JP2001064473A - 柔軟性シラン架橋ポリオレフィン及び絶縁電線 - Google Patents
柔軟性シラン架橋ポリオレフィン及び絶縁電線Info
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Abstract
℃)での機械的特性、架橋特性、機械的強度及び生産性
に優れた柔軟性シラン架橋ポリオレフィン及び絶縁電線
を提供すること。 【解決手段】 下記の(a)〜(d)からなる組成物を、ベー
スポリマーの結晶融点よりも高い温度において溶融混合
して成形し、次いで水分と接触させて架橋し、架橋後の
曲げこわさが、40MPa以下である柔軟性シラン架橋
ポリオレフィン。 (a)エチレンと少なくとも1種以上の炭素数が4〜12
のα−オレフィンからなる実質的に線状であるオレフィ
ン共重合体のベースポリマーA、(b)直鎖状中低密ポリ
エチレンのベースポリマーB、(c)有機不飽和シラン及
び遊離ラジカル発生剤を含有させた実質的に水の存在し
ないキャリアポリマーA、(d)シラノール縮合触媒及び
酸化防止剤を含有させたキャリアポリマーB
Description
でかつ押出加工性に優れ、さらに高温(250℃)での
機械的特性の低下を著しく抑制した、柔軟性シラン架橋
ポリオレフィン及びポリオレフィン系ゴム絶縁電線など
に取って代わるフレキシブルな絶縁電線の製造方法に関
するものである。
は、柔軟性に優れ、さらに耐熱変形性に優れたエチレン
・プロピレン系ゴム絶縁電線が使用されている。しかし
ながら、エチレン・プロピレン系ゴムを架橋させる方法
として、加硫することが必要である為に作業効率が悪
く、経済的な問題が避けられない。即ち、押出被覆直後
に引取機あるいは巻取ドラム中にて、外力がかかり被覆
層に永久変形が生じる不都合があるため、冷却工程及び
加硫工程を充分に取る必要がある。そのために、ケーブ
ル製造線速を遅くしたり、冷却水槽を著しく長くする必
要があり、経済的な問題は避けられない。また、機械的
強度が低いという欠点があった。一方、従来ポリオレフ
ィンを架橋させる簡便な方法としては、該ポリオレフィ
ンに遊離ラジカル発生剤の存在下で有機不飽和シランを
グラフト反応させてシラングラフト化した後、このシラ
ングラグトマーをシラノール縮合触媒の存在下で水分と
接触させて架橋させる所謂シラン架橋法が一般に知られ
ている。例えば特公昭48−1711号公報、特開昭5
7−49109号公報等に開示されている。しかし、こ
の方法は少なくとも二工程を伴う。即ちシラングラフト
化反応工程及びシラノール縮合反応工程である。従って
少なくとも二回の押出工程を経る事となり、最終製品と
しての経済的な問題が避けられない。また一工程プロセ
スとしてはモノシール法がある。しかし、この方法は有
機不飽和シランを液状で押出機に注入する液添装置が必
要であるが、滑りや計量不良の問題がある。また押出機
も少量添加物を均一分散する為にL/Dの大きな高価で
特殊なタイプが必要であり、経済的な問題が避けられな
い。更に押出においても非常に高度な技術が必要であ
る。更に一工程プロセスとしては、シランを固体キャリ
アーポリマーに導入したシラン架橋方法が特開平3−1
67229号公報に開示されている。しかし、この方法
は固体キャリアーポリマーとしては多孔質ポリマー或い
はEVAであり、シラン及び遊離ラジカル発生剤の他に
シラノール縮合触媒、酸化防止剤等の添加剤も固体キャ
リアーポリマーに導入している。この為シランの縮合に
よるオリゴマー化或いはラジカル捕捉による架橋阻害に
より架橋効率や保存性が劣るという問題があった。この
ため、本発明らは、柔軟で押出加工性に優れたポリオレ
フィンのシラン架橋をえるため、ベースポリマーとして
シングルサイト触媒を使用した実質的に線状であるエチ
レンと1−オクテンコポリマーを使用し、シラン等を高
濃度に含有したキャリアーポリマーA及びシラノール縮
合触媒等を含有したキャリアーポリマーBにより、一工
程で成形したシラン架橋ポリオレフィンを出願した(特
開平11−172001号公報)。しかし、この方法で
も、絶縁電線に使用される場合に高温(250℃)での
機械的特性及び押出加工性が不充分であった。
加工性に優れたポリオレフィンのシラン架橋において、
有機不飽和シラン等を高濃度に含有したキャリアーポリ
マーA及びシラノール縮合触媒等を含有したキャリアー
ポリマーBにより、一工程で成形した、高温(250
℃)での機械的特性の低下を著しく抑制し、かつ曲げ施
工性、耐熱変形性、及び生産性に優れた柔軟性シラン架
橋ポリオレフィン及び絶縁電線の提供を目的としたもの
である。
(b)=1:1〜9:1であるベースポリマーと(c)+(d)
=3〜15重量%であるキャリアポリマーからなる組成
物をベースポリマーの結晶融点よりも高い温度において
溶融混合して成形し、次いで水分と接触させて架橋し、
架橋後の曲げこわさが、JIS K 7106の片持ち
