JP2001054949A - インクジェット式記録装置 - Google Patents

インクジェット式記録装置

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JP2001054949A
JP2001054949A JP11230581A JP23058199A JP2001054949A JP 2001054949 A JP2001054949 A JP 2001054949A JP 11230581 A JP11230581 A JP 11230581A JP 23058199 A JP23058199 A JP 23058199A JP 2001054949 A JP2001054949 A JP 2001054949A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワイパーブレード側に付着して残った固化イ
ンクを確実に溶解することができ、ワイパーブレードに
よる拭い取りを適性,良好に行わせる。 【解決手段】 弾性部材38と吸液性部材39とを張り
合わせてワイパーブレード35とし、ホルダ36で支持
する。クリーニング指令により、まず記録ヘッド2のノ
ズルプレート3をキャップ部材31により封じ、吸引ポ
ンプ33を作動させてインクの強制吸引を行う(A)。
次に、記録ヘッド2からインク(溶解液)をワイパーブ
レード35に吹き付ける(B)。ここでのインクの吹き
付け量は、ワイパーブレード35の放置期間に応じて増
減する。インクを吹き付けた後、ヘッドプレートにワイ
パーブレード35を押し当てて記録ヘッド2の所定範囲
での往復移動に伴って相対的に拭う(C)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像や文字等を記
録紙に記録するため、ノズル開口部からインク滴を吐出
するインクジェット式記録ヘッドを有するインクジェッ
ト式記録装置に関する。特に、記録ヘッドのノズル面部
に付着したインクをワイパー部材によって拭い取るよう
にしたクリーニング機構に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術を、代表的なインクジェット
式記録装置であるインクジェットプリンタを例に挙げて
説明する。このインクジェットプリンタは、ノズル開口
部からインク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッド
(以下、記録ヘッドという)を備えており、この記録ヘ
ッドが吐出したインク滴を記録紙(印刷媒体)上に着弾
させることで、画像や文字等の印刷データを記録する構
成となっている。
【0003】このようなインクジェットプリンタには、
ノズルプレートを掃除するクリーニング機構を備えたも
のがある。このクリーニング機構は、例えば、主走査方
向における端部領域(印字外領域)のホームポジション
に配設されており、キャリッジが当該端部領域に移動し
てくる動作に連動してワイパーブレードがノズルプレー
トの表面に付着したインクを相対的に拭い取るようにな
っている。
【0004】このワイパーブレードは、記録ヘッドのノ
ズルプレートに接触させたり、このノズルプレートから
離隔させたりできるように、例えば、上下方向に移動可
能に取り付けられている。そして、ノズルプレートのク
リーニングを行う場合には、ワイパーブレードを記録ヘ
ッド側である上方に移動させて、ワイパーブレードの上
縁部をノズルプレートに接触させる。この接触状態で記
録ヘッドを主走査方向に沿って往復移動させることで、
ノズルプレートの表面に付着したインク等を拭い取る。
【0005】このようなクリーニング機構では、ノズル
プレートの表面から拭い取ったインクがワイパーブレー
ドに付着して残ってしまう。そして、ワイパーブレード
にインクが付着したまま1ヶ月程度の長期間放置してし
まうと、付着したインクがそのまま固化することがあ
る。
【0006】さらに、付着したインクが固化した状態で
ワイパーブレードをノズルプレートへ擦り付けると、ノ
ズルプレートの表面を傷つけてしまったり、固化したイ
ンクがノズル開口部の内部へ擦り込まれて、目づまりを
起こしてしまうという問題があった。
【0007】このような問題を解決するため、特開平4
−232754号公報には、記録ヘッドから吐出させた
インク滴を溶解液としてワイパーブレードに吹き付け、
ワイパーブレードに付着したまま固化したインクを再溶
解するように構成したインクジェットプリンタが記載さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ワイパーブ
