JP2001048994A - ガスバリアフィルム - Google Patents

ガスバリアフィルム

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JP2001048994A
JP2001048994A JP11227390A JP22739099A JP2001048994A JP 2001048994 A JP2001048994 A JP 2001048994A JP 11227390 A JP11227390 A JP 11227390A JP 22739099 A JP22739099 A JP 22739099A JP 2001048994 A JP2001048994 A JP 2001048994A
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film
gas barrier
thermoplastic resin
coating
coating film
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JP11227390A
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English (en)
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Yutaka Harada
裕 原田
Shigeru Tanaka
茂 田中
Itsuo Nagai
逸夫 永井
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低湿度下、高湿度下でのガスバリア性及び透
明性を保有するガスバリアフィルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂基材の少なくとも片面上に
無機板状粒子及び水溶性高分子を主たる構成成分とする
塗膜厚さd(μm)の塗膜を形成したフィルムであっ
て、該熱可塑性樹脂基材の下記(1)式を満足する範囲
内の高さHc(μm)の表面突起の個数が2000個/
mm2 未満であることを特徴とするガスバリアフィル
ム。 Hc≧d−0.1 (1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリアフィル
ムに関するものであり、さらに詳しくは低湿度下及び高
湿度下での高いガスバリア性及び透明性に優れたガスバ
リアフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】食品や薬品などの包装分野では、外気か
らの酸素などの侵入があると内容物の変質によって長期
保存ができないことから、外気の混入を防ぐことができ
るガスバリア性をもったフィルムの開発が行われてい
る。
【0003】ポリマー エンジニアリング アンド サ
イエンス、20巻、22号、1543〜1546頁(1
986年12月)によると、従来より開発されたガスバ
リア性フィルムとしては、ポリ塩化ビニリデン、ポリア
クリロニトリル、ポリビニルアルコールなどがある。し
かし、ポリ塩化ビニリデンは塩素原子、ポリアクリロニ
トリルは−CN基を含有しているため、廃棄の際に環境
に対する問題が近年持ち上がっている。また、ポリビニ
ルアルコールは−OH基を含有しているため、ガスバリ
ア性の湿度依存性が大きく、高湿度ではガスバリア性が
著しく低下してしまう。ポリビニルアルコールの湿度依
存性を改良したエチレンービニルアルコール共重合体に
おいても、高湿度でのガスバリア性はまだ十分とは言え
ない。
【0004】一方、酸化珪素(特公昭53−12953
号公報等)や酸化アルミニウム(特開昭62−1799
35号公報等)などの無機物を基材の表面に蒸着したフ
ィルムが開発されている。しかし、これらのフィルムの
形成には蒸着過程が加わるのでコストが非常に高くなる
欠点や、無機被膜の可とう性の無さ、基材との接着性が
悪い等によるフィルムとしての取り扱いにくさの問題が
生じている。
【0005】これらの問題を解決する手段として、基材
に金属酸化物及びポリビニルアルコールからなる塗膜を
設けたフィルム(特開昭56−4563号公報等)が開
発されているが、高湿度下でのガスバリア性に関しては
まだ満足のいくレベルではない。
【0006】また、無機層状化合物及び高水素結合性化
合物からなるガスバリア層を有するフィルム(特開平6
−93133公報、特開平7−41685公報等)も知
られている。
【0007】上記のようなガスバリア層を高速で薄い塗
膜として形成するためには塗剤の低粘度化が必要である
