JP2001055619A - 抗菌性井型断面中空繊維 - Google Patents

抗菌性井型断面中空繊維

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JP2001055619A
JP2001055619A JP11225790A JP22579099A JP2001055619A JP 2001055619 A JP2001055619 A JP 2001055619A JP 11225790 A JP11225790 A JP 11225790A JP 22579099 A JP22579099 A JP 22579099A JP 2001055619 A JP2001055619 A JP 2001055619A
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Takeshi Nishiyama
武史 西山
Hiroshi Nishida
裕志 西田
Toshimasa Igawa
俊正 井川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽量・嵩高性、保温性、撥水性などに優れ、
独特の風合いを持ち、かつ優れた抗菌性及びその持続性
を有し、清潔さを保つことの可能な、抗菌性井型断面中
空繊維を提供する。 【解決手段】 熱可塑性ポリマーからなり、断面形状が
四角形であり、中心部付近に中空部1を有する四角形部
3のそれぞれの角に、略直角をなす2つの突起部2を有
する井型断面形状を呈する中空繊維であって、抗菌性を
有する無機微粒子を繊維全体で0.1〜5.0重量%含
有している抗菌性井型断面中空繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、井型断面形状を呈
し、軽量・嵩高性、保温性、撥水性などに優れ、独特の
風合いを持ち、かつ優れた抗菌性及びその持続性を有す
る抗菌性井型断面中空繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】合成繊維における高い付加価値を持つ中
空繊維として、井型断面中空繊維が開発されている(特
開平8−127936号公報、特開平10−11032
4号公報)。この繊維は、井型断面という特殊な単糸断
面形状から、独特の風合いを持ち、中空部により形成さ
れるデッドエアー部と突起部により繊維間に形成される
デッドエアー部により、高い軽量・嵩高性、保温性を有
し、突起部による水滴との接触面積の低さから、撥水性
にも優れている。
【0003】しかしながら、この繊維は、単糸外周の突
起部によって皮脂が擦り取られやすいこと、保温性に優
れていることなどから雑菌が発生しやすいという懸念が
あった。
【0004】皮脂が擦り取られることによる雑菌発生を
防ぐ方法として、この繊維を捲縮加工する方法が考えら
れる。しかし、皮脂の付着が少なくなったとしても完全
になくなったわけではなく、また、保温性に優れた雑菌
の生育しやすい環境であることに変わりはないため、雑
菌発生に対しての十分な対策はとれていなかった。
【0005】そこで、繊維に雑菌が発生するのを防ぐ方
法としては、繊維を形成する熱可塑性ポリマー中に抗菌
剤を練り込むことが考えられ、このような抗菌性繊維が
多く提案されている。中空断面繊維に抗菌剤を添加した
ものも提案されているが、前記のような特殊な断面形状
に起因する軽量・嵩高性、保温性、撥水性等を併せ持つ
抗菌性繊維は提案されていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述した問題
点を解決し、軽量・嵩高性、保温性、撥水性などに優
れ、独特の風合いを持ち、かつ優れた抗菌性能をも有す
る井型断面中空繊維を提供することを技術的な課題とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意研究の結果、本発明に到達した。す
なわち、本発明は、熱可塑性ポリマーからなり、断面形
状が四角形であり、中心部付近に中空部を有する四角形
