリスアジリジニルホスフィンオキシド、トリ
メチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオ
ネート等があげられる。これらは単独または2種以上併
用して用いてもよい。
【0047】前記官能基含有化合物(D)の中でも、メ
ラミン・シアヌル酸付加物(C)と熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)との結合性の観点から特にジエポキシ化合
物が好ましい。
【0048】官能基含有化合物(D)の分子量等につい
てとくに限定はないが、成形加工中での揮発性とメラミ
ン・シアヌル酸付加物(C)および熱可塑性ポリエステ
ル樹脂(A)との結合性の観点から分子量は100〜1
000のものが好ましく、また作業性の観点から常温で
の粘度が1000ポイズ以下の液体または常温で粉体の
ものが好ましい。
【0049】これら官能基含有化合物(D)の添加量は
0.05〜10重量%であり、好ましくは0.1〜8重
量%であり、特に好ましくは0.15〜5重量%であ
る。添加量が前記範囲未満であると機械的強度、耐衝撃
性、耐熱性、耐湿性が低下し、一方前記範囲を超えると
機械的強度、押出加工性、作業性、流動性が低下する傾
向がある。
【0050】本発明で使用する(E)成分としてのガラ
ス繊維は、通常一般的に使用されている公知のガラス繊
維を用いることができるが、作業性の観点で、集束剤に
て処理されたチョップドストランドガラス繊維を用いる
のが好ましい。また、樹脂とガラス繊維との密着性を高
めるため、ガラス繊維の表面をカップリング剤で処理し
たものが好ましく、バインダーを用いたものであっても
よい。
【0051】前記カップリング剤としては、たとえば、
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン
化合物が、またバインダーとしては、たとえば、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂等が好ましく使用されるが、これ
らに限定されるものではない。これらガラス繊維は1種
または2種以上を併用して使用することができる。
【0052】前記ガラス繊維(E)の繊維径は1〜20
μm、繊維長は0.01〜50mmが好ましい。繊維径
が1μm未満であると添加しても期待するような補強効
果が得られない傾向があり、一方20μmを超えると流
動性や成形品表面性が低下する傾向があり、好ましくな
い。繊維長が0.01mm未満であると添加しても期待
するような樹脂補強効果が得られない傾向があり、一方
50mmを超えると流動性や成形品表面性が低下する傾
向があり、好ましくない。
【0053】前記ガラス繊維(E)の使用量は、難燃性
ポリエステル樹脂組成物中、5〜50重量%が好まし
く、10〜45重量%が特に好ましい。使用量が前記範
囲未満であると充分な樹脂補強効果が得られず、耐熱
性、難燃性が低下する傾向があり、一方前記範囲を超え
ると押出加工性や成形性が低下し、ペレットの割れ・欠
けが増加する傾向がある。
【0054】本発明で使用する(F)成分としてのフッ
素系樹脂とは樹脂中にフッ素原子を有する樹脂であり、
成形品薄肉部の難燃性およびペレットの割れや欠けを少
なくするために使用される成分である。該フッ素系樹脂
の具体例としては、ポリモノフルオロエチレン、ポリジ
フルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、ポリテ
トラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体などをあげることができ
る。また、得られた成形品の難燃性などの物性を損なわ
ない範囲内で必要に応じ、該フッ素樹脂の製造に用いる
単量体と他のフッ素原子を含有しない共重合可能な単量
体とを併用して重合してえられた共重合体を用いてもよ
い。これらのフッ素系樹脂は1種あるいは2種以上を組
み合わせて用いられる。
【0055】フッ素系樹脂(F)の分子量は、100万
〜2000万が好ましく、さらに好ましくは200万〜
1000万である。これらフッ素系樹脂の製造方法に関
しては、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合など
の通常の公知の方法によりうることができる。
【0056】フッ素系樹脂(F)の添加量は、難燃性ポ
リエステル樹脂組成物中、0.01〜5重量%であり、
好ましくは0.05〜4重量%、さらに好ましくは0.
