JP2001058192A - 六価クロムの除去方法 - Google Patents

六価クロムの除去方法

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JP2001058192A
JP2001058192A JP11235353A JP23535399A JP2001058192A JP 2001058192 A JP2001058192 A JP 2001058192A JP 11235353 A JP11235353 A JP 11235353A JP 23535399 A JP23535399 A JP 23535399A JP 2001058192 A JP2001058192 A JP 2001058192A
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hexavalent chromium
chromium
liquid
treated
sawdust
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JP11235353A
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English (en)
Inventor
Nakamichi Yamazaki
仲道 山崎
Masayuki Matsushita
誠幸 松下
Chika Saeki
知香 佐伯
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Matsushita Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Sangyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重金属スラッジや廃液中に含まれる六価クロ
ムを、有害ガスを発生させることなく、しかも低コスト
で安全に除去することができる方法を提供する。 【解決手段】 六価クロムを含有する酸性溶液に加熱状
態でおがくずやパルプスラッジなどのセルロースを含む
有機材を接触させて、六価クロムを三価クロムに還元す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、重金属スラッジ
や廃液中に含まれる六価クロムを三価クロムに還元して
除去する方法に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】金属の表面処理工程や
メッキ処理工程において発生する重金属スラッジには、
ニッケルやコバルトなどの多くの有価金属が含まれてい
る。このため、近年、重金属スラッジから有価金属を回
収して資源の再利用を図るとともに、重金属スラッジの
自然界への投棄を減らして自然環境の保護を図ろうとす
る試みが為されてきている。
【0003】ここで、このような重金属スラッジには六
価クロムが含まれている場合が多く、有価金属の回収の
際には、この重金属スラッジ中に含まれる六価クロム
(Cr6+)の除去が重要な課題になってくる。また、ク
ロム精錬工場やメッキ工場などから排出される廃液中に
は、六価クロムが含まれている。
【0004】この六価クロムは、酸化力が強く、人体に
触れると皮膚や呼吸器官を刺激して腫瘍や皮膚炎を発生
させる虞があるため、生活環境への排出は厳しく制限さ
れている。例えば、我が国の環境基準においては、水道
水に含まれる六価クロムは、その濃度が0.05ppm
以下になるように規制されている。
【0005】上記のような重金属スラッジや廃液中に含
まれる六価クロムを除去する方法としては、従来、還元
水酸化物法とイオン交換樹脂法がよく知られている。こ
の還元・水酸化物法は、強酸性の条件下(例えば、pH
が3以下)において、六価クロムに硫酸第一鉄や亜硫酸
ナトリウム,重亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を作用さ
せて三価クロムに還元し、その後、生石灰等の中和剤を
添加することによって水酸化クロムを生成し、これを沈
殿させて濾過することにより分離回収するものである。
【0006】また、イオン交換樹脂法は、強塩基性アニ
オン交換樹脂を使用して、廃液中の六価クロムを吸着除
去するものである。しかしながら、上記の還元水酸化物
法においては、硫酸鉄等の還元剤の使用によってSOx
等の有害ガスが発生するという問題とともに、還元剤が
高価であるため、処理コストが嵩むといった問題を有し
ている。
【0007】さらに、この還元水酸化物法においては、
六価クロムを完全に除去するために還元剤が過剰に使用
される傾向にあり、この過剰の還元剤が廃水のCOD値
