JP2001061444A - 高カロリー高蛋白質流動食 - Google Patents
高カロリー高蛋白質流動食Info
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Abstract
流動性を確保して飲み易く、かつ、味、風味共に良好
で、更に加熱滅菌等無菌処理可能な流動食を提供する。 【解決手段】その中に含有する蛋白質に全乳蛋白質と、
カゼインナトリウムと、蛋白質分解物及び/又はアミノ
酸とを少なくとも含み、かつその組成が全乳蛋白質:カ
ゼインナトリウム:存在する蛋白質分解物及びアミノ酸
の全量=1:(3.5〜5):(1〜5)の配合比率
(重量)になるよう前記成分を配合する。蛋白質、脂
質、炭水化物、ビタミン及びミネラルを少なくとも含
み、そのカロリーを1.5kcal/ml以上にするこ
とができる。
Description
しくは全乳蛋白質、カゼインナトリウム、並びに蛋白質
分解物及び/又はアミノ酸について特定組成を有する蛋
白質を含有する高カロリー高蛋白質流動食に関し、これ
により経口又は経管投与に適した無菌流動食の提供を可
能にする。
て高カロリー化を図る場合、一般的に蛋白質の凝集・沈
殿が問題となる。これまで、1.5kcal/ml以上
の高カロリーに調整された流動食においては全乳蛋白質
とカゼインの組み合わせでは、全乳蛋白質に対してカゼ
インナトリウムの比率が多過ぎると粘度が増加するので
流動性が悪化する。また、全乳蛋白質の比率が多過ぎて
も蛋白質の凝集・沈殿が生じ保存性が悪くなることが知
られている(特開平8−196236号公報参照。)。
また、蛋白質として、全乳蛋白質に対して動植物性蛋白
質分解物を配合したり、或いは全乳蛋白質とカゼインナ
トリウム又はカゼインカルシウムと動植物性蛋白質分解
物を組み合わせて配合し良好な流動性を得る方法(特開
平10−210951号公報参照。)が提案されてい
る。
ては、何れも総蛋白濃度として7.2g/100mlを
採用して検討されているが、この濃度以上では検討がな
されていない。
(低アルブミン血症等)や喫食量を考慮すると、高カロ
リーかつ高蛋白質であり、更に飲み易くするために十分
な低粘度性を備え、加熱殺菌された液状流動食が必要と
考えられている。ところが、前述の公知配合組成におい
ては、7.2g/100ml以上の総蛋白質濃度で15
cp以下(20℃)の粘度を実現するには不十分と考え
られる。
あるが低粘性で十分な流動性を確保して、飲み易く、か
つ味、風味共に良好で、更に加熱滅菌等無菌処理可能な
流動食を提供することにある。
を解決すべく鋭意検討した結果、使用する蛋白質に全乳
蛋白質と、カゼインナトリウムと、蛋白質分解物及び/
又はアミノ酸とを少なくとも含み、かつその組成が全乳
蛋白質:カゼインナトリウム:存在する蛋白質分解物及
びアミノ酸の全量=1:(3.5〜5):(1〜5)の
配合比率(重量)になるよう前記成分を配合することに
より、味・風味にも優れ、高カロリー、高蛋白質で目的
とする流動性(チューブ流動性等)を確保できることを
見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到っ
た。
物、ビタミン及びミネラルを含有する流動食であって、
当該蛋白質が全乳蛋白質と、カゼインナトリウムと、蛋
白質分解物及び/又はアミノ酸とを、全乳蛋白質:カゼ
インナトリウム:存在する蛋白質分解物及びアミノ酸の
全量=1:(3.5〜5):(1〜5)の配合比率(重
量)で含有することに特徴を有する流動食に存する。本
発明の流動食により、好ましくは1.5kcal/ml
以上のカロリーを含むことができる。
物性蛋白質分解物が含まれる。流動食には蛋白質分解物
とアミノ酸の両方を含むこともできるし、またどちらか
一方のみ含むこともできる。この場合、上記配合比率の
算定に関しては、存在する蛋白質分解物とアミノ酸の和
(全量)を考慮すればよく、一方のみ存在する場合には
当該一方のみ考慮して配合比率を算定すればよい。
は、蛋白質を構成するアミノ酸及びペプチド(蛋白質の
分解による。)並びに蛋白質の分解物等の少なくとも1
種を含むもの、或いは組成物を意味し、また当該蛋白質
は、動物性、植物性を問わない。また、前記ペプチドは
蛋白質分解物に含まれる。
と、蛋白質分解物及び/又はアミノ酸との配合比率(重
量)は、全乳蛋白質:カゼインナトリウム:存在する蛋
白質分解物及びアミノ酸の全量=1:(3.5〜5):
