JP2001062902A - ブロー成形品及びそのブロー成形方法 - Google Patents

ブロー成形品及びそのブロー成形方法

Info

Publication number
JP2001062902A
JP2001062902A JP24136299A JP24136299A JP2001062902A JP 2001062902 A JP2001062902 A JP 2001062902A JP 24136299 A JP24136299 A JP 24136299A JP 24136299 A JP24136299 A JP 24136299A JP 2001062902 A JP2001062902 A JP 2001062902A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blow
temperature
mold
molded article
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24136299A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuya Nakamura
哲也 中村
Tomoyuki Obara
智之 小原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Petrochemical Co Ltd filed Critical Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority to JP24136299A priority Critical patent/JP2001062902A/ja
Publication of JP2001062902A publication Critical patent/JP2001062902A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面光沢等の外観に優れたブロー成形品及び
そのブロー成形方法を提供する。 【解決手段】 ブロー成形品であるエアースポイラー17
は、メルトインデックス(MI)が0.01g/10分〜10g/10
分のポリプロピレン系樹脂よりなり、表面光沢度が85%
以上、かつ、ひけ及び/又は反り変形量が1mm以下であ
る。このエアースポイラー 17のブロー成形方法は、型
締め開始から型開きしてブロー成形品を取り出すまでに
おける金型14の表面温度を(前記樹脂の結晶化温度−10
℃)〜(前記樹脂の融点)に保持し、かつ最高温度での
保持時間を5.0秒以上30秒未満とし、加えて型開きして
エアースポイラー17を取り出す時の金型温度を90℃以下
に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブロー成形品及び
そのブロー成形方法に関し、例えば、エアースポイラ
ー、バンパー等の自動車外装用ブロー成形品、その他の
ブロー成形品に適用できる。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】従来、ポ
リプロピレン系樹脂は、剛性などの機械的強度に優れ、
また表面光沢などの外観にも優れているため、各種の用
途に広く使用されている。具体的用途として、例えばバ
ンパー、サイドモール、スポイラー、バンパースカート
などの自動車外装部品が挙げられるが、このような大型
成形品はブロー成形により得られている。このようなポ
リプロピレン系樹脂よりなるブロー成形品は、成形した
ままでは表面光沢度などが不足して所望の風合いが得ら
れないことが多く、外観を向上させるため、通常、成形
品の表面に塗装が施されている。
【0003】成形品表面に塗装する際に樹脂と塗料との
密着性が良くなるように、予め原料中に塗料との密着性
を高める成分を添加したり、或いは予め成形品表面にプ
ライマーを塗布したり、プラズマ処理を施したりしてい
る。しかし、このような塗装によって表面光沢を改善す
る方法によれば、工数が増えて製造が煩雑になるという
問題があった。このため、塗装工程を不要としたブロー
成形品の成形方法として、特開平8-119043号公報には、
表面層をメルトインデックス(MI)が1 〜30の高結晶
性ポリプロピレン系樹脂で形成するようにした自動車外
装用ブロー成形品が提案されているが、成形時の金型温
度が30〜80℃と低く、外観、特に高光沢の成形品を得る
のが困難である。
【0004】一方、特願平10-138324 号公報では、型締