部のそれぞれの角に、略直角をなす2つの突起部を有す
る井型断面形状を呈する中空繊維であって、抗菌性を有
する無機微粒子を繊維全体で0.1〜5.0重量%含有
していることを特徴とする抗菌性井型断面中空繊維を要
旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の井型断面中空繊維を構成する熱可塑性ポ
リマーとしては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン
12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610等
及びこれらを主成分とするポリアミド、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等及びこれ
らを主成分とするポリエステル、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等及びこれらを主成分とするポリオレフィン等
が挙げられる。
【0009】特に、ナイロンを中心とするポリアミドを
熱可塑性ポリマーとして用いた場合、従来のポリアミド
繊維にはみられない独特のドライタッチな風合いの繊維
を得ることができる。
【0010】そして、本発明の効果を損なわない範囲で
あれば、艶消剤、改質剤、静電剤、顔料等を繊維内に含
んだものであっても、また、防ダニ剤、消臭剤等を繊維
表面に付与させているものであってもよい。
【0011】次に、本発明の繊維の形状について図面を
用いて説明する。図1は本発明の井型断面中空繊維の実
施態様を示す断面模式図である。本発明の井型断面中空
繊維は、断面形状が四角形であり、中心部付近に中空部
1を有する中空繊維の四角形部3のそれぞれの角に、略
直角をなす2つの突起部2を有している。
【0012】断面形状としては、繊維の横断面における
全面積のうち突起部2の面積の割合が30%以上である
ことが好ましい。突起部2の面積の割合が30%未満で
あると、繊維全体に占める突起部の割合が少なくなり、
井型断面中空繊維が持つ本来の特性である、十分な嵩高
性や保温性、撥水性といった機能が発現しにくくなる。
突起部の面積の割合の上限は特に限定されるものではな
いが、60%程度とすることが好ましい。面積の割合が
60%を超えると、繊維の形状の維持が難しくなりやす
い。
【0013】さらに、断面積における中空部と突起部で
形成される繊維間のデッドエアー部の面積の割合であ
る、繊維の嵩高率が20%以上であることが好ましい。
嵩高率が20%未満である場合、形成されるデッドエア
ー部が少なくなりすぎ、この繊維より得られた布帛は、
保温性が不十分であり、軽量感にも乏しいものとなる。
嵩高率の上限は、特に限定されるものではないが、40
%程度とすることが好ましい。嵩高率が40%を超える
場合、中空部が大きすぎる場合は中空割れの生じた繊維
となりやすく、突起部の長さが長すぎる場合は、繊維の
形状の維持が難しくなり、また、得られた布帛の品位が
低下しやすい。
【0014】なお、本発明における嵩高率(横断面にお
ける中空部と突起部で形成されるデッドエアー部の面積
の割合)の測定は、ニコン社製マイクロフォトS光学顕
微鏡に顕微鏡写真撮影装置を取り付け、5本の単糸につ
いて、単糸断面の横断面形状を撮影し、図2の本発明の
繊維の断面模式図に示すように、面積Aと面積Bの値を
算出し、次のようにして求めるものであり、5本の平均
値とする。 嵩高率(%)=〔(面積A)/((面積A)+(面積
B))〕×100
【0015】そして、本発明の抗菌性井型断面中空繊維
は、抗菌性を有する無機微粒子を繊維全体で0.1〜
5.0重量%含有している。
【0016】井型断面中空繊維に抗菌剤を含有させるこ
とによって、単純に抗菌性繊維に井型断面中空繊維の機
能が付与されるだけでなく、その抗菌作用においても二
つの飛躍的な効果の向上が見られる。一つは、井型断面
形状により、フィラメントの表面積が飛躍的に増大し、
抗菌剤の効果が十分に発揮されることによる抗菌性の向
上である。このとき、単糸中心部に中空部があることに