を上昇させるといった新たな問題を発生させる虞があ
る。
【0008】また、イオン交換樹脂法においては、廃液
中に塩素イオンなどの陰イオン類が多量に共存している
場合には六価クロムの吸着が阻害されるので、廃液の種
類によっては効果が上がらないといった問題があり、さ
らに、六価クロムの酸化力によってイオン交換樹脂の機
能が低下して、安定した六価クロムの処理を継続するこ
とが出来ないという問題を有している。さらに、このイ
オン交換樹脂法においては、使用電力が大きく、そのラ
ンニングコストが嵩んでしまうといった問題も有してい
る。
【0009】この発明は、上記のような従来の六価クロ
ムの除去方法における問題点を解消するために為された
ものである。すなわち、この発明は、重金属スラッジや
廃液中に含まれる六価クロムを、有害ガスを発生させる
ことなく安全に、しかも低コストで除去することができ
る方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明による六価ク
ロムの除去方法は、上記目的を達成するために、六価ク
ロムを含有する酸性溶液にセルロースを含む有機材を接
触させて、六価クロムを三価クロムに還元することを特
徴としている。
【0011】この第1の発明による六価クロムの除去方
法は、有機材に含まれているセルロースが、主に酸素お
よび水素,炭素が組み合わされた高分子でありその構造
が複雑であるために分解され難いという性質を有してい
るが、その頑丈な骨格を酸性条件下において酸化能力が
増した六価クロムによって攻撃されると、二酸化炭素や
水に分解してしまうという性質を利用して、六価クロム
を三価クロムに還元することによって六価クロムの除去
を行うものである。すなわち、セルロースが、六価クロ
ムとの接触によって二酸化炭素や水に分解される際に、
六価クロムを三価クロムに還元させる。
【0012】以上のように、上記第1の発明によれば、
還元処理に硫化鉄等の還元剤を使用しないで済むので、
SOx等の有害ガスの発生を抑制することができるとと
もに、従来よりも低コストで六価クロムの除去を行うこ
とができる。
【0013】第2の発明による六価クロムの除去方法
は、前記目的を達成するために、第1の発明の構成に加
えて、前記有機材が、おがくずであることを特徴として
いる。
【0014】この第2の発明による六価クロムの除去方
法によれば、おがくずが、木材組織の小片でありセルロ
ースを主成分としていて取り扱いが容易であり、システ
ムへの導入がし易く、さらに、六価クロムとの反応速度
が速いことによって、六価クロムの三価クロムへの還元
を確実に行うことが出来る。
【0015】さらに、おがくずを使用することによっ
て、還元された三価クロムから生成される水酸化物の凝
集沈殿が促進され、さらに濾別される際に、このおがく
ずが、凝集剤および濾材としての機能を果たすことが出
来る。
【0016】さらに、六価クロムの還元を行う有機材と
して廃材であるおがくずを利用することにより、有機廃
材の工業的な利用の道を開いて埋め立て等が問題になっ
ている産業廃棄物の削減にも貢献することが出来、さら
に、このような産業廃棄物の利用によって、六価クロム
の除去を低コストで行うことが出来るようになる。
【0017】第3の発明による六価クロムの除去方法
は、前記目的を達成するために、第1の発明の構成に加
えて、前記有機材が、パルプスラッジであることを特徴
としている。
【0018】この第3の発明による六価クロムの除去方
法によれば、パルプスラッジが、木材組織の小片であり
セルロースを主成分としていて取り扱いが容易であり、
システムへの導入がし易く、さらに、六価クロムとの反
応速度が速いことによって、六価クロムの三価クロムへ
の還元を確実に行うことが出来る。
【0019】さらに、パルプスラッジを使用することに
よって、還元された三価クロムから生成される水酸化物
の凝集沈殿が促進され、さらに濾別される際に、このパ
ルプスラッジが、凝集剤および濾材としての機能を果た
すことが出来る。
【0020】さらに、六価クロムの還元を行う有機材と
して廃材であるパルプスラッジを利用することにより、
有機廃材の工業的な利用の道を開いて埋め立て等が問題
になっている産業廃棄物の削減にも貢献することが出
来、さらに、このような産業廃棄物の利用によって、六
価クロムの除去を低コストで行うことが出来るようにな
る。
【0021】第4の発明による六価クロムの除去方法
は、前記目的を達成するために、第1の発明の構成に加
えて、六価クロムを含有する酸性溶液にセルロースを含
む有機材を接触させる際に、溶液を加熱することを特徴
としている。
【0022】この第4の発明による六価クロムの除去方
法によれば、セルロースを含む有機材との接触によって
