JP2001062568A - シーム溶接用銅ワイヤへの金属錫コーティング装置およびシーム溶接機 - Google Patents

シーム溶接用銅ワイヤへの金属錫コーティング装置およびシーム溶接機

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JP2001062568A
JP2001062568A JP23968199A JP23968199A JP2001062568A JP 2001062568 A JP2001062568 A JP 2001062568A JP 23968199 A JP23968199 A JP 23968199A JP 23968199 A JP23968199 A JP 23968199A JP 2001062568 A JP2001062568 A JP 2001062568A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的に金属錫をコーティングした銅ワイヤ
を用いるワイヤシーム溶接において、生産性に優れた方
法で安定して長時間銅ワイヤへ金属錫をコーティングす
ることが可能なシーム溶接用銅ワイヤへの金属錫コーテ
ィング装置およびシーム溶接機の提供。 【解決手段】 シーム溶接用銅ワイヤへの金属錫コーテ
ィング装置であって、被溶接鋼板との接触面となる銅ワ
イヤ表面に表面粗度を付与する粗度付与装置7と、表面
粗度を付与した銅ワイヤ表面に、回転する金属錫円盤の
円周側壁面を接触、摺動せしめる金属錫円盤の回転・摺
動装置8と、金属錫円盤の円周部の変形防止装置9を有
するシーム溶接用銅ワイヤへの金属錫コーティング装
置、および、該金属錫コーティング装置を配設したシー
ム溶接機。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気抵抗シーム溶
接に用いる銅ワイヤへの金属錫コーティング装置および
シーム溶接機に関し、特には、薄クロムめっき鋼板など
の難溶接性材料を、溶接部を研削することなくシーム溶
接することが可能で、かつ高い生産性で安定して長時間
溶接することが可能なシーム溶接用銅ワイヤへの金属錫
コーティング装置およびシーム溶接機に関する。
【0002】本発明は、製缶シーム溶接用銅ワイヤへの
金属錫コーティング装置および製缶シーム溶接用溶接機
として特に好適に用いられる。
【0003】
【従来の技術】薄鋼板を飲料缶、食缶、18L缶やペール
缶などの缶胴に製缶する場合、図10に示すような銅ワイ
ヤを溶接電極とする電気抵抗ワイヤシーム溶接機が広く
用いられている。なお、図10において、1は缶胴、2は
銅ワイヤ、2Hは銅ワイヤ収納容器、3a、3bは溶接電極
輪、4a、4bはクラッシャーロール、5a、5bは銅ワイヤ裁
断ロール、f1は銅ワイヤの供給方向、f2は缶胴の搬送方
向を示す。
【0004】一方、製缶用の薄鋼板の中には電気抵抗シ
ーム溶接が困難な難溶接性の鋼板があり、代表的な例と
して、通称ティンフリースチールと呼ばれる、鋼板に金
属クロムおよびクロム酸化物をめっきした薄クロムめっ
き鋼板が挙げられる。この薄クロムめっき鋼板を缶胴と
して用いる場合、表面のクロム酸化物が高電気抵抗物質
であるため、そのまま溶接することが困難である。
【0005】したがって、溶接部分のめっき層を研削除
去することが一般的に行われている。しかし、この方法
では研削のためコストが上昇し、さらには飛散する研削
粉を吸引除去するための設備が必要となるという問題が
ある。薄クロムめっき鋼板の溶接性を改善し、研削を不
要とする技術として、薄クロムめっき鋼板のめっき量を
減らす方法が特開昭61−213398号公報に開示されている
が、この方法では溶接性が安定せず、また溶接機による
バラツキも大きく、実用上十分満足出来るものではな
い。
【0006】また、薄クロムめっき鋼板の金属クロムに
微細な突起や粒状の形態を与えて接触抵抗を減らし、溶
接性を改善する方法が特公昭63− 26200号公報に開示さ
れているが、この方法の場合、突起や粒状の形態を巧く
制御することでかなり溶接性は改善されるが、この突起
や粒状の形態のため鋼板の色調が暗くまた指紋がつき易
いことから缶使用者には受け入れられていない。
【0007】薄クロムめっき鋼板の溶接性を改善する他
の方法として、金属クロムとクロム酸化物の間に金属Sn
めっき層を設ける方法が特公昭63− 35718号公報に開示
されている。この方法によれば、金属Snは融点が232 ℃
と低いため、溶接時に速やかに溶融し、接合面を濡らし
て接触抵抗を安定して低くできるので良い溶接性が得ら
れる。
【0008】しかし、溶接部を含む全面にSnをめっきす
るため、コストが高く、またSnにより色調が白くなるた
め缶使用者には受け入れられにくい問題がある。また、
特公平6− 96790号公報には、予め金属Snを粒状散在め
っきし、その上に薄クロムめっきする方法が開示され、