1〜3.5重量%である。添加量が前記範囲未満では、
難燃性やペレットの割れ、欠けを改善する効果が小さ
く、一方前記範囲を超えると成形性などが低下する傾向
がある。
【0057】本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物に
は、必要に応じてさらに他の配合剤、たとえば無機系、
有機系の難燃剤、難燃補助剤、強化剤、ヒンダードフェ
ノール化合物、ホスファイト化合物、チオエーテル化合
物、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、結晶
核剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、他のポリマー等を、
本発明の目的を損なわない程度に配合することができ
る。
【0058】本発明の組成物の製造方法は特に限定され
るものではない。たとえば上記成分、および他の添加
剤、樹脂等を乾燥後、単軸、2軸等の押出機のような溶
融混練機にて、溶融混練する方法等により製造すること
ができる。また、配合剤が液体であるばあいは、液体供
給ポンプなどを用いて2軸押出機に途中添加して製造す
ることもできる。
【0059】本発明の組成物は各種の成形法により種々
の形態、たとえば各種成形品、シート、パイプ、ボトル
等に成形することができる。しかも、高度な難燃性を有
し、かつその他の特性とのバランスが良好であるため、
家電、OA機器等の電子・電気部品等の射出成形品等に
好適に使用される。特に、優れた絶縁破壊強度、耐アー
ク性、耐トラッキング性等の電気特性を活かした用途と
して、ブレーカー部品、スイッチ部品、モーター部品、
イグニッションコイルケース、電源プラグ、電源コンセ
ント、コイルボビン、コネクターターミナル、ヒューズ
ケース等に好適に使用される。
【0060】
【実施例】次に実施例をあげて本発明の組成物を具体的
に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。
【0061】実施例1 熱可塑性ポリエステル樹脂(A)として、対数粘度(フ
ェノール/テトラクロロエタン=1/1(重量比)の混
合溶媒中、25℃で測定、以下同様)が0.65dl/
gで充分に乾燥したポリエチレンテレフタレート樹脂
(a−1)40重量%(えられる最終組成物中の比率を
意味する、以下同様)と、官能基含有化合物(D)とし
てビスフェノールA型エポキシ樹脂(d−1)(油化シ
ェルエポキシ株式会社製エピコート828)を1.5重
量%をドライブレンドし、次いでメラミン・シアヌル酸
付加物(C)(日産化学株式会社製MC440、平均粒
径140μm)15重量%、フッ素系樹脂(F)として
ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業株式会社製
ポリフロンFA−500)0.5重量%、酸化防止剤と
してテトラキスメチレン−3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシハイドロシンナメートメタン(旭電
化株式会社製アデカスタブAO−60)1重量%を加え
さらにドライブレンドした。この混合物をシリンダー温
度を270〜280℃に設定したベント式45mmφ同
方向2軸押出機(日本製鋼所株式会社製TEX44)の
ホッパーに供給するとともに、有機リン系難燃剤(B)
としてビスフェノールAビス(ジクレジルホスフェー
ト)(b−1)(大八化学株式会社製CR747)12
重量%を液体添加ポンプを用いて、ガラス繊維(E)
(日本電気硝子株式会社製T−195H/P、直径11
μm、長さ3mm)30重量%をサイドフィーダーを用
いそれぞれ押出機の途中から添加して、溶融混練するこ
とでペレットを得た。
【0062】得られたペレットを140℃で4時間乾燥
後、射出成形機(型締め圧:50トン)を用いて、シリ
ンダー温度:280℃〜250℃、金型温度:100℃
にて厚さ3.2mmのダンベル、厚さが6.4mmまた
は0.8mmのバー(各々、長さ:127mm、幅:1
2.7mm)を、射出成型機(型締め圧:75トン)を
用いて、シリンダー温度:280℃〜250℃、金型温
度:100℃にて大きさ120mm×120mm、厚さ
3mmの平板をそれぞれ射出成形した。これらの試験片
を用い、下記基準にしたがって物性を評価した。結果を
表1に示す。
【0063】<難燃性>UL−94規格にしたがって、
厚さ0.8mmバーの難燃性を評価した。なお、難燃性
評価結果のnot−VはUL−94規格不適合であるこ
とを示す。
【0064】<機械的強度>ASTM D−638にし
たがって、厚さ3.2mmダンベルの引張強度を評価し
た。
【0065】<耐熱性>ASTM D−648にしたが
って、荷重1.82MPaにて、厚さ6.4mmバーの
荷重たわみ温度[HDT]を評価した。
【0066】<耐トラッキング性>平板を切削して得ら
れた20mm×20mm、厚さ3mmの試験片を用い、
IEC規格(Pub.112)にしたがって、比較トラ
ッキング指数[CTI]を評価した。
【0067】<ペレット割れ・欠け>タンブラー(直
径:40cm、高さ:100cm)を用いてペレット5
kgを回転数30回転/分で10分間撹拌した。次い
で、タンブラーよりペレット排出した後、タンブラー内
壁の粉体成分の付着状況を目視で確認し、下記基準で評
価した。
【0068】 ○:粉体成分がわずかに付着している。
【0069】 ×:粉体成分が内壁一面に付着している。
【0070】実施例2〜5 各配合剤を表1に示した量に変更した以外は、実施例1
と同様にして樹脂組成物を得た。ただし、配合剤は以下
のものを用いた。評価結果を表1に示す。