レードに付着したインクの固化の度合いは、時間の経過
に伴って変化する。例えば、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月と
放置期間が長くなるにつれてインクの固化が進行する。
このため、1ヶ月間放置されたワイパーブレードのイン
クと、3ヶ月放置されたワイパーブレードのインクとを
同じ条件で再溶解すると、次の問題が生じる。
【0009】例えば、1ヶ月間放置されて固化したイン
クに必要な溶解液の量よりも、3ヶ月間放置されて固化
したインクに必要な溶解液の量の方が多い。このため、
1ヶ月間放置された固化インクに溶解液の量をあわせる
と、3ヶ月間放置された固化インクを十分に溶解できな
い。一方、3ヶ月間放置された固化インクに溶解液の量
をあわせると、1ヶ月間放置された固化インクには溶解
液の量が多すぎて溶解液を無駄に消費してしまうことに
なる。
【0010】また、上記公報に記載された装置のよう
に、記録に使用するインクを溶解液として使用した場合
には、溶解液としてのインクの消費に伴って記録に使用
可能なインクの量が減ってしまう。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的は、ワイパー部材に付着して残
った固化インクを再溶解してワイパー部材による拭い取
りを適性、良好に行なえるようにし、さらに、溶解液を
効率よく使用できるようにしたインクジェット式記録装
置を提供しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明の請求項1に記載のものは、ノズル開口部
からインク滴を吐出可能な記録ヘッドと、ノズル開口部
が開設された記録ヘッドのノズル面部に押し当てられ
て、記録ヘッドとの間の相対移動に伴ってノズル面部を
拭うワイパー部材とを備えたインクジェット式記録装置
において、ノズル面部を拭う前に、インクを溶解し得る
溶解液をワイパー部材に吹き付ける溶解液噴射手段と、
ワイパー部材の放置期間を計時する放置期間計時手段
と、溶解液噴射手段による溶解液の吹き付け動作を制御
する吹付け制御手段とを設け、吹付け制御手段は、放置
期間計時手段が計時した放置期間に応じて溶解液の吹き
付け量を増減制御する吹付け量制御手段を備えることを
特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0013】請求項2に記載のものは、前記吹付け制御
手段は、放置期間計時手段が計時した放置期間が規定時
間未満の場合に溶解液の吹き付けを禁止する吹付け制限
手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のインク
ジェット式記録装置である。
【0014】請求項3に記載のものは、前記溶解液噴射
手段を記録ヘッドにより構成し、記録ヘッドが吐出する
インクを溶解液としてワイパー部材に吹き付けるように
構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
のインクジェット式記録装置である。
【0015】請求項4に記載のものは、前記記録ヘッド
は、吐出するインクの色毎に分けられた記録ブロックを
複数備え、吹付け制御手段は、ワイパー部材に向かって
インクを吹き付ける記録ブロックを複数の記録ブロック
の中から選択するブロック選択手段を備えることを特徴
とする請求項3に記載のインクジェット式記録装置であ
る。
【0016】請求項5に記載のものは、前記ブロック選
択手段は、有彩色のインクを吐出可能な記録ブロック
を、インクを吹き付ける記録ブロックとして選択するこ
とを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装
置である。
【0017】請求項6に記載のものは、前記ブロック選
択手段は、黄色などの薄色系のインクを吐出可能な記録
ブロックを、インクを吹き付ける記録ブロックとして選
択することを特徴とする請求項5に記載のインクジェッ
ト記録装置である。
【0018】ここで、「薄色系のインク」とは、例え
ば、イエローインク、ライトシアンインク、ライトマゼ
ンタインクなど、記録した際に比較的に薄い色を呈する
インクのことを意味する。
【0019】請求項7に記載のものは、複数の記録ブロ
ック毎にインク残量を検出するインク残量検出手段を設
け、前記ブロック選択手段は、残量が最も多い記録ブロ
ックを、インクを吹き付ける記録ブロックとして選択す
ることを特徴とする請求項4から請求項6の何れかに記
載のインクジェット記録装置である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。ここで、図1は代表的なインクジ