この方法でも金属Snにより溶接性は改善されるが、溶接
部を含む全面に金属Snをめっきするため、コストが高
く、かつ色調も白っぽくなる問題がある。
【0009】さらに、金属Snを溶接部分にのみストライ
プ状にめっきし、該めっき層の上および鋼帯全面に金属
クロム層およびクロム酸化物層を形成せしめた缶用めっ
き鋼板が、特開昭61−213395号公報に開示されている。
上記した缶用めっき鋼板は、広幅の鋼板を用い、缶胴と
するときに、溶接部になる部位毎にストライプ状にめっ
きを施すものである。
【0010】この鋼板の場合、めっき後に缶胴サイズに
切り出すが、通常、溶接部の幅が1mm程度であるため、
めっき位置精度の制御が難しく、きちんとめっき位置と
溶接部の位置を合わせるのが非常に困難である。また、
このストライプ状Snめっき鋼板は、溶接缶胴部にしか使
えず、缶蓋などに転用することができないという問題が
ある。
【0011】一方、溶接方法を改善する試みもなされて
おり、特開昭62− 40993号公報には低炭素鋼鋼線に錫ま
たは錫合金からなる被覆層を有するワイヤを用いる方法
が開示されている。しかし、この方法の場合、低炭素鋼
は銅に比べて電気抵抗が高く、連続で溶接すると発熱が
大きくなって連続溶接が困難となる。
【0012】また、ワイヤの全面に錫または錫合金がめ
っきされているため、電極輪を構成する銅が錫と合金化
することにより電極輪が汚染され、連続溶接が困難であ
る。また、特公昭49− 36860号公報、特公昭59− 31598
号公報には銅ワイヤに錫めっきする方法が開示されてい
るが、いずれの場合も上記した方法と同じようにワイヤ
の全面にめっきされているため、電極輪が錫との合金化
により汚染されるため連続溶接が困難であり、かつ錫め
っき量が1g/m2以上と多く錫めっきに多大な労力が必要
であるばかりでなく、錫の固体潤滑性によるワイヤのス
リップを生じるため不都合である。
【0013】さらに、特開平1−218776号公報には、ク
ロム、ニッケル、鉄あるいはこれらの合金をめっきした
銅ワイヤが開示されているが、これらのめっきを施した
ワイヤではクロムめっき鋼板で優れた溶接性を得ること
が出来ない。以上述べたように、従来の技術では、薄ク
ロムめっき鋼板を無研削で溶接缶胴とするためには種々
の問題があった。
【0014】これに対して、本発明者らは、特開平11−
129075号公報、特開平11− 33735号公報において、電気
抵抗シーム溶接機の銅ワイヤに機械的に金属錫をコーテ
ィングすることによって、薄クロムめっき鋼板を研削せ
ずに溶接する方法を提案した。上記した方法によれば、
銅ワイヤの溶接接触面にのみ金属錫をコーティングする
ことが可能となるため、下記〜の優れた効果が得ら
れる。
【0015】薄クロムめっき鋼板を研削することなく
溶接することが可能となった。 溶接電極輪の汚染が少なく、連続して優れた溶接性が
得られる。 錫を、溶接にとって必要な部分にのみ確実に付着し、
溶接することが可能となったため、省資源が達成でき
る。 上記した方法によれば、上記した優れた効果が得られる
が、銅ワイヤへの金属錫の付着量を確保するためには、
金属錫の銅ワイヤに対する加圧力を高くする必要があ
り、これにより金属錫が変形するため、安定して長時間
錫を付着させることが困難であり、また金属錫と銅ワイ
ヤがスリップし錫を付着できない場合も生じ、これらが
改善すべき課題となった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した課
題を解決し、機械的に金属錫をコーティングした銅ワイ
ヤを用いるシーム溶接において、生産性に優れた方法で
安定して長時間銅ワイヤへ金属錫をコーティングするこ
とが可能なシーム溶接用銅ワイヤへの金属錫コーティン
グ装置およびシーム溶接機を提供することを目的とす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、シーム溶
接用銅ワイヤへの金属錫コーティング装置であって、被
溶接鋼板との接触面となる銅ワイヤ表面に表面粗度を付
与する粗度付与装置7と、表面粗度を付与した銅ワイヤ
表面に、回転する金属錫円盤の円周側壁面を接触、摺動
せしめる金属錫円盤の回転・摺動装置8と、金属錫円盤
の円周部の変形防止装置9を有することを特徴とするシ
ーム溶接用銅ワイヤへの金属錫コーティング装置であ
る。
【0018】第2の発明は、シーム溶接用銅ワイヤへの
金属錫コーティング装置であって、被溶接鋼板との接触
面となる銅ワイヤ表面を研磨する研磨装置50と、研磨し
た銅ワイヤ表面に表面粗度を付与する粗度付与装置7
と、表面粗度を付与した銅ワイヤ表面に、回転する金属
錫円盤の円周側壁面を接触、摺動せしめる金属錫円盤の
回転・摺動装置8と、金属錫円盤の円周部の変形防止装
置9を有することを特徴とするシーム溶接用銅ワイヤへ
の金属錫コーティング装置である。
【0019】第3の発明は、前記した第1の発明または