ばりによるプラスチックの曲げこわさ試験方法において
40MPa以下である柔軟性シラン架橋ポリオレフィン
である。 (a)密度が0.85〜0.89g/cm3、メルトインデ
ックス(190℃、2.16kgf)が0.3〜20g
/10min、分子量分布(Mw/Mn)が3未満であ
る、エチレンと少なくとも1種以上の炭素数が4〜12
のα−オレフィンからなる実質的に線状であるオレフィ
ン共重合体のベースポリマーA (b)密度が0.91〜0.94g/cm3、メルトインデ
ックス(190℃、2.16kgf)が0.3〜20g
/10min、分子量分布(Mw/Mn)が4〜14で
ある直鎖状中低密ポリエチレンのベースポリマーB (c)一般式RR’SiY2(Rは1価のオレフィン性不飽
和炭化水素基、Yは加水分解しうる有機基、R’は脂肪
族不飽和炭化水素以外の1価の炭化水素基あるいはYと
同じもの)で表され、添加量がポリマーの全重量を基準
にして0.1〜5重量%である有機不飽和シラン及び添
加量がポリマー全重量を基準にして0.01〜0.5重
量%である遊離ラジカル発生剤を含有させた実質的に水
の存在しないキャリアポリマーA (d)添加量がポリマーの全重量を基準にして0.01〜
0.2重量%であるシラノール縮合触媒及び酸化防止剤
を含有させたキャリアポリマーB 好ましくは前記ベースポリマーAの実質的に線状である
オレフィン共重合体がメタロセン系触媒を用いて製造
し、前記ベースポリマーAの実質的に線状であるオレフ
ィン共重合体中のα−オレフィンの少なくとも1つが1
−オクテンであるポリマーであり、前記ベースポリマー
AとベースポリマーBの平均分子量分布(Mw/Mn)
が3.5〜8であり、前記キャリアポリマーAがエチレ
ン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン
−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、少なく
とも1個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロ
ックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とす
る重合体ブロックからなるブロック共重合体を水素添加
して得られる水添ブロック共重合体及びこれらの混合物
からなる群より選ばれたポリマーであり、前記キャリア
ポリマーBがポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン
とα−オレフィンの共重合体及びこれらの混合物からな
る群より選ばれたポリマーである柔軟性シラン架橋ポリ
オレフィンである。更には、前記柔軟性シラン架橋ポリ
オレフィンを導体上に押出被覆し、水分と接触させて架
橋させる絶縁電線である。
本発明のベースポリマーAの実質的に線状であるオレフ
ィン共重合体は、エチレン及び少なくとも1種以上の炭
素数4〜12のα−オレフィンからなる共重合体であっ
て、特定の密度、メルトインデックス及び特定の分子量
分布を有していることを特徴としている。本発明にて用
いられるベースポリマーAの実質的に線状であるオレフ
ィン共重合体は、公知のメタロセン系触媒により製造さ
れることができる。本発明にて用いられるベースポリマ
ーAの実質的に線状であるオレフィン共重合体は、チー
グラー系触媒等を用いる従来のもと比較して重合触媒が
異なり、且つ得られる重合体の性質も従来のものと比較
して大きく異なっている。メタロセン系重合触媒を用い
た実質的に線状であるオレフィン系重合体の特徴を列挙
すると、 1.重合触媒が超高活性であるため、コモノマーのα−
オレフィンの組成を従来より大幅に高めることが可能と
なり、可塑剤を含まない状態でも柔軟性に富むエラスト
マー状の重合体が得られる。 2.チーグラー系ポリマーと比較してコモノマーの分布
が均一である。 3.チーグラー系ポリマーと比較して分子量分布が極め
てシャープであり、低分子量成分が極めて少なく、低臭
気、耐塩素水性、易架橋性、耐磨耗性、機械的強度、及
び加工性に優れ、高品質である。 4.分子量分布がシャープであるにもかかわらず、長鎖
分岐を導入した場合はASTM D1238により規定
される190℃/10kgfにおけるメルトインデック
ス(I10)と、190℃/2.16kgfにおけるメル
トインデックス(I2)との比(I10/I2)の値が大き
く、加工性に優れる。 5.耐候性に大変優れている。等である。
は、例えば、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−
1、4−メチルペンテン−1、ヘプテンー1、オクテン
−1、ノネン−1、デセンー1、ウンデセン−1、ドデ
セン−1、等が挙げられる。α−オレフィンとしては、
1−オクテンがより好ましい。この場合、機械的強度の