六価クロムを還元処理する際に、処理を行う溶液が加熱
されることによって、有機材による六価クロムの還元反
応が促進され、さらに、六価クロムから還元された三価
クロムをアルカリ処理することにより水酸化物として沈
殿する際の凝集効果が増大されるとともに、還元によっ
て不安定な状態にある三価クロムが完全に水酸化物にな
るように助長されて、還元前の六価クロムに逆戻りする
のが防止される。
【0023】第5の発明による六価クロムの除去方法
は、前記目的を達成するために、第4の発明の構成に加
えて、前記溶液の加熱温度が50℃以上であることを特
徴としている。
【0024】この第5の発明による六価クロムの除去方
法によれば、還元処理時の溶液の加熱温度を50℃以上
に設定することによって、有機材による六価クロムの還
元反応の促進、および、六価クロムから還元された三価
クロムから生成される水酸化物を沈殿させる際の凝集効
果の増大、還元によって不安定な状態にある三価クロム
イオンによる水酸化物の生成の促進、還元前の六価クロ
ムへの逆戻りの防止をそれぞれ確実に行うことができ
る。
【0025】第6の発明による六価クロムの除去方法
は、前記目的を達成するために、第1の発明の構成に加
えて、前記有機材との接触によって六価クロムから還元
された三価クロムをアルカリ処理し、クロム水酸化物を
生成して析出させた後、このクロム水酸化物を濾別する
ことを特徴としている。
【0026】この第6の発明による六価クロムの除去方
法によれば、有機材との接触により、六価クロムが不溶
性の水酸化物を生成し易い三価クロムに還元されること
によって、この還元された三価クロムにアルカリ処理を
施してクロム水酸化物を生成し、この生成されたクロム
水酸化物を沈殿させた後濾別することにより、六価クロ
ムの除去が行われる。
【0027】第7の発明による六価クロムの除去方法
は、前記目的を達成するために、第6の発明の構成に加
えて、前記アルカリ処理およびクロム水酸化物の濾別を
行う際に、溶液中に有機材を混在させることを特徴とし
ている。
【0028】この第7の発明による六価クロムの除去方
法によれば、六価クロムから還元された三価クロムをア
ルカリ処理することによって生成されるクロム水酸化物
は、そのままの状態では水酸化物の微小なコロイド表面
が帯電していてエネルギ的に不安定であるために液中を
動き回って沈殿し難い性質を有しているが、このアルカ
リ処理時に溶液中に有機材が混在していることによっ
て、浮遊している生成されたクロム水酸化物の微小なコ
ロイド表面が有機材によって電気的に中和されてエネル
ギ的に安定するために、コロイド同士が凝集して大きく
なっていって沈殿し易くなる。
【0029】そして、この沈殿したクロム水酸化物を濾
別する際に、溶液中に混在している有機材が沈殿したク
ロム水酸化物とともに濾過されることによって、濾過材
としても機能するので、濾過時間の短縮等にも寄与する
ことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、この発明の最も好適と思わ
れる実施の形態について、詳細に説明を行う。
【0031】この発明による六価クロムの除去方法の実
施形態の第1の例は、金属の表面処理工程などから発生
する重金属スラッジやメッキ工場などから排出される廃
液中に含まれる六価クロムを除去する際に、有機材であ
るおがくずを用いて六価クロムを三価クロムに還元し、
この後、この三価クロムを不溶物である金属水酸化物に
して濾別するものである。
【0032】このおがくずによる六価クロムの還元処理
は、塩酸等によって溶解された重金属スラッジの溶解液
や廃液(以下、被処理液という)を、所定のpH値以下
の強酸性状態に保つとともに所定の温度以上に加熱した
状態で、おがくずと接触させることにより行われる。す
なわち、おがくずは木材組織の小片であり、セルロース
を主成分としている。
【0033】このセルロースは、主に酸素および水素,
炭素が組み合わされた高分子であり、構造が複雑である
ために分解され難いという性質を有しているが、その頑
丈な骨格を強酸性および高温条件下において酸化能力が
増した六価クロムによって攻撃されると、二酸化炭素や
水に分解してしまう。このセルロースが二酸化炭素や水
に分解される際に、六価クロムが三価クロムに還元され
る。
【0034】この六価クロムの還元処理時の化学反応式
は、以下の通りである。 CrO4 2-+(セルロース)n+H2SO4→→→ Cr2(SO4)3+(セルロース)n+(ブドウ糖)m+C
2+H2O このとき、有機材に含まれるセルロースは、上記のよう
に、ブドウ糖→CO2,H2Oの順に変化してゆく。
【0035】そして、上記化学反応式から分かるよう
に、還元剤を使用して六価クロムを還元する場合のよう
