JPH09125259A - 溶接缶用表面処理鋼板 - Google Patents

溶接缶用表面処理鋼板

Info

Publication number
JPH09125259A
JPH09125259A JP28874395A JP28874395A JPH09125259A JP H09125259 A JPH09125259 A JP H09125259A JP 28874395 A JP28874395 A JP 28874395A JP 28874395 A JP28874395 A JP 28874395A JP H09125259 A JPH09125259 A JP H09125259A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
steel sheet
chromium
metal
metal coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP28874395A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichiro Akao
謙一郎 赤尾
Michihiko Izumi
充彦 和泉
Kazuo Mochizuki
一雄 望月
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP28874395A priority Critical patent/JPH09125259A/ja
Publication of JPH09125259A publication Critical patent/JPH09125259A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Details Of Rigid Or Semi-Rigid Containers (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶接性、塗料およびフィルム密着性に優れる
だけでなく、溶接接合部の補修塗装を低減し得る表面処
理鋼板を提供する。 【解決手段】 鋼板の少なくとも片面に、帯状に延びる
金属被覆層を、その長手方向と直交する向きに間隔をも
つ複数配列の下に形成し、該金属被覆層が、Sn、N
i、ZnおよびPbの中から選ばれる1種または2種以
上の組成で、かつ表面粗さを算術平均粗さ0.03μm
以上に調整して成るものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、缶用材料、中で
も食品、飲料その他の充填保存に適した溶接缶の材料と
して供する溶接性の優れた表面処理鋼板に関する。
【0002】食品や飲料などの金属容器に供する原材料
としては、ぶりきおよびティンフリー鋼板がよく知られ
ている。まず、ぶりきは溶接性に優れているため、最近
普及が著しい電気抵抗シーム溶接法により製造される、
溶接缶に大量に使用されている。一方、ティンフリー鋼
板は、材料コスト、塗料密着性およびフィルム密着性、
さらに塗装後の耐食性の点において、ぶりきより優れて
いる反面、溶接性に劣るという欠点がある。従って、缶
胴の接合は、接着剤によって接着するか、もしくは鋼板
表面を研削後に溶接することにより行われているが、材
料歩留りや製造効率が悪い。
【0003】
【従来の技術】そこで、ティンフリー鋼板については、
その溶接性を改善し、しかも鋼板への塗料やフィルムの
密着性をも確保するために、接合する際の溶接部となる
部分にのみ錫やニッケルを帯状にめっきした鋼板が、例
えば特開昭56−38492号、同60−262993
号および特開平7−156953号各公報等に提案され
ている。
【0004】この種の鋼板では、溶接前に鋼板面に塗装
もしくはフィルム等を貼付けて耐食性や意匠性を付与す
るが、溶接接合部近傍では溶接による圧着や熱影響か
ら、塗膜やフィルムの剥離および損傷が生じるため、補
修塗装を行うのが通例である。この補修塗装は、塗膜や
フィルムの損傷部を被覆して錆の発生を防止するため、
溶接接合部の2〜3倍の幅を見込んで実施している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、補修塗装に
要する面積が大きくなると、塗装時間や塗料原単位の増
大をまねく。また、補修塗装の色調と缶外面色調は一般
に異なるために、塗膜やフィルムの損傷が大きいと、缶
外面に占める補修部面積が増大して外観が悪化し、特に
缶の意匠性が阻害される。さらに、補修塗膜に欠陥が生
じると、缶に錆や穿孔等が発生する確率が高くなる。以
上の背景から、補修塗装を低減し得る溶接缶用鋼板の開
発が要望されているが、この要望を充足する鋼板は未だ
得られていない。
【0006】この発明の目的は、溶接性、塗料およびフ
ィルム密着性に優れるだけでなく、溶接接合部の補修塗
装を低減し得る表面処理鋼板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、溶接の影響
が接合部近傍の塗膜やフィルムに及んで塗膜やフィルム
の剥離および損傷が生じるところから、鋼板の溶接接合
部について多角的に検討したところ、その物性を改善す
ることによって、溶接時に周囲に与える悪影響を抑制し
得ることを見出し、この発明を完成するに到った。
【0008】すなわち、この発明は、 (1) 鋼板の少なくとも片面に、金属クロム層、クロム水
和酸化物層、または金属クロム層とクロム水和酸化物層
との複合層からなるクロム層を被成し、該クロム層上
に、帯状に延びる金属被覆層を、その長手方向と直交す
る向きに間隔をもつ複数配列の下に形成した溶接缶用表
面処理鋼板において、該金属被覆層は、Sn、Ni、Z
nおよびPbの中から選ばれる1種または2種以上の組
成で、かつ表面粗さを算術平均粗さ0.03μm以上に
調整して成る溶接缶用表面処理鋼板(第1発明) (2) 鋼板の少なくとも片面に、帯状に延びる金属被覆層
を、その長手方向と直交する向きに間隔をもつ複数配列
の下に形成し、該金属被覆層を含む鋼板表面上に、金属
クロム層、クロム水和酸化物層、または金属クロム層と
クロム水和酸化物層との複合層からなるクロム層を被成
した溶接缶用表面処理鋼板において、該金属被覆層は、
Sn、Ni、ZnおよびPbの中から選ばれる1種また
は2種以上の組成で、かつ表面粗さを算術平均粗さ0.
