JP2001055632A - ポリアミド弾性糸及び抗菌性ポリアミド弾性糸 - Google Patents

ポリアミド弾性糸及び抗菌性ポリアミド弾性糸

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JP2001055632A
JP2001055632A JP11225836A JP22583699A JP2001055632A JP 2001055632 A JP2001055632 A JP 2001055632A JP 11225836 A JP11225836 A JP 11225836A JP 22583699 A JP22583699 A JP 22583699A JP 2001055632 A JP2001055632 A JP 2001055632A
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fiber
stress
nylon
polyamide
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Masaki Nishimura
雅樹 西村
Takeshi Nishiyama
武史 西山
Eiji Tsukamoto
栄治 塚本
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 曲げ応力差を有する2種類のポリアミド樹脂
がサイドバイサイド型に貼り合わされ、繊維自体が弾性
を有し、かつ潜在捲縮性を有する弾性糸であって、十分
な伸縮性と柔軟性を有する布帛を得ることができるポリ
アミド弾性糸を提供する。 【解決手段】 曲げ応力差を有する2種類のポリアミド
樹脂をサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維であっ
て、高応力ポリマーは曲げ特性値が0.025gf・c
2/240f以下のナイロン12/ポリエーテルブロ
ック共重合体、低応力ポリマーは曲げ特性値が0.03
5gf・cm2/240f以上のナイロン6であり、伸
長率が300%以上である、ポリアミド弾性糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、曲げ応力差を有す
る2種類のポリマーがサイドバイサイド型に貼り合わさ
れ、弾性と潜在捲縮性能を有し、捲縮を発現することに
よって、十分な伸縮性と柔軟性を有する布帛を得ること
ができるポリアミド弾性糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からポリアミド繊維は衣料用途に広
く用いられている。衣料用ポリアミドの代表であるナイ
ロン6やナイロン66等で一種類のポリマーからなる単
一糸は、繊維自体に伸縮性が殆どないため、仮撚加工等
を行って伸縮性を付与し、伸縮性のある織編物用に使用
している。しかしながら、このような単一糸に加工を施
したものでは、十分に満足できる伸縮性を有する布帛を
得ることは困難であった。
【0003】そこで、弾性を有するポリマーで繊維を形
成することによって伸縮性を有する布帛を得る方法や、
あるいは、異なる性質のポリマーを用い、染色等の熱処
理で捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合繊維とす
ることによって、伸縮性を有する布帛を得る方法が提案
されている。
【0004】前者の弾性を有する繊維においては、ポリ
ウレタン系弾性糸が多く用いられるが、染色性や耐光性
が悪く、ナイロン6やナイロン66でカバーリング加工
をしているのが一般的である。
【0005】また、後者の異なる性質のポリマーを用い
て複合繊維にする場合は、繊維断面形状をサイドバイサ
イド型として、2成分のポリマーの粘度差を利用して熱
水収縮率差を持たせたり、あるいは、繊維断面形状を偏