にSOx等の有毒ガスが発生することは無い。このと
き、被処理液は、その加熱温度が50℃以上(さらには
60℃以上)になるように調整し、また、pH値が硫酸
等の添加によって1以下になるように調整するのが好ま
しい。
【0036】なお、セルロースおよびブドウ糖の化学構
造式は、図1に示される通りである。
【0037】この還元処理に使用するおがくずは、木材
の種類によって還元能力の差がほとんど無いので、一種
類の木材によるものでも多種類の木材が混合されている
ものでもどちらでもかまわないが、このおがくずによる
還元処理は、被処理液とおがくずとを空気が混入しない
状態で接触させるようにするのが条件であり、このため
に、水に沈んでゆくおがくずを使用するのが好ましい。
【0038】このような被処理液とおがくずとの接触条
件を達成するための接触方式として、カラム方式および
バッチ方式,投入一括処理方式があり、各方式の内容は
次の通りである。
【0039】(1)カラム方式 このカラム方式は、図2に示されるように、上部と下部
にそれぞれ注入口1aと排出口1bとが設けられた円柱
形のカラム1(塩化ビニル等の材質で、内径30〜40
cm、高さ3〜5m)と、このカラム1に適合する形を
有する樹脂製のろ布2を用いておがくず3を被処理液に
接触させるものである。すなわち、おがくず3をろ布2
に充填し、これをカラム1内に収容する。
【0040】このとき、おがくず3が充填されたろ布2
を、例えば、カラム上部が50cmほど余る状態でカラ
ム1内に収容する。この後、混在空気を除去しながらカ
ラム1内に水を注入して、ろ布2内のおがくず3が完全
に水に浸かるようにする。この状態で、カラム1内を密
閉して垂直に固定した後、注入口1aから加熱およびp
H調整された被処理液を注入して、排出口1bから排出
させる。
【0041】このようにして、被処理液がカラム1内を
通過する間に被処理液とおがくず3とを接触させ、被処
理液中に含まれる六価クロムを三価クロムに還元させ
る。このときの注入速度は、おがくず10gに対して
0.5〜1.0ml/分とするのが好ましい。
【0042】(2)バッチ方式 このバッチ方式は、図3に示されるように、加熱手段1
0aを備えた円筒形の槽10内に、その容積の3分の1
程度まで被処理液を入れて、その中に、重さが被処理液
の1〜2割となる量のおがくず3を充填した樹脂製のろ
袋11を、吊り下げた状態で浸してゆくものである。
【0043】このとき、被処理液の温度を加熱手段10
aによって50〜80℃まで上昇させるとともに、ろ袋
11を被処理液内に所要の時間だけ浸して、被処理液中
に含まれる六価クロムを三価クロムに還元させる。
【0044】(3)投入一括処理方式 この投入一括処理方式は、図4に示されるように、処理
槽20におがくず3を直接投入して、そのままの状態
で、被処理液の還元処理とアルカリ処理を一括して行う
ものである。すなわち、処理槽20内の強酸性の被処理
液中におがくず3をそのまま投入して、被処理液中に含
まれる六価クロムを三価クロムに還元させる。
【0045】以上のように、上記方式の何れかによって
おがくず3を被処理液に接触させることにより、被処理
液中の六価クロムを三価クロムに還元させた後、この被
処理液中に水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を添加して
アルカリ処理を行い、クロム水酸化物を生成させて沈殿
させる。このときのアルカリ剤の添加によるアルカリ処
理において、被処理液のpH値が3〜5(好ましくは
4)になるように調整するのが好ましい。
【0046】水酸化ナトリウムを用いたアルカリ処理時
の化学反応式は、 Cr2(SO4)3+6NaOH→2Cr(OH)3↓+3Na
2SO4 であり、このアルカリ処理によって水酸化クロムが生成
される。
【0047】そして、被処理液を冷却して安定させるこ
とにより、生成された水酸化クロムが沈殿してゆく。
【0048】ここで、このアルカリ処理時に生成される
クロム水酸化物は、そのままの状態では水酸化物の微小
なコロイド表面が帯電していて、エネルギ的に不安定で
あるため、液中を動き回って沈殿し難い性質を有してい
るが、上述した投入一括処理方式のように、被処理液中
におがくずが直接投入されていて、アルカリ処理時にも
被処理液中におがくずが混在している場合には、浮遊し
ている生成されたクロム水酸化物の微小なコロイド表面
が、おがくずによって電気的に中和されることによって
エネルギ的に安定するために、コロイド同士が凝集して
大きくなって、沈殿し易くなる。
【0049】また、カラム方式やバッチ方式において
も、還元処理された後の被処理液中に再度おがくずを直
接投入してアルカリ処理を行うようにすることにより、
生成されたクロム水酸化物の凝集および沈殿が促進され