め開始から型開きしてブロー成形品を取り出すまでの間
に、金型を一次的に140 ℃以上の温度にすることを特徴
とするブロー成形方法が提案されている。この成形方法
で金型温度が高温のまま成形品を取り出すと、成形品が
冷却していく際に変形する恐れがある。また、金型を高
温に加熱するため、成形サイクルが長くなる。特開平9-
328586号公報によれば、ポリプロピレン組成物を、金型
温度100 ℃以上の温度で、特に外観良好な成形体を得る
場合には150 ℃前後の温度でブロー成形することが開示
されている。しかし、この場合も金型を高温に加熱する
ため、成形サイクルが長くなる。
【0005】そこで、本発明は、表面光沢等の外観に優
れたブロー成形品及びそのブロー成形方法を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明において請求項1
の発明に係るブロー成形品は、メルトインデックス(M
I)〔JIS K-7210 に準拠し、温度230 ℃、荷重2160g
で測定〕が0.01g/10分〜10g/10分のポリプロピレン系樹
脂よりなり、表面光沢度〔JIS Z-8741 に準拠し、入射
角60度で測定〕が85%以上、かつ、ひけ及び/ 又は反り
変形量が1mm 以下であることを特徴とする。前記MIが
0.01g/10分未満では、ブロー成形時における樹脂の吐出
量が著しく低下して生産性が悪くなる。また、10g/10分
を超えると、樹脂の溶融張力が弱くブロー成形が困難に
なる。好ましいMIの範囲は、成形性などの点から0.1
〜1.2g/10 分である。なお、ブロー成形品の表面光沢度
が85%未満及び、ひけ等の変形量が1mm を越えた場合
は、製品として問題がある。
【0007】本発明のブロー成形品は、単層でも多層構
造でもよいが、単層構造の場合、好ましくは、厚み1.0
〜8.0mm であり、特に好ましくは2.0 〜6.0mm である。
このポリプロピレン系樹脂には、ホモポリプロピレン、
ポリプロピレンとα−オレフィンとの共重合体が含まれ
る。この共重合体は、ランダム共重合体及びブロック共
重合体のいずれでもよい。前記α−オレフィンとして
は、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、等を挙げることができる。好ましくは、エチレン単
位含有量が1.0 〜10wt% 、特に好ましくは2.0 〜8.0wt%
のプロピレン−エチレン共重合体である。
【0008】プロピレンブロック共重合体の具体例とし
ては、ホモポリプロピレン成分とエチレン・プロピレン
共重合体成分とからなるものが挙げられる。本発明に係
るポリプロピレンは、公知の製造方法で得られるものを
使用して問題ないが、メタロセン触媒あるいはチーグラ
ー・ナッタ触媒を使用して製造されたものを使用するの
が好ましい。また、本発明に係るポリプロピレン系樹脂
は、融点(DSC法で測定)が150〜170 ℃であること
が望ましく、その結晶化温度は105 ℃〜130 ℃であるこ
とが望ましい。更に、前記ポリプロピレン系樹脂中に
は、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、充填
材、等が適宜添加されていてもよい。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1の発明
に係るブロー成形品が二層以上の多層成形品であり、少
なくとも一層はMIが0.01g/10分〜10g/10分であるポリ
プロピレン系樹脂からなることを特徴とする。例えば、
ブロー成形品が基材層と表層の二層構造である場合、基
材層は、MIが0.01g/10分〜10g/10分のプロピレンブロ
ック共重合体よりなり、表層はホモポリプロピレンとす
ることができる。基材層の厚さは、例えば1 〜8mm 、好
ましくは2 〜6mm であり、表層の厚さは、例えば100 μ
m 〜3mm であり、好ましくは200 μm 〜1mm である。
【0010】本発明において、基材層とは、前記ブロー
成形品の機械的強度(剛性、耐衝撃性等)に最も寄与す
る層であり、通常は最も厚い層である。表層とは、前記
ブロー成形品の最外層であり、外観を向上させるために
顔料を含む場合がある。なお、必要に応じ表層だけでな
く、基材層に顔料を配合してもよい。表層及び基材層に
顔料を配合する際、使用できる顔料の種類及び配合量
は、望まれる発色が得られ、かつブロー成形可能であれ
ば特に制限はなく、通常はホモポリプロピレン系樹脂10
0 重量部に対し、顔料を0.01〜10重量部、好ましくは0.