より一層の向上が見込まれる。メタロセン系触媒とは、
チタン、ジルコニウム等の 族金属のシクロペンタジエ
ニル誘導体と助触媒からなり、重合触媒として超高活性
であるだけでなく、従来の触媒、例えばチーグラー系触
媒と比較して、得られる重合体の分子量分布が狭く、共
重合体中のコモノマーである炭素数4〜12のα−オレ
フィンの分布が均一であり、触媒種が均一であることを
特徴としている。また、チーグラー触媒によるエチレン
とα−オレフィンの共重合体であるオレフィン系重合体
では、上記のメルトインデックス比(I10/I2)と分
子量分布は、ほぼ直線的な比例関係を示し、メルトイン
デックス比の増加とともに分子量分布も増大する傾向を
示す。分子量分布は3〜10程度である。一方、メタロ
セン系触媒によるオレフィン系重合体ではメルトインデ
ックス比の値の如何にかかわらず、分子量分布は3.0
未満のシャープな値となり、低分子量成分が極めて少な
い。このため、本発明の柔軟性シラン架橋ポリオレフィ
ンのベースポリマーAの実質的に線状であるオレフィン
系共重合体の低臭気性、耐塩素水性、易架橋性、機械的
強度、耐磨耗性及び加工性は大変優れている。 (1)線状もしくは実質的に線状であるオレフィン系共
重合体が示す分子量分布の測定 本発明の線状もしくは実質的に線状であるオレフィン系
共重合体が示す分子量分布の測定はゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(以下GPC)により算出され
る。GPC装置は及び測定法は特に限定はないが、本発
明者は下記の装置及び測定法を用いた。 1.装置 Waters 150C高温クロマトグラフ
ィー 2.カラム Laboratories 103、10
4、105、及び106 3.溶媒 1,2,4−トリクロロベンゼン 4.測定温度 140℃ 5.標準物質 ポリスチレン (2)実質的に線状であるオレフィン系共重合体 本発明のベースポリマーAの「実質的に線状である」オ
レフィン系共重合体とは、このポリマーのバックボーン
が炭素1000個当たり0.01個の長鎖分岐から炭素
1000個当たり3個の長鎖分岐で置換されていること
を意味しており、上記のメルトインデックス比(I10/
I2)が5以上と大きく、良好な押出成形性を与える。
本明細書では、少なくとも約6個の炭素から成る鎖長と
して長鎖分岐を定義し、13C核磁気共鳴(NMR)分
光法を用いて長鎖分岐を測定し、そしてRandall
の方法(Rev.Macromol.Chem.Phy
s.、C29(2&3)、285−297貢)を用いて
それの定量を行う。これに対し、「線状」オレフィン系
共重合体という用語は、このオレフィンコポリマーが長
鎖分岐を含んでいないことを意味している。また、本発
明のベースポリマーAの実質的に線状であるオレフィン
系共重合体は重合時にメタロセン系触媒のうち適切な拘
束幾何触媒(constrained geometr
ycatalysts)を用いて製造する。米国特許第
5,026,798号の中に教示されているモノシクロ
ペンタジエニル遷移金属のオレフィン重合触媒もまた、
反応条件が以下に明記するが如くであることを条件とし
て、本発明のベースポリマーAの実質的に線状であるオ
レフィン共重合体の製造で用いるに適切である。本発明
のベースポリマーAの実質的に線状であるオレフィン共
重合体の製造で用いるに適切な共触媒には、これらに限
定するものでないが、例えばポリマー状もしくはオリゴ
マー状のアルミノキサン類、特にメチルアルミノキサ
ン、並びに不活性であり、適合性を示し、配位しない、
イオンを生じる化合物などが含まれる。好適な共触媒
は、配位しない不活性なホウ素化合物である。 (3)実質的に線状であるオレフィン系共重合体の重合 本発明のベースポリマーAの実質的に線状であるオレフ
ィン系共重合体を製造するのに適した重合条件は、一般
に、溶液重合方法で有効な条件であるが、本発明の出願
はそれに限定するものではない。スラリーおよび気相重
合方法もまた、適当な触媒および重合条件を用いること
を条件として有効である。本発明のベースポリマーAの
実質的に線状であるオレフィン系共重合体の製造では、
多重反応槽重合法、例えば米国特許第3,914,34
2号の中に開示されている重合方法なども使用可能であ
る。この多重反応槽の1つの中で少なくとも1種の拘束
幾何触媒を用いこれらの反応槽を直列もしくは並列運転
することができる。
質的に線状であるオレフィン系重合体の密度は0.85
〜0.89g/cm3の範囲である。0.85g/cm3
未満のものは工業的に製造し難い。0.89g/cm3
を超えると所望の柔軟性が得られない。また、本発明に
用いられるベースポリマーAの実質的に線状であるオレ
フィン系重合体のメルトインデックス(I2)は0.3
〜20g/10min(190℃/2.16kg荷重)
の範囲である。0.3g/10min未満では押出加工
