JP2001055624A - 抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸及びその製造方法 - Google Patents

抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸及びその製造方法

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JP2001055624A
JP2001055624A JP11225786A JP22578699A JP2001055624A JP 2001055624 A JP2001055624 A JP 2001055624A JP 11225786 A JP11225786 A JP 11225786A JP 22578699 A JP22578699 A JP 22578699A JP 2001055624 A JP2001055624 A JP 2001055624A
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Masaki Nishimura
雅樹 西村
Eiji Tsukamoto
栄治 塚本
Takeshi Nishiyama
武史 西山
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な抗菌性を発現し、アルカリ処理を行っ
ても変色(着色)や抗菌性の低下がほとんどない抗菌性
ポリアミド繊維からなり、かつ織編物にドライ感、ソフ
ト感、膨らみ感を発現させることができる異繊度混繊糸
及びその製造方法を提供する 【解決手段】 単糸繊度が2.5デニール以上の太繊度
糸と単糸繊度が1.5デニール以下の細繊度糸とからな
る異繊度混繊糸であって、混繊糸中の太繊度糸の割合が
20〜95重量%、細繊度糸の割合が5〜80重量%で
あり、太繊度糸と細繊度糸は粒子表面をカップリング剤
で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を0.1〜5.0重量%
含有しているポリアミド樹脂からなり、アルカリ処理後
の着色色差が2.0以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊度の異なる複数
の繊維からなる異繊度混繊糸であって、得られる織編物
にドライ感、ソフト感、膨らみ感とを付与することがで
き、かつ抗菌性を有する抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ナイロン6をはじめとするポリアミド繊
維等の合成繊維に抗菌性を有する粉体を含有させた抗菌
性繊維は、これまでに数多く提案されている。中でも、
銀系の無機抗菌剤は抗菌剤として広く使用されており、
銀イオンを担持させたリン酸塩系抗菌剤、銀イオンを担
持させたゼオライト系抗菌剤、銀イオンを担持させたヒ
ドロキシアパタイト焼成物系抗菌剤等が使用されてい
る。
【0003】このような銀系の無機抗菌剤を含有する繊
維は、抗菌性が良好でその耐久性も優れているが、製織
性を向上させるために付与した糊剤を染色前の工程で洗
い流すためにアルカリ処理を行うと、抗菌成分である銀
の酸化が起こって変色(着色)し、抗菌性も低下するの
で、アルカリ処理を行うような用途には使用し難いとい
う欠点があった。
【0004】そこで、変色を防止し、繊維の白度を向上
させるために、過炭酸ナトリウムや次亜塩素酸ナトリウ
ム、あるいはメルカプト基を持たないアゾール化合物な
どの変色防止剤で処理した抗菌性繊維が、特開平4−5
0376号公報や特開平6−264360号公報、特開
平6−272173号公報に提案されている。しかしな
がら、これらの繊維は、変色防止剤による処理のみでは
アルカリ処理を行ったときの変色(着色)を十分に回避
することができず、処理も煩雑であり、衣料用などの白
度が要求される用途には使用し難いという問題があっ
た。
【0005】また、織編物にドライ感と膨らみ感を発現
させることができる繊維として種々の繊維が提案されて
いる。例えば、特開昭62-149927号公報には、太繊度糸
と細繊度糸からなる異繊度混繊糸が提案されている。ま
た、これらの太繊度糸と細繊度糸を異形断面糸とした混
繊糸も提案されている。
【0006】しかしながら、十分な抗菌性能と良好な白
度を併せ持ち、織編物にドライ感と膨らみ感を発現させ
ることができる異繊度混繊糸は、未だに提案されていな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
を解決し、良好な抗菌性を発現し、アルカリ処理を行っ
ても変色(着色)や抗菌性の低下がほとんどない抗菌性
ポリアミド繊維からなり、かつ織編物にドライ感、ソフ
ト感、膨らみ感を発現させることができる抗菌性ポリア
ミド異繊度混繊糸を提供することを技術的な課題とする
ものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達
した。すなわち、本発明は、単糸繊度が2.5デニール
以上の太繊度糸と単糸繊度が1.5デニール以下の細繊
度糸とからなる異繊度混繊糸であって、混繊糸中の太繊
度糸の割合が20〜95重量%、細繊度糸の割合が5〜
80重量%であり、太繊度糸と細繊度糸は粒子表面をカ
ップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を0.1〜
5.0重量%含有しているポリアミド樹脂からなり、ア
ルカリ処理後の着色色差が2.0以下であることを特徴
とする抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸を要旨とするもの
である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の異繊度混繊糸の繊維を構成するポリアミ
ドとしては、ナイロン6,ナイロン66,ナイロン6
9,ナイロン46等の単独あるいはこれらの共重合体、
又はブレンドしたもの等が挙げられる。そして、本発明
の効果を損なわない範囲であれば、艶消剤、改良剤、制
電剤、含量等を含んだものでもよい。
【0010】本発明の異繊度混繊糸は、2.5デニール以
上の太繊度糸と1.5デニール以下の細繊度糸で構成され
ていることが必要である。すなわち、太繊度糸により得
られる織編物にハリ、コシあるいはドライ感のある風合
を付与し、また、細繊度糸によりソフト感と膨らみ感あ
るいはドレープ性を付与する。
【0011】太繊度糸の単糸繊度は、2.5デニール以
上、特に5〜7デニールの範囲にするのが好ましい。2.