05〜5 重量部配合する。顔料が0.01重量部未満では十分
な発色が得られず、10重量部を越えると樹脂特性を劣化
させるおそれがある。前記ブロー成形品の具体例は、例
えば自動車外装部品であり、バンパー、サイドモール、
エアースポイラー、バンパースカートなどが挙げられ
る。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1または
請求項2に記載のブロー成形品において、前記ブロー成
形品は無塗装であることを特徴とするブロー成形品であ
る。本発明におけるブロー成形品は、無塗装でも高光沢
性を発現し、かつ、ひけ及び/ 又は反り変形量が少ない
ため、商業的価値が非常に高い。
【0012】請求項4に記載の発明は、上述した請求項
1から請求項3の発明の特性を生かし、前記ブロー成形
品がエアースポイラーであることを特徴とする。
【0013】請求項5に記載の発明は、ポリプロピレン
系樹脂よりなるブロー成形品のブロー成形方法におい
て、型締め開始から型開きしてブロー成形品を取り出す
までにおける金型の表面温度を(前記樹脂の結晶化温度
−10℃)〜(前記樹脂の融点)に保持し、かつ、その保
持時間を5.0 秒以上30秒未満とし、加えて型開きして成
形品を取り出す時の金型温度を90℃以下に保持すること
を特徴とする。
【0014】本発明において、金型の表面温度は、好ま
しくは(樹脂の結晶化温度−10℃)〜(前記樹脂の融
点)であり、より好ましくは、(Tα〜Tα+15℃)で
ある。ここで、Tαとは、示差走査熱量計を用いて測定
した結晶化発熱パターンにおいて、結晶化温度から低温
側で実質的に発熱ゼロを示す温度まで積分した値を10
0%としたとき、結晶化温度からの積分値がその85%
となる温度をいう。また、本発明において、上述のよう
に型締め開始から型開きまでの金型表面温度の保持時間
は、5.0 秒以上30秒未満であり、より好ましくは5.0 秒
〜25秒の範囲である。5.0 秒未満では、得られるブロー
成形品が十分な高光沢性を発現せず、30秒以上では、ヒ
ゲが発生しやすくなる。また、成形品を取り出す際の温
度が90℃を越えると、ひけ、変形等が発生しやすくな
る。ここにおいてヒゲとは、成形品における複数のガス
抜き孔部分において生じた突起をいう。
【0015】前記工程に至るまでのブロー成形工程は、
従来通りである。即ち、ポリプロピレン系樹脂原料を押
し出し成形してパリソンを作製し、次にこのパリソンに
気体を吹き込んでプリブロー成形しながら、或いはプリ
ブロー成形した後、金型の型締めを行ってブロー成形す
る。または、二層以上の多層構造の場合には、基材層材
料を内層、表面層材料を外層とし、必要に応じ中間層も
加えて共押し出し成形して多層パリソンを作製し、次に
このパリソンに気体を吹き込んでプリブロー成形しなが
ら、或いはプリブロー成形した後、金型の型締めを行っ
てブロー成形する。
【0016】そして、この型締め開始から型開きしてブ
ロー成形品を取り出すまでにおける金型の表面温度を上
記温度範囲に制御するのである。前記金型表面温度が前
記樹脂の結晶化温度−10℃より低い場合には、得られ
るブロー成形品の表面光沢度が低くなる。一方、前記樹
脂の融点を超えると、高光沢度を達成することを考慮し
ても必要以上に高温であり、ヒゲが発生しやすくなる。
また、冷却時間が長くなるため生産性が低下する。成形
品が二層以上からなる場合、前記樹脂の結晶化温度及び
融点は、基材層の樹脂の値である。
【0017】請求項6に記載の発明に係るブロー成形品
のブロー成形方法は、請求項5に記載の発明において、
前記金型の表面温度の変化割合を、昇温時及び降温時の
いずれも40℃/ 分以上とすることを特徴とする。前記金
型表面温度の昇温又は降温割合が40℃/ 分未満の場合に
は、成形サイクルが長くなり、実用上不利である。
【0018】請求項7に記載の発明に係るブロー成形品
のブロー成形方法は、請求項5または請求項6に記載の
発明において、前記ポリプロピレン系樹脂は、メルトイ
ンデックス(MI)〔JIS K-7210 に準拠し、温度230
℃、荷重2160g で測定〕が0.01g/10分〜10g/10分である
ことを特徴とする。MIを前記範囲に限定した理由は、
請求項1に記載の発明において説明した通りである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態に係る
ブロー成形品及びその成形方法を説明する。本実施形態
に係るブロー成形品は、メルトインデックス(MI)
〔JIS K-7210 に準拠し、温度230 ℃、荷重2160g で測
定〕が0.01g/10分〜10g/10分のポリプロピレン系樹脂よ
りなり、表面光沢度〔JIS Z-8741 に準拠し、入射角60
度で測定〕が85%以上のものである。
【0020】また、本実施形態のポリプロピレン系樹脂