心芯鞘型として、芯成分にポリウレタンと鞘成分にポリ
アミド樹脂を用いることが一般的である。
【0006】このような繊維は、後加工等が必要でない
ため、製造するコスト面では有利であり、布帛にある程
度の伸縮を付与することはできる。しかしながら、付与
できる伸縮性や柔軟性には限界があり、伸縮性が大き
く、柔軟性に優れた布帛を得るには不十分であった。
【0007】さらに、芯成分にポリウレタンを用いてい
る場合は、繊維表面にポリウレタンが露出し、フィラメ
ント間の摩擦が大きくなるため、後工程で捲縮の発現に
斑が生じたり、解舒不良が発生するという問題があっ
た。
【0008】また、近年、消費者の価値観の多様化、衛
生に対する意識の高まりにより、種々の抗菌性繊維が実
用化されている。ナイロン6をはじめとするポリアミド
繊維等の合成繊維に抗菌性を有する粉体を含有させた抗
菌性繊維は、これまでに数多く提案されている。
【0009】中でも、銀系の無機抗菌剤は抗菌剤として
広く使用されており、銀イオンを担持させたリン酸塩系
抗菌剤、銀イオンを担持させたゼオライト系抗菌剤、銀
イオンを担持させたヒドロキシアパタイト焼成物系抗菌
剤等が使用されている。
【0010】このような銀系の無機抗菌剤を含有する繊
維は、抗菌性が良好でその耐久性も優れているが、整経
・製織・精練・染色加工等の一連の加工工程における熱
的及び化学的処理や衣料用途での着用時の発汗などによ
り、抗菌成分である銀の酸化が起こって着色や変色を起
こしやすく、抗菌性も低下するという欠点があった。
【0011】そこで、変色を防止し、繊維の白度を向上
させるために、過炭酸ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウ
ム、あるいはメルカプト基を持たないアゾール化合物な
どの変色防止剤で処理した抗菌性繊維が、特開平4−5
0376号公報や特開平6−264360号公報、特開
平6−272173号公報に提案されている。しかしな
がら、これらの繊維は、変色防止剤による処理のみでは
一連の加工工程における各種の処理を行ったときの変色
(着色)を十分に回避することができず、処理も煩雑で
あり、衣料用などの白度が要求される用途には使用し難
いという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
を解決し、曲げ応力差を有する2種類のポリアミド樹脂
がサイドバイサイド型に貼り合わされ、繊維自体が弾性
を有し、かつ潜在捲縮性を有する繊維であって、十分な
伸縮性と柔軟性を有する布帛を得ることができるポリア
ミド弾性糸と、抗菌剤を含有するにもかかわらず、一連
の加工工程における熱的及び化学的処理を行っても着色
や変色が生じることがなく、白度に優れ、十分な抗菌性
をも有することができる抗菌性ポリアミド弾性糸を提供
することを技術的な課題とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達
した。すなわち、本発明は、次の(1)、(2)を要旨
とするものである。 (1)曲げ応力差を有する2種類のポリアミド樹脂をサ
イドバイサイド型に貼り合わせた 繊維であって、
高応力ポリマーは曲げ特性値が0.025gf・cm2
/240f 以下のナイロン12/ポリエーテルブ
ロック共重合体、低応力ポリマーは曲げ特性 値が
0.035gf・cm2/240f以上のナイロン6で
あり、伸長率が300 %以上であることを特徴と
するポリアミド弾性糸。 (2)曲げ応力差を有する2種類のポリアミド樹脂をサ
イドバイサイド型に貼り合わせた 繊維であって、
高応力ポリマーは曲げ特性値が0.025gf・cm2
/240f 以下のナイロン12/ポリエーテルブ
ロック共重合体、低応力ポリマーは曲げ特性 値が
0.035gf・cm2/240f以上のナイロン6で
