JP2001055633A - 抗菌性を有する吸放湿性複合繊維 - Google Patents

抗菌性を有する吸放湿性複合繊維

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JP2001055633A
JP2001055633A JP22578999A JP22578999A JP2001055633A JP 2001055633 A JP2001055633 A JP 2001055633A JP 22578999 A JP22578999 A JP 22578999A JP 22578999 A JP22578999 A JP 22578999A JP 2001055633 A JP2001055633 A JP 2001055633A
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moisture
absorbing
conjugate fiber
antibacterial
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Takeshi Nishiyama
武史 西山
Kenichi Hirai
謙一 平井
Katsumi Ohashi
克巳 大橋
Eiji Tsukamoto
栄治 塚本
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた吸放湿性と抗菌性を有し、通常の合成
繊維並の強伸度を具備し、かつ加工時及び使用時に着色
・変色の極めて少ない抗菌性を有する吸放湿性複合繊維
を提供する。 【解決手段】 ポリアルキレンオキシドとポリオール及
び脂肪族イソシアネート化合物との反応によって得られ
たポリアルキレンオキシド変性物を含有する芯成分と、
ポリアミドからなる鞘成分とで構成された芯鞘型複合繊
維であって、繊維中に粒子の表面をカップリング剤で被
覆処理した酸化亜鉛微粒子を繊維全体で0.1〜5重量
%含有し、アルカリ処理後の色差が2.0以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸放湿性成分とし
てポリアルキレンオキシド変性物を含有し、抗菌剤とし
て粒子の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛
微粒子を含有する芯鞘型複合繊維である抗菌性を有する
吸放湿性複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、合成繊維に吸水性や吸湿性を付与
する試みは種々なされている。例えば、特開平8−31
1719号公報には、ポリアミド又はポリエステルとポ
リアルキレンオキシドの架橋物との混合物からなる芯成
分と、ポリアミド又はポリエチレンからなる鞘成分とで
構成された吸放湿性複合繊維が開示されている。
【0003】また、快適性をさらに向上させたものとし
て、特開平11−158728号公報には、上記の吸放
湿性複合繊維に抗菌剤を添加した、抗菌性を有する吸放
湿性複合繊維が開示されている。
【0004】一般に、抗菌性繊維は整経・製織・精練・
染色加工等の一連の加工工程における熱的及び化学的処
理や衣料用途での着用時の発汗などにより、着色や変色
を起こしやすいという欠点があり、吸放湿の激しい衣料
用途ではその変色・着色の度合いは大きくなる。中でも
ポリアミド繊維の場合、精練時のアルカリ処理において
特に着色しやすいという欠点もあるため、この変色・着
色が抑制された、抗菌性を有する吸放湿性複合繊維の要
望が高い。
【0005】上記の特開平11−158728号公報に
記載された抗菌性を有する吸放湿性複合繊維において
は、抗菌剤として、銀系の無機抗菌剤を用いている。こ
のような銀系の無機抗菌剤は、一般にナイロン6をはじ
めとするポリアミド繊維等の合成繊維に抗菌性を付与す
るために広く使用されており、銀イオンを担持させたリ
ン酸塩系抗菌剤、銀イオンを担持させたゼオライト系抗
菌剤、銀イオンを担持させたヒドロキシアパタイト焼成
物系抗菌剤等が使用されている。
【0006】銀系の無機抗菌剤を含有する繊維は、抗菌
性が良好でその耐久性も優れているが、精練時にアルカ
リ処理を行うと、抗菌成分である銀の酸化が起こって変
色(着色)し、抗菌性も低下するので、アルカリ処理を
行うような用途には使用し難いという欠点があった。
【0007】そこで、変色を防止し、繊維の白度を向上