ェット式記録装置であるインクジェットプリンタ1の斜
視図、図2はインクジェット式記録ヘッド2をノズルプ
レート3側から見た図、図3はインクジェットプリンタ
1の電気的構成を説明するブロック図、図4(A)〜
(D)はワイパー機構4及びキャッピング機構5を説明
する図である。
【0021】例示したインクジェットプリンタ1は、カ
ートリッジホルダ部6と記録ヘッド2を設けたキャリッ
ジ7を有する。このキャリッジ7は、ハウジング8の左
右方向に架設されたガイド部材9に取り付けられてお
り、記録紙10を副走査方向に移動させるプラテン11
と平行に移動できるように取り付けられている。また、
キャリッジ7は、駆動プーリー12と遊転プーリー13
との間に掛け渡したタイミングベルト14に接続してあ
り、この駆動プーリー12はパルスモータ15の回転軸
に接合されている。従って、キャリッジ7は、パルスモ
ータ15の作動によって記録紙10の幅方向である主走
査方向に移動する。
【0022】キャリッジ7の移動範囲内であって印刷領
域よりも外側の端部領域には、ホームポジションが設定
されている。このホームポジションには、記録ヘッド2
のノズルプレート3の表面(本発明のノズル面部に相
当、図2参照)をクリーニングするためのワイパー機構
4と、キャッピングするキャッピング機構5とが左右隣
り合わせて配設されている。
【0023】次に、上記したキャリッジ7について説明
する。このキャリッジ7は、ベース板部21を備えてい
る。ベース板部21の上側にはこのベース板部21と一
体に上記のカートリッジホルダ部6を設け、ベース板部
21の下面には上記の記録ヘッド2を設ける。
【0024】記録ヘッド2は、本発明の溶解液噴射手段
としても機能する。この記録ヘッド2は、ノズル開口部
を開設したノズルプレート3が記録紙10と対向するよ
うに下向きに設けられ、例えば、圧電振動子によって圧
力室内を加圧したり減圧したりすることで、この圧力室
に連通したノズル開口部22からインク滴を吐出させる
構成である。
【0025】この記録ヘッド2としては、例えば、図2
に示すように、異なる複数種類の色が記録可能な多色記
録ヘッド2が好適に用いられる。この多色記録ヘッド2
は、複数のヘッドユニット23から構成されており、各
ヘッドユニット23毎に吐出するインク滴の色が設定さ
れる。なお、各ヘッドユニット23は、本発明の記録ブ
ロックに相当する。
【0026】図2の記録ヘッド2は、4つのヘッドユニ
ット23を備えており、例えば、図中左端がブラックイ
ンクを吐出可能なブラックヘッドユニット23Kであ
り、ブラックヘッドユニット23Kの右隣りがシアンイ
ンクを吐出可能なシアンヘッドユニット23Cであり、
シアンヘッドユニット23Cの右隣りがマゼンタインク
を吐出可能なマゼンタヘッドユニット23Mであり、マ
ゼンタヘッドユニット23Mの右隣りがイエローインク
を吐出可能なイエローヘッドユニット23Yである。
【0027】記録ヘッド2における記録紙10と対向す
る面には、ノズル開口部22…を開設したノズルプレー
ト3を配設する。ノズル開口部22は各ユニット23
K,23C,23M,23Yに対応させて設けてある。
例示した記録ヘッド2では、各ユニット毎に、複数(例
えば、64個)のノズル開口部22…を副走査方向(記
録紙送り方向)に沿って開設したノズル列を、各ユニッ
ト毎に設ける。即ち、ブラックヘッドユニット23Kに
対応するノズル開口部22Kと、シアンヘッドユニット
23Cに対応するノズル開口部22Cと、マゼンタヘッ
ドユニット23Mに対応するノズル開口部22Mと、イ
エローヘッドユニット23Yに対応するノズル開口部2
2Yとを設ける。
【0028】なお、例示した記録ヘッド2は、ノズルプ
レート3を別部材で構成したものであるが、ノズルプレ
ート3を他の構成部材と一体に設けた記録ヘッド2でも
良い。
【0029】上記のカートリッジホルダ部6は、ベース
板部21と、このベース板部21の左右両側縁及び後端
縁から上方に延出した区画壁部24とによって区画形成
される。そして、ベース板部21の上面には図示しない
インク供給針が上方に向けて突設してあり、インクカー
トリッジ25をベース板部21上に載置してカートリッ
ジホルダ部6にセットすると、インク供給針がカートリ
ッジホルダ部6内に挿入されて、インクカートリッジ2
5の内部空間とインク供給針内の流路とが連通する。
【0030】このインク供給針内の流路は上記の記録ヘ
ッド2にも連通されており、インク供給針を通じて、イ
ンクカートリッジ25内のインクが記録ヘッド2側に供
給される。
【0031】インクカートリッジ25は、インクの色毎
に区画形成された複数のインク室を備えている。例え
ば、ブラックインクを貯留するブラックインク室、シア