性が劣り、20g/10minを超えると架橋度が低下
し、所望の高温(250℃)での機械的特性が得られな
い。本発明に用いられるベースポリマーBの直鎖状中低
密ポリエチレンは、高温(250℃)での機械的特性の
低下を抑制し、さらに押出加工性を向上する目的で添加
される。本発明に用いられるベースポリマーBの直鎖状
中低密ポリエチレンは、チーグラー系触媒、クロム系触
媒等の各種触媒を用い、中低圧下又は高圧下において、
気相法、溶液法、懸濁重合法等の各種の重合法によるエ
チレンを主成分としたα−オレフィンとの共重合体であ
る。前記α−オレフィンとしては、C3〜C12の例え
ばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、オクテン−
1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセン−
1、4,4−ジメチルペンテン−1、ノネン−1、デセ
ン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等を挙げること
ができる。本発明に用いられるベースポリマーBの直鎖
状中低密ポリエチレンの密度は0.91〜0.94g/
cm3の範囲である。0.91g/cm3未満では高温
(250℃)での機械的特性の低下を抑制できず、0.
94g/cm3を超えると所望の柔軟性が得られない。
また、本発明に用いられるベースポリマーBの直鎖状中
低密ポリエチレンのメルトインデックス(I2)は0.
3〜20g/10min(190℃/2.16kg荷
重)の範囲である。0.3g/10min未満では押出
加工性が劣り、20g/10minを超えると架橋度が
低下し、所望の高温(250℃)での機械的特性が得ら
れない。また、本発明に用いられるベースポリマーBの
直鎖状中低密ポリエチレンの分子量分布(Mw/Mn)
は4〜14の範囲である。4未満では押出加工性が劣
り、14を超えると架橋度が低下し、所望の高温(25
0℃)での機械的特性が得られない。本発明に用いられ
るベースポリマーの添加量はベースポリマーAとベース
ポリマーBの比率が1:1〜9:1の範囲である。ベー
スポリマーBが前記比率以下では高温(250℃)での
機械的特性が得られず、また前記比率以上では所望の柔
軟性が得らない。また、本発明に用いられるベースポリ
マーの混合物の平均分子量分布(Mw/Mn)は3.5
〜8の範囲である。3.5未満では押出加工性が劣り、
8を超えると架橋度が低下し、所望の高温(250℃)
での機械的特性が得られない。 ベースポリマーの混合物の平均分子量分布=(ベースポ
リマーAの平均分子量分布×ベースポリマーAの配合量
+ベースポリマーBの平均分子量分布×ベースポリマー
Bの配合量)/ベースポリマーの配合量
ンA及びベースレジンB相互の架橋点となるべくベース
レジンA及びベースレジンBにグラフト化されるもので
ある。本発明において使用される有機不飽和シランとし
ては、一般式RR'SiY2(Rは1価のオレフィン性不飽和炭
化水素基、Yは加水分解しうる有機基、R'は脂肪族不飽
和炭化水素以外の1価の炭化水素基あるいはYと同じも
の)で表される化合物が使用される。R'がYと同一で一
般式RSiY3で表される有機不飽和シランを使用するのが
望ましく、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、アリル
トリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン等が挙
げられる。これらの添加量としてはポリマーの全重量を
基準にして0.1〜5重量%、好ましくは0.7〜3重
量%である。0.1重量%未満では充分なグラフト化が
起こらず、又5重量%を超えると成形不良を起こすとと
もに経済的でなくなる。
ラフト化反応の開始剤として働く。本発明において使用
される遊離ラジカル発生剤には、重合開始作用の強い種
々の有機過酸化物及びパーエステル、例えばジクミルパ
ーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ
−m−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオ
キサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−ベン
ゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパー
オキシピバレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート等の中から選ばれる1種または2種以上
の有機過酸化物が使用される。これらの添加量としては
ポリマーの全重量を基準にして0.01〜0.5重量
%、好ましくは0.015〜0.2重量%である。0.