あり、粒子の表面をカ ップリング剤で被覆処理し
た酸化亜鉛微粒子を繊維全体の0.1〜5.0重量%含
有し、伸長率が300%以上であることを特徴と
する抗菌性ポリアミド弾性糸。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明のポリアミド弾性糸は、曲げ応力差を有す
る2種類のポリアミド樹脂をサイドバイサイド型に貼り
合わせた繊維であって、高応力ポリマーは曲げ特性値が
0.025以下のナイロン12/ポリエーテルブロック
共重合体、低応力ポリマーは曲げ特性値0.035以上
のナイロン6である。
【0015】曲げ特性値は、各ポリマーの曲げやすさ、
戻りやすさの指標であり、値が小さいほど、曲げやす
く、戻りやすいことを示す。本発明における曲げ特性値
は、次のように測定し、算出するものである。
【0016】まず、各ポリマーをポリマー温度240℃
で溶融紡糸し、1500m/分で捲き取り、未延伸糸2
50d/12fを得、次に延伸倍率1.5倍で冷延伸し
て150d/12fの繊維とする。得られた繊維を24
0本用意し、図1に示すように、2枚の板1a、1bを
11mmの間隔を空けて設置して試料台とし、この台上
に240本の繊維2を25mmの間に均等に並べて固定
する。この試料をカトウテック製純曲げ試験機KES−
F2に取付け、曲率±2.5の曲げ変形を与え、正負の
曲げ曲線をチャートへ記録する。曲率+0.5における
正負の曲げ曲線間の差S1と曲率−0.5における正負
の曲げ曲線間の差S2を測定することにより下記式から
算出する。 曲げ特性値(gf・cm2/240f)=(S1+S
2)/2
【0017】高応力ポリマーは、弾性と応力が大きく、
曲げ特性値が0.025gf・cm 2/240f以下で
ある必要がある。曲げ特性値がこの範囲を超えると弾性
性能が劣り、さらに、低応力ポリマーとの曲げ応力差が
小さくなり、捲縮性能が劣るものとなる。
【0018】そして、高応力ポリマーは、ナイロン12
とポリエーテルとのブロック共重合体とする。ナイロン
12の共重合割合は、30〜70モル%とすることが好
ましい。
【0019】低応力ポリマーは、高い潜在捲縮性能を得
るために、熱水収縮率が小さく、安価なポリマーとし
て、ナイロン6を用い、その曲げ特性値は0.035g
f・cm2/240f以上とする。曲げ特性値が0.0
35gf・cm2/240f未満であると、高応力ポリ
マーとの曲げ特性値の差が小さくなり、潜在捲縮性能に
劣るものとなる。ただし、曲げ特性値が大きくなりすぎ
ると弾性性能に劣るようになるので、0.1gf・cm
2/240以下とすることが好ましい。
【0020】なお、高応力ポリマーや低応力ポリマーの
曲げ特性値を調整するには、高応力ポリマーの場合はナ
イロン12の共重合の割合を変更することによって、低
応力ポリマーの場合はナイロン6の相対粘度を変更する
ことによって可能である。
【0021】高応力ポリマーの場合、ナイロン12の共
重合の割合を高めることにより、強度と応力は増加する
が、柔軟性が低下し、曲げ難く、戻り難くなり、曲げ特
性値が増加する。したがって、前記したようにナイロン
12の共重合割合を30〜70モル%とすることが好ま
しい。
【0022】低応力ポリマーの場合、ナイロン6の相対
粘度を高めることにより、強度と応力は増加するが、柔
軟性が低下し、曲げ難く、戻り難くなり、特性値が増加
する。したがって、相対粘度は2.5以下とすることが
好ましい。
【0023】高応力ポリマーと低応力ポリマーの曲げ特
性値に差をもたせることで、潜在捲縮性能を有するもの
となる。したがって、高応力ポリマーと低応力ポリマー
の曲げ特性値の差は、0.01〜0.1とすることが好
ましい。
【0024】このように、本発明のポリアミド弾性糸に
おいては、高応力ポリマーと低応力ポリマーの曲げ特性
値を特定の値とすることで弾性性能が付与され、高応力