ンインクを貯留するシアンインク室、マゼンタインクを
貯留するマゼンタインク室、イエローインクを貯留する
イエローインク室を備えている。
【0032】なお、使用頻度の高いブラックインクにつ
いてはカートリッジを分けて、ブラックインク室を備え
たブラックインクカートリッジ25と、シアンインク
室、マゼンタインク室、及び、イエローインク室を備え
カラーインクカートリッジ25とに分けて構成してもよ
い。
【0033】上記のインク供給針もまた各インク室毎に
設けられている。そして、ブラックインク室内に挿入さ
れたインク供給針を通じてブラックヘッドユニット23
Kにブラックインクが供給される。同様に、シアンイン
ク室内に挿入されたインク供給針を通じてシアンヘッド
ユニット23Cにシアンインクが供給され、マゼンタイ
ンク室内に挿入されたインク供給針を通じてマゼンタヘ
ッドユニット23Mにマゼンタインクが供給され、イエ
ローインク室内に挿入されたインク供給針を通じてイエ
ローヘッドユニット23Yにイエローインクが供給され
る。
【0034】そして、画像や文字等を記録紙10上に記
録する場合には、キャリッジ7を主走査方向に移動させ
ながら記録ヘッド2のノズル開口部22からインク滴を
吐出させる。また、この主走査に連動して、プラテン1
1を回転させて記録紙10を紙送り方向(副走査方向)
に移動させる。
【0035】次に、キャッピング機構5について説明す
る。
【0036】キャッピング機構5は、図4(A)に示す
ように、上部が開放したカップ状のキャップ部材31
と、このキャップ部材31を上下方向に移動させるキャ
ップ昇降機構(図示せず)と、キャップ部材31のカッ
プ状部分に連通した吸引チューブ32と、この吸引チュ
ーブ32の途中に設けた吸引ポンプ33とから概略構成
される。
【0037】キャップ部材31は、ゴム等の弾性部材を
カップ状に成型した部材であり、カップ状部分にはフェ
ルト等の保湿材を取り付ける。キャリッジ7がホームポ
ジションに位置すると、このキャリッジ7の移動に連動
してキャップ昇降機構が作動する。これにより、キャッ
プ部材31が上方に移動して上端部分が記録ヘッド2の
ノズルプレート3に圧接する[図4(A)の状態]。こ
の圧接状態でノズル開口部22は、キャップ部材31の
開口領域内に位置し、キャップ部材31によって封止さ
れる。
【0038】このように、キャップ部材31は、非印刷
時に記録ヘッド2のノズル開口部22を封止する構成で
ある。そして、電源オンに伴う吐出能力回復操作時や、
インクカートリッジ25が交換された際には、吸引ポン
プ33が作動してキャップ部材31内を負圧とし、記録
ヘッド2からインクを強制的に吸引するようになってい
る。
【0039】ワイパー機構4は、図1に示すように、ワ
イパーブレード35と、このワイパーブレード35を保
持するワイパーホルダ36と、ワイパーホルダ36を上
下方向に移動させるワイパー昇降機構37(図3参照)
とから概略構成される。
【0040】ワイパーブレード35は、本発明のワイパ
ー部材として機能するものであり、ゴム等の撥水性を有
する弾性部材38とフェルトやスポンジ等の吸液性部材
39とを張り合わせた板状部材によって構成されてい
る。
【0041】ワイパーホルダ36は、例えば、ワイパー
ブレード35の下半部分を保持する部材である。そし
て、このワイパーホルダ36に保持された状態で、ワイ
パーブレード35の弾性部材38と吸液性部材39と
は、左右方向に配置される。例えば、左側に吸液性部材
39が配置され、右側に弾性部材38が配置される。
【0042】ワイパー昇降機構37は、ワイパーホルダ
36の昇降を電気的に制御可能な構成とされ、本実施形
態では電磁石によって昇降状態を制御する。例えば、ワ
イパーホルダ36側には、鉄等の磁性体によって形成さ
れた吸着部(図示せず)を配設し、電磁石を吸着部の上
方に吸着部から少し離隔させた位置に取り付ける。
【0043】このワイパー昇降機構37では、通常は電
磁石を消磁状態にする。この消磁状態では、自重によっ
てワイパーホルダ36及びワイパーブレード35は可動
範囲の下端に位置する。なお、下端に位置した状態でワ
イパーブレード35の上端縁の高さは、記録ヘッド2の
ノズルプレート3の高さよりも少し低い。
【0044】ワイパー機構4によるワイピング動作を行
う場合には、電磁石を励磁状態にする。この励磁状態で
は、電磁石が発生する磁力によって吸着部が上方に引き
寄せられる。これにより、ワイパーホルダ36が上方に
移動する。この上方へ移動した状態において、ワイパー
ブレード35の上端縁の高さは、記録ヘッド2のノズル
プレート3よりも僅かに高い。従って、記録ヘッド2を