01重量%未満では充分なシラングラフト化反応が進行
せず、また0.5重量%を超えると押出加工性が低下す
るとともに成形表面が悪くなる。
ジカル発生剤をシランに溶解した液体混合物をこのシラ
ンの液体混合物で膨潤させることによって加入すること
ができる。この時シランを高濃度に加入させる為にはキ
ャリヤーポリマーAの予熱が必要であるが、ポリマーが
溶融しないように結晶融点以下の温度でなければならな
い。又キャリヤーポリマーAは、粒状形であり且つ架橋
するベースポリマーA及びベースポリマーB及びシラン
と相溶性の個体でなければならない。相溶性とは、キャ
リヤーポリマーAがシランと容易に反応してはならず、
且つベースポリマーA及びベースポリマーBに分散可能
或いは可溶性でなければならないことを意味する。適し
たキャリヤーポリマーAは非吸湿性である。即ちシラン
の早期加水分解及び縮合の可能性を最小にする為に水分
の吸収が比較的遅いのが好ましい。何れにしても、キャ
リヤーポリマーAは実質的に水が存在すべきでない。本
発明のキャリヤーポリマーAはグラニュール、或いはペ
レットの形の粒状物にするのが普通であり、好ましい形
はペレットである。本発明において使用されるキャリヤ
ーポリマーAとしては、例えばエチレンーエチルアクリ
レート共重合体(EEA)、エチレンーメチルメタクリ
レート共重合体(EMMA)、少なくとも1個のビニル
芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくと
も1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック
よりなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添
ブロック共重合体、例えば水添スチレン−イソプレンブ
ロック共重合体(SEPS)、水添スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体(SEBS)等であり、及びこれら
の混合物を挙げることができる。
ル縮合触媒及び酸化防止剤等を混練し造粒することによ
り加入することができる。又キャリヤーポリマーBは粒
状形であり且つ架橋するベースポリマーと相溶性の固体
でなければならない。本発明のキャリヤーポリマーBは
グラニュール、或いはペレットの形の粒状物にするのが
普通であり、好ましい形はペレットである。本発明にお
いて使用されるキャリヤーポリマーBとしては、例えば
ポレエチレン、ポリプロピレン、エチレンとα−オレフ
ィンの共重合体、α−オレフィンとしてはC3〜C12
の例えばプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、オク
テン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルヘキセ
ン−1、4,4−ジメチルペンテン−1、ノネン−1、
デセン−1、ウンデセン−1、ドデセン−1等であり、
及びこれらの混合物を挙げることができる。
ブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、酢
酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオク
トエート、ナフテン酸鉛、カプリル酸亜鉛、ナフテン酸
コバルト、チタン酸テトラブチルエステル、ステアリン
酸鉛、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カドミウム、ス
テアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の有機
金属化合物が挙げられる。これらの添加量としては、ポ
リマーの全重量を基準として0.01〜0.2重量%、
好ましくは0.02〜0.1重量%である。0.01重
量%未満では十分な架橋反応が進まず、又0.2重量%
を超えると押出時に押出機内で局部的に架橋が進行し外
観が著しく悪化する。又シラノール縮合触媒はキャリヤ
ーポリマーBに加入しなければならない。これはキャリ
ヤーポリマーAに加入するとシランの縮合によるオリゴ
マー化を促進し外観悪化を引き起こす為である。
工する際に通常用いられるもので特に限定するものでは
ないが、キャリヤーポリマーBに加入しなければならな
い。これはキャリヤーポリマーAに加入するとラジカル
捕捉により架橋を阻害する為である。その他添加剤を加
入する場合においても架橋を阻害する可能性のある添加
剤はキャリヤーポリマーBに加入しなければならない。
ポリマーAとキャリアポリマーBの合計量が2〜15重
量%の範囲で添加される。2重量%未満では充分なグラ
フト化が起こらず、又15重量%を超えると成形不良を