より、必要なポリマー量を減少させることができ、結果
として抗菌剤の量も減少させることができるので、コス
トを増やすことなく表面積を増加させ、抗菌効果を向上
させることが可能になる。
【0017】もう一つは、単糸外周の突起部によって、
外部、特に皮膚との接触面積が大幅に減少し、抗菌性能
の持続性が向上するという効果がある。突起部により皮
脂が擦り取られる懸念はあるが、外部との接触面積は減
少するため、従来の丸断面糸と比較して、雑菌発生因子
との接触も減少でき、結果として必要な抗菌作用も減少
するために、抗菌作用が大幅に持続する。
【0018】ここで、抗菌剤の含有量が0.1重量%未
満であると、上記のような効果の向上がみられても抗菌
性能が不十分となる。一方、含有量が5.0重量%を超
えると、紡糸や延伸時に糸切れが発生し、操業性が悪化
したり、強伸度等の糸質物性が低下する。さらには、中
空率が低下したり、形状の発現性が悪化し、前記のよう
な嵩高率や突起部の面積の割合が低下する。
【0019】本発明の抗菌性繊維においては、抗菌剤を
繊維全体に練り込んだものでもよいし、繊維を芯鞘構造
として鞘部に添加してもよい。芯部とは井型断面形状の
中空部付近をいい、鞘部とは突起部付近をいう。鞘部に
のみ抗菌剤を添加すると、抗菌作用とその持続性を保っ
たまま抗菌剤の量を少なくすることができる。さらに、
芯部には、蓄熱保温剤や吸湿剤、導電剤等を加えること
によって、更なる機能を付与することも可能となる。
【0020】本発明の繊維に含有させる抗菌剤として
は、銀系の無機抗菌剤等を用いることもできるが、本発
明においては粒子の表面をカップリング剤で被覆処理し
た酸化亜鉛微粒子を用いることが好ましい。
【0021】酸化亜鉛微粒子は、紫外線吸収や脱臭とい
う作用に加えて、殺菌、抗菌作用を有しているが、光触
媒活性を有するために、樹脂中に含有させたときに光劣
化を生じ、得られる繊維の物性が劣ったものになるとい
う欠点がある。
【0022】すなわち、酸化亜鉛微粒子の光触媒活性は
粒子表面における反応であり、粒子の表面を処理するこ
とにより活性を抑制しようとする試みは従来よりなされ
ている。例えば、酸素や水との接触を断つためのマイク
ロカプセル化表面処理がなされていたが、この処理を施
した酸化亜鉛微粒子は、光学的には酸化亜鉛の性質を有
しているが、化学的には酸化亜鉛の性質を失うという問
題があった。
【0023】そこで、本発明においては、酸化亜鉛微粒
子の欠点である光触媒活性を抑制し、かつ光学的にも化
学的にも酸化亜鉛の性質を有するようにするために、粒
子の表面をカップリング剤で被覆処理したものを用い
る。
【0024】カップリング剤としては、特に限定される
ものではないが、シランカップリング剤が好ましく、例
えば、信越化学社製のシランカップリング剤KBM−4
03、KBM−503が挙げられる。
【0025】また、シランカップリング剤以外のカップ
リング剤としては、チタン系、アルミニウム系、ジルコ
ニウム系、ジルコアルミネート系等のカップリング剤が
挙げられる。
【0026】そして、カップリング剤の被覆量は、酸化
亜鉛微粒子の表面積にもよるが、おおむね0.1〜20
重量%程度とすることが好ましい。このように酸化亜鉛
微粒子の表面がカップリング剤で被覆されていることに
よって、酸化亜鉛微粒子が有する光触媒活性を少量の被
覆量で無駄なく十分に抑制することができ、一方では、
紫外線吸収作用や抗菌、殺菌等の作用をそのまま維持す
ることができる。このため、このようなカップリング剤
で表面が被覆された酸化亜鉛微粒子を含有する繊維は、
紫外線による変色が防止され、同時に抗菌や殺菌などの
効果が達成される。
【0027】そして、酸化亜鉛微粒子は、紡糸から巻き
取りまでの工程において、ノズル圧上昇やガイド摩耗等
の問題が生じないようにし、工程通過性をよくするため
に、直径0.1〜5.0μm程度のものとすることが好
ましい。
【0028】これらのカップリング剤で表面被覆された
酸化亜鉛微粒子は、白色で光沢が少ないという特徴があ
る。井型断面中空繊維に添加することにより、単糸形状