ワイパーブレード35の位置に移動させると、ワイパー
ブレード35の上縁部がノズルプレート3に押し当てら
れる[図4(C)参照]。そして、この当接状態で記録
ヘッド2を左右方向に交互に移動させると、ワイパーブ
レード35が相対的に移動することになり、ノズルプレ
ート3の表面に付着したインク等を拭い取る。そして、
弾性部材38で拭ったインクを吸液性部材39に吸収さ
せる。
【0045】ワイピング動作が終了したならば、電磁石
を消磁状態に戻し、ワイパーホルダ36を自重で可動範
囲の下端に位置させて、ワイパーブレード35とノズル
プレート3との当接状態を解く。
【0046】次に、インクジェットプリンタ1の電気的
構成について説明する。
【0047】図3に示すように、このインクジェットプ
リンタ1は、プリンタコントローラ41と、プリントエ
ンジン42とから概略構成されている。
【0048】プリンタコントローラ41は、CPUを備
えた制御部43と、ワイパーブレード35の放置期間を
計時する際に使用されるタイマー44とを備えている。
また、このプリンタコントローラ41には、メンテナン
ススイッチ45の操作信号が入力されている。プリント
エンジン42は、パルスモータ15と、ワイパー昇降機
構37(つまり、上記の電磁石)と、紙送りモータ46
と、吸引ポンプ33と、記録ヘッド2とを備えている。
【0049】制御部43は、このプリンタ1における制
御を行う部分であり、例えば、図示しないホストコンピ
ュータからの印刷データに基づいてドットパターンデー
タを生成したり、生成したドットパターンデータを記録
ヘッド2に転送したり、パルスモータ15を作動させ
て、キャリッジ7(記録ヘッド2)を所望の位置に移動
させたり、紙送りモータ46を作動させて記録紙10を
副走査方向に送り出したりする。
【0050】この制御部43は、メンテナンス制御手段
としても機能し、記録ヘッド2のメンテナンス動作も制
御する。例えば、電源スイッチ47の投入、インクカー
トリッジ25の交換、メンテナンススイッチ45の操作
等に連動してなされるインクの吸引動作や、インクのダ
ミー吐出、即ち、キャップ部材31に向けて多くのイン
ク滴を吐出させる動作を制御する。また、制御部43
は、インク吸引動作やインクのダミー吐出に連動してな
されるワイピング動作も制御する。
【0051】タイマー44は、例えば、1時間に1カウ
ントアップするカウンタによって構成される。このタイ
マー44のカウント値はワイピング動作の実行に伴って
リセットされる。つまり、このタイマー44は、前回の
ワイピング動作からの放置時間をカウント(計時)する
放置期間計時手段として機能する。なお、このタイマー
44は、内蔵電池等の専用電源によって作動し、プリン
タ1の電源がオフの期間中も計時動作を行う。
【0052】次に、インクジェットプリンタ1のメンテ
ナンス動作について説明する。
【0053】電源スイッチ47がオンされたり、メンテ
ナンススイッチ45が操作されたりすると、制御部43
は記録ヘッド2のクリーニング命令がなされたと解釈す
る。
【0054】このクリーニング命令に基づき、制御部4
3は、最初にインク吸引制御を行う。このインク吸引制
御では、制御部43は、まず、パルスモータ15を作動
させて、キャリッジ7(記録ヘッド2)をキャッピング
機構5の直上位置、つまり、ホームポジションに移動さ
せる[図4(A)]。
【0055】キャリッジ7のホームポジションへの移動
に伴ってキャッピング機構5が上方に移動し、記録ヘッ
ド2のノズルプレート3がキャップ部材31により封じ
られる。キャップ部材31がノズルプレート3を封じた
ならば、制御部43は、吸引ポンプ33を作動させ、所
定時間に亘って記録ヘッド2からインクを強制的に吸引
させる。
【0056】インク吸引動作が行われたならば、制御部
43は、必要に応じて、ワイパーブレード35に付着・
固化したインクの再溶解制御を行う。このインクの再溶
解制御は、後述するように、前回のワイピング動作から
の放置期間が例えば1ヶ月以上であった場合に行なわれ
る。
【0057】この再溶解制御では、制御部43は、パル
スモータ15を作動して記録ヘッド2をワイパー機構4
の直上位置に移動させる。なお、ワイパー機構上への移
動に伴って、キャッピング機構5は下方に移動して封止
状態が解かれる。ここで、ワイパー機構4のワイパーブ
レード35は可動範囲の下端に位置させておき、ワイパ
ーブレード35の上端縁がノズルプレート3から少し離
隔した状態を保つ。
【0058】記録ヘッド2をワイパー機構4の直上位置
に移動させたならば、制御部43(吹付け制御手段)
は、インク滴を吐出させるべく記録ヘッド2に作動信号
を出力する。この作動信号を受信した記録ヘッド2(溶