起こすとともに経済的でなくなる。
使用される添加剤、例えば中和剤、紫外線吸収剤、帯電
防止剤、顔料、分散剤、増粘剤、金属劣化防止剤、防カ
ビ剤、流動調整剤、その他の無機質充填剤等、または他
の合成樹脂を含有させることもできる。
はJIS K 7106の片持ちばりによるプラスチッ
クの曲げこわさ試験方法において、曲げこわさが40M
Pa以下であることが必要である。40MPaを越える
とポリオレフィン系ゴム絶縁電線などに取って代わるフ
レキシブルな絶縁電線としては、柔軟性が低く実用的で
ない。
割合に従って、まずキャリヤーポリマーAをスーパーミ
キサーに投入し攪拌混合し80℃に予熱する。次に不飽
和シランに遊離ラジカル発生剤を溶かした液体混合物を
スーパーミキサーに投入し攪拌しながらキャリヤーポリ
マーAに10分間で含浸させた。 《キャリヤーポリマーBの製造》表2に示すような配合
割合に従って、キャリヤーポリマーB、シラノール縮合
触媒、酸化防止剤等を加圧ニーダーを用いて混練、造粒
した。 《押出成形及び評価》ポリオレフィン系ベースポリマー
A及びBと得られたキャリヤーポリマーA及びBを表3
〜8の比率で混合し、単軸押出機を用いて、厚さ1m
m、幅100mmのテープ状に押出した後、温水中に浸
漬することによって架橋処理を行った。このテープ状サ
ンプルを用いて各種測定用試験を作成した。この試験片
を用いてゲル分率、引張強さ、伸び、許容伸び、永久伸
びの評価を実施した。また押出後のテープ状サンプルを
用いて1mmの厚さのプレスシートを作成し、温水中に
浸漬することによって架橋処理を行った後、曲げこわさ
を測定した。また、押出加工性を前記テープ状サンプル
の平滑性によって評価した。更にポリオレフィン系ベー
スポリマーA及びBと得られたキャリヤーポリマーA及
びBを表3〜8の比率で混合し、単軸押出機を用いて、
電線被覆押出を行い、押出加工性を成形表面の平滑性に
よって評価した。
A含量;23重量%) (2)SEPS:水添スチレンーイソプレンブロック共重
合体(スチレン含量;30重量%) (3)L−LDPE(1):直鎖状低密度ポリエチレン
(密度;0.935g/cm3、MI;3.0g/10min、Mw/Mn;
11.0) (4)VTMOS:ビニルトリメトキシシラン (5)有機過酸化物(1):α,α′−ビス(t−ブチル
パーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン (6)有機過酸化物(2):ジクミルパーオキサイド (7)LDPE(1):低密度ポリエチレン(密度;0.925
g/cm3、MI;1.5g/10min) (8)HDPE(1):高密度ポリエチレン(密度;0.955
g/cm3、MI;4.0g/10min) (9)DOTDL:ジオクチルスズジラウレート (10)DBTDL:ジブチルスズジラウレート (11)酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤/イルガノッ
クス1010(チバガイギー(株)製) (12)滑剤:低分子量ポリエチレン/サンワックス171
P(三洋化成工業(株)製) (13)エチレン/1−オクテンコポリマー(1):拘束幾
何触媒を用いて連続重合法で製造した実質的に線状であ
るエチレン/1−オクテンコポリマー(密度;0.880g/c
m3、MI;18.0g/10min、Mw/Mn;2.5) (14)エチレン/1−オクテンコポリマー(2):拘束幾
何触媒を用いて連続重合法で製造した実質的に線状であ
るエチレン/1−オクテンコポリマー(密度;0.863g/c
m3、MI;0.5g/10min、Mw/Mn;2.0) (15)エチレン/1−オクテンコポリマー(3):拘束幾
何触媒を用いて連続重合法で製造した実質的に線状であ
るエチレン/1−オクテンコポリマー(密度;0.870g/c
m3、MI;3.5g/10min、Mw/Mn;2.5) (16)L−LDPE(2):直鎖状低密度ポリエチレン
(密度;0.917g/cm3、MI;0.7g/10min、Mw/Mn;
9.0) (17)L−LDPE(3):直鎖状低密度ポリエチレン
(密度;0.922g/cm3、MI;15.0g/10min、Mw/M
n;6.0) (18)エチレン/1−オクテンコポリマー(4):拘束幾
何触媒を用いて連続重合法で製造した実質的に線状であ
るエチレン/1−オクテンコポリマー(密度;0.902g/c
m3、MI;2.5g/10min、Mw/Mn;2.5) (19)エチレン/1−オクテンコポリマー(5):拘束幾
何触媒を用いて連続重合法で製造した実質的に線状であ
るエチレン/1−オクテンコポリマー(密度;0.868g/c
m3、MI;0.2g/10min、Mw/Mn;2.5) (20)エチレン/1−オクテンコポリマー(6):拘束幾