第2の発明の金属錫コーティング装置と、被溶接鋼板の
重ね合わせ部の外面および内面のそれぞれに対して金属
錫コーティング銅ワイヤを介して当接される一対の溶接
電極輪3a、3bを有することを特徴とするシーム溶接機で
ある。前記した第1の発明〜第3の発明においては、前
記した表面粗度が、算術平均粗さRa で0.01〜5μm で
あることが好ましい。
【0020】また、前記した第1の発明〜第3の発明に
おいては、前記した粗度付与装置7が、板状のシーム溶
接用銅ワイヤの表裏面に相対して当接された、ロール
表面に予め所定の表面粗度が付与された粗度付けロール
10とバックアップロール11とからなる一対のロールで
構成された粗度付与装置、または、板状のシーム溶接用
銅ワイヤの表裏面に相対して当接された、いずれもがロ
ール表面に予め所定の表面粗度が付与された粗度付けロ
ールである一対のロール40e 、40f で構成された粗度付
与装置であることが好ましい。
【0021】また、前記した第1の発明〜第3の発明に
おいては、前記した金属錫円盤の円周部の変形防止装置
9が、金属錫円盤15の円周部板面22a 、22b の両面側に
相対して当接された一対の金属錫円盤幅(厚み)調整ロ
ール25a 、25b と、金属錫円盤の円周側壁面21に当接さ
れた円周側壁面調節ロール26と、円周側壁面調節ロール
26を金属錫円盤15の円周側壁面21に押し付ける押圧装置
27で構成された変形防止装置であることが好ましい。
【0022】なお、前記した第1の発明〜第3の発明に
おける銅ワイヤとしては、銅ワイヤ以外に、合金成分を
含む銅系合金ワイヤを用いることもできる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明者らは前記した課題を解決するために鋭意
検討した結果、下記知見(1)〜(3) を見出し本発明に至
った。 (1) 銅ワイヤの溶接接触面に表面粗度を付与する粗度付
与装置:銅ワイヤの溶接接触面に表面粗度を付与するこ
とによって、金属錫円盤の銅ワイヤに対する加圧力を低
下させても銅ワイヤへの金属錫の付着量を十分確保でき
る。
【0024】すなわち、銅ワイヤの溶接接触面に、粗度
付与装置によって表面粗度を付与し、金属錫円盤の銅ワ
イヤに対する加圧力を低下させることによって、金属錫
円盤の変形が少なくなり、銅ワイヤへ安定して長時間金
属錫を付着させることができる。 (2) 金属錫円盤の円周部の変形防止装置:金属錫円盤の
円周部の変形防止装置を配設することによって、上記し
た加圧力の低下と相まって、金属錫円盤の変形を防止
し、銅ワイヤへ安定して長時間金属錫を付着させること
ができる。
【0025】(3) 銅ワイヤの溶接接触面の研磨装置:粗
度付与装置の前工程として、シーム溶接用銅ワイヤの溶
接接触面の研磨装置を配設することによって、銅ワイヤ
表面に存在する酸化物層による金属錫円盤と銅ワイヤと
のスリップを防止し、銅ワイヤへの金属錫の付着量を十
分確保することができる。
【0026】図1に、本発明の金属錫コーティング装置
およびシーム溶接機の一例を、側面図(a) およびA−A
矢視図(b) によって示す。なお、図1の溶接機は、製缶
シーム溶接用溶接機であり、図1において、6は被溶接
鋼板(缶銅部の鋼板)の重ね合わせ部、6aは重ね合わせ
部の外面、6bは重ね合わせ部の内面、7、7A、7Bは粗度
付与装置、8、8A、8Bは金属錫円盤の回転・摺動装置、
9、9A、9Bは金属錫円盤の円周部の変形防止装置、40a
、40b 、40c 、40d はクラッシャーロールを示し、そ
の他の符号は図10と同一の内容を示す。
【0027】また、図1に示す粗度付与装置7(7A、7
B)は、ロール表面に所定の表面粗度が付与されたクラ
ッシャーロール(粗度付けロール)40b 、40c とクラッ
シャーロール(バックアップロール)40a 、40d から構
成され、金属錫円盤の回転・摺動装置8、8A、8Bは、後
記する図3に示すように、円盤中心を回転軸として回転
する金属錫円盤15と、銅ワイヤ2を金属錫円盤15に当接
する部材である押さえプーリ17とから構成されている。
【0028】また、図1に示す金属錫円盤の円周部の変
形防止装置9、9A、9Bは、後記する図5に示すように、
金属錫円盤の厚みを一定に制御する2個1対となった幅
(厚み)調整ロール25a 、25b と、金属錫円盤の円周側
壁面を平滑にする円周側壁面調整ロール26と、円周側壁
面調整ロール26を金属錫円盤の円周側壁面に押しつける
エアーシリンダ27で構成されており、これによって金属
錫円盤の円周部および銅ワイヤとの接触面は変形するこ
となく安定して長時間錫コーティングを行うことが出来
る。
【0029】図1に示すように、本発明のシーム溶接用
銅ワイヤへの金属錫コーティング装置は、被溶接鋼板と
の接触面となる銅ワイヤ表面(以下、銅ワイヤの溶接接
触面とも記す)に表面粗度を付与する粗度付与装置(以