5デニール未満では単糸の断面積が小さいため、フィラ
メントにかかる横方向の力、あるいは曲げ、ねじれに反
して反発力が期待できなくなり、得られる織編物は、コ
シ、ハリが減少し、さらには細繊度糸との繊度差が少な
いため、凹凸感がなく表面効果の少ないぬめり感のある
ものとなる。
【0012】一方、細繊度糸の単糸繊度は、1.5デニー
ル以下、特に0.1〜1.0デニールの範囲にするのが好まし
い。1.5デニールを超えると、得られる織編物は、コ
シ、ハリが強くなりすぎてソフト感、膨らみ感、ドレー
プ性が減少し、さらには太繊度糸との繊度差が少ないた
め、凹凸感がなく表面効果の少ないぬめり感のあるもの
となる
【0013】混繊糸中の太繊度糸の割合は20〜95重
量%、細繊度糸の割合は5〜80重量%とする。太繊度
糸の割合が20重量%未満であり、細繊度糸の割合が8
0重量%を超えると、得られる織編物は、太繊度糸特有
のコシ、ハリが不足したものとなる。太繊度糸の割合が
95重量%を超え、細繊度糸の割合が5重量%未満であ
ると、得られる織編物はソフト感、あるいはドレープ性
が欠けて剛直な風合になる。
【0014】なお、本発明の混繊糸を構成する太繊度糸
と細繊度糸は、上記のような繊度と割合を満足するもの
であれば、繊度及び又は形状の異なる複数の繊維からな
るものでもよい。
【0015】そして、単糸の断面形状は、細繊度糸、太
繊度糸ともに丸断面でもよいが、少なくとも一方、好ま
しくは両方を異形度20〜60%の異形断面とすること
が好ましい。このような異形断面形状とすることによ
り、フィラメント間の含気量の増加とフィラメント表面
の接触点が減少してソフト感とドライ感が向上し、さら
に、マルチフィラメントとしての表面積が増し、抗菌剤
の効果が十分に発揮され、抗菌性が向上する。
【0016】異形度が20%未満では、フィラメント間
の含気量が少なく、フィラメント表面の接触点が多くな
るため、この糸条を織編物にした場合、膨らみ感、ドラ
イ感が不十分な風合となる。さらに、フィラメントの異
形度が60%を超えると、強伸度が低下するため、この
糸条を織編物にした場合、毛羽発生や引き裂き強力が低
下して好ましくない。
【0017】本発明の繊維における異形度とはフィラメ
ントの横断面形状における内接円の直径を外接円の直径
で除した値に100を乗じた数値(%)をいう。このよ
うな形としては三角や四角等の多角形のものや凹凸を多
数有する多様断面形状のもの、また、田型や井型形状の
もの等が挙げられる。
【0018】そして、本発明の混繊糸を構成する太繊度
糸と細繊度糸は、抗菌剤として粒子表面をカップリング
剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を0.1〜5.0重量
%含有しているポリアミド樹脂からなるものである。
【0019】酸化亜鉛微粒子は、紫外線吸収や脱臭とい
う作用に加えて、殺菌、抗菌作用を有しているが、光触
媒活性を有するために、樹脂中に含有させたときに光劣
化を生じ、得られる繊維の物性が劣ったものになる。
【0020】すなわち、酸化亜鉛微粒子の光触媒活性は
粒子表面における反応であり、粒子の表面を処理するこ
とにより活性を抑制しようとする試みは従来よりなされ
ている。例えば、酸素や水との接触を断つためのマイク
ロカプセル化表面処理がなされていたが、この処理を施