03μm以上に調整して成る溶接缶用表面処理鋼板(第
2発明)および (3) 上記クロム層にかえて、化成処理層を形成して成る
溶接缶用表面処理鋼板(第3発明)である。
【0009】ここで、金属被覆層を鋼板の片面に形成し
た場合は、その裏面に、金属クロム層、クロム水和酸化
物層、金属クロム層とクロム水和酸化物層との複合層、
そして化成処理層のいずれかを被成することが好まし
い。さらに、金属クロム層の付着量は3〜200mg/
2 、クロム水和酸化物層の付着量は2〜50mg/m
2 、金属被覆層の付着量は0.1〜10g/m2 とする
ことが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の溶接缶用表面処理鋼板
(以下、単に鋼板という)は、図1に示すように、鋼板
1の少なくとも片面に、缶胴製作時の溶接接合部とな
る、帯状に延びる金属被覆層2を、その長手方向と直交
する向きに間隔をもつ複数配列の下に形成したことを基
本構成とする。この鋼板1は、末端を除く金属被覆層2
の幅中間部を長手方向に切断することによって、両端に
金属被覆層2を有する鋼板1aおよび1bに分割し、各鋼板
1aおよび1bをそれぞれ缶胴の製作に供するのである。こ
こで、図1に示すように、金属被覆層2の形成間隔を変
化することによって、金属被覆層2で切断後の鋼板1aと
1bとの幅長を変化することができ、それぞれ外周長の異
なる缶の缶胴用鋼板となる。
【0011】なお、図1に例示した鋼板では、切断によ
って2枚の缶胴用鋼板が得られるが、さらに複数の金属
被覆層2を所定間隔で形成して各金属被覆層2にて切断
すれば、3枚以上の缶胴用鋼板が得られる。
【0012】ちなみに、切断後の缶胴用鋼板は、両端の
金属被覆層2を重ね併せて円筒状にし、重ねた金属被覆
層2を円筒の表裏から、回転自在のローラーとこのロー
ラー上を走行する銅ワイヤーとからなる電極で挟んで溶
接を行う、通常の加工工程にて缶胴が製作される。
【0013】次に、第1発明の詳細を、図1のA−A線
に沿う断面を示す図2について説明する。すなわち、第
1発明に従う鋼板は、少なくとも片面に、金属クロム
層、クロム水和酸化物層、または金属クロム層とクロム
水和酸化物層との複合層からなるクロム層3を被成し、
該クロム層3上に、帯状に延びる金属被覆層2を、その
長手方向と直交する向きに間隔をもつ複数配列の下に形
成して成る。さらに、缶胴の製作に供するに先立って、
金属被覆層2に挟まれたクロム層3上に塗膜またはフィ
ルム(以下、塗膜と総称する)4を形成し、缶用材料と
するのが一般的である。なお、図2に示す例は、鋼板の
片面に金属被覆層2を形成したものであり、その裏面に
はクロム層3を被成してある。
【0014】クロム層3は、金属クロム層およびクロム
水和酸化物層は塗装後の耐食性、そして塗膜やフィルム
の密着性を向上させるため、少なくともどちらかの層を
鋼板上に形成することが望ましい。さらに、金属クロム
層とクロム水和酸化物層との複合層とすることがより好
ましく、この場合はいずれを下地にしてもよいが、鋼板