【0071】熱可塑性ポリエステル樹脂(A): ・対数粘度が0.75dl/gであるポリエチレンテレ
フタレート樹脂(a−2) ・対数粘度が0.85dl/gであるポリブチレンテレ
フタレート樹脂(a−3) 有機リン系難燃剤(B): ・レゾルシノールビス(ジ−2,6−キシリルホスフェ
ート)(大八化学工業株式会社製PX200)(b−2) ・ハイドロキノンビス(ジ−2,6−キシリルホスフェ
ート)(大八化学工業株式会社製PX201)(b−3) 官能基含有化合物(D): ・ポリカルボジイミド(平泉洋行株式会社製スタバクゾ
ール)(d−2) 比較例1〜12 各配合剤を表2に示した量に変更した以外は、実施例1
と同様にして樹脂組成物を得た。ただしメラミン・シア
ヌル酸付加物(C)として以下のものを用いた。評価結
果を表2に示す。
【0072】メラミン・シアヌル酸付加物(C): ・日産化学株式会社MC690(平均粒径3μm)(C
−2) ・日産化学株式会社MC711(平均粒径260μm)
(C−3)
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】実施例の結果を示す表1と比較例の結果を
示す表2の対比から明らかなように、本発明の難燃性ポ
リエステル樹脂組成物は成形品薄肉部の難燃性、耐トラ
ッキング性に優れており、かつペレットの割れ・欠けが
少ないことがわかる。
【0076】
【発明の効果】本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物
は、成形品薄肉部の難燃性、耐トラッキング性に優れ、
かつペレットの割れ・欠けが少なく、臭素および塩素系
難燃剤、アンチモン化合物を含有していない。したがっ
て、本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物は電気・電
子部品などの成形材料として好適に使用でき、工業的に
有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/521 C08K 5/521 7/14 7/14 //(C08L 67/02 27:12)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の(A)〜(F)成分からなり、そ
    れらの合計が100重量%であることを特徴とする難燃
    性ポリエステル樹脂組成物。 (A)熱可塑性ポリエステル樹脂:15〜65重量% (B)有機リン系難燃剤:1〜25重量% (C)平均粒径60〜250μmのメラミン・シアヌル
    酸付加物:2〜30重量% (D)官能基を2個以上有する化合物:0.05〜10
    重量% (E)ガラス繊維:5〜50重量% (F)フッ素系樹脂:0.01〜5重量%
  2. 【請求項2】 (A)成分の熱可塑性ポリエステル樹脂
    がポリアルキレンテレフタレート樹脂である請求項1記
    載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)成分の熱可塑性ポリエステル樹脂
    がポリエチレンテレフタレート樹脂である請求項1また
    は2記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (B)成分の有機リン系難燃剤が一般式
    (I): 【化1】 (式中、R1〜R17はそれぞれ独立して水素原子または
    炭素数1〜4のアルキル基、Yは直接結合またはメチレ
    ン基、炭素数2〜3のアルキレン基、−S−、−SO2
    −、−O−、−CO−もしくは−N=N−である2価の
    結合基、nは0または1、mは1〜10の整数を示す)
    で表される縮合リン酸エステル系難燃剤である請求項
    1、2または3記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (D)成分の官能基を2個以上有する化
    合物がジエポキシ化合物である請求項1、2、3または
    4記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
JP12752997A 1997-05-16 1997-05-16 難燃性ポリエステル樹脂組成物 Pending JPH10316843A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12752997A JPH10316843A (ja) 1997-05-16 1997-05-16 難燃性ポリエステル樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12752997A JPH10316843A (ja) 1997-05-16 1997-05-16 難燃性ポリエステル樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10316843A true JPH10316843A (ja) 1998-12-02

Family

ID=14962282

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12752997A Pending JPH10316843A (ja) 1997-05-16 1997-05-16 難燃性ポリエステル樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10316843A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6753476B1 (en) * 1999-10-28 2004-06-22 Sony Chemicals Corporation Flame-retardant adhesives and circuit materials with the use of the same