ポリマーと低応力ポリマーの曲げ特性値に差をもたせる
ことで、潜在捲縮性能を有するものとなり、両性能が合
わさった結果、伸長率が300%以上のものとなる。
【0025】本発明における伸長率は、次のようにして
求めるものである。総繊度1000dの糸条とし、長さ約50c
mのカセ状にして、250mgの荷重を掛け、沸騰水中で10分
間捲縮発現処理を行い、一昼夜放置後、この長さを原長
l0とする。次に10g/dの荷重を掛け、その長さl1を測定
することにより下記式から算出する。 伸長率(%)=(l1−l0)/l0×100
【0026】伸長率が300%未満であると、弾性性能
と潜在捲縮性能のどちらか一方、又は両者ともに劣り、
得られる布帛に十分な伸縮性と柔軟性を付与することが
できない。
【0027】なお、本発明のポリアミド弾性糸の潜在捲
縮性能を発現させるには、一般的な潜在捲縮糸において
発現させる方法と同様の方法でよく、製編織して布帛に
した後、染色等の熱処理によって発現させることが好ま
しい。
【0028】さらに、本発明のポリアミド繊維において
は、サイドバイサイド型に貼り合わされた高応力ポリマ
ーと低応力ポリマーの割合は、重量比で高応力ポリマー
/低応力ポリマーが2/1〜1/2程度とすることが好
ましい。また、サイドバイサイド型に貼り合わされた貼
り合わせ面の形状は特に限定されるものではなく、どち
らか一方に偏心していてもよい。
【0029】また、高応力ポリマー、低応力ポリマーと
もに本発明の効果を損なわない範囲であれば、艶消剤、
難燃剤、顔料等の種々の添加物を含有していてもよい。
【0030】そして、本発明のポリアミド弾性糸に粒子
表面をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を
繊維全体重量の0.1〜5.0重量%含有させることに
よって、抗菌性能をも付与することができる。
【0031】本発明の抗菌性ポリアミド弾性糸において
は、高応力ポリマーと低応力ポリマーともに抗菌剤を含
有していても、どちらか一方のポリマーのみ含有してい
てもよいが、繊維の表面付近に多く含有されるようにす
ることが好ましい。
【0032】そして、抗菌剤は粒子の表面をカップリン
グ剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子である。酸化亜鉛微
粒子は、紫外線吸収や脱臭という作用に加えて、殺菌、
抗菌作用を有しているが、光触媒活性を有するために、
樹脂中に含有させたときに光劣化を生じ、得られる繊維
の物性が劣ったものになるという欠点がある。
【0033】すなわち、酸化亜鉛微粒子の光触媒活性は
粒子表面における反応であり、粒子の表面を処理するこ
とにより活性を抑制しようとする試みは従来よりなされ
ている。例えば、酸素や水との接触を断つためのマイク
ロカプセル化表面処理がなされていたが、この処理を施
した酸化亜鉛微粒子は、光学的には酸化亜鉛の性質を有
しているが、化学的には酸化亜鉛の性質を失うという問
題があった。
【0034】そこで、本発明においては、酸化亜鉛微粒
子の欠点である光触媒活性を抑制し、かつ光学的にも化
学的にも酸化亜鉛の性質を有するようにするために、粒
子の表面をカップリング剤で被覆処理したものを用い
る。
【0035】カップリング剤としては、特に限定される
ものではないが、シランカップリング剤が好ましく、例
えば、信越化学社製のシランカップリング剤KBM−4
03、KBM−503が挙げられる。
【0036】また、シランカップリング剤以外のカップ
リング剤としては、チタン系、アルミニウム系、ジルコ
ニウム系、ジルコアルミネート系等のカップリング剤が
挙げられる。
【0037】そして、カップリング剤の被覆量は、酸化
亜鉛微粒子の表面積にもよるが、おおむね0.1〜20
重量%程度とすることが好ましい。このように酸化亜鉛
微粒子の表面がカップリング剤で被覆されていることに