(1〜5)、好ましくは1:(3.5〜4.5):
(2.5〜3.5)程度であり、好ましくは1.5kc
al/ml以上のカロリーを有することができる。
に、前記本発明で組成を規定する蛋白質、脂質や炭水化
物等の流動食の全体組成を選択、決定する中でそのよう
な目的とするカロリーになるように調整することができ
る。
あればよく、特に乳蛋白濃縮物を使用するのが好まし
い。
場合、当該動物性蛋白質分解物としてはコラーゲン分解
物、全乳蛋白質分解物、カゼイン分解物、乳清蛋白質分
解物、鶏卵蛋白質分解物、肉蛋白質分解物、魚蛋白質分
解物等が好ましく、その少なくとも1種を含有すること
ができる。
場合、当該植物性蛋白質分解物としては、大豆蛋白質分
解物、砂糖大根分解物等が好ましく、その少なくとも1
種を含有することができる。
ン、バリン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、
トレオニン、トリプトファン、ヒスチジン、アルギニ
ン、アラニン、チロシン、グリシン、プロリン、グルタ
ミン、グルタミン酸、セリン、アスパラギン、アスパラ
ギン酸、シスチン等が好ましく、その少なくとも1種を
含有することができる。また、アミノ酸を数種組み合わ
せて含有することもできる。
に適した容器内に収納した状態で製造することができ、
この場合少なくとも滅菌されていることが望ましい。
該容器内に無菌的に充填し、又は当該容器内に充填した
後加熱加圧殺菌することができる。
び半固形状の何れかの形態にあることが望ましい。
て説明する。本発明において、「流動食」は、少なくと
も蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミン及びミネラルを含
有し、ヒトその他動物が食するための水分を含む流動性
に富んだ液体状の食品であり、この中には濃厚流動食
や、高カロリーで良好なチューブ流動性、低浸透圧、耐
加熱処理性を有する液状栄養食が含まれる。更に、この
ような液状栄養食を収納する栄養剤等液状栄養食及び無
菌高カロリー流動食も含まれる(特開平8ー19623
6号公報、特開平10−210951号公報等参
照。)。
85重量%程度で経腸栄養チューブでの良好な流動性を
有しており、温度25℃、落差60cmで流下速度10
0ml/時間以上の条件を満たすものが好ましい。
ては各種蛋白質源に含有される実質的な蛋白質含有重量
を基準とする。
縮物、全乳から調製された蛋白質を使用することができ
る。好ましくは、乳蛋白濃縮物が使用され、例えば脱脂
乳、脱脂乳の濃縮物、乳蛋白濃縮物、脱脂乳から乳糖を
除去した脱乳糖脱脂乳等を使用することができる。特
に、乳蛋白濃縮物、例えば脱脂粉乳の限外濾過濃縮物が
好ましい。
より各蛋白質を酵素、酸等で加水分解して調製すること
ができる。
〜10g/100ml程度の範囲になるように配合すれ
ばよい。この範囲であれば、耐好加熱滅菌性、高カロリ
ー性、流動性において優れた流動食を製造することがで
きる。また、7〜10g/100mlの範囲でその効果
が最も認められ易い。
用されている脂質を使用することができる。その例とし
ては、大豆油、コーン油、ヤシ油、サフラワー油、オリ
ーブ油、エゴマ油等の植物性油脂、牛脂、ラード、魚
油、乳脂肪等の動物性油脂、中鎖脂肪酸(MCT油)、
高度不飽和脂肪酸(エイコサペンタエン酸、ドコサヘキ
サエン酸、γ−リノレン酸、リノール酸等)を挙げるこ
とができる。流動食中に含まれる脂質の濃度について
は、好ましくは1.5〜9g/100ml程度、より好
ましくは3.5〜9g/100ml程度になるように配
合することができる。この範囲であれば、耐加熱滅菌
性、高カロリー性、流動性において優れた流動食を製造
することができる。
用される炭水化物を使用することができ、その例として
は、澱粉、デキストリン、ショ糖、ブドウ糖、果糖、麦
芽糖等、また食物繊維として難消化性デキストリンやグ
アガム加水分解物等を挙げることができる。この中では
浸透圧や粘度調整の上からデキストリンがより好ましく
使用される。DE値(Dextrose Equivalent)としては
15〜30程度の範囲にあるものが好ましく、この範囲
であれば流動性も確保でき、浸透圧についても十分低く
することができる。炭水化物の配合比率としては通常1
0〜35g/100ml程度であるが、デキストリンを
使用する場合のデキストリン濃度としては、16〜35
g/100ml程度が好ましく、この範囲であれば、耐