した酸化亜鉛微粒子は、光学的には酸化亜鉛の性質を有
しているが、化学的には酸化亜鉛の性質を失うという問
題があった。
【0021】そこで、本発明においては、酸化亜鉛微粒
子の欠点である光触媒活性を抑制し、かつ光学的にも化
学的にも酸化亜鉛の性質を有するようにするために、粒
子の表面をカップリング剤で被覆処理したものを用い
る。
【0022】カップリング剤としては、特に限定される
ものではないが、シランカップリング剤が好ましく、例
えば、信越化学社製のシランカップリング剤KBM−4
03、KBM−503が挙げられる。
【0023】また、シランカップリング剤以外のカップ
リング剤としては、チタン系、アルミニウム系、ジルコ
ニウム系、ジルコアルミネート系等のカップリング剤が
挙げられる。
【0024】そして、カップリング剤の被覆量は、酸化
亜鉛微粒子の表面積にもよるが、おおむね0.1〜20
重量%程度とすることが好ましい。このように酸化亜鉛
微粒子の表面がカップリング剤で被覆されていることに
よって、酸化亜鉛微粒子が有する光触媒活性を少量の被
覆量で無駄なく十分に抑制することができ、一方では、
紫外線吸収作用や抗菌、殺菌等の作用をそのまま維持す
ることができる。このため、このようなカップリング剤
で表面が被覆された酸化亜鉛微粒子を含有する繊維は、
紫外線による変色が防止され、同時に抗菌や殺菌等の効
果が達成される。
【0025】また、酸化亜鉛微粒子の殺菌及び抗菌性能
は、酸化亜鉛の化学的な性質の一つである硫黄との高い
親和性により発現するものと考えられる。すなわち、菌
類の細胞膜内に存在する酵素のチオール基に酸化亜鉛微
粒子が何らかの形で作用し、菌類の活性を低下させるも
のと類推される。
【0026】本発明の繊維においては、カップリング剤
で表面が被覆された酸化亜鉛微粒子のポリアミド樹脂中
の含有量を0.1〜5.0重量%、好ましくは0.3〜
3.5重量%とする。含有量が0.1重量%未満である
と、抗菌性が十分に付与された繊維とならず、含有量が
5.0重量%を超えると、紡糸や延伸時に糸切れが発生
したり、製織時にガイド、筬、綜絖等の摩耗による糸切
れや毛羽等が多発し、操業性が悪化する。さらに、抗菌
性能が飽和してコスト高となるばかりか強伸度等の糸質
性能が低下する。
【0027】そして、酸化亜鉛微粒子は、紡糸から巻き
取りまでの工程において、ガイド摩耗等の問題が生じな
いようにし、工程通過性をよくするために、また、ノズ
ルパック圧の上昇も防ぐために、直径0.1〜5.0μ
m程度のものとすることが好ましい。
【0028】また、本発明の混繊糸においては、混繊糸
を構成する太繊度糸、細繊度糸ともに、中空部を有して
いてもよい。また、製編織時の糸切れや毛羽の発生等を
回避するために、芯部にのみ抗菌剤を含有させたり、芯
部の抗菌剤の含有量が鞘部よりも多い芯鞘構造糸として
もよい。さらには、太繊度糸と細繊度糸とを収縮率の異
なるものとして異収縮混繊糸としてもよい。
【0029】さらに、本発明の繊維には、抗菌性の発現
を阻害しないものであれば、後加工により防ダニ剤、消
臭剤等を繊維に付与してもよいし、撥水加工、透湿防水
加工等を施してもよい。
【0030】本発明の混繊糸は、上記のような抗菌剤を
含有することによって、変色(着色)防止効果と抗菌効
果の両方を有し、かつアルカリ処理後の着色色差が2.