が、熱可塑性樹脂基材として表面の濡れ性の低い基材
(例えば、ポリプロピレン)を用いた場合、低粘度の塗
剤ではコーティング中のはじきが起こりやすくなる等の
原因により塗膜の膜抜けや膜厚の薄い部分が多数発生
し、ガスバリア性が低下する。この現象は、高速での薄
膜の形成時に顕著に現れる。また、塗膜表面も粗れてし
まい透明性も悪化する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは鋭意検討
した結果、高速での薄膜形成時における塗膜の膜抜けは
基材の突起分布に起因しているため熱可塑性樹脂基材表
面の突起高さを規定することにより、均一なガスバリア
塗膜を形成できることを見出し、本発明に至ったもので
ある。
【0009】すなわち本発明の課題は、低湿度下及び高
湿度下での高いガスバリア性及び透明性に優れたガスバ
リアフィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するため
に、本発明に係るガスバリアフィルムは、熱可塑性樹脂
基材の少なくとも片面上に無機板状粒子及び水溶性高分
子を主たる構成成分とする塗膜厚さd(μm)の塗膜を
形成したフィルムであって、該熱可塑性樹脂基材の下記
(1)式を満足する範囲内の高さHc(μm)の表面突
起の個数が2000個/mm2 未満であることを特徴と
するものからなる。 Hc≧d−0.1 (1)
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について、望まし
い実施の形態とともに詳細に説明する。本発明において
は、熱可塑性樹脂基材の下記(1)式を満足する範囲内
の表面突起高さHc(μm)の表面突起の個数が200
0個/mm2 未満であることが必要である。突起個数は
好ましくは1500個/mm2 未満である。 Hc≧d−0.1 (1)
【0012】突起個数が2000個/mm2 以上の熱可
塑性樹脂基材表面に塗剤をコーティングすると、その突
起部分を核にして塗剤のはじきが発生し塗膜の膜抜けが
発生したり、塗膜厚さの薄い部分ができてしまうために
ガスバリア性が低下する。また、塗膜表面の粗さが大き
くなり透明性も悪化する。該突起個数を2000個/m
2 未満にするためには、滑剤を全く添加しない方法、
単分散であって熱可塑性樹脂基材中で凝集しにくい滑
剤、例えば、熱可塑性樹脂としてポリプロピレンが用い
られる場合には架橋ポリメチルメタクリレート粒子、架
橋ポリスチレン粒子等の架橋有機粒子、架橋シリコーン
粒子、真球シリカを熱可塑性樹脂基材に添加する方法等
が好ましく用いられる。平均粒子径としては好ましくは
0.01〜10μm、さらに好ましくは0.02〜5μ
mである。なお、平均粒子径は透過型顕微鏡などを用い
て10000〜100000倍の写真を撮影し、数平均
により求めた粒子径である。
【0013】また本発明においては、該熱可塑性樹脂基
材の表面粗さRaは好ましくは0.01μm以上、より
好ましくは0.02μm以上、かつ最大粗さRtは好ま
しくは0.15μm以上、より好ましくは0.2μm以
上である。Raは中心線平均粗さ、Rtは表面粗さ曲線
の最大の山と最深の谷との距離である。Raが0.01
μm未満、もしくはRtが0.15μm未満であれば、
塗膜形成時及び形成後のフィルムの巻き取り性が悪くな
り、塗膜のけずれ等が発生し、ガスバリア性が悪化した
り、透明性が悪化する。なお、パラメータRa、Rtの
詳細は奈良治朗著「表面粗さの測定法・評価法」(総合
技術センター、1983)等に示されている。
【0014】本発明における熱可塑性樹脂基材は、表面
の突起個数が上記範囲内であれば、一般に市販されてい
る各種の熱可塑性樹脂フィルムが用いられる。特に限定
されないが代表的なものとして、ポリエチレン、ポリプ
ロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−
2,6−ナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、
ナイロン12などのポリアミド、ポリ塩化ビニル、エチ
レン酢酸ビニル共重合体またはそのけん化物、ポリスチ
レン、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレ
ンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、芳香族ポ
リアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、セルロー
ス、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリ
ロニトリル、ポリビニルアルコールなど、およびこれら
の共重合体が挙げられる。コストパフォーマンス、透明
性、ガスバリア性等の観点から、ポリエチレンテレフタ
レートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィンが好ましく、ポリエチレン、
ポリプロピレンなどのポリオレフィンがさらに好まし
く、ポリプロピレンが特に好ましい。
【0015】熱可塑性樹脂基材としてポリプロピレンが
用いられる場合には、塗膜面側表面の窒素と炭素の原子
数比N/C値が0.001〜0.1、より好ましくは
0.0015〜0.08、特に好ましくは0.002〜
0.05であると密着性が向上するので好ましい。N/
C値は、X線光電子分光法(ESCA)によって求める
ことができる。塗膜を形成したフィルムのN/Cの値を
求めるには、熱水処理やスパッタリング等で塗膜を除去
し該基材表面のスペクトルを測定してもよい。また、2
次イオン質量分析計(SIMS)を用いて深さ方向への
組成分布を測定してもよい。
【0016】N/C値を上記の範囲内とするには、塗膜
層形成前の基材表面にコロナ放電処理あるいは減圧下に
おいて希薄ガス中でのプラズマ処理を施すことで達成さ
れる。コロナ放電処理時の雰囲気は窒素ガス(酸素濃度
が3vol%以下)、炭酸ガスあるいは窒素/炭酸ガス
の混合ガスが好ましく、窒素/炭酸ガスの混合ガス(体
積比=95/5〜50/50)がさらに好ましい。ま
た、プラズマ処理は10 -2Pa程度の真空度の容器内に
少量のアルゴン、ヘリウム、炭酸ガスなどを導入しなが
ら高電圧を印加した電極からフィルムの表面に向けてグ
ロー状放電させながら処理する。この時、処理効果及び
経済性の点で炭酸ガスが好ましい。処理強度は、電圧×
電流/(電極幅×フィルム走行速度)(W・min/m
2)から算出するが、5〜400が好ましく、10〜2
00がより好ましく、20〜100がさらに好ましい。
また、塗膜形成したフィルムの120℃における熱収縮
率が1%以下であることがガスバリア性を安定させる上
で好ましい。
【0017】該熱可塑性樹脂基材には、表面突起個数が
上述の範囲内であれば、無機または有機の粒子を含んで
いてもよい。例えば、タルク、カオリン、炭酸カルシウ
ム、酸化チタン、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、
アルミナ、凝集シリカ、真球シリカ、硫酸バリウム、ジ
ルコニア、マイカ、リン酸カルシウム、架橋ポリメチル
メタクリレート粒子、架橋ポリスチレン粒子等の架橋有
機粒子、架橋シリコーン粒子などである。Hcの突起高
さの突起個数を前記範囲内にするためには真球シリカ、
架橋ポリメチルメタクリレート粒子、架橋ポリスチレン
粒子等の架橋有機粒子、架橋シリコーン粒子、真球シリ
カを用いることが好ましい。
【0018】また熱可塑性樹脂基材には、各種の添加剤
が含まれていてもよい。例えば、酸化防止剤、耐候剤、
熱安定剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止
剤、ブロッキング防止剤等である。
【0019】これらの熱可塑性樹脂基材は、未延伸、一
軸延伸、二軸延伸のいずれでもよいが、寸法安定性およ
び機械特性の観点から、二軸延伸されたものが特に好ま
しい。
【0020】さらに、これらの熱可塑性樹脂基材は、透
明であることが好ましい。光線透過率が、40%以上が
好ましく、60%以上がさらに好ましい。熱可塑性樹脂
基材の厚さは、特に限定されないが2〜1000μmが
好ましい。
【0021】本発明における水溶性高分子とは、常温で
水に完全に溶解もしくは微分散可能な高分子のことであ
り、例えば、ポリビニルアルコール系重合体またはその
誘導体、カルボチシメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロースなどのセルロース誘導体、酸化でんぷん、
エーテル化でんぷん、デキストリンなどのでんぷん類、
ポリビニルピロリドン、スルホイソフタル酸等の極性基
を含有する共重合ポリエステル、ポリヒドロキシエチル
メタクリレートまたはその共重合体などのビニル系重合
体、アクリル系高分子、ウレタン系高分子、エーテル系
高分子あるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基、
アミノ基、メチロール基など官能基変性重合体などが挙
げられる。好ましくはポリビニルアルコール系重合体ま
たはその誘導体であり、特に好ましくはけん化度80モ
ル%以上のポリビニルアルコール、ビニルアルコール単
位が60モル%以上の共重合ポリビニルアルコールであ