加熱滅菌性、高カロリー性、流動性において優れた流動
食を製造することができる。
B1、B2、B6、B12、C、D、E、ナイアシン、
パントテン酸、葉酸等を例示することができ、これら成
分を複数、できる限り組み合せて使用するのが望まし
い。
ウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄等を挙
げることができる。これらは塩の形態で使用することが
できる。更に、ビオチン、コリン、亜鉛、マンガン、
銅、ヨウ素、モリブデン、クロム等を挙げることがで
き、これら複数成分をできる限り多く組み合せて使用す
るのが好ましい。
剤、リン酸塩、クエン酸塩等の塩類や、果汁、香料等を
添加して使用することができる。このような乳化剤に
は、食用として使用可能な乳化剤を使用することがで
き、その中にはレシチン、リゾレシチン、有機酸モノグ
リセライド、デカグリセリン、デカグリセリン脂肪酸エ
ステル、ソルビタン脂肪酸エステル、酒石酸モノグリセ
ライド、ショ糖脂肪酸エステル、コンドロイチン硫酸ナ
トリウム等が含まれる。また、乳化剤は通常含まれる脂
肪重量の1〜20%程度の範囲で使用するのが好まし
い。
水化物、ミネラル等に任意量の水を添加して混ぜ合わ
せ、この液状物に上記脂質を、乳化剤、ビタミン剤、ミ
ネラル類と共に添加、混合(予備混合)したものを、ホ
モジナイザー等を用いて本乳化することにより製造する
ことができる。
しくは1.5kcal/ml以上、より好ましくは1.
5〜3kcal/ml程度、更に好ましくは1.5〜2
kcal/ml程度である。また、浸透圧が700mO
sm/kg以下で、粘度が30cp(20℃)以下でる
ことが好ましい。特に、経口用流動食の場合には、浸透
圧が900mOsm/kg以下であれば好ましく、粘度
は20cp(20℃)以下のものが飲み易さの点で好ま
しい。
勿論、半固形状の形態のもの及び、水に溶解して液体の
流動食状にして用いることができる粉末状の形態にある
流動食等を挙げることができる。
にして説明したが、本発明の流動食の製造に際しては特
に困難は無く、上記に説明した組成範囲に基づいて、更
に後記実施例や流動食の製造法として従来から知られて
いる方法や今後新しく提供される方法を利用すれば、本
発明で目的とする流動性ある食品を容易に製造すること
ができる。
にあるものも含まれ、その場合流動食を予め加熱滅菌し
た後に無菌的に容器に充填する方法(例えば、UHT滅
菌法とアセプティック充填法を併用する方法)、或いは
流動食を容器に充填した後に、容器と一緒に加熱滅菌す
る方法(レトルト滅菌法)を採用することができる。
尚、UHT滅菌法では、間接加熱方式及び直接加熱方式
のどちらでも使用することができる。
脂、例えばポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂等で密
閉された加熱殺菌可能な容器を挙げることができる。ま
た、紙にアルミ箔、合成樹脂、例えばポリエチレン等が
ラミネートされた素材により形成されたものを使用する
ことができ、この容器はアセプティック包装法に好適に
使用することができる。
用することができ、例えばレトルト殺菌の場合110〜
120℃、10〜30分程度の加熱処理が好適である。
UHT滅菌法を採用する場合には間接加熱滅菌法及び直
接加熱滅菌法のどちらでもよく、130〜150℃、2
〜60秒程度の加熱処理が好適である。
に説明する。尚、使用する%値は重量比率で表わされて
いる。
す通りである(カロリー:1.6kcal/ml)。
量として8重量%となるように、全乳蛋白質:カゼイン
ナトリウム:コラーゲンペプチド+アミノ酸ミックス=
1:(3.5〜6.5):(1.0〜6.0)となる範
囲で蛋白質配合の組み合わせを行った(下記表1参
照。)。
−イソロイシ及びL−バリンを含み、その混合比率とし
てL−ロイシン:L−イソロイシン:L−バリン=2:
1:1であるものを使用した。コラーゲンペプチドとア
ミノ酸ミックスの比率については、2:1に固定した。
1,B2、B6、B12、C、D3、E、葉酸、パント
テン酸カルシウム及びナイアシンを含む。
ウム、カルシウム、マグネシウム、リン及び鉄を含む。
市販品である。
含有量(流動食100g当たり)は次の通りである。
に、カゼインナトリウム、乳蛋白、コラーゲンペプチ
ド、アミノ酸ミックス、デキストリン、ミネラルミック
ス、ビタミンミックス、ミルクフレーバー及び乳化剤を