0以下である。
【0031】本発明におけるアルカリ処理後の着色色差
について説明する。まず、本発明の繊維と抗菌剤を含有
させていないポリアミド繊維(標準繊維:他の性能は比
較する本発明の繊維と同等とする)を用い、丸編み機を
用いて筒編みにし、サンプルを作成する。そして、アル
カリ処理を、0.1%水酸化ナトリウム水溶液で30分
間煮沸して行う。その後、サンプルを水洗し、脱水、風
乾させ、JIS L0804変退色用グレースケールに
記載されている色差を基準とし、標準繊維(未処理サン
プル)の着色色差を1級とし、標準繊維より着色が濃く
なるにつれて着色色差が大きくなるものとして、目視に
て判定したものである。
【0032】このアルカリ処理後の着色色差が2.0を
超えると、精練処理等のアルカリ処理により繊維が着色
する度合いが大きく、白度が要求される用途には使用し
難く、品位の低下した繊維となり、また、アルカリとの
反応により抗菌性が著しく低下している場合もあり、好
ましくない。
【0033】次に、本発明の抗菌性ポリアミド異繊度混
繊糸を製造する方法について説明する。上記のような抗
菌剤を含有させた本発明の繊維を製造する場合、まず、
カップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を0.1
〜5.0重量%含有するポリアミド樹脂チップを製造
し、チップの水分率が0.05〜2.0重量%となるよ
うに調整した後、溶融紡糸を行う。
【0034】得られるポリアミド繊維の着色や変色に
は、樹脂チップ中の水分率が関与しており、これは、ポ
リアミド繊維が溶融状態では加水分解等の劣化を受けや
すいためであり、水分率が増加するほど得られる繊維の
着色や変色は大きくなる。そこで、樹脂チップの水分率
を上記の範囲内とした後、溶融紡糸することによって、
アルカリ処理後の着色がより少ない繊維を得ることがで
きる。
【0035】樹脂チップの水分率を上記の範囲内のもの
とする手段の1つとしては、チップを90〜160℃程
度で乾燥させればよい。
【0036】チップの水分率が2.0重量%を超える
と、得られる繊維の着色や変色が大きくなり、アルカリ
処理後の着色色差を2.0以下とすることが困難となり
やすく、チップの水分率が0.05重量%未満である
と、チップを乾燥させる工程が長くなり、コストが高く
なり、得られる繊維の強伸度等の物性も低下しやすくな
る。
【0037】上記のようにチップを乾燥させた後、溶融
紡糸を行う際には、混繊糸を構成する各糸条を同一の紡
糸口金より吐出させる方法、あるいは別個の紡糸口金よ
り吐出させ、捲取時に合糸して異繊度混繊糸となす方法
が好適に用いられる。
【0038】同一の紡糸口金より吐出させる場合は、図
1(A)、(B)に示すような太繊度糸用の吐出孔1と
細繊度糸用の吐出孔2が穿孔された一つの紡糸口金を用
いればよい。なお、前記のように、本発明の混繊糸にお
いて繊度及び又は形状が異なる3種あるいはそれ以上の
異繊度混繊糸とする場合も複数種類の吐出孔が穿孔され
た一つの紡糸口金を用いればよい。
【0039】そして、同一の紡糸口金あるいは異なる紡
糸口金から紡糸した後は、紡糸した未延伸糸を一旦巻き
取った後延伸する二工程法でも、紡糸した糸条を冷却
後、3000m/分以上の速度で巻き取る直接紡糸延伸
法により製造してもよい。
【0040】溶融紡糸後一旦巻き取り、延伸する二工程
法により製造する場合には、700〜1500m/分程
度の速度で巻き取り、次に、延伸倍率1.5〜6.0倍
程度で延伸することが好ましく、糸条の種類により熱延
伸としても、室温程度の冷延伸としてもよく、熱延伸の
場合は50〜170℃程度で行うことが好ましい。そし
て、異なる紡糸口金から紡糸した際には、それぞれの未
延伸糸を一旦巻き取り、その後の延伸工程の前又後に合
糸して混繊糸とすることが好ましい。
【0041】直接紡糸延伸法により製造する場合には、
溶融紡糸した糸条を一旦巻き取ることなく、3000m/分
以上の速度で巻き取って製造する。このとき、巻き取る
までの間で延伸を行ってもよく、この場合は、50〜 150
℃程度に加熱しながら、倍率1.1〜3.0倍程度で熱
延伸を行うことが好ましい。この場合、異なる紡糸口金
から紡糸した際には、冷却、合糸集束して混繊糸とし、
その後、延伸し、巻き取ることが好ましい。
【0042】一般的に、微粒子を含有するポリマーを用
いて直接紡糸延伸法により繊維を製造する際には、二工
程法よりもガイド摩耗が生じやすく、これに起因する糸