る。ポリビニルアルコール系重合体またはその誘導体の
重合度は、1500以下が好ましく、1200以下がさ
らに好ましく、1000以下が特に好ましい。
【0022】本発明における無機板状粒子とは極薄の単
位結晶層が重なって一つの板状粒子を形成している無機
粒子のことであり、溶媒に膨潤・へき開するものが好ま
しい。これらの中でも特に溶媒への膨潤性を持つ粘土化
合物が好ましく用いられる。本発明における溶媒への膨
潤性を持つ粘土化合物とは極薄の単位結晶層間に水を配
位、吸収・膨潤する性質を持つ粘土化合物であり、一般
にはSi4+がO2-に対して配位し4面体構造を構成する
層と、Al3+、Mg2+、Fe2+、Fe3+、Li +等がO
2-およびOH-に対して配位し8面体構造を構成する層
とが、1対1あるいは2対1で結合し積み重なって層状
構造を構成しており、天然のものであっても合成された
ものでもよい。代表的なものとしては、モンモリロナイ
ト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、カオリ
ナイト、ハロイサイト、バーミキュライト、ディッカイ
ト、ナクライト、アンチゴライト、パイロフィライト、
マーガライト、タルク、テトラシリリックマイカ、白雲
母、金雲母、緑泥石等が挙げられる。特にスメクタイト
群と呼ばれているモンモリロナイト、バイデライト、ヘ
クトライトやサポナイトが好ましく用いられる。無機板
状粒子の粒子径は特に限定されないが、50nm以上が
好ましく、100nm以上がより好ましい。
【0023】さらに、本発明では塗膜中に架橋剤を含ん
でいてもよい。混合比は塗膜構成成分に対して0.01
〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%である。
用いられる架橋剤としては、水溶性高分子と反応性を有
するものであればとくに限定されないが、エポキシ系架
橋剤、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、オ
キサゾリン系架橋剤、シランカップリング剤などが使用
される。
【0024】本発明においてはガスバリア性の観点か
ら、無機板状粒子/水溶性または水分散性ポリマーの混
合比率は、重量比で1/99〜70/30の範囲内が好
ましく、5/95〜60/40の範囲内がより好まし
い。
【0025】本発明における該塗膜の厚さは特に限定さ
れないが、ガスバリアフィルムの観点から、0.1〜5
μmが好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
【0026】また本発明は無機板状粒子及び水溶性高分
子を主たる構成成分を塗膜とするフィルムであり、主た
る構成成分とは塗膜構成全成分に対して無機板状粒子及
び水溶性高分子が70重量%以上であることを示す。ガ
スバリア性及び透明性を損なわない範囲内であれば各種
の添加剤を30重量%以下含まれていてもよい。該各種
の添加剤としては、酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、滑
剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、着色剤等である。また、
透明性及びガスバリア性を損なわない程度であれば、無
機または有機の粒子が20重量%以下含まれていてもよ
い。例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化珪素、
フッ化カルシウム、フッ化リチウム、アルミナ、硫酸バ
リウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、架橋ポリスチ
レン系粒子などである。
【0027】さらに、該塗膜を形成させる上で板状粒子
−ポリマ間、ポリマ間または板状粒子間等の相互作用を
高めるために、2価以上の金属塩、触媒成分などを添加
してもよい。カルシウム、マグネシウム、アルミニウム
元素などを有する酢酸塩、硫酸塩、または硝酸塩などを
用いると耐湿性が向上するので望ましい。その量として
は、塗膜に対して1〜10000ppm程度である。
【0028】本発明において、該塗膜上に金属及び/ま
たは金属酸化物からなる層を設けてもよい。
【0029】また、必要に応じて、熱可塑性樹脂基材と
塗膜との間に公知のアンカー剤によるアンカー層を設け
てもよい。アンカー層の厚さは特に限定されないが、生
産性の観点から、0.1〜1μmが好ましい。
【0030】次に、本発明のガスバリアフィルムの代表
的製造方法について述べるが、下記に限定されるもので
はない。まず、基材フィルムを公知の方法で製膜する。