下、粗度付与装置とも記す)7と、表面粗度を付与した
銅ワイヤ表面に、円盤中心を回転軸として回転する金属
錫円盤の円周側壁面を接触、摺動せしめる金属錫円盤の
回転・摺動装置(以下、金属錫円盤の回転・摺動装置と
も記す)8と、金属錫円盤の円周部の変形防止装置(以
下、変形防止装置とも記す)9から構成される。
【0030】本発明においては、粗度付与装置を独立さ
せると共に、後記する図5に示すように、金属錫円盤の
回転・摺動装置と変形防止装置とからなる装置を1対の
装置とすることもできる。また、図1に示すように、本
発明のシーム溶接機は、前記した本発明の金属錫コーテ
ィング装置と、被溶接鋼板の重ね合わせ部6の外面6aお
よび内面6bのそれぞれに対して銅ワイヤ2を介して当接
された一対の溶接電極輪3a、3bを有するシーム溶接機で
ある。
【0031】図1に示す金属錫コーティング装置および
シーム溶接機においては、下記の工程でシーム溶接用銅
ワイヤへの金属錫の付着および金属錫が付着した銅ワイ
ヤによる被溶接鋼板(缶胴部の鋼板)の重ね合わせ部の
シーム溶接が行われる。すなわち、銅ワイヤ収納容器2H
から払い出された銅ワイヤ2は、粗度付与装置7Aにおい
て、ロール表面に所定の表面粗度が付与されたクラッシ
ャーロール(粗度付けロール)40b とクラッシャーロー
ル(バックアップロール)40a によって、被溶接鋼板と
の接触面となる銅ワイヤ表面(:銅ワイヤの溶接接触
面)に所定の表面粗度が付与される。
【0032】溶接接触面に所定の表面粗度が付与された
銅ワイヤ2は、金属錫円盤の回転・摺動装置8Aにおい
て、所定の表面粗度が付与された溶接接触面に、回転す
る金属錫円盤の円周側壁面が接触、摺動され、溶接接触
面に金属錫が付着する。溶接接触面に金属錫が付着した
銅ワイヤ2は、溶接電極輪3a、3bに送給され、被溶接鋼
板(缶胴部の鋼板)の重ね合わせ部6の外面6aおよび内
面6bのそれぞれに対して銅ワイヤ2を介して当接された
一対の溶接電極輪3a、3bによって、被溶接鋼板(缶胴
部)のシーム溶接が行われる。
【0033】なお、溶接電極輪3bにおける銅ワイヤ2の
溶接接触面は、粗度付与装置7Bにおいて上記したと同様
の方法で所定の表面粗度が付与された後、金属錫円盤の
回転・摺動装置8Bにおいて、回転する金属錫円盤の円周
側壁面が接触、摺動され、溶接接触面に金属錫が付着
し、溶接に供される。以下、本発明の金属錫コーティン
グ装置およびシーム溶接機におけるI.作用、効果、II.
銅ワイヤの溶接接触面への粗度付与装置、III.金属錫円
盤の回転・摺動装置、IV. 金属錫円盤の円周部の変形防
止装置、V.銅ワイヤの溶接接触面の研磨装置、VI. シー
ム溶接機について説明する。
【0034】〔I.作用、効果:〕通常の缶用溶接機の場
合、図1に示すように、先ず、断面が円形の銅ワイヤ2
を、クラッシャーロール40a 、40b によって断面が四角
形の板状もしくは角柱状の銅ワイヤになるように潰して
変形させる。一般に、変形後の銅ワイヤの線幅は溶接幅
よりも大きめであり、図1に示す経路を経て、先ず、最
初に上側の溶接電極輪3aで銅ワイヤ2の片面側の溶接接
触面が鋼板に接触する形で溶接に使用され、その後、下
側の溶接電極輪3bで銅ワイヤの反対側の片面側の溶接接
触面が鋼板に接触する形で溶接に使用され、その後、短
く裁断されリサイクル再利用される。
【0035】本発明のシーム溶接用銅ワイヤへの金属錫
コーティング装置は、銅ワイヤの溶接接触面となる部分
に金属錫を機械的にコーティングする。上記で得られた
金属錫付着銅ワイヤを溶接電極として用いることによっ
て、薄クロムめっき鋼板を、無研削で溶接し溶接缶胴を
製造することができる。金属錫を機械的にコーティング
するのは溶接前であればいつでもよいが、溶接機内で丸
棒状の銅ワイヤを断面が四角形となるように潰した後が
好ましく、さらに、先ず最初に銅ワイヤの溶接接触面と
なる一面のみに溶接前に金属錫をコーティングし、この
面が溶接に用いられた後、反対側の溶接接触面となる一
面にのみ溶接の前に金属錫をコーティングするのが最も
好適である。
【0036】上記した方法によれば、従来の薄クロムめ
っき鋼板をそのまま使用できる利点があり、このため薄
クロムめっき鋼板を缶胴に使うか、缶蓋に使うか、今ま
で通りの自由な使い方ができ、かつ前記した従来技術の
色調差による問題を生じることがない。本発明における
金属錫コーティング装置は、金属錫と銅ワイヤーとの間
で機械的エネルギーを用いて摩擦を起こさせ、この摩擦
により金属錫を銅ワイヤに擦り付け凝着させることによ
りコーティングする装置である。
【0037】本装置によれば、溶接箇所における錫の付
着位置やその幅を制御することが容易であり、かつ、従
来の銅ワイヤに対する電気錫めっきのように、種々の工
業薬品からなるめっき液を使用することがないため、廃
液の問題が無く環境に優しく、また比較的コンパクトな