よって、酸化亜鉛微粒子が有する光触媒活性を少量の被
覆量で無駄なく十分に抑制することができ、一方では、
紫外線吸収作用や抗菌、殺菌等の作用をそのまま維持す
ることができる。このため、このようなカップリング剤
で表面が被覆された酸化亜鉛微粒子を含有する繊維は、
紫外線による変色が防止され、同時に抗菌や殺菌等の効
果が達成される。
【0038】また、酸化亜鉛微粒子の殺菌及び抗菌性能
は、酸化亜鉛の化学的な性質の一つである硫黄との高い
親和性により発現するものと考えられる。すなわち、菌
類の細胞膜内に存在する酵素のチオール基に酸化亜鉛微
粒子が何らかの形で作用し、菌類の活性を低下させるも
のと類推される。
【0039】本発明の繊維においては、上記の抗菌剤の
含有量が繊維全体の0.1〜5.0重量%、さらに好ま
しくは0.3〜3.5重量%とする。含有量が0.1重
量%未満であると、抗菌性が十分に付与された繊維とな
らず、含有量が5.0重量%を超えると、紡糸や延伸時
に糸切れが発生したり、製織時にガイド、筬、綜絖等の
摩耗による糸切れや毛羽等が多発し、操業性が悪化す
る。さらに、抗菌性能が飽和してコスト高となるばかり
か強伸度等の糸質性能が低下する。
【0040】そして、酸化亜鉛微粒子は、紡糸から巻き
取りまでの工程において、ガイド摩耗等の問題が生じな
いようにし、工程通過性をよくするために、また、ノズ
ルパック圧の上昇も防ぐために、直径0.1〜5.0μ
m程度のものとすることが好ましい。
【0041】そして、本発明の抗菌性ポリアミド弾性糸
は、上記のような抗菌剤を含有することによって、変色
(着色)防止効果と抗菌効果の両方を有し、かつアルカ
リ処理後の着色色差が2.0以下であることが好まし
い。
【0042】本発明におけるアルカリ処理後の着色色差
について説明する。まず、本発明の繊維と抗菌剤を含有
させていないポリアミド繊維(標準繊維:他の性能は比
較する本発明の繊維と同等とする)を用い、丸編み機を
用いて筒編みにし、サンプルを作成する。そして、アル
カリ処理を、0.1%水酸化ナトリウム水溶液で30分
間煮沸して行う。その後、サンプルを水洗し、脱水、風
乾させ、JIS L0804変退色用グレースケールに
記載されている色差を基準とし、標準繊維(未処理サン
プル)の着色色差を1級とし、標準繊維より着色が濃く
なるにつれて着色色差が大きくなるものとして、目視に
て判定したものである。
【0043】このアルカリ処理後の着色色差が2.0を
超えると、精練処理等の一連の加工工程における熱的及
び化学的処理により繊維が着色する度合いが大きく、白
度が要求される用途には使用し難く、品位の低下した繊
維となり、また、アルカリとの反応により抗菌性が著し
く低下している場合もあり、好ましくない。
【0044】そして、本発明の抗菌性ポリアミド弾性糸
においては、高粘度ポリマーと低粘度ポリマーがサイド
バイサイド型に貼り合わされていれば、繊維の横断面形
状は丸形でも各種の異形でもよいが、抗菌性の面からは
対称性を有する異形とすることが好ましい。すなわち、
このような異形断面形状とすることにより、フィラメン
トの表面積が増加し、酸化亜鉛微粒子の効果が十分に発
揮され、抗菌性が向上する。これにより、酸化亜鉛微粒
子の含有量を減少させることができるので、コストを削
減できる。
【0045】さらに、本発明の繊維には、抗菌性の発現
を阻害しないものであれば、後加工により防ダニ剤、消
臭剤等を繊維に付与してもよいし、撥水加工、透湿防水
加工等を施してもよい。
【0046】次に、本発明のポリアミド弾性糸及び抗菌
性ポリアミド弾性糸の製造方法について説明する。本発
明の抗菌性ポリアミド弾性糸において、抗菌剤を含有さ
せる場合は、粒子の表面をカップリング剤で被覆処理し
た酸化亜鉛微粒子を含有するポリアミド樹脂チップを製
造する。すなわち、高応力ポリマーに含有させる場合