例えばポリプロピレンの場合は、原料となる樹脂を準備
し滑剤等の各種添加剤と共に押出機に供給し、230〜
280℃の温度で溶融し濾過フィルターを経た後、スリ
ット状口金から押し出す。これを金属ドラムに巻き付け
てシート状に冷却固化せしめ、未延伸フィルムとする。
この場合冷却用金属ドラムの温度は30〜70℃としフ
ィルムを結晶化させるのが好ましい。この未延伸フィル
ムを二軸延伸し、二軸配向せしめる。延伸方法は、逐次
二軸延伸法、又は同時二軸延伸法を用いることができ、
特に防湿性の点で逐次二軸延伸法が好ましい。逐次二軸
延伸法としては、まず未延伸フィルムを115〜145
℃の温度に加熱し、長手方向に4〜7倍延伸し冷却後、
テンター式延伸機内に導き140〜165℃の温度に加
熱し幅方向に5〜10倍に延伸した後、155〜170
℃の温度で弛緩熱処理した後冷却することで得られる。
【0031】熱可塑性樹脂基材上に塗膜を形成する方法
は特に限定されず、押し出しラミネート法、メルトコー
ティング法を用いてもよいが、高速で薄膜コートするこ
とが可能である点で、塗膜の構成成分を各種溶媒に分散
させた分散溶液をグラビアコート、リバースコート、ス
プレーコート、キッスコート、コンマコート、ダイコー
ト、ナイフコート、エアーナイフコートあるいはメタリ
ングバーコートするのが好適である。熱可塑性樹脂基材
は塗布前に公知の接着促進処理、例えば空気中、窒素ガ
ス中、窒素/炭酸ガスの混合ガス、その他の雰囲気下で
のコロナ放電処理、減圧下でのプラズマ処理、火炎処
理、紫外線処理等を施していてもよい。もちろん、ウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンイミンなどの公
知のアンカー処理剤を用いてアンカー処理を施しておい
てもよい。
【0032】塗膜の乾燥方法は特に限定されず、熱ロー
ル接触法、熱媒(空気、オイル等)接触法、赤外線加熱
法、マイクロ波加熱法等が利用できる。塗膜の乾燥は、
ガスバリア性の観点から、60℃〜160℃の範囲内で
行われることが好ましく、乾燥の時間としては1〜60
秒、好ましくは3〜30秒である。
【0033】塗膜の構成成分を含んだ塗剤は、溶媒に無
機板状粒子が均一に分散もしくは膨潤しかつ水溶性高分
子が均一に溶解もしくは分散した溶液が好ましい。溶媒
としては、水または水/低級アルコール混合溶液が用い
られる。水/低級アルコール混合溶液を用いると乾燥を
短時間で行うことが可能になる。低級アルコールとは炭
素数1〜3の直鎖または分岐鎖の脂肪族基を有するアル
コール性化合物のことであり、例えばメタノール、エタ
ノール、n−またはイソ−プロパノールが好ましく用い
られる。また、水/低級アルコールの混合比率は重量比
で100/0〜20/80が好ましく、99/1〜50
/50がさらに好ましい。混合比率が20/80より小
さいと塗膜構成成分の溶媒中での分散性が悪化する。
【0034】また、フィルムへの塗布性を付与するため
に、分散溶液の安定性が維持される範囲内であれば、混
合溶媒中に第3成分として他の水溶性有機化合物が含ま
れていてもよい。上記水溶性有機化合物としては例え
ば、メタノール、エタノール、n−またはイソ−プロパ
ノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、
エチルセロソルブ、n−ブチルセルソルブ等のグリコー
ル誘導体、グリセリン、ワックス類等の多価アルコール
類、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル等のエステ
ル類、メチルエチルケトン等のケトン類が挙げられる。
また、分散溶液のpHは溶液の安定性の面から2〜11
が好ましい。
【0035】該塗剤の調整方法は特に限定されないが、
板状粒子を溶媒に均一に分散させた後に水溶性または水
分散性ポリマーを溶媒に均一に溶解させた溶液と混合す
る方法等が有効に用いられるが、塗剤中で水溶性または
水分散性ポリマーと板状粒子が極めて均一に分散してい
ることが好ましい。
【0036】特に無機板状粒子は、分散液液中で二次凝
集している可能性があるために、板状粒子を溶媒に分散
させた後に、せん断力、ずり応力のかかるホモミキサ
ー、ジェットアジター、ボールミル、ニーダー、サンド
ミル、3本ロール等の装置を用いて機械的な強制分散処
理を行う方法が好ましく用いられる。例えば、板状粒子
を数重量%の濃度で水に均一に分散させた後にホモミキ
サー等を用いて分散処理を行い、数重量%濃度に水に均
一に分散させたポリマー水溶液と混合した後に再度分散
処理を行い、低級アルコール及び水を加えて濃度を調整
する方法等が好ましく用いられる。さらに、この塗剤に