させるために、過炭酸ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウ
ム、あるいはメルカプト基を持たないアゾール化合物な
どの変色防止剤で処理した抗菌性繊維が、特開平4−5
0376号公報や特開平6−264360号公報、特開
平6−272173号公報に提案されている。しかしな
がら、これらの繊維は、変色防止剤による処理のみでは
アルカリ処理を行ったときの変色(着色)を十分に回避
することができず、処理も煩雑であり、衣料用などの白
度が要求される用途には使用し難いという問題があっ
た。
【0008】以上のように、抗菌剤と吸放湿成分を含有
し、一連の加工工程における熱的及び化学的処理を行っ
ても、また、吸放湿の激しい用途に用いたとしても、着
色や変色が生じることがなく、白度に優れた抗菌性と吸
放湿性の両者を併せ持つポリアミド繊維は未だに提案さ
れていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点を解決し、優れた吸放湿性と抗菌性を有し、一連の
加工工程における熱的及び化学的処理時、さらには長期
間の使用においても着色や変色が生じることが極めて少
なく、衣料用などの白度が要求される用途に好適に使用
できる抗菌性を有する吸放湿性複合繊維を提供すること
を技術的な課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究の結果、本発明に到達した。す
なわち、本発明は、ポリアルキレンオキシドとポリオー
ル及び脂肪族イソシアネート化合物との反応によって得
られたポリアルキレンオキシド変性物を含有する芯成分
と、ポリアミドからなる鞘成分とで構成された芯鞘型複
合繊維であって、繊維中に粒子の表面をカップリング剤
で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を繊維全体で0.1〜
5.0重量%含有し、アルカリ処理後の色差が2.0以
下であることを特徴とする抗菌性を有する吸放湿性複合
繊維を要旨とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の抗菌性を有する吸放湿性複合繊維(以
下、複合繊維と略す)は、吸放湿性成分を含有する芯成
分と、ポリアミドからなる鞘成分とで構成された芯鞘型
複合繊維であって、この複合繊維中に抗菌剤を0.1〜
5.0重量%含有するものである。
【0012】すなわち、芯成分は吸放湿性成分を単独で
用いることもできるし、熱可塑性ポリマーに含有させた
ものでもよい。この場合、芯成分と鞘成分は紡糸性等の
点から同じポリマーとすることが好ましく、熱可塑性ポ
リマーにはポリアミドを用いることが好ましい。
【0013】本発明で芯成分の一部に用いたり、鞘成分
として用いるポリアミドとしては、溶融紡糸可能なもの
が用いられ、具体的には、ナイロン4、ナイロン6、ナ
イロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6
6、ナイロンMXD6(ポリメタキシレンアジパミ
ド)、ナイロンPACM12(ポリビスシクロヘキシル
メタンデカナミド)等のホモポリマー及びこれらを主体
とする共重合体もしくは混合物が好ましく用いられる。
【0014】まず、芯成分について説明する。ポリアル
キレンオキサイド変性物の含有量は、使用するポリアミ
ドの種類や芯成分と鞘成分の複合比により、得られる繊
維の吸放湿性が異なるため、本発明では特に限定される
ものではないが、一般には繊維全体重量に対して0.5
〜60重量%の範囲にすることが好ましい。
【0015】ポリアルキレンオキサイド変性物の含有率
が0.5重量%未満では、目的とする吸放湿性が得られ
ない場合があり、含有率が60重量%を超えると、製糸
性に問題が生じるおそれがあるので好ましくない。
【0016】本発明の複合繊維においては、その芯鞘成
分の複合比は、使用するポリマーや要求される性能の度
合いにより異なるが、重量比で15/85〜85/15
とすることが好ましい。これよりも芯成分の割合が少な
いと、吸放湿性に劣り、逆に芯成分が多くなりすぎる
と、製糸性に問題が生じる場合があり、好ましくない。
【0017】そして、芯成分に含有させる吸放湿性成分
は、ポリアルキレンオキシドとポリオール及び脂肪族イ
ソシアネート化合物との反応によって得られたポリアル
キレンオキシド変性物である。このように脂肪族イソシ
アネート化合物を用いることによって、芳香族をイソシ
アネート化合物を用いた場合に見られるようなイソシア