は、ナイロン12/ポリエーテルブロック共重合体に、
低応力ポリマーに含有させる場合は、ナイロン6に含有
させてチップを製造する。
【0047】そして、少なくとも、上記の酸化亜鉛微粒
子を含有するチップの水分率が0.05〜2.0重量%
となるように調製することが好ましい。どちらか一方の
ポリマーに含有させる場合、酸化亜鉛微粒子を含有して
いないポリマーのチップについても水分率が0.05〜
2.0重量となるように調製することが好ましい。
【0048】抗菌剤を含有しない本発明のポリアミド弾
性糸の場合は、高応力ポリマーと低応力ポリマーそれぞ
れのチップを製造する。そして、この場合も上記のよう
にチップの水分率が0.05〜2.0重量となるように
調製することが好ましい。
【0049】ポリアミド繊維の着色や変色には、樹脂チ
ップ中の水分率が関与しており、これは、ポリアミド繊
維が溶融状態では加水分解などの劣化を受けやすいため
であり、水分率が増加するほど得られる繊維の着色や変
色は大きくなる。そこで、樹脂チップの水分率を上記の
範囲内とした後、溶融紡糸することによって、よりアル
カリ処理後の着色の少ない繊維を得ることができる。
【0050】次に、この2種類のポリアミドチップを使
用し、紡糸口金より溶融紡糸する。このとき、通常の複
合紡糸装置を用いて、常用のサイドバイサイド型の紡糸
口金で溶融紡糸することができる。このとき、離型剤を
添加させて溶融紡糸することが好ましい。
【0051】添加する離型剤は、メタキシレンステアリ
ルアミド、メタキシシレンビスオレイルアミド、エチレ
ンビスステアリルアミド等が挙げられ、中でも、エチレ
ンビスステアリルアミド(EB)が好ましい。
【0052】EBを添加することで、ポリアミド樹脂の
結晶化速度が増加し、特に冷却時におけるフィラメント
表層の結晶化度が大きくなる。その結果、フィラメント
間の摩擦が低下するため、後工程での捲縮発現や解舒が
良好なポリアミド弾性糸を得ることができる。
【0053】EBの添加量は、繊維重量の0.01〜
1.0重量%であることが好ましく、中でも0.05〜
0.2重量%が好ましい。0.01重量%未満の場合
は、上記のフィラメント間の摩擦低下効果が十分に発揮
されず、一方、1.0重量%を超えると、強度が低下し
たり、糸切れなどの紡糸操業性が悪化する懸念がある。
【0054】そして、溶融紡糸後は、紡糸した未延伸糸
を一旦巻き取った後延伸する二工程法でも、紡糸した糸
条を冷却後、3000m/分以上の速度で巻き取る直接
紡糸延伸法により製造してもよい。
【0055】溶融紡糸後一旦巻き取り、延伸する二工程
法により製造する場合には、700〜1500m/分程
度の速度で巻き取り、延伸倍率1.5〜6.0倍程度で
延伸することが好ましく、糸条の種類により熱延伸とし
ても、室温程度の冷延伸としてもよく、熱延伸の場合は
50〜170℃程度で行うことが好ましい。
【0056】直接紡糸延伸法により製造する場合には、
溶融紡糸した糸条を一旦巻き取ることなく、3000m/分
以上の速度で巻き取って製造する。このとき、巻き取る
までの間で延伸を行ってもよく、この場合は、50〜 150
℃程度に加熱しながら、倍率1.1〜3.0倍程度で熱
延伸を行うことが好ましい。
【0057】なお、一般的に、微粒子を含有するポリマ
ーを用いて直接紡糸延伸法により繊維を製造する際に
は、二工程法よりもガイド摩耗が生じやすく、これに起
因する糸切れ等が発生して操業性が悪化しやすい。本発
明の抗菌性ポリアミド弾性糸の場合、抗菌剤として粒子
の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子
を用い、適量を含有させているので、直接紡糸延伸法を
採用しても、ガイド摩耗が生じることなく、操業性よく
製造することができる。
【0058】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例における各物性値の測定、評価は次