側から順に金属クロム層およびクロム水和酸化物層とす
るのが有効である。
【0015】なお、これらの効果を発揮させるには、金
属クロム層で3mg/m2 以上、そしてクロム水和酸化
物層で2mg/m2 以上の付着量を確保することが好ま
しく、一方金属クロム層で200mg/m2 、そしてク
ロム水和酸化物層で50mg/m2 をこえると、上記効
果は飽和する上、溶接性が低下する。
【0016】また、金属被覆層2は、Sn、Ni、Zn
およびPbの中から選ばれる1種または2種以上の組成
で、かつ表面粗さを算術平均粗さ0.03μm以上に調
整して成ることが肝要である。具体的には、Sn、N
i、ZnおよびPbの中から選ばれる1種または2種以
上を、0.1〜10g/m2 で付着させることが望まし
い。なぜなら、付着量が下限未満では溶接性が低下し、
一方上限をこえると溶接性の効果が飽和するためであ
る。そして、金属被覆層2の形成位置は、対象とする缶
胴の外周長をほぼ形成間隔として配列することによっ
て、鋼板1を、図1に示したように金属被覆層2で切断
した場合、その各切断片の両端に金属被覆層2が位置す
ることになり、両端を重ね合わせて溶接接合すれば缶胴
が完成する。金属被覆層2の幅は、対象とする溶接缶の
サイズに適合させればよい。
【0017】ここで、金属被覆層2を構成する上記金属
は、溶接電極との接触抵抗値が地鉄より低いため、場合
によっては溶接時の電流によって融解し、接合部と溶接
電極との間の接触面積の増大、接合部および溶接電極の
接触面の清浄化等により、通電性が改善される結果、溶
接性の向上を期待できる。ところが、上記金属の融解や
溶接時の熱により、金属被覆層2近傍の塗膜4に剥離や
損傷が生じる。従来の缶用鋼板では、かような塗膜の損
傷を低減することができないため、補修塗装を溶接接合
部の2〜3倍の幅を見込んで実施せざるを得なかったの
は、既に述べたとおりである。そこで、発明者らが鋭意
研究した結果、金属被覆層の表面粗さが、溶接に伴う塗
膜の剥離や損傷の度合いに大きな影響を与えることが判
明した。すなわち、図3に示すように、金属被覆層2の
表面粗さを粗く、具体的には算術平均粗さで0.03μ
m以上にすることによって、溶接に伴う塗膜の剥離や損
傷の発生を抑えることができるのである。
【0018】上記作用の理由については必ずしも明白で
はないが、表面を粗くすることによって、塗膜と金属被
覆層との接触面積が増大して塗膜が剥離し難くなってい
るためと推定される。いずれにせよ、この発明に従う金
属被覆層をそなえる鋼板を溶接した場合、塗膜の剥離や
損傷はほとんど発生せず、従って溶接接合部にのみ補修
塗装を施せばよいから、塗装時間や塗料原単位の低減、
あるいは缶外面の溶接接合部の意匠性の向上、さらには
補修塗膜欠陥による錆や穿孔の発生を防止することが可
能である。
【0019】ここで、金属被覆層の表面粗さは、金属被
覆層の表面を原紙間力顕微鏡にて測定した結果に基づい
て求めた算術平均粗さが適合し、この算術平均粗さが
0.03μm以上、より好ましくは0.05μm以上と
することが有利である。すなわち、算術平均粗さが0.