装置となる利点がある。また、本発明の金属錫コーティ
ング装置は、シーム溶接用銅ワイヤの溶接接触面に銅を
付着する金属錫円盤の回転・摺動装置8の前工程とし
て、銅ワイヤの溶接接触面に表面粗度を付与する粗度付
与装置7を有する。
【0038】本発明によれば、銅ワイヤの溶接接触面に
強制的に表面粗度を付与することによって、金属錫円盤
の銅ワイヤに対する加圧力を低下させても銅ワイヤへの
金属錫の付着量を十分確保でき、後記する金属錫円盤の
円周部の変形防止装置9と相まって、金属錫円盤の変形
を防止し、銅ワイヤへ安定して長時間金属錫を付着させ
ることが可能となる。
【0039】さらに、本発明の金属錫コーティング装置
によれば、金属錫は、主に銅ワイヤの表面粗さである凹
凸の凸部に凝着し、金属錫と銅ワイヤが擦り合わさった
面全体に金属錫が均一に付着しているものではない。す
なわち、凸部に金属錫が凝着していることで、溶接時
に、先ず金属錫が付着している凸部が接触し通電が起こ
るが、金属錫は柔らかくかつ融点が低いため、金属錫の
溶融によって接触面積が広がり、溶接開始初期の電気抵
抗が低下し、このことが溶接性を改善する効果をもたら
す。
【0040】また、凸部に付着した金属錫は、溶接時の
通電により温度が上がって溶融すると凸部から凹部へと
広がり、溶接部全体の電気抵抗を安定化させるため、優
れた溶接性が得られる。さらには、部分的に金属錫が付
着しているため、被溶接鋼板と銅ワイヤとのスリップが
生じ難く、安定した連続溶接が行える。
【0041】このような効果は、従来の電気めっき法、
あるいは溶融めっき法による錫めっき銅ワイヤでは得ら
れなかったものである。また、本発明によれば、粗度付
与装置7の前工程として、後記する図6に例示したシー
ム溶接用銅ワイヤの溶接接触面の研磨装置50を配設した
金属錫コーティング装置を用いることによって、銅ワイ
ヤ表面に存在する酸化物層による金属錫円盤と銅ワイヤ
とのスリップを防止し、銅ワイヤへの金属錫の付着量を
十分確保することが可能となる。
【0042】〔II. 銅ワイヤの溶接接触面への粗度付与
装置:〕本発明の金属錫コーティング装置は、被溶接鋼
板との接触面となる銅ワイヤ表面(:銅ワイヤの溶接接
触面)に表面粗度を付与する粗度付与装置を有する。図
2に、本発明における粗度付与装置の一例を、側面図に
よって示す。なお、図2において、2は銅ワイヤ、7は
粗度付与装置、10はクラッシャーロール(粗度付けロー
ル)、11はクラッシャーロール(バックアップロー
ル)、12は締め付けネジ、f1は銅ワイヤの供給方向を示
す。
【0043】図2に示す粗度付与装置7は、2本のクラ
ッシャーロール10、11、すなわち粗度付けロール10およ
びバックアップロール11から構成され、銅ワイヤ2の溶
接接触面と接する粗度付けロール10の表面に、予め所定
の表面粗度を付与しておき、2本のクラッシャーロール
10、11間で銅ワイヤを圧下することでクラッシャーロー
ル(粗度付けロール)10の表面粗度を銅ワイヤ表面に転
写する。
【0044】本発明においては、上記で例示した粗度付
与装置によって、銅ワイヤの表面粗度を算術平均粗さRa
で0.01〜5μmに調整することが好ましい。銅ワイヤの
表面粗度が算術平均粗さRaで0.01μm未満の場合は、銅
ワイヤへの金属錫の付着量を確保するため、金属錫円盤
の銅ワイヤに対する加圧力を高める必要があり、金属錫
円盤円周部の変形が生じ、安定して長時間銅ワイヤへ金
属錫を付着することが困難となる。
【0045】また、銅ワイヤの表面粗度が算術平均粗さ
Raで5μmを超える場合は、銅ワイヤへの必要金属錫付
着量以上に金属錫円盤が削られ、金属錫を不必要に消費
するため好ましくない。本発明においては、粗度付与装
置を単独の装置とすると共に、金属錫円盤の回転・摺動
装置と金属錫円盤の変形防止装置とを対にすることもで
きる。
【0046】また、前記した図10に示すように、銅ワイ
ヤを用いる電気抵抗ワイヤシーム溶接機ではクラッシャ
ーロール4a、4bが設けられており、このロール表面に所
定の表面粗度を付与しておけば、クラッシャーロールと
粗度付けロールが兼用でき金属錫コーティング装置をよ
り小型化でき好適である。この場合、銅ワイヤの両溶接
接触面に一度に表面粗度を付与しても良いし、前記した
図1に示すように、2段階で表面粗度を付与しても良
い。
【0047】すなわち、図1に示す金属錫コーティング
装置においては、前記したように、先ず、ロール表面に
所定の表面粗度を付与したクラッシャーロール40b によ
って銅ワイヤ2の最初の溶接接触面に表面粗度を付与
し、表面粗度を付与した溶接接触面に回転金属錫円盤に
よって金属錫を付着せしめ、得られた金属錫付着銅ワイ
ヤを用いて缶胴1のシーム溶接を行う。
【0048】次に、ロール表面に所定の表面粗度を付与
したクラッシャーロール40c によって銅ワイヤ2の反対
側の溶接接触面に表面粗度を付与し、表面粗度を付与し
た溶接接触面に回転金属錫円盤によって金属錫を付着せ