のように行った。 (a)曲げ特性値 前記の方法で測定した。 (b)伸長率 前記の方法で測定した。 (c)捲縮数 総繊度1000dの糸条とし、長さ約50cmのカセ状にして、2
50mgの荷重を掛け、沸騰水中で10分間捲縮発現処理を行
い、一昼夜放置後、そこから一本のフィラメントを取り
出し、0.2g/dの荷重を掛け、1インチ当たりの捲
縮数を測定した。 (d)強伸度 JIS L1090に準拠して測定した。 (e)抗菌性 得られた本発明の抗菌性繊維を筒編みした編物を用い、
繊維製品新機能評価協議会(SEK)が定める繊維製品
の定量的抗菌性試験方法(統一試験法)マニュアルに準
じ、試験菌として黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus a
ureus ATCC 6538P) を用いて静菌活性値を測定し、抗菌
性の評価を行った。そして、サンプルは、未処理、アル
カリ処理、染色後、10洗後、耐候後(未処理サンプル
を直接耐候処理した)について評価した。なお、アルカ
リ処理は、0.1%水酸化ナトリウム水溶液で30分間
煮沸して行い、10洗は、アルカリ処理、染色後のサン
プルをJIS L 0217の103の方法で行い、耐
候処理は、JIS L 1013の方法で行ったもので
ある。 (f)アルカリ処理後の色差 前記の方法で行った。 (g)白度 アルカリ処理後の繊維を筒編みした編物を8枚重ねにし
て、分光光度計(マクベス、CE−3100)を用いて
色度座標値を求め、ASTME313の方法に従ってT
aube白度を測定した。
【0059】実施例1 低応力ポリマーとして、曲げ特性値が0.045gf・
cm2/240fのナイロン6を用いた。高応力ポリマ
ーとして、曲げ特性値が0.015gf・cm 2/24
0fのナイロン12/ポリエーテルブロック共重合体
(ナイロン12の共重合割合が50モル%)を用いた。
この際、両ポリマーのチップ水分率を1.0重量%に調
整した後、エクストルーダーに供給した。そして、常用
の複合溶融紡糸装置にサイドバイサイド型複合紡糸口金
を装着し、EBを0.1重量%添加後、低応力ポリマー
と高応力ポリマーとの複合比(重量比)を1:1とし
て、ポリマー温度を255℃で溶融紡糸した。この複合
繊維を冷却し、油剤を付与した後、速度800m/分で
捲き取って105d/2fの未延伸糸を得た。次に、得
られた未延伸糸を3.5倍の延伸倍率で冷延伸しなが
ら、速度680m/分で引き取り、スピンドル回転数7
600rpmのパーンにトラベラ30番を用いて捲き取
り、ポリアミド弾性糸30d/2fを得た。
【0060】実施例2 低応力ポリマーに、抗菌剤としてシランカップリング剤
で粒子表面が被覆処理された酸化亜鉛微粒子(三井金属
社製Z−NOUVE、直径0.5〜1.0μm)を繊維
全体に対して1.0重量%となる量を含有させた以外は
実施例1と同様に行った。
【0061】実施例3 低応力ポリマーの抗菌剤の含有量を繊維全体に対して
2.0重量%となる量とし、溶融紡糸前にチップの水分
率を0.05重量%になるように調整を行った以外は実
施例2と同様に行った。
【0062】実施例4 高応力ポリマーにも低応力ポリマーと同じ抗菌剤含有さ
せ、低応力ポリマー、高応力ポリマーともに抗菌剤の含
有量を繊維全体に対して2.0重量%となる量とした以
外は、実施例2と同様に行った。
【0063】比較例1 高応力ポリマーを曲げ特性値0.035のナイロン12
/ポリエーテルブロック共重合体とした以外は実施例2
と同様に行った。
【0064】比較例2 低応力ポリマーを曲げ特性値0.030のナイロン6と
した以外は実施例2と同様に行った。
【0065】比較例3 低応力ポリマーに替えて高応力ポリマーを供給し、高応
力ポリマー中の抗菌剤の含有量を繊維全体に対して1.