ネート基と芳香環との共鳴構造により形成されるイミド
環に起因する経時的な黄変や着色が抑制され、耐候性に
優れた繊維となる。
【0018】ポリアルキレンオキシドとしては、ポリエ
チレンオキシド、ポリプロピレンオキシド及び両者の共
重合体や混合物が挙げられる。中でも、重量平均分子量
が500〜50万のものが好適である。
【0019】ポリオールとしてはエチレングリコール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テト
ラエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメ
チレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−
ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペ
ンタジオール、1,6−ヘキサンジオールが好適であ
る。
【0020】脂肪族イソシアネート化合物は、2個のイ
ソシアネート基が分子内の対称な位置に存在するものが
好ましく、例えば、ジシクロヘキシルメタン−4,4’
−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシ
アネートなどが挙げられる。
【0021】上記のようなポリアルキレンオキシド変性
物を用いると、製糸性よく得ることができ、得られる繊
維は、強伸度等の糸質物性に優れ、染色性が良好で、繊
維の経時的黄変が少ない。
【0022】また、吸湿性を一層向上させるため、本発
明の効果を損なわない範囲で、ポリアクリル酸ナトリウ
ム、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル酸及び
その共重合体、ポリメタクリル酸及びその共重合体、ポ
リビニルアルコールの共重合体等の吸水性樹脂を併せて
芯部に含有させることもできる。
【0023】さらに、本発明の複合繊維は、抗菌剤とし
て、粒子の表面をカップリング剤で被覆処理された酸化
亜鉛微粒子を含有している。抗菌剤は芯成分、鞘成分と
もに含有していてもよいが、少なくとも鞘成分は含有し
ていることが好ましい。
【0024】本発明の複合繊維に含有させる抗菌剤とし
て用いられる酸化亜鉛微粒子は、紫外線吸収や脱臭とい
う作用に加えて、殺菌、抗菌作用を有しているが、光触
媒活性を有するために、樹脂中に含有させたときに光劣
化を生じ、得られる繊維の物性が劣ったものになるとい
う欠点がある。
【0025】すなわち、酸化亜鉛微粒子の光触媒活性は
粒子表面における反応であり、粒子の表面を処理するこ
とにより活性を抑制しようとする試みは従来よりなされ
ている。例えば、酸素や水との接触を断つためのマイク
ロカプセル化表面処理がなされていたが、この処理を施
した酸化亜鉛微粒子は、光学的には酸化亜鉛の性質を有
しているが、化学的には酸化亜鉛の性質を失うという問
題があった。
【0026】そこで、本発明においては、酸化亜鉛微粒
子の欠点である光触媒活性を抑制し、かつ光学的にも化
学的にも酸化亜鉛の性質を有するようにするために、粒
子の表面をカップリング剤で被覆処理したものを用い
る。
【0027】カップリング剤としては、特に限定される
ものではないが、シランカップリング剤が好ましく、例
えば、信越化学社製のシランカップリング剤KBM−4
03、KBM−503が挙げられる。
【0028】また、シランカップリング剤以外のカップ
リング剤としては、チタン系、アルミニウム系、ジルコ
ニウム系、ジルコアルミネート系等のカップリング剤が
挙げられる。
【0029】そして、カップリング剤の被覆量は、酸化
亜鉛微粒子の表面積にもよるが、おおむね0.1〜20
重量%程度とすることが好ましい。このように酸化亜鉛
微粒子の表面がカップリング剤で被覆されていることに
よって、酸化亜鉛微粒子が有する光触媒活性を少量の被
覆量で無駄なく十分に抑制することができ、一方では、
紫外線吸収作用や抗菌、殺菌等の作用をそのまま維持す
ることができる。このため、このようなカップリング剤
で表面が被覆された酸化亜鉛微粒子を含有する繊維は、
紫外線による変色が防止され、同時に抗菌や殺菌などの
効果が達成される。
【0030】カップリング剤で表面が被覆された酸化亜
鉛微粒子の含有量は、繊維全体で0.1〜5.0重量
%、さらに好ましくは0.5〜3.5重量%とする。含
有量が0.1重量%未満であると、抗菌性が十分に付与
された繊維とならず、含有量が5.0重量%を超える