よりなるブロー成形品のブロー成形方法において、型締
め開始から型開きしてブロー成形品を取り出すまでにお
ける金型の表面温度を(前記樹脂の結晶化温度−10℃)
〜(前記樹脂の融点)、好ましくは(Tα〜Tα+15
℃)、例えば、140 ℃未満に保持し、かつ最高温度での
保持時間を5.0 秒以上30秒未満とし、加えて型開きして
成形品を取り出す時の金型温度を90℃以下に保持する。
そして、金型の表面温度を昇温又は降温させる際の温度
変化の割合は、昇温時及び降温時のいずれも40℃/ 分以
上とする。
【0021】なお、本発明におけるブロー成形品は単
層、二層、多層のいずれから形成されていてもよい。こ
の際、単層の場合は基材層のみからなり、二層の場合は
基材層と表層からなり、多層の場合は、基材層と表層
と、これら二層間に挟まれるいくつかの中間層とからな
る。また、成形品に着色する場合は、直接基材層に顔料
を含ませてもよく、顔料を含む表層あるいは、顔料を含
む例えばフィルム状の中間層を用いてもよく、その組み
合わせでもよい。本発明に用いられる樹脂の融点は、15
0 〜170 ℃、結晶化温度は、105 〜130℃である。
【0022】
【実施例】〔実施例1〕本実施例のブロー成形品は、基
材層のみよりなる単層構造の自動車用エアースポイラー
17である。この基材層は、プロピレンブロック共重合体
(出光石油化学(株)E185G 、MI:0.4g/10 分、エチ
レン含量:6 %)70%、HDPE(190 ℃、荷重21.6kg
で測定したMI:3.8g/10 分)20%、タルク10%を含有
する。
【0023】前記基材層の原料ペレットは次のようにし
て作製したものである。即ち、プロピレンブロック共重
合体、HDPE及びタルクを二軸混練機〔(株)神戸製
鋼所製2FCM(商品名)〕に投入して溶融混練した。
押出機でストランドを作製した後、ペレタイザーで造粒
した。このブロー成形条件は次の通りである。
【0024】(1)ブロー成形装置 成形機:90mmφブロー成形機、ダイス:直径100mm 、ア
キュムレータ:25リットル、型締め圧力:60トン、スクリュー
回転数:40rpm 、モータ負荷:115A。 (2)成形温度 シリンダ:190 〜230 ℃、クロスヘッド:190 ℃、ダイ
ス:190 ℃、樹脂温度:220 ℃。前記基材層のプロピレ
ンブロック共重合体の融点(Tm)と結晶化温度(T
c)を差動熱量計(DSC)で測定したところ、Tm:
166 ℃、Tc:127 ℃であった。
【0025】図1に示すように、上記ポリプロピレン系
樹脂原料をダイス11から押し出し成形してパリソン12を
作製し、次にこのパリソン12にパリソン先端部のエアー
吹込み管13からエアーを吹き込んでプリブロー成形しな
がら、或いはプリブロー成形した後、二つのジャケット
部15からなる金型14の型締めを行ってブロー成形する。
この際、パリソン12は、金型14の両ジャケット部15間に
樹脂温度220 ℃で供給される。型締め完了後(図2参
照)、0.5 〜3.0 秒の間で適宜タイミングを調整しなが
らブロー吹込み針16から室温のエアーをパリソン12内に
吹き込むことで、パリソン12を金型14の内部に密着させ
てエアースポイラー17を成形した。なお、このエアーの
吹込みタイミングの調整は、良品を成形するために必要
なものである。このエアー圧、エアー流量は、型締め
後、15秒以内にパリソン12の内圧が5kg/cm2 に到達する
ように調整した。
【0026】前記ブロー吹込み針16の図1中右側ジャケ
ット部15への取り付け位置は、成形されるエアースポイ
ラー17の水平方向の両端部から20mmの位置に設けられ、
またエアー排出針18が中間に設けられている。本実施例
におけるブロー成形時の温度制御を図3に示している。
この図並びに以下の図4から図6では、縦軸に金型表面
温度(℃)を、横軸に時間(sec )をとってグラフを描
いている。図示したように、本実施例においては、型締
め開始時の金型表面温度を80℃に設定し、この温度から
130 ℃まで30秒かけて上昇させている。そして、5 秒間
130 ℃に保った後、約30秒かけて70℃まで冷却してから
型開きしてブロー成形品を取り出している。
【0027】なお、金型表面温度の調整は、加熱用スチ
ーム(160 ℃)及び冷却水(30℃)を両ジャケット部15
に適宜に満たすことにより行った。また、加熱/ 冷却の
切替えは、エアーでジャケット部15の内部を一気にパー
ジしてから行った。本実施例によって得られた自動車用
エアースポイラー17は、長さ1400mm×巾200mm ×厚さ30
mmの中空板状で、重量約2.0kg であった。
【0028】〔実施例2、3〕実施例2、3に係るブロ
ー成形品は、基材層と表層の二層構造を有する自動車用
エアースポイラー17である。前記基材層は、実施例1と
同じである。前記表層は、ホモポリプロピレン(MI:
0.5g/10 分)に青色顔料が1 %添加されたものよりな
る。この原料の混練と造粒は、基材層の原料と同様に行
うことができる。
【0029】この表層のホモポリプロピレンの融点(T
m)と結晶化温度(Tc)を差動熱量計(DSC)で測
定したところ、Tm:161 ℃、Tc:109 ℃であった。
本実施例の二層構造のパリソンの場合には、上記原料を
使用し、基材層材料を内層、表層材料を外層としてダイ
スから共押し出し成形して2層パリソンを作製する。実
施例2については、実施例1と同様にしてブロー成形を
行い、型締め開始から型開きしてブロー成形品を取り出
すまでにおける180 秒間の金型の表面温度の調整も実施
例1と同様にした(図3参照)。
【0030】また、実施例3については、図4に示した
金型表面温度の制御をおこなっている。すなわち、型締
め開始時の金型表面温度を80℃に設定し、この温度から
110℃まで30秒かけて上昇させている。そして、5 秒間1
10 ℃に保った後、約30秒かけて70℃まで冷却してから
型開きしてブロー成形品を取り出している。なお、図4
の縦軸及び横軸の単位は図3と同じである。実施例2及
び3で得られた自動車用エアースポイラー17の形状、大
きさは実施例1と同じである。
【0031】〔比較例1、2〕比較例1、2に係るブロ
ー成形品は、基材層と表面層の2層構造を有する自動車
用エアースポイラー17である。前記基材層及び表層は、
実施例2、3と同じである。
【0032】比較例1については、、図5に示した金型
表面温度の制御をおこなっている。すなわち、型締め開
始時の金型表面温度を80℃に設定し、この温度から130
℃まで30秒かけて上昇させている。そして、30秒間130
℃に保った後、70℃まで冷却してから型開きしてブロー
成形品を取り出している。
【0033】また、比較例2については、図6に示すよ
うに金型の表面温度を調整した。すなわち、型締め開始
時の金型表面温度を80℃に設定し、この温度から130 ℃
まで30秒かけて上昇させている。そして、5 秒間130 ℃
に保った後、約30秒かけて100 ℃まで冷却してから型開
きしてブロー成形品を取り出している。比較例1及び2
で得られた自動車用エアースポイラー17の形状、大きさ
は実施例1と同じである。なお、上記実施例と比較例に
係る自動車用エアースポイラー17の基材層と表層の材
料、及び金型の表面温度調節に関して、表1にまとめて
示す。表中の「取出し時間」とは、金型14を閉じてから
開くまでの時間のことである。
【0034】
【表1】
【0035】〔特性の評価〕上記実施例及び比較例で得
られた自動車用エアースポイラー17について、ひけの状
況、表面光沢度、ヒゲの有無、変形の有無を評価し、総
合評価も行った。それらの結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】前記ひけの状況は、正規の成形品形状の面
を基準とし、これと比較して成形品のひけの深さを評価
した。その評価基準は下記の通りである。 ○:1mm 以上のひけている部分がない。 △:1mm 以上のひけている部分が部分的に認められる。 ×:成形品全体にわたって1mm 以上のひけている部分が
認められる。
【0038】前記表面光沢度は、JIS Z-8741 に準拠
し、グロスメータ(日本電色株式会社製変角光沢計VG-1
型)を用いて入射角60度で測定した。試料に入射角60度
で平行光線を当て、正反射光線の光量を測定して鏡面光
沢度を100 としたときの百分率(%)で表した。そし
て、この測定結果から下記基準で評価した。 ○:成形品の全体にわたり、表面光沢度が85%以上であ
る。 △:部分的に表面光沢度が85%未満の部分がある。 ×:成形品の全体にわたり、表面光沢度が85%未満であ
る。
【0039】前記ヒゲの有無は、成形品における複数の
ガス抜き孔部分に突起が生じているかどうかにより評価
した。その評価基準は下記の通りである。 ○:高さ0.3mm 以上の突起がない。 △:高さ0.3mm 以上の突起が部分的にある。 ×:高さ0.3mm 以上の突起がほぼ全てのガス抜き孔で認
められる。
【0040】前記変形の有無は、例えば、図面からわか
る金型通りの成形品の形状を基準として(目視で)評価
した。
【0041】また、前記総合評価基準は以下の通りであ
る。 ◎:変形認められず。 ○:部分的に表面の波打ちが認められる。 ×:全体に表面の波打ちが認められる。
【0042】表1及び2より、実施例1〜3に係るブロ
ー成形方法によれば、型締め開始から型開きしてブロー
成形品を取り出すまでにおける金型の表面温度を(前記
樹脂の結晶化温度−10℃)〜(前記樹脂の融点)に保
持し、かつ最高温度での保持時間を5.0 秒以上30秒未満
とし、加えて型開きして成形品を取り出す時の金型温度
を90℃以下に保持しているため、ひけ、ヒゲ、変形につ
いて問題のないブロー成形品が得られることがわかる。