に起因する強い光沢(ぎらつき感)を抑制する効果もあ
る。
【0029】さらに、一般に、抗菌剤を含有する抗菌繊
維は整経・製織・精練・染色加工等の一連の加工工程に
おける熱的及び化学的処理により着色や変色を起こしや
すいという欠点があり、特に、ポリアミド繊維の場合、
精練時のアルカリ処理によって着色しやすい。
【0030】抗菌剤として、カップリング剤で表面が被
覆された酸化亜鉛微粒子を用いると、上記のような着色
や変色を防止することができ、熱可塑性ポリマーにポリ
アミドを用いた本発明の繊維の場合、アルカリ処理後の
着色色差が2.0以下である。
【0031】本発明におけるアルカリ処理後の着色色差
について説明する。まず、本発明のポリアミド繊維と抗
菌剤を含有させていないポリアミド繊維(標準繊維:他
の性能は比較する本発明の繊維と同等とする)を用い、
丸編み機を用いて筒編みにし、サンプルを作成する。そ
して、アルカリ処理を、0.1%水酸化ナトリウム水溶
液で30分間煮沸して行う。その後、サンプルを水洗
し、脱水、風乾させ、JIS L 0804変退色用グ
レースケールに記載されている色差を基準とし、標準繊
維(未処理サンプル)の着色色差を1級とし、標準繊維
より着色が濃くなるにつれて着色色差が大きくなるもの
として、目視にて判定したものである。
【0032】このアルカリ処理後の着色色差が2.0を
超えると、精練処理等のアルカリ処理により繊維が着色
する度合いが大きく、白度が要求される用途には使用し
難くなり、また、アルカリとの反応により抗菌性が著し
く低下している場合もあり、好ましくない。
【0033】さらに、本発明の抗菌性井型断面中空繊維
を製造する場合、合成繊維の製造の常法に従い、溶融紡
糸装置を用いて製造することができるが、このとき、熱
可塑性ポリマーとしてポリアミド樹脂を使用する場合、
原料の熱可塑性樹脂チップの水分率を0.05〜2.0
重量%となるように調整することが好ましい。
【0034】一般に、抗菌性ポリアミド繊維の一連の加
工工程における着色や変色には、樹脂チップ中の水分率
が関与しており、これは、ポリアミド繊維が溶融状態で
は加水分解などの劣化を受けやすいためであり、水分率
が増加するほど得られる繊維の着色や変色は大きくな
る。そこで、樹脂チップの水分率を上記の範囲内とした
後、溶融紡糸することによって、よりアルカリ処理後の
着色の少ない繊維を得ることができる。
【0035】なお、ポリアミド樹脂チップの水分率の水
分率を上記の範囲内のものとするには、90〜160℃
程度で乾燥させればよい。
【0036】チップの水分率が2.0重量%を超える
と、得られる繊維の着色や変色が大きくなり、チップの
水分率が0.05重量%未満であると、チップを乾燥さ
せる工程が長くなり、コストが高くなり、得られる繊維
の強伸度などの物性も低下しやすくなる。
【0037】そして、本発明の抗菌性井型断面中空繊維
を製造する際には、図1に示す井型形状となるような紡
糸口金を用いて紡糸を行う。紡糸した糸条を冷却した後
は、3000m/分以上の速度で巻き取る直接紡糸延伸
法又は紡糸した未延伸糸を一旦巻き取った後延伸する二
工程法のどちらを採用してもよいが、生産性よく製造す
るには、直接紡糸延伸法が好ましい。
【0038】直接紡糸延伸法により製造する場合には、
溶融紡糸した糸条を一旦巻き取ることなく、3000m
/分以上の速度で巻き取って製造する。このとき、巻き
取るまでの間で延伸を行ってもよく、この場合は50〜
160℃程度に加熱しながら、倍率1.1〜3.5倍程
度で熱延伸を行うことが好ましい。
【0039】溶融紡糸後一旦巻き取り、延伸する二工程
法により製造する場合には、700〜1500m/分程
度の速度で巻き取り、延伸倍率1.5〜6.0倍程度で
延伸することが好ましく、用途により熱延伸としても、
室温程度の冷延伸としてもよく、熱延伸の場合は50〜
200℃程度で行うことが好ましい。
【0040】さらに、用途や目的によって、本発明の繊
維に捲縮加工を施してもよく、この場合は、上記のよう
にして得られた繊維に、例えば、仮撚加工法、押込捲縮
加工法、加熱流体による流体押込捲縮加工法等で加工す