切れ等が発生して操業性が悪化しやすい。本発明におい
ては、粒子の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化
亜鉛微粒子を用い、適量を含有させているので、直接紡
糸延伸法を採用しても、ガイド摩耗が生じることなく、
操業性よく製造することができる。
【0043】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。なお、実施例中の特性値の測定は、次のとおりに
行った。 (a)抗菌性 得られた本発明の繊維を筒編みした編物を用い、繊維製
品新機能評価協議会(SEK)が定める繊維製品の定量
的抗菌性試験方法(統一試験法)マニュアルに準じ、試
験菌として黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureus
ATCC 6538P) を用いて静菌活性値を測定し、抗菌性の評
価を行った。そして、サンプルは、未処理、アルカリ処
理、染色後、10洗後、耐候後(未処理サンプルを直接
耐候処理した)について評価した。なお、アルカリ処理
は、0.1%水酸化ナトリウム水溶液で30分間煮沸し
て行い、10洗は、アルカリ処理、染色後のサンプルを
JIS L 0217の103の方法で行い、耐候処理
は、JIS L 1013の方法で行ったものである。 (b)アルカリ処理後の色差 前記の方法で行った。 (c)白度 アルカリ処理後の繊維を筒編みした編物を8枚重ねにし
て、分光光度計(マクベス、CE−3100)を用いて
色度座標値を求め、ASTME313の方法に従ってT
aube白度を測定した。 (d)風合評価 得られた繊維を用いて32ゲージの丸編地を作成し、この
編地を用いて、ドライ感、膨らみ感、ソフト感、凹凸感
の4項目について、触感でそれぞれ10人のパネラーに10
点満点で採点してもらい、各項目について10人の平均点
を算出した。
【0044】実施例1 相対粘度(96%硫酸を溶媒として、濃度1g/dl、温
度25℃で測定)が2.53、抗菌剤としてシランカップ
リング剤で粒子表面が被覆処理された酸化亜鉛微粒子
(三井金属社製Z−NOUVE、直径0.5〜1.0μ
m)を1.0重量%含有するナイロン6チップを用い、
このチップの水分率を1.0重量%に調整した後、エク
ストルーダー型溶融押出機に供給し、紡糸温度260℃
で溶融し、孔径が0.3mmの丸型の紡糸孔を18個、
孔径が0.15mmの丸型の紡糸孔を54個を有する1
つの紡糸口金より吐出させた。冷却装置より冷却風を吹
き付けて糸条を冷却し、オイリングローラで油剤を付与
した後、捲取速度4000m/分で捲き取り、110d
/72fの抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸を得た。
【0045】実施例2 一辺の長さが0.4mmの正三角形の紡糸孔を18個と
一辺の長さが0.2mmの正三角形の紡糸孔を54個有
する1つの紡糸口金を用いた以外は、実施例1と同様に
行い、異形度32%の三角断面形状の110d/72f
の抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸を得た。
【0046】実施例3 孔径が0.3mmの丸型の紡糸孔を18個と一辺の長さ
が0.2mmの正三角形の紡糸孔を54個有する紡糸口
金を用いた以外は、実施例1と同様に行い、異形度32
%の三角断面形状と丸断面形状の混在した110d/7
2fの抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸を得た。
【0047】比較例1 孔径が0.3mmの丸型の紡糸孔を6個、孔径が0.2
mmの丸型の紡糸孔を66個を有する紡糸口金を用いた
以外は、実施例1と同様に行い、110d/72fの抗
菌性ポリアミド異繊度混繊糸を得た。
【0048】比較例2 孔径が0.3mmの丸型の紡糸孔を6個と一辺の長さが
0.2mmの正三角形の紡糸孔を66個を有する紡糸口
金を用いた以外は、実施例1と同様に行い、異形度32
%の三角断面形状と丸断面形状の混在した110d/7
2fの抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸を得た。
【0049】比較例3 孔径が0.15mmの丸型の紡糸孔を72個有する紡糸
口金を用いた以外は、実施例1と同様に行い、110d
/72fの抗菌性ポリアミド繊維を得た。
【0050】比較例4 一辺の長さが0.2mmの正三角形の紡糸孔を72個有