また、得られたブロー成形品の表面光沢度はいずれも85
%以上である。
【0043】一方、比較例1によれば、型締め開始から
型開きしてブロー成形品を取り出すまでにおける金型の
表面温度を(前記樹脂の結晶化温度−10℃)〜(前記
樹脂の融点)に保持し、かつ型開きして成形品を取り出
す時の金型温度を90℃以下に保持しているが、最高温度
での保持時間が30秒であるため、ひけが部分的に認めら
れ、またヒゲが成形品に複数設けられたガス抜き孔のほ
ぼ全てで認められた。
【0044】比較例2によれば、型締め開始から型開き
してブロー成形品を取り出すまでにおける金型の表面温
度を(前記樹脂の結晶化温度−10℃)〜(前記樹脂の
融点)に保持し、かつ最高温度での保持時間を5.0 秒と
しているが、型開きして成形品を取り出す時の金型温度
が90℃を超えているため、表面に波打ちが見られる。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、表面光沢等の外観に優
れたブロー成形品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るブロー成形方法に用いる成形金型
の断面図である。
【図2】実施例に係るブロー成形方法に用いる成形金型
の断面図である。
【図3】実施例1及び2に係るブロー成形方法において
型締め開始から型開きしてブロー成形品を取り出すまで
における金型の表面温度の変化を示すグラフである。
【図4】実施例3に係るブロー成形方法金型の表面温度
の変化を示すグラフである。
【図5】比較例1に係るブロー成形方法金型の表面温度
の変化を示すグラフである。
【図6】比較例2に係るブロー成形方法金型の表面温度
の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
11 ダイス 12 パリソン 14 金型 17 エアースポイラー

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メルトインデックス(MI)〔JIS K-7
    210 に準拠し、温度230 ℃、荷重2160g で測定〕が0.01
    g/10分〜10g/10分のポリプロピレン系樹脂よりなり、表
    面光沢度〔JIS Z-8741 に準拠し、入射角60度で測定〕
    が85%以上、かつ、ひけ及び/ 又は反り変形量が1mm 以
    下であることを特徴とするブロー成形品。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のブロー成形品におい
    て、前記ブロー成形品が二層以上の多層成形品であり、
    少なくとも一層は、MIが0.01g/10分〜10g/10分である
    ポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とするブロー
    成形品。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のブロー
    成形品において、前記ブロー成形品は無塗装であること
    を特徴とするブロー成形品。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかに記載
    のブロー成形品において、前記ブロー成形品はエアース
    ポイラーであることを特徴とするブロー成形品。
  5. 【請求項5】 ポリプロピレン系樹脂よりなるブロー成
    形品のブロー成形方法において、 型締め開始から型開きしてブロー成形品を取り出すまで
    における金型の表面温度を(前記樹脂の結晶化温度−10
    ℃)〜(前記樹脂の融点)に保持し、かつ、その保持時
    間を5.0 秒以上30秒未満とし、加えて型開きして成形品
    を取り出す時の金型温度を90℃以下に保持することを特
    徴とするブロー成形品のブロー成形方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のブロー成形品のブロー
    成形方法において、 前記金型の表面温度の変化割合を、昇温時及び降温時の
    いずれも40℃/ 分以上とすることを特徴とするブロー成
    形品のブロー成形方法。
  7. 【請求項7】 請求項5または請求項6に記載のブロー
    成形品のブロー成形方法において、 前記ポリプロピレン系樹脂は、メルトインデックス(M
    I)〔JIS K-7210 に準拠し、温度230 ℃、荷重2160g
    で測定〕が0.01g/10分〜10g/10分であることを特徴とす
    るブロー成形品のブロー成形方法。