しめ、得られた金属錫付着銅ワイヤを用いて缶胴1のシ
ーム溶接を行う。上記した図1に示す金属錫コーティン
グ装置によれば、クラッシャーロール40c 、40d によっ
て、溶接で変形を生じた銅ワイヤの形状を修正できると
共に次の溶接接触面(反対側の溶接接触面)に適正な表
面粗度が付与できるためより好適である。
【0049】〔III.金属錫円盤の回転・摺動装置:〕本
発明の金属錫コーティング装置は、表面粗度を付与した
銅ワイヤ表面に、円盤中心を回転軸として回転する金属
錫円盤の円周側壁面を接触、摺動せしめる金属錫円盤の
回転・摺動装置を有する。図3に、金属錫円盤の回転・
摺動装置の一例を正面図で示す。
【0050】図3に示す装置は、金属錫円盤を回転駆動
する手段と金属錫円盤の円周側壁面を銅ワイヤ表面に接
触させる手段を有する。なお、図3において、8は金属
錫円盤の回転・摺動装置、15は金属錫円盤、16は金属錫
円盤回転用のモータ、17は押さえプーリ、18は押し上げ
バネ、19は調整ネジ、20はエアシリンダ、20R はエアシ
リンダのロッド、21は金属錫円盤15の円周側壁面、AXは
金属錫円盤の回転中心軸を示す。
【0051】図3に示す金属錫円盤の回転・摺動装置8
においては、金属錫円盤15をモータ16で回転させ、金属
錫円盤15の円周側壁面21を、表面粗度を付与した銅ワイ
ヤ2の溶接接触面に接触、摺動せしめる。銅ワイヤ2
は、押さえプーリ17によって確実に金属錫円盤15の円周
側壁面21に接触するようになっており、この押さえプー
リ17を、押し上げバネ18〔図3(a)〕、あるいはエアー
シリンダ20〔図3(b) 〕、あるいは油圧シリンダで押す
ことで銅ワイヤ2と金属錫円盤15の接触圧を制御する。
【0052】銅ワイヤ2に付着せしめる金属錫の量は、
0.1 〜1.0 g/m2が好ましく、付着錫量は、金属錫円盤の
回転数、接触圧力、銅ワイヤ表面の粗度、銅ワイヤの移
動速度を調整することで制御される。 〔IV. 金属錫円盤の円周部の変形防止装置:〕図4に、
金属錫円盤を用いて銅ワイヤへ金属錫をコーティングす
る際の金属錫円盤の円周部の変形状況を、縦断面図で示
す。
【0053】なお、図4において、2は銅ワイヤ、15は
金属錫円盤、15a は金属錫円盤15の円周部の変形部、17
は押さえプーリを示す。また、図4(a) はコーティング
初期、図4(b) は金属錫円盤の円周部の変形、図4(c)
は金属錫円盤の円周部の変形部15a が押さえプーリ17に
接触する状況を示す。
【0054】すなわち、前記した図3に例示した金属錫
円盤の回転・摺動装置を用いて銅ワイヤへの金属錫のコ
ーティングを連続的に行うと、金属錫が柔らかいため、
金属錫円盤の円周部が変形し、図4に示すように金属錫
円盤15の円周部の変形部15aが押さえプーリ17に当たる
ようになり、金属錫円盤15の銅ワイヤ2との接触が不良
となる。
【0055】このため、本発明の金属錫コーティング装
置は、金属錫円盤の円周部の変形防止装置を有する。図
5に、金属錫円盤の円周部の変形防止装置の一例を、正
面図(a) 、側面図(b) によって示す。なお、図5におい
て、2は銅ワイヤ、9は金属錫円盤の円周部の変形防止
装置、15は金属錫円盤、17は押さえプーリ、21は金属錫
円盤15の円周側壁面、22a 、22b は金属錫円盤の円周部
板面、25a 、25b は金属錫円盤の幅(厚み)調整ロー
ル、26は金属錫円盤の円周側壁面調整ロール、27は円周
側壁面調整ロール26を金属錫円盤15の円周側壁面21に押
し付ける押圧装置(:エアシリンダ)、AXは金属錫円盤
の回転中心軸、f3は幅(厚み)調整ロール25a 、25b の
回転方向、f4は円周側壁面調整ロール26の押圧方向を示
す。
【0056】図5に示す金属錫円盤の円周部の変形防止
装置9は、金属錫円盤の厚みを一定に制御するために、
金属錫円盤15の円周部板面22a 、22b の両面側に相対し
て当接された1対の金属錫円盤幅(厚み)調整ロール25
a 、25b と、金属錫円盤の円周側壁面を平滑にするため
に、金属錫円盤15の円周側壁面21に当接された円周側壁
面調整ロール26と、円周側壁面調整ロール26を金属錫円
盤15の円周側壁面21に押し付ける押圧装置(:エアーシ
リンダ)27で構成されている。
【0057】本発明によれば、図5に例示した金属錫円
盤の円周部の変形防止装置によって、金属錫円盤15の円
周部および銅ワイヤとの接触面が変形することなく安定
して長時間銅ワイヤ2に金属錫のコーティングを行うこ
とが出来る。本発明においては、銅ワイヤの溶接接触面
となる一面に金属錫をコーティングし、この面が溶接に
用いられた後、反対側の溶接接触面となる一面に金属錫
をコーティングすることができる。
【0058】したがって、前記した銅ワイヤの形状修正
の目的から、粗度付与装置、金属錫円盤の回転・摺動装
置および金属錫円盤の円周部の変形防止装置のそれぞれ