解液噴射手段)は、ワイパーブレード35へ向かってイ
ンクを吐出させる[図4(B)]。これにより、ワイパ
ーブレード35にインクが吹き付けられる。ここで、イ
ンクの吹き付け量は、前回のワイピング動作からの放置
期間に応じて増減制御される(後述する)。
【0059】そして、吹き付けられたインク(インク中
の溶媒)により、ワイパーブレード35に付着して残り
固化したインクが再溶解される。即ち、吹き付けたイン
クが、固化したインクを溶解する溶解液として機能す
る。
【0060】ワイパーブレード35にインクを吹き付け
させたならば、制御部43は、続けてワイピング制御を
行う。このワイピング制御では、制御部43は、まず、
ワイパー機構4を上方に移動させて、ワイパーブレード
35の上端部分をノズルプレート3へ押し当てる。ワイ
パーブレード35を当接させたならば、制御部43は、
キャリッジ7を所定の範囲で往復移動させて、ワイパー
ブレード35によるノズルプレート3の表面(ノズル面
部)に付着したインク等の相対的な拭い取り、つまり、
ワイピングを行う[図4(C)]。
【0061】このワイピング動作では、先に行われた再
溶解制御でインクが吹き付けられているため、ワイパー
ブレード35に付着し固化したインクが溶けた状態でノ
ズルプレート3に残ったインクを払拭することができ
る。
【0062】従って、ノズルプレート3の表面が傷つけ
られてしまう不具合を防止でき、ノズルプレート3の耐
久性を高めることができる。また、ノズル開口部22の
内部への固化インクの擦り込みも起き難いので、ノズル
開口部22の目づまりを防止できる。このように、ワイ
ピング動作による拭い取りを適性,良好に行うことがで
きる。
【0063】インクを払拭したならば、制御部43(フ
ラッシング制御手段)は、フラッシング制御を行う。こ
のフラッシング制御では、制御部43は、記録ヘッド2
をキャッピング機構5の直上位置に移動させる。このと
き吸引ポンプ33は作動させずに、キャップ部材31へ
向けて記録ヘッド2からインクを吐出させる。即ち、フ
ラッシング動作を行う[図4(D)]。このフラッシン
グ動作では、例えば、インク滴を1000回程度吐出さ
せる。
【0064】そして、フラッシング動作を行わせたなら
ば、一連のクリーニング動作を終了する。
【0065】次に、インクの再溶解制御について詳しく
説明する。
【0066】上記したように、インクの再溶解制御は、
前回のワイピング動作から例えば1ヶ月以上ワイパーブ
レード35が放置されていた場合に行われる。このた
め、制御部43(吹付け制御手段)は、クリーニング命
令に伴ってタイマー44のカウント値を参照し、前回の
ワイピング動作からの放置時間を認識する。
【0067】ここで、タイマー44のカウント値、つま
り、放置期間が規定時間に満たなかった場合、例えば、
放置期間が1ヶ月未満であった場合には、制御部43
は、吹付け制限手段として機能し、インクの再溶解制御
を禁止する。即ち、インク吸引動作が終了すると、イン
クをワイパーブレード35に吹き付けずに、ワイピング
動作を行わせる。
【0068】これは、放置期間が数週間程度では問題が
生じる程にインクが固化することはほとんどないからで
ある。このように、放置期間が短期間の場合において、
インクをワイパーブレード35に吹き付けないように制
御することで、インクが溶解液として無駄に消費されて
しまうことを防止することができる。
【0069】一方、タイマー44のカウント値、つま
り、放置期間が規定時間以上であった場合には、制御部
43は、吹付け量制御手段として機能し、放置期間の長
さに応じてインク(溶解液)の吹き付け量を増減制御す
る。例えば、放置期間が1ヶ月〜2ヶ月未満であった場
合にはインク滴を1000回程度吐出させ、放置期間が
2ヶ月〜3ヶ月未満であった場合にはインク滴を200
0回程度吐出させ、放置期間が3ヶ月以上であった場合
にはインク滴を3000回程度吐出させる。
【0070】これは、ワイパーブレード35に付着した
インクの固化の度合いは、時間の経過に伴って変化する
ことに起因している。そして、放置期間に応じてインク
(溶解液)の量を最適な量に調整することで、固化の度
合いが異なっていても固化したインクを確実に溶解する
ことができ、尚且つ、インクが無駄に消費されることが
なく有効に使用できる。
【0071】ところで、図2に例示した記録ヘッド2の
ように、異なる色を記録可能な複数のヘッドユニット2
3(23K、23C、23M,23Y)を備えて構成さ
れた記録ヘッド2では、再溶解用のインクを吹き付ける
ヘッドユニット23として、どのヘッドユニット23を
用いるかについて考慮する必要がある。これは、特定の
色のインクだけが無駄に消費されないようしたり、ワイ