JP24136299A 1999-08-27 1999-08-27 ブロー成形品及びそのブロー成形方法 Pending JP2001062902A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24136299A JP2001062902A (ja) 1999-08-27 1999-08-27 ブロー成形品及びそのブロー成形方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24136299A JP2001062902A (ja) 1999-08-27 1999-08-27 ブロー成形品及びそのブロー成形方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001062902A true JP2001062902A (ja) 2001-03-13

Family

ID=17073172

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24136299A Pending JP2001062902A (ja) 1999-08-27 1999-08-27 ブロー成形品及びそのブロー成形方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001062902A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009154459A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Japan Polypropylene Corp 多層ブロー成形品

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009154459A (ja) * 2007-12-27 2009-07-16 Japan Polypropylene Corp 多層ブロー成形品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0908292B1 (en) Method and apparatus for producing a blow molded article
KR101194620B1 (ko) 투명 폴리프로필렌계 시트의 제조 방법 및 투명폴리프로필렌계 시트
EP1142689B1 (en) Molding method for blow molded product
EP3452263B1 (en) Injection stretch blow-molding (isbm) enhancement for semi-crystalline polyolefin containers utilizing alicyclic polyolefins
JP2001062902A (ja) ブロー成形品及びそのブロー成形方法
JP4898716B2 (ja) 多層ブロー成形品及びその製造方法
JP6098221B2 (ja) 多層中空容器
JP4945466B2 (ja) 多層ブロー成形品及びその製造方法
US6773656B2 (en) Blow molded product and production method therefor
JPH01306448A (ja) ポリプロピレン系樹脂組成物、シート類及びその製造方法
JP4898717B2 (ja) 多層ブロー成形品及びその製造方法
JP5097531B2 (ja) 単層ブロー成形品及びその製造方法
JPH10235719A (ja) ブロー成形方法およびその成形方法により得られたブロー成形品
JPH0633084B2 (ja) 中空成形品
JP5017002B2 (ja) 多層ブロー成形品及びその製造方法
JP2001181455A (ja) 中空成形用樹脂組成物および中空成形容器
EP1120224B1 (en) Method for producing blow moldings
JPH10315359A (ja) 多層ブロー容器
KR100564943B1 (ko) 사출성형
JP2002326274A (ja) 結晶性熱可塑性樹脂成形体の製造方法及び成形体
JP4977597B2 (ja) 多層ブロー成形品及びその製造方法
JPH10138324A (ja) 自動車外装用ブロー成形品およびブロー成形方法
JPH06182289A (ja) 塗装中空成形品の製造方法
JPH10156977A (ja) 多層ブロー容器
JP2001239583A (ja) インフレーションフィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20041001

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20060308

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060407