架橋剤、粒子等を含有させてもよい。
【0037】〔特性の評価方法〕本発明にて用いた特性
の評価方法は以下の通りである。 (1)低湿度下のガスバリア性 ASTM D−3985に準じて酸素透過率測定装置
(モダンコントロール社製、OX−TRAN2/20)
を用いて酸素透過率を測定した。測定条件は温度23
℃、相対湿度0%RHである。
【0038】(2)高湿度下のガスバリア性 上述の方法で、酸素透過率を測定した。測定条件は温度
23℃、相対湿度85%RHである。
【0039】(3)透明性 JIS−K−6714−58に準じて、SEP−H−2
系濁度計(日本精密光学社製)で測定した、ヘイズを用
いた。透明性が8%以下を◎、12%以下を○、20%
以下を△、それ以上を×とした。
【0040】(4)塗膜厚さ 透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、H−600型)を
用いて、加速電圧100kVでフィルム断面を超薄切片
法でフィルム断面を観察し、その界面をとらえ塗布厚さ
を求める。倍率は1万倍から10万倍が適当である。
【0041】(5)表面突起個数 小坂研究所製3次元微細形状測定器(ET−30HK)
を用いて測定し、(塗膜厚さ)−0.1μm以上の突起
高さの個数を単位面積あたりに換算し算出した。測定条
件は下記の通りであり、20回の測定の平均値をもって
値とした。 触針先端半径:2μm 触針荷重 :16mg 測定面積 :0.3mm2 カットオフ :0.25mm
【0042】(6)表面粗さRa、最大粗さRt 上述と同様の方法で測定し、20回の測定の平均値をも
って値とした。
【0043】
【実施例】実施例1 無機板状粒子としてモンモリロナイト(クニミネ工業社
製、クニピア−G)を3重量%になるよう水/イソプロ
ピルアルコール(以下IPA)混合溶媒(重量比95/
5)に分散させた(A液)。水溶性高分子としてけん化
度98モル%、重合度500のポリビニルアルコール
(以下PVAと略す)を3重量%になるよう水/IPA
混合溶媒(重量比95/5)に分散させた(B液)。A
液とB液を重量比で50/50に混合し、固形分濃度3
重量%の塗剤を調製した。熱可塑性樹脂機材としてコロ
ナ放電処理(炭酸ガス/窒素混合ガス(体積比83:1
7)中、処理強度=60W・min/m2)した厚さ2
0μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(表面特性は
表1に示す)を用い、その処理面に該塗剤をリバースコ
ーター(塗工速度20m/分)にて塗布後、熱風乾燥式
ドライヤー内に導き低張力下で120℃、10秒間乾燥
し、フィルムを巻取った。得られたフィルムの塗布厚さ
は、0.6μmであった。熱可塑性樹脂基材及び得られ
たフィルムの特性を表1に示す。低湿度下、高湿度下の
ガスバリア性、透明性に特に優れるフィルムが得られ
た。
【0044】実施例2 熱可塑性樹脂基材として、コロナ放電処理(炭酸ガス/
窒素混合ガス(体積比83:17)中、処理強度=60
W・min/m2)した厚さ20μmの2軸延伸ポリプ
ロピレンフィルム(表面特性は表1に示す)を用い、塗
膜厚さを0.5μmにしたこと以外は実施例1と同様に
してフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に
示す。低湿度下、高湿度下のガスバリア性、透明性に優
れるフィルムが得られた。
【0045】実施例3 熱可塑性樹脂基材として、コロナ放電処理(大気中、処
理強度=60W・min/m2)した厚さ20μmの2
軸延伸ポリプロピレンフィルム(表面特性は表1に示
す)を用い、塗膜厚さを0.5μmにしたこと以外は実
施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルム
の特性を表1に示す。低湿度下、高湿度下のガスバリア
性、透明性に優れるフィルムが得られた。
【0046】実施例4 熱可塑性樹脂基材として、厚さ12μmの2軸延伸ポリ
エステルフィルム(表面特性は表1に示す)を用い、塗
膜厚さを0.4μmにしたこと以外は実施例1と同様に
してフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表1に
示す。低湿度下、高湿度下のガスバリア性、透明性に優
れるフィルムが得られた。
【0047】実施例5 ポリウレタン系アンカー剤(武田薬品社製、タケラッ
ク)を0.2μmコーティングした表面に塗工し、塗膜
厚さを0.5μmにしたこと以外は実施例1と同様にし
て、サンプルを得た。低湿度下、高湿度下のガスバリア
性、透明性に特に優れるフィルムが得られた。