を溶接機内の2ヵ所に設置することが好ましい。 〔V.銅ワイヤの溶接接触面の研磨装置:〕銅ワイヤは、
大気中の水分、酸素によって酸化され、表面に酸化物層
が存在する。
【0059】銅ワイヤ表面に酸化物層が存在する場合、
金属錫をコーティングする際に、銅ワイヤと金属錫円盤
との摺動時にスリップが生じ、錫コーティングが円滑に
行われず、錫コーティング量が極めて少なくなることを
本発明者らは新たに知見した。また、上記した問題を解
決するためには、予め、銅ワイヤ表面を研磨することが
有効であることを見出した。
【0060】このため、本発明においては、銅ワイヤ表
面に表面粗度を付与する粗度付与装置の前工程として、
缶用鋼板など被溶接鋼板との溶接接触面となる銅ワイヤ
表面の研磨装置を配設し、該研磨装置を用いて溶接接触
面となる銅ワイヤ表面の酸化物層を除去することが好ま
しい。図6に、上記した研磨装置の一例を、正面図で示
す。
【0061】なお、図6において、2は銅ワイヤ、30a
、30b は研磨材、31は研磨材30a 、30b を銅ワイヤに
押し付ける押圧装置(:エアシリンダ)、31R はエアシ
リンダ31のロッド、32は支持部材、50は研磨装置、f1
銅ワイヤの供給方向を示す。図6に示す研磨装置50は、
研磨材30a 、30b で銅ワイヤ2の表面を研磨するもの
で、銅ワイヤ2を研磨材30a 、30b で挟みつけるように
し、エアーシリンダ31で研磨材30a 、30b を銅ワイヤに
押し付け、エアー圧の調整で研磨量を調整する。
【0062】なお、図7に示すように、研磨装置50は、
クラッシャーロール(粗度付けロール)40e 、40f の前
に配設し、銅ワイヤ断面が円形の時に研磨すると銅ワイ
ヤの表面全面を均一に研磨できるため好適である。 〔VI. シーム溶接機:〕本発明のシーム溶接機は、図
1、図7および後記する図9に例示されるように、前記
した金属錫コーティング装置と、被溶接鋼板の重ね合わ
せ部の外面および内面のそれぞれに対して金属錫コーテ
ィング銅ワイヤを介して当接される一対の溶接電極輪3
a、3bを有するシーム溶接機である。
【0063】本発明の金属錫コーティング装置は、図
1、図7および図9に示すように、溶接機内に設置でき
る。
【0064】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体
的に説明する。図8に、本実施例において用いた粗度
付与装置、金属錫円盤の回転・摺動装置、金属錫円
盤の円周部の変形防止装置から構成されるシーム溶接製
缶用銅ワイヤへの金属錫コーティング装置を、側面図に
よって示す。
【0065】なお、図8において、2は銅ワイヤ、7は
粗度付与装置、8は金属錫円盤の回転・摺動装置、9は
金属錫円盤の円周部の変形防止装置、15は金属錫円盤、
17は押さえプーリ、20、27は押圧装置(:エアシリン
ダ)、20R 、27R はエアシリンダ20、27のロッド、25a
、25b は金属錫円盤の幅(厚み)調整ロール、26は金
属錫円盤の円周側壁面調整ロール、f1は銅ワイヤの供給
方向、f4は円周側壁面調整ロール26の押圧方向を示す。
【0066】また、図9に、図8に示す金属錫コーティ
ング装置を配設したシーム溶接製缶用溶接機を、側面図
によって示す。なお、図9において、50は粗度付与装置
7Aの前工程として配設した銅ワイヤ表面の研磨装置を示
し、その他の符号は図1と同一の内容を示す。本実施例
においては、図9のシーム溶接製缶用溶接機を用い、下
記条件で銅ワイヤの溶接接触面に表面粗度を付与した
後、回転金属錫円盤によって金属錫を付着せしめ、金属
錫付着銅ワイヤを溶接電極として下記条件で薄クロムめ
っき鋼板を重ねシーム溶接した。
【0067】また、下記評価方法で溶接性を評価した。 〔金属錫付着条件:〕 銅ワイヤの送り速度:18mpm 製缶速度:18mpm 粗度付与後の銅ワイヤの表面粗さ(算術平均粗さ:R
a): 0.6μm 金属錫円盤回転速度:20rpm 金属錫円盤の銅ワイヤへの加圧力:1.2kgf/mm2 同一金属錫円盤による金属錫付着時間(同一金属錫円盤
の連続使用時間)の目標値:金属錫円盤の半径の4/5
までの減肉時間 〔溶接条件:〕 溶接機:銅ワイヤシーム溶接機(Soudronic 社製) 溶接速度:20mpm 溶接加圧力:65kgf 〔溶接性の評価方法:〕十分な接合強度が得られる最小
溶接一次電流値から溶接チリが発生する最大溶接一次電
流値までの範囲である適正溶接電流範囲を求めることに
よって評価した。
【0068】適正溶接電流範囲は、できるだけ広いこと
が好ましい。得られた試験結果を、表1に示す。表1か
ら明らかなように、本発明の金属錫コーティング装置、
溶接機を用いることによって、研削無しで良好な溶接製
缶を行うことが可能であることが分かった。
【0069】また、目標とした同一金属錫円盤による金
属錫付着時間(同一金属錫円盤の連続使用時間)の全体
に渡って、金属錫円盤と銅ワイヤとのスリップを生じる