る。
【0050】このように、被処理液中に直接投入された
おがくずは、被処理液中に含まれる六価クロムの三価ク
ロムへの還元とともに、アルカリ処理によって生成され
たクロム水酸化物の凝集および沈殿を促進させる機能を
有し、特に凝集剤などを使用することなくクロム水酸化
物を沈殿させることが出来る。
【0051】そして、この沈殿したクロム水酸化物を濾
別することにより、被処理液から除去する。このとき、
被処理液中に混在しているおがくずは、沈殿したクロム
水酸化物とともに濾過される際に、濾過材としても機能
するので、濾過時間の短縮等にも寄与する。
【0052】なお、上記の還元処理およびアルカリ処理
時において被処理液を加熱するのは、おがくずによる六
価クロムの還元反応を促進し、さらに、六価クロムから
還元された三価クロムが水酸化物として沈殿する際の凝
集効果を増大させるとともに、還元によって不安定な状
態にある三価クロムイオンが完全に水酸化物になるのを
助長することによって、還元前の六価クロムに逆戻りし
ないようにするためである。
【0053】次に、この発明による六価クロムの除去方
法を、本件出願人が先に提案している重金属スラッジか
らの有価金属回収方法に適用した例について説明を行
う。
【0054】図5は、この先の提案にかかる重金属スラ
ッジからの有価金属の回収方法の概略を示す工程図であ
る。
【0055】この有価金属回収方法は、有価金属として
重金属スラッジからニッケルとコバルトを回収するもの
であって、図5において、ニッケルおよびコバルト,ク
ロム,塩化ナトリウム等を主成分として含む金属イオン
の水酸化物として回収された重金属スラッジを塩酸によ
って溶解し、その溶解液から塩化ナトリウムを濾別する
ことによって抽出原液を生成する第1工程(抽出原液生
成工程)と、この抽出原液をアルカリ処理することによ
り抽出原液中に存在する金属イオンの水酸化物生成pH
値の違いを利用して鉄やクロムなどのニッケルおよびコ
バルト以外の金属イオンを水酸化物として析出して除去
することにより、粗ニッケル・コバルト溶液を生成する
第2工程(粗ニッケル・コバルト溶液生成工程)と、こ
の粗ニッケル・コバルト溶液を還元処理するとともにさ
らにアルカリ処理を施して粗ニッケル・コバルト溶液中
に残存する六価クロムイオンを除去することにより、純
粋ニッケル・コバルト溶液を生成する第3工程(純粋ニ
ッケル・コバルト溶液生成工程)とからなっている。
【0056】六価クロムの除去方法は、上記第3工程に
おいて実施される。この第3工程においては、上記第2
工程において抽出された粗ニッケル・コバルト溶液中に
六価クロムイオンが依然残存しているために、この不純
物である六価クロムイオンを、不溶物になり易い三価ク
ロムにまで還元した後、アルカリ処理によって三価クロ
ムの水酸化物を生成して析出させ、これを濾別すること
によって除去する。
【0057】この粗ニッケル・コバルト溶液の還元処理
をおがくずによって行うものである。このおがくずによ
る還元処理は、図4において、処理タンクT内に第2工
程において抽出された粗ニッケル・コバルト溶液が溜め
られた後、この粗ニッケル・コバルト溶液を熱交換機T
1によって加熱しながら硫酸を添加して強酸性状態に
し、この後、おがくずを処理タンクT内に投入すること
によって行う。
【0058】そして、おがくずの投入後、このおがくず
と処理タンクT内の粗ニッケル・コバルト溶液が所要の
時間接触されて六価クロムの還元処理を終了した後、処
理タンクT内の粗ニッケル・コバルト溶液に水酸化ナト
リウムが添加されることによって、さらにアルカリ処理
を行う。
【0059】このアルカリ処理によって、六価クロムか
ら還元された三価クロムが水酸化ナトリウムと反応して
水酸化物が生成され、沈殿する。このとき、前述したよ
うに、粗ニッケル・コバルト溶液中に混在しているおが
くずが、アルカリ処理によって生成されたクロム水酸化
物の凝集および沈殿を促進させる。
【0060】また、上記還元処理およびアルカリ処理時
において、処理タンクT内の粗ニッケル・コバルト溶液
が熱交換機T1によって加熱されることにより、おがく
ずによる六価クロムの還元反応が促進され、さらに、六
価クロムから還元された三価クロムが水酸化物として沈
殿する際の凝集効果が増大されるとともに、還元によっ
て不安定な状態にある三価クロムイオンが完全に水酸化
物になるのが助長されて、還元前の六価クロムに逆戻り
するのが防止される。
【0061】そして、上記のようにして生成されたクロ
ム水酸化物が、処理タンクTの底部におがくずとともに
沈殿した後、吸引濾過機Rによって処理タンクT内の溶
液を吸引濾過することにより、沈殿しているクロム水酸
化物を濾別する。このとき、クロム水酸化物とともに濾