何触媒を用いて連続重合法で製造した実質的に線状であ
るエチレン/1−オクテンコポリマー(密度;0.875g/c
m3、MI;30g/10min、Mw/Mn;2.0) (21)エチレン/プロペンエラストマー(1):線状エチ
レン/プロペンエラストマー(密度;0.867g/cm3、M
I;0.4g/10min、Mw/Mn;2.0) (22)L−LDPE(4):直鎖状低密度ポリエチレン
(密度;0.905g/cm3、MI;5.0g/10min、Mw/Mn;
8.0) (23)L−LDPE(5):直鎖状低密度ポリエチレン
(密度;0.945g/cm3、MI;10.0g/10min、Mw/M
n;8.0) (24)L−LDPE(6):直鎖状低密度ポリエチレン
(密度;0.932g/cm3、MI;0.2g/10min、Mw/Mn;
6.0) (25)L−LDPE(7):直鎖状低密度ポリエチレン
(密度;0.919g/cm3、MI;25.0g/10min、Mw/M
n;9.0) (26)L−LDPE(8):直鎖状低密度ポリエチレン
(密度;0.927g/cm3、MI;2.0g/10min、Mw/Mn;
3.0) (27)L−LDPE(9):直鎖状低密度ポリエチレン
(密度;0.915g/cm3、MI;1.0g/10min、Mw/Mn;
15.0)
機過酸化物の液体混合物を加熱攪拌した時の含浸性を評
価した。 ○:含浸性良好、×:含浸不可とし、○のレベルを合格
とした。 (29)テープ押出加工性(−):テープ押出された成形物
の平滑性を評価した。 50mmφの押出機 130-160-180-190-180℃ L/D:20 圧縮比 3.5 テープダイ:巾 100mm リップ間
隔 1mmt 評価:○>△>×の順とし、○のレベルを合格とした。 (30)ゲル分率(%):120℃、20時間、キシレン浸漬法
による。50%以上を合格とした。 (31)引張強さ(MPa):JIS K 6922 による。10M
Pa以上を合格とした。 (32)伸び(%):JIS K 6922 による。350%以上を
合格とした。 (33)許容伸び(%):IEC 540A による(試験温度25
0℃)。175%以下を合格とした。 (34)永久伸び(%):IEC 540A による(試験温度25
0℃)。15%以下を合格とした。 (35)曲げこわさ(MPa):JIS K 7106 による。40
MPa以下を合格とした。 (36)電線被覆押出加工性(−):電線被覆押出された成
形物の平滑性を評価した。 50mmφの押出機 130-160-180-190-180℃ L/D 24、圧縮比 4.0、導体径 0.8mm、被覆厚 1.0m
m、 スクリュー回転数 40rpm 評価:○>△>×の順とし、○のレベルを合格とした。
は押出加工性が良好で、柔軟性を維持しながら250℃
での加熱伸長試験に合格し、かつ非常に優れた架橋特性
及び機械的強度を示している。これに対し比較例は全
て、押出加工性、柔軟性、高温(250℃)での機械的
特性、架橋特性及び機械的強度のバランスが取れていな
い。
柔軟性、高温(250℃)での機械的特性、架橋特性、
機械的強度及び生産性に優れた柔軟性シラン架橋ポリオ
レフィン及び絶縁電線を得ることができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 下記の(a)〜(d)からなり、(a):(b)=
1:1〜9:1であるベースポリマーと(c)+(d)=3〜
15重量%であるキャリアポリマーからなる組成物をベ
ースポリマーの結晶融点よりも高い温度において溶融混
合して成形し、次いで水分と接触させて架橋し、架橋後
の曲げこわさが、JIS K 7106の片持ちばりに
よるプラスチックの曲げこわさ試験方法において40M
Pa以下であることを特徴とする柔軟性シラン架橋ポリ
オレフィン。 (a)密度が0.85〜0.89g/cm3、メルトインデ
ックス(190℃、2.16kgf)が0.3〜20g
/10min、分子量分布(Mw/Mn)が3未満であ
る、エチレンと少なくとも1種以上の炭素数が4〜12
のα−オレフィンからなる実質的に線状であるオレフィ
ン共重合体のベースポリマーA (b)密度が0.91〜0.94g/cm3、メルトインデ
ックス(190℃、2.16kgf)が0.3〜20g
/10min、分子量分布(Mw/Mn)が4〜14で
ある直鎖状中低密ポリエチレンのベースポリマーB (c)一般式RR’SiY2(Rは1価のオレフィン性不飽
和炭化水素基、Yは加水分解しうる有機基、R’は脂肪
族不飽和炭化水素以外の1価の炭化水素基あるいはYと
同じもの)で表され、添加量がポリマーの全重量を基準
にして0.1〜5重量%である有機不飽和シラン及び添
加量がポリマー全重量を基準にして0.01〜0.5重
量%である遊離ラジカル発生剤を含有させた実質的に水