と、紡糸や延伸時に糸切れが発生したり、操業性が悪化
したり、繊維の強伸度等の糸質性能が低下する。
【0031】そして、酸化亜鉛微粒子は、紡糸から巻き
取りまでの工程において、ノズル圧上昇やガイド摩耗等
の問題が生じないようにし、工程通過性をよくするため
に、直径0.1〜5.0μm程度のものとすることが好
ましい。
【0032】また、本発明の複合繊維は、アルカリ処理
後の着色色差が2.0以下である。これは、上記のよう
な吸放湿性成分、抗菌剤を採用することによって可能に
なるものである。
【0033】本発明におけるアルカリ処理後の着色色差
について説明する。まず、本発明の複合繊維と抗菌剤を
含有していないポリアミド繊維(標準繊維:他の性能は
比較する本発明の繊維と同等とする。)を用い、丸編み
機を用いて筒編サンプルを作成する。そして、アルカリ
処理を、0.1%水酸化ナトリウム水溶液で30分間煮
沸して行う。その後、サンプルを水洗し、脱水、風乾さ
せ、JIS L 0804変退色用グレースケールに記
載されている色差を基準とし、標準繊維(未処理サンプ
ル)の着色色差を1級とし、標準繊維より着色が濃くな
るにつれて着色色差が大きくなるものとして、目視にて
判定したものである。
【0034】このアルカリ処理後の着色色差が2.0を
超えると、アルカリ処理により繊維は着色する度合いが
大きく、白度が要求される用途には使用し難く、品位の
低下した繊維となり、好ましくない。
【0035】次に、本発明の複合繊維の製造方法につい
て説明する。まず、本発明の複合繊維を紡糸する際、抗
菌剤を含有する芯成分及び又は鞘成分のポリアミドチッ
プの水分率を0.05〜2.0重量%となるように調整
することが好ましい。一般に、抗菌性繊維は整経・製織
・精練・染色加工等の一連の加工工程における熱的及び
化学的処理や使用時の発汗などにより着色や変色を起こ
しやすいという欠点があり、特に、ポリアミド繊維の場
合、精練時のアルカリ処理によって着色しやすい。
【0036】また、ポリアミド繊維の着色や変色には、
樹脂チップ中の水分率が関与しており、これは、ポリア
ミド繊維が溶融状態では加水分解などの劣化を受けやす
いためであり、水分率が増加するほど得られる繊維の着
色や変色は大きくなる。そこで、樹脂チップの水分率を
上記の範囲内とした後、溶融紡糸することによって、よ
りアルカリ処理後の着色の少ない繊維を得ることができ
る。
【0037】樹脂チップの水分率の水分率を上記の範囲
内のものとするには、チップを90〜160℃程度で乾
燥させればよい。
【0038】チップの水分率が2.0重量%を超える
と、得られる繊維の着色や変色が大きくなり、チップの
水分率が0.05重量%未満であると、チップを乾燥さ
せる工程が長くなり、コストが高くなり、得られる繊維
の強伸度などの物性も低下しやすくなる。
【0039】なお、芯成分に抗菌剤を含有させない場合
で吸放湿性成分のみをポリアミドに含有させている場合
も、ポリアミド特有の経時的な黄変や着色を防ぐため
に、上記のようにチップの水分率を調整してから溶融紡
糸することが好ましい。
【0040】そして、上記のようにチップを乾燥させた
後、芯成分と鞘成分を通常の複合紡糸装置を用いて溶融
紡糸を行う。長繊維(マルチフィラメント)を製造する
場合、紡糸した未延伸糸を一旦巻き取った後延伸する二
工程法でも、紡糸した糸条を冷却後、3000m/分以
上の速度で巻き取る直接紡糸延伸法により製造してもよ
い。
【0041】直接紡糸延伸法により製造する場合には、
溶融紡糸した糸条を一旦巻き取ることなく、3000m
/分以上の速度で巻き取って製造する。このとき、巻き
取るまでの間で延伸を行ってもよく、この場合は50〜
160℃程度に加熱しながら、倍率1.1〜3.5倍程
度で熱延伸を行うことが好ましい。
【0042】溶融紡糸後一旦巻き取り、延伸する二工程
法により製造する場合には、700〜1500m/分程
度の速度で巻き取り、延伸倍率1.5〜6.0倍程度で
延伸することが好ましく、用途により熱延伸としても、
室温程度の冷延伸としてもよく、熱延伸の場合は50〜
200℃程度で行うことが好ましい。
【0043】また、本発明の複合繊維において、複合の
形態は、芯鞘型とする必要があるが、多心型(海島型)
でもよい。また、繊維の断面形状は特に限定されるもの
ではなく、円形断面の他、楕円形断面、三角断面、星形
断面等の異形断面であってもよい。
【0044】さらに、本発明の複合繊維には、必要に応
じて捲縮を付与したり、艶消し剤、顔料、防炎剤、消臭