ピング時におけるインクの混色の影響を確実に防止する
ためである。
【0072】この点に鑑み、本実施形態では、制御部4
3(ブロック選択手段)は、複数のヘッドユニット(記
録ブロック)23の中から、ワイパーブレード35に対
してインクを吹き付けるヘッドユニット23を選択し、
この選択したヘッドユニット23をインクの再溶解に使
用している。
【0073】以下、ヘッドユニット23の選択について
説明する。
【0074】本実施形態では、制御部43(ブロック選
択手段)は、シアンヘッドユニット23C、マゼンタヘ
ッドユニット23M、イエローヘッドユニット23Yな
どの有彩色のインクを吐出可能なヘッドユニット23
を、ワイパーブレード35に対してインクを吹き付ける
ヘッドユニット23として選択する。これは、ブラック
インクによる混色の影響は、他の有彩色インクによる混
食の影響よりも強いことと、ブラックインクは文書の記
録等に使用される機会が多く、消費量が多いことに起因
している。
【0075】そして、有彩色のインクのヘッドユニット
23を選択することにより、ワイピング時における混色
の影響を少なくすることができる。さらに、消費量の多
いブラックインクを専ら記録用に使用できるので、イン
クカートリッジ25の交換時期を延ばすことができる。
【0076】なお、有彩色のヘッドユニット23は、通
常、複数備えられている。このため、有彩色の各ヘッド
ユニット23(23C,23M,23Y)を順次選択す
ると、各ヘッドユニット23を均一に使用できるので、
インクカートリッジ25の交換時期を一層延ばすことが
できる。この場合、例えば、シアンヘッドユニット23
C、マゼンタヘッドユニット23M、イエローヘッドユ
ニット23Y、シアンヘッドユニット23C、…という
ように、順次選択する。
【0077】また、インクの混色という観点からすれ
ば、ワイパーブレード35に吹き付けるインクは、黄色
インクなどの薄色系のインクが好ましい。ここで、薄色
系のインクとは、記録した際に比較的に薄い色を呈する
インクのことを意味する。従って、ブラック、シアン、
ライトシアン、マゼンタ、ライトマゼンタ、イエローの
6色インクの場合には、ライトシアン、ライトマゼン
タ、及び、イエローの3種類のインクが薄色系インクと
なる。
【0078】この薄色系インクをインクの再溶解に用い
ると、ワイピング時に混色が生じたとしても、続いて行
われるフラッシング動作でインク滴を吐出させること
で、少ないインク量で混色をなくすことができる。
【0079】また、インクカートリッジ25からインク
が供給される記録ヘッド2の場合、各インクのインク残
量を、ヘッドユニット23毎のインク吐出回数から把握
することが可能である。
【0080】この点に着目して、制御部43(インク残
量検出手段)に、最もインク残量の多いインクのインク
カートリッジ25をワイパーブレード35に対してイン
クを吹き付けるヘッドユニット23として選択させるよ
うに構成してもよい。
【0081】すなわち、各ヘッドユニット23(例え
ば、23C,23M,23Y)毎に吐出回数を計数保持
しておき、この吐出回数に基づいてインク毎にインク残
量を把握し、最もインク残量の多いヘッドユニット23
を選択する。
【0082】このように構成すると、使用頻度の最も低
いヘッドユニット23(インク残量の最も多いヘッドユ
ニット23)が選択されるので、インクカートリッジ2
5の交換時期を一層延ばすことができる。
【0083】なお、本実施形態では、記録ヘッド2から
ワイパーブレード35へインクを吹き付ける構成とし、
インクそのものを固化インクを溶解するための溶解液と
したが、これに限定されるものではない。
【0084】例えば、溶解液を噴射するノズル等の噴射
手段を、走査のための可動側である記録ヘッド2あるい
はキャリッジ7に配設して、その噴射手段からワイパー
ブレード35へ専用の溶解液をスプレーする構成として
もよい。また、溶解液の噴射手段は、必ずしも記録ヘッ
ド2側に設けなくてもよく、ワイパーブレード35の近
辺に固定状態で配設する構成を採ることもできる。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
次に示すような優れた効果を奏する。
【0086】即ち、ノズル面部を拭う前に、インクを溶
解する溶解液をワイパー部材に吹き付けるので、固化イ
ンクを再溶解させた状態でノズル面部を拭うことができ
る。従って、ノズル面部を払拭する際にこのノズル面部
を傷つけてしまう不具合を防止できる。また、ノズル開
口部の内部への固化インクの擦り込みも防止でき、目づ
まりを防止することができる。その結果、ワイパー部材
による払拭を適性,良好に行うことができる。