の存在しないキャリアポリマーA (d)添加量がポリマーの全重量を基準にして0.01〜
0.2重量%であるシラノール縮合触媒及び酸化防止剤
を含有させたキャリアポリマーB - 【請求項2】 ベースポリマーAの実質的に線状である
オレフィン共重合体がメタロセン系触媒を用いて製造し
たものである請求項1記載の柔軟性シラン架橋ポリオレ
フィン。 - 【請求項3】 ベースポリマーAの実質的に線状である
オレフィン共重合体中のα−オレフィンの少なくとも1
つが1−オクテンである請求項1または2記載の柔軟性
シラン架橋ポリオレフィン。 - 【請求項4】 ベースポリマーAとベースポリマーBの
平均分子量分布(Mw/Mn)が3.5〜8である請求
項1、2または3記載の柔軟性シラン架橋ポリオレフィ
ン。 - 【請求項5】 キャリアポリマーAがエチレン−エチル
アクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルメ
タクリレート共重合体(EMMA)、少なくとも1個の
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックと、少
なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブ
ロックからなるブロック共重合体を水素添加して得られ
る水添ブロック共重合体及びこれらの混合物からなる群
より選ぶ請求項1、2、3または4記載の柔軟性シラン
架橋ポリオレフィン。 - 【請求項6】 キャリアポリマーBがポリエチレン、ポ
リプロピレン、エチレンとα−オレフィンの共重合体及
びこれらの混合物からなる群より選ぶ請求項1、2、
3、4、または5記載の柔軟性シラン架橋ポリオレフィ
ン。 - 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5または6記載
の柔軟性シラン架橋ポリオレフィンを導体上に押出被覆
し、水分と接触させて架橋させることを特徴とする絶縁
電線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24426599A JP3516388B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 柔軟性シラン架橋ポリオレフィン及び絶縁電線 |
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JP24426599A JP3516388B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 柔軟性シラン架橋ポリオレフィン及び絶縁電線 |
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JP2001064473A true JP2001064473A (ja) | 2001-03-13 |
JP3516388B2 JP3516388B2 (ja) | 2004-04-05 |
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JP24426599A Expired - Lifetime JP3516388B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 柔軟性シラン架橋ポリオレフィン及び絶縁電線 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006518002A (ja) * | 2003-02-05 | 2006-08-03 | ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド | ポリオレフィンエラストマーから製造された、シラン水分硬化耐熱性繊維 |
JP2012256527A (ja) * | 2011-06-09 | 2012-12-27 | Hitachi Cable Ltd | シラン架橋ポリオレフィン絶縁電線 |
-
1999
- 1999-08-31 JP JP24426599A patent/JP3516388B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006518002A (ja) * | 2003-02-05 | 2006-08-03 | ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド | ポリオレフィンエラストマーから製造された、シラン水分硬化耐熱性繊維 |
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