剤等の各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で含
有させることができる。
【0045】
【作用】吸水性の大きいポリアルキレンオキシド変性物
が繊維の表面に存在すると、製糸時に吸湿して種々のト
ラブルを起こす。本発明では、これを複合繊維の芯部に
含有させるので、このような問題がなく、製糸性が良好
であり、得られた繊維の強度や伸度も通常の合成繊維と
同等の値を有するものとなる。そして、吸放湿性成分と
して、ポリアルキレンオキシドとポリオール及び脂肪族
イソシアネート化合物との反応によって得られたポリア
ルキレンオキシド変性物を含有させているので、経時的
な黄変や着色が抑制され、染色性も良好となる。また、
繊維に抗菌剤として、粒子表面をカップリング剤で被覆
処理した酸化亜鉛微粒子を含有させているため、抗菌性
が付与されるのはもちろんのこと、加工時及び使用時に
着色・変色が生じることがなく、白度に優れた繊維とな
り、結果として、抗菌性と吸放湿性の両方を有する色調
に優れた複合繊維となる。
【0046】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、実施例中の各種の値の測定、評価は次のよう
にして行った。 (1)ポリアルキレンオキサイド変性物の溶融粘度 測定試料としてポリアルキレンオキサイド変性物1.5
gを用い、フローテスター(島津製作所製CFT−50
0D)を用いて、荷重50kg/cm2、温度170
℃、ダイ直径1mm、ダイ長さ1mmの条件で測定し
た。 (2)ポリアルキレンオキサイド変性物の吸水能(g/
g) 純水200ml中に、秤量したポリアルキレンオキサイ
ド変性物1gを添加し、24時間攪拌した後、200メ
ッシュの金網でろ過し、ろ過後のゲルの重量を吸水能
〔g(純水)/g(樹脂)〕とした。 (3)吸放湿性と吸湿能力 得られた繊維を筒編みした編物を用い、これを温度10
5℃で2時間乾燥して重量Wを測定した後、温度25
℃、相対湿度60%の条件下で2時間調湿して重量W
を測定し、下記式(a)により初期水分率M0を求め
る。次に、このサンプルを温度34℃、相対湿度90%
の条件下で24時間吸湿させた後、重量W2を測定し、
水分率M1を下記式(b)により算出する。続いて、こ
のサンプルを温度25℃、相対湿度60%の条件下でさ
らに24時間放置した後、重量Wを測定し、放湿後の
水分率M2を下記式(c)により算出する。 M0(%)=〔(W−W0)/W0〕×100 (a) M1(%)=〔(W−W0)/W0〕×100 (b) M2(%)=〔(W−W0)/W0〕×100 (c) 吸湿能力は下記式にて算出した。 吸湿能力=M1 −M2 (4)染色堅牢度 染色した試料の染色堅牢度について、次のJISに従っ
て変退色および汚染の程度を級で判定する。 耐光堅牢度 : JIS L−0842 洗濯堅牢度 : JIS L−0844 汗堅牢度 : JIS L−0848 摩擦堅牢度 : JIS L−0849 (5)強伸度 得られた繊維について、島津製作所製オートグラフAG
S−50Dを用い、試料長25cm、引っ張り速度25cm/分
で測定した。 (6)抗菌性 得られた繊維を筒編みした編物を用い、繊維製品新機能
評価協議会(SEK)が定める繊維製品の定量的抗菌性
試験方法(統一試験法)マニュアルに準じ、試験菌とし
て黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus ATCC 653
8P)を用いて静菌活性値を測定し、抗菌性の評価を行っ
た。そして、サンプルは、未処理、アルカリ処理、染色
後、10洗後、耐候後(未処理サンプルを直接耐候処
理)について評価した。なお、アルカリ処理は、0.1
%水酸化ナトリウム水溶液で30分煮沸して行い、10
洗は、アルカリ処理、染色後のサンプルをJIS L
0217の103の方法で行い、耐候処理は、JIS
L 1013の方法で行ったものである。 (7)着色色差 前述した方法で評価を行った。 (8)白度 アルカリ処理後の繊維を筒編みした編物を8枚重ねにし
て、分光光度計(マクベス、CE−3100)を用いて
色度座標値を求め、ASTME313の方法に従ってT
aube白度を測定した。 (9)操業性24時間操業したときの切れ糸が2錘で3
回未満のものを○、3回以上のものを×とした。
【0047】実施例1 相対粘度(96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温
度25℃で測定した。)が2.6のナイロン6を85重