する紡糸口金を用いた以外は、実施例1と同様に行い、
異形度32%の三角断面形状の110d/72fの抗菌
性ポリアミド繊維を得た。
【0051】実施例1〜3、比較例1〜4で得られた繊
維の構成(太繊度糸と細繊度糸の単糸繊度、構成本数、
糸全体の重量に対する割合)、抗菌性、アルカリ処理後
の色差、白度、風合の評価結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】表1から明らかなように、実施例1〜3の
繊維は抗菌性、アルカリ処理後の色差、白度、風合の全
ての評価に優れているものであった。一方、比較例1、
2の混繊糸は、太繊度糸の割合が少なすぎたため、比較
例3は1種類の丸断面糸からなる繊維であったため、比
較例4は1種類の三角断面糸からなる繊維であったた
め、これらの繊維は抗菌性、白度には優れていたが、風
合の各評価が低いものとなった。
【0054】
【発明の効果】本発明の抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸
は、混在する太繊度糸と細繊度糸により、織編物に合成
繊維に不足がちなドライ感や膨らみによる軽量感、ソフ
ト感をも付与することができる。そして、太繊度糸と細
繊度糸の少なくとも一方を異形断面糸とすることによ
り、フィラメント間の含気量が増加し、フィラメント表
面の接触点が減少してソフト感とドライ感が強調され、
さらには、マルチフィラメントとしての表面積が増し、
抗菌効果が向上する。さらに、本発明の抗菌性ポリアミ
ド異繊度混繊糸は、抗菌剤として粒子表面をカップリン
グ剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を用いているので、
アルカリ処理を行っても変色(着色)や抗菌性の低下が
ほとんどなく、白度が要求される用途にも十分に使用す
ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)は、本発明の抗菌性ポリアミド
異繊度混繊糸を得るための紡糸口金の実施態様を示す上
面図である。
【符号の説明】
1 太繊度糸用の吐出孔 2 細繊度糸用の吐出孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L035 AA09 BB32 BB33 BB55 DD02 DD15 EE11 JJ05 KK01 4L036 MA06 MA20 MA33 PA33 UA26

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単糸繊度が2.5デニール以上の太繊度
    糸と単糸繊度が1.5デニール以下の細繊度糸とからな
    る異繊度混繊糸であって、混繊糸中の太繊度糸の割合が
    20〜95重量%、細繊度糸の割合が5〜80重量%で
    あり、太繊度糸と細繊度糸は粒子表面をカップリング剤
    で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を0.1〜5.0重量%
    含有しているポリアミド樹脂からなり、アルカリ処理後
    の着色色差が2.0以下であることを特徴とする抗菌性
    ポリアミド異繊度混繊糸。
  2. 【請求項2】 太繊度糸と細繊度糸の少なくとも一方の
    横断面形状が、異形度20〜60%の異形断面形状であ
    る請求項1記載の抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸。
  3. 【請求項3】 粒子の表面をカップリング剤で被覆処理
    した酸化亜鉛微粒子を0.1〜5.0重量%含有するポ
    リアミド樹脂チップを、水分率が0.05〜2.0重量
    %となるように調整した後に溶融紡糸する、請求項1又
    は請求項2記載の抗菌性ポリアミド異繊度混繊糸の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109355727A (zh) * 2018-10-17 2019-02-19 浙江方圆聚合纤有限公司 一种高效光催化抗菌锦纶6纤维及其制备方法
CN112962169A (zh) * 2021-02-23 2021-06-15 浙江桐昆新材料研究院有限公司 一种光谱发热阻燃抗菌多功能纤维及其制备方法

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