過されるおがくずが濾材として機能することによって、
濾過時間が大幅に短縮される。
【0062】このようにして、粗ニッケル・コバルト溶
液中に残存している六価クロムが三価クロムに還元され
た後、水酸化物として析出されて除去されることによ
り、純粋なニッケル・コバルト溶液が抽出される。な
お、有害な六価クロムを含む廃液についても同様に、お
がくずによる還元処理を施して無害な三価クロムに還元
して除去することにより、廃液の自然界への放流を可能
にすることが出来る。
【0063】ここで、六価クロムの還元処理に使用でき
る有機材は、木材廃棄物であるおがくずの他に、段ボー
ルなどのパルプスラッジ,雑草,木の葉,食品加工スラッ
ジ,発酵食品加工スラッジなどが有り、セルロースを含
む有機材であれば何でも還元反応を示すことが出来る。
【0064】但し、実際にこれらの有機材を六価クロム
の還元処理に使用する際には、被処理溶液に不純物が混
入しないことや還元反応が速いことが条件となるため、
工業廃棄物であるおがくずと段ボールなどのパルプスラ
ッジが、セルロースを主成分としていること、取り扱い
が容易でありシステムへの導入がし易いこと、反応速度
が速いこと、さらには、前述したように金属水酸化物を
凝集する機能と濾過材としての機能を果たす等の理由か
ら、最も適していると言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】セルロースとブドウ糖の化学構造式である。
【図2】有機材を被処理液に接触させるためのカラム方
式の説明図である。
【図3】有機材を被処理液に接触させるためのバッチ方
式の説明図である。
【図4】有機材を被処理液に接触させるための投入一括
処理方式の説明図である。
【図5】この発明が適用される重金属スラッジからの有
価金属回収方法を示す工程図である。
【図6】同重金属スラッジからの有価金属回収方法にお
いて六価クロムを除去するための装置を示す構成図であ
る。
【符号の説明】
1 …カラム 2 …ろ布 3 …おがくず 10 …槽 10a…加熱手段 11 …ろ袋 20 …処理槽 T …処理タンク T1 …熱交換機 R …吸引濾過機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D038 AA08 AB65 BB01 BB05 BB13 BB15 BB17 BB18 4D050 AA13 AB54 BA12 BC01 CA05 CA13 CA15 CA16 4D059 AA13 BE31 BE53 BF12 BF14 BH04 BH07 DA01 DA33 DB33 DB34

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 六価クロムを含有する酸性溶液にセルロ
    ースを含む有機材を接触させて、六価クロムを三価クロ
    ムに還元する六価クロムの除去方法。
  2. 【請求項2】 前記有機材が、おがくずである請求項1
    に記載の六価クロムの除去方法。
  3. 【請求項3】 前記有機材が、パルプスラッジである請
    求項1に記載の六価クロムの除去方法。
  4. 【請求項4】 六価クロムを含有する酸性溶液にセルロ
    ースを含む有機材を接触させる際に、溶液を加熱する請
    求項1に記載の六価クロムの除去方法。
  5. 【請求項5】 前記溶液の加熱温度が50℃以上である
    請求項4に記載の六価クロムの除去方法。
  6. 【請求項6】 前記有機材との接触によって六価クロム
    から還元された三価クロムをアルカリ処理し、クロム水
    酸化物を生成して析出させた後、このクロム水酸化物を
    濾別する請求項1に記載の六価クロムの除去方法。
  7. 【請求項7】 前記アルカリ処理およびクロム水酸化物
    の濾別を行う際に、溶液中に有機材を混在させる請求項
    6に記載の六価クロムの除去方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6703529B1 (en) 2002-09-12 2004-03-09 E. I. Du Pont De Nemours And Company Process for oxidation of cyclohexane
JP2011131183A (ja) * 2009-12-25 2011-07-07 Ihi Corp 金属残渣の処理方法及び処理装置
JP2016121251A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 蜷川 博生 六価クロム低減剤

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