0重量%となる量とし、高応力ポリマー単独の糸条とす
る以外は実施例4と同様に行った。
【0066】比較例4 高応力ポリマーに替えて低応力ポリマーを供給し、低応
力ポリマー単独の糸条とする以外は実施例2と同様に行
った。
【0067】実施例1〜4、比較例1〜4で得られた繊
維について、抗菌剤の含有量、強度、伸度、伸長率、捲
縮数、抗菌性、アルカリ処理後の色差、白度の評価を表
1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】表1から明らかなように、実施例1〜4の
ポリアミド弾性糸は、十分な弾性性能と捲縮性能を有
し、強度、伸度等にも優れ、製糸性も良好であった。中
でも実施例2〜4のポリアミド弾性糸は、抗菌剤を含有
し、抗菌性の評価はいずれも良好で、アルカリ染色後の
色差も小さく、白度の評価も高く、白さが要求される分
野や染色して使用される分野にも良好に使用できるもの
であった。一方、比較例1の繊維は、高応力ポリマーの
曲げ特性値が大きすぎたため、低応力ポリマーとの曲げ
曲げ応力差が小さく、弾性性能、捲縮性能ともに十分に
得られなかった。比較例2の繊維は、低応力ポリマーの
曲げ特性値が小さすぎたため、高応力ポリマーとの曲げ
応力差が小さく、捲縮性能は得られなかった。比較例3
は、高応力ポリマー単体の糸条であるため、弾性性能は
得られたが、捲縮性能は得られなかった。比較例4は、
低応力ポリマー単体の糸条であるため、弾性性能、捲縮
性能ともに得られなかった。
【0070】
【発明の効果】本発明のポリアミド弾性糸は、弾性性能
と潜在捲縮性能を有し、潜在捲縮を発現させた際の伸長
率が高いため、製編織した後に熱処理を施すと、十分な
弾性、伸縮性及び柔軟性を有する布帛とすることが可能
となる。さらに、本発明のポリアミド弾性糸に抗菌剤と
して、粒子の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化
亜鉛微粒子を含有する抗菌性ポリアミド弾性糸は、良好
な抗菌性をも発現し、アルカリ処理を行っても変色(着
色)や抗菌性の低下がほとんどなく、白さが要求される
分野や染色して使用される分野にも十分に使用可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における曲げ特性値の測定で使用する試
料台を示す上面図である。
【符号の説明】
1 板 2 繊維
フロントページの続き Fターム(参考) 4L041 AA07 AA19 AA20 BA02 BA05 BA09 BA59 BC04 BC10 BC17 CA21 CA31 CB05 CB24 CB25 CB28 DD01 DD03 DD10 DD14

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 曲げ応力差を有する2種類のポリアミド
    樹脂をサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維であっ
    て、高応力ポリマーは曲げ特性値が0.025gf・c
    2/240f以下のナイロン12/ポリエーテルブロ
    ック共重合体、低応力ポリマーは曲げ特性値が0.03
    5gf・cm2/240f以上のナイロン6であり、伸
    長率が300%以上であることを特徴とするポリアミド
    弾性糸。
  2. 【請求項2】 曲げ応力差を有する2種類のポリアミド
    樹脂をサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維であっ
    て、高応力ポリマーは曲げ特性値が0.025gf・c
    2/240f以下のナイロン12/ポリエーテルブロ
    ック共重合体、低応力ポリマーは曲げ特性値が0.03
    5gf・cm2/240f以上のナイロン6であり、粒
    子の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒
    子を繊維全体の0.1〜5.0重量%含有し、伸長率が
    300%以上であることを特徴とする抗菌性ポリアミド
    弾性糸。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006097157A (ja) * 2004-09-28 2006-04-13 Chisso Corp 潜在捲縮性複合繊維及びこれを用いた繊維構造物、吸収性物品
WO2022194116A1 (zh) * 2021-03-16 2022-09-22 东丽纤维研究所(中国)有限公司 复合纤维及其制备方法

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