JP2005325214A (ja) * 2004-05-13 2005-11-24 Toray Ind Inc 難燃性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物
JP2007112858A (ja) * 2005-10-19 2007-05-10 Wintech Polymer Ltd ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法
JP2013532205A (ja) * 2010-06-11 2013-08-15 東レ株式会社 難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその成形品
CN113574104A (zh) * 2019-03-25 2021-10-29 宝理塑料株式会社 热塑性树脂的耐电痕性改善方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6753476B1 (en) * 1999-10-28 2004-06-22 Sony Chemicals Corporation Flame-retardant adhesives and circuit materials with the use of the same
JP2005325214A (ja) * 2004-05-13 2005-11-24 Toray Ind Inc 難燃性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物
JP2007112858A (ja) * 2005-10-19 2007-05-10 Wintech Polymer Ltd ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法
JP2013532205A (ja) * 2010-06-11 2013-08-15 東レ株式会社 難燃性ポリエステル樹脂組成物およびその成形品
CN113574104A (zh) * 2019-03-25 2021-10-29 宝理塑料株式会社 热塑性树脂的耐电痕性改善方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2006106824A1 (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
WO2004029154A1 (ja) 難燃性ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物および成形品
CN1894319A (zh) 阻燃性聚酯组合物
WO1996037555A1 (fr) Composition de resine ignifuge
WO2018073818A1 (en) Flame-retarded polyester compositions
US20210340352A1 (en) Low smoke halogen free flame retardant thermoplastic elastomer compositions
WO2018073819A1 (en) Flame-retarded polyester formulations
KR101632571B1 (ko) 기계적 특성이 우수한 비할로겐 난연화 폴리에스테르 수지 조성물 및 이의 성형품
JPH09143350A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP3742522B2 (ja) 強化難燃性ポリエステル樹脂組成物
JPH10316843A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP2005179439A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP2011213951A (ja) 難燃性ポリエステル系樹脂組成物
JP2000119494A (ja) 強化難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP2005306975A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP3697087B2 (ja) 強化難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP3633163B2 (ja) 難燃性樹脂組成物
JP2019044037A (ja) 熱可塑性ポリエステル樹脂組成物および成形品
US20150218366A1 (en) Flame-retardant polyester resin compositions
JPH11323105A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JPH11140290A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JPH10120881A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP2001302894A (ja) 難燃静電防止性ポリエステル樹脂組成物
JP2000212411A (ja) 難燃性ポリエステル樹脂組成物
JP2002226684A (ja) 難燃性熱可塑性樹脂組成物