03μm未満であると、金属被覆層と接触する塗膜との
界面の面積が減少し、溶接時の衝撃や熱によって塗膜に
剥離や損傷が発生するからである。一方、算術平均粗さ
が6μm、とりわけ8μmをこえると、金属被覆層の表
面に塗膜が密着しなくなる、おそれがあるため、好まし
くは8μm以下、より好ましくは6μm以下とする。
【0020】なお、金属被覆層の形成は、その表面粗さ
を所定の範囲に調整できれば、特に手段は問わないが、
例えば、溶融した金属または金属の混合物を気体ととも
に鋼板表面に吹付ける、溶射方法、金属粉末または金属
の混合粉末を鋼板表面に塗布したのち、乾燥または焼結
する手法、またはめっきや上記手法にて形成した金属層
を機械的あるいは化学的に研磨する手法、などが有利に
適合する。そして、溶射方法において表面粗さを調整す
るには、吹付け気体への溶融金属の送り量あるいは吹付
け気体流量を変化させればよい。すなわち、溶融金属の
送り量が増加すれば、金属は切れ目なく鋼板上に付着し
表面粗さは低下し、逆に送り量が減少すると、溶融金属
は霧状に鋼板に付着し、凹凸が生じやすくなって表面粗
さは増大する。また、吹付け気体流量が増加すると溶融
金属は分散して付着するため表面粗さが増大し、流量が
減少すると溶融金属が塊で付着するため凹凸が減少し、
表面粗さは低下する。一方、焼結などの手法において表
面粗さを調整するには、金属粉末または金属の混合粉末
に、焼結によって焼失する物質の粉末を混合すればよ
い。すなわち、この焼失物質が存在していた部分は、焼
結後に空隙となる。従って、この物質の粉末粒径および
混合比を増加させると表面粗さは増大し、粒径を減少さ
せると表面粗さは低下する。そして、研磨の手法におい
て表面粗さを調整するには、研磨の程度を調節すればよ
い。
【0021】さらに、第2発明の詳細を、同様に図1の
A−A線に沿う断面に適合する図4について説明する。
すなわち、第2発明に従う鋼板は、鋼板1の両面に、ま
ず金属被覆層2を形成し、次いでクロム層3を被成し、
さらにクロム層3上に塗膜4を被成したものである。な
お、各層の機能や好適付着量は、第1発明と同様であ
る。ここでは、溶接性に優れた金属被覆層2をクロム層
3で覆うことになるため、図2に示した鋼板に比べると
溶接性が若干劣るが、金属被覆層2上は表面に凹凸が形
成されるから、溶接加圧時には表層の塗膜4およびクロ
ム層3が容易に破断して確実な溶接が可能になる。この
点、第1発明に従う鋼板は、溶接性に優れた金属被覆層
が最表面に露出しているため、高速溶接等の溶接性が極
めて重要になる用途に適する。一方、第2発明に従う鋼
板は、金属被覆層の表面がクロム層に覆われて酸化が防
止されるから、鋼板を溶接前に長期保存するのに適し、
塗料やフィルムの密着性も若干優れている。従って、用
途に応じていずれかの態様を選択すればよい。
【0022】また、図5に示すように、クロム層3にか
えて化成処理層6を片面あるいは両面に被成してもよ
い。化成処理層としては、リン酸亜鉛(2g/m2
度)、リン酸鉄(0.3g/m2 程度)、リン酸亜鉛カ
ルシウム(2g/m2 程度)およびリン酸Sn(0.3
g/m2 )による膜が有利に適合するが、この限りでは
なく、他の化成処理等も利用できる。
【0023】なお、鋼板の片面にのみ金属被覆層を形成
した場合は、図2に示したように、裏面にはクロム層を
形成するか、あるいは各種の化成処理や塗装、印刷、ラ
ミネート等を施すことも可能であり、さらには鋼板素地
のままとしてもよい。その選択は缶の用途等によって適
宜行うことができる。
【0024】さらに、金属被覆層2の形成を片面のみと
した場合、図6に示す缶胴の溶接接合処理において、接
触面積が小さい溶接電極7に金属被覆層2を向けること
で接触抵抗の低減を行なうことが好ましい。一般的に
は、缶内面側の溶接電極7は外面側の同電極8より小さ
いため、金属被覆層2を缶内面側とすることが有利であ
る。
【0025】ちなみに、この発明で使用する鋼板は、特
に限定されないが、例えば板厚0.08〜0.5mmお
よび表面粗さ0.01〜5μmRa程度のものが好適で
ある。
【0026】
【実施例】次に、この発明に従う、種々の鋼板について
具体的に説明する。すなわち、Alキルド低炭素鋼板に
対して、クロム層および金属被覆層を種々の順列組み合
わせの下に形成し、各鋼板に関して、塗料密着性、フィ
ルム密着性、溶接性および溶接接合部の剥離、損傷度を
評価した。なお、クロム層は、高Cr濃度のクロム酸洗
液中で電解して金属クロム層を形成し、クロム酸溶液中
で電解後さらに低Cr濃度のクロム酸溶液中で電解して
金属クロム層およびクロム水和酸化物層による複合層を
形成し、そして重クロム酸溶液中に鋼板を浸漬してクロ
ム水和酸化物層を形成した。同様に、金属被覆層は、溶
射により形成した。
【0027】また、得られた鋼板の評価方法は次のとお
りである。 (1)塗料密着性(金属被覆層部分を除く) 得られた鋼板の金属被覆層部分を切り捨ててから、鋼板
表面にエポキシフェノール系塗料50mg/m2 を塗布
した後、210℃で10分間焼付けした。その後、2枚
の試料の塗料塗布面間にナイロンフィルムをはさみ、加
圧力を3kg/cm2 として190℃で90秒間圧着し
た。この試料を10mm×150mmに切断した後引張
り試験機で剥離強度を測定、8kgf/10mm以上の