こともなく、安定して良好な溶接製缶を行うことが可能
であった。以上、実施例について述べたが、本発明は、
本発明の基本的構成から、製缶材以外の難溶接性の被溶
接材料の重ねシーム溶接にも適用することが可能であ
る。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】本発明によれば、銅ワイヤシーム溶接に
おいて、生産性に優れた方法で安定的に長時間銅ワイヤ
へ金属錫をコーティングすることが可能となり、薄クロ
ムめっき鋼板など難溶接性の製缶材の溶接部表面の研削
を行うことなく、安定して長時間良好な製缶用シーム溶
接を行うことが可能となった。
【0072】本発明は、製缶材以外の難溶接性の被溶接
材料の重ねシーム溶接にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属錫コーティング装置およびシーム
溶接機の一例を示す側面図(a)およびA−A矢視図(b)
である。
【図2】粗度付与装置の一例を示す側面図である。
【図3】金属錫円盤の回転・摺動装置の一例を示す正面
図である。
【図4】金属錫円盤の円周部の変形状況を示す縦断面図
である。
【図5】金属錫円盤の円周部の変形防止装置の一例を示
す正面図(a) および側面図(b)である。
【図6】銅ワイヤの研磨装置の一例を示す正面図であ
る。
【図7】本発明の金属錫コーティング装置およびシーム
溶接機の一例を示す側面図である。
【図8】本発明の金属錫コーティング装置の一例を示す
側面図である。
【図9】本発明の金属錫コーティング装置およびシーム
溶接機の一例を示す側面図である。
【図10】従来の電気抵抗ワイヤシーム溶接機を示す側
面図である。
【符号の説明】
1 缶胴 2 銅ワイヤ 2H 銅ワイヤ収納容器 3a、3b 溶接電極輪 4a、4b クラッシャーロール 5a、5b 銅ワイヤ裁断ロール 6 被溶接鋼板(缶銅部の鋼板)の重ね合わせ部 6a 重ね合わせ部の外面 6b 重ね合わせ部の内面 7、7A、7B 粗度付与装置 8、8A、8B 金属錫円盤の回転・摺動装置 9、9A、9B 金属錫円盤の円周部の変形防止装置 10、40b 、40c 、40e 、40f クラッシャーロール(粗
度付けロール) 11、40a 、40d クラッシャーロール(バックアップロ
ール) 12 締め付けネジ 15 金属錫円盤 15a 金属錫円盤の円周部の変形部 16 金属錫円盤回転用のモータ 17 押さえプーリ 18 押し上げバネ 19 調整ネジ 20、27、31 押圧装置(:エアシリンダ) 20R 、27R 、31R エアシリンダのロッド 21 金属錫円盤の円周側壁面 22a 、22b 金属錫円盤の円周部板面(表裏面) 25a 、25b 金属錫円盤の幅(厚み)調整ロール 26 金属錫円盤の円周側壁面調整ロール 30a 、30b 研磨材 32 支持部材 50 研磨装置 AX 金属錫円盤の回転中心軸 f1 銅ワイヤの供給方向 f2 缶胴の搬送方向 f3 幅(厚み)調整ロールの回転方向 f4 円周側壁面調整ロールの押圧方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 望月 一雄 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シーム溶接用銅ワイヤへの金属錫コーテ
    ィング装置であって、被溶接鋼板との接触面となる銅ワ
    イヤ表面に表面粗度を付与する粗度付与装置(7) と、表
    面粗度を付与した銅ワイヤ表面に、回転する金属錫円盤
    の円周側壁面を接触、摺動せしめる金属錫円盤の回転・
    摺動装置(8) と、金属錫円盤の円周部の変形防止装置
    (9) を有することを特徴とするシーム溶接用銅ワイヤへ
    の金属錫コーティング装置。
  2. 【請求項2】 シーム溶接用銅ワイヤへの金属錫コーテ
    ィング装置であって、被溶接鋼板との接触面となる銅ワ
    イヤ表面を研磨する研磨装置(50)と、研磨した銅ワイヤ
    表面に表面粗度を付与する粗度付与装置(7) と、表面粗
    度を付与した銅ワイヤ表面に、回転する金属錫円盤の円
    周側壁面を接触、摺動せしめる金属錫円盤の回転・摺動
    装置(8) と、金属錫円盤の円周部の変形防止装置(9) を
    有することを特徴とするシーム溶接用銅ワイヤへの金属
    錫コーティング装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の金属錫コーティ
    ング装置と、被溶接鋼板の重ね合わせ部の外面および内
    面のそれぞれに対して金属錫コーティング銅ワイヤを介
    して当接される一対の溶接電極輪(3a 、3b) を有するこ
    とを特徴とするシーム溶接機。
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