量部と、ポリエチレンオキサイド、1,4−ブタンジオー
ル及びジシクロヘキシルメタン−4, 4’−ジイソシア
ネートとの反応物であるポリエチレンオキサイド変性物
(吸水能35g/g,溶融粘度4000ポイズ)15重
量部とをドライブレンドした混合物を芯成分、抗菌剤と
してシランカップリング剤で粒子表面が被覆処理された
酸化亜鉛微粒子(三井金属社製Z−NOUVE、直径
0.5〜1.0μm)を繊維全体重量の1.0重量%含
有する、相対粘度が2.6のナイロン6樹脂チップを鞘
成分に配合し、芯鞘複合重量比が50/50の同心円状
の芯鞘型複合繊維を製造した。この際、芯成分及び鞘成
分のチップ水分率を1.0重量%に調整した後、エクス
トルーダーに供給し、紡糸温度260℃で溶融紡糸し
た。糸条を冷却した後、油剤を付与し、3600m/分
の速度で巻き取り、80d/24fの複合繊維を得た。
【0048】実施例2〜3、比較例1〜2 シランカップリング剤で粒子表面が被覆処理された酸化
亜鉛微粒子の添加量及びチップの水分率が表1に示す値
になるように条件変更した以外は実施例1と同様にして
行った。
【0049】比較例3 シランカップリング剤で粒子表面が被覆処理された酸化
亜鉛微粒子の代わりに、銀イオンを担持させたリン酸ジ
ルコニウムを用いた以外は実施例1と同様にして行っ
た。
【0050】比較例4 芯成分にポリエチレンオキサイド変性物を含有させなか
った以外は、実施例1と同様に行った。
【0051】参考例1 芯成分及び鞘成分に相対粘度2.5のナイロン6のみを
用い、巻き取り速度を4300m/分とした以外は、実
施例1と同様に行った。
【0052】実施例1〜3、比較例1〜4、参考例1で
得られた繊維の各測定値、評価結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1より明らかなように、実施例1〜3の
繊維は、吸放湿性及び抗菌性に優れ、参考例と同等の十
分な強伸度特性を有し、かつ各処理後の着色色差も極め
て小さいものであった。これに対し、比較例1の繊維
は、粒子表面をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛
微粒子を含有していないために、抗菌性のないものとな
った。一方、比較例2の繊維は、粒子表面をカップリン
グ剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子の含有量が多すぎた
ために、強伸度物性の劣るものとなり、また、紡糸時に
糸切れ、毛羽が多発し、操業性も悪かった。また、比較
例3の繊維は、抗菌剤として銀系の抗菌剤を用いたた
め、各処理後の着色色差が大きくなり、比較例4の繊維
は、吸放湿性成分を含んでいないために吸放湿性能に劣
るものであった。
【0055】
【発明の効果】本発明の抗菌性を有する吸放湿性複合繊
維は、優れた吸放湿性と抗菌性を有し、一連の加工工程
における熱的及び化学的処理時、さらに経時的な使用に
おいても着色や変色が生じることが極めて少なく、衣料
用などの白度が要求される用途に好適に使用することが
可能で、かつ、操業性よく得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚本 栄治 京都府宇治市宇治戸ノ内5 ユニチカ株式 会社宇治工場内 Fターム(参考) 4H011 AA02 BA01 BB18 BC19 DA10 DG02 DG16 DH06 4L031 AB01 AB10 BA09 DA00 DA08 DA12 4L041 AA08 BA02 BA05 BA21 BC01 BC02 BC10 BC20 BD20 CA21 CA35 CB05 CB24 CB25 CB28 DD01 DD18 DD21

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアルキレンオキシドとポリオール及
    び脂肪族イソシアネート化合物との反応によって得られ
    たポリアルキレンオキシド変性物を含有する芯成分と、
    ポリアミドからなる鞘成分とで構成された芯鞘型複合繊
    維であって、繊維中に粒子の表面をカップリング剤で被
    覆処理した酸化亜鉛微粒子を繊維全体で0.1〜5.0
    重量%含有し、アルカリ処理後の色差が2.0以下であ
    ることを特徴とする抗菌性を有する吸放湿性複合繊維。
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