ものを良好とした。 (2)フィルム密着性(金属被覆層部分を除く) 得られた鋼板の金属被覆層部分を切り捨て、次いで鋼板
を220℃に加熱してから、ヒートシール層を有する2
軸配向ポリエステルフィルム(アイ・シー・アイ・ジャ
パン製 Melinex 850厚さ20μm)を貼り付けた。
これをエリクセン試験機によりフィルム面が膨らむよう
に5mmの高さまで張り出した後、110℃で1時間の
レトルト処理を行いフィルムが剥離しないものを良好と
した。 (3)溶接性(金属被覆層部分) 得られた鋼板の金属被覆層部分を2mmの重ね代で合わ
せ、電極径1.7mmの電極間に挟み、電極間を60k
gfで加圧し3kAの電流を流し、溶接部にスプラッシ
ュ、散り、過度の焼けがなく、充分に接合しているもの
を良好とした。 (4)溶接後接合部の塗膜およびフィルムの剥離、損傷
度 得られた鋼板の金属被覆層以外の部分に、缶用塗料(エ
ポキシフェノール系)もしくはフィルム(ポエステル)
を被成した後、金属被覆層が重なるようにして上記と同
様の条件で溶接接合した。該溶接接合部を中心にして、
接合部長さが30mmとなるよう鋼板を30×30mm
に切り取り、硫酸銅水溶液に浸漬して、銅が析出した部
分の面積を画像回析して求め、缶内面側と外面側の値を
平均して剥離、損傷値とした。なお、実施例および比較
例のうち奇数で表されたものにフィルムを貼付け、その
他の例に塗装を施した。表1および2に、それぞれ第1
発明および第2発明に従う鋼板に関する評価結果を、各
鋼板の仕様に併せて示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】表1および2から明らかなように、実施例
はいずれも鋼板への塗料およびフィルム密着性に優れ、
溶接性も良好であった。また、溶接接合部の剥離、損傷
値は、缶内面および外面の平均値が低く(剥離損傷が全
くない場合の損傷値は60mm2 となる)、従って補修
塗装を低減することができた。なお、実施例10〜1
2、20、22、32〜34および42〜44では、S
n、Ni、ZnそしてPbの混合物にて金属被覆層を形
成し、実施例18および40は、金属被覆層の下層もし
くは上層にリン酸錫皮膜を形成した例である。
【0031】一方、比較例1、2、4および5は、金属
被覆層の表面を研磨して形成したものであり、その算術
平均粗さがいずれも0.03μmに満たない結果、溶接
時に接合部付近の塗膜が急加熱され、塗膜の剥離や損傷
が発生した。比較例3および6は、金属被覆層の算術平
均粗さが8μmをこえる結果、金属被覆層とフィルムや
塗膜との密着性が不十分になった結果、フィルムや塗膜
が広範囲にわたって剥離した。
【0032】
【発明の効果】この発明によれば、溶接性、塗料および
フィルム密着性に優れるのは勿論、さらに塗膜やフィル
ムと溶接接合部との剥離が回避される結果、補修塗装を
大幅に低減することができる溶接接缶用表面処理鋼板を
提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶接缶用表面処理鋼板を示す模式図である。
【図2】図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】鋼板の金属被覆層を示す模式図である。
【図4】図1のA−A線に沿う断面に適合する図であ
る。
【図5】図1のA−A線に沿う断面に適合する図であ
る。
【図6】表面処理鋼板を用いた缶胴の溶接接合時におけ
る溶接電極と金属被覆層との位置関係を例示する模式図
である。
【符号の説明】
1 鋼板 2 金属被覆層 3 クロム層 4 塗膜 5 空隙 6 化成処理層 7 溶接電極 8 溶接電極

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の少なくとも片面に、金属クロム
    層、クロム水和酸化物層、または金属クロム層とクロム
    水和酸化物層との複合層からなるクロム層を被成し、該
    クロム層上に、帯状に延びる金属被覆層を、その長手方
    向と直交する向きに間隔をもつ複数配列の下に形成した
    溶接缶用表面処理鋼板において、該金属被覆層は、S
    n、Ni、ZnおよびPbの中から選ばれる1種または
    2種以上の組成で、かつ表面粗さを算術平均粗さ0.0
    3μm以上に調整して成る溶接缶用表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板の少なくとも片面に、帯状に延びる
    金属被覆層を、その長手方向と直交する向きに間隔をも
    つ複数配列の下に形成し、該金属被覆層を含む鋼板表面
    上に、金属クロム層、クロム水和酸化物層、または金属
    クロム層とクロム水和酸化物層との複合層からなるクロ
    ム層を被成した溶接缶用表面処理鋼板において、該金属
    被覆層は、Sn、Ni、ZnおよびPbの中から選ばれ
    る1種または2種以上の組成で、かつ表面粗さを算術平
    均粗さ0.03μm以上に調整して成る溶接缶用表面処
    理鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の溶接缶用表面
    処理鋼板において、クロム層にかえて、化成処理層を形
    成して成る溶接缶用表面処理鋼板。