【0087】さらに、溶解液の吹き付け量がワイパー部
材の放置期間に応じて増減されるので、固化の度合いが
異なっていても固化したインクを確実に溶解することが
でき、尚且つ、インクが無駄に消費されることがなく有
効に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、本発明を適用した
インクジェットプリンタの斜視図である。
【図2】記録ヘッドをノズルプレート側から見た図であ
る。
【図3】インクジェットプリンタの電気的構成を説明す
る図である。
【図4】ワイパー機構及びキャッピング機構の動作を説
明する図であり、(A)はインク吸引動作を、(B)は
インク吹き付け動作を、(C)はワイピング動作を、
(D)はフラッシング動作をそれぞれ示す。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ 2 記録ヘッド 3 ノズルプレート 4 ワイパー機構 5 キャッピング機構 6 カートリッジホルダ部 7 キャリッジ 8 ハウジング 9 ガイド部材 10 記録紙 11 プラテン 12 駆動プーリー 13 遊転プーリー 14 タイミングベルト 15 パルスモータ 21 キャリッジのベース部材 22 ノズル開口部 23 ヘッドユニット 24 区画壁部 25 インクカートリッジ 31 キャップ部材 32 吸引チューブ 35 ワイパーブレード 36 ワイパーホルダー 37 ワイパー昇降機構 38 ワイパーブレードの弾性部材 39 ワイパーブレードの吸液性部材 41 プリンタコントローラ 42 プリントエンジン 43 制御部 44 タイマー 45 メンテナンススイッチ 46 紙送りモータ 47 電源スイッチ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズル開口部からインク滴を吐出可能な
    記録ヘッドと、ノズル開口部が開設された記録ヘッドの
    ノズル面部に押し当てられて、記録ヘッドとの間の相対
    移動に伴ってノズル面部を拭うワイパー部材とを備えた
    インクジェット式記録装置において、 ノズル面部を拭う前に、インクを溶解し得る溶解液をワ
    イパー部材に吹き付ける溶解液噴射手段と、 ワイパー部材の放置期間を計時する放置期間計時手段
    と、 溶解液噴射手段による溶解液の吹き付け動作を制御する
    吹付け制御手段とを設け、 吹付け制御手段は、放置期間計時手段が計時した放置期
    間に応じて溶解液の吹き付け量を増減制御する吹付け量
    制御手段を備えることを特徴とするインクジェット式記
    録装置。
  2. 【請求項2】 前記吹付け制御手段は、放置期間計時手
    段が計時した放置期間が規定時間未満の場合に溶解液の
    吹き付けを禁止する吹付け制限手段を備えることを特徴
    とする請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
  3. 【請求項3】 前記溶解液噴射手段を記録ヘッドにより
    構成し、記録ヘッドが吐出するインクを溶解液としてワ
    イパー部材に吹き付けるように構成したことを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載のインクジェット式記録
    装置。
  4. 【請求項4】 前記記録ヘッドは、吐出するインクの色
    毎に分けられた記録ブロックを複数備え、 吹付け制御手段は、ワイパー部材に向かってインクを吹
    き付ける記録ブロックを複数の記録ブロックの中から選
    択するブロック選択手段を備えることを特徴とする請求
    項3に記載のインクジェット式記録装置。
  5. 【請求項5】 前記ブロック選択手段は、有彩色のイン
    クを吐出可能な記録ブロックを、インクを吹き付ける記
    録ブロックとして選択することを特徴とする請求項4に
    記載のインクジェット式記録装置。
  6. 【請求項6】 前記ブロック選択手段は、黄色などの薄
    色系のインクを吐出可能な記録ブロックを、インクを吹
    き付ける記録ブロックとして選択することを特徴とする
    請求項5に記載のインクジェット式記録装置。
  7. 【請求項7】 複数の記録ブロック毎にインク残量を検
    出するインク残量検出手段を設け、 前記ブロック選択手段は、残量が最も多い記録ブロック
    を、インクを吹き付ける記録ブロックとして選択するこ
    とを特徴とする請求項4から請求項6の何れかに記載の
    インクジェット式記録装置。
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