る方法等が挙げられる。中でも、品質安定性やコストの
面で仮撚加工法を採用することが好ましい。
【0041】
【実施例】次に、実施例により本発明を具体的に説明す
る。なお、繊維の強伸度、断面形状、抗菌性、ギラツキ
感の測定、評価は次のようにして行い、繊維の嵩高率、
アルカリ処理後の着色色差の測定は前記の方法で行っ
た。 〔強伸度〕得られた繊維について、島津製作所製オート
グラフAGS−50Dを用い、試料長25cm、引っ張り速
度25cm/分で測定した。 〔繊維の断面形状〕ニコン社製マイクロフォトS光学顕
微鏡に顕微鏡写真撮影装置を取り付け、5本の単糸につ
いて、単糸の横断面形状を撮影し、突起部の面積の割合
を算出し、その平均値とした。 〔抗菌性〕得られた繊維を筒編みした編物を用い、繊維
製品新機能評価協議会(SEK)が定める繊維製品の定
量的抗菌性試験方法(統一試験法)マニュアルに準じ、
試験菌として黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureu
s ATCC 6538P)を用いて静菌活性値を測定し、抗菌性の
評価を行った。そして、サンプルは、未処理、アルカリ
処理、染色後、10洗後、耐候後(未処理サンプルを直
接耐候処理)について評価した。なお、アルカリ処理
は、0.1%水酸化ナトリウム水溶液で30分煮沸して
行い、10洗は、アルカリ処理、染色後のサンプルをJ
IS L 0217の103の方法で行い、耐候処理
は、JIS L 1013の方法で行ったものである。 〔ギラツキ感〕得られた繊維を筒編みした編物を用い、
目視にて以下に示す3段階で評価した。 ○:ギラツキ感が少なく白度に優れ、光沢により用途を
限定する必要がない。 △:ギラツキ感が少しあり、光沢により用途が若干限定
される。 ×:ギラツキ感が強く、光沢により用途がかなり限定さ
れる。
【0042】実施例1 相対粘度(96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温
度25℃で測定した。)が3.51、抗菌剤としてシラ
ンカップリング剤で粒子表面が被覆処理された酸化亜鉛
微粒子(三井金属社製Z−NOUVE、直径0.5〜
1.0μm)を1.0重量%含有するナイロン6チップ
を用い、このチップの水分率を1.0重量%に調整した
後、エクストルーダーに供給し、紡糸温度265℃で溶
融紡糸した。このとき、図1に示すような井型断面形状
の中空繊維が得られるような紡糸口金を用いて溶融紡糸
を行った。紡糸された糸条を冷却した後、油剤を付与
し、ローラ間で延伸を施し、4150m/分の速度で巻
き取り、抗菌性井型断面中空繊維(60d/16f)を
得た。
【0043】比較例1 抗菌剤を含有させなかった以外は、実施例1と同様にし
て行った。
【0044】比較例2 繊維の断面形状を中空部及び突起部のない丸断面形状に
した以外は、実施例1と同様にして行った。
【0045】実施例2〜3、比較例3 シランカップリング剤で粒子表面が被覆処理された酸化
亜鉛微粒子の添加量が表1に示す値になるように条件変
更した以外は実施例1と同様にして行った。
【0046】実施例4 抗菌剤として、シランカップリング剤で粒子表面が被覆
処理された酸化亜鉛微粒子の代わりに銀イオンを担持さ
せたリン酸ジルコニウムを用いた以外は、実施例1と同
様にして行った。
【0047】実施例1〜4、比較例1〜3で得られた繊
維の強伸度、繊維横断面における突起部の割合、嵩高
率、アルカリ処理後の着色色差、抗菌性、ギラツキ感の
評価結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】表1より明らかなように、実施例1〜4の
繊維は、十分な嵩高率を有し、各処理後の抗菌性能の低
下も小さく、高い抗菌性を有していた。中でも、実施例
1〜3の繊維は、抗菌剤に粒子表面をカップリング剤で
被覆処理した酸化亜鉛微粒子を用いたので、アルカリ処
理後の着色色差が2.0以下であり、着色や変色もほと
んどなく、さらには井型断面形状に特有のギラツキ感も
抑えられた。これに対し、比較例1の繊維は、粒子表面
をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子を含有
していないために、抗菌性のないものとなった。比較例
3の繊維は、粒子表面をカップリング剤で被覆処理した
酸化亜鉛微粒子の含有量が過剰なために、糸質物性の劣
るものとなり、また、単糸断面形状における突起部の割
合及び嵩高率が不十分であるために、抗菌剤の添加率の
割には抗菌性及びその持続性が低かった。さらには、紡
糸時に糸切れ、毛羽が多発し操業性も悪かった。また、
比較例2の繊維は、単糸断面形状が丸断面であるため
に、軽量・嵩高性に劣り、かつ抗菌性及びその持続性も
低いものであった。
【0050】
【発明の効果】本発明の抗菌性井型断面中空繊維は、中
空部により形成されるデッドエアー部と突起部により繊
維間に形成されるデッドエアー部により、保温性に優
れ、軽量感にも優れるものとなり、また、突起部によっ
て、布帛に付着した水滴との接触面積が低くなり、撥水
性にも優れる。そして、抗菌剤を含有していることによ
って、高い保温性と単糸断面形状からくる皮脂汚れに起
因する雑菌の発生を抑え、清潔さを保つことができる。
加えて、表面積が大きくなることにより抗菌作用の効力
と持続性が飛躍的に向上する。さらには、抗菌剤に粒子
の表面をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子
を用いたポリアミド繊維とすると、アルカリ処理後の着
色や変色、抗菌性の低下がなく、白度の要求される用途
にも十分に使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗菌性井型断面中空繊維の一実施態様
を示す断面模式図である。
【図2】本発明の抗菌性井型断面中空繊維の嵩高率の算
出方法を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 中空部 2 突起部 3 四角形部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H011 BA04 BB18 BC16 BC19 DA10 DH06 DH30 4L035 AA09 BB31 BB88 DD02 DD03 EE11 JJ05 KK01 4L045 AA05 BA03 BA14 BA24 BA50 BA58 BA60 CA25 DA42 DC03

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリマーからなり、断面形状が
    四角形であり、中心部付近に中空部を有する四角形部の
    それぞれの角に、略直角をなす2つの突起部を有する井
    型断面形状を呈する中空繊維であって、抗菌性を有する
    無機微粒子を繊維全体で0.1〜5.0重量%含有して
    いることを特徴とする抗菌性井型断面中空繊維。
  2. 【請求項2】 抗菌性を有する無機微粒子が、粒子の表
    面をカップリング剤で被覆処理した酸化亜鉛微粒子であ
    る請求項1記載の抗菌性井型断面中空繊維。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリマーがポリアミド樹脂であ
    り、アルカリ処理後の着色色差が2.0以下である請求
    項2記載の抗菌性井型断面中空繊維。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030021816A (ko) * 2001-09-07 2003-03-15 벤텍스 주식회사 자외선 차단과 항균방취기능을 갖는 흡한속건성 원사의제조방법

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KR20030021816A (ko) * 2001-09-07 2003-03-15 벤텍스 주식회사 자외선 차단과 항균방취기능을 갖는 흡한속건성 원사의제조방법

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