JP28874395A 1995-11-07 1995-11-07 溶接缶用表面処理鋼板 Pending JPH09125259A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28874395A JPH09125259A (ja) 1995-11-07 1995-11-07 溶接缶用表面処理鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP28874395A JPH09125259A (ja) 1995-11-07 1995-11-07 溶接缶用表面処理鋼板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09125259A true JPH09125259A (ja) 1997-05-13

Family

ID=17734129

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP28874395A Pending JPH09125259A (ja) 1995-11-07 1995-11-07 溶接缶用表面処理鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09125259A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006273688A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Jfe Steel Kk 耐塩害性に優れた鉄筋を有する水和硬化体
JP2007269562A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Jfe Steel Kk 耐中性化性および耐塩害性に優れた鉄筋を有する水和硬化体
JP2007269574A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Jfe Steel Kk 耐中性化性および耐塩害性に優れた鉄筋を有する水和硬化体
JP2007269568A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Jfe Steel Kk 耐中性化性および耐塩害性に優れた鉄筋を有する水和硬化体

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006273688A (ja) * 2005-03-30 2006-10-12 Jfe Steel Kk 耐塩害性に優れた鉄筋を有する水和硬化体
JP2007269562A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Jfe Steel Kk 耐中性化性および耐塩害性に優れた鉄筋を有する水和硬化体
JP2007269574A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Jfe Steel Kk 耐中性化性および耐塩害性に優れた鉄筋を有する水和硬化体
JP2007269568A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Jfe Steel Kk 耐中性化性および耐塩害性に優れた鉄筋を有する水和硬化体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4579786A (en) Surface-treated steel strips seam weldable into cans
JP4818755B2 (ja) 溶接缶用鋼板
JPH09125259A (ja) 溶接缶用表面処理鋼板
JPH09125260A (ja) 溶接缶用表面処理鋼板
JP3212136B2 (ja) 溶接缶胴を有する缶体
JPH0637712B2 (ja) 溶接缶用電解クロメート処理鋼板
GB2043513A (en) Electrical resistance welding
JP2906829B2 (ja) 溶接性に優れた表面処理鋼板
JP3348671B2 (ja) 無研磨溶接缶用ラミネート鋼板
JP2687799B2 (ja) 溶接缶用ラミネート鋼板
JPH0379341A (ja) 溶接性の良好な塗装鋼板
JPS6131198B2 (ja)
JPH061346A (ja) 溶接缶胴を有する缶体
JP2580923B2 (ja) 溶接缶用ラミネート鋼板とその製造方法
JPH11106952A (ja) 溶接性、耐食性、フィルム密着性に優れた溶接缶用鋼板
JPH067948A (ja) 缶胴の製造方法
JPH061348A (ja) 溶接缶胴を有する缶体
JPS632712B2 (ja)
JPH067947A (ja) 缶胴の製造方法
JP3225088B2 (ja) 溶接缶用クロムめっき鋼板
JPH11106953A (ja) 溶接性、耐食性、フィルム密着性に優れた溶接缶用鋼板
JPH09209171A (ja) 耐食性、溶接性及びラミネート密着性に優れた溶接缶用ラミネート鋼板
JPH061347A (ja) 溶接缶胴を有する缶体
JPS613688A (ja) 絶縁皮膜を表層に有する金属板の抵抗溶接法
JPH0657489A (ja) 溶接缶用クロムめっき鋼板