加えて混合した。これとは別に、容器中で大豆油を60
℃に加温し、これを先に調製した水溶液に加えて混合し
た。これを高圧ホモジナイザーを用いて49MPs(5
00kgf/cm2)にて2回乳化処理を行った。これ
を、UHT(140℃、30秒)にて殺菌し、評価用流
動食サンプルを製造した。
流動食サンプルについては、物性の評価を行った。44
℃で2週間保存した後開封してアドバンス浸透圧計によ
り浸透圧を測定し、粘度を回転式B型粘度計(20℃)
にて測定した。結果を表1に示した。
を行った。卓越したパネラー5名により評価を行い、そ
の結果も表1に示した。尚、官能評価においては、それ
ぞれ○:「アミノ酸の異風味無し」;△:「アミノ酸の
異風味やや有り」;及び×:「アミノ酸の異風味かなり
有り」を表す。
いて、44℃2週間保存による蛋白の凝集・沈殿は認め
られなかった。更に、全ての実験区において細菌試験を
行い、無菌であることも確かめられた。
に、官能評価に関しては、カゼインナトリウムの配合比
率が6.5重量%で、コラーゲンペプチド+アミノ酸ミ
ックスの配合比率が1重量%の場合、粘度が30cpを
超えてしまい、チューブの通液性も悪く、喉ごしにも影
響を与えた。
量%で、コラーゲンペプチド+アミノ酸ミックスの配合
比率が6重量%の場合には、浸透圧が900mOsm/
kgを超えてしまい、尚かつ、アミノ酸の異風味も強く
感じられた。乳蛋白の配合比率が1重量%で、カゼイン
ナトリウムの配合比率が3.5〜5.0重量%で、コラ
ーゲンペプチド+アミノ酸ミックスの配合比率が1.0
〜5.0重量%の場合には、粘度、浸透圧及び味・風味
の何れの項目においても良好な濃厚流動食を製造するこ
とができた。
て、本発明品と従来品とを比較した。蛋白質濃度とし
て、実験区1〜3は7.2g/100ml、実験区4〜
6は8g/100mlに設定した以外は、前記実施例1
と同様に実験を行った。
食サンプルについては、物性評価を行った。44℃で2
週間保存後開封して、回転式B型粘度計(20℃)にて
粘度を測定を行った。その結果を表2に示した。
質、カゼインナトリウム並びに蛋白質分解物(動物性、
植物性)及び/又はアミノ酸の組み合わせを用いること
で、高カロリー、高蛋白質であっても極めて低粘度で飲
み易い濃厚流動食が得られることが分かる。
インナトリウムと全乳蛋白質及び動物性、植物性蛋白質
分解物の組み合わせ、全乳蛋白質とカゼインナトリウ
ム、カルシウム及び動物性、植物性蛋白質分解物の組み
合わせ等と比較して本発明品が特に低粘度化という面に
おいて優れていることを示すものである。
定した場合においても、他の蛋白質配合よりも本発明品
が優れていることを示すものである。
質、脂質、炭水化物、ビタミン及びミネラルを含む流動
食であって、この蛋白質に全乳蛋白質と、カゼインナト
リウムと、蛋白質分解物及び/又はアミノ酸とを少なく
とも含み、かつその組成が全乳蛋白質:カゼインナトリ
ウム:存在する蛋白質分解物及びアミノ酸の全量=1:
(3.5〜5):(1〜5)の配合比率(重量)になる
ように前記成分を配合することにより、粘度や浸透圧に
優れ、味・風味において良好な流動食を提供することが
できる。
にすることができる。
Claims (5)
- 【請求項1】蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミン及びミ
ネラルを含有する流動食であって、当該蛋白質が全乳蛋
白質と、カゼインナトリウムと、蛋白質分解物及び/又
はアミノ酸とを、全乳蛋白質:カゼインナトリウム:存
在する蛋白質分解物及びアミノ酸の全量=1:(3.5
〜5):(1〜5)の配合比率(重量)で含有すること
を特徴とする流動食。 - 【請求項2】1.5kcal/ml以上のカロリーを有
する請求項1記載の流動食。 - 【請求項3】全乳蛋白質が乳蛋白濃縮物である請求項1
記載の流動食。 - 【請求項4】蛋白質分解物が動物性蛋白質分解物を含
み、当該動物性蛋白質分解物がコラーゲン分解物、全乳
蛋白質分解物、カゼイン分解物、乳清蛋白質分解物、鶏
卵蛋白質分解物、肉蛋白質分解物及び魚蛋白質分解物の
少なくとも1種を含有する請求項1記載の流動食。 - 【請求項5】当該流動食が容器内に収納された状態にあ
り、加熱滅菌後に当該容器内に無菌的に充填され、又は
当該容器内に充填された後に加熱加圧殺菌された請求項
1記載の流動食。
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