【0048】実施例6 熱可塑性樹脂基材として、コロナ放電処理(大気中、処
理強度=60W・min/m2)した厚さ20μmの2
軸延伸ポリプロピレンフィルム(表面特性は表1に示
す)を用い、塗膜厚さを0.5μmにしたこと以外は実
施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルム
の特性を表1に示す。低湿度下のガスバリア性、透明性
に優れるフィルムが得られた。
【0049】比較例1 板状粒子を用いず、塗膜厚さを0.5μmにしたこと以
外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。表1から明
らかなように得られたフィルムはガスバリア性、透明性
が劣っていることがわかった。
【0050】比較例2 熱可塑性樹脂基材として、コロナ放電処理(大気中、処
理強度=60W・min/m2)した厚さ17μmの2
軸延伸ポリプロピレンフィルム(表面特性は表1に示
す)を用いたこと以外は実施例1と同様にして塗工した
が、塗剤のはじきが多く塗膜を形成できなかった。
【0051】比較例3 熱可塑性樹脂基材として、コロナ放電処理(炭酸ガス/
窒素混合ガス(体積比83:17)中、処理強度=60
W・min/m2)した厚さ20μmの2軸延伸ポリプ
ロピレンフィルム(表面特性は表1に示す)を用い、塗
膜厚さを0.5μmにしたこと以外は実施例1と同様に
して塗工したが、塗剤のはじきがおこり塗膜の膜抜けが
多数発生した。表1から明らかなように得られたフィル
ムは低湿度下のガスバリア性、透明性に劣り、高湿度下
のガスバリア性が大きく劣っていることがわかった。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】本発明で得られたフィルムは、低湿度下
のガスバリア性に優れるだけでなく、高湿度下でのガス
バリア性と透明性にも優れることから信頼性の高い包装
材料として使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永井 逸夫 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 4F006 AA12 AB20 AB76 BA05 DA04 EA03 EA05 4F071 AA02 AA20 AA29 AB30 AF07 AH04 BA06 BA07 BB02 BC01 BC02 BC14 BC16 4F100 AA00B AC04B AK01A AK01B AK07A AK21B BA02 CC00B DD01A DE02B EJ38A EJ55A GB15 GB23 JB09B JB16A JD02 JD03 JN01 4J002 AB011 AB041 AB051 BE021 BG071 BJ001 CF141 CH021 CK021 DJ006 DJ036 DJ056 FA016 FD206 GF00 GG02 GH00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂基材の少なくとも片面上に
    無機板状粒子及び水溶性高分子を主たる構成成分とする
    塗膜厚さd(μm)の塗膜を形成したフィルムであっ
    て、該熱可塑性樹脂基材の下記(1)式を満足する範囲
    内の高さHc(μm)の表面突起の個数が2000個/
    mm2 未満であることを特徴とするガスバリアフィル
    ム。 Hc≧d−0.1 (1)
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂基材の表面の中心線平均粗
    さRaが0.01μm以上で、かつ最大粗さRtが0.
    15μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載
    のガスバリアフィルム。
  3. 【請求項3】 熱可塑性樹脂基材がポリプロピレンから
    なることを特徴とする、請求項1または2に記載のガス
    バリアフィルム。
  4. 【請求項4】 水溶性高分子がポリビニルアルコール系
    重合体またはその誘導体であることを特徴とする、請求
    項1〜3のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  5. 【請求項5】 塗膜の塗膜厚さが1.5μm未満である
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のガ
    スバリアフィルム。
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